want to be!
「……照?」
照が操作していたゲームのキャラが突然動かなくなったので、俺は横に座っていた照を見る。
画面の方に顔は向いているけれど、目は動いていない。
口は小さく開けたままで、まさしくぼんやりしているように見えた。
「どうしたんだ、急にぼーっとして。操作の仕方忘れたのか?」
俺の問いかけにも答えず、身じろぎもせず、顔も無表情のまま変わらない。
いくら八月の夏場とはいえクーラーを掛けているから、熱中症の類とも思えない。
いったい何が起きたんだ――と心配しかけた瞬間、照の目が閉じた。
「……あ、」
まるで自分の声を確かめるような、照の小さな声。
それから瞬きを何回かした後、ゆっくり俺の方を見た。
「なんだ、びっくりしたぞ。いきなり動かなくなるから、何事か……と、」
なぜか照はカッターシャツのボタンを外し始め、その下の肌着を露わにする。
その時ちらりと見えた胸部は男にしては妙なほど膨らんでいて、さらに乳首であろう突起がツンと立ち、肌着を押し上げて主張していた。
「ぼく……は、」
カッターシャツの前を大きく開き、乱れた衣服のまま。
ぽつりと呟き、顔を上げて俺の方を見ながら、照は四つん這いでにじり寄ってくる。
「て、照……?」
照の目を見つめると、いつもとは全く違う、鮮やかな青色の瞳がくっきりと煌めく。
もともと中性的だった顔つきや身体だが、さらに丸みを帯びているように思える。
その顔は別人のようでいて、でもやはり見れば見るほどそれは照だと確信して。
「一真。『ボク』、やっぱりヘンなのかもしれない」
声質にもどこか違和感がある。
もう変声期を通り過ぎたという照の声だが、それでも以前とは大して変わらなかった、はずだ。
しかし今の照の声には作ったような不自然さもないのに、子供の頃みたいに聞こえる。
甲高くはない、女性だと思える程度に低い声。
「一真のことを考えると、頭の中がぼうっとして、ボクのカラダが疼いて」
さらに照から漂ってくる、淡くも甘い匂い。
使っているボディソープやシャンプーの香りとは少しだけ違う、特有の匂いだ。
「前から、ずっと。ボクは君に惹かれていたんだ」
その様子や仕草はまるで。
女の子のように。
「ガマンしてたけど、もう、隠せそうもないよ」
俺はそんな照の様子に気圧されながらも、身体が動かせない。後ずさることもできない。
照が俺の両肩にそっと掌を置く。
シャツ越しに、じんわりと照の温もりが伝わってきた。
「一真。君は――ボクを受け入れてくれる?」
「……て、る……おまえは……おれ、は、」
「ううん、何も言わないでいい。 許してくれるのなら、そっと目を閉じて――ね?」
分からない。照に何が起きたのか、何一つわからない。
回らない頭の中、甘い匂いと誘惑に意識をかき乱される。
照の言葉の意味を時間を掛けて飲み込んで、俺は固く目を閉じた。
「――っ」
俺の唇に何かが触れる。感じたことがないほど柔らかくて、瑞々しい何かが。
熱く濡れた柔いものが唇の中にぬるりと滑り込んで、俺の舌を味わうように、けれど優しく撫でまわす。
たった数秒が一時間に思えるような、激しい思考の停止。
「んっ――むっ、」
熱い塊が離れ、照の熱い吐息が少しだけ漏れて、俺の唇に当たる。
目を瞑っていながらも、何をされたのかはもう分かった。
それは俺にとって初めてだったのに、夢中になるほど巧みな口付けだった。
「ぷはっ。コーフンして、舌まで入れて……♥ボクのファーストキス、あげちゃった♥
一真も、そう? もしそうだったら、すごく嬉しいな♥」
顔が少しだけ離れたのが分かり、ようやく俺は目を開ける。
熱に浮かされたように頬を赤く染めた照の顔は、どうしようもなく綺麗で、淫らに思えた。
「ねえ。一真は、ボクのこと、好き?」
その言葉に答えようとしたが、キスの余韻のせいか口が上手く動かせない。
身体もぴりぴりと痺れるばかりで、まるで脳のいう事を聞いてくれない。
「ボクはね、昔から一真のことが、とっても、とって、も――?」
その時少しだけ、照の声の調子がずれる。
「……とって、も……!なん、で……」
そして突然、勢いと抑揚がなくなった。
「……やめて……ちがう! こんなの……僕じゃ、ない……!
僕……は、ボクは、こんな……!」
かと思うといつもの声とさっきの声が混ざり合い、嗚咽を漏らすように、悲痛な声になっていく。
「そんなの……父さんを、否定するのと……おなじなんだっ……!
僕が……父さんを捨てた、あの人みたいに……なっちゃ、だめ、なんだ……!
あの人と、同じモノになんか……なりたく、ないんだよっ……!」
青かった目の色がくすみ、いつもの照の瞳が見え隠れする。
そうして苦悶の表情を浮かべたかと思うと、両手で自分の顔を覆う。
同時に少しずつ俺の身体の痺れが解けていくのが分かった。
「どうして……ジャマ、するんだ……君も!キミもっ!
『僕』が、ガマンすれば、いいだけ、なのにっ……。
『ボク』は、一真に、好きって、言ってほしいのに……!」
そして照の声や姿も僅かにだが、俺のよく知る照に戻っていく。
しかし完全にではない。二つの面影を残したまま、どっちづかずのまま。
「あ、あああ……!とうさん、かあさん……かずま……っ。
僕は、ボクは、どうして!男で、女で、いなくちゃいけなくて……っ!
