憎しみと苦しみと、
寝室に着くと、私はご主人様を横に寝かせた。
「少々お待ち下さい。只今お茶をｰｰ」
「良い。持ってこなくて大丈夫だ。……側に居てくれ」
「……承知いたしました」
二人の間に沈黙が訪れる。
ご主人様は腕で眼を被い、ゆっくりと呼吸する。
私は何をするでもなく、ただご主人様の側で腰を落ち着けていた。
そして時が流れること約十分。
沈黙を破ったのは外部からのノック音だった。
誰だろうか。
「はい」
「フェイムズです。妻の無礼を謝罪をしに参りました」
その声を聞いた瞬間、無意識に声色が変わる。
「ご主人様は現在お休みになられています。また後程ｰｰ」
「妻は幼少に両親を亡くしました」
彼は私の言葉を遮り、そう言う。
私は一瞬戸惑った。ご主人様も眼を見開いて起き上がった。
私は、それでも先程の言動が許せず、冷たく良い放つ。
「……それが何だと言うのですか？」
「ダークエルフに殺されたのです」
「ｰｰｰｰ」
だが、返ってきたものは私の言葉よりも冷えたものだった。
「彼女が生まれたのは、旧魔王時代。まだ魔物が、人を食い殺していた時代です。マリーは三十の頃、故郷であった森をダークエルフの一団に襲われ、彼女の一族は壊滅させられました」
フェイムズ様はあくまで淡々と、ご夫人の過去を語る。
エルフにとって、三十歳はまだまだ子供。人間で言えばまだ十歳くらいだ。
「まだ幼かった彼女は魔王の代替わりの日まで、ダークエルフの奴隷として働いていました。その生活は彼女にとってとても苦しい日々で、時には彼らの慰み物として体を強引に『使われて』いたのです」
「…………」
私の脳裏に、フェイムズ夫人の眼が過る。考えてみれば、あれは大切なものを奪われ、虐げられてきた者の眼だった。
「メイドの方」
「……はい」
「貴女は先刻、マリーの事を『非情で醜悪な化け物』と仰いましたね」
「いえ、あの、その……」
フェイムズ様の声に、私は萎縮した。声色は普通だ。ただ単に文言の問題だ。
「別に責めている訳ではありません。ただ、マリーにとって、その『非情で醜悪な化け物』とは、過去に自分を虐げてきたダークエルフの事なのです」
「……ぁ……」
「どうか許してくれとは言いません。あれは自業自得です。メイドの方の言い分は正しい」
弁護してくれるのはありがたいが、夫ならもう少し妻を庇うべきだろう。
「この件も本当ならマリーが貴方方に直接謝罪するべきです。しかし……」
「話せる状態じゃない。ですか」
そう答えたのはご主人様だった。
「ご主人様？」
「大丈夫だ。ここからは俺に話させてくれ」
ご主人様は微笑み、私の頭を撫でる。
「……そうです。彼女はメイドの方の言葉で、自分を虐げてきたダークエルフの事を思い出したのでしょう。彼女は先程の自分をダークエルフと重ねてしまい、情緒不安定な状態です」
「ｰｰｰｰ！」
私は絶句した。まさか、私の言葉が逆に夫人を傷付けてしまうとは思わなかったのだ。
憤ったとは言え、心苦しい。
「私がマリーの過去をお話ししたのは、あくまで彼女には貴方に憤る理由があったと言う事を留めて頂きたいからです。ですが、だからといって先程言いました様に、許して欲しい訳ではありません。許されなくて当然です」
フェイムズ様は「失礼します」と部屋に入る。
「彼女には私が言っておきます。ですので私は、彼女を止められなかった事を謝罪します」
フェイムズ様はご主人様にひざまづく。
だが、
「構いません」
「え……？」
「謝罪は結構です。私は怒ってなどいませんから。それに、うちのメイドも無礼を働いてしまいました。こちらこそ謝罪すべきです」
「いえ、そんな！？」
「良いんです」
ご主人様は優しい声音で、フェイムズ様を制止する。
「正直に言えば、ダークエルフと糾弾され、白い目で視られるのは慣れています。それより、ご夫人は？」
ご主人様は、本当は嫌な筈の事を苦笑し、この場に居ない夫人の動向を聴く。
フェイムズ様は納得のいかない顔をするが、質問に答える。
「……折角のパーティーです。周りにご迷惑を掛けない様、勝手ですが客室を使わせて頂きました」
「構いません。ここは空き部屋ばかりですから」
「ありがとうございます。今は安静の為寝かせておりますが、すぐにここを発つつもりです」
「もうですか？」
「これだけご迷惑をお掛けしたのです。これ以上居座るのは良くない。妻を連れて国に帰りますよ」
「そうですか。それは残念です」
ご主人様は変わらず微笑み続ける。
