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最終記 -ソラ-
…振り返ってみれば。

いくつもの冒険。
いくつもの出会い。
いくつもの思い出。

その中で、私はどれだけの人を好きになっただろう。

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―ご主人様〜、これが新しいお家ですか〜?

―可愛い飾りや置物が、いっぱいありますね〜♪

―…あれ? ……『ケーキショップMOMO』…?

―…ここ、ケーキ屋さんなんですか〜?

―え…? あっ、私たちのお店なんですか〜。

―…先週話した…? …え〜? 先々週も〜? その前にも〜?

―ごめんなさい〜…。うっかり忘れちゃいました…。

―………あっ…。

―…えへへ〜…♪ やっぱり、ご主人様は優しいです…♥

―ね〜、モーラちゃん♥ ソラママ、優しいよね〜♪

―うん、うんっ♪ いいこ、いいこ〜♪

―…うん? えっ? 今、動いたの? ほんと〜?

―ご主人様〜っ、赤ちゃん、動いたって〜♥

―モーラちゃん、もうすぐお姉ちゃんだね〜♪

―じゃあ…ご主人様、赤ちゃんが産まれる前に…。

―今夜も、い〜〜〜っぱいっ、おっぱい搾ってくださいね〜♥

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今でも毎日のように会う人もいれば、
会いたくても、何処にいるのか分からない人もいる。

以前と変わりない日々を過ごしている人もいれば、
旅に出たり、その逆に、定住の場所を見つけた人もいる。

…その人の顔を思い浮かべる時、私は決まって、一冊の手帳を取り出す。

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―ごしゅじんさまっ…。

―おかえり、なさい…。

―…これ…。

―ももちゃんが……あそびにきてくれた…。

―おみやげ…。しゅーくりーむ…。

―…うん。ごはん、できてる…。あれ…。

―……ううん。かれーらいす…。

―…ほうれんそうと……だいこんと……あすぱらがすと……。

―……え…? あっ…!

―ご…ごしゅじんさまっ…。ごはん…さめちゃう…。

―…んぅっ…♥ ちゅ……ぅ…♥

―…♥ ごしゅじんさま…♥

―……うん…♥

―…いっぱい……たべて…♥

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日記や、メモ、落書き、何かの暗号…。

私が書いたものと、誰かが書いたもの。
ごちゃ混ぜの中にある、その人の姿。
一文だけのものもあれば、数ページに渡るものも。

みんな、この手帳の中で生きている。

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―…ソラ様。お待たせしました…。

―……ふふっ。驚かれましたか?

―これが私の、本当のウェディングドレスです。

―恋人以外には、親にさえ見せない特別な衣装なんですよ。

―私が生まれた、この地方のユニコーンは…。

―婚礼前に、自分自身のウェディングドレスを編むんです。

―それは、こうして式の最後、二人だけの空間でしか見せない……。

―…ソラ様。上の空ですけれど、大丈夫ですか?

―………えっ…。

―ゃ…♥ そんな……急に面と向かって言われると……♥

―…♥

―……ふふっ。

―私も、です。

―私……ユニは…。

―健やかなる時も……病める時も……。

―ソラを…この命ある限り…。

―愛することを……誓います…♥

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そして、また…思い返す中で、私はその人を好きになる。
初めてその人と出会った時の様に。思い出を繰り返す。

好きになる瞬間を、何度も、何度も…。

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―おねえちゃ〜んっ♪ 今日は黒ミサの日………あれっ、いない…。

―…ル・スー……トッヤヒ…ガ…ジ……スーセ…

―…むふ、はっけーんっ♪ ベッドの下なんて、タンジュンだよ〜♪

―かくれたバツとして、今日はおねえちゃん、この服ねっ。

―ほら、みてっ。おっぱいとおまんこのところに、穴あいてるのっ♪

―すっごいえっちぃ…♥ どうどうっ? コーフンしちゃうでしょ?

