連載小説
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おにぃ
 妹に狐が憑いた。
 
 様子がおかしくなったのは、ここ数ヶ月ほどの間のことだった。
 前は兄である俺に対しても大人しいぐらいの性格だったのが、やけにベタベタとするようになり、身体的な接触が増えた。
人の目があろうがなかろうがお構いなしに、ことあるごとに俺とのスキンシップをねだる。
 初めはそれも、ちょっと明るくなった妹が兄に甘えているだけだろうと、苦笑いで受け流せるレベルで収まっていた。
 ところがそれらのスキンシップは、瞬く間に胸を積極的に押し付けたり、太ももに手を誘導したりといった種類のものへと移り変わっていった。
まるで俺のことを誘惑するような仕草。そしてその発想は正しいものであり、妹は俺を性愛の対象として誘っていた。
 こうなると俺も戸惑う気持ちの方が強くなる。しかし俺の困惑を差し置いて、妹の誘惑は一段と過激さを増していった。
 この頃になると、ブラジャーにパンツといった下着の中に手を差し込ませようとしたり、酷ければそもそも下着も着けていないことまであった。
 からかいの一線を越えかねない悪戯だ。その一線は、越えてしまえば俺と妹が兄妹から男と女の関係になるということでもあった。

 何かこうなった原因があるんじゃないか。
 本当は何かに悩んでいて、俺に助けを求めているんじゃないか。
 ちゃんと事情を聞いてあげることが、兄としての俺の役目なんじゃないのか。

 そう判断した俺は妹を部屋に呼び寄せた。妹は強い期待をして部屋に入ってきていたようだった。
 話を始めると、妹の顔はみるみると失望の表情に変わっていき……今度は必死の形相で訴えた。

 俺のことを愛している。兄妹であるなんて関係ない。もう自分を抑えることなんてできない。俺と結ばれないなら死んだほうがマシだ。

 結果として、俺が妹のためにと思って取った行動は裏目であり、妹の衝動を決壊させることに他ならなかった。

 妹は俺を押し倒し……俺たちはその夜、セックスをした。
 妹の体からは、青く揺らめく炎のような耳と尻尾が生えてきていた。
 不思議にも、その耳と尻尾は俺以外の誰にも見えないもののようだった。
 妹曰く、その耳と尻尾が見えることが、俺が妹と愛で結ばれた何よりの証拠なんだそうだ。
 狐が憑いたおかげだと、妹は笑った。

 俺が妹と繋がったその日から、俺たちは毎日セックスをするようになった。
 妹の体に溺れていったのもあるが、何よりも妹の狂気すら感じさせる剣幕に気圧されたからだ。

 当然ながら両親も、俺と妹の間に何かあると勘付く。あろうことかそれは、妹が俺を組み伏せて腰を振る現場を見られる形で発覚した。
 両親は激怒し、悲嘆に暮れた。けれどもそれで事態は何も好転しなかった。
 俺と引き離そうとすれば、妹は半狂乱になって暴れまわり、まるで手に負えるものでなかった。
 俺の方から事情を説明しようにも、狐が憑いたからなんて言って納得されるはずもない。ところが精神異常を疑ってみても、結果は全くもって正常という判定だ。
 最後に一縷の望みを託して呼んだ霊能者は、妹と俺の様子を見るなりこう言った。

――お嬢さんに狐が憑いたことは本当です。もう祓うことなんてできません。
お兄さんとの仲を認めてあげなさい。そうすれば何も悪いことは起きませんよ。

 両親は遂に諦め、何も言わなくなった。
 声をかけること自体がなくなったと言って良い。もはや俺たちは家にいていないも同然だった。
 妹は気にするそぶりも見せず、これでもう邪魔をされずにセックスができると、そう喜んだ。
 言葉通りに、俺と妹は躊躇無く部屋から嬌声を漏らすようになった。

そして今日もまた俺たちは、二人で快楽の海に溺れている。

 妹には――御鍵(みかぎ)には、狐が憑いている。








「ちゅぷ……ちゅ、ん……んちゅっ、んんっ……」

 カーテンの締め切られた暗い部屋に、舌をぴちゃぴちゃと絡ませあう音が響いている。
 本当なら、部屋はスタンドライトの薄明かりだけが光源だ。
 だけど御鍵の耳と尻尾は煌々と燃え盛り、その豊満なシルエットを映し出しだしている。