フェイムズ様は立ち上がった。
「非礼続きで申し訳ございませんが、私はこれで失礼します。今度、お詫びに最高級のサテュロスワインと、それに合うつまみをお送りします」
「ありがとうございます」
フェイムズ様は踵を返し、退室する。
だがご主人様は思い出した様に引き留めた。
「フェイムズ殿、一つ良いですか？」
フェイムズ様は一時足を止めて振り返る。
「……何でしょう？」
「ご夫人がお目覚めになったら、伝えて頂きたい事があるのです」
ご主人様は一息吐いて、内容を口にする。
「『私の父は素晴らしい「人間」の女性をめとった』と」
「……分かりました。必ず妻に伝えましょう」
フェイムズ様はお辞儀をして、廊下へと姿を消した。
その後、ご主人様は無事パーティーに再出席し、時間と共に閉会の辞を行い、貴族を解散させた。
パーティーの資材も撤収し、ご主人様は屋敷の玄関で別れの挨拶を行った。
「ルディ」
「ナイル夫人、ご来場ありがとうございました」
最後にお帰りになられる奥様はご主人様と握手を交わす。
「ルディ、さっきはえらい騒動だったわね」
「その件につきましてはご迷惑をお掛けしました」
ご主人様は恭しく頭を下げる。
「良いのよ。悪いのは向こうなんだから。それに、リリィも大活躍だったわね」
「はひっ！」
奥様は私を一瞥すると、フフ、と笑う。
「まさか、貴女が誰かのためにあんなに怒るなんて、こちらに預けて随分変わったのね？」
「い、いえ‼そんな事は！」
「それほどまでに今のご主人様を慕っているのかしら？」
「ふぇ！？」
「……フフ、可愛いわね。さて、皆帰ったみたいだし、私も帰るわ。ごきげんよう」
「はい。是非またいらしてください」
奥様は手を振って馬車に乗った。
そして、来賓の方々は全員居なくなる。
「ふー、終ったな」
ご主人様は背伸びする。
だが、私は返事をしなかった。
「リリィ？」
気になることが有ったからだ。
「ご主人様は、何故フェイムズ様を許したのですか？」
「……」
ご主人様は押し黙る。
「ご主人様は『慣れています』と仰っていましたが、あれは嘘ですよね。あの時のご主人様は到底慣れたご様子ではありませんでしたよ？」
本当に慣れていたらあんな辛そうな顔はしないはずだ。
「……人を責めるのは苦手なんだよ」
ご主人様は溜め息混じりに言う。
「あの人にも事情があったんだ。あんな話を聞いたら責める気にもなれない。それに……」
「それに？」
ご主人様は少々気まずそうな表情をする。
「隣国の王族との仲を裂くわけにはいかないだろ」
………………え？王族？
誰が？…………フェイムズ様が？
「ふぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ！！！！！！！」
私は驚きのあまり身体中が震え上がる。
「にゃにゃにゃ、にゃんでしゅかそれ‼」
驚愕のあまり大々的に噛んでしまうが、今はそれどころではない。
「知らなかったのか？フェイムズ殿は隣国のフェイムズ王国の次期国王だぞ？」
「フェイムズ……、あっ！」
……そう言えば、フェイムズと言えばすぐとなりの親魔物国家ではないか
「そもそもご主人様が他の貴族の方々と同じ様に接するのでてっきりどこかの街の一貴族かと！」
「いやいや名前で気付けよ！正直お前がご夫人を責め立てた時内心ヒヤヒヤしたんだからな！？」
つまり、私はフェイムズ国の王妃様を……？
まずい、冷や汗が、震えが、心臓が、頭が‼
「あ、あわわわわわ……！！」
直後、頭がオーバーヒートを起こし、目の前が真っ暗になった。
「おっと、……ったく、大した奴だよ。お前は」
ご主人様はふと優しく笑う。
「ありがとな、リリィ。俺は…………」
ご主人様はそっと、私を抱き抱えた。
「……ぅぅ、ご主人様ぁ……、王妃様が、軍をぉ……」
「どんだけ引きずってんだよ」
「っんみゃ…………」
突然の声を受け、私は覚醒した。
「ここは……」
「俺の部屋だ」
私の疑問にご主人様が答える。
「あ、そうですか……」
……あれ？
私は朦朧とした頭で今の状況を整理する。
今の私の状況はどうなっている？
まず一つ。ご主人様のベッドで横になっている。
二つ。どういうわけか下着姿。
三つ。ご主人様の声が間近に聞こえた。
そして四つ目。振り替えればご主人様の微笑みが目と鼻の先にある。
さらに彼も同じく下着姿である。
これから察することができる事象。それは…………、
「…………事後？」
「何でだよ」
