私の居場所
「『王』を……なくすだと!?」
ジュードの提案を聴いたナヌタビアは案の定驚愕した。
毒の効力が復活し行為に夢中だったナヌタビアを引っ張り出し、最初に言ったのが「この国から『王』をなくす」である。それは確かに驚くだろう。
「汝は王が居なくなると言う事がどの様な事か分かっておると言っていただろう!?どういう事だ!?」
「正確には、王の『実権』をなくすんです」
「何?」
「ネテプとの交渉の結果、王になる代わりに、この国の政治制度を変える事で成立しました」
「待て、話が見えん。一から説明してくれ」
ナヌタビアは頭を抱えて説明を要求した。
「私が元居た国では王室があり、立憲君主制をとっていますが、実権を握っているのは『国会議員』です」
「『国会議員』だと?」
ナヌタビアは聞き慣れないのか、その単語を聞き返した。
「はい。私の国では『君臨すれども統治せず』と言う政治体制をとっています。これは民主主義を唱ったもので、要は国民の代表を集めた、首相及び議員が政権を握るものです」
「……つまり、政治体制をその議員制度に移行すると?」
「そう言う事です」
そして王の実権も同様に首相に移る。だが、そこで出てくるのがとある疑問。
「……だが、結果的に王は残すのだろう?その意味は何だ?」
そう。王は政治の中心に立ち、国を統治してこそ王である。王と言う職務を経験したナヌタビアにとって実権のない王に何の意味があるのか。だが、ジュードは即答した。
「王は国の象徴です」
「象徴だと?」
「はい。簡単に言えば、『国の顔』と呼べる存在です。この明けない夜空も国の象徴と言えるでしょう」
「……まだいまいち掴めないのだが、どういう事だ?」
「国のマスコットみたいなものです」
「なるほど」
何だろう。凄く恥ずかしい。
「……汝の言いたい事は分かった。だが、一つ良いか、ネテプシェリティ?」
「何だ?」
「汝は、王となる事を頑なに拒んでいたであろう?何故今さら王の座に着く事を決意した?」
ナヌタビアは怪訝な表情で私に問う。その表情には、心配の色も見えた。
「それは……」
私の脳裏に浮かんだのは、つい数時間前の事。
「私に王になれとはどういうつもりだ!?私を裏切るのか!?」
「すまない。だが、君を裏切るつもりは毛頭ない。まず、『王をなくす』と言うのは語弊があるな。実際には王の中身をなくす」
「中身をだと?」
「ああ。言い方は悪いが、王を見せ掛けだけの、『着ぐるみ』にする」
「着ぐるみ?あの大きな縫いぐるみみたいなものか?」
「ああ。『王』と言う縫いぐるみからから『責務』と言う綿を抜く。」
「……どう言う事だ?」
「君は『義務』や『責任』に縛られたくないんだろう?だから僕は王の責務を取り除く。そして君を責務から解放する」
「王にならせて何が解放だ!……結局私を裏切ってーー!」
「それは違う!」
「どう違うと言うんだ!」
「僕が言う『王』はーーーー!」
「ーー『王』は、私の居場所だ」
そして自然と喉が鳴った。
「私は、母に縛られていた。父を亡くした母は狂い、私を義務と責任で縛り付けた。そのせいで私は王を襲い続けた。そしてお前を破った。私が王になるのを拒んでいたのは、王の責務、……義務や責任に束縛されるのが嫌だったからだ。それがまるで母が残した呪縛の様に感じて怖かったからだ」
ナヌタビアは黙って話を聴く。
「それはただの我が儘でしかない。自分でも分かっていた。だが私は、それでも逃げたかった。責務を全うした筈なのに形を変えてまた義務と責任が襲ってきて、私は絶望したんだ」
だがそんな時、ジュードが手を差し伸べてくれた。
「ジュードは、そんな私に居場所を与えてくれたんだ」
それは皮肉にも『王』と言う居場所。しかし、私が嫌っていた場所とは名前が一緒なだけの全く違う場所。