「おにぃ……キス、気持ち良いね……? ちゅぱっ、ん……」
「ん……そうだな……」

 御鍵と二人でベッドの上に座りながら、俺たちは濃厚な口付けに没頭する。

「ちゅぷっ……んっ、んっ……んくっ、んくっ……はぁぁ……」

 歯茎を舐め回し、舌先をちょんと小突き、交換した唾液を飲み込んでいく。
 俺も御鍵も、もう身に着けているのは下着だけだ。
 お互いに薄い布切れへと手を差し入れて、そこに隠れた性器をまさぐりあっている。

「んふぅ……おにぃ、もうオチンチン硬くなってるよぉ……?」

 御鍵の言葉通り、俺のパンツの中ではペニスが硬さを増していた。

「ほらぁ、ナデナデってして、シコシコってして……もっと硬くなってね、おにぃ……」

 御鍵のしなやかな指がそれを撫で回し、溢れた先走りを亀頭に塗りたくる。
 そして肉竿を優しく掴むと、慣れた手つきで上下にしごき立ててきた。

「お前こそ、もうここはこんなに濡れてるだろ……?」
「んっ……! 仕方ないでしょ、おにぃってばぁ……!」

 お返しとばかりに、こちらも御鍵の秘裂をなぞった。
 じわりとにじみ出た愛液をまぶすように、陰口の周辺へと指を移動させる。

「おにぃ、もっとキスしよぉ……? んちゅ、ちゅぅ……んっ……むぅ……」

 また荒々しく唇を重ね合わせると、くぐもった声が俺たちの口からは漏れ出ていった。

「んむっ……! むぅ……っ! んむっ…! むむぅ……っ!」

 陰核の表皮を剥いて指の腹で擦ると、口から漏れる声の勢いが強くなる。

「むぅ……っ! んちゅ……っ! ちゅぱ、ちゅぅ……っ!」
「ん……! ぅ……ぅん……!」

 反応に合わせて、怒張したそれをギュっと握られた。
 俺も思わず小さな呻き声を上げながら、しこり立ったクリトリスを刺激し続ける。

「んぅっ! んっ……んっ、ぁんっ! ぁぁっ……!」

 ちょっと力を込めて潰すように押すと、びくんと御鍵の身体に鋭い反応があった。

「んぁ……! ちゅぅ、ん……っ!」

 今度は秘裂をかき分け、膣の中へと指を進めて行く。
 ドロドロに熱くぬめった膣内は、きゅうと俺の指を締め付けてくる。
 うねる内部で指をかぎ状にして軽く引っかくと、また熱い愛液が俺の指へと浴びせられていった。媚肉の中で指がふやけてしまいそうだ。

「ん、はぁ……おにぃ、私、おにぃのおしゃぶりしたいよぉ……良いでしょ……?」
「分かった。それじゃ俺も……」

 身じろぎをしながら御鍵は唇を離し、俺に甘えた声でおねだりをしてくる。

「分かった……それじゃ脱ぐね? まずはブラジャーからぁ……」

 そう言ってゆるゆると身体を離すと、御鍵のブラジャーが外され、ぷるんとその大きなバストが露わになる。

「次はぁ……おにぃに弄られたせいで、ビショビショのパンツ……」

 それから少し腰を浮かして、俺に見せ付けるようにパンツをゆっくりと下ろしていった。
 淫液を吸った下着が抜き取られ、御鍵の淫猥な秘部が徐々に露になっていく。
 その光景がたまらなく扇情的で、自分のパンツを脱ぎ捨てた俺の方も、ペニスが一段と硬さを増していた。

「あはぁ……おにぃのオチンチン、おいしそうだね……」

 そして俺が下、妹が上になり、お互いの性器を口で愛撫する体勢――シックスナインの準備が完了する。

「オチンチン、硬くて、先からとろぉってしたのが出てて……男の人の匂い、すごくするぅ……」

 御鍵の恍惚とした声と、俺の肉竿を握っている手の柔らかな感触が伝わってくる。

「おにぃも見える……? 私のオマンコ……おにぃに舐めて欲しくて、うずうずしちゃってるんだよぉ……?」

 目の前に差し出された妹の大きな白い臀部、青白い狐の尻尾。そして毛のない恥丘と、淫靡な割れ目。

「あぁ……もう大洪水だし、開いたり閉じたりしてて……やらしいな……」
「あはぁ……おにぃってば、エッチなんだからぁ……」

 クレヴァスを指で開くと、トロリと愛液がこぼれ出し、ピンク色の媚肉は物欲しそうにヒクついていた。
 むわっと、そこから女性の濃密な匂いが立ち込める。
 ごくりとツバを飲み込んで、俺以外の誰にも晒されることのない妹の秘部を凝視する。

