不思議の国の有罪判決
コツッ……コツッ……コツッ……
チャラン、チャラン、チャラン、チャラン、
薄暗い階段に軽快な靴音と金属音が響く。
「〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪」
その音と同時にちょっと調子の外れた口笛も響く。
その明るい調子は石造りの壁に紫の魔力灯がともる重々しい場所の雰囲気に似つかわしくないくらいだ。
鼻歌の主は一人の女性、と言っても普通の女性ではない。
きっちりと礼服を着こなした体のそこかしからきのこがにょきにょきと生えている。そう、不思議の国の狂気の淑女ことマッドハッターだ。
チャラン、チャラン、チャラン
金属音を鳴らしているのは礼服の腰から下がっている大きな鍵束。
磨き抜いたようにぴかぴかで一本一本にやたらと凝った装飾が為されている。
そのマッドハッターが手元にある書類の束に目を通しながら石の階段を下りているのだ。
どうやら城の地下室に向かう階段のようだ。周囲の空気は風通しの悪い場所特有の湿気に満ちている。
コツ……
階段を下り切った所には扉が一つあった。
処刑道具「鉄の処女」を思わせる無慈悲な女性の顔が刻み込まれたその鉄の扉は密閉性が高く、中の様子は伺えない。
「〜〜〜♪」
マッドハッターは口笛を吹きながら腰に下げた大きな鍵束から扉と同じ女性の顔の装飾が彫り込まれた鍵を選び、差し込んだ。
カチャン……ギィィィ……
滑らかな回転で開錠が為され、重々しい音と共に扉が開く。
ぶわっ
と、扉の内側から濃密な魔力が生ぬるい空気と共に溢れ出た。
魔力だけではない、その空気に混じる匂いは性臭……男女のまぐわいの際に発される汗、精液、愛液の匂いも多分に含まれていた。
密閉されている空間の中に充満していたらしいそれはたちまち扉を開けた淑女を包み込む。
「♪」
しかしマッドハッターはその空気をまるで清風でも浴びるように涼しい顔で受け流し、扉の内に足を踏み入れた。
・
・
・
部屋はそれ程広いものではなかった、丁度宿屋の一室くらいだろうか。
壁はやはり石造りでそこかしこに設けてある窪みに置かれた魔力の蝋燭が薄暗く、怪しい光を室内に投げかけている。
ぴちゃ……ぺちゃ……ぬちゃ、にちゃ……くちゃ……
その部屋の中央に場違いに豪奢な大きいベッドがあった。
大人が五〜六人は余裕で寝転べそうなサイズのそのベッドには天蓋が設けられており、薄いカーテンでもって内側が隠されている。
ベッドの四隅では香が焚かれており、何とも言えない香りを放っている、魔界のハーブのお香だ。
ぐちゅ……ぴちゃ……にっちゅ……ぬちゅ……
そのカーテンの中からひっきりなしに水音が聞こえて来る。
どうやら部屋を満たす性臭も魔力も発生源はそこらしい。
「お、やっているな」
マッドハッターはそう言って微笑むとすっとベッドに近づき、天蓋から垂れ下がる紐を引いた。
するすると幕が上がり、中の様子が露わになる。
淫惨、そう称していいような状態だった。
豪奢な見た目に違わぬ柔らかそうなシーツの上では一見して何人かわからない程の人間が一つの肉塊のように絡み合い、蠢いていた。
どうやらベッドの上の一人の男性に複数の歳若い女性が群がっている様子だった。
特に股間に重点的に群がっている。
見れば大きく開かれた両の足に体を擦り付けながら肉柱の両側からじゅるじゅると横咥えにする少女が二人。
その足の間に小柄な少女が二人、左右の睾丸を分け合うようにしてころころと舐め転がしている。
両腕にも乗しかかる少女が二人、この二人は男性の両乳首に舌を這わせている。
そして男性の頭に逆さに覆い被さる形の女性は男性にキスとも呼べないような舌の交わりを行っている。
総勢七人、七人の女性と一人の男性が絡み合っている。
さらに観察してみるとその女性たちには例外なく羽と尻尾……サキュバスの特徴が備わっていた。
いずれもそのサキュバスの肢体に肌を隠す役割を放棄したような衣服を纏っていた。
