崩壊
ウーズラは自分の体形が嫌いだった。
それを言うなら自分の中で好きな部分など無いに等しいが、身体的特徴には特にコンプレックスがあった。
顔は不細工なのだからせめて身長は伸びて欲しいという本人の願いとは裏腹に育ち盛りの時期を迎えても一向に背は伸びず。
気が付けばクラスの中で最下位の身長になっていた。
手足の短さは見栄が良くない上に武術の上でも不利に働く、それでなくとも運動神経が鋭い方ではないというのに。
かといって魔術の才があるかと言えばそんな事はない、才能があったならこんな事態になる発端を起こす事もなかった。
そして最も恥ずかしい事に、ウーズラの体の中で最も成長した部分というのが下半身の一部だった。
そう、着替える時に同級生に指摘されて初めて気付かされたのだが、ウーズラの陰茎は体躯に比べてかなりのサイズを誇る。
身長は最下位なのにアレのサイズは一番。
それが、たまらなく嫌だった。
普通の男なら誇るところかもしれないが、ウーズラの家系は敬虔な信者だ。
主神の教えにおいて性的な事象は辟易すべきものとされている中で、陰茎のサイズの大きさなど取柄でもなんでもない。
そもそも使うあてもない癖に、ずっとそう思っていた。
その自分の最も忌むべき部位が、今。
「ふっ……ふっ……ふっ……ふっ……」
荒い息遣いを肩に感じる。
それに伴って体に密着する柔らかく、引き締まった体から伝わる鼓動。
何より、陰茎に伝わるオラシオの……。
繋がりっぱなしの状態になってから、彼女はずっと辛そうだ。
その彼女の苦しみの根源が自分の「あの」陰茎だと思うと、つくづくやるせない気持ちだった。
そもそも自分が性的な興奮を抑えてこれを小さくする事ができたなら……。
「す……すみませ……」
ぴた、と口元に細い指が当てられる。
「謝らなくていいって、何回も言ってるよね?」
顔を紅潮させながら、オラシオが言う。
その声も普段よりかなり上ずったものだったが……。
「それより、静かにしよ……騒いだら来られるかも……」
「う……うっす……」
そうは言うが、実のところ見つかった所で困るような状態でもない。
二人が監禁されている部屋はベッドと寝具と……贅沢な事に身を清める為の湯の出る風呂が設置されている。
捕虜にあてがわれるような部屋ではないが、それでも入口のドアは固く閉ざされており、窓にも丈夫な格子が嵌められている。
簡素な部屋着で拘束具に繋がれた二人は下手な社交ダンスでもするようによたよたと部屋の中を調べ、どこからか脱出の糸口が掴めないか試行錯誤しているところだった。
無駄な行為かもしれないが、何もせずにじっとしていると快楽に集中してしまう。
とにかく、何かやる事を探さなくてはいけなかった。
「どうにかなりそう……でもないねこれは」
窓の格子を掴んで揺すりながらオラシオが言う。
魔法が使えたならどうにかなったかもしれないが、部屋全体に魔法を封じる結界が張られているようだった。
「……あれってどうだろ」
と、オラシオが上を向いて指さした。
ウーズラも見てみると、格子の嵌っている窓の上、天井付近にもう一つ小窓がある。
小さいが、格子はない。
「で、でも高い……っすね」
「力を合わせればいけるいける、授業でやった基礎訓練思い出して」
「……えー……まあ……」
確かに学園では戦闘以外の走る、飛ぶ、投げる、などの基礎体力向上の訓練も受けている。
しかし……。
「こ、この体勢だと厳しくないっすか」
二人は繋がっている状態である。
「だから「力を合わせて」なの、まず、そっちの格子掴んで?」
「……っす」
ウーズラが格子を掴むと、反対側をオラシオも掴む。
「私はここにこうして……足を置くからね?そっちはそこに……そうそうそこに、そうして登るの」
「で、できるっすかねそんな事」
「やーるーの!ほら、しっかり掴んで」
発破をかけられてウーズラはしっかりと掴む。
「じゃ同時タイミング合わせていくよ……んしょっ」
互いに片足を上げて格子に足を掛けようとする。
「ふっ」