なんで、どっちにも、なれないままで……!どっちにも、なりたくて……!!」
床のカーペットに頭を押し付けて照は突っ伏す。
肩を震わせ、聞くに堪えない痛ましい泣き声と、すすり泣く声が混ざったものがくぐもって聞こえてくる。
「う゛、うあ゛……うああああ゛……っ!!」
結局、照に何が起きているのかなんて、俺には分かりようがない。
けれど、俺の前にいるのは照だ。それだけは事実なのだと確信していた。
そう思ったら、自然と身体は動いていた。
「……照」
俺は一度立ち上がり、照の背中に回る。
前よりは大きくなったけれど、それでも一回り俺より小さいその身体は、とてもいたいけで、健気で。
「ごめん。俺はお前の想いを、ずっと無視していたんだな」
今はただ泣いている照を、慰めたかった。
「お前を分かったつもりでいたけど、何にも気付いちゃいなかった。でも、」
小さな照の背中を包むように、俺は背後からぎゅっと抱きしめる。
男性らしさと女性らしさのどちらも色濃く残る、歪で、不思議な身体の感触。
「まだ整理は上手くついてないけど、ちゃんと、正直に話す。聞いてくれ」
嗚咽はいつの間にか止まっていて、体の震えも少しずつ収まっていく。
「照。俺にとって、お前は大切な存在だ。
男だからとか女だからとかじゃない。そういう枠組みに、きっとお前はいないんだ。
どっちでもいいし、どっちでなくてもいい。そんな些細なことに囚われなくていい」
俺の言葉に嘘はない。
二人だけで温泉に入ろうとした、初めて裸の付き合いをしようとしたあの時。
あの時も、俺自身に恥ずかしさがなかったわけではないけど。
照になら、自分を曝け出してもいいという思いがあった。
俺も、照に自分を曝け出して欲しかった。本当の照を見てみたかった。
「親友で不満なら、どんな関係になったっていい。うまく言葉にできない、けど。
ただお前と、これからも一緒にいたい。一緒に過ごして、一緒に大人になりたい。
それだけは、自信を持って言う」
そしてしばらく、俺は照の身体を抱いて、寄り添っていた。
息が整って泣き声が収まり、鼻をすする音も聞こえなくなったところで、そっと身体を離す。
ゆっくりと照は上半身を起こして、自分の涙を手で拭った。
「……ごめんね、一真。ぼく一人だけで悩んでたのが、ばかみたい」
「落ち着いたか?」
小さくうなずく照を見て、少しだけ俺は安心する。
けれどまだ不安そうな表情は残ったままだ。
「ね……一真。こんな……こんなお願い、厚かましいって、分かってるけど。
こんな僕を……ボクのことを、愛してくれる?」
項垂れながらも顔を赤らめ、上目遣いで俺を見て、絞り出すような声で照は言う。
その質問に答える前に、照がさっきそうしてくれたように俺は、照の両肩へ手を載せた。
驚いて顔を上げた照はその意図を察してくれたのか、子供のようにきゅっと目をつむる。
「――っ」
自分でも不甲斐なく思う、ただ唇を合わせるだけの不器用な口づけ。
照がしてくれたそれとは大違いだと、つい笑ってしまいそうになる。
だけどそのせいか、自然と笑顔になれた。
「さっき答えられなかったから、今、ちゃんと言う。
照、俺もお前のことが好きだよ。お前のことを、もっと愛したい」
言い終わってから恥ずかしさに耐えきれず、つい顔を逸らしてしまう。
「かず……まっ……」
しかし、その瞬間にまた、この部屋の空気が、照の雰囲気が色づくような変化を感じた。
「あ――う、あぁ、」
どこか苦しいようで、けれど色っぽさも感じる、喘ぐような声。
「照……?!」
「……うれしい、よ、一真。そう言ってくれて……受け入れてくれて、ありがとう。
ぼく達はようやく、『僕』と『ボク』を認め合えた、みたい」
その言葉とともに、照の姿が目に見えて変わっていく。
化粧のような上辺だけの繕いではない、”変化”というのがふさわしいほどの変貌で――。
「それで、『ぼく達』は決めたよ。
女の子にも、男の子にも、なりたい。
そして……一真のこどもを産めるようにも、なりたいって」
頭から紫の角が二本、少しずつ顔を出して伸びて。
同じ紫色をしたコウモリのような羽がシャツを突き破って背中から生え、音を立てて、ばさっと広がる。
細長い薄紫の尻尾のようなものがズボンに穴を開け、にゅるりと飛び出す。
光の加減によっては茶色っぽく見える黒のショートヘアが、気品ある派手すぎない黄金(こがね)色に染まっていく。
「だから、ようやくボクは――僕といっしょになれる。
一真のことを、心から愛せる。
明日の夜まで、この家には二人だけ――だよ」
その姿はこの世の物とは思えない、まるで人の形をした魔物のようで。
それでいてどうしようもなく美しい、照の姿だった。
「……照。やっぱり、お前は照なんだな」
「うん、僕は照。そしてボクも、照だよ。
さあ、触ってみて。ぼく達のカラダを、味わって」
照は俺の手首を手に取ると、自分の胸へと運んでいく。
女性にしては少しだけ控えめで、でも男性にしては大きな膨らみ。
けれど触ってみると、乳房の柔らかさは確かに感じられた。
「乳首……は、昔から、すごく感じちゃうから。一真に、触ってほしいな」
肌着の上からでも、そのツンと立った薄いピンク色の乳首はすぐ分かった。
女性の、特に膨らみ始めた少女のそこは敏感な場所だと聞いたので、痛くしないようにそっと指の腹で撫でる。
それだけでぴくん、と照の身体が跳ねた。
「んやっ……♥す、すごい。いつもより、何倍、もっ……♥」
右手の指ですりすり、左手の指でそっと摘まんでくりくりと、乳頭を愛撫する。
ますます乳首は大きく硬くなっていって、照の吐息が熱くなるのが分かった。
気が付くと俺は、乳房が露わになるまで照の肌着を捲り上げ、ぐっと顔を寄せて乳首を舌で舐めあげていた。
「ひゃあっ♥ あぁっ、それ、だめっ……♥」
ベロで乳首をれろれろと転がしたり、唾液を塗りこむみたいにぐりぐりと押し付けたり。
色々な刺激を試すと、その度に照は甘い声を漏らす。
両方の乳首を満足いくまで愛撫し終えると、照は荒い息を整えながら、よろよろと立ちあがった。
「はぁっ……♥ああ、もう、いっぱい、濡れちゃった。ちょっとだけ、待ってね」
背中の羽と尻尾がしゅるんと引っ込んだかと思うと、照は自分のズボンと下着を脱ぎ始める。