肌が透けて見える薄い素材であったり、殆ど紐のような物であったり、乳房や秘所だけを露出するような物であったり……。
どれもこれも娼婦であっても着るのを躊躇うようなものばかりだ。
そのように淫らに着飾った女達が一人の男性に奉仕をしているのだ。
女性達は肌の色も髪の色もまちまちであり、統一性は無い、しかしそれぞれに美しい。
一見すると金に飽かせた豪族の淫らな遊戯のようにも見えるがそれとは決定的に違う箇所がある。
それは組み敷かれている男性の両手足がベッドに大の字に括りつけられている所だ。
肌を傷付けないように柔らかな布の上から紐で縛られているが、それは男性に一切の抵抗を許さない戒めの役割を十分に果たしている。
そしてもう一点が女性達の目、雇われた娼婦では有り得ない心の底から心酔した目。
唯一無二の恋人に対するような夢中の目をしていた、そしてそれぞれの奉仕に一切の手抜きがない。
その愛撫を一身に受ける男性の快楽たるや如何程のものか、びくびくとわななき、腰をがくがくと揺らすその動きは自らの意思によるものではないだろう。
その愛撫が始まってかなり時間が経つらしく、全員の肌はしっとりと汗に濡れて蝋燭の明かりを照り返し、ぬらぬらと光っている。
恐ろしく妖艶な絵画だった。
「こほん、えー、さて、被告人の名はコルトーニ・フェンサー、職業は……神父、神父だね？」
「くちゅ……ちゅぷ、くちゅぱっ……」
「よろしい」
女性に口を貪られている男性が返事できるはずもないのだが、マッドハッターも返事を期待して聞いている訳ではないらしい。返事を待たずにぺらぺらと手元の書類を捲る。
「私は臨時裁判官のクルグリィ・クルグィーナ・クルファーフ、という、長くて覚えにくければクルフと呼んでくれて構わない、ああ、呼べないか」
「じゅる、じゅぷ、ぐちゅぷ……」
男性は一応聞こえてはいるらしくもぞもぞと身悶えるが、拘束されているのと何より女達の愛撫によって口をきく事すらできない状態だ。
「さて、貴公、コルトーニ・フェンサーは神父として若いながらも真摯に、清らかに、慎ましく、正に神父の鏡といえる暮らしを送っていた、不思議の国の住民としては清貧の概念は理解できないまでも立派に職務を勤めようという貴公の生活態度は賞賛に値するものと受け取る」
「じゅるるるぅ……」
「ぢゅぷん……」
肉棒を両脇から舐める赤毛の少女と金髪の少女は片方が亀頭をしゃぶる時には片方が根元を愛撫し、片方がせり上がって亀頭に達すると逆側は根元に降りるというペースで休みなく全体をしゃぶる。
「そんな貴公の身にとある事件が起こった……」
クルフはぴしゃぴしゃと書類を叩く。
「徒党を組んで盗みを働いていた貧民街の身寄りのない少女達……パセト、マリーニ、フェルミー、トアラ、クツ、そしてマシェート、ルチェート姉妹……この七人が貴公の教会に転がり込んで来た、少女達の所業に業を煮やした商店の主人達がとうとう武器を手に少女たちを捕らえようとした訳だ」
「れろ、えろぉ……」
「じゅっぷ……ちゅっぷ……」
七人の中でも幼く、そして似通った容姿の二人は睾丸に吸い付いていた。
片方は口に含んで飴玉のように舐め回し、片方は吸い付いては開放し、また吸い付くのを繰り返す、あくまで痛みを与えないようなソフトな、しかし丹念な愛撫だ。
「少女達は貴公に泣いて取りすがった、このままでは捕まって娼館に売り払われてしまう、と、貴公は受け入れた……」
一旦ここでクルフは書類から目を上げた。
「反魔物領においてはこの少女達を匿った部分が罪に問われるのだろうな、だが違う、ここではない、ここは実に賞賛に値する」
そう言ってまた書類に目を落とす。
「追っ手の主人達をどうにか諭し、自らの少ない懐を枯らして損害の埋め合わせをし……貧民街の年若い神父の蓄えなんぞ高が知れているだろうによくやったもんだ、貴公は少女たちを教会で更生させる事を誓う」
「ぺろぺろぺろ……」
「ぴちゃぴちゃ……」
両乳首を舐める茶色の髪とそれより深いこげ茶色の髪の二人の少女は猫か犬かのように一心不乱に舌を動かし、腕に体を擦り付ける。
