餓竜再び .1
彼は渓谷の底を歩き続けていた。
岩陰一つ見落とさない様に丁寧に目を配り、慎重に歩みを進める。
その歩みはネコ科の動物の様に、静かに、滑らかに、そして、何よりも気配が無かった。
歩みだけではない。その所作の一つ一つ、呼吸の一息までがそうであった。
当然、生まれついての物ではない。訓練によって身に付けた物である。
彼、レオン・ライラプスの職業は、登山家ではない。
彼の職業は『ランタン』と呼ばれる組織の斥候であった。
彼が住むツァイスは親魔物国家ではあったが、どんな魔物も無条件に受け入れている訳ではない。
過激派と呼ばれる魔物の一派。
ダークプリーストの様な堕落神の積極的な信徒。
サバトと呼ばれる秘密結社。
ローパーの様な強力な繁殖欲を持つ魔物。
そういった、ツァイスの秩序を大きく乱したり、急激な魔界化を引き起こす可能性がある魔物については、入国や行動を制限している上に監視もしており、事の次第によっては国外退去等の処置すら取っている。
そうした裏仕事を担っているのが『ランタン』である。
ツァイスの文化は人と魔物が共存する、多様な華やかさが特徴であるが、その華やかさは彼らの様な存在が陰から支えているからこそとも言えるのだ。
親魔物国家のツァイスとは静かに対立している主神教団の監視も担っている彼等は、決して表には出ないツァイスの国防の要と言っても過言ではなかった。
その彼等にとって、国内の魔物娘の動向を掴む事は最重要事項であり、レオンの様な斥候達は時間や場所を問わず、常にツァイス国内の調査を行っている。
そして、レオンはツァイス南部の白狼山地と呼ばれる地域を偵察していた。
空を飛ぶ魔物娘達の協力によって、ツァイス国内の地図はかなりの精度の物が作られてはいたが、空からでは分からない事も多い。
特に洞窟などは魔物の住処になっている事も多いので、最後には現地で直接調べる必要があるのだ。
今回のレオンの任務は、そうした空白地帯の偵察であった。
慎重ではあるものの、レオンの歩みは決して遅くない。
長身の体を無駄の無い動きで運び、まるで水が坂を遡っている様にスルスルと歩いていく。
魔物は男の精を感じてその存在を知る事が出来るので、気配を消す事がどれほど役に立つかは疑問ではあったが、目立つよりは遥かにマシなのは確かだった。
まだ見つけられていない洞窟を探す為に、わざと歩きづらい場所を選び、岩が入り組んで見通しが悪くなっている場所へと入っていく。
勘が当たり、レオンはそこで地図に載っていない洞窟を見つけた。
入口は外部から死角になっているが、その広さはかなりの物がある。
「さて・・・誰も居なきゃ良いんだがな」
背負い袋から遮光板が付いた小さなカンテラを取り出すと、灯りを点けて遮光板を動かす。
僅かな灯りだけが漏れる様に調整すると、再び猫の様に静かな足取りで、音も無く洞窟へと潜っていった。
それは確かに洞窟ではあったが、全てが相当に広い。
本坑と言える部分の天井の高さは二階建ての家ほどもあり、横幅も似たような物だ。
このまま奥まで続いているのだとすれば、何かしらの魔物の集落が存在していてもおかしくない。
レオンは気配を消したまま、枝道を一本一本慎重に偵察していく。
仮にそこで魔物を見つけたとしても、彼は何もしない。
見つけた魔物が何であろうとも、彼等は決して戦ったりはしない。
彼等は何かと魔物を討伐したがる、因循姑息な教団の勇者ではないのだ。
魔物を見つけた彼等は、魔物にばれない様にその場を撤収し、それを上司に報告するだけである。
彼等の役目は、どこに何が居るかを把握し、ツァイスに混乱をもたらしかねない騒動の芽を探し出す事なのだ。