女性らしさの溢れる、柔らかそうな肉付きの太腿と、股間が目に入った。
「僕のために、男の子のモノは残ってるけど……。
ボクが一真の愛をゼンブ受け止められるように、女の子のあそこだって、ちゃんとあるんだよ?」
照のそこにはクリトリスとはまた別に、睾丸こそないが小さいながら強く勃起して主張するペニスと、その下に女性器らしきものが確かにあった。僅かに窄んだお尻の穴も見える。
普通とは違うのだろうけれど、違和感はほとんどない。
女性器は一本の筋が通るように閉じてはいるけれど、時折ヒクヒクとうごめくのがいやらしい。
「とっても恥ずかしいけど……一真、見てくれる……?」
照は俺の前で仰向けに寝転がると、膝を立てて足を大きく開いた。
そして両手を自分の秘部に添え、そのすじと小さな穴を出来るだけ広げて見せてくれる。
いつだったか修三が持ってきた成年向けの雑誌で目にしたことはあるが、それとは比べ物にならないくらいに美しい形だ。
綺麗なピンク色で、毛の一つもなくすべすべしたそこは、神秘的にさえ思えた。
「どう、かな?ボクのあそこ……変じゃ、ない……?」
「ああ……とても綺麗だ。触っても、いいか」
「もちろん。一真になら、何されたっていいよ」
にっこりと笑う照の顔を見て、俺はその膣口に顔を寄せてキスをする。
すでに愛液で濡れたそこはぬるぬるで、ほのかな汗の匂いと、桃のような甘い匂いが混ざっていた。
膣から溢れる蜜を味わいながら、その狭い穴に舌を挿し込んでみる。
「んっ……ふぅっ♥や、やっぱり、恥ずかしい、ね。
見られてるだけでも感じるのに、そんなに舐められたら――んぅっ♥」
熱くてとろとろに蕩けたその中は、舌を優しく締め付けてくる。
中を掻き回して愛液を舐め取ったあと、皮を被った小さなクリトリスにちゅうっと吸い付く。
一際高い嬌声を上げて、照が身を捩らせた。
「やあぁっ♥ま、まるでおちんちん、触られてるみたいにっ……♥
気持ち、よくてっ♥おかしく、なりそう……っ♥」
その言葉で、そういえば大事な部分をまだ触ってなかったと思い出す。
俺は舌を一度離し、クリトリスを刺激するたびにぶるぶると震えていたペニスに、優しく唇で触れた。
「あ、あ……イイの?そこ、ぼくの……おちんちん、なのに。
イヤだって、思ったりしないの? 気持ちよく、してくれるの……?」
「何言ってるんだ。ここも、照の可愛らしい所だろ。
照がしてほしい事なら、俺だってしてやりたい」
唾液を溜めて、歯を立てないように気をつけながら、照のペニスを一気に口内で頬張る。
小さめな竿なので、根元まで咥えこんでも苦しさはあまりなかった。
左手でペニスを支えつつ、見よう見真似のフェラチオを始める。
「んみゃあっ♥そんな、いきなりっ……♥」
唇でペニスをしごくように顔を上下させ、照の肉棒を磨くように味わう。
そこはやはり薄く桃のような味と匂いがして、どんどんそれは強くなっていく。
時折動きを止めて、舌で亀頭を舐め回すように愛撫すると、ますます互いが興奮するのが分かった。
「やっ、らめっ♥先っぽ、れろれろしちゃっ……♥うらすじ、だめぇっ……♥」
そろそろ限界が近そうだと判断して、俺は空いていた右手で照のクリトリスをそっと摘まんだり、こりこりと刺激をしたりする。
大きくペニスが口内で跳ね出して、絶頂に近いのが見て取れた。
「もっ、らめ、らよぉっ♥でる、出ちゃうよおっ……♥口の中に、出ちゃう、からっ♥はなしてぇっ、かずまぁっ!!♥♥」
そう照が言っても、俺はペニスに吸い付くのを止めない。
むしろより深く咥えこんで、照の激しく迸る射精を口内と喉で受け止めた。
「あっ、あああっ、でてるうぅっ……♥♥!!いっぱい、いっぱい出ちゃうっ……♥♥」
精液、かどうかは分からないが、どろりとした液体が俺の口の中を満たしていく。
特有の青臭さや苦さは全くなく、むしろクリームのように強い甘みがある。
なぜか意識がふわっとして、魅了されるような味わいが、強く印象に残った。
飲み切ったと思ったが、ほんの少しだけ口元から白い絵の具のような液体が零れる。
「はあ、はあ……♥もうっ。ボクが最初に一真を気持ちよくしてあげたかったのに。
でも、ボクの……ゼンブ飲んでくれたんだ♥嬉しいよ、一真っ♥」
照は白濁液が垂れた俺の口に顔を近づけ、舌を伸ばしてぺろりとそれを舐め取った。
キスとはまた違ったいやらしさがあって、心臓が高鳴る。
「でも……これだけじゃ、満足できないよ。
一真の逞しいおちんちんで、僕を気持ちよくしてほしい。
ボクの事、愛してほしい」
「けど……俺たちはまだ、子供じゃないか。もしも、子供なんてできたら――」
その言葉を照は、俺の唇に人差し指を当てて遮った。
「大丈夫。ボクはもう人間という枠組みにすらいないって、自分でも分かるんだ……この姿を見れば、一真にも分かるよね。
精液を卵管にまで取り込むかどうか、つまり受精するかどうかは、ボクが決められる。
赤ちゃんを作るためのセックスも、二人の愛の為だけのセックスもできる。
だから心配しなくていいよ、一真。……でも、気遣ってくれてありがとう♥」
「……分かった。照、今回は二人だけの為に、愛し合おう」
俺はまた仰向けに寝た照へ、覆いかぶさるように体を重ねる。
勝手が分からないので苦労しながらも、自分のペニスを照の小さな秘部にあてがう。
「ぼくたち……♥ひとつに……なれるんだね、一真っ……♥」
くちゅ、と音を立てて亀頭が膣口に触れると、今にも吸い付いてきそうなほどそれを求めているのが分かった。
「ふぁ……♥入ってくるよっ……かずまの、おちんちん……♥ボクの、なかにっ……♥♥」
痛みのないように、出来るだけゆっくりと挿入を心掛ける。
しかし熱くてどろどろのその中は、狭いのに優しくきゅっとペニスを包み込んでくれて、入れているだけで溶けそうなほど気持ちが良い。
ずにゅ、ぐにゅ……と、根元までペニスが少しずつ飲み込まれていく。
何かが裂けるような感触がして、ほんの僅かに赤い液体が秘部から垂れた。
「ぐっ……照、大丈夫か?痛く、ないか?」
「うん、ぜんぜん、いたくなんか、ないよっ……♥じれったくて、たまらない、くらい♥
早く、ボクのこと、めちゃくちゃに、して……♥
いっぱい、いっぱい♥一真の熱いの、注ぎ込んでっ……♥♥」
