変態的天才で猫好きの男

はるうらら、穏やかな日差しに包まれ、ポカポカ陽気の日曜日。花粉症には辛い季節だが、桜咲き、新たな命が育まれるこの時期を、冬を耐え忍んだ多くの人々が待ち焦がれていたことだろう。

「アッー!そこ!そこ踏んで!アッー!すごいぞ!気持ちいいぞー!」

そんなふんわりムードを台無しにする気味の悪い絶叫が突如公園に響き渡った。

「そうだ!もっとペシペシと叩いてくれ!頭を!そう!そこ!いいゾ〜!」

人や魔物の親子が遊んでたり、恋人同士がいちゃついている広い公園。しかしそこにいる人々は皆一様に、ベンチに変なものを見るような視線を向けていた。そう、『魔物』ですら。

「あ、あぁ!ごめんなさい!下僕めが偉そうな口聞いてすいませんでした!ああ、あっアッー!!!!」

その視線の先では、ベンチに寝そべった男の頭に一匹の三毛猫が乗っかり、爪を立てたり猫パンチをかましたりして、男をボコボコにしていた。

男の名を、猫賀 好夢(びょうが このむ)という。眉目秀麗文武両道、そして多くの人の尊敬を集める努力家であり、齢20にして既に様々な分野での活躍を期待されている男である。
そしてドMであり、愛猫家であった。



「ふう、良かったよ。ほら、報酬の猫缶だ」

「みゃう」

好夢は懐から取り出した猫缶をかちゃりと開けて頭から降りた猫に差し出す。
この猫、近所では有名な野良の三毛猫であり、誰にもなつかないが、弱いものいじめをするものに飛びつき引っかき傷だらけにしたり、迷子を交番まで届けたりするとんでもない猫だ。
名前はたくさんあるが、好夢はこの猫をタクサンアッテナと呼んでいる。ちなみに雄だ。

「みぎゃー」

「そう怒るなよ。俺だってホモなわけじゃない。しかしオスだメスだの、それ以前にお前は猫だ。猫に踏まれるって時点で俺はもう…あっ」

「にゃあ……」

タクサンアッテナは好夢を養豚場の豚を見るような目で見つめた。
タクサンアッテナにとった好夢は猫と侮らず、むしろ猫至上主義を貫くものであり、よく猫缶を捧げる程のいい下僕であったがこの気持ち悪い性癖はどうにも好きになれない。

「ふしゃーっ」

「そう言われてもな、お前以外に意思疎通できる猫がいないんだ、仕方がないだろう」

「……にゃあ」

「お前に言われなくても猫の国にはいくさ、絶対に。必ず。命にかけて」

「にゃうん」

宇宙人を見るような周りの視線をまるで気にせずタクサンアッテナと話す好夢。近所では有名な天才少年として知られる好夢、天才とは得てして変態なのだろうと勝手に納得されていた。

「でもなー……」

好夢は頭を抱えた。これほどまでの猫好きでありながらなかなか好夢が猫の国へと行かないのには、実は(本人にとっては)重大な理由がある。

「素直に行ったらイジめてもらえないしなー」

そう、マゾの好夢にとってそれは極めて死活問題であった。
噂によると、猫をいじめたりした奴らは猫の国に拉致されてそれはもうすごいオシオキを受けるらしい。
一方猫好きゆえに猫の国に招かれたやつは、それなりの待遇を受け、猫に従いさえすれば安寧の生活を約束されるという。

「一度はいじめられたいよなー、でも俺がネコをいじめるのはなー」

ネコ・ソ・ノモノ、しかもオスに叩かれて喜ぶ生粋の変態の好夢である、当然イジめられたい、しかし自分がネコをいじめるなどもってのほかだ。そんなことするくらいなら好夢は自分の生爪を全て剥がす。

「……みゃんみゃんみゃうー」

「……それマジ?」

ぽつりとタクサンアッテナが呟いた言葉を好むは聞き逃さなかった。

「みゃあ、ふしゃー」

「なるほど……流石タクサンアッテナだ。よし、数日後またここで会おう」

「にゃあーん」

スックと立ち上がり、奇異の視線を浴びながら好夢は去っていった……



数日後

タクサンアッテナはベンチの上でのんびりと昼寝をしていた。ぽかぽかの陽気の中ひどく気持ち良さそうである。しかし、その静寂を邪魔する存在に感づいてか、そのフサフサの体をむくりと起き上がらせた。うーん、と、伸びを一回