「うぅっ……!」
二人同時に呻き、上げようとした足を一旦降ろす。
ふう、ふう、と、二人で息を整えようとする。
足を上げる事で体勢が変わり、腹に収まっているウーズラの当たる箇所が変わった事で新たな快感が生まれてしまったのだ。
「……大丈夫、気をしっかり持つんだよ」
「う……うっす……」
気をしっかり持ったところでどうなるものでも無いように思えたが、そう答えた。
「せーの、っしょ……」
「……!」
ウーズラは歯を食いしばる。
オラシオが踏ん張ると、膣内がきゅんっとウーズラを締め付けるのだ。
それでなくとも……。
「む、無理っす!無理っす!届かないっす!」
オラシオの長い足は格子に届くが、ウーズラは精一杯に足を上げても届かない。
「あ、ダメか……あーもう、落ち込まないで!わたしが抱えればいいんだから!」
「ど、どうやって!?」
「ウーズラ君は小っさいから……あ、ごめん、でもお陰で抱えれるよ?ほら、しがみついてみて……」
「ええと……」
ウーズラは軽く勢いを付けるとぎゅっ、とオラシオの肩にしがみ付く。
「んっ、くっ、おぅっ……はっ……」
腰に手を回し、オラシオがウーズラを持ち上げる。
小柄とは言え男性一人を持ち上げれるのは足腰の強靭な彼女ならではだろう。
しかし……
(ひぃえっ……は、はず、恥ずかしいこれ)
二人は繋がっているものだから、オラシオの方は膝をがに股気味に広げてウーズラを抱える形になる。
二人は知る由もないが「逆駅弁」とでも言うべきマニアックな体位だ。
「ふぅぅっふぅぅっ」
(それにこれぇっ……!)
踏ん張ると、駄目なのだ。
腰に力を込めると自分がウーズラのをきゅうきゅうと締め上げるのがわかる。
ただでさえ大きいウーズラのモノが、より一層存在感を大きくする。
無論、ウーズラにとっても駄目だ。
ただでさえ抜群の具合の彼女の膣が、まるで搾り取ろうとするように蠢くと頭が真っ白になりそうになる。
「あ、足、足掛けて、ウーズラくんんぅ!?」
声を裏返らせながらオラシオが言うと、ウーズラの片足がどうにか枠に届く。
「う、ん、よし、おし、わた、わたしもいくからねっ……」
息を荒げながらオラシオも足を掛け、よいしょ、と体を持ち上げる。
にぢゃっ
結合部からいやらしい音が漏れたが、二人共顔を真っ赤にしながら気付かない振りをする。
どうにか、二人で格子に乗った状態にまで持っていった。
息を合わせてもう二段ほど格子を登ると、どうにか上の窓に手が届きそうな所まで来た。
「手、手、届きます?」
「待って……よいしょっ……んふっ……」
背を伸ばして窓に手を伸ばす。
ぐぐっと体勢が変わる。
ごりっ
「あっ……あっあっあっあっアッアッ」
と、突然オラシオが伸ばしていた手で格子を掴み、体をぶるぶる震わせる。
「なぁっ!?オラシオさっ……!?」
慌ててオラシオの体を支えるウーズラだが、血が出る程唇を噛み締めて耐えなくてはならなかった。
オラシオの体内が今までにない程にうねったからだ。
「変なのぉぉ……!変なとこ当たったからぁぁ……!おへっ……おへそのとこぉ……!」
繋がったまま不自然な体勢でオラシオが思い切り背伸びした際、ウーズラの張り出した「傘」の部分がオラシオの「スポット」に引っ掛かったのだ。
「……っ!……っっ!……っっ!……」
ガタガタッガタガタガタッ
オラシオは力一杯ウーズラを抱き締め、格子を揺らしながら言葉もなく痙攣し始める。
(まず、い……!)
きゅんっ♪ きゅんきゅんっ♪ きゅぅぅぅんっ♪
痙攣に合わせて陰茎が甘く締め上げられる。
この状態を何というかは知っている、淫魔に教えられた。
「イク」というらしい、こんな状態で弛緩されてしまったら二人揃って落っこちてしまう。
自分も、もう限界だ。
ままよ
ウーズラは歯を食いしばりながら痙攣するオラシオを抱え、力一杯格子を蹴って宙に身を投げ出した。
ドサッ!
「きゃぁうん!?」
何とか、床の上ではなくベッドの上に。
それで限界だった。
びゅっ……くっ……びゅく!びゅく!びゅく!びゅく!