それ故に、彼は武器を手にしていない。小さなカンテラと研ぎ澄ました五感のみを頼りに洞窟を進む。
もっとも、多少の武器を手にした所で、レオンが勝てる魔物は、かなり限られるのだが。
そうやって奥へ奥へと進んでいくと、洞窟の壁面に変化が現れ始めた。うっすらとだが、壁面の石その物が光を帯びている。
「・・・魔界の鉱石?」
魔界銀を初めとする魔界の鉱石は、暗闇でも光を発する事が知られている。
その光が非常に弱い事から、そこが完全な魔界では無い事が分かる。しかし、それは洞窟が魔界化の過程にあるとも考えられた。
当然、レオンはそれを危険な兆候と捉えていた。
もし、魔物の存在が洞窟を魔界化しつつあるのだとすれば、そこに住み着いている魔物が小物であるとは考えにくい。
こうなるとランタンの灯りと臭いはむしろ危険を招きかねないので、レオンはランタンの火を消して、壁面の明りを頼りに歩き始めた。
「厄介な事になりそうだな・・・」
急速に嫌な予感がし始めたが、それ故に何が居るかを確認しなければならない。
緊張が気配を生む。レオンは自分が平静を保つ事に気を使いながら、更に奥へと進んでいった。
洞窟の最深部とおぼしき場所は、更に一回り広くなっており、明るさも増していた。
明るさ自体は決して強い訳ではないが、洞窟の闇に慣れた目には十分すぎると言っていい。
そこでレオンは目的としていた魔物を見つけた。
離れた岩陰に身を隠し、ザックを傍らに置いてオペラグラスを取り出すと、気配を悟られない様に慎重に観察する。
一目で分かる特徴的な角と羽根と尻尾。
ドラゴン。
違う。
その肌の色には生気が無く、鱗であるはずの部分には白い骨が見える。
ドラゴンゾンビだ。
十代前半で斥候となり、かれこれ十年近くも活動してきたレオンは、今まで何十種類もの魔物を見てきた。
人と共に生きる者、人を襲おうとする者。
精に飢えた者、夫を見つけて満ち足りた者。
昔からツァイスに居る者、遠くからツァイスへ渡ってきた者。
様々な魔物を探し、見つけ出すのがレオンの仕事だと言ってもいい。
だが、そのレオンでもドラゴンゾンビを見るのは始めてだった。
それも、見つけたドラゴンゾンビはまだ幼い姿をしていたのだ。
そのドラゴンゾンビは、まだ少女と言ってもいい様な、どこか華奢さを感じる体をしていた。
その背丈も、レオンの肩にどうにか届くかどうか、といった所だろうか。
短目な灰色の髪のせいで、中性的な少女といった印象を受ける。
基本的にドラゴンゾンビは死んだドラゴンが生き返った物だ。
つまり、幼い内に死んだドラゴンが生き返らなければ、幼いドラゴンゾンビは生まれない。
そして、絶対強者とも言えるドラゴンが幼い内に死ぬ事など、普通なら有り得ない話なのだ。
無論、ドラゴンゾンビも子供を作る事が出来る以上、生まれついてのドラゴンゾンビも居ない訳ではない。
だが、目の前のドラゴンゾンビはそうではないと、レオンは直感的に判断していた。
親しい男性が近くに居る魔物は、それが恋人であれ夫であれ父であれ、安心感がにじみ出てくる。
分かりやすく言えば、満ち足りた幸せそうな顔をしているものだ。
目の前のドラゴンゾンビからは、それを全く感じなかった。
なぜなら、レオンが見付けたドラゴンゾンビは自慰の最中であり、その自慰が終わる気配は全く無かったからだ。
「ふぅ・・・ん、ん・・・」
彼女の左手はふっくらと膨らんだ胸をゆっくりと捏ね、右手は股間を絶え間無く擦り続けている。
はしたなく大股を広げているので、プックリとした秘所までよく見える。
秘所の割れ目に添って指が動く度に、その姿からは想像もつかない様な、ニチャニチャという淫らな水音が聴こえてきていた。
