捨てミューカストードを拾ったら
日が暮れかけた帰り道、人通りの少ない閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”と書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。だが――
「ケロケロ〜」
そこにいたのは、模様の入った緑色の肌をした、まさしくカエルのような人型の少女。座り方もまるでカエルで、太ももが大きい。頭からはショートの緑髪が生えているし、姿形こそ人間に近いものの、身体中が粘液のようなものに塗れている。それに舌も人より数倍長く、れろれろと伸ばしたり引っ込めたりしている。
背は僕より少し低く幼い顔つきで、魔物のようなので正確には分からないが年の頃は、人間で言えば十代後半ぐらいだろうか。ただ、胸部はその童顔に似合わないほど大きい。
水場でもないのにスクール水着のようなものを着ているが、これは粘液のせいで普通の服が着れないからだろう。
時おり特徴的な鳴き声を上げては、数少ない道行く人を見つめている。
「なんだろう……見たことないな、あんな魔物」
僕は一人ごちながらスマートフォンでこっそり写真を撮り、魔物に異常なほど詳しい友人に聞いてみる。
ちょうど暇だったのかすぐに返事が返ってきて、彼女は「ミューカストード」という魔物娘だと教えてくれた。
普通は水辺や湿地帯に住む、見た目通りカエルのような魔物で、人里に出てくるのは珍しいとのこと。
――というか、本能に赴く好色さ故に危険な魔物なので、独り身の個体は県でも認可されていないらしい。
「ゲロ〜……ふぁ〜あ。匂いはするのになあ」
カエル少女があくびのような動きをする。
周りには彼女の夫らしき男性はおらず、しかし彼女が道行く人に襲いかかる気配もない。
危険だとは分かっていたが、僕は興味を抑えきれず彼女に近づいた。
「ケロケ……はっ!イイ匂い……!」
僕に気付くと、カエル少女はこれ見よがしに舌を伸ばす。表情もどこかぼんやりとしている。
上から下まで彼女を眺めてみると、人間とは違った姿形にますます興味が湧いてくる。
「ケロロ〜、そんなにじっくり見られると恥ずかしいですケロね」
じろっとした僕の視線に気づいた彼女は、少し照れた声で喋りかけてきた。
「君は……えと、こんな所で何を?」
「ケロ!モチロン、ご主人様探しですケロ〜」
彼女の舌の先端が『ひろってください』と書かれた紙を指す。舌に関しては思った以上に伸びるし、本物の蛙よりも自由自在のようだ。
「どうしてこんな所で?」
「だって、山の中にいてもニンゲンさん来てくれないんですケロ……」
「でもここだと、そんなに人通りも多くないと思うけど……」
「う〜ん、あんまり人が多いとすぐに通報されちゃうんですケロよ。
ワタシたち、なんか危険な魔物扱いされてるせいで、あんまり出歩けなくて……ゲロッ」
「なるほど……でもその割に君は、そんな感じじゃないね」
「ワタシは独自に色々勉強して、忍耐と好かれるための技術を覚えたんですケロ。
たとえば、人気のあるカエルさんのキャラを真似してみたり……。
どこまでもいっしょとか、ゲロゲロ軍曹とか、根性カエルとか……色々見て回りましたケロ〜」
おそらく勉強の成果は、その特徴的な語尾に現れているのだろう。
「じゃあ、男の人を無理矢理襲ったりはしないと?」
「まあ昔ならいざ知らず、現代ではそんな事する子はほとんどいませんですケロよ。
こっちのセカイに来れるようになってからは、オトコ不足も多少は解消されましたから。
もっとも……」
「?」
「気に入ったオトコの人なら……分かりませんですケロねぇ〜……♪」
ぺろり、と見せつけるように舌なめずりをするカエル少女。
その姿は人外らしさが強調され、どこか妖艶さを感じさせる。
「あ……ぼく、もう彼女がい、いるから。
じゃ……じゃあ僕はこれで……」
長く話していると危険な予感がして、僕は話を切り上げて離れようとした。
が、
「ケロケロっ!ちゅおっとお待ちくださいケロよぉ〜」
しゅぱっと伸びてきた彼女の舌が、僕の胴体に強く巻かれる。
締め付けは痛みこそないが非常に強く、身体が浮いてしまいそうなほどだ。
そのまま伸び続ける彼女の舌の先っぽが、僕の頬をぺろりと舐めてくる。
ぬめぬめした舌に舐められる感覚で、背筋がゾクっとしてしまう。
「むっ……この味は、『ウソ』をついている味だぜ……ケロ。
ホントはまだ誰のお手付きでもないんでしょう?
