連載小説
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遊びの天才

 「モノリスくんはお友達に混ざらないの?」
学校の校庭だった。
少年少女達の遊ぶ声が響く中、その片隅に佇んでいた少年に教師が話しかけている。
「……」
モノリスと呼ばれた少年は無言でふるふると頭を振る。教師は困った顔になって背後で遊ぶ子供達に声を掛ける。
「みんな!一人だけ仲間はずれにしたらだめでしょう?モノリスくんも入れてあげなさい」
声を掛けられた子供達は一瞬静まり返った後に文句を言い始める。
「だってそいつ何やらせても付いてこれねえし」
「つまんないんだもん」
「何言っても喋らないしさあ……」
教師は眉を顰める。
「そんな理由で仲間はずれにするのはいけません!」
少年は怒り出す教師の背後でじっと俯いて動かなかった。







 「それは……何というか……斬新な、解釈……ですね」
魔法学校の教室だった。
広い講義室には秋の日差しが差込み、ともすれば生徒の眠気を誘うような気温と気だるさに満ちていた。先程までは。
今、講義室に流れている空気はその温度に見合わず「凍り付いている」と表現するのに相応しかった。
その空気を作り出したのは講義室の左端の席で立っている眼鏡をかけた猫背の生徒。
「……」
眼鏡の生徒は教壇の上で答えに窮している学者の姿をその眠たげに見える目でじっと見ていた。
事の推移はこうだ。
特別授業の一環として講義に招かれた著名な魔導研究家が生徒に魔導理論の講義をしている時、その生徒が発言をした。
質問ではなく発言、もっと言うならそれはその講義に対する「異議」だった。
真っ向から否定するような論調ではなく、語る言葉も講義室が静まり返っていなければ聞き取れないような不明瞭で小さなものだったが。
その口から語られた文章を解析するならそれは紛れもない「異議」だった。
その異議の内容はともすれば荒唐無稽とも取れる理論。
数学で表すなら1 1=2という式を否定するような理論だった。
最初、学者は笑った。
一千年の時を費そうとも底が見えない魔導学、その根幹を成す理論にたかだか十年とちょっとの年数しか生きていない学生が異議を申し立てたのだ。
苦笑も漏れようというものだ。
しかし笑ってその理論を否定しようとした学者は言葉を濁しながら次第にその顔色を変え始めた。
反論が出ない。
その荒唐無稽な理論を崩そうと脳内であらゆる角度からアプローチを試みたが、無い。
矛盾点も、相違点も、都合のいい感情論も無い。
その学生の語る理論はどうしようもなく正しい。という結論しか出てこない。
学者はしきりに汗を拭いながら結局反論らしい反論をしないまま曖昧に答えるしかできなかった。
「……遮ってすいません……失礼しました」
学生はそれ以上追求する事はせず、異議を打ち切って席に座った。
しかし学者はそれ以上講義を続ける事ができなかった、今の一瞬で自分の持論は引っ繰り返されてしまった。今更何を語る事もできない。
「……えー、講義はここで……えー、終了、させていただきます……」
手元の資料をまとめながら学者はそう言うしかなかった、学生達の間に動揺が広がり始める。
「……君、名は何というのかね?」
退室する直前、学者は自分が何十年にも渡って積み重ねた学問を数分で破壊してしまった生徒に聞いた。
「モノリス・クロバーンです」
異議を申し立てた時と同じくぼそぼそと小さな声で生徒は答えた。







 「……」
モノリスは研究室の片隅で机に座っていた。
既に時刻は深夜、他の研究員の姿は無く、明かりの落とされた研究室は暗い。
彼の座る席に置いてある魔力灯が光源として少年の痩せた顔を浮かび上がらせている。
机の上にはチェス盤が置いてあり、モノリスの右手にはポーンが握られている。
盤上の局面を見ながらモノリスはゆらゆらと手のポーンを揺らし、やがてことり、と盤上に置いた。