「その後が大変だった、育ちが悪く、そもそも大人を信じない少女達のこと、すぐに教会から逃げ出そうと試みたりサボったりまた盗みを働こうとしたり……しかし貴公は辛抱強く少女達に接し、決して諦めなかった」
「んむ……んぅ……くちゃ……」
上から被さってキスをする黒髪の少女が一番大人びた体つきをしていた、その肢体をくねらせながら夢見るような表情で神父の唇と舌を貪る。
「大人からろくな扱いを受けてこなかった少女達は貴公に対する不信感を拭い去れずにいたが……貴公の長期に渡る努力によって心を開き始めるのだった……実に美談だ」
クルフはうっとりした顔になる、神父はびくんびくんと体を痙攣させる。
「そして、第二の事件だ」
クルフの表情が固くなる。
「少女の一人……マリーニ氏がある日貴公の前で着衣をはだけた、貴公にお礼がしたいという事だった、当然貴公はやんわりと断る、神父だから当然の事だろう……だがしかし……」
かりかりときのこの生え際を掻く。
「ここで馬鹿正直に相手の言葉通り「お礼」と受け止めている事に既に兆候が現れている、少女達は育ちは悪くとも一様に生娘、その生娘が「お礼」で体を差し出す訳もなかろうに……」
クルフは粘液を飛び散らせながら蠢く肉体にこつこつと近付く。
「その後もチョコレートプレゼント事件……デート争奪戦事件……告白ニアミス事件……それらを経ても貴公の少女達への理解度は一向に改善されず……あの事件が起こる」
ずい、と怒り顔を神父に近付ける、最も肉に埋もれる神父には見えないが。
「トアラ氏による下着盗難自慰事件……これに対する対応は目に余るものであった、貴公はこれを盗難癖の再発と見て厳しく説教し、自慰行為に至っては「欲への逃避」と断じた……」
グイッ
「……んむぅっ？」
クルフは陰茎にしゃぶりついている片方の少女の頭に手を置いた。
「少女の……！純粋な……！情動に気付くことなく……！あまつさえ……！その欲望を責める……！これは……！極めて……！罪が重い……！」
じゅっぷ！、じゅっぽ！、じゅっぷ！、じゅっぷ！、じゅっぽ！
言葉に合わせて少女の頭を強引にピストンさせ、激しいイマラチオを強要する。
「んろぉぉ！んぶむぅぅ！ンじゅぷちゅぅぅっ！」
しかしその仕打ちを受けた少女はむしろ喜悦の表情を深め、クルフの手の動きに合わせてタコのように何度も陰茎にしゃぶりついた。
神父の腰が踊り上がり、大量の先走りがじくじくと先端から溢れ出す、少女達は喜々としてその粘液を啜る。
「これは不思議の国の法律第1254条「鈍感罪」及び20046条「強制フラグ回避罪」に該当する、叙情酌量の余地は無し……貴公は「肉体奉仕」三ヶ月の刑に処する……と、まあそんな訳だ」
笑みを表情に戻したクルフは書類を下ろす。
「貴公にはその身でたっぷりと少女達の欲望を満たす事で償ってもらう、刑期は三ヶ月……なあに、淫魔と休みなしに交われば二日と待たず順応した体になる」
ぞろり、と少女達の動きが変わる。
拘束された神父に絡みつきながら唇を奪っていた少女が移動し、神父の腰の上に跨る。
「ぷふぁっ……！待っ……！んじゅぷ……！」
間髪入れず他の少女が口を塞ぎ、神父には一切の発言が許されない。
「肉ヒダの一枚一枚にまでしっ……かりと奉仕する事だな……顔を見ずともオマンコの具合で七人の区別が付くぐらいに、ね」
跨った黒髪の少女は妖艶な笑みを浮かべ、未使用の女性器をくちゃぁ……と指で割り開いて見せる。
それを見た他の生娘の淫魔達も自分の順番を想像したのかくなくなと腰をくねらせる。
「では、三ヶ月だ、ごゆっくり」
クルフは帽子を押さえて一礼するとすっと紐を引いてベッドの幕を下ろす、それに合わせるように少女が腰を落とした。
「……っと、そうだ、心配せずともその後の終身刑、もとい、八人合同結婚式の準備も……っと、聞こえていないか」
苦笑を浮かべたクルフはもはや粘液の音しか聞こえないベッドに背を向け、部屋を出る。
重々しい扉を閉じ、嬌声と水音と濃厚な魔力を中に閉じ込め、しっかりと鍵を掛けた。