「あぁん……おにぃに見られちゃってる……私のエッチなオマンコ、エッチなおにぃに見られちゃってるよぉ……」

 視線だけでも快感が得られるのだろうか。湧き出る愛液は止まることを知らず、俺の上へと滴り落ちていく。
 糸を引いて落ちていくそれが、また一層に俺の興奮を高めていた。

「オチンチン、舐めちゃお……れろぉ……」
「うぁ……っ!」
「あ、オチンチン、びくってしたぁ……えへぇ、ちょん、ちょん……れろぉ……」

 ちろりと先端が舐められた。びくりと肉棒が反応すると、気を良くしたように御鍵は舌先で亀頭をつつき回していく。

「れろ、れろぉ……れろれろぉ……うふふ……タマタマも、触ってあげなきゃねぇ……?」

 竿の周り、裏筋、カリの裏側……唾液を塗りつけられながら、陰嚢もやわりやわりと刺激を受けている。

「ちゅっ……いただきまぁす……あむっ……んぷっ……んふぅ……」
「ぁぁっ……!」

 ちゅっと、唇が触れた後、肉棒はなま温かい咥内にくわえ込まれていった。
 唾液まみれの肉棒が口の中で丹念に転がされていく。

「この、俺だって……!」
「あぁん……! おにぃの舌がぁ……!」

 反撃に俺も割れ目を舌でなぞり上げた。びくん、と御鍵の尻が動き、肉棒がひやりと外気に晒された。

「ちょっと待ってよ、おにぃ……今舐められちゃうと、おしゃぶりが止まっちゃう……」
「ずずっ……ちゅるっ……ずちゅるるっ……」
「っひぅ……! したっ、舌気持ち良いからぁ……やだぁ……!」

 御鍵の言葉に聞く耳持たず、割れ目からにじみ出る愛液を下品な音を立てて啜り上げる。

「もぉ、それじゃあ実力行使しちゃうんだからぁ……あむっ、ちゅばっ……! ぐっぷ、ぐっぷ……!」
「うあ……っ!」

 再びペニスに艶かしい口内の感触が届く。
 今度は容赦なく奥まで飲み込まれ、ぐっぽ、ぐっぽと御鍵が頭を上下させる音が聞こえてきた。

「ちゅばっ……ちゅぷっ……ちゅぷっ……」
「ふむぅ……っ! んふーっ! ちゅばっ、ぐぷっ、ぐぷっ……! んふーっ!」

 負けじと俺も、肉感の良い尻を掴み、ぷくりと大きくなったクリトリスにしゃぶりついた。
 淫肉の中には舌を差し入れ、抉るように動かし、また愛液を啜る。
 御鍵の荒い鼻息が股間に当たり、少しくすぐったい。

「おひんひん、おいひぃよぉ……! んぐっ、ちゅばっ……! ぐぷっ……んんっ、んふぅー! ぐっぷ、ぐっぷ……!」
「ちゅ、ずっ……! はぁ……! んむっ……ずずっ……ちゅるる……!」

 二人で口の端をべたべたにして、行儀の悪い音を立てて、小さな子供のようだ。
 そんなどうでもいいことを頭の片隅で考えながら、けれど口を休めることはせず、俺たちは二人とも相手を昂ぶらせていく。

