たぬきとは種抜きの略
炬燵がぬくい。出る気が無くなる。
珍しく嫁さんが夕食を作ってくれる(料理は僕の方が上手いから)ので、こうして掘炬燵にあたっていられる。
どうした風の吹き回しなのかは知らないが、今日は自分が作ると言うので、全部まかせてしまったのだ。
土間から流れてくる出汁の匂いに、モウモウと立ち上がっている湯気。
いったい何を作っているのかは知らないが、今の調子なら酷い事にはならないだろうと、安心して見ている事にする。
料理を作っている後ろ姿を見ていると、不思議と尻尾がいつも彼女の視線とは別の方を向いている。
どうやら、見ていない方へ向けている意識につられて動いているようだ。
尻尾が右を向いていると彼女も続いて右を向く。
そうすると今度は尻尾が左を向く。しばらくすると彼女も左を向く。また尻尾が右を向く。
モコモコの尻尾をフリフリさせながら料理をしているのが、他愛の無い光景なのに妙に可愛い。
｢可愛い｣と言うと｢歳上相手に生意気や｣と返ってくるので口には出さないけど。
｢ほい、出来上がり、や｣
持ってきたお盆の上には丼が二つ。丼に注がれた色の薄い汁の中には蕎麦と油揚げ。
｢あ、きつねそば｣と言うと、彼女が少しムッとした。
｢きつねはうどんやろ？これは"たぬきそば"や｣
｢たぬきそばって揚げ玉が入ったやつでしょ？｣
｢ウチの故郷では、これを"たぬきそば"と言ぅんや｣
刑部狸の彼女としては譲れない物があるらしく、これはあくまでも"たぬきそば"であるらしい。
議論になりかけるが、出来たばかりの食べ物を、それも蕎麦を前にして喧嘩する事ほど不毛な事も無い。
｢･･･やめやめ。そばが伸びちゃうから早く食べよう｣
｢･･･そうやな｣
炬燵に二人向かい合いながら、蕎麦を前にして手を合わせる。
｢では｣
｢ほな｣
｢｢いただきます｣｣
汁の色は薄いが出汁が利いているので、味が薄い訳ではない。
乾麺だから生蕎麦には敵わないが、寒い日に食べるにはうってつけの物だった。
｢ところで、何でこれが"たぬき"なの？｣
狐が油揚げで稲荷繋がりなのは分かるが、油揚げと狸はどうしても結び付かない。
柚子七味を蕎麦に振り掛けながら、素朴な疑問を彼女に聞いてみた。
｢さあ？あたしも由来は知らんからなぁ｣
"たぬきそば"の名前に拘るわりに、その由来はどうでもいいらしい。
｢油揚げを見て千畳敷の玉袋でも思い浮かべたんと違うかな？｣
｢ブフッ！ゲホゲホ！｣
あまりに酷い推測に思わずむせてしまう。
柚子七味が変な所に入って、咳がなかなか止まらない。
うちの嫁さんは、よりにもよって何て説を言い出すんだ。
｢この油揚げ、食べられなくなっちゃうだろ！｣
｢そんなん、気にする程の事でも無いと思うんやけど｣
本人は気にする訳でもなく、油揚げの甘辛い汁を行儀悪く吸っている。
｢･･･何かいやらしい事を考えてるやろ？｣
｢馬鹿な事を言い出すんじゃありません･･･｣
本当は少しだけ思ったのだが、かじられる油揚げの事を考えると不憫すぎて、すぐにそんな考えは吹っ飛んでしまった。
｢こっちこそ、何で揚げ玉そばが"たぬき"なん？｣
｢天ぷらの種を抜いて衣だけだから、種抜きそば。それが訛ってたぬきそば｣
つまり、狸そのものは関係ない名前だったりする。
｢中身の無い物に"たぬき"なんて付けるのは狸に失礼やないかなぁ｣