それなら……そう簡単には逃がせないですケロっ」
「お、襲ったりはしないってさっき言ったじゃないか」
「ゲロッ……まあまあ、そう邪見にしないでくださいケロ。
せっかくなんですから、ワタシと暮らしてみませんか、ケロ〜?」
「ええっ?」
「お互いの事を知れば、きっとワタシたちの事もわかって頂けるはずですケロ。
このまま誤解されたままでは悲しいのです……ゲロッ」
「わ、わかったから離して……」
舌はしゅるしゅると元に戻り、体が締め付けから解放される。
僕が少女に向き直ると、にっこりと彼女は微笑んだ。
「ということは……考えてもらえますケロ?」
「う……うん。ただ、こっちにも予定があるから、また後日ってことには……」
「ええ〜、それは……んっ?」
言葉が途切れ、カエル少女はどこか遠くを見る。
かなり遠いので見えにくいが、視線の先には警察官の姿がぼんやりと見えた。
あれは……『アヌビス』という魔物の警察官のようだ。
「こらっ!貴様町に来てたのか!待てぇ〜カエル女!」
「ゲロロッ、サツに見つかるのはまずいケロ!
それじゃあとっつぁん、今日の所はスタコラサッサケロ〜!ケーロヨ〜ン!」
「待てー!待たんかー!」
そう言いながら、後ろ足を生かして大きく飛び跳ねる。家を軽々飛び越すほどの飛距離だ。
あっという間にカエル少女の姿は見えなくなり、慌てて追いかけるアヌビス警官さんだが途中で見失ってしまったようだった。
翌日。
大学からの帰り道に、段ボール箱のあった通りへまた来てみたが、あるのは乾き跡のある空の箱だけで、カエル少女の姿はなかった。
「ヘンな子だったけど、追われてる身なわけだし、流石にもうここには来ないかな……」
安堵と少しの寂寥感に苛まれながら、僕は自分の住むアパートへ戻る。
自宅の玄関を開け、靴を脱いで家に上がる。
家に帰ってきた僕はいつものように部屋のカーテンを開ける――と、窓の向こうのベランダには、見覚えのある緑肌の少女がカエル座りでそこに居た。
「ケロロ〜、やっぱり待ちきれずに家まで来ちゃいましたケロ。
開けてくださーいケロ〜♪」
驚きのあまり転びそうになるが、なんとか踏みとどまる。
「ちょ、ちょっと!どうしてここに?!」
「味も匂いも知ってる相手なら、追跡するぐらいどんな魔物だってできますケロ〜」
「いや、ここ八階なんだけど……」
「これぐらいの高さ、カベさえあれば吸盤ですいすい登れちゃいますケロ。
ワタシたち、気に入った相手にはしつこいんですケロよ〜?」
口元をゆがませ、にやあっと笑うカエル少女。
どうやら僕は恐ろしい魔物に気に入られてしまったらしい。
結局僕は押しに負け、彼女をアパートの中に入れた。
「おじゃましますケロ〜。わ〜、オトコの人の部屋ってこんなになってるんですケロ?
イイ匂いがぷんぷんするケロねぇ〜。
あ、外で待ってる間にノド乾いちゃったんで、お水いただいてもイイですケロ?」
カエル少女はぴょんぴょん飛び跳ねながら部屋を見て回っている。
彼女の体重は意外と軽いのか、揺れは下の階に迷惑になるほどではないと思う。
しかし跳ねる度に粘液が飛び散って、部屋の中が大変な有様だ。
「あの……この粘液、なんとかならないの?」
「ん〜、ワタシから離れると、ふつうの水よりはすぐに乾いちゃうんですケロねぇ。
そう言われると思って、粘液に頼らずとも身体の湿り気を保つ魔法は覚えましたケロ。
それに粘液を抑える魔法もあるので、これで問題はないですケロ。
……ただ、」
「ただ?」
「当然使うたびに魔力を消耗するので、たくさんの精が必要になりますケロ。
あと粘液も必要以上に溜め込んじゃいますので、より凶暴になっちゃうことも……ケロ〜」
「……」
カエル少女との共生は思ったより難儀なのかもしれない。
「そういえば……まだ名前も聞いてなかったけど」
「あ、そうでしたケロね。ワタシは”ヤドク”と申しますケロ。
奇遇にもこちらのセカイでは毒たっぷりのカエルさんと同じ名前だとか……。
なんだかウンメイを感じちゃいますケロねぇ〜」
「う……うん。僕の名前は優太(ゆうた)だよ」
「分かりましたケロ。ただまあ、拾っていただいた恩もありますし、これからはご主人様とお呼びしますケロ〜」
「え? いや……君が押し掛けて来たわけで、まだ拾った覚えはないんだけど……」
「まあまあ。細かいコトはいいじゃないですケロ〜。
じゃあ、お近づきのしるしと、喉を潤したいのとで……ご主人様のツバをいただいちゃいますケロ〜」
「え? ――んむっ?!」
突然僕の口元に彼女の舌が伸びてきて、ぬるっとした粘液が唇を濡らす。
舌の先端が凄い力で唇をこじ開けると、僕の口の中を蹂躙していく。
口腔内を舌と粘液で満たされるかのような、激しい愛撫。
