あなたの為に歌うアリア 前編
「あなたにお願いがあるの」
「俺にですか?」
急に話しかけてきたのはアリア・シュミットさん。アルバス君の幼馴染だ
「えぇ、あなた最近私のアルバス様と親しそうですから」
確かにアルバス君と一緒にピアノを弾いてはいるけど、それより…
「私のって…」
「勿論です、私は昔からアルバス様と結婚の約束をしているんですから」
あぁ…これは面倒事に巻き込まれた気がするなぁ…
「えっと。それで俺に何を頼もうと?」
「そうね、話が逸れてしまいましたね。結論から言いますとアルバス様が私の事を今どう思っているかを知りたいです」
「それ位大丈夫ですよ」
まぁそれ位良いか、一応彼にはこの事は隠しておこう
「本当ですか?ありがとうございます」
「おーう、戻ったぜタクト」
「ア、アアアアアアルバス様、こっここんにちは」
訂正、やっぱりめんどくさい事に巻き込まれたかもしれない
「おいおい、昔みたいにアル君って呼んでくれないのか?」
「アアッアル…バス様」ピュー
「行っちまった…」
がっくりと項垂れるアルバス君、その背中は哀愁が漂っている。まだ15歳なのに
「なぁタクト…どうしたらあいつと仲直りできると思う?」
「お互い話し合える環境を整備するところからだと思う」
「そうしてる内にもあいつが他の奴に取られてたらどうしよう…」
こっちもめんどくさいパターンかぁ… 本格的に面倒ごとに巻き込まれた。
「そもそもアルバス君はアリアさんとどうなりたいの?」
「付き合いたい、勿論結婚もしたい」
「それはもう仲直りしたい以上の問題なんよ」
そこからアルバス君のアリアさんへの思いをぶちまけられた
「で、その事をアリアさんに直接言えば解決だと思うよ」
「そうは言ってもあいつ俺から逃げるんだよ…嫌われるよなことしてないのに…」
似たもの同士かよ、結婚しろ
「案外好いててくれてるんじゃない?」
「魔物娘が好きな人を襲わないは無いだろ」
確かに…でもアリアさんは確実にアルバス君に好意を抱いてたしなぁ… 放課後に聞いてみるか
〜放課後〜
各々がレッスンだったりショッピングエリアへ遊びに行こうと帰り支度をしている。アリアさんは真面目にも復習をしていた。
「アリアさん、今いいですか?」
「早速聞いてきてくれたのかしら?」
「はい。彼気にしてましたよ、すぐ逃げちゃう事」
アリアさんは顔を真っ赤にする
「だって…アルバス様がかっこよすぎて…」
確かにアルバス君は男の俺から見てもカッコいい
「それに、私はまだアルバス様の隣にはふさわしくありませんし…」
「それはどういう事ですか?」
「私はまだアルバス様の隣にふさわしい実力を持っておりません」
本気で言っているのだろうか? アリアさんは十分上手い、このムジーカ学園の音楽特待生の一人に選ばれているから実力は折り紙付きのはずが
「そうは言ってもアリアさんの実力はかなりの物だと思いますよ」
「ふふっ、あなたみたいな本物の天才に褒められるとは嬉しいわ。でもまだなの、私はまだ何もなしえてないわ。アルバス様のように」
そこから長かった。アルバス君の実力、今まで取ったコンテストの事、アリアさんの実力、良くて準優勝止まりだったことなどを話された。
余談だがアリアさんが準優勝を取ったコンテストはかなり大きなコンテストで十分名誉な事だった。
「よくわかってくれたかしら?」
「はい、わかりました」
人気が少なくなった教室に人が入ってくる。アルバス君だ
「おーいタクト、遅かったから迎えに来たぞ…って、アリア!!」
「アルバス様っ/////」ピュー
「待ってくれアリア、お前に話が…」
再び逃げてしまうアリアさん。
「はぁ〜、また行っちまった…」
「彼女にもいろいろあるんだよ…」
「だといいんだがな…」
アルバス君はかなりがっかりしてる、これは早急に二人をくっつけなければ