｢天ぷらの本体は衣だよ。衣抜きじゃ天ぷらそばじゃなくて海老そばだし｣
｢そういうもんなんかな｣
｢そういうもんじゃないですかね｣
｢そうなんかなあ･･･｣
揚げ物の本質は揚げられた衣の油と香ばしさにあるのだから、揚げ玉は最も単純かつ無駄を削ぎ落とした天ぷらなのだ。
そういう事にしておかないと、面倒な事になりそうな気がしたので、そういう事にしておこう。
｢ごちそうさまでした｣
きっちりと汁まで飲み干して手を合わせる。
やっぱり、こういう食べ物は腹の中から暖まる。
満腹で暖かい。これ程の幸せがあるだろうか。
｢･･･あたしの"ごちそうさま"はまだやけどね？｣
彼女が上目使いによつん這いで僕の傍らに寄ってくる。その目は既に好色そうな色を湛えていた。
妖怪の彼女にしてみれば、こちらの方が主食なのだろうけど、このままだとちょっとまずい。
｢このままだと、また炬燵布団が駄目になっちゃうけど･･･｣
｢大丈夫や。炬燵布団のガワの色が変わっとうやろ？ジョロウグモさんに頼んで作ってもろぅた物やから、後で炬燵布団から外して洗えるんや｣
なんだか妙に炬燵布団の手触りが良いと思ったら、いつの間にそんな小細工を。
｢だから、安心して汚してええよ｣
そう言うと、彼女は僕の股間へと顔を埋めてしまった。
下帯を引き下ろすと、まだ立っていない肉棒に舌を這わせてくる。
彼女の舌先の感触で肉棒はすぐに硬くなり、真上を向いてしまう。
｢見た目優しそうなんに、ここだけは強そうなんやもんなぁ｣
子供でもあやす様に肉棒の頭を撫でてくる。
｢･･･でも、今日はこっちからな？｣
肉棒を軽く掴んで腹側に避けると大股を開かされ、彼女の顔は更に深く足の間へと潜り込んでいく。
肉棒の根元へと舌を這わせていくと、最後には陰嚢へ軽く吸い付いてしまう。
｢ひゃっ、そんな場所っ｣
｢さっきの話の時から、ここを弄られるんを期待してたんと違う？｣
彼女は炬燵の熱で弛んでいた陰嚢を優しく舐めると、片方だけを軟らかく口に含んだり舌で転がしたりと、あっという間に陰嚢を唾液まみれにしてしまった。
最も痛みに弱い場所なのに、伝わってくるのは暖かくて柔らかい快感ばかりだ。
｢そろそろ、ここに溜まってる方も貰おかな？｣
肉棒をくわえて口の中で扱きながら、指先は柔らかく陰嚢を撫でてくる。
弛みきった陰嚢は、彼女の指の上で胡桃の様に弄ばれ、彼女の舌は肉棒の括れをなぞる様に絡み付く。
既に十分に刺激されていた肉棒は、二つの刺激のせいで彼女の望み通りになりつつあった。
｢うぁ･･･もう、出る･･･｣
思わず畳に爪を立てて耐えようとしてしまったが、全ては無駄な抵抗でしかない。
彼女が割れ目に舌を捩じ込んで来た瞬間に、僕は彼女の口の中へと、大量の精液を射精してしまっていた。
｢ん･･･んく･･･ちゅう･･･っはぁ･･･やっぱりこれが一番美味しいなぁ･･･｣
中に残っている分まで吸い出す様に、ゆっくりと肉棒に吸い付いてから唇を放した彼女は、舌に絡みついた精液の味で至福の笑顔を浮かべている。
｢いつもの料理よりも？｣
｢料理とこれは別腹なんよ･･･｣
意地悪な事を言わないで、とでも言いたい様に、色っぽく眉根をひそめて見せた。
｢だから、こっちにも･･･な？｣
彼女は膝立ちになると、僕の腰の上に跨がる。
捲り上げた裾の下から現れたのは、太股までテラテラと汁を垂れ流している秘部だった。