「んはぁっ、ご主人のクチの中、温かいですケロねえ♪
ベロはもちろん、歯の裏まで余すところなく粘液でヌルヌルにしちゃいますケロよぉ♪」
「んんん〜〜っ……!」
それはディープキスよりも遥かに激しい、まさしく口内を犯されていく感覚。
れろっ、くちゅっ、ぐちゅぬちゅっ……と激しい水音が鳴る。
妖しく滑った粘液の味は砂糖水のようにほの甘く、味わう度に神経がピリピリしてくる。
「ちなみにワタシたちの粘液を飲むと、少しずつ興奮してきちゃってぇ……。
出せば出すほど、ますますおちんちんが固くなっちゃうんですケロ〜♪」
「そ、そんな……」
彼女の言うとおり、粘液を飲まされる僕の身体には変化が起きていた。
さっきまで平常だった肉棒が勃起し始め、身体が火照り始める。
「けろ〜、美味しいご主人様のツバ、たくさんいただいちゃいましたケロ。
でもこれだけじゃ足りないですケロねぇ……ミネラルウォーターってありますケロ?」
「ううっ……か、身体が……」
「あらら、だいじょうぶですケロ〜?よっぽど溜まってたんですケロねぇ〜」
強くなっていく勃起のせいで歩くのにさえ支障が出る。
そんな僕を見ながらヤドクはにやにや笑って近づいてきた。
「すぐにヌイてあげてもいいんですケロぉ、その前においしいお水が欲しいですケロ〜」
「み、水ならキッチンの冷蔵庫に……」
よろよろと歩きながら僕は台所へ向かい、ペットボトルに入ったミネラルウォーターの蓋を開けて手渡す。
「わぁ〜、ありがとうございますケロ♪ ごくっ、ごくっ……。
ぷはぁっ、生き返りますケロ〜っ」
勢いよくボトルを傾けて一口で半分以上の水を飲むと、満足そうに息を漏らす。
そして改めて僕の方へ向き直ると、またにやりと笑った。
「それじゃあ、次はデザートですケロねぇ♪
さあさあ、ベッドにでも座ってくださいケロっ」
言われるままに僕がベッドに座ると、ヤドクは僕の正面でカエル座りする。
そのままズボンに手を掛けられ、一緒に下着まで脱がされる。
ピンと張ったペニスが飛び出して、彼女の目前にさらけ出された。
「あらら、もうこんなにしちゃって……すぐにスッキリさせてあげちゃいますケロね♪
ん〜っ、えろぉ〜……っ」
「うわっ、ぬ、ぬるぬるしてるのがこんなに……」
ヤドクは舌から唾液をだらっと垂らし、ペニスに振り掛ける。
ぬるぬるに滑った粘液は触れるだけでも気持ちがよく、軽く痺れるような快楽が走る。
「まずはおててでシコシコしてあげちゃいますケロ♪
おちんちんにべったり張り付いて、とっても気持ちいいですケロよぉ〜」
吸盤の付いたヤドクの掌は優しく肉棒に張り付いてきて、普通の手では味わえない感覚を生み出している。
さらに軟らかな指で強弱をつけて、マッサージのようににぎにぎされる。
声が我慢できず、ため息のような嗚咽が思わず漏れた。
「はうぅっ……す、すごい……からみ、ついてっ……」
「あははっ、まだ手しか使ってないですケロよぉ?
本番はこれからですケロ〜、おちんちんをおクチの中でぱっくりと咥えこんで……、
ヌルヌルの舌でれろれろしてあげてぇ〜……、
喉の奥にたくさんシャセイしてもらいますケロねぇ♪」
ヤドクの長い長い舌がペニスにぐるりと絡み付く。
ぬめり気だらけのそれは温かく、ぷにぷにと柔く、触れるだけでも気持ちがいい。
それがずるりと肉棒に纏わりついてくるのだから、思わず腰が浮いてしまう。
しかし腕を腰に回してぎゅっとされて、腰を引くことができないようにされた。
「暴れちゃダメですケロ〜、もっともっとヌルヌルにしてあげますケロ〜♪
んちゅ〜っ、ぬちゅ、ぐちゅぐちゅ……♥
んふふ♥先っぽからいっぱいお汁が出てきてますケロねえ♪」
余すところなく舌でペニスをねぶられ、さらに唇で擦るように愛撫される。
特に敏感な亀頭と裏筋は何度もレロレロと舐められ、快楽で腰が跳ねる。
散々に粘液でペニスをいたぶられて、もう射精は目前だった。
「で、でるぅっ……でちゃうぅ……」
「ケロ〜♪遠慮しないでたーっぷり出してくださいケロ、ご主人様♥」
びくん、と一際強くペニスが跳ねて、勢いよくヤドクの口内に白濁液が飛び出す。
舐める動作から精液をちゅうちゅうと吸い上げる動作に変わり、尿道に残った精液まで吸い出されていく。
こんなに長い絶頂は生まれて初めてだった。
「んぐっ、ごくごくっ……♥んん〜〜っ、ご主人様の、すごく美味しい♥
とっても濃くて、ぷりぷりのセイエキですケロね♪」
舌なめずりをして、喉を鳴らしながら僕の精子を飲む様はとてもいやらしい。
荒い息をつく僕の前で、ヤドクはちゅるん、と舌を口の中に納める。
「ふふふ……あれだけ粘液を飲んじゃったら、一回出したくらいじゃ収まりませんケロね?