「タクト…俺はまだ駄目なのかな…」
「まだ?」
「あぁ、まだ話してなかったな」
俺はアルバス君の話を聞く。どうやら昔もっと上手くなってなった時
要約すると昔、アルバス君とアリアさんは結婚の約束をした時。上手くなったら付き合うと約束した事。なので今まで血を吐くほどの努力をした事などを話してもらった
ん? それって…
「その約束って、アルバス君が上手くなったらって事?」
「そのはずだが、それがどうした?」
嫌な予感がする
「ねぇ、アリアさんがその上手くなったらの解釈をアルバス君じゃなくてアリアさん自身が上手くなったらだったら…」
「それは無いだろ、あいつ自身かなり上手くなったし、自分で言うのもなんだが俺もかなり上手いぞ」
「アルバス君が上手くなったのを気にしてるんじゃないかな?」
俺はアリアさんから聞いたことを話す
「そうか…アリアがそう思っていたなんて…」
「アルバス君は悪くなかったんだったし、しっかし1つ引っかかる」
「どうした?」
「なんでアリアさんは逃げるんだろうと思って」
そう、この話はお互いの認識のズレが起こした勘違いだ。ならなぜアリアさんは逃げるのだろう。逃げる必要は無いのだが。
「俺もそれは気になっていた」
「逃げら荒れるようになったのはいつくらいからなの?」
「大体俺13の時くらいから逃げられるようになったな」
そうか…それだけじゃよくわかんないな…
「アリアさんに直接聞いてみよう」
「頼めるか?俺が居たらまた逃げられるだろうし」
「うん」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
歌はやっぱりいい、言えないような事もなんでも表現できる。でもまだ足りない、もっと上手く、もっと上手になってアルバス様の隣に立つにふさわしい歌声に…
「ハァ、ハァ、アリ…ア…さん」
「拓斗さん!?大丈夫ですか?」
「は…い、大丈…夫…です」
「誰どう見ても大丈夫じゃないでしょう。はいこれ、まだ手を付けてませんから飲んでください」
アリアさんは俺に水を手渡してくれる。大丈夫と入ったが本当はもうヘロヘロ、ありがたく水を貰う。
「助かりました」
「大丈夫よ、それよりそんなになるくらい私を探すって事は何かあったのかしら?」
「はい、その事です」
俺はさっきの事をアリアさんに話す
「そうなのね…私は思い違いをしてただけなのね…」
「そうですね、だからこれからは逃げる必要は無いですね」
「それは…」
口ごもるアリアさん、まだなにかあるのだろうか
「実は…逃げちゃうのは…アルバス様がかっこよすぎて…」
「はぁ…まぁ確かにかっこいいけども」
「昔のような距離感で近づいてくるのも問題な気がします」
アルバス君側に問題があるように感じてきたな…
「アリアさんの事が大好き故にそうなってるんだろうなぁ」
「何とかできないものでしょうか…」
「歌で好きを表現するとか?」
彼女の表情に影が落ちる
「彼を前にして上手に歌えるか…」
「アリアさんなら歌えるよ。この前も物凄い上手く歌ってたから」
「あなたが言ってくれるなら心強いわ」
どうやら自身を取り戻してくれたみたいだ
「そうと決まれば練習あるのみですね。アリアさんは何を専門に歌っていますか?」
「独唱曲よ、別に他の曲も歌えはするわ」
「そうですか、じゃあ『恋とはどんなものかしら』とかはどうですか?」
歌劇『フィガロの結婚』の劇中歌。彼女のソプラノボイスにもあっているはずだ。
「いいわね、それで行きましょう。でもどこで彼に歌いましょうか…」
「イベントスケジュール的にゴールデンウィーク明けのコンテストですね。それは課題曲+自由曲なので」
「わかったわ」
後編へ続く
「俺にですか?」