射精しても全く萎えていない肉棒は、むしろ更に硬さを増している。
そこへゆっくりと彼女が腰を下ろして行くと、肉棒は"にちっ"とした肉の感触に包まれていく。
｢ん･･･｣
｢はぁ･･･｣
ズルズルと襞が肉棒を擦りながら、秘部が飲み込んでいくだけで、二人とも体を震わせてしまう。
少しきつめの彼女の秘部は、肉棒にピッタリと密着し、根元まで入れ終わると先端は子宮の入口をかなり押し上げてしまう。
｢奥の方にかなり当たってるけど･･･大丈夫？｣
いつも無理をしてなければいいと思うのだが、彼女はその感触が好みらしい。
｢･･･お腹の奥まで犯されてる、この感触がええんやん｣
その感触を確かめる様に、ユルユルと腰を回して、子宮の入口を擦り付けてくる。
｢ほな･･･動こ？｣
息を荒くする彼女は、僕の肩に手を掛けるとゆっくりと腰を引き上げた後に、根元まで一気に押し込む。
その度に、襞が肉棒の括れを撫で上げ、子宮が先端に叩き付けられる。
一見、激しいだけの上下運動に見えるが、互いが気持ち良くなる様にしていてくれてるのだ。
だから、僕も彼女が押し込むタイミングに合わせて、彼女を突き上げてあげる。
｢っはぁ、響いて痺れるぅ｣
子宮を激しく突き上げられる快感が、彼女の身体を満たしていく。
これが人間の女の子なら、突き上げられる衝撃が激しすぎて、快感よりも痛みで耐えられないだろう。
でも、彼女は妖怪なのだ。
男と交わる事に特化したその秘部は、多少の肉棒の衝撃で傷付いたりしない。
そこから得られる感触は、全て彼女を快楽に溺れさせていくだけだ。
二度目なのに、彼女の絡み付く襞の感触で、瞬く間に限界が来てしまう。
｢はぁっ、また･･･また、出るっ！｣
彼女の子宮が当たった瞬間に、思わず射精してしまった。
｢はぁ･･･染みてる･･･｣
精液が子宮へ噴き出すその感触を、彼女はしばらく味わっていたが、すぐに再び腰を上下し始める。
｢･･･まだやるの？｣
｢･･･狸は種抜きの略なんやろ？｣
グチュグチュと音を立てて腰を動かしながら、悪戯っぽい笑顔を浮かべているのを見ていると、何か堪らなく可愛くて、思わず彼女を抱き締めてしまう。
｢何か、凄く可愛い｣
｢･･･あほ、恥ずいやろ･･･｣
僕の言葉に少しキョトンとした顔を見せると、ぷいと顔を背けてしまった。
そういうのも可愛いんだけど。
身体を密着させたまま、更に激しく腰を打ち付け合っていると、すぐに二人とも何かを我慢するという事すら忘れてしまう。
最初の精液が彼女の体液に混じって、隙間からブジュブジュと音泡立ちながら垂れてきていた。
そのヌルヌルとした液が互いの性器を滑らせて、際限なく快感を引き出していく。
どれほど腰を打ち付け合ったか分からなくなるが、息づかいの乱れが互いの絶頂が近い事を教えてくれた。
｢またっ･･･また･･･｣
｢ええよっ、もう一度、たっぷり出しっ！｣
彼女の秘部に一際強く肉棒を突き入れると、そのまま子宮が精液漬けにでもなりそうなほど、大量に三度目の射精をしてしまう。
｢はぁ･･･ぁ･ ･･｣
｢んっ、く･･･｣
精液が尿道を噴き上がっていく快感が、背筋を痺れさせる様に身体を走る。
そして、子宮へ当たるビュウビュウとした精液の感触に、彼女も僕にしがみついてイッてしまっていた。
後ろに倒れこんだ僕の身体に彼女が被さりながら、しばらくは声も出ない様な有り様で、互いに余韻を少しでも長く味わう。