ご主人様は「半分狙ってるだろ……？」と呆れた表情を浮かべた。
何だかデジャヴである。
「ご、ごごごごごご主人様！？こう言うのはもう止めてくださいと！」
私はまたからかわれているのかと叱咤する。
だが、返ってきたのは予期せぬ抱擁だった。
「ひゃう！」
体を引き寄せられ、顔が胸に当てられる。
「リリィ……」
「……ご主人様？」
何だかご主人様の様子が変だ。顔は見えないが、どことなく寂しさを感じ取った。
「どうされたのですか？」
「お袋は血筋のせいで子供の頃からいつも疎まれてたらしい」
ご主人様は突然、お母様の話をした。
「額から右頬にかけて傷痕があったんだ。それも右目を通ってな」
ドクリっと心臓が鳴った。顔に傷痕を残した女性を想像してしまったからだ。
「その頃はまだ旧魔王時代だったからよけい酷かったらしくてさ、近所の質の悪い奴らからよく苛めとか受けてたらしい」
「……その時に傷を？」
「いや、傷を負ったのはその後だ。故郷の村から族に拐われて、気付けば傭兵として、戦争に駆り出されてたんだと。クォーターとは言えダークエルフ。他人より身体能力は高かったから、それなりに重宝されたらしい」
でも、とご主人様は続ける。
「魔王の代替わりの直後、お袋は戦争で負けた。その時に傷を負った。当時はまだ反魔物領だったこの国にな。そして捕虜となり、奴隷として売られる様になった」
私は複雑な感情を抱くも黙って話を聴く。魔王が替わり、ほぼ平和になった世界だが、当時はまだ直後。戦争はまだ日常茶飯事だった。
「でもお袋はあまり売れなかった。ダークエルフの血を引いていたのと顔の傷が原因で、やれ『いつ寝首をかかれるかわからない』だの『呪われる』だのと曰くが付いたんだと。そのせいで奴隷商人にこっぴどく殴られ、それに長く生きるからたらい回しにされて、どの奴隷商人からも酷い仕打ちを受けたんだ。しかもダークエルフが魔物に身を売ったのが災いしてお袋まで『魔物』って風評被害を受けた」
度重なる悲運がお袋を襲ったとご主人様は語る。
人々からの冷たい視線、罵倒、過酷な運命。そんなものがもし自分に向けられたら。そう思うと恐ろしいなんてものではなかった。何より愛された事がなかったのだ。なんと惨い人生か。
「でも、そんな中でお袋に大金をはたいた奴が居た。それが親父だった。親父はお袋を買うとすぐに奴隷を辞めさせた」
ご主人様のお父上、グラフ・フォン・ビルフォート。貴族内では大のお人好しとされ、ダークエルフの血を引くご主人様の母、ミシェルをめとったクォートの領主。彼は貧しい住人に資産を分け与え、慈善団体にも協力し、大きな支持を受けた人物とされる。クォートの住人から聞いた情報を、私は脳裏に流していた。
「誰もがお袋をダークエルフだとか魔物だとか扱ってきた中で、親父だけがお袋を『人間』として扱ったんだ」
恐らく、その時に彼女はお父上に惹かれたのだろう。
暗く混沌とした部屋の中で、唯一光を与えてくれた人物を。
「その後間もなく結婚したよ。そして俺が生まれた」
ご主人様は無意識に抱き締める腕に力が入る。
「でも、結局何も変わらない。ダークエルフの血が消えた訳でもないし、罵声を浴びる事も多い。結局俺も同じ様に疎まれる事が多い」
「…………」
「……お袋は優しかった。例えどんな仕打ちを受けても、人に優しくすればいずれ感謝される。耐えればいつか報われるって。いつも口ずさんでた。それを聴くと、いつも胸が締め付けられた」
ご主人様の声が、次第に震え始める。
「…………不思議だよな」
「……ご主人様？」
「何で俺には、人間が混ざってるんだろな。……いっそ純血のダークエルフなら、諦めが付いたのに。ダークエルフとして生活できたのに。……そしたら、今みたいに罵声を浴びても平気な筈なのに……！」
ご主人様は泣いていた。彼は自分に流れる血が『混ざりもの』である事を恨んでいたのだ。
「人間だったら何も言われなくて済むのに、ダークエルフだったらまだ開き直れるのに……！」
クォーターだからこそ出てくる悩み。
それは、彼にしかわからない辛さ。
「ご主人様」
私は泣きながら嗚咽を吐くご主人様に呼び掛ける。
「俺には何でどっちもｰｰ！」
「ご主人様‼」
「ｰｰｰｰ！」
私はご主人様を引き離し、顔を向き合わせた。
「ご主人様はご主人様です！クォートの現当主で、私がお仕えしている、ｰｰ私がお慕いしているたった一人の、ルドガー・フォン・ビルフォートです！」
「……！」