―だいじょぶ、だいじょぶーっ♪ はずかしくないってばーっ♥

―それに、カンブはこれくらいのカッコウしないと、ねっ♥

―うふふっ♥ それにうーも……ほらっ…♥

―マントの下は…おんなじカッコだよ…♥

―……あ♥ おねえちゃんの、おっきくなった♥

―くるしいでしょ? ぬぎぬぎしよっか、うーがおきがえさせてあげる♥

―…それとも……。

―行く前に……いっかい、イッちゃう?♥

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そして…最後に別れた時を、思い出す。

さっき別れたばかりの人も。何年も前に別れた人も。
その時の、寂しいという気持ちを思い出して…。
そして、もう一度その人に会いたいという思いと共に。

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―…起こしてしまったか。

―………。

―夢を…見た。

―私達が、初めて出会った時の夢を。

―…あの時は、まさかこうなるとは夢想だにしなかった。

―箸を並べ、枕を並べ……日々を、こうして共に過ごす…。

―…己の生とは、分からぬものだ…。

―………。

―…眠ろう。明日も忙しい。

―ソラに合う衣装の用意、里の長への報告、ハクに仲人挨拶の依頼…。

―それが済めば…漸く、式だ。

―………。

―…ソラ。

―後僅かだけ、互いに耐える時だ。

―…その代わり…。

―初夜は、激しいものにしよう…♥

―荒れ狂う風の様に………激しく……♥

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でも、この手帳で探さない人が、ひとりだけ。
その人だけ、出会いも、別れも、思い出も。

私の隣にいる、その人だけは。

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―ちょっとアリさん! 早く次の衣装を持ってきて!

―えーと、これは……ソラ、ちょっと髪を持ち上げてくださらない?

―……う〜ん、ゴシックな感じが素敵なのですけれど…。

―ソラには少し、大人っぽ過ぎますわ。次ッ。

―…あら? アリさん、次の衣装は……。え? もう全部見た?

―なら、次の店に行きますわよ。ここにもソラに合う衣装はありませんでしたわ。

―…何言ってますの。もう7件ではなくて、まだ7件ですわ。ねぇ、ソラ?

―まったく。アリさんは服のセンスが皆無で、こればかりは任せておけませんわ。

―……あっ!? ちょっとアリさん! なぜソラと手を繋いでいるんですの!?

―ソラからとか、そういう問題ではありませんっ! 寝取りですわ、寝取り!

―ムキーッ! なら私は腕を組みますわっ! 腕を…!

―……腕……。

―…ソラ。超厚底のブーツを買いましょう。服よりも優先ですわ!

―ほら、アリさん探してらっしゃい! 何を…って、靴屋に決まってますわ!

―ソラとわたくしが、もっと愛し合うために必要なのです! 早くっ!

―…見つかった!? 早いですわね! でかしましたわ、アリさん!

―さぁ、ソラ! 行きますわよっ! もっとラヴラヴするためにっ!

―ソラがもっと愛らしい存在になるために、レッツゴーですわっ♥

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その人と一緒に、私は手帳を見る。

私の思い出を全部、その人に知ってほしいから。
私の好きな人を全員、その人に紹介したいから。

私の全てを、その人に。

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―…この扉の向こうに、ファラオ様がおられる。

―面会時間は、15時15分から、15時30分までの、15分…。

―後2分37秒、ここで待機だ。

―………。

―…ソラ。

―緊張を解すためなのだろうが…。

―私の尻尾を、そんなに揉むな。こそばゆい。

―…無意識ならば、なお問題だ…。

―ファラオ様の前では、粗相は許されない。気を引き締めろ。

―………。

―………。

―………。

―…ソラ。

―……いや、もういい…。後1分12秒、好きなだけ揉め。

―その代わり…ここで揉んだ分、後で私もお前を揉む。

―ギブ・アンド・テイクだ。ちなみに、私が揉むのは胸だ。

―ふふっ…♥ 今更後悔しようと遅い。同じ様に、丹念に揉んでやる。

―…さぁ、時間だ。行くぞ。貢物を落とさぬようにな。

―ファラオ様への報告と御願を、ひとつずつ。

―新たな配下の生誕…。この子の御名前を、頂きに…。

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嬉しかったこと。
悲しかったこと。
辛かったこと。
頑張ったこと。
悩んだこと。
知ったこと。