急に話しかけてきたのはアリア・シュミットさん。アルバス君の幼馴染だ
「えぇ、あなた最近私のアルバス様と親しそうですから」
確かにアルバス君と一緒にピアノを弾いてはいるけど、それより…
「私のって…」
「勿論です、私は昔からアルバス様と結婚の約束をしているんですから」
あぁ…これは面倒事に巻き込まれた気がするなぁ…
「えっと。それで俺に何を頼もうと?」
「そうね、話が逸れてしまいましたね。結論から言いますとアルバス様が私の事を今どう思っているかを知りたいです」
「それ位大丈夫ですよ」
まぁそれ位良いか、一応彼にはこの事は隠しておこう
「本当ですか?ありがとうございます」
「おーう、戻ったぜタクト」
「ア、アアアアアアルバス様、こっここんにちは」
訂正、やっぱりめんどくさい事に巻き込まれたかもしれない
「おいおい、昔みたいにアル君って呼んでくれないのか?」
「アアッアル…バス様」ピュー
「行っちまった…」
がっくりと項垂れるアルバス君、その背中は哀愁が漂っている。まだ15歳なのに
「なぁタクト…どうしたらあいつと仲直りできると思う?」
「お互い話し合える環境を整備するところからだと思う」
「そうしてる内にもあいつが他の奴に取られてたらどうしよう…」
こっちもめんどくさいパターンかぁ… 本格的に面倒ごとに巻き込まれた。
「そもそもアルバス君はアリアさんとどうなりたいの?」
「付き合いたい、勿論結婚もしたい」
「それはもう仲直りしたい以上の問題なんよ」
そこからアルバス君のアリアさんへの思いをぶちまけられた
「で、その事をアリアさんに直接言えば解決だと思うよ」
「そうは言ってもあいつ俺から逃げるんだよ…嫌われるよなことしてないのに…」
似たもの同士かよ、結婚しろ
「案外好いててくれてるんじゃない?」
「魔物娘が好きな人を襲わないは無いだろ」
確かに…でもアリアさんは確実にアルバス君に好意を抱いてたしなぁ… 放課後に聞いてみるか
〜放課後〜
各々がレッスンだったりショッピングエリアへ遊びに行こうと帰り支度をしている。アリアさんは真面目にも復習をしていた。
「アリアさん、今いいですか?」
「早速聞いてきてくれたのかしら?」
「はい。彼気にしてましたよ、すぐ逃げちゃう事」
アリアさんは顔を真っ赤にする
「だって…アルバス様がかっこよすぎて…」
確かにアルバス君は男の俺から見てもカッコいい
「それに、私はまだアルバス様の隣にはふさわしくありませんし…」
「それはどういう事ですか?」
「私はまだアルバス様の隣にふさわしい実力を持っておりません」
本気で言っているのだろうか? アリアさんは十分上手い、このムジーカ学園の音楽特待生の一人に選ばれているから実力は折り紙付きのはずが
「そうは言ってもアリアさんの実力はかなりの物だと思いますよ」
「ふふっ、あなたみたいな本物の天才に褒められるとは嬉しいわ。でもまだなの、私はまだ何もなしえてないわ。アルバス様のように」
そこから長かった。アルバス君の実力、今まで取ったコンテストの事、アリアさんの実力、良くて準優勝止まりだったことなどを話された。
余談だがアリアさんが準優勝を取ったコンテストはかなり大きなコンテストで十分名誉な事だった。
「よくわかってくれたかしら?」
「はい、わかりました」
人気が少なくなった教室に人が入ってくる。アルバス君だ
「おーいタクト、遅かったから迎えに来たぞ…って、アリア!!」
「アルバス様っ/////」ピュー
「待ってくれアリア、お前に話が…」
再び逃げてしまうアリアさん。
「はぁ〜、また行っちまった…」
「彼女にもいろいろあるんだよ…」
「だといいんだがな…」
アルバス君はかなりがっかりしてる、これは早急に二人をくっつけなければ
「タクト…俺はまだ駄目なのかな…」
「まだ?」
「あぁ、まだ話してなかったな」