「人間だとか、ダークエルフは関係ありません！ご主人様はご主人様なんです！ですからｰｰ！」
私は胸に溜まった思いの丈を、ご主人様に伝える。
「いつも明るくて、イタズラ好きで、ちゃんと素直に謝れる優しい、私が大好きなご主人様で居てください‼」
私は、勢いのままご主人様に口付けした。
私にとっても、ご主人様にとっても初めての、所謂ファーストキス。
それを皮切りに、私達は交わった。
「はぁ、はっ、リリィ！」
ご主人様は私の唇に自分のを重ねる。
今度は舌を入れ、絡ませ、キスの味を存分に味わう。
「はむ、チュッ、んん、フっ……」
「んむ、クチュ……チュッ、っは……！」
唇が離れると、お互いの舌が糸を引き、少しの間私達を繋ぐ。
糸が切れると、私は上体を移動させ、ご主人様の逞しい逸物に顔を近付けた。
「リリィ……？」
「……ご奉仕します」
私はご主人様のぺニスに舌を這わせ、亀頭を舐める。
「は、リリィ……！」
「ん、ペロッ、チュッ」
亀頭を全体的に舐め、カリ首を一周させる。
「ぁっ、ｰｰっ！」
そして、ご主人様のぺニスをくわえ、口内で舌を移動させながら出し入れさせる。
「ん、ぁ、リリィ、はっ！」
「……ん、じゅるっ、ひもひいれしゅは？」
「ああ、……良い！」
舐める度にご主人様のぺニスはビクリと反応する。
ああ、今の私、凄く変だ。
こんなの、死にそうなくらい恥ずかしい筈なのに。
でも、ご主人様が感じている顔を見ていると、もっと奉仕したくなる。
「り、リリィ、もう！」
ご主人様が荒い息を吐いた瞬間、亀頭の先から温かい精液が射出され、口の中に流れ込む。
「ｰｰ！リリィ！」
「ん、んく……、プハァ……！」
喉を鳴らし、ご主人様の精液を飲み干す。
精液を喉に通すと、口の中に残った精液の臭いが鼻を抜ける。
……何とも言えない味だが、不快ではない。むしろ、
「ご主人様のせいえき……、美味しいです」
「ｰｰはっ……！」
ご主人様は私を押し倒した。
「ひゃっ！」
「ｰｰ今度は、俺がシてやる」
ご主人様は私の足を拡げると、私のそれに口を押し付けた。
「あ、ひゃあ、あん、ンアっ！」
「じゅるっ、じゅっ、クチュ……チュッ」
「ああ、ご主人様！んゃ！あああ！」
ご主人様の舌が膣に入り、入り口付近を愛撫する。
ご主人様の愛撫は、実際の所拙い。だが、私を喘がせるには充分だった。
「あん、ああ、は、イッちゃ、アッ！」
「良いぞ、じゅるっ、イッて」
ご主人様の舌使いが激しくなる。同時に絶頂も近づいてきた。
「あ、や、ああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！」
一瞬、頭が真っ白になる。
そして体を駆ける快感は一時的に体と思考を痺れさせた。
これが、絶頂……。
余韻に浸っている私を他所に、ご主人様は自分の陰茎を私の陰核に押し当てる。
「リリィ、もう」
「はい…………、ご主人様、……下さい、おちんちん…………」
「……ああ」
息を呑んだご主人様は、たどたどしく、だが確実に挿入する。
「あ、はぁ‼」
「んぁぁあああああ‼」
ご主人様は私の膣を押し広げ、自分の形を私に覚えさせる。
「はぁ、ッキツ！」
「ぁ、ん、ご主人様……」
暫く静止した状態が続く。私を気遣ってだろうか。
「ご主人、様。動いて下さい……」
「……良いのか？」
心配そうな顔をするご主人様を、そっと抱き締める。
「大丈夫、です。凄く、気持ちイイ、ですから……」
私はそっと笑みを浮かべる。無理のない、自然な笑顔。
「…………分かった」
ご主人様の腰がゆっくりと動く。
「あ、んん……、はん！……あ‼」
彼の腰使いは段々と激しくなる。
「は、ック！リリィ！」
「あ、ああああ、……は、はげしっ、ぁぁああああ‼」
ご主人様が動く度に、私の身体は跳ね上がる。
まるでご主人様を感じたいが一心で、全神経が剥き出しになるように。
「はぁああ、ご、ごしゅじ、ん、様ぁ！またイ、イッちゃいますぅ！」
「ッツ、俺もだ！」
お腹の奥から、さっきよりも大きな快感がわき上がる。
「ｰｰアッ、はぁあ……！」
「ふぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！」
訪れた絶頂の快感に、力なく、しかし決して離すまいと抱き合いながら崩れた落ちた。
「ご、主人様ぁ……」
「リリィ、……好きだ」
ご主人様は微睡みに浸る私に、優しくキスをした。
「少々お待ち下さい。只今お茶をｰｰ」