「……」
盤を挟んでモノリスの前に座る人間はいない、代わりに手の平サイズの箱のようなものが置いてあった。
外側は無骨な鈍色の金属であり、前面がガラス張りになって中身が見えるようになっている。
ガラスから伺える中は管状のものが複雑に絡み合ったなんとも言い難い構造になっている。
モノリスがポーンを置いた瞬間、その管がチカチカと細かい明滅を繰り返し、モノリスの顔を照らす。
と、盤上の1マスがぽう、と微かに光り、記号のようなものが浮かび上がる。
「……ん……」
モノリスは小さく呻くとその光ったマスに向かいに用意してある相手側のナイトを置いた。
「ふうむ……」
顎に手を置いて考え込むモノリスの顔を箱の明かりはチカチカと照らしていた。







 「ちくしょう……ついてねえ」
教団兵のスコットは薄暗い地下への階段を下りながら押し付けられた任務に対する不平を漏らした。
任務、といっても大それたものでもない、ただ施設に所属している研究員に研究の推移を聞きに行くだけなのだが……。
問題はその同僚モノリス・クロバーン。
他の研究員とは一線を画すその頭脳は上層部から大きな注目を浴びており、その待遇も他とは一線を画している。
地下に専用の研究施設を与えられるなど長い歴史を誇る「魔導院」にあっても前代未聞だ。
しかしその研究室が他の研究員から「気狂いのおもちゃ箱」などと呼ばれている事を上層部は知っているのだろうか。
「怖いんだよあそこ……」
ぼやきながらスコットは扉の前に立つ。
金属製の扉は長い年月放置されたかのように錆に腐食されており、まるでダンジョンの入口かお化け屋敷かという様相だ。
実は古いどころかこの部屋は相当に新しいはずなのだが、実験の失敗によって腐食性の気体が発生する事故が起こったおりにこのような姿に成り果てたのだという。
危険すぎる。
スコットは恐る恐るその扉をノックする。
カツン、カツン、
「……」
「……」
返答はない、スコットはよっぽどこのままUターンして帰ろうかと思ったが、モノリスがこの部屋に篭ってもう随分と経つのだ。
研究成果云々よりも中で倒れている可能性すらあるのだ。
「くっそ……」
スコットはドアに手をかけて押してみる、ぎいぃっと不吉な音を立てて扉は開いた。
「うっぶ……」
薄暗い空間から異様な空気が溢れ出した。
薬草と薬品と何が何だかよくわからないものの臭いが混ざり合った空気。
スコットは意を決してその空気の中に分け行った。
部屋の中はかなりの広さがあるはずなのだが、あらゆるものが雑多に配置されているためひどく狭く思える。
異様にカラフルな薬品が収まった棚、古びた書籍や図鑑が詰め込まれている本棚、フラスコやビーカー、あらゆる種類の計量器、計測器が乱雑に置かれたテーブル……。
それらをかき分けるようにして部屋の奥に進む。
「うっ……」
スコットはぎく、と足を止める。
異臭がする事も危険な実験が行われる事もこの部屋を訪れたくない一因ではある。
しかし何より人々の足を遠ざける原因がスコットの目の前にあった。いや、「いる」と称するべきか、それとも「ある」と言うべきなのか。
奇妙な診察台のようなものに女性の体が横たわっている。
人間ではない、その体の節々の関節は球体によって接続された人形のものだ。
しかし人形にしてはその肌の色艶は有機物のそれであり、よく見ると微かに腹部が呼吸に合わせて上下しているのがわかる。
そう、呼吸をしている。
シュコー……シュコー……
そして殊更に奇妙な事にその人形には頭部が無い。
その首からは大量のコード類が伸びており、診察台の傍に置いてある機械……スコットにとっては訳のわからない塊にしか見えないものに接続されている。
頭部の代わりに夥しいコード類を生やし、呼吸をする身体……恐らくコードが気道や血管の役割を果たしているのだろう、胸の上下に合わせて管が蠢いている。