惚けた頭が少しずつ元に戻ってくると、気になる事を思い出した。
｢･･･そういえば炬燵布団のガワをジョロウグモに作ってもらったって言ってたけど、相当高かったんじゃない？｣
｢あー、それはやな･･･｣
繋がったままだが、彼女が少しばつが悪そうに目をそらす。
｢･･･商いのお金には手ぇ付けてへんよ？｣
｢･･･"には"ってどういう意味？｣
｢･･･しばらくは夕御飯が"種抜き"の方のそばで我慢する事になるかもしれへんかなー、みたいな事になるかも･･･｣
｢あー･･･｣
そう、彼女もまた、商人である以前に、気持ち良い事が大好きな魔物娘だったのである。
つまり、今日の蕎麦はそういう意味で作ってくれたという事か。
いまさら返す訳にもいかないのだから、諦めるしか無いのだが。
｢じゃあ、お仕置きかな？｣
ヌチュッと音を立てて、再び彼女を軽く突いてあげた。
｢ええの？それ、お仕置きにはならへんよ？｣
彼女が嬉しそうに微笑む。
｢･･･本当に繰り返さないでよ？｣
｢んー･･･どうやろなあ･･･あたた!本当にもうやらんから!｣
本当に反省してそうに無いので、耳を引っ張っておいた。
どうせ、お仕置きされて懲りる様な彼女でも無いのだけど。
とりあえず、その後の顛末も説明しないと、公平じゃないと思う。
確かにしばらくの間は"種抜きそば"のお世話になる事になったのだが、人づてに聞いたネコマタさんや稲荷さん達から炬燵布団のガワの注文を貰った上に、終いには噂を聞き付けた遊郭の注文までやって来たので、結局『ジョロウグモの炬燵布団』は大幅な黒字になったのである。
やっぱり、敵わないなあ･･･
珍しく嫁さんが夕食を作ってくれる(料理は僕の方が上手いから)ので、こうして掘炬燵にあたっていられる。
どうした風の吹き回しなのかは知らないが、今日は自分が作ると言うので、全部まかせてしまったのだ。
土間から流れてくる出汁の匂いに、モウモウと立ち上がっている湯気。
いったい何を作っているのかは知らないが、今の調子なら酷い事にはならないだろうと、安心して見ている事にする。
料理を作っている後ろ姿を見ていると、不思議と尻尾がいつも彼女の視線とは別の方を向いている。
どうやら、見ていない方へ向けている意識につられて動いているようだ。
尻尾が右を向いていると彼女も続いて右を向く。
そうすると今度は尻尾が左を向く。しばらくすると彼女も左を向く。また尻尾が右を向く。
モコモコの尻尾をフリフリさせながら料理をしているのが、他愛の無い光景なのに妙に可愛い。
｢可愛い｣と言うと｢歳上相手に生意気や｣と返ってくるので口には出さないけど。
｢ほい、出来上がり、や｣
持ってきたお盆の上には丼が二つ。丼に注がれた色の薄い汁の中には蕎麦と油揚げ。
｢あ、きつねそば｣と言うと、彼女が少しムッとした。
｢きつねはうどんやろ？これは"たぬきそば"や｣
｢たぬきそばって揚げ玉が入ったやつでしょ？｣
｢ウチの故郷では、これを"たぬきそば"と言ぅんや｣
刑部狸の彼女としては譲れない物があるらしく、これはあくまでも"たぬきそば"であるらしい。
議論になりかけるが、出来たばかりの食べ物を、それも蕎麦を前にして喧嘩する事ほど不毛な事も無い。
｢･･･やめやめ。そばが伸びちゃうから早く食べよう｣
｢･･･そうやな｣