私のも。あなたのも。

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―……ずっと、待っていました…。

―幾度、星の煌き、潮の満ち引きを眺めたでしょう…。

―貴女を想った歌を、どれほど紡いだでしょう…。

―…一夜が、一生とも思えた、今迄の日々…。

―それが今では…まるで、全て昨日の事の様です…。

―………。

―ソラ。

―戻ってきて…くれたのですね……。

―忘れないでいて……くれたのですね……。

―………。

―…いいんです…。

―ずっと……ずっと、私の傍にいてくれるのなら…。

―今迄なんて…いいんです…。

―これからを…私にください…。

―シビ姉様の義妹として…。メロの義姉として…。

―私の……愛する人として…。

―私達のこれからを、作っていきましょう…。

―この母なる海の…生命が最初に愛し合った場所で……。

―……ソラ……♥

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私の一生を、あなたに。

あなたの一生を、私に。

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―…でも、ソラ。本当にいいの…?

―さっきゅんに怒られないかしら…。万魔殿に住むなんて…。

―…そ、それは……確かに、そうは言ったけれど…。

―……っ…♥ もう…、ソラ…♥

―いつも、私が優しくしてもらってばっかり…♥

―嬉しいけれど、いつになっても恩返しが出来ないわ。

―…えっ…? 教会に行って……?

―……やっ、やだ、もうっ!♥ ソラのエッチ!♥

―…♥

―……うん…♥ したい…♥

―もう一回、ソラに出したいわ…♥ たくさん…♥

―…うふふっ♥ そうね、たくさんだと、一回だけじゃ駄目ね♥

―……ソラ…♥

―ソラが私を選んでくれた時…。

―きっと、あの時は…私の生涯での、一番の幸せ…♥

―……ふふっ♥ 本当に? あれ以上の幸せが、あるの?♥

―…なら……教えて♥ 私に…♥

―ソラ…♥

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それがきっと、愛するってこと。

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―ふぅ…♥ これだけ膣内に出ていれば、孕んだかしら…♥

―あ、別に子供にこだわってるワケじゃないわよ?

―ちゃぁんと、ソラとのエッチ、愉しんだから♥

―うふふ…♥ 気持ち良かったわよ、ソラ♥

―子供はオマケ♥ 出来たら、とっても嬉しいってだけよ♥

―…どうかしらね? 魔物の身体は、赤ん坊が出来難いの。

―もし人間と同じなら、それこそ気軽に膣内出しなんてできないじゃない。

―特に、ソラにとっては大問題でしょう? すぐ膣内に出すもの♥

―でも…ソラのは濃いし、量も多いから、出来てないとは言えないわね♥

―…うふふっ…♥

―どうする…?♥

―何が…って、決まってるじゃない、そんなコト♥

―もう少し……念のため、膣内に出しておく…?♥

―子供となら、セックスしてもいいわよ♥ 親子で仲良くしましょ♥

―…アハッ♥ 興奮した?♥ 親子セックス、想像して…♥

―……あんっ…♥ あっ…♥ ソラ…ッ♥

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そっと…手帳に、問い掛ける。

愛する人を、傍らに抱きながら。

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―……そっか…。

―………。

―…なら……。

―埋めてあげる…。その気持ち…。

―私が、ソラちゃんの満たされない部分を、埋めてあげる…。

―だから、ソラちゃんには、私の隙間を埋めてほしい…。

―…ふたりで……ひとつになろう…。

―してほしいこと、何でも言って。

―どんな恥ずかしいことでも…エッチなことでも…。

―ソラちゃんのために、してあげる…。

―………。

―…だから…。

―挿れて…♥ ソラちゃんの……♥

―…♥

―………んっ…♥

―……ソラちゃん…♥

―…♥

―…愛してる…♥

―愛してるよ…♥

―世界中の……誰よりも…♥

―…ソラちゃんを、愛してる…♥

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そうだよね? みんな。








-fin-
12/04/19 00:02更新 / コジコジ
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