「待たせたな、タクサンアッテナ」

そこにいたのは好夢であった。いつも通りのラフな格好だが何やら荷物を抱えている。

「親に猫の国へと行く旨を伝え、また、永久機関の製造理論を記したメモを渡してきた。これで一生金には困らないはずだ、暮らしてた家も引き払った、抜かりはない」

「そしてこれは……お前へのココロヅケだ」

がちゃりと抱えた袋を置き、中身を見せる。そこには、好夢が細工し、猫でも簡単に蓋を開けられる猫缶が山のように詰まっていた。無論飽きないように複数の味がある。ちなみにこの猫缶をデザインしたのも好夢である。

「……みゃう」

「わかった」

タクサンアッテナの言葉を受けて好夢はベンチに座った。それと入れ替わるようにタクサンアッテナは立ち上がり、スッと何処かへと駆けて行った。

「……」

年甲斐もなく旨の高鳴りを抑えられないまま、しばらく好夢は手持ち無沙汰に体を揺する。



一時間ほど、たっただろうか。
唐突な浮遊感!

「うお」

そして何やら至福のもふもふが体を覆ったと思った瞬間に、好夢は意識を落とした……





「はっ」

目が覚めた時、そこは……なんかよくわからない場所だった。宮廷っぽいような、でもどこか和風っぽいような、案外中華のような、とどのつまりカオスな、豪奢な部屋である。

「……ここは」

「気がついたかにゃ?」

鈴のようなそりゃもうかわいらしい声が響いた。その方向を向いてみると、天使が……失礼、猫がいた。毛並み、耳、パッチリとした目からしてスコティッシュ・フォールドだと好夢は認識した。
しかし二本足で立っているそれはただの猫ではなく、人生で一度はいじめられたいと好夢の中で話題の魔物、ケット・シーであった。

「ふふふ、何やら驚いているようだから説明してやろう、ありがたく思うことだね、ここは猫の国のオシオキ施設でも最上級オシオキ部屋、『ナイトメアキャッスル』さ」

なんともかわいらしい名前である

「ボクはオシオキ担当のケット・シー、フォルディオル・ナイアラルト。スコティッシュ・フォールドって品種だけど……猫嫌いの君に言ってもわからにゃいかにゃ?」

わかっていますと反射的に返そうと思ったが、好夢ここは我慢。

「ぼ、ぼくをつれてきてなんのつもりだ、この、け……猫め!」

「け……?」

本当は汚らわしい猫めと言う演技をするところでもあった、しかし無理だった。

「まぁ、ともかく、君のことはアザトゥリア^・ヘ〒ノ$<×#€|○様から聞いてるよ。随分と猫をいじめてくれたそうじゃにゃいか」

「アザトゥ……なんて?」

「アザトゥリ^・ヘ〒ノ$<×#€|○、まぁ人間の君には聞き取れないかにゃ?珍しいオスの三毛猫さ」

あいつそんな名前だったのかと内心驚きつつ、そこはスルー。

「にゃんでも、猫を見かけた途端に張り倒そうと飛びかかり逆に張り倒され踏みつけられる、昼寝している猫の妨害、猫の集会に乱入、etcetc……君が間抜けにゃおかげでまだ被害はないが、これは放置しておけにゃい危険人物だとお達しを受けたのさ」

全部事実であった、ところどころ改変してあるが。張り倒そうとしたわけではなく抱きつこうとしただけで、昼寝を見守ろうと近寄ったら逃げられただけで、猫の集会は参加資格を聞こうとしたらバリバリと引っ掻かれただけだ。

「ぼ、ぼくをどうするきだー」

「そんにゃの……決まってるだろう?」

フォルディオルはそのかわいらしいおててをパンパンと鳴らし合図をする。すると、部屋の奥の扉から、ワーキャット、猫又、スフィンクス、チェシャ猫がぞろぞろと這い出てきたではないか!ああ!窓にも!窓にも!