炬燵に二人向かい合いながら、蕎麦を前にして手を合わせる。
｢では｣
｢ほな｣
｢｢いただきます｣｣
汁の色は薄いが出汁が利いているので、味が薄い訳ではない。
乾麺だから生蕎麦には敵わないが、寒い日に食べるにはうってつけの物だった。
｢ところで、何でこれが"たぬき"なの？｣
狐が油揚げで稲荷繋がりなのは分かるが、油揚げと狸はどうしても結び付かない。
柚子七味を蕎麦に振り掛けながら、素朴な疑問を彼女に聞いてみた。
｢さあ？あたしも由来は知らんからなぁ｣
"たぬきそば"の名前に拘るわりに、その由来はどうでもいいらしい。
｢油揚げを見て千畳敷の玉袋でも思い浮かべたんと違うかな？｣
｢ブフッ！ゲホゲホ！｣
あまりに酷い推測に思わずむせてしまう。
柚子七味が変な所に入って、咳がなかなか止まらない。
うちの嫁さんは、よりにもよって何て説を言い出すんだ。
｢この油揚げ、食べられなくなっちゃうだろ！｣
｢そんなん、気にする程の事でも無いと思うんやけど｣
本人は気にする訳でもなく、油揚げの甘辛い汁を行儀悪く吸っている。
｢･･･何かいやらしい事を考えてるやろ？｣
｢馬鹿な事を言い出すんじゃありません･･･｣
本当は少しだけ思ったのだが、かじられる油揚げの事を考えると不憫すぎて、すぐにそんな考えは吹っ飛んでしまった。
｢こっちこそ、何で揚げ玉そばが"たぬき"なん？｣
｢天ぷらの種を抜いて衣だけだから、種抜きそば。それが訛ってたぬきそば｣
つまり、狸そのものは関係ない名前だったりする。
｢中身の無い物に"たぬき"なんて付けるのは狸に失礼やないかなぁ｣
｢天ぷらの本体は衣だよ。衣抜きじゃ天ぷらそばじゃなくて海老そばだし｣
｢そういうもんなんかな｣
｢そういうもんじゃないですかね｣
｢そうなんかなあ･･･｣
揚げ物の本質は揚げられた衣の油と香ばしさにあるのだから、揚げ玉は最も単純かつ無駄を削ぎ落とした天ぷらなのだ。
そういう事にしておかないと、面倒な事になりそうな気がしたので、そういう事にしておこう。
｢ごちそうさまでした｣
きっちりと汁まで飲み干して手を合わせる。
やっぱり、こういう食べ物は腹の中から暖まる。
満腹で暖かい。これ程の幸せがあるだろうか。
｢･･･あたしの"ごちそうさま"はまだやけどね？｣
彼女が上目使いによつん這いで僕の傍らに寄ってくる。その目は既に好色そうな色を湛えていた。
妖怪の彼女にしてみれば、こちらの方が主食なのだろうけど、このままだとちょっとまずい。
｢このままだと、また炬燵布団が駄目になっちゃうけど･･･｣
｢大丈夫や。炬燵布団のガワの色が変わっとうやろ？ジョロウグモさんに頼んで作ってもろぅた物やから、後で炬燵布団から外して洗えるんや｣
なんだか妙に炬燵布団の手触りが良いと思ったら、いつの間にそんな小細工を。
｢だから、安心して汚してええよ｣
そう言うと、彼女は僕の股間へと顔を埋めてしまった。
下帯を引き下ろすと、まだ立っていない肉棒に舌を這わせてくる。
彼女の舌先の感触で肉棒はすぐに硬くなり、真上を向いてしまう。
｢見た目優しそうなんに、ここだけは強そうなんやもんなぁ｣
子供でもあやす様に肉棒の頭を撫でてくる。
｢･･･でも、今日はこっちからな？｣
肉棒を軽く掴んで腹側に避けると大股を開かされ、彼女の顔は更に深く足の間へと潜り込んでいく。
肉棒の根元へと舌を這わせていくと、最後には陰嚢へ軽く吸い付いてしまう。