もう一度くらいイッちゃいますケロ〜?♪」
彼女の言うとおり、僕のペニスはまだ全然萎える気配がない。
ごくりと生唾を飲み込みながら、僕は頷くことしかできなかった。
「でも次は、ワタシたちミューカストードだからできるとっておきの技を……♪
ちょっと失礼して……ケロ〜」
「えっ? な、なにを……」
僕はベッドに押し倒され、ぐいっと足を持ち上げながら開かされる。
俗に言うちんぐり返しの体勢になり、ヤドクの目前に僕のペニスとアナルがさらけ出された。
普段誰にも見せないその場所をまじまじと見つめられ、羞恥心で顔が熱くなる。
「うふふ、ご主人様はお尻の穴も美味しそうにしてますケロねぇ……♥
ヒクヒクしてて、とてもいやらしいですよ♪
ここをワタシのながぁい舌で、奥までぐりぐりされちゃったら……どうなっちゃうんですかねぇ?♪」
「そ、そんなところ、きたな……ひゃっ!」
ツンツンとヤドクの舌の先端がお尻の穴を突っつく。
不浄の穴を舐め回されることの、困惑感と快楽への期待が入り混じる。
粘液が塗されて滑りが良くなると、今度は窄みをぐりぐりとこじ開けようとしてきた。
「ご主人様のカラダだったら、どんなトコでも綺麗に舐めてあげますケロねぇ?♥
さっ、力を抜いて……早くご主人様のこーもん、舐めさせてくださいケロ♪」
「だ、だめだっ、そんなぁっ……あぁぁっ!」
ずにゅっ、とぬめった舌が挿入され、お尻の中に侵入してくる。
異物感と、それ以上の気持ちよさが腸内を満たしていく。
今まで感じたことのない快楽に身体が震えて、肉棒がピクピク蠢いた。
「んん〜っ、ご主人様の奥底の味、とっても美味しいですケロ♪
もっともーっとお尻のナカ、舐め回してあげますケロよぉ♥」
「そ、そんなに、う、うごかさないでっ……んぅっ?!」
にゅぷっ、ぬぷっ、とアナルの中に出たり入ったりしながら舌が動き回り、そこら中を這いずりまわる。
そしてある場所を舌に責められると、一際大きな声が出てしまう。
僕の変化を敏感に感じ取ったヤドクは、とても楽しそうに笑った。
「あらぁ、ヘンな所触っちゃいましたケロ?
さっき感じたのは……ここ?それともこのコリコリしたとこケロ〜?」
「あっ、あっ、そ、そこっ、だめっ……!」
今まで感じた事のない、自慰では決して得られなかった激しい快楽の波。
射精とは一味違う、身体全体を突き抜けるような気持ちよさ。
「ふふっ、意外と浅いトコロにあるんですケロねぇ♪
それじゃあこの一番感じる場所を、やさし〜くペロペロしてあげちゃいますケロっ♥」
「う、うぁぁっ、だ、だめっ、なんか、ヘンなのがぁっ――♥」
ヤドクの舌を使ったアナル責めで悦楽が最大限にまで高まり、僕は再び絶頂を迎える。
だが奇妙なことに、ペニスが射精しようとしない。
その代わりに全身を甘い甘い切ない快楽が包み、全身がびくんと痙攣する。
伸びる舌で責めを続けながらも、ヤドクが震える僕の身体を労わるように抱きしめる。
いつもの絶頂と違う未知の快感に全身を襲われ、僕は恐怖さえ覚えてしまう。
「あはっ……初めてなのに、こんなに上手くメスイキしちゃうなんて……♪
ご主人様のカラダはよっぽどいやらしいんだケロねぇ〜♥
怖がらなくてもいいんですよぉ、イッてる間は頭なでなでしてあげますから♪
心の底まで、女の子の気持ちよさに身を任せちゃいましょうケロ……♥」
「なっ、なに、これぇっ……い、いくのが、とまん、ないぃっ……♥」
そこにヤドクの手で優しく頭を撫でられると、怖さが少しずつ消えていく。
そして純粋な気持ちよさだけが残り、僕もしがみつくように彼女を抱きしめていた。
「どうですケロ〜、お尻の穴舐められて、女の子みたいにイっちゃった気分は?♥
それにしてもご主人様のメスイキ顔、とっても可愛らしかったですケロねぇ〜♪♥」
「あぁ、あぁぁっ、うぅぅ……」
長い長い絶頂は一分以上続き、僕は呂律の回らない舌で呻くことしかできない。
「うふふ……さあ、今だけは身も心も、ワタシに任せちゃいましょうねぇ〜……♥」
ヤドクの柔らかい身体に甘えながら、僕は身体の溶けるような錯覚さえ覚えていた。
夜。
僕から精をたっぷり補給したヤドクは魔法を使ったらしく、彼女の身体から溢れていた粘液がぴたっと止まった。
そのおかげで床が汚れることはなくなった……のだが。
「ケロロ〜、せっかくなんだから一緒に寝ましょうよぉ〜。
今ならベッド汚したりしませんケロ〜」
と言ってヤドクはベッドの中にもそもそと潜り込んでくる。
それも二人が向かい合う形になるように。
「い、いや、今日会ったばっかりでそんな、」
「あんなに気持ちよさそうにイカされて、ワタシに甘えていたのに、いまさら何が問題なんですケロ?