中に出すのは初めてではない。
むしろ何度目か数えきれないくらいだ。無理もない。
あの、オラシオ・デルキャンタと繋がっているのだ。
本来、彼女は自分のような男が触れられるような人種ではない。
勇者として生涯純潔を守り通すか、伴侶を得るとしてもしかるべき相手としかるべき後継を授かるために婚約を結ぶだろう。
今、自分が味わっているのはそんな場所なのだ。
それを、自分のサイズばかり大きい卑しい分身が劣等な遺伝子で好き放題に蹂躙している。
何度も、何度も、繰り返し。
腰が抜けるほどの快楽と、焼き付くような罪悪感を同時に感じる射精。
ウーズラは射精の瞬間、無駄とわかっていても腰を引き離そうとする。
ガシッ
しかし、そのたびにそれを阻止するのが他でもないオラシオのしなやかに長い脚だ。
あの人間離れした瞬発力と機動力を生み出すオラシオの美しい脚。
その筋力が、自分の白濁を逃さず受け取るために使われているのだと思うと多幸感で脳が弾けそうになる。
余計に、射精が止まらなくなる。
「だっ……めっ……!」
その至福から逃れようと腰を挟むオラシオの両足を掴むが、ビクともしない。
それも当然だ、自分の非力な腕でオラシオの健脚から逃れられる訳がないのだ。
どちらにしろ拘束具に阻まれて抜く事など不可能だが……。
結局、ベッドからずり落ちながらも最後の最後まで搾り取られる事になる。
びゅく……びゅく……びゅく……びゅく……
「ごめ……なさ……」
「あやまら、ないでっ……ってばぁ……」
うっとりとした顔で、オラシオが言う。
「わたしこそっ……ごめっ……ありがと……怪我ない……?」
「だ、大丈夫……っす……」
「ね……ねぇ……ねーぇ……?」
「うう……?」
「……嫌じゃ……ないん……だよね……?」
その時、ウーズラの背筋にぞくり、と鳥肌が立った。
オラシオが笑っていたからだ。
いや、捕らえられてからも笑う事はあった。
照れ隠しだったり苦笑いだったり、困った笑いだったり。
だが、今の笑みは違う気がした。
絶頂の直後という事もあるが、とろりと蕩けた眼差しが半分閉じた目から見上げている。
ねっとりと、絡みつく視線だった。
違う。
肉体的な意味での一線はとうに超えてしまっている。
だが、それとは別に、何か決定的なラインを、今超えようとしている。
ウーズラはそう感じた。
「……駄目、だ……」
「ウー……ズラ……」
「負けないで……オラシオさん……俺……俺……」
かぶりを振りながらウーズラが訴える。
「俺なんかに……負けないで……」
身体の快楽に負けないで、と訴える。
オラシオの目が驚きに見開かれる。
「ウーズラ君……」
「オラシオさん!」
「ふふ、ふ、ふ……」
オラシオは喉を鳴らして笑い始める。
「笑っちゃう、ね……きみ……私なんかより……ずっと勇者だよ……」
「そんな事ないっす!俺、俺……守られてばっかで!だらしなく何度も出して……!?」
ぐるん
まだ言い募ろうとするウーズラの体がひっくり返される。
ウーズラの上にオラシオが乗りかかる形になる。
「だっ、あ、あぁ、あっ」
「う、ん♪」
繋がりが深まってしまう。
「またそうして、自分の事を悪く言う……でも知ってるからね、わたし、君がどれだけ素敵か……どれだけ君がわたしを……駄目にしちゃうか……」
にっこりと微笑むと、ぐりぐりと腰をくねらせる。
「はぁっ!?ひぃ!?やめっ……!」
「だぁいすき♪」
ウーズラを見下ろしながら、オラシオは舌なめずりをした。
・
・
・
「先に堕ちたのは……わたし、でした……そこからは……そこからは……」
理事室で、俯きながらオラシオは告白する、自分の罪を。
「そこからは?」
理事長は容赦なく続きを促す。
「健気に抵抗する……ウーズラ君を……わたしは………………」
「オラシオさん」
いつの間にか理事長は席を立ってオラシオの傍に寄り添っていた。
「貴方が犯した罪は消えません、ですが……」
オラシオが顔を上げる、その瞳からはらはらと涙が落ちる。
「ウーズラ・ボナークに対する貴方の想いに偽りはなかったのでしょう?」
「……好き……です……今でも……だけど……」