「こんな私の、ただの我が儘を聞いて、私の為にこんな案を考えてくれたんだ……」
「ネテプ……?」
視界が滲む。ジュードが心配そうに呼び掛ける。
ああ、また泣いているのか私は。
「……すまない。ちょっと何を言いたいか……、自分でも分からなくなってきた……」
私は混乱してきた頭を整理する。
そしてやっとの事で結論がでる。
「ああ、そうだ……。『王』は、ジュードが用意してくれた、……私の居場所だ。……私が安心して帰ってこれる場所だ。…私は、……王になる」
そして数日が経ち、ケピアカーナの政治体制は移行を始めた。
私の毒で狂っていた国民の中で政治に詳しい者を集め、毒の効力を抑え国の政治を行える様、ジュードとナヌタビア、それから彼女の夫エムハブも政治家としての政治の行い方を勉強し、これからの新たな国作りを行っている。
そしてジュードと私は、彼の仕事の合間を取って普段使用していない寝室に居た。
「君は、必要な時にだけ顔を出せばそれで良い。後は隠居生活の様な人生を送ると良い」
「何だか聞こえが悪いな」
「何と言っても一人だけほとんど働かないからな」
「そんな役割を与えたのは誰だ?」
「……僕だ」
ジュードは冗談混じりに笑う。私も釣られて笑った。
「で、僕に何か用か?他にもあるんだろう?」
笑い終えたジュードは、自分が呼ばれた理由を問う。
「ああ。……私は、ジュードに色んな事をしてもらった。感謝のしようがないほどに」
「別にそんな、感謝なんか。僕のはただのお節介だ」
「だが、勝手にも私はまだ満足出来ていないんだ」
ここまでしてもらっておいて言うのも烏滸がましいが、確かなことだ。
「……最後に一つだけ、我が儘を聞いてもらっても良いか?」
ジュードは苦笑いで答える。
「……お節介ついでだ、分かったよ。僕に出来ることなら言ってくれ」
「ああ……」
私は、深呼吸をする。これから言う事は、かなり緊張するものだからだ。
異世界から飛ばされた蛇嫌いの彼と出会い、出会ったばかりの私に味方してくれた。
蛇嫌いの癖に私を抱きしめ、私の為に国を大きく変えてくれた。
当時は逃げ回るのに必死だったが、事が終わり気づけば彼にひかれていたのだろう。一緒にいると、安心するのと同時に妙に落ち着かなくなっていた。
私は、ジュードが好きなのだ。
「ジュード、わ、私はお前が、す、好き…です……!け、っ結婚してください!」
あまりの緊張に敬語になる。
ジュードは一瞬驚き、少しの間思考する。
「……すまない」
「え?」
申し訳なく謝るジュード。それはつまり拒否されたと言う事か。
「今は無理だ」
「何でだ……?」
「それは……」
ジュードは口ごもる。私は不安になった。彼は私の事が好きではないのか。
私の胸がざわめいた時、彼は答えた。
「蛇が苦手だからだ」
「……は?」
「君の気持ちは素直に嬉しい。僕も君の事は好き、だと思う。だが、どうも君に近づけなくてな……」
困った顔をするジュード。……私の不安は一気に砕け散った。
「じゃあ、蛇嫌いが治れば、私と……?」
「……ああ」
その返事で私は決心が着いた。
「分かった」
私はジュードに近づく。
ジュードは意識せずか、後ずさる。私もそれは織り込み済みで近づく。
そして壁に着いて横に跳び跳ねた所を尻尾で捕まえた。
「な、何をする気だ……?」
「蛇嫌いを治す」
ジュードの額に冷や汗が流れる。
「ぐ、ぐぐ具体的には……?」
愚問である。
私は自然と笑んだ。
「結婚前の荒治療だ♥」
彼の体を拘束し、服を脱がせて、私は強引だが体を重ねていた。
交わっていると言うのにそれでも逃れようともがくのは蛇嫌いが心の奥底まで染み込んでいるからか。
「んん!はぁあ‼んああ!」
「ク、……ふっぁ!」
