連載小説
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夏休み フィロップは…
私はフィロップ。拓斗さまに仕えているメイドです。
今は久しぶりの帰省を楽しんでおります。

「あら〜、フィロップじゃない」
「お母さま」

お母さまはやけににやにやとした顔でこちらを見ている。

「あらあら〜、まだ自分の気持ちに気が付いてないのね〜」
「それはどういうことですか?」
「拓斗君への気持ちですよ〜」

拓斗さまへの気持ちって…そりゃあ…

「魅力的な方ですが…」
「それだけじゃないはずよぉ、斗君の事好きなんでしょ」
「そ、そんなこと!!ない…はずです…」

言い切れない、正直最近拓斗さまを見ていると妙にドキドキし出すようになってきましたし…

「早く唾付けておかないと取られちゃうわよ」

拓斗さまが他の女の子と一緒に…

『んっ…気持ちいい』
『私も気持ちいよ♡拓斗君♡』

「嫌ですぅぅ!!」
「じゃあ簡単よ。拓斗君を意識させればいいのよ」
「急にそんなこと言われても…」
「すぐにアタックするわけじゃのよ。今は少しフィロップの事を女として見る様子すればいいのよ。ちょっと耳貸して」

お母様に言われた事を、実践することにします。
善は急げという事ですぐにお茶の準備を終え、拓斗さまを呼びに行くことに。

「拓斗さま、私です」
「フィロップさん?どうぞ」
「失礼します、拓斗さま」
「どうかしたの?」
「お庭でお茶でも飲みませんか?」

ここで断られたら作戦が水の泡…

「いいですね」
「では、こちらに」

やった!!第一段階突破!!

一緒にただ廊下を歩いいているだけのこの時間でさえ自分の気持ちに気が付いた今はいとおしく感じる。

お庭に出て用意していたテーブルのところへ案内する。

「さ、準備は出来ております」

ティーカップにお茶を注ぐ

「それじゃあ早速いただきます」
「どうでしょうか?ここでよく飲まれていいるお茶です」
「美味しいです」
「それは良かったです」

拓斗さま、やはり私は拓斗さまの事が…

「フィロップさん」
「なんでしょうか?」
「何かありました?文化祭位から様子がおかしいっているか…」
「そうでしょうか?私はいつも通りですが?」

無意識にじろじろ見すぎたでしょうか?でも拓斗さまの事をもう少し見たいです…

「拓斗さま…もう少し…」
「どうかしました?」
「もう少し飲みませんか?」
「いいですけど…」

ついつい言葉に出てしまいました…

「やっぱりおかしいですよフィロップさん。何かあったら…」

ここですね、第2段階。拓斗さまの口を口で…口で…

「まだ秘密です♡」
「それでは、私はこれで。拓斗さまはごゆっくり」

結局口でするなんてできませんでした…指でできましたし結果オーライですかね…?

緊張でドキドキ、あるいは拓斗さまに対してか。とにかく鼓動を止めるために深呼吸をしたが。

鼻を通ったのは、拓斗さまのにおいでした。
23/05/20 00:20更新 / photon
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