「良い。持ってこなくて大丈夫だ。……側に居てくれ」
「……承知いたしました」
二人の間に沈黙が訪れる。
ご主人様は腕で眼を被い、ゆっくりと呼吸する。
私は何をするでもなく、ただご主人様の側で腰を落ち着けていた。
そして時が流れること約十分。
沈黙を破ったのは外部からのノック音だった。
誰だろうか。
「はい」
「フェイムズです。妻の無礼を謝罪をしに参りました」
その声を聞いた瞬間、無意識に声色が変わる。
「ご主人様は現在お休みになられています。また後程ｰｰ」
「妻は幼少に両親を亡くしました」
彼は私の言葉を遮り、そう言う。
私は一瞬戸惑った。ご主人様も眼を見開いて起き上がった。
私は、それでも先程の言動が許せず、冷たく良い放つ。
「……それが何だと言うのですか？」
「ダークエルフに殺されたのです」
「ｰｰｰｰ」
だが、返ってきたものは私の言葉よりも冷えたものだった。
「彼女が生まれたのは、旧魔王時代。まだ魔物が、人を食い殺していた時代です。マリーは三十の頃、故郷であった森をダークエルフの一団に襲われ、彼女の一族は壊滅させられました」
フェイムズ様はあくまで淡々と、ご夫人の過去を語る。
エルフにとって、三十歳はまだまだ子供。人間で言えばまだ十歳くらいだ。
「まだ幼かった彼女は魔王の代替わりの日まで、ダークエルフの奴隷として働いていました。その生活は彼女にとってとても苦しい日々で、時には彼らの慰み物として体を強引に『使われて』いたのです」
「…………」
私の脳裏に、フェイムズ夫人の眼が過る。考えてみれば、あれは大切なものを奪われ、虐げられてきた者の眼だった。
「メイドの方」
「……はい」
「貴女は先刻、マリーの事を『非情で醜悪な化け物』と仰いましたね」
「いえ、あの、その……」
フェイムズ様の声に、私は萎縮した。声色は普通だ。ただ単に文言の問題だ。
「別に責めている訳ではありません。ただ、マリーにとって、その『非情で醜悪な化け物』とは、過去に自分を虐げてきたダークエルフの事なのです」
「……ぁ……」
「どうか許してくれとは言いません。あれは自業自得です。メイドの方の言い分は正しい」
弁護してくれるのはありがたいが、夫ならもう少し妻を庇うべきだろう。
「この件も本当ならマリーが貴方方に直接謝罪するべきです。しかし……」
「話せる状態じゃない。ですか」
そう答えたのはご主人様だった。
「ご主人様？」
「大丈夫だ。ここからは俺に話させてくれ」
ご主人様は微笑み、私の頭を撫でる。
「……そうです。彼女はメイドの方の言葉で、自分を虐げてきたダークエルフの事を思い出したのでしょう。彼女は先程の自分をダークエルフと重ねてしまい、情緒不安定な状態です」
「ｰｰｰｰ！」
私は絶句した。まさか、私の言葉が逆に夫人を傷付けてしまうとは思わなかったのだ。
憤ったとは言え、心苦しい。
「私がマリーの過去をお話ししたのは、あくまで彼女には貴方に憤る理由があったと言う事を留めて頂きたいからです。ですが、だからといって先程言いました様に、許して欲しい訳ではありません。許されなくて当然です」
フェイムズ様は「失礼します」と部屋に入る。
「彼女には私が言っておきます。ですので私は、彼女を止められなかった事を謝罪します」
フェイムズ様はご主人様にひざまづく。
だが、
「構いません」
「え……？」
「謝罪は結構です。私は怒ってなどいませんから。それに、うちのメイドも無礼を働いてしまいました。こちらこそ謝罪すべきです」
「いえ、そんな！？」
「良いんです」
ご主人様は優しい声音で、フェイムズ様を制止する。
「正直に言えば、ダークエルフと糾弾され、白い目で視られるのは慣れています。それより、ご夫人は？」
ご主人様は、本当は嫌な筈の事を苦笑し、この場に居ない夫人の動向を聴く。
フェイムズ様は納得のいかない顔をするが、質問に答える。
「……折角のパーティーです。周りにご迷惑を掛けない様、勝手ですが客室を使わせて頂きました」
「構いません。ここは空き部屋ばかりですから」
「ありがとうございます。今は安静の為寝かせておりますが、すぐにここを発つつもりです」
「もうですか？」
「これだけご迷惑をお掛けしたのです。これ以上居座るのは良くない。妻を連れて国に帰りますよ」
「そうですか。それは残念です」
ご主人様は変わらず微笑み続ける。
フェイムズ様は立ち上がった。
「非礼続きで申し訳ございませんが、私はこれで失礼します。今度、お詫びに最高級のサテュロスワインと、それに合うつまみをお送りします」
