連載小説
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後編
エドはベッドの上で苦しんでいた
血まみれの服は脱がされて、全裸の状態だ。戦場でついた古傷の跡が痛々しい。
医者のおかげで、背中の焼けつくような熱さは消え、肩のずきりと来る激痛も治まっていた。
それなのに、胸の中心にぽっかりと穴があいたような、途方もない喪失感が続いている。
先ほど、それを埋めてくれるぬくもりが布団の中に入ってくるのを感じたが、形の違うパズルのピースを無理やりはめられるような、強烈な異質感が恐ろしくて無意識に暴れてしまったのを覚えている。
それからずっと、苦しみは取れないままだった。
ごそごそと音がする。そしてまた、ぬくもりが布団の中に入ってくるのを感じる。
恐ろしかった。またあの異質感を感じるのが、あまりにも恐ろしい。
しかし、そのぬくもりからは異質感を感じず、むしろ今まで求めていた温かさと共に、エドの胸に入り込んできた。
「エド」
聞き間違えるはずがない声。
薄暗い布団の中で目を開けると、ミールの顔があった。
サバトの一員らしい、幼さを残した顔。だがその幼い顔の裏に、自分の人生よりも長い経験が刻まれていることをエドは知っている。
そして、ミールもまた全裸だった。
照れているのか、赤みのさした表情が新鮮だった。
「先輩……」
「ケガ、大丈夫?」
「大丈夫です。心配かけてすみません」
「よかった」
ミールは安心したように微笑む。その安心しきった表情も、今のエドにとっては愛おしくてたまらない。
そこで、エドはある事に気づく。
「先輩、なんでここに居るんです?しかも服まで脱いで」
「あの、エドのケガを完全に治すには、エドと他の誰かの魔力を循環させなきゃならなくて、看護婦さんがそうしようとしたら、エドが暴れたって言うから……」
そうか、さっきの異質感はその看護婦さんの魔力だったのか。後で謝らないと。と、エドは申し訳ない気持ちになった。
「それで、魔力を循環させるって、どうやるんです?」
「こうやって、裸で添い寝するだけでもいいんだけど、き、キスとか、せ、セックスとか、するといいみたいだけどそのあの……」
ミールが恥ずかしそうに言った。それを聴いただけで、エドの中の欲望が膨れ上がっていく。
「先輩」
「な、なに……んっ!?」
エドはミールの顔を引き寄せて、唇を合わせた。ミールの魔力が流れ込んでくるのが心地よい。
不意うちに驚いたのか、ミールは手足をばたつかせて抵抗するが、それを押さえるように抱きしめる。
力づくのようで後ろめたいが、今は何よりもミールのことが欲しくて仕方ない。
啄むようなキスだけでは足らず、口に舌を入れてミールの唾液を貪る。
甘い。砂糖よりもずっと甘く、喉を通ればスッと体の中に染みいるような暖かい甘さ。
いくらでも飲んでいたい、と思いながら唾液を貪っていると、腕の中でミールの身体が何度も跳ねる。
苦しげな呼吸を口の中で感じて、エドはミールの口を離す。
銀色の橋が互いの口で架かるくらい、口の中がぐちゃぐちゃになっていた。
「エド……」
ミールが呼吸を荒げながら、エドを呼ぶ。
「先輩、すみません。抑えられなくて」
「エド……ココ触ってよ。もう我慢できないよ」
ぐちゃぐちゃと、下半身のほうで水音が鳴った。
エドがそこに手を伸ばすと、ミールの小さい手に触れた。そして、ミールの股間から溢れる液体にも。
「先輩、これ……!?」
「エドのせいだもん……エドがこんなに近くにいるだけでおかしくなりそうなのに、こんなにエッチなキスをして……ほら、触ってよ」
ミールの手がエドの手を掴み、股間へと導く。
「んっ、ああっ……」
中指で軽く触れただけで、ミールが喘ぐ。とくとくと脈を打つ蜜壺に指を入れると、獲物に食らいつくように中のひだが指にからみついては、奥へ奥へと誘っていく。
ひだの一つ一つが意志を持つように、エドの指をきゅうきゅうと締め上げ、なぶり回し、搾り取るような動きでしごきあげる。
それを、とろけるように柔らかくて暖かい部分でされるものだから、エドはここに自分のペニスを入れたらどうなるか考えてしまい、興奮で背筋がぶるりと震えた。
「ふふ……何考えてたのかな……」
