読切小説
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ぼくのまものむすめずかん
 サキュバスさん

いつも水着みたいなえっちな服を着ているお姉さんです。
しっぽや角が生えています。せなかにつばさも生えています。
いつもぼくをお家の中にさそってくれますが、中に入ったらぼくは食べられてしまうって、他のまものむすめのお姉さんたちに聞きました。
食べられても死なないけど、人生のはか場?とかいうものに入ってしまうそうです。
よく分かりませんが、ぼくはまだおはかに入りたくないので、サキュバスさんにはついて行かないようにしています。
たまにギラギラした目でぼくを食べようとおそってきますが、そのときはいつも他のお姉さんたちが助けてくれます。



 イナリさん

キツネさんのしっぽと耳の生えたお姉さんです。
ジパングっていう島から来たそうで、ぼくに変わったお茶とかを飲ませてくれます。
お茶もおかしもとってもおいしくて、ぼくはイナリさんの家に行くのが楽しみです。
それと、しっぽかとってもふかふかで、まるでおふとんみたいです。
しっぽにくるまれてると、ついウトウトしてしまいますけど、そのままでいるとイナリさんに食べられてしまうそうです。
なので、なるべくしっぽの中では横にならないように注意をしています。



 ラミアさん

こしから下がヘビさんになっているお姉さんです。
きれいな声をしていて、ラミアさんの声を聞いているとぼくはうっとりしてしまいます。
でもずっとそうしていると、その後ぼくはラミアさんにまきつかれて、もぐもぐ食べられてしまうそうです。
だからぼくは、ラミアさんに声をかけられても、あいさつだけでなるべく早く歩いていくようにしています。
そうすると、ラミアさんはいつもさみしそうな顔をするので、それがちょっとかわいそうで、よく立ち止まってお話しをしたりもします。
だけど、お姉さんの目がなんだかギラギラしてくるので、やっぱりぼくはこわくなって走っていってしまいます。



 マーメイドさん

海に住んでいる人魚のお姉さんです。
ラミアさんと同じくらい声がきれいで、ぼくが会いにいくとかならず、すてきな歌を聞かせてくれます。
それと、ぼくに上手なおよぎ方も教えてくれたりします。おかげで、ぼくもおよぐのがすごく速くなりました。
海の中でいっしょにくらさないってさそわれていますが、そうするとマーメイドさんもぼくを食べてしまうって、他のお姉さんに注意されています。
海の中でくらしたら、ふわふわとってもきれいでたのしそうだろうなぁって思うけど、食べられるのはこまるので、止めておこうと思います。



 アラクネさん

森に住んでいる、クモの足をしたお姉さんです。
あみものがすごくとくいで、いつもぼくの服を直してくれたり、新しい服をくれたりします。
でもぼくの服にクモの糸がついていて、アラクネさんの家まで引っぱられそうになったことがありました。
どうしてかぼくが聞いたら、アラクネさんもぼくのことを食べちゃいたいからって言いました。
他のお姉さんたちが引っぱりかえてしてくれなかったら、ぼくは食べられるところでした。
やっぱりアラクネさんも他のお姉さんと同じみたいです。みんなやさしいけど、ぼくのことを食べちゃおうってねらっています。
お姉さんたちと会うときには、もっと気をつけるようにしないといけません。



 リザードマンさん

トカゲみたいなしっぽやうろこの生えた、とっても剣の強いお姉さんです。
ぼくともよく木刀で遊んでくれますが、ぼくはリザードマンさんに今まで一度も勝ったことがありません。
リザードマンさんは、いつかぼくが大きくなって、リザードマンさんに勝てる日が来るのを待ってるって言ってくれます。
ぼくも勝てるようにはなりたいけど、もしリザードマンさんに勝ってしまったら、ぼくはそのあと食べられてしまうそうです。
だからぼくはお姉さんの次ぐらいに剣の強い大人になりたいです。
でも、それを言うとリザードマンさんはざんねんそうな顔をするので、言わないようにしています。



 ケンタウロスさん

足がお馬さんになっている、きりっとしたお姉さんです。
弓がとっても上手で、ぜったいにまとから外したりしません。
ぼくにも弓矢を教えてくれたり、せなかに乗っけて家まで送ってくれたりする、とっても良い人です。
だけど気をつけないと、ケンタウロスさんもぼくのことを食べてしまうって、他のお姉さんたちが言っていました。
ぼくってそんなにおいしそうなのかなぁって、ケンタウロスさんに聞いてみたことがあります。
そうしたらケンタウロスさんは、なんだか走った後みたいにハァハァって息をして、ギラギラした目になってしまいました。
他のお姉さんに聞いてみても、みんな同じようになるので、ぼくはもうそれは聞かないように決めています。



 アルラウネさん

森に住んでいる、大きなお花のお姉さんです。
体からいつもあまいにおいがしていて、ぼくが会いに行くとたくさんのミツをわけてくれます。
でもあんまり近づくと、お花の中にぼくをとじこめて食べてしまうって他のお姉さんから聞きました。
だからぼくは、ちょっとだけはなれてアルラウネさんとお話しするようにしています。
もし花の中に入れられそうになったら、大声で他のお姉さんのことをよぶようにも言われています。
この前も、ぼくの手や足にツルをまきつかせて、それを見た他のお姉さんたちにおこられていました。



 ヴァンパイアさん

夜にだけ外に出てくるお姉さんです。ふだんはきびしくていつもムスっとしている人です。
だけどこの前、ぼくが指を切っちゃったとき、そのキズ口をなめてきれいにしてくれました。本当はやさしいお姉さんです。
けど、それからいつもぼくに会うと、大きくなったらヴァンパイアさんのお屋しきでシツジになるようにって言ってきます。
シツジさんになったら、ぼくは毎日血をすわれたり、やっぱり食べられてしまうそうです。
だからぼくは、シツジさんにはなりたくないなぁって思っています。
あと、ぼくの指にキズがあると、いつもそこをしゃぶられてしまいます。なんだかムズムズします。