まさか自分でもここまで強引に処女を捨てるとは思わなかった。
だが、体中を流れる快楽がその僅かばかりのショックを打ち消した。
そしてジュードの事だけが頭の中を支配した。
ジュードが私の中にいる。それだけで満たされた。
「ジュード、ジュウドォ……!」
「……あっ、っネテプ!」
腰を打ち付ける速さを上げる。
ジュードの紅葉が更に増す。
私も気が緩み唾液が垂れ落ちる。
「ジュードォ、好きだぁ……♥」
「……っ、んんむーー!」
私は濡れた唇をジュードの唇に落とし、ついでに舌も絡め彼を味わう。
味自体に味はない筈なのに、口全体に甘味が広がり脳を麻痺させる。
「ーーぷはっ、キス、キモチイイ……♥」
「ーーネテプ……!」
私達はもう一度キスをする。
痺れる様な感覚が口からも股間からも広がり、風船の様に快感を膨らませていく。
そして、最後の一突きで割れた。それこそ風船の様に。
「イ、んぁあああああああああああああああああ!!!!!♥」
「は、ク、ゥぁ……!」
とてつもない感覚に、私はジュードを強く抱き締めた。
ネテプは性交が終ると、電池が切れたように眠りについた。
「全く、連続で六回はきついぞ、ネテプ」
お陰で、蛇嫌いも少しは治ったので、荒治療の成果はあったと言えるだろう。
これはいよいよ結婚式が目の前にやって来てしまった。
「……僕も結婚か……」
相手は異世界で出会った人外の女性。
そして、僕が『王』にしてしまった女性。
納得したとはいえ、さんざん嫌がっていた『王』に仕立て上げてしまった。
「僕は、……最低だ」
これでは一緒ではないか。……適当に言いくるめて、僕に政治家の道を歩かせた、僕の父に。
「…………ジュードォ」
ネテプは幸せそうな寝顔で、寝言を呟いた。
「………すまない」
僕は、疲れきった体を微睡みに浸し、そのまま意識を沈めた。
ジュードの提案を聴いたナヌタビアは案の定驚愕した。
毒の効力が復活し行為に夢中だったナヌタビアを引っ張り出し、最初に言ったのが「この国から『王』をなくす」である。それは確かに驚くだろう。
「汝は王が居なくなると言う事がどの様な事か分かっておると言っていただろう!?どういう事だ!?」
「正確には、王の『実権』をなくすんです」
「何?」
「ネテプとの交渉の結果、王になる代わりに、この国の政治制度を変える事で成立しました」
「待て、話が見えん。一から説明してくれ」
ナヌタビアは頭を抱えて説明を要求した。
「私が元居た国では王室があり、立憲君主制をとっていますが、実権を握っているのは『国会議員』です」
「『国会議員』だと?」
ナヌタビアは聞き慣れないのか、その単語を聞き返した。
「はい。私の国では『君臨すれども統治せず』と言う政治体制をとっています。これは民主主義を唱ったもので、要は国民の代表を集めた、首相及び議員が政権を握るものです」
「……つまり、政治体制をその議員制度に移行すると?」
「そう言う事です」
そして王の実権も同様に首相に移る。だが、そこで出てくるのがとある疑問。
「……だが、結果的に王は残すのだろう?その意味は何だ?」
そう。王は政治の中心に立ち、国を統治してこそ王である。王と言う職務を経験したナヌタビアにとって実権のない王に何の意味があるのか。だが、ジュードは即答した。
「王は国の象徴です」
「象徴だと?」
「はい。簡単に言えば、『国の顔』と呼べる存在です。この明けない夜空も国の象徴と言えるでしょう」
「……まだいまいち掴めないのだが、どういう事だ?」
「国のマスコットみたいなものです」
「なるほど」
何だろう。凄く恥ずかしい。
「……汝の言いたい事は分かった。だが、一つ良いか、ネテプシェリティ?」
「何だ?」
「汝は、王となる事を頑なに拒んでいたであろう?何故今さら王の座に着く事を決意した?」