(何度見ても薄気味悪い……「神の兵」なんて言われてるが外観はどう見ても魔界の産物だぜ)
「現在、モノリス博士は仮眠中デす」
「はぁぅっっ!?」
背後から突然声をかけられ、今度こそスコットは飛び上がった。
慌てて振り返ってまた凍り付く。
女性の顔があった。
長い白髪を地面に垂らした女性型の人形がスコットを下から見上げている。
背が低い訳ではない、いや背は無い。
女性の首だけが小型の診察台に乗せられて無機質な表情を浮かべているのだ。
その首からはあの身体と同様に大量のコード類が伸びており、診察台に据えられた機械の塊に繋がって蠢いている。
「連絡事項がアル場合、音声記録を残しテ下サい」
人形のように(人形だが)整ったその顔は美しいが、特徴的なのはその白い瞳孔。
殆ど輪郭が見えず、遠目に見ると白目と混じって目線がわからない。
そしてその声は機械で発した音声を無理につなぎ合わせて人間の言葉にしたかのような音声。
意味は聞き取れるが聞くものに強烈な違和感を与える。
「う、あ、いや、その……」
「音声が不明瞭デす、もウ一度入力してクださイ」
「ちょ、ちょっと待ってくれ」
「音声ガ不明瞭でス、モウ一度入力シテください」
「待てって!」
「音声が」
カチッ
スコットが途方に暮れかけた所で不意にその人形の首は黙り込んだ。
見るとその首の繋がっている機械に寄りかかるようにして一人の男が立っている。
「……この機能……駄目だな……」
変声期を迎えていないかのように妙にトーンの高い声で男は呟く。
「……で……」
伸び放題の前髪で顔の前面がほぼ見えず、垂れた髪の奥から深いクマに縁どられた大きな瞳がスコットの顔を覗く。
幽鬼か何かと見まごう白衣の青年だ。
「何か……御用、ですか……」
青年と呼べる年齢であるにも関わらず奇妙に幼く見えるのは瞳の大きい顔立ちもそうだが、その細い顎に髭の類が全く生えておらず、剃り跡すらない事も一因だ。
無論、身だしなみに気を使って処理している訳ではない、生まれつき頭髪以外の体毛が生えてこない体質なのだという。
スコットは咳払いをする。
「モ、モノリス博士、研究室に篭られて何日になるとお思いで?」
「……」
モノリスはごりごりと頭を掻く。
「三日……くらい……?」
「六日です」
「あれ」
「あれ、じゃないです、定期報告の期間もとっくに過ぎてます、何日寝てないんですか?」
「……二回くらいは寝ました」
(む、六日で!?)
モノリスはのそりと近くの戸棚に近づくと鳥籠に似た形状のガラスケースを持ち出した。
「成果はここに」
「……?」
ケースの底には土が敷き詰められており、中には二輪の花が植えられている。その間に奇妙な光沢を放つ宝石のようなものが置いてある。
「?」
「実験の結果が正しいならぼくらは「魔力」への対抗策を見つけた事になる」
「えっ……!?」







 「報告は本当なのかモノリス!モノリス!?」
「現在、モノリス博士は仮眠中デス」
「おわあーっ!?」
騒々しい音にモノリスは仮眠用のソファーからのそのそと身を起こした。
スコットが慌てて研究室を飛び出して軍部の上官であるボーナイに報告し、その報告を受けたボーナイが慌てて研究室に駆けつけたところでまた「彼女」に迎えられたらしい。
毛布を払い除けて起き上がるモノリスの傍にどたどたと上官が駆けつける。
「あれを入口付近に置くなと言っただろうが!」
「あそこしかスペースがなかったんですよ……」
「いや、そんな事はどうでもいい!できたのか!ついにできたのかモノリス!」
焦らなくても報告するから声のボリュームを抑えて欲しい、と思ったがモノリスはその声量に耐えて報告を始める。
「……こちらです」
モノリスは花と宝石の入ったガラスケースをテーブルに置いて見せる。
「こいつは何だ?」
「片方が魔界領で採取された魔界植物、もう片方が普通の花です」