それにワタシの身体、抱きしめるとぷにぷにしてて、とっても心地いいはずですケロ♪」
「うっ……」
確かにヤドクの身体はカエルらしく、柔らかさに富んでいる。抱き枕にはもってこいかもしれない。
そしてスタイルもいい。豊満なバストは天上の柔さを持っているだろう。
「それとも……やっぱりカエル娘なんて気持ち悪いから、添い寝されるのはやだケロ?」
「そ、そんなことはないけど……」
しおらしそうな態度を見せた――と思ったのは罠だったかもしれない。
一瞬の隙を突かれ、僕はがばっと頭を抱きしめられる。
「えへへ〜〜……♥ご主人様ならそう言ってくれると思ったケロ♪
ほらぁ……ワタシのおっぱい、柔らかいケロ?」
「んむぅっ……あぁぁ……」
ぐいっと大きな胸で顔を挟まれ、呼吸が苦しくなる。
しかしそれ以上にむにむにっと柔らかい乳房の感触に、脳が溶けてしまいそうだ。
息をするとヤドクの身体から瑞々しい緑のような匂いがして、なんだか落ち着いてしまう。
「今日はたくさん出したから、疲れてるケロよね……?
だからワタシの胸の中で、いい子いい子しながら眠らせてあげるケロ〜……♪♥」
ヤドクの四本指が僕の頭を優しく撫でる。
子供のように甘やかされ、蕩けさせられるようなこの気持ちよさに、僕は抗えない。
全身から伝わる柔らかさと、囁くようなウィスパーボイスですぐに眠気がやってくる。
「ご主人様♪ ほら〜、よしよし♪♥
ぐっすり眠れるように子守唄も歌ってあげるケロね♥
かぁ〜えぇ〜るぅ〜の〜うぅ〜た〜がぁ〜♪ きぃ〜こぉ〜え〜て〜くぅ〜る〜よ〜♪
ケロケロケロケロックワックワックワッ〜……♪」
……ちょっと歌は下手だったが、問題なく僕は眠りに落ちていった。
カエル少女、ヤドクと会ってから一週間ほど過ぎた。
相変わらず彼女は僕の家に居たがって離れようとしない。
警察を呼ぶべきかどうかも考えたが、彼女と生活を共にしていくうちにそんな考えは薄くなっていった。
今では一緒に近所のスーパーへ買い物へ行くぐらいだ。
まあ、それは連れて行ってほしいという彼女のお願いを断りきれなかったからなのだが。
「ケロ〜、チラシを見ると今日は鶏肉が安くなってますケロね〜。
おゆはんの献立は何にしましょうケロ〜」
スーパーへの道を二人で並んで歩く。流石に彼女もこういう時は歩いて移動するらしい。
驚いたことに、どこで習ったのかヤドクは料理(ただし肉料理ばかりだが)や掃除といった家事も憶えていた。
きっと良き妻になろうとした結果なのだと思うと、その努力は涙ぐましい。
「ねぇ……ご主人様ぁ、せっかくなんだから外でも手を繋ぎましょうケロよぉ」
「う、うーん……それは流石に恥ずかし」
「ケロ〜ッ?!それはワタシが一緒にいると体裁が悪いということですケロ?!
ぐすっ……悲しいですゲロッ……」
露骨な泣き真似をするヤドクに、慌てて僕は訂正する。
「わ、分かったよ」
「わあっ、さすがご主人様♪お優しいですケロ〜♪」
コロッと表情を変える調子のいいカエル少女は、嬉しそうに微笑んで僕の手を引っ張って歩きだす。
吸盤の付いた掌は、手を握られると簡単に離せそうにはない。
「さあさあ、早く行きましょうケロ〜♪」
「ちょ、ちょっと待って……」
そして曲がり角を過ぎようとした所で、見覚えのある人影と出会う。
「あっ?! キサマ、この前のカエル女!」
「ゲロッ?!」
その姿はヤドクを追っていたアヌビスの警官だ。
それに今はもう一人、虎のような顔つきをした魔物娘――『人虎(じんこ)』も一緒に立っていた。
「む……件の飛び跳ねまわっていたカエル娘……ミューカストードか。
ちょうどいい、お前にはお灸を据える必要があったからな……」
「け、ケロぉ〜……」
怯えるヤドクににじり寄ってくる二体の魔物娘。
二人とも彼女より背も身体も大きく、力では敵いそうもないだろう。
それに相手には強靭な肉体を持つ人虎もいる、逃げることさえ難しいかもしれない。
「その掴んだ手……ちょうど男を無理やり攫おうとしていたんだろう?!