ナヌタビアは怪訝な表情で私に問う。その表情には、心配の色も見えた。
「それは……」
私の脳裏に浮かんだのは、つい数時間前の事。
「私に王になれとはどういうつもりだ!?私を裏切るのか!?」
「すまない。だが、君を裏切るつもりは毛頭ない。まず、『王をなくす』と言うのは語弊があるな。実際には王の中身をなくす」
「中身をだと?」
「ああ。言い方は悪いが、王を見せ掛けだけの、『着ぐるみ』にする」
「着ぐるみ?あの大きな縫いぐるみみたいなものか?」
「ああ。『王』と言う縫いぐるみからから『責務』と言う綿を抜く。」
「……どう言う事だ?」
「君は『義務』や『責任』に縛られたくないんだろう?だから僕は王の責務を取り除く。そして君を責務から解放する」
「王にならせて何が解放だ!……結局私を裏切ってーー!」
「それは違う!」
「どう違うと言うんだ!」
「僕が言う『王』はーーーー!」
「ーー『王』は、私の居場所だ」
そして自然と喉が鳴った。
「私は、母に縛られていた。父を亡くした母は狂い、私を義務と責任で縛り付けた。そのせいで私は王を襲い続けた。そしてお前を破った。私が王になるのを拒んでいたのは、王の責務、……義務や責任に束縛されるのが嫌だったからだ。それがまるで母が残した呪縛の様に感じて怖かったからだ」
ナヌタビアは黙って話を聴く。
「それはただの我が儘でしかない。自分でも分かっていた。だが私は、それでも逃げたかった。責務を全うした筈なのに形を変えてまた義務と責任が襲ってきて、私は絶望したんだ」
だがそんな時、ジュードが手を差し伸べてくれた。
「ジュードは、そんな私に居場所を与えてくれたんだ」
それは皮肉にも『王』と言う居場所。しかし、私が嫌っていた場所とは名前が一緒なだけの全く違う場所。
「こんな私の、ただの我が儘を聞いて、私の為にこんな案を考えてくれたんだ……」
「ネテプ……?」
視界が滲む。ジュードが心配そうに呼び掛ける。
ああ、また泣いているのか私は。
「……すまない。ちょっと何を言いたいか……、自分でも分からなくなってきた……」
私は混乱してきた頭を整理する。
そしてやっとの事で結論がでる。
「ああ、そうだ……。『王』は、ジュードが用意してくれた、……私の居場所だ。……私が安心して帰ってこれる場所だ。…私は、……王になる」
そして数日が経ち、ケピアカーナの政治体制は移行を始めた。
私の毒で狂っていた国民の中で政治に詳しい者を集め、毒の効力を抑え国の政治を行える様、ジュードとナヌタビア、それから彼女の夫エムハブも政治家としての政治の行い方を勉強し、これからの新たな国作りを行っている。
そしてジュードと私は、彼の仕事の合間を取って普段使用していない寝室に居た。
「君は、必要な時にだけ顔を出せばそれで良い。後は隠居生活の様な人生を送ると良い」
「何だか聞こえが悪いな」
「何と言っても一人だけほとんど働かないからな」
「そんな役割を与えたのは誰だ?」
「……僕だ」
ジュードは冗談混じりに笑う。私も釣られて笑った。
「で、僕に何か用か?他にもあるんだろう?」
笑い終えたジュードは、自分が呼ばれた理由を問う。
「ああ。……私は、ジュードに色んな事をしてもらった。感謝のしようがないほどに」
「別にそんな、感謝なんか。僕のはただのお節介だ」
「だが、勝手にも私はまだ満足出来ていないんだ」
ここまでしてもらっておいて言うのも烏滸がましいが、確かなことだ。
「……最後に一つだけ、我が儘を聞いてもらっても良いか?」
ジュードは苦笑いで答える。
「……お節介ついでだ、分かったよ。僕に出来ることなら言ってくれ」
「ああ……」
私は、深呼吸をする。これから言う事は、かなり緊張するものだからだ。