「……モノリス!魔界の物を持ち込むのは禁じられているとあれ程……!」
「魔力の研究に魔力が手元に無いのでは話になりません……ある程度は許可する、との約束です……」
「……」
まだ何か言いたげだったがボーナイは黙った。
「魔界の植物は微量ながら魔力を発しています……このように狭い空間に隔離されると微量であっても空間内の魔力の濃度は上がり始め、やがて他に影響を及ぼし始めます」
「ふむ」
「つまり、一緒に入れられたこの普通の花は微量ながら魔力の影響を受け始めるのが通常です……一週間の間こうして置いておいたものなので十分影響が出る期間です」
言いながらモノリスはもう一つのガラスケースをテーブルに持って来た。
それはすこぶる奇妙な形状をしていた。
ケースの両面に穴が空いており、そこに内側に手が差し込めるよう革製の手袋が取り付けられているのだ。
ガラスと手袋の接する面は中の空気が外に漏れないよう厳重に魔力による細工が施されている。
そしてケースの中には透明の液体が入った小瓶がある。
「ところがこれは……失礼」
そう言うとモノリスは二つのガラスに向けて短い呪文を詠唱する。
と、通常の花が持ってきたもう一つのケースの中に移動した。転移魔法だ。
モノリスはケースの手袋に手を差し込んで中の花をつまみ上げ、ケースの中の小瓶の液体をその花に振りかけた。
この小瓶の液体は魔力を感知すると紫色に変色するという物でこれもモノリスが数年前に完成させたものだ。
……ケースの花は変色する事なく、元の白い色を保ったままだ。
「これは……つまり……」
「影響を受けていません……共に入れた「反作用石」の効果です」
「……これが……!」
ボーナイの視線がもう一つのケースに釘付けになる。
魔界の花と共に入れられている宝石は鈍い輝きを照り返している。
「おいっ!モノリス!手柄だぞ!これは世界を変える発明だ!貴様は英雄になるぞ!」
「……実験での成功はあくまで実験の成功でそれが完璧な結果であるとは」
「いいや!もう待つことはできん!我らには一刻の猶予もないのだ!実績が必要であるというなら早急に実戦への投入を目標に「神の兵」の開発を急げ!」
「……早計に過ぎます……まだ確実性が証明された訳では」
「ところでこの……「反作用石」というのはどういう理論で魔力を封じているのだ?やはり神の加護が宿っておるのか?」
もはや聞いてはいない、モノリスはため息を付く。
「逆、です……これは魔力を発する物質です」
「な、何!?」
ボーナイはぽかん、と口を開ける。
「何だそれは!?ならば余計に魔力の濃度が高まるのが道理ではないのか?」
「いいえ……魔力にはベクトルがあります……これは魔力を感知するとその魔力と同質、同量の逆ベクトルの……ええと……」
モノリスはごりごりと頭を掻く。
「例えば「+1」の魔力を感知するとこの物質は「−1」の魔力を発します……逆に「−1」を感知すると「+1」……「+10」なら「−10」、「−10」なら「+10」……」
「……むう……」
「魔力によって魔力を相殺し、「0」になるように働く物質です……なので、仮に「反作用石」と名付けました……」
異様な考えだ。
魔力を辟易し、とにかく忌むべきものとして考える他の研究員とは思想が根本から違う。彼は魔力をただ純粋な「現象」として捉えている。
だからこそ魔力によって魔力を抑えるなどという異端の発想を思いつく事ができるのだ。
「……モノリス、その原理は誰にも明かすんじゃないぞ」
「……」
「その石には主神の加護が宿っており、魔力を遮断する力がある……そう説明しろ、間違っても魔力を発する物質であるなどと言ってはいかん」
「……はい」
「名前は……そうだな、「神霊石」とでも名付けるとしよう、どうだ?加護がありそうじゃないか」
はははっと笑うボーナイをモノリスは黙って見つめる。
「これで関門は取り払われた……ついに実現する……!「神の兵」が生まれる……!そうだ!我が軍より人類の反撃は始まるのだ……!」