「ありがとうございます」
フェイムズ様は踵を返し、退室する。
だがご主人様は思い出した様に引き留めた。
「フェイムズ殿、一つ良いですか？」
フェイムズ様は一時足を止めて振り返る。
「……何でしょう？」
「ご夫人がお目覚めになったら、伝えて頂きたい事があるのです」
ご主人様は一息吐いて、内容を口にする。
「『私の父は素晴らしい「人間」の女性をめとった』と」
「……分かりました。必ず妻に伝えましょう」
フェイムズ様はお辞儀をして、廊下へと姿を消した。
その後、ご主人様は無事パーティーに再出席し、時間と共に閉会の辞を行い、貴族を解散させた。
パーティーの資材も撤収し、ご主人様は屋敷の玄関で別れの挨拶を行った。
「ルディ」
「ナイル夫人、ご来場ありがとうございました」
最後にお帰りになられる奥様はご主人様と握手を交わす。
「ルディ、さっきはえらい騒動だったわね」
「その件につきましてはご迷惑をお掛けしました」
ご主人様は恭しく頭を下げる。
「良いのよ。悪いのは向こうなんだから。それに、リリィも大活躍だったわね」
「はひっ！」
奥様は私を一瞥すると、フフ、と笑う。
「まさか、貴女が誰かのためにあんなに怒るなんて、こちらに預けて随分変わったのね？」
「い、いえ‼そんな事は！」
「それほどまでに今のご主人様を慕っているのかしら？」
「ふぇ！？」
「……フフ、可愛いわね。さて、皆帰ったみたいだし、私も帰るわ。ごきげんよう」
「はい。是非またいらしてください」
奥様は手を振って馬車に乗った。
そして、来賓の方々は全員居なくなる。
「ふー、終ったな」
ご主人様は背伸びする。
だが、私は返事をしなかった。
「リリィ？」
気になることが有ったからだ。
「ご主人様は、何故フェイムズ様を許したのですか？」
「……」
ご主人様は押し黙る。
「ご主人様は『慣れています』と仰っていましたが、あれは嘘ですよね。あの時のご主人様は到底慣れたご様子ではありませんでしたよ？」
本当に慣れていたらあんな辛そうな顔はしないはずだ。
「……人を責めるのは苦手なんだよ」
ご主人様は溜め息混じりに言う。
「あの人にも事情があったんだ。あんな話を聞いたら責める気にもなれない。それに……」
「それに？」
ご主人様は少々気まずそうな表情をする。
「隣国の王族との仲を裂くわけにはいかないだろ」
………………え？王族？
誰が？…………フェイムズ様が？
「ふぇええええええええええええええええええええええええええええええええええ！！！！！！！」
私は驚きのあまり身体中が震え上がる。
「にゃにゃにゃ、にゃんでしゅかそれ‼」
驚愕のあまり大々的に噛んでしまうが、今はそれどころではない。
「知らなかったのか？フェイムズ殿は隣国のフェイムズ王国の次期国王だぞ？」
「フェイムズ……、あっ！」
……そう言えば、フェイムズと言えばすぐとなりの親魔物国家ではないか
「そもそもご主人様が他の貴族の方々と同じ様に接するのでてっきりどこかの街の一貴族かと！」
「いやいや名前で気付けよ！正直お前がご夫人を責め立てた時内心ヒヤヒヤしたんだからな！？」
つまり、私はフェイムズ国の王妃様を……？
まずい、冷や汗が、震えが、心臓が、頭が‼
「あ、あわわわわわ……！！」
直後、頭がオーバーヒートを起こし、目の前が真っ暗になった。
「おっと、……ったく、大した奴だよ。お前は」
ご主人様はふと優しく笑う。
「ありがとな、リリィ。俺は…………」
ご主人様はそっと、私を抱き抱えた。
「……ぅぅ、ご主人様ぁ……、王妃様が、軍をぉ……」
「どんだけ引きずってんだよ」
「っんみゃ…………」
突然の声を受け、私は覚醒した。
「ここは……」
「俺の部屋だ」
私の疑問にご主人様が答える。
「あ、そうですか……」
……あれ？
私は朦朧とした頭で今の状況を整理する。
今の私の状況はどうなっている？
まず一つ。ご主人様のベッドで横になっている。
二つ。どういうわけか下着姿。
三つ。ご主人様の声が間近に聞こえた。
そして四つ目。振り替えればご主人様の微笑みが目と鼻の先にある。
さらに彼も同じく下着姿である。
これから察することができる事象。それは…………、
「…………事後？」
「何でだよ」
ご主人様は「半分狙ってるだろ……？」と呆れた表情を浮かべた。
何だかデジャヴである。
「ご、ごごごごごご主人様！？こう言うのはもう止めてくださいと！」