よく見ると、彼女の尻の下から足元にかけて、かなり大きな水溜まりが出来ているのが分かる。
それが洞窟の水滴による物でないのは明らかだった。
「ん〜っ、ふぅっ♥はぁっ♥」
胸を揉む左手の爪で、彼女が小さな乳首を軽く引っ掻くと、その乳首が快感に張り詰める。
ほとんど同時に、右手が割れ目の上の辺りを盛んに弄り始めた。
爪先は力が入って軽く引きつり、腰も軽く浮き始める。
「はっ、ひゃっ、ひんっ♥ヒャン♥」
声は時おり甲高く裏返り、右手と腰は淫らに上下に動き続けたが、それもすぐに終わりが来てしまう。
「あっ♥ヒンッ♥〜〜〜!♥」
彼女の下半身が張り詰めると、秘所から何度も飛沫が激しく吹き出す。
そして、力無く腰が地面に着くと、今度はチョロチョロと尿が漏れる音が聴こえてきた。
その間も彼女の両手は休む事なく、ゆるゆると自分を慰め続けている。
そのまま、すぐに次の自慰が始まるのは明らかだった。
レオンが身を隠している場所からは、その彼女の一部始終が正面からよく見えていた。
幻想的な薄明かりの中で行われたそれは、まるでストリップショーの様だ。
魔物娘の淫らな姿は数え切れないほど見てきたが、そのレオンでも興奮が抑えられない。
その事を自覚したので、呼吸と思考を静かに保とうと努める。
ドラゴンゾンビのブレスは人の倫理を腐れ落とす。吸い込んだのが人間の女性なら、その身までも腐らせてアンデットにしてしまう。
彼女達は多くの人間を、一度に魔物へと変える力を持つのだ。
飢えたドラゴンゾンビともなれば、そのツァイスへの脅威度はかなり高いと言える。
彼女の存在は一刻も早く報告すべきだった。
「・・・いいものみ〜つけた♥」
見つかった!?
違う。
その声はレオンの背後から聞こえてきたのだ。
レオンがその事に気付いた時には、既に背後からガッチリと抱き付かれていた。
岩陰一つ見落とさない様に丁寧に目を配り、慎重に歩みを進める。
その歩みはネコ科の動物の様に、静かに、滑らかに、そして、何よりも気配が無かった。
歩みだけではない。その所作の一つ一つ、呼吸の一息までがそうであった。
当然、生まれついての物ではない。訓練によって身に付けた物である。
彼、レオン・ライラプスの職業は、登山家ではない。
彼の職業は『ランタン』と呼ばれる組織の斥候であった。
彼が住むツァイスは親魔物国家ではあったが、どんな魔物も無条件に受け入れている訳ではない。
過激派と呼ばれる魔物の一派。
ダークプリーストの様な堕落神の積極的な信徒。
サバトと呼ばれる秘密結社。
ローパーの様な強力な繁殖欲を持つ魔物。
そういった、ツァイスの秩序を大きく乱したり、急激な魔界化を引き起こす可能性がある魔物については、入国や行動を制限している上に監視もしており、事の次第によっては国外退去等の処置すら取っている。
そうした裏仕事を担っているのが『ランタン』である。
ツァイスの文化は人と魔物が共存する、多様な華やかさが特徴であるが、その華やかさは彼らの様な存在が陰から支えているからこそとも言えるのだ。
親魔物国家のツァイスとは静かに対立している主神教団の監視も担っている彼等は、決して表には出ないツァイスの国防の要と言っても過言ではなかった。
その彼等にとって、国内の魔物娘の動向を掴む事は最重要事項であり、レオンの様な斥候達は時間や場所を問わず、常にツァイス国内の調査を行っている。
そして、レオンはツァイス南部の白狼山地と呼ばれる地域を偵察していた。
空を飛ぶ魔物娘達の協力によって、ツァイス国内の地図はかなりの精度の物が作られてはいたが、空からでは分からない事も多い。
特に洞窟などは魔物の住処になっている事も多いので、最後には現地で直接調べる必要があるのだ。