「さあて、お茶会お茶会」
チャラン、チャラン、チャラン、チャラン、
薄暗い階段に軽快な靴音と金属音が響く。
「〜〜〜♪〜〜〜♪〜〜〜♪」
その音と同時にちょっと調子の外れた口笛も響く。
その明るい調子は石造りの壁に紫の魔力灯がともる重々しい場所の雰囲気に似つかわしくないくらいだ。
鼻歌の主は一人の女性、と言っても普通の女性ではない。
きっちりと礼服を着こなした体のそこかしからきのこがにょきにょきと生えている。そう、不思議の国の狂気の淑女ことマッドハッターだ。
チャラン、チャラン、チャラン
金属音を鳴らしているのは礼服の腰から下がっている大きな鍵束。
磨き抜いたようにぴかぴかで一本一本にやたらと凝った装飾が為されている。
そのマッドハッターが手元にある書類の束に目を通しながら石の階段を下りているのだ。
どうやら城の地下室に向かう階段のようだ。周囲の空気は風通しの悪い場所特有の湿気に満ちている。
コツ……
階段を下り切った所には扉が一つあった。
処刑道具「鉄の処女」を思わせる無慈悲な女性の顔が刻み込まれたその鉄の扉は密閉性が高く、中の様子は伺えない。
「〜〜〜♪」
マッドハッターは口笛を吹きながら腰に下げた大きな鍵束から扉と同じ女性の顔の装飾が彫り込まれた鍵を選び、差し込んだ。
カチャン……ギィィィ……
滑らかな回転で開錠が為され、重々しい音と共に扉が開く。
ぶわっ
と、扉の内側から濃密な魔力が生ぬるい空気と共に溢れ出た。
魔力だけではない、その空気に混じる匂いは性臭……男女のまぐわいの際に発される汗、精液、愛液の匂いも多分に含まれていた。
密閉されている空間の中に充満していたらしいそれはたちまち扉を開けた淑女を包み込む。
「♪」
しかしマッドハッターはその空気をまるで清風でも浴びるように涼しい顔で受け流し、扉の内に足を踏み入れた。
・
・
・
部屋はそれ程広いものではなかった、丁度宿屋の一室くらいだろうか。
壁はやはり石造りでそこかしこに設けてある窪みに置かれた魔力の蝋燭が薄暗く、怪しい光を室内に投げかけている。
ぴちゃ……ぺちゃ……ぬちゃ、にちゃ……くちゃ……
その部屋の中央に場違いに豪奢な大きいベッドがあった。
大人が五〜六人は余裕で寝転べそうなサイズのそのベッドには天蓋が設けられており、薄いカーテンでもって内側が隠されている。
ベッドの四隅では香が焚かれており、何とも言えない香りを放っている、魔界のハーブのお香だ。
ぐちゅ……ぴちゃ……にっちゅ……ぬちゅ……
そのカーテンの中からひっきりなしに水音が聞こえて来る。
どうやら部屋を満たす性臭も魔力も発生源はそこらしい。
「お、やっているな」
マッドハッターはそう言って微笑むとすっとベッドに近づき、天蓋から垂れ下がる紐を引いた。
するすると幕が上がり、中の様子が露わになる。
淫惨、そう称していいような状態だった。
豪奢な見た目に違わぬ柔らかそうなシーツの上では一見して何人かわからない程の人間が一つの肉塊のように絡み合い、蠢いていた。
どうやらベッドの上の一人の男性に複数の歳若い女性が群がっている様子だった。
特に股間に重点的に群がっている。
見れば大きく開かれた両の足に体を擦り付けながら肉柱の両側からじゅるじゅると横咥えにする少女が二人。
その足の間に小柄な少女が二人、左右の睾丸を分け合うようにしてころころと舐め転がしている。
両腕にも乗しかかる少女が二人、この二人は男性の両乳首に舌を這わせている。
そして男性の頭に逆さに覆い被さる形の女性は男性にキスとも呼べないような舌の交わりを行っている。
総勢七人、七人の女性と一人の男性が絡み合っている。
さらに観察してみるとその女性たちには例外なく羽と尻尾……サキュバスの特徴が備わっていた。
いずれもそのサキュバスの肢体に肌を隠す役割を放棄したような衣服を纏っていた。
肌が透けて見える薄い素材であったり、殆ど紐のような物であったり、乳房や秘所だけを露出するような物であったり……。