「ぁぷぁっ……! ガマンできない……! おにぃ、オチンチンほしい……! お口じゃなくて、オマンコにオチンチン欲しいよぉ……!」

 ここで、御鍵が耐えきれないようにフェラチオを止めた。

「オチンチンちょうだい……! おにぃのオチンチンがオマンコに欲しいのぉ……!」

 身を反転させ、こちらと向き合うように俺の顔を覗き込む。

「おにぃのおっきなオチンチン、ズボズボって、濡れ濡れのオマンコに入れて――んむっ、んんっ……!」

 淫語を撒き散らして哀願する御鍵に、返事の変わりの強引な口付けをする。
 それが了解のサインだと判断した御鍵は嬉しそうにトロンと目じりを下げた。

「ぷはっ……御鍵……」
「あはぁっ……それじゃおにぃのオチンチン、私のオマンコに貰っちゃうねぇ……?」

 御鍵は四つん這いになって、俺のペニスと自分の陰部の位置を合わせた。

「ぁん……! すっごく硬くなってる……! ん、ぁっ……!」

 愛液を塗りたくるように割れ目に肉棒を擦り付け、それだけで小さな喘ぎ声を漏らす。

「ん、んんぅ……! 入って……るぅ……! おにぃの、硬くて、おっきいのぉ……!」

 膝立ちの状態から緩慢な動作で、御鍵は俺の肉棒を自分の膣内へと受け入れていった。

「んあ……っ! ぁあ……ん……っ!」

 先端が秘唇の中に入るだけで、御鍵は感極まったように小さく喘ぐ。
 そして腰をストンと落とすと、一気にペニスが膣奥まで飲み込まれた。

「んあああんっ! あはああぁぁっ……入ったぁ、全部入ったぁ……!」

 御鍵が艶やかな悲鳴を上げ、息を荒げている。入れただけで軽くイったらしい。

「御鍵の中……気持ち良いよ……!」
「私もぉ……おにぃのオチンチン、オマンコにみっちり入っててぇ……気持ち良いよぉ……!」

 熱いぬかるみの中で、新しく作られた淫汁が俺の肉棒に浴びせられた。
 肉襞は竿を奥へ引き込むように蠕動し、肉棒全体をキツイぐらいに刺激する。
 口唇愛撫で散々に刺激されていた俺も、気を抜けばすぐにでも果ててしまいそうだった。

「動くねぇ……? いっぱい動くから……もっとおにぃも、気持ち良くなってねぇ……?」

 そう宣言した御鍵が騎乗位で腰を振り始める。

「あぁ……御鍵っ……!」
「ん……あんっ……! ん……あんっ……! ん、あぁっ……! んぁ、あぁっ……!」

 最初はゆったりとした動作から、徐々にペースを早めていき、淫らに腰を動かしていった。

「あぁん……んぅ、うぅん! んんっ……あっ、あっ、あっ、あぁっ!」

 御鍵は前後左右に揺らし、回すような動作から、今度は腰をバウンドさせて、悦楽に没入していく。
 結合部は汗や愛液が撹拌され、白濁した液体を零していた。

「イィ……っ! おにぃのオチンチン、すっごくイィのぉっ……! 子宮、きゅんきゅんしちゃうぅ……!」
「くっ……! 御鍵っ……!」

 ぶるん、ぶるん、と俺の目の前で豊か乳房が震えている。
 我慢できずに俺はそのたわわな果実に手を伸ばした。

「あはぁっ! おにぃ、オッパイまでぇ……っ!」
「良いだろ、別に……っ!」
「もちろんだよぉ……! オマンコもぉ、オッパイもぉ……全部おにぃのための、ものなんだからぁ……!」

 御鍵が快感に目を細めて俺を見下ろす。
 手のひらでは到底収まりきらない大きさの巨乳を、荒々しく揉みしだいていく。
 双球のたっぷりとした重量がとても心地良い。

「きゃうっ! ちっ、チクビっ! そこはぁ……っ!」

 乳房の先にいやらしく突き出した突起を指で捻ると、御鍵はワンオクターブ高い声を上げた。

「イヤぁっ! チクビは感じちゃうからっ! 気持ち良いから、ダメっ! もっと、もっとぉっ!」

 ダメなのか良いのか、自分の言葉が支離滅裂なのも分かっていない様子だ。
 もっともっと、御鍵を乱れさせたい。あられもない姿を見ていたい。
 そう思った俺は自分からも腰を動かし、御鍵の奥を突き上げた。

「ああっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あっ! あぁっ!」

 ずんっ、ずんっ、ずんっ、ずんっと、激しい抽送を繰り出していく。

「ダメっ、おにぃ! もうイッちゃう! イッちゃうのっ! おにぃ! おにぃ!」

 御鍵は俺の猛攻に耐え切れずに、どうにか快楽から逃げ出そうと、その長く美しい黒髪を振り乱す。

「イっちゃう――イクううううぅぅぅぅッ! ああああああぁぁぁぁぁぁっ! イクううううううぅぅぅぅぅぅッ!」
「ぐっ……! 俺も出る……っ!」

 御鍵が弓なりに反り返り、絶頂を迎えた。
 強い締め付けに俺も耐え切れず、びゅくびゅくと呆気なく精液を吐き出した。

「ああぁぁっ! ああぁぁっ! ああぁぁ……っ! ああぁぁっ……っ!」

 肉棒の脈動に合わせて子宮に精液が浴びせられ、御鍵はより強く絶頂の彼方へと追いやられる。

「あはぁ……! おにぃの、ザーメン……! オマンコで、びゅびゅって……! いっぱい、出て……!」
「おっと……大丈夫か……?」
「うん……おにぃのザーメン……気持ち良かったよぉ……」

 力が抜けて倒れ込む御鍵を、俺は身を起こして受け止めて抱きしめた。
 焦点の合わない瞳をした御鍵の唇に、自分の唇を合わせていく。

「ちゅ……んむぅ……」

 意識が戻ってきた御鍵は、俺の首に両手を回し、うっとりと口付けを楽しんでいる。
 御鍵の中に納まったままの俺の肉棒は、精を放った後だというのに全く萎えることなく、硬く怒張をしたままだ。

「はぁん……おにぃのオチンチン、硬いままだねぇ……?」
「あぁ、そうだな……」

 唇を離すと、つぅ、と銀色の橋がわたり、ぷつりとそれが途切れた。
 目を合わせて笑い、ゆるゆると二人で腰の動きを再開させる。

「あん……おにぃ、もっとザーメンちょうだぁい……? 赤ちゃんできちゃうぐらい、たくさんちょうだぁい……?」

 中出しをされて一段と貪欲さを増した御鍵の蜜壺は、咀嚼するように俺の肉竿を刺激している。
 座位のままじっくりとお互いを高めあうのも良いが、俺は胸板にふにゃりとつぶれたバストをまた苛めてやりたかった。

「はむっ……あむっ……!」
「ひぁっ! オッパイ、おにぃに食べられちゃってるぅ……!」

 下から乳房を救い上げると、それを食むように口に入れる。
 舌でころころと乳首を転がし、軽く歯を突き立てたりと、刺激に緩急を加えて御鍵の魅力的な胸を堪能する。
 御鍵は背筋からぞくぞくと身体を震わせた。

「あっ、イイっ! ここ気持ちイイの、おにぃ! イィっ、イィっ、イィよぉっ!」

 練るような腰使いをしていた御鍵が、一転してある一箇所を重点的に擦り付け始めた。
 そこが御鍵の感じる場所であるらしい。

「そこが気持ち良いのか……? どんな風に感じるんだ……!?」
「あぅ! ビリビリって……! 痺れるみたいで……! イィよ、気持ちイィよぉっ!」

 意地悪くも訊く俺に、御鍵は涎を垂らして答える。

「それなら……ほらっ!」
「あぁっ! そこっ、擦っちゃダメっ! ごりごりしてっ、頭おかしくっ! おかしくなっちゃうからぁっ!」

 こちらからもその弱点を責め始め、またも御鍵は前後不覚に陥っていく。
 ベッドがギシギシと音を立て、淫臭と熱気が部屋を覆っている。

「またイクううぅぅっ! イクっ! イクっ! ああああああぁぁぁぁぁぁっ!」
「ふぐっ……くぁっ……!」

 御鍵が俺の頭をかき抱き、自分の絶頂を叫んだ。
 御鍵の谷間に顔を埋めながら、俺も更に力を込めて御鍵を攻め苛む。

「あああああぁぁぁぁぁぁっ! ダメええええぇぇぇぇっ! おにぃ、今イッてるからぁっ! 今イッてるからああああぁぁぁぁっ! ああああおああああぁぁぁぁっ!」

 御鍵が、本能だけに突き動かされたような、獣じみた咆哮を上げる。
 腰の辺りを生暖かいものが広がった。イッてる最中に尚も中をかき回されて、御鍵が潮を吹いているらしい。

「はひっ! はひっ! んひぃ! ダメっ! イキっぱなしで、オマンコ! オマンコ、壊れちゃう! 壊れちゃうよおおぉぉっ!」

 シーツは俺たちの体液でメチャクチャになってしまっているだろう。
 兄妹にあるまじき肉欲の狂乱。
 けれど、止められない。禁忌が背徳の享楽に変換され、理性が塗りつぶされていく。
 構わない。俺も御鍵も、もはや獣そのものだった。
 目の前のメスを孕ませる。ただそれだけが俺の頭の中を占領する。