何でもお見通しと、ミールの手がエドの股間に伸びる。
今までに無いくらい、固く、大きくそそり立ったペニスにミールの小さな手が触れる。
ぴとっ、とペニスの先端がミールの腹に当たった。
「こんなにおっきくして。胸まで貫いちゃうんじゃない?」
「それは言い過ぎ……!?」
ミールの手がさわさわと亀頭を撫で、痺れるような快感で言葉を失う。
ミールの蜜壺に負けないくらいの勢いでペニスの先から湧き出る透明な汁で手のひらを濡らし、陰茎を優しくしごきあげてくる。
エドも指を動かし、二人は互いに性器をさわりっこする格好になる。
じゅぷじゅぷという淫らな水音と、ぐぐもった喘ぎ声が病室に響く。
エドが指を動かすと、ミールはびくんびくんと身体を震わせ、ペニスのしごきを更に激しくしてくる。
「先輩……もう、出ます……」
「だーめ」
射精する一歩手前で、ミールは突然に手の動きを止めた。
ペニスがびくびくと震えながら、透明な汁で無念の涙を流す。
「なんで……先輩だけ、ずるい……」
「泣きそうな声を出さないでよ。もう、かわいいなあ」
ミールはエドの首に手を回すと、抱きかかえるように引き寄せた。
顔が胸に当たる。ほとんど膨らみが無いのに、そこには確かな柔らかさがある。
耳を当てると、とくんとくんとミールの心音が聞こえてきた。
「なんか」
「うん?」
「なんか……とても落ち着きます。先輩がいるんだなって」
目から涙が流れ出る。こんなに近くでミールを感じることが、こんなに幸せだとは思わなかった。
「泣かないで。ほら、こっちで慰めてあげるから」
ミールの手がペニスを蜜壺に導く。ちゅっ、と先端が入り口にくっついてキスをする。
「先輩、無理しないで……」
「エド」
ミールの瞳が、エドの視線を掴む。
「大好きだよ」
ぐにゅり、と蜜壺が押し広げられ、渇いた獣の性器がペニスを飲み込んでいく。
頭一つ以上も違う体格なのに、苦も無くペニスを飲み込んでいく様は、まさに魔性としか言いようがない。
獣の体内に迎えられた剛直は、処女膜を貫きながらずぶずぶと子宮めがけて柔肉を分け入っていく。
こつんと、一番奥に当たったにも関わらず、獣の穴は貪欲に、さらにペニスを飲み込んでいく。
「んっ!?はあ……」
大きく息を吐きながら、ミールの蜜壺はペニスの根元まで呑みこんでみせた。
「えへへ……全部入った……」
にへらと笑うミールの顔は、処女の痛みを全く感じさせず、抑えきれない喜びに満ちていた。
「先輩、痛くないですか……?」
エドは頭の中でパチパチと火花が散るような強烈な快感に耐えながら、気遣うように聞いた。
「ぜんぜん。ほら、これ見て」
ミールの腹を見ると、エドのペニスがぽっこりと浮かび上がっている。
「ふふ、本当におっきい……」
ミールがぽっこりと膨らんだところを撫でると、エドのペニスがびくんびくんと跳ねる。更に、ミールは腰を小刻みに動かして、ペニスを責め立てたてる。
獣の蜜壺は蠢く。早く精子を出せ。早く飲ませろ。と。
「我慢しないで。全部ちょうだい。今まで溜めてきたもの、全部」
ミールがきゅっと締め上げた瞬間、エドは頭が真っ白になるくらい射精した。
どぷどぷと放たれた精液を、ミールの膣が貪欲に飲み干していく。
精補給剤のまがい物とは比べようもないくらい、純粋で強い精気を味わいながら、さらに求めるようにひだがペニスをしゃぶりつくす。
「んんっ!エドの精子、とってもおいしい……」
「先輩……!」
エドは射精直後の魂が抜けるような脱力感を味わう。
搾りつくされる……そう思った瞬間、ミールの身体から発せられた熱がエドに伝わってきて、体中を満たしていく。
熱を失ったペニスも生気を取り戻し、蜜壺の快感がさらに強くなって蘇る。
「先輩……これ……」
「だいじょーぶ。きちんと返してあげるから。エドが出した精子を、大きな魔力にしてエドに返して、それからまた、エドが私の中に出して……ふふ、永久機関だね。だから全部ちょうだい。もっと大きくして返すから」
ミールはエドに上乗りになり、激しい腰使いでペニスをしごきあげる。
「先輩……!先輩!」
エドはそれに合わせて腰を突き上げる。ぐちゃぐちゃと互いの生気を擦り合う音が響く。
ミールの獣の本能と、エドの男の本能がぶつかり合って、桃色の火花を散らす。二人はただの獣になり、互いを貪り合う。