どれもこれも娼婦であっても着るのを躊躇うようなものばかりだ。
そのように淫らに着飾った女達が一人の男性に奉仕をしているのだ。
女性達は肌の色も髪の色もまちまちであり、統一性は無い、しかしそれぞれに美しい。
一見すると金に飽かせた豪族の淫らな遊戯のようにも見えるがそれとは決定的に違う箇所がある。
それは組み敷かれている男性の両手足がベッドに大の字に括りつけられている所だ。
肌を傷付けないように柔らかな布の上から紐で縛られているが、それは男性に一切の抵抗を許さない戒めの役割を十分に果たしている。
そしてもう一点が女性達の目、雇われた娼婦では有り得ない心の底から心酔した目。
唯一無二の恋人に対するような夢中の目をしていた、そしてそれぞれの奉仕に一切の手抜きがない。
その愛撫を一身に受ける男性の快楽たるや如何程のものか、びくびくとわななき、腰をがくがくと揺らすその動きは自らの意思によるものではないだろう。
その愛撫が始まってかなり時間が経つらしく、全員の肌はしっとりと汗に濡れて蝋燭の明かりを照り返し、ぬらぬらと光っている。
恐ろしく妖艶な絵画だった。
「こほん、えー、さて、被告人の名はコルトーニ・フェンサー、職業は……神父、神父だね？」
「くちゅ……ちゅぷ、くちゅぱっ……」
「よろしい」
女性に口を貪られている男性が返事できるはずもないのだが、マッドハッターも返事を期待して聞いている訳ではないらしい。返事を待たずにぺらぺらと手元の書類を捲る。
「私は臨時裁判官のクルグリィ・クルグィーナ・クルファーフ、という、長くて覚えにくければクルフと呼んでくれて構わない、ああ、呼べないか」
「じゅる、じゅぷ、ぐちゅぷ……」
男性は一応聞こえてはいるらしくもぞもぞと身悶えるが、拘束されているのと何より女達の愛撫によって口をきく事すらできない状態だ。
「さて、貴公、コルトーニ・フェンサーは神父として若いながらも真摯に、清らかに、慎ましく、正に神父の鏡といえる暮らしを送っていた、不思議の国の住民としては清貧の概念は理解できないまでも立派に職務を勤めようという貴公の生活態度は賞賛に値するものと受け取る」
「じゅるるるぅ……」
「ぢゅぷん……」
肉棒を両脇から舐める赤毛の少女と金髪の少女は片方が亀頭をしゃぶる時には片方が根元を愛撫し、片方がせり上がって亀頭に達すると逆側は根元に降りるというペースで休みなく全体をしゃぶる。
「そんな貴公の身にとある事件が起こった……」
クルフはぴしゃぴしゃと書類を叩く。
「徒党を組んで盗みを働いていた貧民街の身寄りのない少女達……パセト、マリーニ、フェルミー、トアラ、クツ、そしてマシェート、ルチェート姉妹……この七人が貴公の教会に転がり込んで来た、少女達の所業に業を煮やした商店の主人達がとうとう武器を手に少女たちを捕らえようとした訳だ」
「れろ、えろぉ……」
「じゅっぷ……ちゅっぷ……」
七人の中でも幼く、そして似通った容姿の二人は睾丸に吸い付いていた。
片方は口に含んで飴玉のように舐め回し、片方は吸い付いては開放し、また吸い付くのを繰り返す、あくまで痛みを与えないようなソフトな、しかし丹念な愛撫だ。
「少女達は貴公に泣いて取りすがった、このままでは捕まって娼館に売り払われてしまう、と、貴公は受け入れた……」
一旦ここでクルフは書類から目を上げた。
「反魔物領においてはこの少女達を匿った部分が罪に問われるのだろうな、だが違う、ここではない、ここは実に賞賛に値する」
そう言ってまた書類に目を落とす。
「追っ手の主人達をどうにか諭し、自らの少ない懐を枯らして損害の埋め合わせをし……貧民街の年若い神父の蓄えなんぞ高が知れているだろうによくやったもんだ、貴公は少女たちを教会で更生させる事を誓う」
「ぺろぺろぺろ……」
「ぴちゃぴちゃ……」
両乳首を舐める茶色の髪とそれより深いこげ茶色の髪の二人の少女は猫か犬かのように一心不乱に舌を動かし、腕に体を擦り付ける。
