連載小説
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文化祭 シフトと夜
「それじゃ、頑張れよタクト」
「うん、それじゃ2時間後に」
「それでは行きましょうかアル君」

2人を見送る、熱々カップルだねぇ羨ましい。

さて俺、音街拓斗はこれからシフトがたんまり入っているし頑張らなくては。

「さてと…とりあえずまずは2時間、お昼までか…」

結構な大仕事だが頑張るしかない。

2時間後

「ふ〜意外と疲れたな、さーご飯ご飯」
「拓斗さま〜」
「フィロップさん!?」
「ご飯忘れていたのでついでに遊びに来ました」

そう言うとフィロップさんはご飯を包んだ布巾を手渡してく。

「なら午後はあんまりシフトは言ってないし一緒に回りますか?」
「それじゃあ案内お願いしようかしら」

俺はお弁当、フィロップさんは出店で買っただろう焼きそばを食べ、遊びに出かける。

「どこ見ます?色々やってますけど」
「そうですね…やっぱり色々食べたいです」
「じゃあ…たこ焼きとかどうですか?」
「食べます!!」

その後俺たちはたこ焼きに綿あめ、カリカリパスタなど色々な物を食べた。個人的にはたこ焼きが一番おいしかったな。

「美味しかったですね」
「そうですね、そう言えばシフトは良いんですか?」
「はい、後は夜だけですんで」
「そうなんですね」

しかし今日は人も多いがカップルも多い。そういう空気なのだろうか。

「今日はありがとうございます」
「え!?」
「一緒に回ってくれて」
「そんな…私はそんな大層な事をしてはおりません」

どことなくぎこちない雰囲気が彼らの周りを漂う。

「そろそろ、準備しなきゃなんで、行きます」
「演奏、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます」

フィロップさんと離れるとなぜだか頭にフィロップさんばかり浮かんでくる。意識しているのだろうか…

うんぅ、大丈夫、演奏をすれば、きっと思考もクリアになるだろう。

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何故でしょうか、拓斗さまが離れていくのがどうしてか嫌に感じてしまいます。今まではそんなこと無かったのに…いや、きっとこれは…

恋の魔力の影響でしょう。

ここは魔物の通う学園、しかも学園祭ときたらありとあらゆるところで恋、恋、恋、今日だけで何百ものカップルが成立したでしょう。

その浮かれた魔力が作用しているのでしょうね、まさか拓人さまを意識しそうになるとは…浮かれすぎもいけませんね…

しかし…拓人さまもカッコいいし…手を出すのも…

いや、ダメです、落ち着くのですフィロップ。でも…

「今日の拓斗さまは…どこかかっこよかったなぁ」

そんな事を考えているとまた拓斗さまが走ってやってきました。

「よかった、まだここに居てくれた」
「どうかなさったんですか?」
「よかったらカフェに誘ったらってアルバスから。そう言えば俺に組の出店は行ってなかったったなって思って」

拓人さまは私の手をぎゅっと握ると走り出す。今の状況にそんなことされると頭に血が上って胸がギューっとなります。

「さ、ここ。入って」
「拓斗しゃま…///はいぃ…///」

その日、私は出された紅茶の味を、よく覚えておりません。

「おーい、フィロップさーん?」
「ひゃ、ひゃい!!」
「大丈夫ですか?ボーっとしてますけど」
「だ、大丈夫です。それでは、お夕飯の準備をしなきゃなので…」
「あーその事なんだけど…」

拓人さまはものすごく申し訳なさそうに話す。

「今日は打ち上げがあるからいらないかも…」
「そうなんですね、わかりました」
「それでは、私はこれで」

どこかモヤモヤする心を引きずって私はお家へ帰りました。

「この時間、いつもだったら拓人さまが元気よく帰ってくる頃ですよね…」

私がこの気持ちの正体に気づくのは、もう少し先
23/04/07 09:10更新 / photon
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■作者メッセージ
こんばんは、photonです。

次からは夏休み編です

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