今日という今日は逃がさんぞ! 今すぐに任意同行を――」
「ま、待ってください!」
僕は後ずさるヤドクの前に出て、彼女を庇いながら言う。
「彼女は……ヤドクは、僕の恋人です」
「えっ……?」
「なっ、」
僕以外の三人がほぼ同時に驚きの声を上げる。
「外へ一緒に着いてきてほしいと言ったのは僕です。
だから、責められるべきなのは僕です、彼女は関係ありません。
補導するのなら、僕にしてください」
「ご……ごしゅじん、さま……」
「む……」
その言葉で、アヌビス警官も人虎警官も口を閉ざしてしまう。
「……まったく。それなら最初からそう言いたまえ。
伴侶のいる魔物だというのなら、話は別になる。
……時間を取らせて悪かったな」
「え?え?そ、それでいいのか?わからん!ぜんぜんわからん!」
「行きましょう、先輩。仕事はまだ残ってますから」
「あ、ああ……?」
予想外の事に狼狽えるアヌビスさんを、人虎警官が引っ張るように連れて行く。
遠ざかっていく二人をよそに、僕らは道に取り残された。
「……ああ、余計な時間を喰っちゃったね。
タイムセールが終わらないうちに、早く行こうか」
「は……はいっ……」
顔を赤らめて下を向くヤドクの手を握り、僕らは道を歩き出す。
今度は、僕が彼女を引っ張っていく番だった。
――そしてその日の夜。
ご飯を食べ終えて後片付けも終えて、という所でヤドクの状態が変わる。
外での一件からずっと口数の少なかった彼女が、ようやく自分から口を開いた。
「ごしゅじん……さま。あの時の……ワタシが連れて行かれそうになった時の言葉……、
ほんとう、ですか?」
立ち上がった際に背中から声を掛けられた僕は、振り向いて彼女を見る。
オレンジ色のまん丸い瞳が僕を見つめる。薄らと頬も赤くなっている。
「あ、あれは……ああ言わないと、懲りてくれなさそうだったから……」
「じゃあ……やっぱり、本心なんかじゃなかったんですね……ケロ……」
うつむいたヤドクの表情が暗くなり、声のトーンが下がっていく。
「ワタシ……ココに来た時から強引で、好かれてないだろうなって事は分かってましたケロ。
でも、ご主人様が優しいから……つい、それに甘えてしまってたんです、ケロ……」
「……ヤドク」
「まだ一線を越えたわけではないんです。今なら後戻りできますケロ。
ご主人様の迷惑になんてなりたくありません、だからワタシは――」
僕は彼女の両肩に手を乗せる。その動作でヤドクの言葉が止まった。
彼女の顔が僕を見上げた瞬間、僕はヤドクの唇にそっと口づけをする。
「――っ」
口で味わう柔らかな感触に動揺しつつも、重なった唇は離さない。離せない。
元々つぶらな目をさらに丸くしながら、彼女の表情が驚きに変わる。
何秒経ったのかもわからず、息が苦しくなってようやく僕らは口を離す。
「ぷはぁっ……ご、ごしゅじん、さま……?」
困惑と陶酔の入り混じった表情で、ヤドクは目を何度も瞬かせた。
「僕達はまだ恋人じゃない。だから今日からは、恋人になりたい。――ヤドクと」
彼女に心からの本心をぶつけながら、ぎゅっと柔い身体を抱きしめる。
しばらくの静粛の後、掠れたヤドクの声。
「ホントに……いいんですケロ?こんなワタシで……」
「うん。君じゃないとダメだ」
返事を返す代わりのように、彼女が僕の背中を抱きしめ返す。
「う……嬉しい、ケロ……ケロケロ、ケロォ〜っ……!」
鳴き声か泣き声なのか分からない声を聞きながら、僕たちはしばらく抱き合っていた。
ヤドクが落ち着いた後、僕たちは二人でベッドの上に寝転がった。
互いの服を脱がせあいながら、互いの温もりに触れ、どこともなく愛撫をする。
彼女はスクール水着のような物を身に着けているのみだったが、あるとないではやはり違う。
肌の色も相まって、ピンと勃起した薄ピンク色の乳首がとても淫靡なものに見える。
全部の服を脱ぎ終えたところで、僕はたまらず乳首に舌を這わせた。
「あふっ……ち、乳首は、ビンカンなんだケロっ……♥
あんまり舐めちゃ、粘液を止める魔法が使えなく……ひゃんっ♥」
「大丈夫だよ、いくらでもベッドは汚していいから」
「ケロロ……そ、そんなこと言われても……あふぅん♥」
昂ぶると粘液が止められなくなるようで、乳首を舐める度にぬるっとした液体が舌に纏わりつく。
ほの甘いそれを舐めとりながら、僕は彼女の股間に手を伸ばす。
粘液の分泌が再開されたせいか、それとも愛液を零していたのか、そこはもうすでにぬるりとした液体で濡れそぼっていた。
「も、もうヌルヌルになってますケロ……ずっと、この時を待ってたから……ケロ♥」
魔物娘たちは一途で、一人の男以外に身体を許すことはないという。
当然処女であるヤドクを、どうすれば優しく抱いてあげられるかを考えていると、
「記念すべき初めての交わりは……ご主人様の上に跨ってもいいですケロ?