「ほわあああああああああ!!!」

好夢は思わず歓喜の悲鳴を上げた。しまったと思ったがフォルディオルはただの悲鳴と勘違いしたのか得意げに妖艶な笑みを浮かべるばかり。

「ふふふ、猫嫌いにゃ君には悲鳴をあげるほどたまらにゃいだろう、これは……これから君をみんにゃでいじめてあげるからね。猫が好きで、猫のためにゃら死ねるってくらいににゃるまで……ふふふふふ」

(計画通り……!)

じわりじわりと迫ってくる猫の魔物の群れ、気絶しそうな至福をこらえて、好夢はそれに飲み込まれた。



四方に群がった猫たちに手足を押さえつけられ服を剥かれ素っ裸になった好夢にのしのしと高慢な歩き方でフォルディオルが近寄る。

「じゃあまずは悪いことをした罰を与えにゃいといけにゃいね、それ」

そして、その肉球でプニプニの足でもって好夢の肉槍を踏んづけてきた!

「うお……こ、この肉球の柔らかさは……!?」

「ふふふ、普段からお手入れを欠かさにゃいからね、ほらほら」

嗜虐的な笑みを浮かべてぐりぐりと踏まれる肉球コキ、好夢は生きててよかったと思った。

「んー、我慢なんて生意気だにゃん……ジャンヌ!」

「はいだニャン♪」

呼びかけに応じ、左手を抑えていたワーキャットがぴょこんと尻尾を伸ばす、そしてその尻尾を好夢の腋に突っ込んで激しく前後させる!ほとんど違法行為!

「うひ、ふふ……こ、このフサフサの手足や尻尾は、ふひゃっ、の、ノルウェージャン・フォレスト・キャット……ううっ!」

「おや、しってるのかい?っと……」

くすぐりのせいでろくに我慢もできないまま、そのワーキャットの品種とともに射精してしまった。フォルディオルは精液でヌメついた足をしばし眺め、手で拭いそれを舐めとる。

「一発めは濃ゆくておいしいにゃ……しかし、本当に君は猫嫌いにゃのかい?この精液はにゃんか、こう、猫のために調整されたかのようにゃ中毒性が感じられる」

それもそうである、好夢は物心つく前から様々な文献を読み漁り、猫型魔物の好きな精液の味を調べつくし、そんなザーメンを出せるように日々生活を整えてきたのだから。

「さ、さあ?偶然そうなんだろ?体質とかそんなん」

しかし、ここで本当のことを言ってはもういじめてもらえなくなる。欺瞞!

「ふーん?そうかにゃ……じゃあまだオシオキしないとね、あと早漏なことも罰を与えなきゃ、リナ!」

「あーい♪」

フォルディオルの二度めの呼びかけに今度はチェシャ猫が応じた。チェシャ猫、チェシャ猫である。初めて目にした感動をぐっとこらえ、なるべくきっと睨みつける。しかしリナのにやつきは止まらない。

「彼女のテクはすごいよ、たぶん。さあやっちゃいにゃ」

「おーせのとーりにー……んふふ」

抵抗できない好夢に倒れこむようにリナは密着してきた。そのまま耳をハムっと甘噛みされてしまう!

「うぅっ」

「フフ……あ、ま、の、じゃ、く、さん♥」

その言葉に好夢はギクッとした。どうやらこのチェシャ猫にはいろいろとばれているらしい。しかしまたしても新たな快感が逸物に襲いかかり、好夢の頭からはそんな考えが吹き飛んでしまう。

「ふふふ、耳をしゃぶられにゃがらの素股、どうだい……?」

フォルディオルはふわふわぷにぷにのふとももで好夢の肉棒を挟み込んでいるのだ!緩やかにすり合わされる太ももの間で、打ち上げられたトビウオめいた動きでちんぽが痙攣する!

「あむ、チュパ……♥」

「こっちもわすれちゃやーだにゃ♪」

再び腋をほじくるような尻尾のくすぐり責めが始まった。耳、腋、股間の三点のバラバラの快感に好夢は悶え狂った、喜びでな!