「ああ……動くぞ、照っ」
照はそう言ってくれたが、いきなり激しくピストン運動はしない。
穴の狭さが俺のペニスに慣れるまで、少しずつ抜き差しを繰り返す。
奥を突くたび、亀頭の膨らみが膣を広げるたびに、照は抑えきれないように声を漏らした。
「ん♥あっ♥ふぅっ……♥もっと、もっとっ……♥
こわれちゃうくらい、激しくして、いいからぁっ……♥♥」
その声で後押しされ、緩やかにだがピストンのスピードを速める。
ずちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ、と淫らな音が鳴り、膣口からまた蜜が零れる。
もうお尻の穴までたっぷり愛液が垂れていて、股間の周辺はぐちゃぐちゃに濡れていた。
「んふっ♥ああっ♥んあっ♥すごいっ♥すごいよぉっ、かずまぁっ♥♥」
無数のヒダが絡みついてきて、早く射精を促すようにペニスに纏わりついてくる。
滑りは良くなっているのにどんどん刺激が強くなり、亀頭を肉壁で擦られるかのようだ。
射精欲がこみ上げてくるけれど、まだ照の膣中を感じていたくて、きゅっとお尻の穴を締めながら我慢する。
「もっ、もおっ♥らめぇっ……♥あたま、まっしろに、なってぇっ……♥♥」
出来る限りのスピードで腰を振って、照の奥底を激しく突き上げる。
そこは照にとってさらに感じる場所だったのか、照の息が一瞬止まったのが分かった。
刺激に耐えきれず背中を反らせるその姿が、たまらなくいじらしい。
「ひう゛っ……♥ぐっ、うぅっ♥きゃうんっ♥すごっ、おくっ♥おかひく、なりそぉっ……♥♥」
まるで生き物のように、膣全体でぐにぐにとペニスを締め付けられ、もう俺は限界だった。
「て、照っ、出すぞっ……!」
「んんっ、うんっ!出してっ♥中に、ちょうだいっ♥かずまのセーエキっ……♥♥
いっぱい、ボクの中に、そそいでぇ……っ♥♥」
「う、ううっ、あああっ……!!」
視界が白くなるほどの快感とともに、俺は照の最奥までペニスを突き入れる。
そして精液がびゅくん、びゅくんと膣の中で迸り、その中を満たそうとする。
精通を経験した時よりもさらに大量に、濃い精液がどくどくと溢れ出していた。
「あぁっ♥ぼくっ、ボクっ♥♥イクっ、イッちゃ――ぁぁっ……っ!!♥♥♥
あ……ぁ♥――っ♥うぅ――……!!♥♥♥」
声にもならない嬌声が照の口から絞り出されて、ぱくぱくと口が開いたり閉じたりして、空気を求めるように喘ぐ。
さらに照の小さなペニスも強く脈打って射精し、自分自身の身体に飛び散って、お腹や乳房、肌着とカッターシャツを汚していく。
その間も照の中は、俺のペニスから精液を搾り取ろうとするかのように動いて、ぎゅうっと締め付けてくる。
最後の一滴まで吸い出されるような感覚の後、俺はようやく快感以外の意識を取り戻した。
「はーっ……♥はー……っ……♥かず、まぁ……っ♥
こんなに……きもち、いいの……はじめて、だよ♥
かずまの、熱いの、で……♥ボクの、僕の中……♥いっぱいに、されちゃったぁ……♥♥」
うわ言のように俺の名前を呼ぶ照が、さらに愛おしく感じる。
そんな照の頭を撫でながら、俺はまた拙くも口づけをした。
「あ……ん、かずま……ぁ♥」
目の焦点が合わず、完全に快楽で蕩けてしまったような顔。
甘い香りのする照の精液で汚れた、細いながらに柔らかい肢体。
そんな照を抱きしめていると、またむくむくと欲望が起き上がってくる。
「ふえ……? ……あ、らめ、だめらよっ……もうちょっとだけ、やすませ――っ」
再び硬さを取り戻したペニスで、精液に塗れた照の膣を犯す。
ごぷっ、と音を立てて白濁液が穴から溢れ、流れ出す。
「はひい゛っ♥♥やらっ♥セーエキ、こぼれちゃっ……ふあぁっ♥♥
ま、まら、イッたの、のこってぇ……!!♥♥らめぇっ……♥♥」
零れてしまった分はまた注ぎなおせばいい。
今度は照の小さなペニスをこしゅこしゅと扱きながら、同時にピストンを繰り返す。
「おっ♥おちん、ちんっ♥こすん、ないでぇっ……♥♥
きもち、いいの、まざってぇっ♥らめっ♥おかひく、なっひゃぁぁっ――♥♥♥」
そして照がまた沢山精液を飛び散らせると、その匂いで再度興奮してしまう。
これ以上注ぎ込めそうにない膣からペニスを抜くと、今度はその更に下にあるお尻の穴に狙いを定めて、ペニスを押し当てる。
「そ、こっ――、おひりぃ……?!、らめっ、そんなっ、とこっ……んやあっっ♥♥」
括約筋はきゅっと閉じていたけれど、粘液で塗れていたこともあってか、その狭さが嘘のようにずちゅっとペニスが呑み込まれていく。
膣とは違う締め付け方がきゅうきゅうとペニスを責めてきて、数分のうちにまた俺は尻穴にたっぷりと射精してしまう。
「うああぁぁっ……♥♥おひりっ、あつひっ♥よおっ……♥♥
かずまので……ぜんぶ、からだ……いっぱいに、なっへぇ……っ♥♥」
まるで獣の交尾のように、快楽だけを求めて二人の身体を貪っていく。
いつ終わるとも分からない、人間の倫理とはかけ離れた、堕落に満ちたセックス。
二人の快感も、体液も混ざり合って、一つに溶け合うような錯覚が、俺の覚えていた最後の記憶だった。
「ぁ――♥ぅ♥か……ず、まぁ……♥」
俺が意識を取り戻して身体を起こすと、すぐに照も目を開けた。
クッションやカーペットには液体も匂いも染みつき、同じくらいドロドロに汚れていた俺たちは、すぐさまシャワーを浴びに行く。
窓の外を確認すると、もう深夜になっていた。
「……サラダ油でもこぼしたことにして、あれは全部捨てちゃおっか」
思ったより照は大胆な事を言い出す。
照から誘ってきたとはいえ、そこまで気が回らなかった自分が恥ずかしい。
「わ、悪い。ちゃんとベッドまで連れて行くべきだった」
「いいんだよ、誘ったのはボクのほうなんだから。
どうせベッドに行っても、シーツはぐちゃぐちゃになってただろうし」
そうだろうな、と小さく笑いながら、俺はお湯の温度を調節する。
そしてバスチェアーに座った照の頭にシャワーを掛けていく。
短く整った黄金色の髪は、水を吸うとより綺麗に煌めいて見えた。
「ね、一真。温泉で出来なかったぶん、今から洗いっこしようか……♥」
「あ、ああ」
またヘンな気分になってしまわないように気を付けながら、俺はボディソープを付けたタオルで照の身体をごしごしと擦る。