｢ひゃっ、そんな場所っ｣
｢さっきの話の時から、ここを弄られるんを期待してたんと違う？｣
彼女は炬燵の熱で弛んでいた陰嚢を優しく舐めると、片方だけを軟らかく口に含んだり舌で転がしたりと、あっという間に陰嚢を唾液まみれにしてしまった。
最も痛みに弱い場所なのに、伝わってくるのは暖かくて柔らかい快感ばかりだ。
｢そろそろ、ここに溜まってる方も貰おかな？｣
肉棒をくわえて口の中で扱きながら、指先は柔らかく陰嚢を撫でてくる。
弛みきった陰嚢は、彼女の指の上で胡桃の様に弄ばれ、彼女の舌は肉棒の括れをなぞる様に絡み付く。
既に十分に刺激されていた肉棒は、二つの刺激のせいで彼女の望み通りになりつつあった。
｢うぁ･･･もう、出る･･･｣
思わず畳に爪を立てて耐えようとしてしまったが、全ては無駄な抵抗でしかない。
彼女が割れ目に舌を捩じ込んで来た瞬間に、僕は彼女の口の中へと、大量の精液を射精してしまっていた。
｢ん･･･んく･･･ちゅう･･･っはぁ･･･やっぱりこれが一番美味しいなぁ･･･｣
中に残っている分まで吸い出す様に、ゆっくりと肉棒に吸い付いてから唇を放した彼女は、舌に絡みついた精液の味で至福の笑顔を浮かべている。
｢いつもの料理よりも？｣
｢料理とこれは別腹なんよ･･･｣
意地悪な事を言わないで、とでも言いたい様に、色っぽく眉根をひそめて見せた。
｢だから、こっちにも･･･な？｣
彼女は膝立ちになると、僕の腰の上に跨がる。
捲り上げた裾の下から現れたのは、太股までテラテラと汁を垂れ流している秘部だった。
射精しても全く萎えていない肉棒は、むしろ更に硬さを増している。
そこへゆっくりと彼女が腰を下ろして行くと、肉棒は"にちっ"とした肉の感触に包まれていく。
｢ん･･･｣
｢はぁ･･･｣
ズルズルと襞が肉棒を擦りながら、秘部が飲み込んでいくだけで、二人とも体を震わせてしまう。
少しきつめの彼女の秘部は、肉棒にピッタリと密着し、根元まで入れ終わると先端は子宮の入口をかなり押し上げてしまう。
｢奥の方にかなり当たってるけど･･･大丈夫？｣
いつも無理をしてなければいいと思うのだが、彼女はその感触が好みらしい。
｢･･･お腹の奥まで犯されてる、この感触がええんやん｣
その感触を確かめる様に、ユルユルと腰を回して、子宮の入口を擦り付けてくる。
｢ほな･･･動こ？｣
息を荒くする彼女は、僕の肩に手を掛けるとゆっくりと腰を引き上げた後に、根元まで一気に押し込む。
その度に、襞が肉棒の括れを撫で上げ、子宮が先端に叩き付けられる。
一見、激しいだけの上下運動に見えるが、互いが気持ち良くなる様にしていてくれてるのだ。
だから、僕も彼女が押し込むタイミングに合わせて、彼女を突き上げてあげる。
｢っはぁ、響いて痺れるぅ｣
子宮を激しく突き上げられる快感が、彼女の身体を満たしていく。
これが人間の女の子なら、突き上げられる衝撃が激しすぎて、快感よりも痛みで耐えられないだろう。
でも、彼女は妖怪なのだ。
男と交わる事に特化したその秘部は、多少の肉棒の衝撃で傷付いたりしない。
そこから得られる感触は、全て彼女を快楽に溺れさせていくだけだ。
二度目なのに、彼女の絡み付く襞の感触で、瞬く間に限界が来てしまう。
｢はぁっ、また･･･また、出るっ！｣
彼女の子宮が当たった瞬間に、思わず射精してしまった。