今回のレオンの任務は、そうした空白地帯の偵察であった。
慎重ではあるものの、レオンの歩みは決して遅くない。
長身の体を無駄の無い動きで運び、まるで水が坂を遡っている様にスルスルと歩いていく。
魔物は男の精を感じてその存在を知る事が出来るので、気配を消す事がどれほど役に立つかは疑問ではあったが、目立つよりは遥かにマシなのは確かだった。
まだ見つけられていない洞窟を探す為に、わざと歩きづらい場所を選び、岩が入り組んで見通しが悪くなっている場所へと入っていく。
勘が当たり、レオンはそこで地図に載っていない洞窟を見つけた。
入口は外部から死角になっているが、その広さはかなりの物がある。
「さて・・・誰も居なきゃ良いんだがな」
背負い袋から遮光板が付いた小さなカンテラを取り出すと、灯りを点けて遮光板を動かす。
僅かな灯りだけが漏れる様に調整すると、再び猫の様に静かな足取りで、音も無く洞窟へと潜っていった。
それは確かに洞窟ではあったが、全てが相当に広い。
本坑と言える部分の天井の高さは二階建ての家ほどもあり、横幅も似たような物だ。
このまま奥まで続いているのだとすれば、何かしらの魔物の集落が存在していてもおかしくない。
レオンは気配を消したまま、枝道を一本一本慎重に偵察していく。
仮にそこで魔物を見つけたとしても、彼は何もしない。
見つけた魔物が何であろうとも、彼等は決して戦ったりはしない。
彼等は何かと魔物を討伐したがる、因循姑息な教団の勇者ではないのだ。
魔物を見つけた彼等は、魔物にばれない様にその場を撤収し、それを上司に報告するだけである。
彼等の役目は、どこに何が居るかを把握し、ツァイスに混乱をもたらしかねない騒動の芽を探し出す事なのだ。
それ故に、彼は武器を手にしていない。小さなカンテラと研ぎ澄ました五感のみを頼りに洞窟を進む。
もっとも、多少の武器を手にした所で、レオンが勝てる魔物は、かなり限られるのだが。
そうやって奥へ奥へと進んでいくと、洞窟の壁面に変化が現れ始めた。うっすらとだが、壁面の石その物が光を帯びている。
「・・・魔界の鉱石?」
魔界銀を初めとする魔界の鉱石は、暗闇でも光を発する事が知られている。
その光が非常に弱い事から、そこが完全な魔界では無い事が分かる。しかし、それは洞窟が魔界化の過程にあるとも考えられた。
当然、レオンはそれを危険な兆候と捉えていた。
もし、魔物の存在が洞窟を魔界化しつつあるのだとすれば、そこに住み着いている魔物が小物であるとは考えにくい。
こうなるとランタンの灯りと臭いはむしろ危険を招きかねないので、レオンはランタンの火を消して、壁面の明りを頼りに歩き始めた。
「厄介な事になりそうだな・・・」
急速に嫌な予感がし始めたが、それ故に何が居るかを確認しなければならない。
緊張が気配を生む。レオンは自分が平静を保つ事に気を使いながら、更に奥へと進んでいった。
洞窟の最深部とおぼしき場所は、更に一回り広くなっており、明るさも増していた。
明るさ自体は決して強い訳ではないが、洞窟の闇に慣れた目には十分すぎると言っていい。
そこでレオンは目的としていた魔物を見つけた。
離れた岩陰に身を隠し、ザックを傍らに置いてオペラグラスを取り出すと、気配を悟られない様に慎重に観察する。
一目で分かる特徴的な角と羽根と尻尾。
ドラゴン。
違う。
その肌の色には生気が無く、鱗であるはずの部分には白い骨が見える。
ドラゴンゾンビだ。
十代前半で斥候となり、かれこれ十年近くも活動してきたレオンは、今まで何十種類もの魔物を見てきた。
人と共に生きる者、人を襲おうとする者。
精に飢えた者、夫を見つけて満ち足りた者。