「ぐぅ……っ! 御鍵っ、また……っ!」

 再度の射精感が腰の辺りに高まっていき、肉棒が膨らみ始めた。

「出してっ! 中に出してぇっ! 子宮におにぃのザーメン、いっぱいゴクゴクさせてぇっ!」

 それを察知した御鍵が、淫らな言葉で種付けを請う。
 御鍵の肉壺も、ぶしゃぶしゃと卑猥な水音を轟かせて、それを後押しする。

「あぁ、出すぞ! 御鍵、また中に出すぞっ!」

 もちろん俺も外に出すなんて考えられなかった。最後のスパートをかけて、快楽の最高潮へと上り詰めていく。

「ちょうだい、ちょうだぁい! おにぃのザーメンっ、ザーメンっ! ザーメンっ、中出しっ! 中でいっぱいいぃぃっ!」
「あぁ……っ! 出る、出る、出るぞ……っ!」
「私もっ、イクっ! イクっ! おにぃ、イクよおおおぉぉぉっ! イグううううううううううぅぅぅぅぅぅ!」

 御鍵の最奥、子宮口を渾身の力で突き上げる。
 そしてぶちまけるような勢いで、思い切り精液を迸らせた。

「ああああああああああああああああぁっ! ああっ、ああああああああああああああああああああぁぁぁぁっ!」

――びゅくっ! びゅくびゅくびゅくびゅくびゅくっ!

「イクううううううううううううぅっ! おにぃのザーメンびゅーびゅー出てるううううううううううううぅっ!」

 御鍵の身体が大きく痙攣し、絶叫が部屋中に響き渡る。

「はああああぁぁ! んあああぁぁ! まだ出てえぇっ! イグううぅぅっ! まだイッてるううぅぅっ!」

――びゅくっ! びゅくっ! びゅくっ! びゅくっ!

 俺は一滴たりとも残すまいと、子宮口にぴったりと亀頭を押し付け、精液を放っていく。

「ぁぁぁぁぁぁぁ――はひゅっ、ひゃぁっ、ぁぁっ、ぁぁぉぁっ……!」
「くぅ……うぅ……うあっ」

 長い射精が終わり、ダラリ、と御鍵の身体が弛緩した。
 俺も腰砕けになってしまい、そのまま二人で抱き合ったまま、後方へと倒れ込む。
 御鍵を貫き続けた肉棒も、流石に力を失って、中から抜けていった。

「はぁっ、はぁっ……み、御鍵……」
「ん、んん……んぁ……や、やだ……出ちゃうぅ……!」

 ぷしゃあっと、御鍵が絶頂の余韻で、またも潮を吹く。

「あはぁ……ごめんね、おにぃ……気持ち良過ぎて……お潮、止まんないぃ……あぁん……」

 恍惚とした表情で御鍵は、俺に自分の体液を浴びせ続ける。
 潮を吹き終えると、最後にドロッとした白濁液が秘唇から滴り落ちた。

「んむっ……くちゅ……んちゅぅ……」
「んんっ……んくっ……ぇあっ……あぅぁ……」

 目が合うと、どちらからともなく唇を貪り始めた。
 涙や涎でぐしゃぐしゃになった顔を、御鍵は淫靡な笑みで歪めた。

「おにぃ……すごかったよぉ……私、死んじゃうかと思ったぁ……」
「俺も、気持ちよかったよ……御鍵……」
「あはぁ……でもおにぃ、まだいけるよねぇ……?」
「あぁ……今度はどうする?」
「えへぇ、今度はねぇ……」