異世界から飛ばされた蛇嫌いの彼と出会い、出会ったばかりの私に味方してくれた。
蛇嫌いの癖に私を抱きしめ、私の為に国を大きく変えてくれた。
当時は逃げ回るのに必死だったが、事が終わり気づけば彼にひかれていたのだろう。一緒にいると、安心するのと同時に妙に落ち着かなくなっていた。
私は、ジュードが好きなのだ。
「ジュード、わ、私はお前が、す、好き…です……!け、っ結婚してください!」
あまりの緊張に敬語になる。
ジュードは一瞬驚き、少しの間思考する。
「……すまない」
「え?」
申し訳なく謝るジュード。それはつまり拒否されたと言う事か。
「今は無理だ」
「何でだ……?」
「それは……」
ジュードは口ごもる。私は不安になった。彼は私の事が好きではないのか。
私の胸がざわめいた時、彼は答えた。
「蛇が苦手だからだ」
「……は?」
「君の気持ちは素直に嬉しい。僕も君の事は好き、だと思う。だが、どうも君に近づけなくてな……」
困った顔をするジュード。……私の不安は一気に砕け散った。
「じゃあ、蛇嫌いが治れば、私と……?」
「……ああ」
その返事で私は決心が着いた。
「分かった」
私はジュードに近づく。
ジュードは意識せずか、後ずさる。私もそれは織り込み済みで近づく。
そして壁に着いて横に跳び跳ねた所を尻尾で捕まえた。
「な、何をする気だ……?」
「蛇嫌いを治す」
ジュードの額に冷や汗が流れる。
「ぐ、ぐぐ具体的には……?」
愚問である。
私は自然と笑んだ。
「結婚前の荒治療だ♥」
彼の体を拘束し、服を脱がせて、私は強引だが体を重ねていた。
交わっていると言うのにそれでも逃れようともがくのは蛇嫌いが心の奥底まで染み込んでいるからか。
「んん!はぁあ‼んああ!」
「ク、……ふっぁ!」
まさか自分でもここまで強引に処女を捨てるとは思わなかった。
だが、体中を流れる快楽がその僅かばかりのショックを打ち消した。
そしてジュードの事だけが頭の中を支配した。
ジュードが私の中にいる。それだけで満たされた。
「ジュード、ジュウドォ……!」
「……あっ、っネテプ!」
腰を打ち付ける速さを上げる。
ジュードの紅葉が更に増す。
私も気が緩み唾液が垂れ落ちる。
「ジュードォ、好きだぁ……♥」
「……っ、んんむーー!」
私は濡れた唇をジュードの唇に落とし、ついでに舌も絡め彼を味わう。
味自体に味はない筈なのに、口全体に甘味が広がり脳を麻痺させる。
「ーーぷはっ、キス、キモチイイ……♥」
「ーーネテプ……!」
私達はもう一度キスをする。
痺れる様な感覚が口からも股間からも広がり、風船の様に快感を膨らませていく。
そして、最後の一突きで割れた。それこそ風船の様に。
「イ、んぁあああああああああああああああああ!!!!!♥」
「は、ク、ゥぁ……!」
とてつもない感覚に、私はジュードを強く抱き締めた。
ネテプは性交が終ると、電池が切れたように眠りについた。
「全く、連続で六回はきついぞ、ネテプ」
お陰で、蛇嫌いも少しは治ったので、荒治療の成果はあったと言えるだろう。
これはいよいよ結婚式が目の前にやって来てしまった。
「……僕も結婚か……」
相手は異世界で出会った人外の女性。
そして、僕が『王』にしてしまった女性。
納得したとはいえ、さんざん嫌がっていた『王』に仕立て上げてしまった。
「僕は、……最低だ」
これでは一緒ではないか。……適当に言いくるめて、僕に政治家の道を歩かせた、僕の父に。
「…………ジュードォ」
ネテプは幸せそうな寝顔で、寝言を呟いた。
「………すまない」
僕は、疲れきった体を微睡みに浸し、そのまま意識を沈めた。
16/05/24 03:02更新 / アスク
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