汚れは大体取れたはずだが、乳房や股間まで洗っていると二の舞になってしまいそうで手が出せない。
さらに身体を擦るたびに悩ましげな声を漏らすので、ますます困る。
「んぅ……♥ふぅっ♥も、もっとちゃんと隅々まで洗ってよっ」
「む、無茶言うな。またこみ上げてこないように、こっちも必死なんだぞ。自分で洗ってくれ」
「んむー」
あどけない顔で頬を少し膨らませる照。
俺に気を遣いがちなところがあったが、今はそれをあまり感じない。
けれど、前よりずっと俺を想ってくれているのはわかる。
そんな嬉しさと、また性欲が湧き出そうになるのを誤魔化すために、話題を変えた。
「ところで……さっき姿が変わったときだが。
シャツはともかく、制服のズボンにまで穴を開けたのはまずかったんじゃないか?」
「え?……あ!そうだった、あんなに大きい穴、共布(ともぎれ)じゃ直せないよぉ……。
もうっ!ボクのバカ!」
そんな照を見て、俺はまた小さく笑った。
照が操作していたゲームのキャラが突然動かなくなったので、俺は横に座っていた照を見る。
画面の方に顔は向いているけれど、目は動いていない。
口は小さく開けたままで、まさしくぼんやりしているように見えた。
「どうしたんだ、急にぼーっとして。操作の仕方忘れたのか?」
俺の問いかけにも答えず、身じろぎもせず、顔も無表情のまま変わらない。
いくら八月の夏場とはいえクーラーを掛けているから、熱中症の類とも思えない。
いったい何が起きたんだ――と心配しかけた瞬間、照の目が閉じた。
「……あ、」
まるで自分の声を確かめるような、照の小さな声。
それから瞬きを何回かした後、ゆっくり俺の方を見た。
「なんだ、びっくりしたぞ。いきなり動かなくなるから、何事か……と、」
なぜか照はカッターシャツのボタンを外し始め、その下の肌着を露わにする。
その時ちらりと見えた胸部は男にしては妙なほど膨らんでいて、さらに乳首であろう突起がツンと立ち、肌着を押し上げて主張していた。
「ぼく……は、」
カッターシャツの前を大きく開き、乱れた衣服のまま。
ぽつりと呟き、顔を上げて俺の方を見ながら、照は四つん這いでにじり寄ってくる。
「て、照……?」
照の目を見つめると、いつもとは全く違う、鮮やかな青色の瞳がくっきりと煌めく。
もともと中性的だった顔つきや身体だが、さらに丸みを帯びているように思える。
その顔は別人のようでいて、でもやはり見れば見るほどそれは照だと確信して。
「一真。『ボク』、やっぱりヘンなのかもしれない」
声質にもどこか違和感がある。
もう変声期を通り過ぎたという照の声だが、それでも以前とは大して変わらなかった、はずだ。
しかし今の照の声には作ったような不自然さもないのに、子供の頃みたいに聞こえる。
甲高くはない、女性だと思える程度に低い声。
「一真のことを考えると、頭の中がぼうっとして、ボクのカラダが疼いて」
さらに照から漂ってくる、淡くも甘い匂い。
使っているボディソープやシャンプーの香りとは少しだけ違う、特有の匂いだ。
「前から、ずっと。ボクは君に惹かれていたんだ」
その様子や仕草はまるで。
女の子のように。
「ガマンしてたけど、もう、隠せそうもないよ」
俺はそんな照の様子に気圧されながらも、身体が動かせない。後ずさることもできない。
照が俺の両肩にそっと掌を置く。
シャツ越しに、じんわりと照の温もりが伝わってきた。
「一真。君は――ボクを受け入れてくれる?」
「……て、る……おまえは……おれ、は、」
「ううん、何も言わないでいい。 許してくれるのなら、そっと目を閉じて――ね?」
分からない。照に何が起きたのか、何一つわからない。
回らない頭の中、甘い匂いと誘惑に意識をかき乱される。
照の言葉の意味を時間を掛けて飲み込んで、俺は固く目を閉じた。
「――っ」
俺の唇に何かが触れる。感じたことがないほど柔らかくて、瑞々しい何かが。
熱く濡れた柔いものが唇の中にぬるりと滑り込んで、俺の舌を味わうように、けれど優しく撫でまわす。
たった数秒が一時間に思えるような、激しい思考の停止。
「んっ――むっ、」
熱い塊が離れ、照の熱い吐息が少しだけ漏れて、俺の唇に当たる。
目を瞑っていながらも、何をされたのかはもう分かった。
それは俺にとって初めてだったのに、夢中になるほど巧みな口付けだった。
「ぷはっ。コーフンして、舌まで入れて……♥ボクのファーストキス、あげちゃった♥
一真も、そう? もしそうだったら、すごく嬉しいな♥」
顔が少しだけ離れたのが分かり、ようやく俺は目を開ける。
熱に浮かされたように頬を赤く染めた照の顔は、どうしようもなく綺麗で、淫らに思えた。
「ねえ。一真は、ボクのこと、好き?」
その言葉に答えようとしたが、キスの余韻のせいか口が上手く動かせない。
身体もぴりぴりと痺れるばかりで、まるで脳のいう事を聞いてくれない。
「ボクはね、昔から一真のことが、とっても、とって、も――?」
その時少しだけ、照の声の調子がずれる。
「……とって、も……!なん、で……」
そして突然、勢いと抑揚がなくなった。
「……やめて……ちがう! こんなの……僕じゃ、ない……!
僕……は、ボクは、こんな……!」
かと思うといつもの声とさっきの声が混ざり合い、嗚咽を漏らすように、悲痛な声になっていく。
「そんなの……父さんを、否定するのと……おなじなんだっ……!
僕が……父さんを捨てた、あの人みたいに……なっちゃ、だめ、なんだ……!
あの人と、同じモノになんか……なりたく、ないんだよっ……!」
青かった目の色がくすみ、いつもの照の瞳が見え隠れする。
そうして苦悶の表情を浮かべたかと思うと、両手で自分の顔を覆う。
同時に少しずつ俺の身体の痺れが解けていくのが分かった。
「どうして……ジャマ、するんだ……君も!キミもっ!
『僕』が、ガマンすれば、いいだけ、なのにっ……。
『ボク』は、一真に、好きって、言ってほしいのに……!」
そして照の声や姿も僅かにだが、俺のよく知る照に戻っていく。
しかし完全にではない。二つの面影を残したまま、どっちづかずのまま。
「あ、あああ……!とうさん、かあさん……かずま……っ。
僕は、ボクは、どうして!男で、女で、いなくちゃいけなくて……っ!