俺はアルバス君の話を聞く。どうやら昔もっと上手くなってなった時
要約すると昔、アルバス君とアリアさんは結婚の約束をした時。上手くなったら付き合うと約束した事。なので今まで血を吐くほどの努力をした事などを話してもらった
ん? それって…
「その約束って、アルバス君が上手くなったらって事?」
「そのはずだが、それがどうした?」
嫌な予感がする
「ねぇ、アリアさんがその上手くなったらの解釈をアルバス君じゃなくてアリアさん自身が上手くなったらだったら…」
「それは無いだろ、あいつ自身かなり上手くなったし、自分で言うのもなんだが俺もかなり上手いぞ」
「アルバス君が上手くなったのを気にしてるんじゃないかな?」
俺はアリアさんから聞いたことを話す
「そうか…アリアがそう思っていたなんて…」
「アルバス君は悪くなかったんだったし、しっかし1つ引っかかる」
「どうした?」
「なんでアリアさんは逃げるんだろうと思って」
そう、この話はお互いの認識のズレが起こした勘違いだ。ならなぜアリアさんは逃げるのだろう。逃げる必要は無いのだが。
「俺もそれは気になっていた」
「逃げら荒れるようになったのはいつくらいからなの?」
「大体俺13の時くらいから逃げられるようになったな」
そうか…それだけじゃよくわかんないな…
「アリアさんに直接聞いてみよう」
「頼めるか?俺が居たらまた逃げられるだろうし」
「うん」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
歌はやっぱりいい、言えないような事もなんでも表現できる。でもまだ足りない、もっと上手く、もっと上手になってアルバス様の隣に立つにふさわしい歌声に…
「ハァ、ハァ、アリ…ア…さん」
「拓斗さん!?大丈夫ですか?」
「は…い、大丈…夫…です」
「誰どう見ても大丈夫じゃないでしょう。はいこれ、まだ手を付けてませんから飲んでください」
アリアさんは俺に水を手渡してくれる。大丈夫と入ったが本当はもうヘロヘロ、ありがたく水を貰う。
「助かりました」
「大丈夫よ、それよりそんなになるくらい私を探すって事は何かあったのかしら?」
「はい、その事です」
俺はさっきの事をアリアさんに話す
「そうなのね…私は思い違いをしてただけなのね…」
「そうですね、だからこれからは逃げる必要は無いですね」
「それは…」
口ごもるアリアさん、まだなにかあるのだろうか
「実は…逃げちゃうのは…アルバス様がかっこよすぎて…」
「はぁ…まぁ確かにかっこいいけども」
「昔のような距離感で近づいてくるのも問題な気がします」
アルバス君側に問題があるように感じてきたな…
「アリアさんの事が大好き故にそうなってるんだろうなぁ」
「何とかできないものでしょうか…」
「歌で好きを表現するとか?」
彼女の表情に影が落ちる
「彼を前にして上手に歌えるか…」
「アリアさんなら歌えるよ。この前も物凄い上手く歌ってたから」
「あなたが言ってくれるなら心強いわ」
どうやら自身を取り戻してくれたみたいだ
「そうと決まれば練習あるのみですね。アリアさんは何を専門に歌っていますか?」
「独唱曲よ、別に他の曲も歌えはするわ」
「そうですか、じゃあ『恋とはどんなものかしら』とかはどうですか?」
歌劇『フィガロの結婚』の劇中歌。彼女のソプラノボイスにもあっているはずだ。
「いいわね、それで行きましょう。でもどこで彼に歌いましょうか…」
「イベントスケジュール的にゴールデンウィーク明けのコンテストですね。それは課題曲+自由曲なので」
「わかったわ」
後編へ続く
22/11/18 05:03更新 / photon
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