「行いは罪です、ですが、人が人を愛しむ心そのものに罪はありません……」
「……」
「その行いの詳細を、教えて下さい……」
「……どうしたか……わたしは……わたしは……」
悲痛な後悔と懺悔に彩られていた目が、その記憶を呼び覚ますとまたとろりと陶酔した色になる。
理事長は口元に微かな笑みを浮かべてその顔を見ていた。
それを言うなら自分の中で好きな部分など無いに等しいが、身体的特徴には特にコンプレックスがあった。
顔は不細工なのだからせめて身長は伸びて欲しいという本人の願いとは裏腹に育ち盛りの時期を迎えても一向に背は伸びず。
気が付けばクラスの中で最下位の身長になっていた。
手足の短さは見栄が良くない上に武術の上でも不利に働く、それでなくとも運動神経が鋭い方ではないというのに。
かといって魔術の才があるかと言えばそんな事はない、才能があったならこんな事態になる発端を起こす事もなかった。
そして最も恥ずかしい事に、ウーズラの体の中で最も成長した部分というのが下半身の一部だった。
そう、着替える時に同級生に指摘されて初めて気付かされたのだが、ウーズラの陰茎は体躯に比べてかなりのサイズを誇る。
身長は最下位なのにアレのサイズは一番。
それが、たまらなく嫌だった。
普通の男なら誇るところかもしれないが、ウーズラの家系は敬虔な信者だ。
主神の教えにおいて性的な事象は辟易すべきものとされている中で、陰茎のサイズの大きさなど取柄でもなんでもない。
そもそも使うあてもない癖に、ずっとそう思っていた。
その自分の最も忌むべき部位が、今。
「ふっ……ふっ……ふっ……ふっ……」
荒い息遣いを肩に感じる。
それに伴って体に密着する柔らかく、引き締まった体から伝わる鼓動。
何より、陰茎に伝わるオラシオの……。
繋がりっぱなしの状態になってから、彼女はずっと辛そうだ。
その彼女の苦しみの根源が自分の「あの」陰茎だと思うと、つくづくやるせない気持ちだった。
そもそも自分が性的な興奮を抑えてこれを小さくする事ができたなら……。
「す……すみませ……」
ぴた、と口元に細い指が当てられる。
「謝らなくていいって、何回も言ってるよね?」
顔を紅潮させながら、オラシオが言う。
その声も普段よりかなり上ずったものだったが……。
「それより、静かにしよ……騒いだら来られるかも……」
「う……うっす……」
そうは言うが、実のところ見つかった所で困るような状態でもない。
二人が監禁されている部屋はベッドと寝具と……贅沢な事に身を清める為の湯の出る風呂が設置されている。
捕虜にあてがわれるような部屋ではないが、それでも入口のドアは固く閉ざされており、窓にも丈夫な格子が嵌められている。
簡素な部屋着で拘束具に繋がれた二人は下手な社交ダンスでもするようによたよたと部屋の中を調べ、どこからか脱出の糸口が掴めないか試行錯誤しているところだった。
無駄な行為かもしれないが、何もせずにじっとしていると快楽に集中してしまう。
とにかく、何かやる事を探さなくてはいけなかった。
「どうにかなりそう……でもないねこれは」
窓の格子を掴んで揺すりながらオラシオが言う。
魔法が使えたならどうにかなったかもしれないが、部屋全体に魔法を封じる結界が張られているようだった。
「……あれってどうだろ」
と、オラシオが上を向いて指さした。
ウーズラも見てみると、格子の嵌っている窓の上、天井付近にもう一つ小窓がある。
小さいが、格子はない。
「で、でも高い……っすね」
「力を合わせればいけるいける、授業でやった基礎訓練思い出して」
「……えー……まあ……」
確かに学園では戦闘以外の走る、飛ぶ、投げる、などの基礎体力向上の訓練も受けている。
しかし……。
「こ、この体勢だと厳しくないっすか」
二人は繋がっている状態である。
「だから「力を合わせて」なの、まず、そっちの格子掴んで?」
「……っす」
ウーズラが格子を掴むと、反対側をオラシオも掴む。
「私はここにこうして……足を置くからね?そっちはそこに……そうそうそこに、そうして登るの」
「で、できるっすかねそんな事」
「やーるーの!ほら、しっかり掴んで」
発破をかけられてウーズラはしっかりと掴む。