なんで、どっちにも、なれないままで……!どっちにも、なりたくて……!!」
床のカーペットに頭を押し付けて照は突っ伏す。
肩を震わせ、聞くに堪えない痛ましい泣き声と、すすり泣く声が混ざったものがくぐもって聞こえてくる。
「う゛、うあ゛……うああああ゛……っ!!」
結局、照に何が起きているのかなんて、俺には分かりようがない。
けれど、俺の前にいるのは照だ。それだけは事実なのだと確信していた。
そう思ったら、自然と身体は動いていた。
「……照」
俺は一度立ち上がり、照の背中に回る。
前よりは大きくなったけれど、それでも一回り俺より小さいその身体は、とてもいたいけで、健気で。
「ごめん。俺はお前の想いを、ずっと無視していたんだな」
今はただ泣いている照を、慰めたかった。
「お前を分かったつもりでいたけど、何にも気付いちゃいなかった。でも、」
小さな照の背中を包むように、俺は背後からぎゅっと抱きしめる。
男性らしさと女性らしさのどちらも色濃く残る、歪で、不思議な身体の感触。
「まだ整理は上手くついてないけど、ちゃんと、正直に話す。聞いてくれ」
嗚咽はいつの間にか止まっていて、体の震えも少しずつ収まっていく。
「照。俺にとって、お前は大切な存在だ。
男だからとか女だからとかじゃない。そういう枠組みに、きっとお前はいないんだ。
どっちでもいいし、どっちでなくてもいい。そんな些細なことに囚われなくていい」
俺の言葉に嘘はない。
二人だけで温泉に入ろうとした、初めて裸の付き合いをしようとしたあの時。
あの時も、俺自身に恥ずかしさがなかったわけではないけど。
照になら、自分を曝け出してもいいという思いがあった。
俺も、照に自分を曝け出して欲しかった。本当の照を見てみたかった。
「親友で不満なら、どんな関係になったっていい。うまく言葉にできない、けど。
ただお前と、これからも一緒にいたい。一緒に過ごして、一緒に大人になりたい。
それだけは、自信を持って言う」
そしてしばらく、俺は照の身体を抱いて、寄り添っていた。
息が整って泣き声が収まり、鼻をすする音も聞こえなくなったところで、そっと身体を離す。
ゆっくりと照は上半身を起こして、自分の涙を手で拭った。
「……ごめんね、一真。ぼく一人だけで悩んでたのが、ばかみたい」
「落ち着いたか?」
小さくうなずく照を見て、少しだけ俺は安心する。
けれどまだ不安そうな表情は残ったままだ。
「ね……一真。こんな……こんなお願い、厚かましいって、分かってるけど。
こんな僕を……ボクのことを、愛してくれる?」
項垂れながらも顔を赤らめ、上目遣いで俺を見て、絞り出すような声で照は言う。
その質問に答える前に、照がさっきそうしてくれたように俺は、照の両肩へ手を載せた。
驚いて顔を上げた照はその意図を察してくれたのか、子供のようにきゅっと目をつむる。
「――っ」
自分でも不甲斐なく思う、ただ唇を合わせるだけの不器用な口づけ。
照がしてくれたそれとは大違いだと、つい笑ってしまいそうになる。
だけどそのせいか、自然と笑顔になれた。
「さっき答えられなかったから、今、ちゃんと言う。
照、俺もお前のことが好きだよ。お前のことを、もっと愛したい」
言い終わってから恥ずかしさに耐えきれず、つい顔を逸らしてしまう。
「かず……まっ……」
しかし、その瞬間にまた、この部屋の空気が、照の雰囲気が色づくような変化を感じた。
「あ――う、あぁ、」
どこか苦しいようで、けれど色っぽさも感じる、喘ぐような声。
「照……?!」
「……うれしい、よ、一真。そう言ってくれて……受け入れてくれて、ありがとう。
ぼく達はようやく、『僕』と『ボク』を認め合えた、みたい」
その言葉とともに、照の姿が目に見えて変わっていく。
化粧のような上辺だけの繕いではない、”変化”というのがふさわしいほどの変貌で――。
「それで、『ぼく達』は決めたよ。
女の子にも、男の子にも、なりたい。
そして……一真のこどもを産めるようにも、なりたいって」
頭から紫の角が二本、少しずつ顔を出して伸びて。
同じ紫色をしたコウモリのような羽がシャツを突き破って背中から生え、音を立てて、ばさっと広がる。
細長い薄紫の尻尾のようなものがズボンに穴を開け、にゅるりと飛び出す。
光の加減によっては茶色っぽく見える黒のショートヘアが、気品ある派手すぎない黄金(こがね)色に染まっていく。
「だから、ようやくボクは――僕といっしょになれる。
一真のことを、心から愛せる。
明日の夜まで、この家には二人だけ――だよ」
その姿はこの世の物とは思えない、まるで人の形をした魔物のようで。
それでいてどうしようもなく美しい、照の姿だった。
「……照。やっぱり、お前は照なんだな」
「うん、僕は照。そしてボクも、照だよ。
さあ、触ってみて。ぼく達のカラダを、味わって」
照は俺の手首を手に取ると、自分の胸へと運んでいく。
女性にしては少しだけ控えめで、でも男性にしては大きな膨らみ。
けれど触ってみると、乳房の柔らかさは確かに感じられた。
「乳首……は、昔から、すごく感じちゃうから。一真に、触ってほしいな」
肌着の上からでも、そのツンと立った薄いピンク色の乳首はすぐ分かった。
女性の、特に膨らみ始めた少女のそこは敏感な場所だと聞いたので、痛くしないようにそっと指の腹で撫でる。
それだけでぴくん、と照の身体が跳ねた。
「んやっ……♥す、すごい。いつもより、何倍、もっ……♥」
右手の指ですりすり、左手の指でそっと摘まんでくりくりと、乳頭を愛撫する。
ますます乳首は大きく硬くなっていって、照の吐息が熱くなるのが分かった。
気が付くと俺は、乳房が露わになるまで照の肌着を捲り上げ、ぐっと顔を寄せて乳首を舌で舐めあげていた。
「ひゃあっ♥ あぁっ、それ、だめっ……♥」
ベロで乳首をれろれろと転がしたり、唾液を塗りこむみたいにぐりぐりと押し付けたり。
色々な刺激を試すと、その度に照は甘い声を漏らす。
両方の乳首を満足いくまで愛撫し終えると、照は荒い息を整えながら、よろよろと立ちあがった。
「はぁっ……♥ああ、もう、いっぱい、濡れちゃった。ちょっとだけ、待ってね」
背中の羽と尻尾がしゅるんと引っ込んだかと思うと、照は自分のズボンと下着を脱ぎ始める。
女性らしさの溢れる、柔らかそうな肉付きの太腿と、股間が目に入った。
「僕のために、男の子のモノは残ってるけど……。
ボクが一真の愛をゼンブ受け止められるように、女の子のあそこだって、ちゃんとあるんだよ?」
照のそこにはクリトリスとはまた別に、睾丸こそないが小さいながら強く勃起して主張するペニスと、その下に女性器らしきものが確かにあった。僅かに窄んだお尻の穴も見える。