私はまたからかわれているのかと叱咤する。
だが、返ってきたのは予期せぬ抱擁だった。
「ひゃう！」
体を引き寄せられ、顔が胸に当てられる。
「リリィ……」
「……ご主人様？」
何だかご主人様の様子が変だ。顔は見えないが、どことなく寂しさを感じ取った。
「どうされたのですか？」
「お袋は血筋のせいで子供の頃からいつも疎まれてたらしい」
ご主人様は突然、お母様の話をした。
「額から右頬にかけて傷痕があったんだ。それも右目を通ってな」
ドクリっと心臓が鳴った。顔に傷痕を残した女性を想像してしまったからだ。
「その頃はまだ旧魔王時代だったからよけい酷かったらしくてさ、近所の質の悪い奴らからよく苛めとか受けてたらしい」
「……その時に傷を？」
「いや、傷を負ったのはその後だ。故郷の村から族に拐われて、気付けば傭兵として、戦争に駆り出されてたんだと。クォーターとは言えダークエルフ。他人より身体能力は高かったから、それなりに重宝されたらしい」
でも、とご主人様は続ける。
「魔王の代替わりの直後、お袋は戦争で負けた。その時に傷を負った。当時はまだ反魔物領だったこの国にな。そして捕虜となり、奴隷として売られる様になった」
私は複雑な感情を抱くも黙って話を聴く。魔王が替わり、ほぼ平和になった世界だが、当時はまだ直後。戦争はまだ日常茶飯事だった。
「でもお袋はあまり売れなかった。ダークエルフの血を引いていたのと顔の傷が原因で、やれ『いつ寝首をかかれるかわからない』だの『呪われる』だのと曰くが付いたんだと。そのせいで奴隷商人にこっぴどく殴られ、それに長く生きるからたらい回しにされて、どの奴隷商人からも酷い仕打ちを受けたんだ。しかもダークエルフが魔物に身を売ったのが災いしてお袋まで『魔物』って風評被害を受けた」
度重なる悲運がお袋を襲ったとご主人様は語る。
人々からの冷たい視線、罵倒、過酷な運命。そんなものがもし自分に向けられたら。そう思うと恐ろしいなんてものではなかった。何より愛された事がなかったのだ。なんと惨い人生か。
「でも、そんな中でお袋に大金をはたいた奴が居た。それが親父だった。親父はお袋を買うとすぐに奴隷を辞めさせた」
ご主人様のお父上、グラフ・フォン・ビルフォート。貴族内では大のお人好しとされ、ダークエルフの血を引くご主人様の母、ミシェルをめとったクォートの領主。彼は貧しい住人に資産を分け与え、慈善団体にも協力し、大きな支持を受けた人物とされる。クォートの住人から聞いた情報を、私は脳裏に流していた。
「誰もがお袋をダークエルフだとか魔物だとか扱ってきた中で、親父だけがお袋を『人間』として扱ったんだ」
恐らく、その時に彼女はお父上に惹かれたのだろう。
暗く混沌とした部屋の中で、唯一光を与えてくれた人物を。
「その後間もなく結婚したよ。そして俺が生まれた」
ご主人様は無意識に抱き締める腕に力が入る。
「でも、結局何も変わらない。ダークエルフの血が消えた訳でもないし、罵声を浴びる事も多い。結局俺も同じ様に疎まれる事が多い」
「…………」
「……お袋は優しかった。例えどんな仕打ちを受けても、人に優しくすればいずれ感謝される。耐えればいつか報われるって。いつも口ずさんでた。それを聴くと、いつも胸が締め付けられた」
ご主人様の声が、次第に震え始める。
「…………不思議だよな」
「……ご主人様？」
「何で俺には、人間が混ざってるんだろな。……いっそ純血のダークエルフなら、諦めが付いたのに。ダークエルフとして生活できたのに。……そしたら、今みたいに罵声を浴びても平気な筈なのに……！」
ご主人様は泣いていた。彼は自分に流れる血が『混ざりもの』である事を恨んでいたのだ。
「人間だったら何も言われなくて済むのに、ダークエルフだったらまだ開き直れるのに……！」
クォーターだからこそ出てくる悩み。
それは、彼にしかわからない辛さ。
「ご主人様」
私は泣きながら嗚咽を吐くご主人様に呼び掛ける。
「俺には何でどっちもｰｰ！」
「ご主人様‼」
「ｰｰｰｰ！」
私はご主人様を引き離し、顔を向き合わせた。
「ご主人様はご主人様です！クォートの現当主で、私がお仕えしている、ｰｰ私がお慕いしているたった一人の、ルドガー・フォン・ビルフォートです！」
「……！」
「人間だとか、ダークエルフは関係ありません！ご主人様はご主人様なんです！ですからｰｰ！」
私は胸に溜まった思いの丈を、ご主人様に伝える。