堪えきれないように笑い声を上げるボーナイ、それを見つめるのはモノリスの暗い瞳、と、もう一つの眼差し。
「……」
台の上に乗せられた女性の頭部。
「彼女」はその無機質な白い瞳で二人の姿をじっと見つめていた。







 「……」
「……」
薄暗い研究室、奇妙な香の漂うその場所でモノリスは椅子に座り、チェス盤を前にしている。
カタン
相手側に座る人形がポーンを置く。
現在その首は胴体と繋がっており、衣服も纏っている。
真っ黒なコート。
一見するとゴシック調に見えるが装飾の類が一切なく、ボタンも襟も全てが黒い。
唯一露出しているのがその白い顔に長い白髪、そして人形らしい関節の目立つ手首から先だけだ。
その顔と手首が闇の中に浮かび上がっているように見える。
大きい。
背筋を伸ばして座っているにしてもその影は向かいのモノリスを覆うほどだ。
実際測定すると立った時の身長は2メートル30センチに達するのだ、都のどんな大男よりも背が高い。
その塔のように高い身長に不釣り合いな整った女性の顔がチェス盤に無機質な視線を落としている。
モノリスが作り出した「三つ」の余りに革新的で余りに異質な発明。
一つが先程披露された「反作用石」改め「神霊石」。
もう一つが彼女のボディを構成している物質「魔導聖体」だ
「魔導聖体」とはエネルギーを外気から吸収、蓄積し、動力へと変換する性質を持った「肉」。
その外気のエネルギーとは魔力。
つまり彼女は魔力を動力源にできるという事だ。
無論、現在は魔力のある環境に身を置く事ができないためモノリスの作った特性の燃料を動力にして動いている。
今の状態でもある程度の運動能力を有しているがそれはあくまで一般兵士のレベルであり、歴戦の勇者などにはとても及ばない。
しかし魔力を動力に動き出したなら計算上では勇者クラスの魔力と戦闘力を有する事になる。
しかもその戦力は取り込む魔力の濃度の高さに比例して上がっていく。
魔力の濃度が高い魔界の深部に進めば進むほどに彼女のポテンシャルは解放されていく事になるのだ。
この二つ。
これらは仕事で作った物だ。
しかし三つ目の「自律制御」。これは仕事で作った物ではない。
「……シシー」
モノリスは彼女の名を呼んだ。
「神の兵」「人形」「兵器」……口の悪い外部からは「ガラクタ」「おもちゃ」などとも呼ばれている彼女の名前。
二人でいる時以外で呼んだ事はない、公式の登録にも表記されていない。
創造者であるモノリス以外は誰も知らない彼女の本当の名前。
「はイ」
「勇者ではもう、アテにならないそうだ」
コトン
「ハい」
「お前が勇者に代わる人の希望なんだそうだ」
「光栄デス」
「……くくくっ……」
シシーにいわゆる「人格」は無い。
今の返答もプログラムされた中から当たり障りのない答えを選んだだけなのだろう。
しかしその無感情な物言いがいかにも興味のない事柄に適当に返事をしたように聞こえてモノリスはおかしみを覚えた。
コトン
「チェックメイト……」
「お見事でス」
試合の結果はモノリスの勝利。
しかし内容は僅差、深い思考を要求される内容だった。
都の中でもモノリス相手にここまで競る事ができるのはこの人形だけである。
思考能力が人間よりも優れている……と、いう訳ではない。彼女の思考はチェスに対して先鋭化されているのだ。
強い筈である。彼女の本業は本来こちら……チェスを打つために生まれた存在なのだから。
15/10/05 21:53更新 / 雑兵
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■作者メッセージ
オフラインが遅れた原因。
・・・「私の狂気」でもそんな事を言っていた記憶がある。

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