普通とは違うのだろうけれど、違和感はほとんどない。
女性器は一本の筋が通るように閉じてはいるけれど、時折ヒクヒクとうごめくのがいやらしい。
「とっても恥ずかしいけど……一真、見てくれる……?」
照は俺の前で仰向けに寝転がると、膝を立てて足を大きく開いた。
そして両手を自分の秘部に添え、そのすじと小さな穴を出来るだけ広げて見せてくれる。
いつだったか修三が持ってきた成年向けの雑誌で目にしたことはあるが、それとは比べ物にならないくらいに美しい形だ。
綺麗なピンク色で、毛の一つもなくすべすべしたそこは、神秘的にさえ思えた。
「どう、かな?ボクのあそこ……変じゃ、ない……?」
「ああ……とても綺麗だ。触っても、いいか」
「もちろん。一真になら、何されたっていいよ」
にっこりと笑う照の顔を見て、俺はその膣口に顔を寄せてキスをする。
すでに愛液で濡れたそこはぬるぬるで、ほのかな汗の匂いと、桃のような甘い匂いが混ざっていた。
膣から溢れる蜜を味わいながら、その狭い穴に舌を挿し込んでみる。
「んっ……ふぅっ♥や、やっぱり、恥ずかしい、ね。
見られてるだけでも感じるのに、そんなに舐められたら――んぅっ♥」
熱くてとろとろに蕩けたその中は、舌を優しく締め付けてくる。
中を掻き回して愛液を舐め取ったあと、皮を被った小さなクリトリスにちゅうっと吸い付く。
一際高い嬌声を上げて、照が身を捩らせた。
「やあぁっ♥ま、まるでおちんちん、触られてるみたいにっ……♥
気持ち、よくてっ♥おかしく、なりそう……っ♥」
その言葉で、そういえば大事な部分をまだ触ってなかったと思い出す。
俺は舌を一度離し、クリトリスを刺激するたびにぶるぶると震えていたペニスに、優しく唇で触れた。
「あ、あ……イイの?そこ、ぼくの……おちんちん、なのに。
イヤだって、思ったりしないの? 気持ちよく、してくれるの……?」
「何言ってるんだ。ここも、照の可愛らしい所だろ。
照がしてほしい事なら、俺だってしてやりたい」
唾液を溜めて、歯を立てないように気をつけながら、照のペニスを一気に口内で頬張る。
小さめな竿なので、根元まで咥えこんでも苦しさはあまりなかった。
左手でペニスを支えつつ、見よう見真似のフェラチオを始める。
「んみゃあっ♥そんな、いきなりっ……♥」
唇でペニスをしごくように顔を上下させ、照の肉棒を磨くように味わう。
そこはやはり薄く桃のような味と匂いがして、どんどんそれは強くなっていく。
時折動きを止めて、舌で亀頭を舐め回すように愛撫すると、ますます互いが興奮するのが分かった。
「やっ、らめっ♥先っぽ、れろれろしちゃっ……♥うらすじ、だめぇっ……♥」
そろそろ限界が近そうだと判断して、俺は空いていた右手で照のクリトリスをそっと摘まんだり、こりこりと刺激をしたりする。
大きくペニスが口内で跳ね出して、絶頂に近いのが見て取れた。
「もっ、らめ、らよぉっ♥でる、出ちゃうよおっ……♥口の中に、出ちゃう、からっ♥はなしてぇっ、かずまぁっ!!♥♥」
そう照が言っても、俺はペニスに吸い付くのを止めない。
むしろより深く咥えこんで、照の激しく迸る射精を口内と喉で受け止めた。
「あっ、あああっ、でてるうぅっ……♥♥!!いっぱい、いっぱい出ちゃうっ……♥♥」
精液、かどうかは分からないが、どろりとした液体が俺の口の中を満たしていく。
特有の青臭さや苦さは全くなく、むしろクリームのように強い甘みがある。
なぜか意識がふわっとして、魅了されるような味わいが、強く印象に残った。
飲み切ったと思ったが、ほんの少しだけ口元から白い絵の具のような液体が零れる。
「はあ、はあ……♥もうっ。ボクが最初に一真を気持ちよくしてあげたかったのに。
でも、ボクの……ゼンブ飲んでくれたんだ♥嬉しいよ、一真っ♥」
照は白濁液が垂れた俺の口に顔を近づけ、舌を伸ばしてぺろりとそれを舐め取った。
キスとはまた違ったいやらしさがあって、心臓が高鳴る。
「でも……これだけじゃ、満足できないよ。
一真の逞しいおちんちんで、僕を気持ちよくしてほしい。
ボクの事、愛してほしい」
「けど……俺たちはまだ、子供じゃないか。もしも、子供なんてできたら――」
その言葉を照は、俺の唇に人差し指を当てて遮った。
「大丈夫。ボクはもう人間という枠組みにすらいないって、自分でも分かるんだ……この姿を見れば、一真にも分かるよね。
精液を卵管にまで取り込むかどうか、つまり受精するかどうかは、ボクが決められる。
赤ちゃんを作るためのセックスも、二人の愛の為だけのセックスもできる。
だから心配しなくていいよ、一真。……でも、気遣ってくれてありがとう♥」
「……分かった。照、今回は二人だけの為に、愛し合おう」
俺はまた仰向けに寝た照へ、覆いかぶさるように体を重ねる。
勝手が分からないので苦労しながらも、自分のペニスを照の小さな秘部にあてがう。
「ぼくたち……♥ひとつに……なれるんだね、一真っ……♥」
くちゅ、と音を立てて亀頭が膣口に触れると、今にも吸い付いてきそうなほどそれを求めているのが分かった。
「ふぁ……♥入ってくるよっ……かずまの、おちんちん……♥ボクの、なかにっ……♥♥」
痛みのないように、出来るだけゆっくりと挿入を心掛ける。
しかし熱くてどろどろのその中は、狭いのに優しくきゅっとペニスを包み込んでくれて、入れているだけで溶けそうなほど気持ちが良い。
ずにゅ、ぐにゅ……と、根元までペニスが少しずつ飲み込まれていく。
何かが裂けるような感触がして、ほんの僅かに赤い液体が秘部から垂れた。
「ぐっ……照、大丈夫か?痛く、ないか?」
「うん、ぜんぜん、いたくなんか、ないよっ……♥じれったくて、たまらない、くらい♥
早く、ボクのこと、めちゃくちゃに、して……♥
いっぱい、いっぱい♥一真の熱いの、注ぎ込んでっ……♥♥」
「ああ……動くぞ、照っ」
照はそう言ってくれたが、いきなり激しくピストン運動はしない。
穴の狭さが俺のペニスに慣れるまで、少しずつ抜き差しを繰り返す。
奥を突くたび、亀頭の膨らみが膣を広げるたびに、照は抑えきれないように声を漏らした。
「ん♥あっ♥ふぅっ……♥もっと、もっとっ……♥
こわれちゃうくらい、激しくして、いいからぁっ……♥♥」
その声で後押しされ、緩やかにだがピストンのスピードを速める。
ずちゅっ、ぬちゅっ、ぐちゅっ、と淫らな音が鳴り、膣口からまた蜜が零れる。
もうお尻の穴までたっぷり愛液が垂れていて、股間の周辺はぐちゃぐちゃに濡れていた。
「んふっ♥ああっ♥んあっ♥すごいっ♥すごいよぉっ、かずまぁっ♥♥」