 ダンピールさん

いつもは旅に出ているお姉さんです。ヴァンパイアさんの親せきだそうです。
たまに旅から帰ってきて、ぼくにいっぱいおみやげをくれたり、おもしろい話をたくさんしてくれたりします。
ぼくも旅についていってみたいのですが、そんなことをしたらどこかでダンピールさんに食べられてしまうと、ヴァンパイアさんにおこられてしまいました。
それを聞いたダンピールさんとケンカになって、みんなでケンカを止めるのが大へんでした。
だからぼくは大きくなったら、お姉さんたちにたよらないで、一人で旅に出てみようと思っています。



 オーガさん

二本の角が生えた、すごくこわいお姉さんです。
ぼくを見つけると一目さんに走ってきて、ぼくを食べようとおそってきます。
こわくなってさけぶと、すぐに他のお姉さんたちがぼくを助けに来てくれます。
そうしてみんなとケンカをした後だと、オーガさんも大人しくなります。でも目はギラギラしたままです。
そんなこわいオーガさんですが、ぼくが他のお姉さんにおそわれたときは、ぜったい一番にかけつけて助けてくれます。
やっぱりオーガさんもやさしいお姉さんなんだって、ぼくは思っています。
だけどぼくを見て舌なめずりするのは、やっぱりこわいです。



 ホルスタウロスさん

むねがとっても大きい、牛さんみたいなお姉さんです。
いつもニコニコしていて、ぼくと会うとかならずギュ〜ってぼくをだきしめてきます。
それがすごくやわらくて気持ちいいのですけど、はずかしいから、ぼくはすぐにはなしてって言います。
でもホルスタウロスさんは、ちっともぼくの言うことを聞いてくれず、ずっとギュ〜ってしようとしますから、他のお姉さんたちが止めに来ます。
あと、ホルスタウロスさんはすっごくおいしいミルクを分けてくれます。ぼくはそのミルクが大好きです。
でも他のお姉さんたちは、ぼくがそのミルクを飲んでいるのを見るとくやしそうな顔をするから、こっそり飲むようにしてます。
ホルスタウロスさんは目がギラギラしないので、ぼくもほっとしていっしょにいられます。
でも、ぼくのことはとってもおいしそうって言ってたので、ちょっぴりふあんな気持ちもあります。



 サイクロプスさん

山に住んでる、一つ目と角の生えた、おっきなお姉さんです。
あまりおしゃべりをする人じゃないけれど、ぼくがおつかいに行くと、毎回かっこいい剣とかを見せてくれます。
ぼくはサイクロプスさんのお仕事をしているところを見るのが大好きなのですけど、あまり見ないでと言われてしまっているのがざんねんです。
サイクロプスさんもぼくをギラギラした目で見てこないので、いっしょにいるとすごく安心できます。
けれど、サイクロプスさんもいつギラギラになるか分からないと、他のお姉さんたちに言われてしまいました。
ぼくが大きくなっても、そのまましずかでやさしいサイクロプスさんでいてほしいなと思っています。



 ダークプリーストさん

教会に住んでいる、とってもやさしいお姉さんです。
お姉さんたちはみんなぼくにやさしいけど、とくにダークプリーストさんはぼくにやさしいです。
ぼくの話しはなんだって聞いてくれますし、ぼくのことをいっぱいほめてくれます。
だけど、ダークプリーストさんにも気をつけないと、ぼくはパンデモニウムとかいう所につれていかれて、そこで食べられてしまうそうです。
そこでは時間が止まっているせいで、ぼくは大人になれなくなってしまうそうです。
ぼくはちゃんと大きくなって、お姉さんたちみたいに大人になりたいので、それだけはぜったいにいやです。
だからダークプリーストさんに会うときには、かならず他のお姉さんといっしょに会うようにしています。



 ドラゴンさん

りっぱなつばさの生えた、すごくかっこいいお姉さんです。
ムスってしてることが多いけど、他のお姉さんたちと同じように、本当はやさしいお姉さんです。
たからものを集めるのがすきだから、ぼくも川できれいな石をひろったときには、ドラゴンさんにあげるようにしています。
そうすると、お礼にぼくをだっこして、空をとんでみせてくれるのです。
空をとぶのはすごくドキドキして、小さくなった家とかを見るのは、とても楽しい時間です。
ドラゴンさんはぼくなんて食べないぞって言ってますが、一度ぼくをだっこしたまま、どこか遠くへとんでいこうとしたことがありました。
そのときはぼくはこわくなって泣いてしまいました。ドラゴンさんはあわててぼくを家にかえしてくれました。
もうどこかにつれていったりしないってやくそくしてくれたので、今は安心です。



 このずかんのみんな

このずかんのまものむすめさんたちは、みんなみんな、ぼくの大すきなお姉さんたちです。
ぼくはしょうらい大きくなったら、みんなをおよめさんにしたいと思います。
そのためにも、すききらいせずに何でも食べて、先生やお父さんお母さんの言うことをきちんと聞いて、勉強もたくさんします。
いつかお姉さんたちにつりあう、りっぱな大人になれますように。

おわり。

「俺」から「ぼく」への追記

プロポーズは凄絶な修羅場になったから覚悟しておくように。
それと、結婚した後も幸せ過ぎて苦労するからな?





17/05/10 20:07更新 / まわりの客

■作者メッセージ
やっぱり自分は一発(ネタ)屋なんだなって。

ゲイザーちゃんをお嫁にしたい。

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