ワタシたちミューカストードはこの形で繋がるのが大好きなんですケロ……♪」
主導権を渡すとはいえ、他ならぬヤドクの頼みを断る意味はなかった。
それに騎乗位の姿勢なら、彼女が自分で動きやすいように調節できる。一石二鳥だ。
僕は頷いてベッドに寝転がり、そしてヤドクがカエル座りで上に乗っかってくる。
彼女の粘液を舐めたせいか、僕の肉棒はすでに元気よく勃起していた。
「ふふ……それじゃあ、ワタシの初めて、ご主人様に捧げちゃいますケロ……。
でも、一回なんかじゃ終わらせてあげませんケロね……?」
じっとりした目つきで妖しく笑うヤドクは、自分の小さな性器をぐっと僕のペニスに押し付けてくる。
くちゅ、と亀頭と穴がくっつき、ずぶずぶと肉棒が熱い秘部に飲み込まれていく。
膣の中は特に濃い粘液でいっぱいだった。
「あっ……は、入ってくるぅ……ご主人様の、熱いおちんちんっ……ケロケロ♥」
「ううっ、す、すごい……気持ちいい……!」
にゅぶ……ぐにゅにゅ。
あっという間にペニスは彼女の性器に根元まで咥えこまれてしまう。
締め付けが強いが、それ以上にじっとりと粘液が絡み付いてくる。動かなくても感じてしまうぐらいだ。
「おちんちん、食べちゃいましたケロねぇ……♪
それじゃあ動いちゃいますよ……出なくなるまで犯しちゃうかもですケロ〜♥」
「えっ……あうっ!あっ、ああっ……」
囁き声と共に、いきなり激しくヤドクの腰が跳ねる。ぶるんぶるんと大きな乳房が揺れる。
ぱんっぱんっと肉のぶつかる小気味いい音が鳴り、同時にペニスを激しく擦りあげていく。
ぬちゃぬちゃと蜜壺から滴る粘液が肉棒に絡み付いて、糸を引くのがとてもいやらしい。
「はっ♥はっ♥ふぅっ♥んぅっ♥すごいっ♥奥まで♥届いてっ♥ケロっ♥」
「あぁぁ……うぅぅっ、」
淫らに腰を跳ねさせながら、ヤドクは子供のように甲高い嬌声を上げる。
その腰つきの激しさはまさにカエル少女そのものだ。
手や舌とはまた比べ物にならない快感でペニスを咥えこまれ、僕も声を上げてしまう。
「うふふっ♥さっきのお返しですっ♥腰を振りながら♥乳首、イジってあげますケロ♥」
「そ、そんなところっ……んふぅっ」
彼女のぬるっとした指が僕の胸に伸びてきて、コリコリと乳首を弄ってくる。
乳輪をくすぐるように触ったり、乳頭を突いてきたり。
腰を跳ねさせながらとは思えない繊細な動きで、僕の性感帯を巧みに責めてくる。
「ち、乳首、気持ちいいよっ……ヤドクっ……!」
「あはっ、ご主人様も乳首がビンカンなんですね♥ワタシと同じで嬉しいですケロ♥ほらっ♥もっともっとっ♥
舌でも乳首、ペロペロしてあげますケロっ♥」
ヤドクは舌を伸ばし、両方の乳首を交互にれろれろと舐めあげてくる。
腰を動かすスピードが増し、より激しい気持ちよさでペニスが包まれていく。
ぬちゅちゅっ、ぐちゅぐちゅっ、ぱちゅっ。
肉棒が抜けるのと同時にきゅっと乳首を摘ままれ、同時に二か所の性感帯を責められる。
絶頂はもうすぐそこまで来ていた。
「うぅ……だめだ、もう、出ちゃうっ……」
「わ、ワタシも……そろそろ、イッちゃいますケロ……♥
中に……一番奥に♥いっぱい出してくださいケロぉっ♥」
「い、イクぅッ……!!」
ほぼ同時に雄叫びを上げ、僕らは天上の悦楽へ達する。
ヤドクの一番奥に包み込まれ、ペニスが溶けてしまったかのような快感が走る。
どぷっ、どぷっ……と、大量の精液が狭い膣の中に放出されていく。
長い長い射精の快楽で、腰が砕けてしまいそうだった。
「あぁあっ……♥ナカにいっぱい、熱いの……注ぎ込まれてるケロ♥
子宮の中まで、入ってくるのが分かっちゃうくらい……♥」
ヤドクは満足そうにお腹をさすりながら、トロけた顔で口を開いて涎を垂らしている。
お互いに絶頂の余韻に浸りながら、火照った体を抱きしめあった。
顔を突き合わせると彼女が舌を伸ばしてきたので、互いの唾液を交換するようにキスをする。
粘液の効果もあって、僕のペニスはまだ硬さと大きさをほとんど失っていなかった。
「まだまだ……イケますケロよね?♥」
「ダメって言っても離してくれないくせに……僕もまだ、離したくないけどね」
「ケロっ♥さすがご主人様ですケロね……♥さっ、早く続きをしましょうケロ♥」
――累計五回目の射精を終えた頃。
精液はとっくに膣穴から漏れ出し、ベッドシーツまで汚している。
ヤドクの身体中から溢れてくる粘液で、二人共がヌルヌルに混ざり合い、溶けあっている。
さすがに彼女も度重なる絶頂により腰を跳ねさせるのに疲れたのか、動きが止まる。
もう最初の頃ほどペニスは勃起していないが、それでもまだ硬さを保っていた。
「はふぅ……♥ご主人様の、ま、まだ……♥カタいままなんですケロねぇ……♥」