「じゃ同時タイミング合わせていくよ……んしょっ」
互いに片足を上げて格子に足を掛けようとする。
「ふっ」
「うぅっ……!」
二人同時に呻き、上げようとした足を一旦降ろす。
ふう、ふう、と、二人で息を整えようとする。
足を上げる事で体勢が変わり、腹に収まっているウーズラの当たる箇所が変わった事で新たな快感が生まれてしまったのだ。
「……大丈夫、気をしっかり持つんだよ」
「う……うっす……」
気をしっかり持ったところでどうなるものでも無いように思えたが、そう答えた。
「せーの、っしょ……」
「……!」
ウーズラは歯を食いしばる。
オラシオが踏ん張ると、膣内がきゅんっとウーズラを締め付けるのだ。
それでなくとも……。
「む、無理っす!無理っす!届かないっす!」
オラシオの長い足は格子に届くが、ウーズラは精一杯に足を上げても届かない。
「あ、ダメか……あーもう、落ち込まないで!わたしが抱えればいいんだから!」
「ど、どうやって!?」
「ウーズラ君は小っさいから……あ、ごめん、でもお陰で抱えれるよ?ほら、しがみついてみて……」
「ええと……」
ウーズラは軽く勢いを付けるとぎゅっ、とオラシオの肩にしがみ付く。
「んっ、くっ、おぅっ……はっ……」
腰に手を回し、オラシオがウーズラを持ち上げる。
小柄とは言え男性一人を持ち上げれるのは足腰の強靭な彼女ならではだろう。
しかし……
(ひぃえっ……は、はず、恥ずかしいこれ)
二人は繋がっているものだから、オラシオの方は膝をがに股気味に広げてウーズラを抱える形になる。
二人は知る由もないが「逆駅弁」とでも言うべきマニアックな体位だ。
「ふぅぅっふぅぅっ」
(それにこれぇっ……!)
踏ん張ると、駄目なのだ。
腰に力を込めると自分がウーズラのをきゅうきゅうと締め上げるのがわかる。
ただでさえ大きいウーズラのモノが、より一層存在感を大きくする。
無論、ウーズラにとっても駄目だ。
ただでさえ抜群の具合の彼女の膣が、まるで搾り取ろうとするように蠢くと頭が真っ白になりそうになる。
「あ、足、足掛けて、ウーズラくんんぅ!?」
声を裏返らせながらオラシオが言うと、ウーズラの片足がどうにか枠に届く。
「う、ん、よし、おし、わた、わたしもいくからねっ……」
息を荒げながらオラシオも足を掛け、よいしょ、と体を持ち上げる。
にぢゃっ
結合部からいやらしい音が漏れたが、二人共顔を真っ赤にしながら気付かない振りをする。
どうにか、二人で格子に乗った状態にまで持っていった。
息を合わせてもう二段ほど格子を登ると、どうにか上の窓に手が届きそうな所まで来た。
「手、手、届きます?」
「待って……よいしょっ……んふっ……」
背を伸ばして窓に手を伸ばす。
ぐぐっと体勢が変わる。
ごりっ
「あっ……あっあっあっあっアッアッ」
と、突然オラシオが伸ばしていた手で格子を掴み、体をぶるぶる震わせる。
「なぁっ!?オラシオさっ……!?」
慌ててオラシオの体を支えるウーズラだが、血が出る程唇を噛み締めて耐えなくてはならなかった。
オラシオの体内が今までにない程にうねったからだ。
「変なのぉぉ……!変なとこ当たったからぁぁ……!おへっ……おへそのとこぉ……!」
繋がったまま不自然な体勢でオラシオが思い切り背伸びした際、ウーズラの張り出した「傘」の部分がオラシオの「スポット」に引っ掛かったのだ。
「……っ!……っっ!……っっ!……」
ガタガタッガタガタガタッ
オラシオは力一杯ウーズラを抱き締め、格子を揺らしながら言葉もなく痙攣し始める。
(まず、い……!)
きゅんっ♪ きゅんきゅんっ♪ きゅぅぅぅんっ♪
痙攣に合わせて陰茎が甘く締め上げられる。
この状態を何というかは知っている、淫魔に教えられた。
「イク」というらしい、こんな状態で弛緩されてしまったら二人揃って落っこちてしまう。
自分も、もう限界だ。
ままよ
ウーズラは歯を食いしばりながら痙攣するオラシオを抱え、力一杯格子を蹴って宙に身を投げ出した。
ドサッ!
「きゃぁうん!?」
何とか、床の上ではなくベッドの上に。
それで限界だった。
びゅっ……くっ……びゅく!びゅく!びゅく!びゅく!