「ふお、ふおおあ!」

「わひゃっ」

そして、二度めとは思えないほどの勢いで射精した。先端から解き放たれる精液がフォルディオルの太ももの谷間に白い池を作り出すほどだ。

「す、すごい量だ、インキュバスでもにゃいのに……」

うっとりとした顔でそれを弄ぶフォルディオル。その精の匂いに当てられたのか他の猫魔物達もどんどん群がってきた。

「も、もう我慢できませんのにゃ……ああ、どうかお情けを……」

艶やかな黒髪の猫又は好夢の手を取りそれを自分の股に擦り付けている。プニプニとした反発力のある柔らかさが心地よい。

「ふふふふふ、オシオキ官について早1年、ついに出番が回ってきたニャーン、逃すわけにはいかないニャーン……」

スフィンクスは耳をしゃぶるチェシャ猫を押しのけ、好夢の顔にまたがってきた。チェシャ猫は露骨に不機嫌そうな顔をしたが仕方がなくしゃぶる対象を乳首に変更。

「……ふふ、もう猫に身体中を覆われてしまったね」

「ふご、ふご……」

もはや好夢の興奮は最高潮に達した。二度の射精をしたとは思えないほどの固さと大きさでフォルディオルの視線を釘付けにする。

「さて、オシオキ本番だ。後がつかえてるからね、サクッとやらせてもらうよ……んっ」

そしてついにフォルディオルはその肉壺の入り口を好夢の先端にあてがい、狙いを定める。

「さぁ、猫嫌いさん、どこまで耐えられるかにゃ?」

そして、一気に腰を下ろした……



……それから数時間……



「にゃああああああん!にゃあ!ふにゃ!ふにゃあああああああ!!」

「まだだ!まだこんなもんじゃないゾォ!」

小さなフォルディオルの体を持ち上げ駅弁の体勢でひたすらに犯しつくす。
結合部からはピストンのたびに粘性の高い液体がポタポタと流れ落ちていた。

「にゃ、にゃんでぇぇぇ……もう、もうむりぃぃぃぃ!」

「そうはいっても君以外はもうダウンしちゃったじゃあないか!ほら!もっと頑張れ!」

「んむぐっ……むり、むりぃぃぃ」

あの後好夢は10回くらい射精したころに唐突に攻めに転じ、いまやフォルディオル以外のすべての猫魔物を轟沈させてしまった。(チェシャ猫だけは妙に元気だったが気絶したふりをしたのでそれに乗った)
フォルディオルももう陥落寸前だ。

「ね、猫嫌いのくせに!猫嫌いのチンポなんかで、んにゃあああああ!!」

激しく体を痙攣させ、フォルディオルはもう何十度目かの絶頂を迎えた、しかし好夢の腰は止まる気配がない。

「まだまだお礼したりないなぁ!この私の体力が尽きるまで付き合ってもらうぞ!フォルディオルゥ!!」

「にゃああああ……」



その後、すべてのオシオキ猫を屈服させた好夢は猫の国に自らの研究所を設立、猫の猫による猫のための発明を次から次へと開発していき猫達の新時代を築き上げた。
めでたしめでたし







それから数年、好夢の家を一匹の猫が訪ねてきた。アザトゥリ^・ヘ〒ノ$<×#€|○、好夢の恩人である。

たくさんの猫をはべらせた好夢に……好夢は未だにタクサンアッテナと呼ぶ……アザトゥリ^・ヘ〒ノ$<×#€|○は問いかけた

「にゃーん?」

「え?お前はドMのはずなのになんでいきなり攻めに転じて猫達を屈服させたかって?」

「そりゃ……ドM以前に私は漢だから、さ」

キリッとした顔で告げた好夢にアザトゥリ^・ヘ〒ノ$<×#€|○はわけがわからないと首をかしげた。
天才の頭の中とは、よくわからないものである。

しかし不思議ですねぇ、変態の好夢は望み通り大好きな猫魔物でハーレムを築き上げる、一方私は絶望的な現実の中独り身……
随分と差がつきましたぁ、悔しいでしようねぇ

15/04/18 08:20 やめてよね

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