トンネル後に洞窟
それはある日の出来事。
僕こと大塚聖火は深夜の街中を歩いていると何だか好奇心をくすぐられないただのトンネルが目の前にあった。
ただ道路も狭いのに一際大きなトンネルがポツーンとあったから結局好奇心をくすぐられ入ってみたんだけど、……何この洞窟。いつの間にか壁や天井がコンクリートって言うより岩になっていると言うか……。
ほぼ完全に天然洞窟になってる。
……戻った方が良いかな?
「……あ」
歩き続けたらとうとう出口に行き着いたみたいだ。光が見える。
「いやー、一時間も歩き続けた甲斐があったよ、本、……と、う?」
あれ……?
「ここどこ?」
目の前には当たり一面砂漠地帯だった。
まずい。冷や汗が全身から滲み出てる。いや、砂漠地帯だからか熱さのせいかも。
「あれ、でもちょっと待って。今深夜だよね?」
真上を向けば太陽。それも地上垂直九十度。
これは……そう。僕の体内時計が狂ったか、その他の時計が狂ったか。
それより本当にどこここ?
「おい」
「ワオ!」
突然後ろから掛けられた声。
恐る恐る振り返ーー
「待て、振り向くな!」
「き、君は?」
「だから振り向くな!死ぬぞ!」
「はいぃ!?」
いや、いきなり死ぬって何ですか!?
「…………良いぞ」
「え、は、はい」
何だか良く分からないけど、お許しが出たので振り返る。
「…………ぁ」
視界に女性が一名。
仮面の目隠しをしていて、服なのか羽毛が生えてて、艶かしく張りのある肌に、艶かしいラインのバストにウエスト。
そして腰から下の蛇の尻尾。
「…………」
「どうした?」
まずい。これは。
「あの、もしかして、僕幻覚でも見てる?」
「幻覚を見せる魔法は持ち合わせていない」
「え、今魔法って言った?」
「ああ。言った」
あれ、じゃあ僕クスリにでも手出ししたのかな?
それとも僕は何処かの軽くエロが入ったラノベか、エロゲの世界に迷い込んだとか?
だって、人外女体の露出度が高いんだもん。
「ねえ、ここってどこ?」
「私が寝床にしている洞窟だが?」
そう言うことを聴きたいんじゃないんだけど。
ちょっと質問を変えてみる。
「じゃあ、この辺り一面の砂漠は?」
「大陸の西に位置する砂漠地帯だ」
駄目だ。要領を得ない。
「ってちょっと待って?大陸?」
日本列島はいつの間に大陸と合体したのだろうか。
「そう言うお前こそ、どこから来た?」
「えっと、トンネルを通ってたらいつの間にかここに行き着いたんだけど」
「トンネル?どこかの地名か?」
トンネルを知らないだと!
でもちょっと待って。凄い情報が噛み合わない。もしかして……。
「ねえ、日本って知ってる?」
案の定、彼女は首を傾げたのだった。
お互いの自己紹介や互いの知識交換を行っている内にすっかり日が沈んだ。
時計がないので時間が分からない。困ったもんだ。
それにしても。
「いやー、助かるよ!お腹が減って仕方なかったんだ!」
目の前の目隠し蛇っ娘、ヴィヴィアンは、何とバジリスクなる魔物娘らしい!
神話だとかには疎い僕だけど、前に観た『ハ○ー○ッターと秘密の部屋』に出てくる蛇の怪物って言うのは知ってるよ!
目を合わせると何とかかんとかって言ってた!
だから眼の魔力を抑える為に仮面を付けているらしい。
「仮面は外さないの?」
「お前を固める訳にはいかんだろう?さっきも視界に入れない様にするのは大変だったのだぞ?」
「でも気になるじゃん。隠れている眼はどれ程綺麗なのかな〜って」
「……そうか」
僕達は二人で床に座って砂漠トカゲの焼肉を食べながらお喋りしていた。うん、これ焼きすぎ!
「……セイカ。妙に、ハイテンションだな」
「退屈〜に散歩してたらこんな洞窟に迷い込んでこんな美人と出会えたんだもの。目隠ししてるのが惜しいけど、それもそれでチャーミングポイントだから問題なし!」
「う、美人……。家に帰りたいとかないのか?」
ヴィヴィアンは照れ隠しに顔を反らす。顔が赤いのバレバレですよ。
僕はトカゲの骨をペッと吐き出し、食事を終えて立ち上がる。
「ないな〜。家族居ないし、彼女居ないし、仕事は行く先々でやな人ばかり当たるし、童貞だし」
「は!?いや、ど、童貞とか関係あるのか!?」
また顔が赤い。何だか可愛いな〜。
「ない」
「……っ!君なぁ……!」
ヴィヴィアンは大きくずっこけた。はは、おもしろい!コントですか?