｢はぁ･･･染みてる･･･｣
精液が子宮へ噴き出すその感触を、彼女はしばらく味わっていたが、すぐに再び腰を上下し始める。
｢･･･まだやるの？｣
｢･･･狸は種抜きの略なんやろ？｣
グチュグチュと音を立てて腰を動かしながら、悪戯っぽい笑顔を浮かべているのを見ていると、何か堪らなく可愛くて、思わず彼女を抱き締めてしまう。
｢何か、凄く可愛い｣
｢･･･あほ、恥ずいやろ･･･｣
僕の言葉に少しキョトンとした顔を見せると、ぷいと顔を背けてしまった。
そういうのも可愛いんだけど。
身体を密着させたまま、更に激しく腰を打ち付け合っていると、すぐに二人とも何かを我慢するという事すら忘れてしまう。
最初の精液が彼女の体液に混じって、隙間からブジュブジュと音泡立ちながら垂れてきていた。
そのヌルヌルとした液が互いの性器を滑らせて、際限なく快感を引き出していく。
どれほど腰を打ち付け合ったか分からなくなるが、息づかいの乱れが互いの絶頂が近い事を教えてくれた。
｢またっ･･･また･･･｣
｢ええよっ、もう一度、たっぷり出しっ！｣
彼女の秘部に一際強く肉棒を突き入れると、そのまま子宮が精液漬けにでもなりそうなほど、大量に三度目の射精をしてしまう。
｢はぁ･･･ぁ･ ･･｣
｢んっ、く･･･｣
精液が尿道を噴き上がっていく快感が、背筋を痺れさせる様に身体を走る。
そして、子宮へ当たるビュウビュウとした精液の感触に、彼女も僕にしがみついてイッてしまっていた。
後ろに倒れこんだ僕の身体に彼女が被さりながら、しばらくは声も出ない様な有り様で、互いに余韻を少しでも長く味わう。
惚けた頭が少しずつ元に戻ってくると、気になる事を思い出した。
｢･･･そういえば炬燵布団のガワをジョロウグモに作ってもらったって言ってたけど、相当高かったんじゃない？｣
｢あー、それはやな･･･｣
繋がったままだが、彼女が少しばつが悪そうに目をそらす。
｢･･･商いのお金には手ぇ付けてへんよ？｣
｢･･･"には"ってどういう意味？｣
｢･･･しばらくは夕御飯が"種抜き"の方のそばで我慢する事になるかもしれへんかなー、みたいな事になるかも･･･｣
｢あー･･･｣
そう、彼女もまた、商人である以前に、気持ち良い事が大好きな魔物娘だったのである。
つまり、今日の蕎麦はそういう意味で作ってくれたという事か。
いまさら返す訳にもいかないのだから、諦めるしか無いのだが。
｢じゃあ、お仕置きかな？｣
ヌチュッと音を立てて、再び彼女を軽く突いてあげた。
｢ええの？それ、お仕置きにはならへんよ？｣
彼女が嬉しそうに微笑む。
｢･･･本当に繰り返さないでよ？｣
｢んー･･･どうやろなあ･･･あたた!本当にもうやらんから!｣
本当に反省してそうに無いので、耳を引っ張っておいた。
どうせ、お仕置きされて懲りる様な彼女でも無いのだけど。
とりあえず、その後の顛末も説明しないと、公平じゃないと思う。
確かにしばらくの間は"種抜きそば"のお世話になる事になったのだが、人づてに聞いたネコマタさんや稲荷さん達から炬燵布団のガワの注文を貰った上に、終いには噂を聞き付けた遊郭の注文までやって来たので、結局『ジョロウグモの炬燵布団』は大幅な黒字になったのである。
やっぱり、敵わないなあ･･･
17/02/23 18:40更新 / ドグスター