中に出すのは初めてではない。
むしろ何度目か数えきれないくらいだ。無理もない。
あの、オラシオ・デルキャンタと繋がっているのだ。
本来、彼女は自分のような男が触れられるような人種ではない。
勇者として生涯純潔を守り通すか、伴侶を得るとしてもしかるべき相手としかるべき後継を授かるために婚約を結ぶだろう。
今、自分が味わっているのはそんな場所なのだ。
それを、自分のサイズばかり大きい卑しい分身が劣等な遺伝子で好き放題に蹂躙している。
何度も、何度も、繰り返し。
腰が抜けるほどの快楽と、焼き付くような罪悪感を同時に感じる射精。
ウーズラは射精の瞬間、無駄とわかっていても腰を引き離そうとする。
ガシッ
しかし、そのたびにそれを阻止するのが他でもないオラシオのしなやかに長い脚だ。
あの人間離れした瞬発力と機動力を生み出すオラシオの美しい脚。
その筋力が、自分の白濁を逃さず受け取るために使われているのだと思うと多幸感で脳が弾けそうになる。
余計に、射精が止まらなくなる。
「だっ……めっ……!」
その至福から逃れようと腰を挟むオラシオの両足を掴むが、ビクともしない。
それも当然だ、自分の非力な腕でオラシオの健脚から逃れられる訳がないのだ。
どちらにしろ拘束具に阻まれて抜く事など不可能だが……。
結局、ベッドからずり落ちながらも最後の最後まで搾り取られる事になる。
びゅく……びゅく……びゅく……びゅく……
「ごめ……なさ……」
「あやまら、ないでっ……ってばぁ……」
うっとりとした顔で、オラシオが言う。
「わたしこそっ……ごめっ……ありがと……怪我ない……?」
「だ、大丈夫……っす……」
「ね……ねぇ……ねーぇ……?」
「うう……?」
「……嫌じゃ……ないん……だよね……?」
その時、ウーズラの背筋にぞくり、と鳥肌が立った。
オラシオが笑っていたからだ。
いや、捕らえられてからも笑う事はあった。
照れ隠しだったり苦笑いだったり、困った笑いだったり。
だが、今の笑みは違う気がした。
絶頂の直後という事もあるが、とろりと蕩けた眼差しが半分閉じた目から見上げている。
ねっとりと、絡みつく視線だった。
違う。
肉体的な意味での一線はとうに超えてしまっている。
だが、それとは別に、何か決定的なラインを、今超えようとしている。
ウーズラはそう感じた。
「……駄目、だ……」
「ウー……ズラ……」
「負けないで……オラシオさん……俺……俺……」
かぶりを振りながらウーズラが訴える。
「俺なんかに……負けないで……」
身体の快楽に負けないで、と訴える。
オラシオの目が驚きに見開かれる。
「ウーズラ君……」
「オラシオさん!」
「ふふ、ふ、ふ……」
オラシオは喉を鳴らして笑い始める。
「笑っちゃう、ね……きみ……私なんかより……ずっと勇者だよ……」
「そんな事ないっす!俺、俺……守られてばっかで!だらしなく何度も出して……!?」
ぐるん
まだ言い募ろうとするウーズラの体がひっくり返される。
ウーズラの上にオラシオが乗りかかる形になる。
「だっ、あ、あぁ、あっ」
「う、ん♪」
繋がりが深まってしまう。
「またそうして、自分の事を悪く言う……でも知ってるからね、わたし、君がどれだけ素敵か……どれだけ君がわたしを……駄目にしちゃうか……」
にっこりと微笑むと、ぐりぐりと腰をくねらせる。
「はぁっ!?ひぃ!?やめっ……!」
「だぁいすき♪」
ウーズラを見下ろしながら、オラシオは舌なめずりをした。
・
・
・
「先に堕ちたのは……わたし、でした……そこからは……そこからは……」
理事室で、俯きながらオラシオは告白する、自分の罪を。
「そこからは?」
理事長は容赦なく続きを促す。
「健気に抵抗する……ウーズラ君を……わたしは………………」
「オラシオさん」
いつの間にか理事長は席を立ってオラシオの傍に寄り添っていた。
「貴方が犯した罪は消えません、ですが……」
オラシオが顔を上げる、その瞳からはらはらと涙が落ちる。
「ウーズラ・ボナークに対する貴方の想いに偽りはなかったのでしょう?」
「……好き……です……今でも……だけど……」
「行いは罪です、ですが、人が人を愛しむ心そのものに罪はありません……」
「……」
「その行いの詳細を、教えて下さい……」
「……どうしたか……わたしは……わたしは……」
悲痛な後悔と懺悔に彩られていた目が、その記憶を呼び覚ますとまたとろりと陶酔した色になる。
理事長は口元に微かな笑みを浮かべてその顔を見ていた。
19/09/01 09:21更新 / 雑兵
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