 あれだけ派手に達しても、俺たち二人はまだ満足をしない。
 この獣の交歓は、動けなくなるまで延々と続くのだ。

「今度は後ろからぁ……動物みたいに……私を、犯してねぇ……?」

 のろのろと御鍵は身体を翻し、尻だけを高く突き上げる格好になり、媚びた声を出す。

「いくぞ、御鍵……! 御鍵、御鍵ぃ……っ!」
「あぁんっ! おにぃ! またガチガチ! おにぃのオチンチンっ、またガチガチでっ、中削れちゃうぅっ!」

 たちまちに硬さを取り戻した肉棒を、俺は御鍵の割れ目へと突き入れ、猛然と腰を振り出すのだった。









「ねえ、おにぃ……」

 太陽の光がカーテンの隙間から差し込めてくる頃、まだ行為の余韻に陶然と浸っている御鍵が、俺の腕の中で声をかけてきた。

「どうした……?」
「私ね……幸せ。おにぃにこうやって抱いてもらえて……」

 小さな額をぐりぐりと俺に押し当て、幻影の耳を嬉しそうに動かして、御鍵は言う。

「ずっとこうなりたいと思ってたけど、こうなれるとは思ってなかった。おにぃに好きな人ができたら、私から離れて行ったらって考えるだけで、いつも涙が出てた」
「お前……」
「だからね、おにぃ……ずっと一緒にいて? 私にはもう、おにぃしかいないんだから……」

 そう……もう御鍵には俺しかいない。
 実の両親と断交し、こうして家でセックスにふけるだけで、俺以外の誰とも関わりを持とうとはしない。
 学校や、バイト先や……そういった人並みの関係を全て御鍵は捨て去っていった。
 俺だけがいれば良いと、御鍵は言ってしまった。
 御鍵の世界にはもう、俺との繋がりしか残っていないのだ。

「御鍵……」
「ん、おにぃ……」

 正直に言えば、御鍵と繋がってからずっと悩んでいた。
 御鍵とこんな関係になって良かったのか。
 御鍵の幸せを俺が奪っているんじゃないか。
 御鍵に普通の幸せを教えてあげるのが、俺のやるべきことなんじゃないか。
 そう、悩んでいた。

 けれどもう、悩むことは止めた。

「んっ……」
「んっ……」

 御鍵の身体を引き寄せ、唇に軽いキスをする。

「当たり前だろ……俺は御鍵と一緒にいるよ、何があったって」
「……うん」

 たとえ人の道から外れていようが、俺はもうどこまでも御鍵と一緒にいると決めた。
 御鍵が俺に向ける愛情は、間違っているかもしれないけれど、疑いようのない本物なのだから。
 だから俺は、本気でその愛情に応える。
 家族でも、恋人でも、夫婦でも……形なんてもう、どうだって良い。
 ただ俺は、御鍵と一緒にいる。
 心の底から、精一杯、御鍵を愛する。

「むしろこれで御鍵が俺から離れたら、俺もう生きていけないんだけど」
「絶対離れないよ、もぅ……おにぃってば」

 苦笑して御鍵の頭を撫でると、くすぐったそうに御鍵は笑い、その頭頂部の狐耳を指差した。

「これがおにぃと私を繋いでくれるから……もうず〜っと、おにぃから離れないよ」
「ホントだな? 嘘吐かない? 嘘だったらおにぃ泣いちゃうぞ?」
「ホントのホントにホント! だから安心してね、おにぃ」

 おどける俺に、御鍵がちょんと可愛らしくキスをする。

「ちょっと眠ろっか……お休み、おにぃ……」
「お休み……御鍵」

 最後に小さな微笑を向けると、御鍵はゆっくりと瞼を落としていった。
 その様子を見届けてから、俺も次第に深い眠りへと落ちていく。

 御鍵……お前には、俺がいる。
 誰がいなくなったとしても、俺だけは御鍵の傍に居続ける。
 御鍵のいる世界は小さくて、狭くて……歪んでいるかもしれない。
 それでも俺がいる。
 お前の世界で、お前が幸せでいられるように、俺はお前と一緒にいる。
 どんなことがあっても、その幸せを守り続けてやる。
 だから、安心してくれ。ずっと、ここで……。

 妹には――御鍵には、俺が付いている。
17/03/17 00:40更新 / まわりの客
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■作者メッセージ
好きなものを載せて良いなら、やっぱりこれは載せておきたい。
書いてるときには苦しかったけど、とても良い経験をくれた作品だから。

だけど、何がダメだったんだろう。
読み直してると涙が滲む。これを書いてる今も涙が滲んでる。
胸が苦しくなる。嫌な感情がふつふつ湧いてくる。
もっと良い作品に直してあげたかった。もっと良い形で投稿してあげたかった。
だけど、してあげられない。どうしてあげたら良いのか分からないから。

逃げて、隠して、ごめん。ごめんよ……。

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