無数のヒダが絡みついてきて、早く射精を促すようにペニスに纏わりついてくる。
滑りは良くなっているのにどんどん刺激が強くなり、亀頭を肉壁で擦られるかのようだ。
射精欲がこみ上げてくるけれど、まだ照の膣中を感じていたくて、きゅっとお尻の穴を締めながら我慢する。
「もっ、もおっ♥らめぇっ……♥あたま、まっしろに、なってぇっ……♥♥」
出来る限りのスピードで腰を振って、照の奥底を激しく突き上げる。
そこは照にとってさらに感じる場所だったのか、照の息が一瞬止まったのが分かった。
刺激に耐えきれず背中を反らせるその姿が、たまらなくいじらしい。
「ひう゛っ……♥ぐっ、うぅっ♥きゃうんっ♥すごっ、おくっ♥おかひく、なりそぉっ……♥♥」
まるで生き物のように、膣全体でぐにぐにとペニスを締め付けられ、もう俺は限界だった。
「て、照っ、出すぞっ……!」
「んんっ、うんっ!出してっ♥中に、ちょうだいっ♥かずまのセーエキっ……♥♥
いっぱい、ボクの中に、そそいでぇ……っ♥♥」
「う、ううっ、あああっ……!!」
視界が白くなるほどの快感とともに、俺は照の最奥までペニスを突き入れる。
そして精液がびゅくん、びゅくんと膣の中で迸り、その中を満たそうとする。
精通を経験した時よりもさらに大量に、濃い精液がどくどくと溢れ出していた。
「あぁっ♥ぼくっ、ボクっ♥♥イクっ、イッちゃ――ぁぁっ……っ!!♥♥♥
あ……ぁ♥――っ♥うぅ――……!!♥♥♥」
声にもならない嬌声が照の口から絞り出されて、ぱくぱくと口が開いたり閉じたりして、空気を求めるように喘ぐ。
さらに照の小さなペニスも強く脈打って射精し、自分自身の身体に飛び散って、お腹や乳房、肌着とカッターシャツを汚していく。
その間も照の中は、俺のペニスから精液を搾り取ろうとするかのように動いて、ぎゅうっと締め付けてくる。
最後の一滴まで吸い出されるような感覚の後、俺はようやく快感以外の意識を取り戻した。
「はーっ……♥はー……っ……♥かず、まぁ……っ♥
こんなに……きもち、いいの……はじめて、だよ♥
かずまの、熱いの、で……♥ボクの、僕の中……♥いっぱいに、されちゃったぁ……♥♥」
うわ言のように俺の名前を呼ぶ照が、さらに愛おしく感じる。
そんな照の頭を撫でながら、俺はまた拙くも口づけをした。
「あ……ん、かずま……ぁ♥」
目の焦点が合わず、完全に快楽で蕩けてしまったような顔。
甘い香りのする照の精液で汚れた、細いながらに柔らかい肢体。
そんな照を抱きしめていると、またむくむくと欲望が起き上がってくる。
「ふえ……? ……あ、らめ、だめらよっ……もうちょっとだけ、やすませ――っ」
再び硬さを取り戻したペニスで、精液に塗れた照の膣を犯す。
ごぷっ、と音を立てて白濁液が穴から溢れ、流れ出す。
「はひい゛っ♥♥やらっ♥セーエキ、こぼれちゃっ……ふあぁっ♥♥
ま、まら、イッたの、のこってぇ……!!♥♥らめぇっ……♥♥」
零れてしまった分はまた注ぎなおせばいい。
今度は照の小さなペニスをこしゅこしゅと扱きながら、同時にピストンを繰り返す。
「おっ♥おちん、ちんっ♥こすん、ないでぇっ……♥♥
きもち、いいの、まざってぇっ♥らめっ♥おかひく、なっひゃぁぁっ――♥♥♥」
そして照がまた沢山精液を飛び散らせると、その匂いで再度興奮してしまう。
これ以上注ぎ込めそうにない膣からペニスを抜くと、今度はその更に下にあるお尻の穴に狙いを定めて、ペニスを押し当てる。
「そ、こっ――、おひりぃ……?!、らめっ、そんなっ、とこっ……んやあっっ♥♥」
括約筋はきゅっと閉じていたけれど、粘液で塗れていたこともあってか、その狭さが嘘のようにずちゅっとペニスが呑み込まれていく。
膣とは違う締め付け方がきゅうきゅうとペニスを責めてきて、数分のうちにまた俺は尻穴にたっぷりと射精してしまう。
「うああぁぁっ……♥♥おひりっ、あつひっ♥よおっ……♥♥
かずまので……ぜんぶ、からだ……いっぱいに、なっへぇ……っ♥♥」
まるで獣の交尾のように、快楽だけを求めて二人の身体を貪っていく。
いつ終わるとも分からない、人間の倫理とはかけ離れた、堕落に満ちたセックス。
二人の快感も、体液も混ざり合って、一つに溶け合うような錯覚が、俺の覚えていた最後の記憶だった。
「ぁ――♥ぅ♥か……ず、まぁ……♥」
俺が意識を取り戻して身体を起こすと、すぐに照も目を開けた。
クッションやカーペットには液体も匂いも染みつき、同じくらいドロドロに汚れていた俺たちは、すぐさまシャワーを浴びに行く。
窓の外を確認すると、もう深夜になっていた。
「……サラダ油でもこぼしたことにして、あれは全部捨てちゃおっか」
思ったより照は大胆な事を言い出す。
照から誘ってきたとはいえ、そこまで気が回らなかった自分が恥ずかしい。
「わ、悪い。ちゃんとベッドまで連れて行くべきだった」
「いいんだよ、誘ったのはボクのほうなんだから。
どうせベッドに行っても、シーツはぐちゃぐちゃになってただろうし」
そうだろうな、と小さく笑いながら、俺はお湯の温度を調節する。
そしてバスチェアーに座った照の頭にシャワーを掛けていく。
短く整った黄金色の髪は、水を吸うとより綺麗に煌めいて見えた。
「ね、一真。温泉で出来なかったぶん、今から洗いっこしようか……♥」
「あ、ああ」
またヘンな気分になってしまわないように気を付けながら、俺はボディソープを付けたタオルで照の身体をごしごしと擦る。
汚れは大体取れたはずだが、乳房や股間まで洗っていると二の舞になってしまいそうで手が出せない。
さらに身体を擦るたびに悩ましげな声を漏らすので、ますます困る。
「んぅ……♥ふぅっ♥も、もっとちゃんと隅々まで洗ってよっ」
「む、無茶言うな。またこみ上げてこないように、こっちも必死なんだぞ。自分で洗ってくれ」
「んむー」
あどけない顔で頬を少し膨らませる照。
俺に気を遣いがちなところがあったが、今はそれをあまり感じない。
けれど、前よりずっと俺を想ってくれているのはわかる。
そんな嬉しさと、また性欲が湧き出そうになるのを誤魔化すために、話題を変えた。
「ところで……さっき姿が変わったときだが。
シャツはともかく、制服のズボンにまで穴を開けたのはまずかったんじゃないか?」
「え?……あ!そうだった、あんなに大きい穴、共布(ともぎれ)じゃ直せないよぉ……。
もうっ!ボクのバカ!」
そんな照を見て、俺はまた小さく笑った。
18/10/21 18:33更新 / しおやき
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