あ、そうだ。ヴィヴィアンに一つ聞かなきゃ。
「ねえヴィヴィアン。一緒にここに住んで良い?」
「な、何!?」
「まず僕は今泊まる所がない。だから、移動するなりなんなりするにしても結局何処かで一泊しなきゃいけない」
ヴィヴィアンは顎に手を当て「う〜ん」と唸る。
そんな仕草に凛々しさを覚えながら、僕は彼女の返答を待った。
「……そうだな。別に人ひとり増えるくらい問題ではないし、別に構わない」
「わーい!ありがとう!」
「にゅああ!だ、抱きつくな!」
飛び付きに驚いて奇声を上げたヴィヴィアン。
ははは、と笑っていると、ヴィヴィアンの様子が変な事に気付く。
「ヴィヴィアン?」
「…………は、離れてくれ!近付かれると……ダメなんだ」
「どう言うこと?」
「ヒャア!み、耳許で喋るな!……その、……仮面を付けている時は、見えないから……その、嗅覚や聴覚だとかが敏感で……!」
「……え?」
「匂いとか、声が……、刺激が強いんだ……!」
ヴィヴィアンの鼓動が早まり、熱をもつ。顔を覗けば耳まで赤い。
と言うことは……。
「フゥー」
「ヒャぁああ!」
「アダっ!」
ヴィヴィアンがびくりと反応しとっさに突き放す。
て、手が顔面をクリーンヒット!
「息を吹き掛けるな馬鹿ぁ!」
ヴィヴィアンは機嫌を悪くしたのか最後のトカゲをバクリと強引に平らげる。
「も、もう寝る!寝床は奥に作ってあるからそこで寝ろ!」
洞窟の奥へと姿を消した。
取り残された僕はただ彼女の後ろ姿を見送った。
「可愛いな〜」
そんな感想を述べながら。
僕こと大塚聖火は深夜の街中を歩いていると何だか好奇心をくすぐられないただのトンネルが目の前にあった。
ただ道路も狭いのに一際大きなトンネルがポツーンとあったから結局好奇心をくすぐられ入ってみたんだけど、……何この洞窟。いつの間にか壁や天井がコンクリートって言うより岩になっていると言うか……。
ほぼ完全に天然洞窟になってる。
……戻った方が良いかな?
「……あ」
歩き続けたらとうとう出口に行き着いたみたいだ。光が見える。
「いやー、一時間も歩き続けた甲斐があったよ、本、……と、う?」
あれ……?
「ここどこ?」
目の前には当たり一面砂漠地帯だった。
まずい。冷や汗が全身から滲み出てる。いや、砂漠地帯だからか熱さのせいかも。
「あれ、でもちょっと待って。今深夜だよね?」
真上を向けば太陽。それも地上垂直九十度。
これは……そう。僕の体内時計が狂ったか、その他の時計が狂ったか。
それより本当にどこここ?
「おい」
「ワオ!」
突然後ろから掛けられた声。
恐る恐る振り返ーー
「待て、振り向くな!」
「き、君は?」
「だから振り向くな!死ぬぞ!」
「はいぃ!?」
いや、いきなり死ぬって何ですか!?
「…………良いぞ」
「え、は、はい」
何だか良く分からないけど、お許しが出たので振り返る。
「…………ぁ」
視界に女性が一名。
仮面の目隠しをしていて、服なのか羽毛が生えてて、艶かしく張りのある肌に、艶かしいラインのバストにウエスト。
そして腰から下の蛇の尻尾。
「…………」
「どうした?」
まずい。これは。
「あの、もしかして、僕幻覚でも見てる?」
「幻覚を見せる魔法は持ち合わせていない」
「え、今魔法って言った?」
「ああ。言った」
あれ、じゃあ僕クスリにでも手出ししたのかな?
それとも僕は何処かの軽くエロが入ったラノベか、エロゲの世界に迷い込んだとか?