「その後が大変だった、育ちが悪く、そもそも大人を信じない少女達のこと、すぐに教会から逃げ出そうと試みたりサボったりまた盗みを働こうとしたり……しかし貴公は辛抱強く少女達に接し、決して諦めなかった」
「んむ……んぅ……くちゃ……」
上から被さってキスをする黒髪の少女が一番大人びた体つきをしていた、その肢体をくねらせながら夢見るような表情で神父の唇と舌を貪る。
「大人からろくな扱いを受けてこなかった少女達は貴公に対する不信感を拭い去れずにいたが……貴公の長期に渡る努力によって心を開き始めるのだった……実に美談だ」
クルフはうっとりした顔になる、神父はびくんびくんと体を痙攣させる。
「そして、第二の事件だ」
クルフの表情が固くなる。
「少女の一人……マリーニ氏がある日貴公の前で着衣をはだけた、貴公にお礼がしたいという事だった、当然貴公はやんわりと断る、神父だから当然の事だろう……だがしかし……」
かりかりときのこの生え際を掻く。
「ここで馬鹿正直に相手の言葉通り「お礼」と受け止めている事に既に兆候が現れている、少女達は育ちは悪くとも一様に生娘、その生娘が「お礼」で体を差し出す訳もなかろうに……」
クルフは粘液を飛び散らせながら蠢く肉体にこつこつと近付く。
「その後もチョコレートプレゼント事件……デート争奪戦事件……告白ニアミス事件……それらを経ても貴公の少女達への理解度は一向に改善されず……あの事件が起こる」
ずい、と怒り顔を神父に近付ける、最も肉に埋もれる神父には見えないが。
「トアラ氏による下着盗難自慰事件……これに対する対応は目に余るものであった、貴公はこれを盗難癖の再発と見て厳しく説教し、自慰行為に至っては「欲への逃避」と断じた……」
グイッ
「……んむぅっ？」
クルフは陰茎にしゃぶりついている片方の少女の頭に手を置いた。
「少女の……！純粋な……！情動に気付くことなく……！あまつさえ……！その欲望を責める……！これは……！極めて……！罪が重い……！」
じゅっぷ！、じゅっぽ！、じゅっぷ！、じゅっぷ！、じゅっぽ！
言葉に合わせて少女の頭を強引にピストンさせ、激しいイマラチオを強要する。
「んろぉぉ！んぶむぅぅ！ンじゅぷちゅぅぅっ！」
しかしその仕打ちを受けた少女はむしろ喜悦の表情を深め、クルフの手の動きに合わせてタコのように何度も陰茎にしゃぶりついた。
神父の腰が踊り上がり、大量の先走りがじくじくと先端から溢れ出す、少女達は喜々としてその粘液を啜る。
「これは不思議の国の法律第1254条「鈍感罪」及び20046条「強制フラグ回避罪」に該当する、叙情酌量の余地は無し……貴公は「肉体奉仕」三ヶ月の刑に処する……と、まあそんな訳だ」
笑みを表情に戻したクルフは書類を下ろす。
「貴公にはその身でたっぷりと少女達の欲望を満たす事で償ってもらう、刑期は三ヶ月……なあに、淫魔と休みなしに交われば二日と待たず順応した体になる」
ぞろり、と少女達の動きが変わる。
拘束された神父に絡みつきながら唇を奪っていた少女が移動し、神父の腰の上に跨る。
「ぷふぁっ……！待っ……！んじゅぷ……！」
間髪入れず他の少女が口を塞ぎ、神父には一切の発言が許されない。
「肉ヒダの一枚一枚にまでしっ……かりと奉仕する事だな……顔を見ずともオマンコの具合で七人の区別が付くぐらいに、ね」
跨った黒髪の少女は妖艶な笑みを浮かべ、未使用の女性器をくちゃぁ……と指で割り開いて見せる。
それを見た他の生娘の淫魔達も自分の順番を想像したのかくなくなと腰をくねらせる。
「では、三ヶ月だ、ごゆっくり」
クルフは帽子を押さえて一礼するとすっと紐を引いてベッドの幕を下ろす、それに合わせるように少女が腰を落とした。
「……っと、そうだ、心配せずともその後の終身刑、もとい、八人合同結婚式の準備も……っと、聞こえていないか」
苦笑を浮かべたクルフはもはや粘液の音しか聞こえないベッドに背を向け、部屋を出る。
重々しい扉を閉じ、嬌声と水音と濃厚な魔力を中に閉じ込め、しっかりと鍵を掛けた。
「さあて、お茶会お茶会」
14/09/23 21:19更新 / 雑兵