昔からツァイスに居る者、遠くからツァイスへ渡ってきた者。
様々な魔物を探し、見つけ出すのがレオンの仕事だと言ってもいい。
だが、そのレオンでもドラゴンゾンビを見るのは始めてだった。
それも、見つけたドラゴンゾンビはまだ幼い姿をしていたのだ。
そのドラゴンゾンビは、まだ少女と言ってもいい様な、どこか華奢さを感じる体をしていた。
その背丈も、レオンの肩にどうにか届くかどうか、といった所だろうか。
短目な灰色の髪のせいで、中性的な少女といった印象を受ける。
基本的にドラゴンゾンビは死んだドラゴンが生き返った物だ。
つまり、幼い内に死んだドラゴンが生き返らなければ、幼いドラゴンゾンビは生まれない。
そして、絶対強者とも言えるドラゴンが幼い内に死ぬ事など、普通なら有り得ない話なのだ。
無論、ドラゴンゾンビも子供を作る事が出来る以上、生まれついてのドラゴンゾンビも居ない訳ではない。
だが、目の前のドラゴンゾンビはそうではないと、レオンは直感的に判断していた。
親しい男性が近くに居る魔物は、それが恋人であれ夫であれ父であれ、安心感がにじみ出てくる。
分かりやすく言えば、満ち足りた幸せそうな顔をしているものだ。
目の前のドラゴンゾンビからは、それを全く感じなかった。
なぜなら、レオンが見付けたドラゴンゾンビは自慰の最中であり、その自慰が終わる気配は全く無かったからだ。
「ふぅ・・・ん、ん・・・」
彼女の左手はふっくらと膨らんだ胸をゆっくりと捏ね、右手は股間を絶え間無く擦り続けている。
はしたなく大股を広げているので、プックリとした秘所までよく見える。
秘所の割れ目に添って指が動く度に、その姿からは想像もつかない様な、ニチャニチャという淫らな水音が聴こえてきていた。
よく見ると、彼女の尻の下から足元にかけて、かなり大きな水溜まりが出来ているのが分かる。
それが洞窟の水滴による物でないのは明らかだった。
「ん〜っ、ふぅっ♥はぁっ♥」
胸を揉む左手の爪で、彼女が小さな乳首を軽く引っ掻くと、その乳首が快感に張り詰める。
ほとんど同時に、右手が割れ目の上の辺りを盛んに弄り始めた。
爪先は力が入って軽く引きつり、腰も軽く浮き始める。
「はっ、ひゃっ、ひんっ♥ヒャン♥」
声は時おり甲高く裏返り、右手と腰は淫らに上下に動き続けたが、それもすぐに終わりが来てしまう。
「あっ♥ヒンッ♥〜〜〜!♥」
彼女の下半身が張り詰めると、秘所から何度も飛沫が激しく吹き出す。
そして、力無く腰が地面に着くと、今度はチョロチョロと尿が漏れる音が聴こえてきた。
その間も彼女の両手は休む事なく、ゆるゆると自分を慰め続けている。
そのまま、すぐに次の自慰が始まるのは明らかだった。
レオンが身を隠している場所からは、その彼女の一部始終が正面からよく見えていた。
幻想的な薄明かりの中で行われたそれは、まるでストリップショーの様だ。
魔物娘の淫らな姿は数え切れないほど見てきたが、そのレオンでも興奮が抑えられない。
その事を自覚したので、呼吸と思考を静かに保とうと努める。
ドラゴンゾンビのブレスは人の倫理を腐れ落とす。吸い込んだのが人間の女性なら、その身までも腐らせてアンデットにしてしまう。
彼女達は多くの人間を、一度に魔物へと変える力を持つのだ。
飢えたドラゴンゾンビともなれば、そのツァイスへの脅威度はかなり高いと言える。
彼女の存在は一刻も早く報告すべきだった。
「・・・いいものみ〜つけた♥」
見つかった!?
違う。
その声はレオンの背後から聞こえてきたのだ。
レオンがその事に気付いた時には、既に背後からガッチリと抱き付かれていた。
17/03/05 15:29更新 / ドグスター
戻る
次へ