「いつも明るくて、イタズラ好きで、ちゃんと素直に謝れる優しい、私が大好きなご主人様で居てください‼」
私は、勢いのままご主人様に口付けした。
私にとっても、ご主人様にとっても初めての、所謂ファーストキス。
それを皮切りに、私達は交わった。
「はぁ、はっ、リリィ！」
ご主人様は私の唇に自分のを重ねる。
今度は舌を入れ、絡ませ、キスの味を存分に味わう。
「はむ、チュッ、んん、フっ……」
「んむ、クチュ……チュッ、っは……！」
唇が離れると、お互いの舌が糸を引き、少しの間私達を繋ぐ。
糸が切れると、私は上体を移動させ、ご主人様の逞しい逸物に顔を近付けた。
「リリィ……？」
「……ご奉仕します」
私はご主人様のぺニスに舌を這わせ、亀頭を舐める。
「は、リリィ……！」
「ん、ペロッ、チュッ」
亀頭を全体的に舐め、カリ首を一周させる。
「ぁっ、ｰｰっ！」
そして、ご主人様のぺニスをくわえ、口内で舌を移動させながら出し入れさせる。
「ん、ぁ、リリィ、はっ！」
「……ん、じゅるっ、ひもひいれしゅは？」
「ああ、……良い！」
舐める度にご主人様のぺニスはビクリと反応する。
ああ、今の私、凄く変だ。
こんなの、死にそうなくらい恥ずかしい筈なのに。
でも、ご主人様が感じている顔を見ていると、もっと奉仕したくなる。
「り、リリィ、もう！」
ご主人様が荒い息を吐いた瞬間、亀頭の先から温かい精液が射出され、口の中に流れ込む。
「ｰｰ！リリィ！」
「ん、んく……、プハァ……！」
喉を鳴らし、ご主人様の精液を飲み干す。
精液を喉に通すと、口の中に残った精液の臭いが鼻を抜ける。
……何とも言えない味だが、不快ではない。むしろ、
「ご主人様のせいえき……、美味しいです」
「ｰｰはっ……！」
ご主人様は私を押し倒した。
「ひゃっ！」
「ｰｰ今度は、俺がシてやる」
ご主人様は私の足を拡げると、私のそれに口を押し付けた。
「あ、ひゃあ、あん、ンアっ！」
「じゅるっ、じゅっ、クチュ……チュッ」
「ああ、ご主人様！んゃ！あああ！」
ご主人様の舌が膣に入り、入り口付近を愛撫する。
ご主人様の愛撫は、実際の所拙い。だが、私を喘がせるには充分だった。
「あん、ああ、は、イッちゃ、アッ！」
「良いぞ、じゅるっ、イッて」
ご主人様の舌使いが激しくなる。同時に絶頂も近づいてきた。
「あ、や、ああああああああああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！」
一瞬、頭が真っ白になる。
そして体を駆ける快感は一時的に体と思考を痺れさせた。
これが、絶頂……。
余韻に浸っている私を他所に、ご主人様は自分の陰茎を私の陰核に押し当てる。
「リリィ、もう」
「はい…………、ご主人様、……下さい、おちんちん…………」
「……ああ」
息を呑んだご主人様は、たどたどしく、だが確実に挿入する。
「あ、はぁ‼」
「んぁぁあああああ‼」
ご主人様は私の膣を押し広げ、自分の形を私に覚えさせる。
「はぁ、ッキツ！」
「ぁ、ん、ご主人様……」
暫く静止した状態が続く。私を気遣ってだろうか。
「ご主人、様。動いて下さい……」
「……良いのか？」
心配そうな顔をするご主人様を、そっと抱き締める。
「大丈夫、です。凄く、気持ちイイ、ですから……」
私はそっと笑みを浮かべる。無理のない、自然な笑顔。
「…………分かった」
ご主人様の腰がゆっくりと動く。
「あ、んん……、はん！……あ‼」
彼の腰使いは段々と激しくなる。
「は、ック！リリィ！」
「あ、ああああ、……は、はげしっ、ぁぁああああ‼」
ご主人様が動く度に、私の身体は跳ね上がる。
まるでご主人様を感じたいが一心で、全神経が剥き出しになるように。
「はぁああ、ご、ごしゅじ、ん、様ぁ！またイ、イッちゃいますぅ！」
「ッツ、俺もだ！」
お腹の奥から、さっきよりも大きな快感がわき上がる。
「ｰｰアッ、はぁあ……！」
「ふぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああ！！！！！！！」
訪れた絶頂の快感に、力なく、しかし決して離すまいと抱き合いながら崩れた落ちた。
「ご、主人様ぁ……」
「リリィ、……好きだ」
ご主人様は微睡みに浸る私に、優しくキスをした。
16/01/21 21:59更新 / アスク
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