「んっ!じゅぱ、じゅっ、んんっ!」
キスはディープを通り越して、水分の貪り合いになり、互いの潤んだ目が重なるとさらに情欲が燃え上がる。
「じゅる!じゅっ!じゅるる!」
「やっ!乳首!そんな吸っちゃダメ!」
ぴんと立ったきれいなピンク色の乳首を、片方は指でつまみ、もう片方は口でしゃぶりつく。
甘い、柔らかい、愛おしい。ミールの身体の全てがエドにとっての極上の媚薬になっている。
「んあっ、好きい!エド!エドォ!!!」
「先輩!好きだ!先輩!先輩!!!」
蜜壺がペニスをしごきあげる速さはさらに増し、お互いの本能が導くままラストスパートに入る。
涎を垂らし、視線が重なり、燃え上がる熱で一体となった二匹の獣は、抱き合った状態で同時に絶頂した。
「んあああああああああ!!!」
「ああああああああああ!!!」
ドクッ、ドクッ、と濃厚な精子が子宮に飲み干されるのを感じながら、エドは胸の上で恍惚に浸るミールを見る。
身体と同じくらいはある大きな尻尾の先まで震わせながら、ミールは快感の渦に呑まれていた。
目を見開き、涎まみれのその顔は、獲物を貪る獣そのものだ。
ミールを抱きしめてころんと横に転がると、今度はエドが上になる。大きな尻尾がクッションになる形だ。
魔力がさらに大きくなってミールの中から流れてきては、ペニスの硬さを蘇らせる。
「あは……!まだヤるんだ……」
そう言うミールの目は、期待に満ちている。
「当然。ぶっ壊れるまでやりますよ」
「無理だよ。エドは私を壊せない」
ミールはエドの頭を抱き寄せて、額にキスをする。
それから、耳元で甘く呟いた。
「ずっと大事にしてくれるんでしょ?」
「……っ!先輩!」
「あはあ!深い!いいよお!もっともっと突いて!」
この後もエドとミールは止まることなく七日間にわたってセックスを続け、八日目の朝にアルラによって強制的にストップがかかるまで、繋がりっぱなしでヤり続けたのだった。



「うーん……」
ミールは自分の作業机に向かっている。
しかめっ面で睨んでいるのは、『マジカル☆バフォメットちゃん Another☆storyアンソロジー』の原稿だ。
「先輩、まだ悩んでるんですか」
横から声をかけたのはエドだ。両手に湯気の立つコーヒーが入ったマグカップを持っている。
「いやー、ラストの所が中々決まらなくてね」
「そういうのって、最初に決めとくもんじゃないんですか」
エドはコーヒーをすすりながら、もう片方のマグカップを作業机に置いた。
「ありがと。そうなんだけどさあ、なんか筆が走っちゃったというか……」
「それ飲んだら寝て下さいよ。もう夜も遅いですし」
「んー、これを飲むよりも」
ミールは尻尾を器用に動かして、逃がさないから、とエドの身体に巻き付かせた。
するすると伸びた手が、エドの股間に触れる。
「こっちがいいかなって」
「せっかく淹れたのに、冷めますよ」
「冷めてもきちんと飲むから。ね?」
「まったく……」
エドはカップを置くと、ミールを抱え上げた。
「好きだねえ、これ」
ミールは尻尾を巻き付かせたまま、楽しそうに笑う。
「先輩のせいですよ。机で寝落ちしてる先輩をいつも運んでるの、俺なんですから」
「ふふ、知ってるよ。いつもありがと」
ミールはエドの首に腕を回して、頬にキスをする。
「今日はゆっくりしよっか」
「そう言って、最後にはへとへとになるくらい激しくなるじゃないですか」
「嫌い?」
「そうは言ってないでしょう」
エドはミールの部屋に向けて歩き出す。
腕の中で甘えるように丸くなるミールを見る。この小さな体がベッドの上でどれだけ乱れるか想像して、むくむくと股間を膨らませる。
背徳のサバトの夜は、まだまだ始まったばかりだ。




20/05/24 08:00更新 / KSニンジャ
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■作者メッセージ
初投稿です。読んでくださりありがとうございました。
楽しんで頂けたら幸いです。ラタトスクの肩と太ももは国宝。

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