だって、人外女体の露出度が高いんだもん。
「ねえ、ここってどこ?」
「私が寝床にしている洞窟だが?」
そう言うことを聴きたいんじゃないんだけど。
ちょっと質問を変えてみる。
「じゃあ、この辺り一面の砂漠は?」
「大陸の西に位置する砂漠地帯だ」
駄目だ。要領を得ない。
「ってちょっと待って?大陸?」
日本列島はいつの間に大陸と合体したのだろうか。
「そう言うお前こそ、どこから来た?」
「えっと、トンネルを通ってたらいつの間にかここに行き着いたんだけど」
「トンネル?どこかの地名か?」
トンネルを知らないだと!
でもちょっと待って。凄い情報が噛み合わない。もしかして……。
「ねえ、日本って知ってる?」
案の定、彼女は首を傾げたのだった。
お互いの自己紹介や互いの知識交換を行っている内にすっかり日が沈んだ。
時計がないので時間が分からない。困ったもんだ。
それにしても。
「いやー、助かるよ!お腹が減って仕方なかったんだ!」
目の前の目隠し蛇っ娘、ヴィヴィアンは、何とバジリスクなる魔物娘らしい!
神話だとかには疎い僕だけど、前に観た『ハ○ー○ッターと秘密の部屋』に出てくる蛇の怪物って言うのは知ってるよ!
目を合わせると何とかかんとかって言ってた!
だから眼の魔力を抑える為に仮面を付けているらしい。
「仮面は外さないの?」
「お前を固める訳にはいかんだろう?さっきも視界に入れない様にするのは大変だったのだぞ?」
「でも気になるじゃん。隠れている眼はどれ程綺麗なのかな〜って」
「……そうか」
僕達は二人で床に座って砂漠トカゲの焼肉を食べながらお喋りしていた。うん、これ焼きすぎ!
「……セイカ。妙に、ハイテンションだな」
「退屈〜に散歩してたらこんな洞窟に迷い込んでこんな美人と出会えたんだもの。目隠ししてるのが惜しいけど、それもそれでチャーミングポイントだから問題なし!」
「う、美人……。家に帰りたいとかないのか?」
ヴィヴィアンは照れ隠しに顔を反らす。顔が赤いのバレバレですよ。
僕はトカゲの骨をペッと吐き出し、食事を終えて立ち上がる。
「ないな〜。家族居ないし、彼女居ないし、仕事は行く先々でやな人ばかり当たるし、童貞だし」
「は!?いや、ど、童貞とか関係あるのか!?」
また顔が赤い。何だか可愛いな〜。
「ない」
「……っ!君なぁ……!」
ヴィヴィアンは大きくずっこけた。はは、おもしろい!コントですか?
あ、そうだ。ヴィヴィアンに一つ聞かなきゃ。
「ねえヴィヴィアン。一緒にここに住んで良い?」
「な、何!?」
「まず僕は今泊まる所がない。だから、移動するなりなんなりするにしても結局何処かで一泊しなきゃいけない」
ヴィヴィアンは顎に手を当て「う〜ん」と唸る。
そんな仕草に凛々しさを覚えながら、僕は彼女の返答を待った。
「……そうだな。別に人ひとり増えるくらい問題ではないし、別に構わない」
「わーい!ありがとう!」
「にゅああ!だ、抱きつくな!」
飛び付きに驚いて奇声を上げたヴィヴィアン。
ははは、と笑っていると、ヴィヴィアンの様子が変な事に気付く。
「ヴィヴィアン?」
「…………は、離れてくれ!近付かれると……ダメなんだ」
「どう言うこと?」
「ヒャア!み、耳許で喋るな!……その、……仮面を付けている時は、見えないから……その、嗅覚や聴覚だとかが敏感で……!」
「……え?」
「匂いとか、声が……、刺激が強いんだ……!」
ヴィヴィアンの鼓動が早まり、熱をもつ。顔を覗けば耳まで赤い。
と言うことは……。
「フゥー」
「ヒャぁああ!」
「アダっ!」
ヴィヴィアンがびくりと反応しとっさに突き放す。
て、手が顔面をクリーンヒット!
「息を吹き掛けるな馬鹿ぁ!」
ヴィヴィアンは機嫌を悪くしたのか最後のトカゲをバクリと強引に平らげる。
「も、もう寝る!寝床は奥に作ってあるからそこで寝ろ!」
洞窟の奥へと姿を消した。
取り残された僕はただ彼女の後ろ姿を見送った。
「可愛いな〜」
そんな感想を述べながら。
16/03/13 03:06更新 / アスク
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