さぁ、で、出なくなるまで犯して――ケロっ?!」
僕は滑ってしまわないように気を付けながら、ぐいっと身を起こして彼女を持ち上げ、さっきまでとは逆に、彼女を押し倒してベッドの上で仰向けに寝かせる。
もっとも一般的な体位、正常位の形になった。
「け……けろけろっ……?ご、ご主人様……?」
僕の腰の上で跳ねていた時とはうってかわって、途端にしおらしい態度になるヤドク。
顔を突き合わせ、僕は彼女の瞳をじっと見つめていた。
「そんなに……改まって見つめられると……すごく恥ずかしいです……ケロ……♥」
さらに彼女の膝を曲げさせ、M字開脚のポーズを取らせる。
精液で塗れた膣穴がくぱっと開いて晒され、色々な液が混ざった滴がとろりと垂れた。
「恥ずかしがる所もかわいいよ、ヤドク。他の誰よりずっと」
「あ、あふぅぅ……♥そ、そんなコト、言われるとっ……ケロぉ〜っ……♥」
慣れない体勢が合わさりさらに恥ずかしいのか、羞恥心で彼女の顔が真っ赤に染まっていく。
「それに、このカッコだと……ワタシのあそこ、丸見えでっ、ケロケロっ……」
「今まではずっと君のペースだったからね。少しぐらい、僕もやり返したいし」
「あうぅ……し、仕方ないですケロね……。
でも、その……や、やさしく……してほしい、ケロ……♥」
彼女を安心させるために、僕は緑髪の頭を撫でながら、そっと軽いキスをする。
両手で四本の指を握ると、彼女もぎゅっと手を握り返してくれた。
「えへへぇ……ご主人様ぁ、ずうっと、たっくさん愛してくださいケロねぇ……♥」
微笑んだヤドクの表情を見て安心しながら、僕はまた彼女と一つになっていく。
そしてまた何度も、何度もヤドクに欲望を注ぎ込む――。
僕達は意識が途切れるまで、ずっと繋がっていた。
押し掛け女房のようなカエル少女と僕の話は、ここで一旦終わる。
近いうちに子宝を授かって、更に賑やかな生活が始まるのだけど――それはまた別の話。
”ひろってください”と書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。だが――
「ケロケロ〜」
そこにいたのは、模様の入った緑色の肌をした、まさしくカエルのような人型の少女。座り方もまるでカエルで、太ももが大きい。頭からはショートの緑髪が生えているし、姿形こそ人間に近いものの、身体中が粘液のようなものに塗れている。それに舌も人より数倍長く、れろれろと伸ばしたり引っ込めたりしている。
背は僕より少し低く幼い顔つきで、魔物のようなので正確には分からないが年の頃は、人間で言えば十代後半ぐらいだろうか。ただ、胸部はその童顔に似合わないほど大きい。
水場でもないのにスクール水着のようなものを着ているが、これは粘液のせいで普通の服が着れないからだろう。
時おり特徴的な鳴き声を上げては、数少ない道行く人を見つめている。
「なんだろう……見たことないな、あんな魔物」
僕は一人ごちながらスマートフォンでこっそり写真を撮り、魔物に異常なほど詳しい友人に聞いてみる。
ちょうど暇だったのかすぐに返事が返ってきて、彼女は「ミューカストード」という魔物娘だと教えてくれた。
普通は水辺や湿地帯に住む、見た目通りカエルのような魔物で、人里に出てくるのは珍しいとのこと。
――というか、本能に赴く好色さ故に危険な魔物なので、独り身の個体は県でも認可されていないらしい。
「ゲロ〜……ふぁ〜あ。匂いはするのになあ」
カエル少女があくびのような動きをする。
周りには彼女の夫らしき男性はおらず、しかし彼女が道行く人に襲いかかる気配もない。
危険だとは分かっていたが、僕は興味を抑えきれず彼女に近づいた。
「ケロケ……はっ!イイ匂い……!」
僕に気付くと、カエル少女はこれ見よがしに舌を伸ばす。表情もどこかぼんやりとしている。
上から下まで彼女を眺めてみると、人間とは違った姿形にますます興味が湧いてくる。
「ケロロ〜、そんなにじっくり見られると恥ずかしいですケロね」
じろっとした僕の視線に気づいた彼女は、少し照れた声で喋りかけてきた。
「君は……えと、こんな所で何を?」
「ケロ!モチロン、ご主人様探しですケロ〜」
彼女の舌の先端が『ひろってください』と書かれた紙を指す。舌に関しては思った以上に伸びるし、本物の蛙よりも自由自在のようだ。
「どうしてこんな所で?」
「だって、山の中にいてもニンゲンさん来てくれないんですケロ……」
「でもここだと、そんなに人通りも多くないと思うけど……」
「う〜ん、あんまり人が多いとすぐに通報されちゃうんですケロよ。
ワタシたち、なんか危険な魔物扱いされてるせいで、あんまり出歩けなくて……ゲロッ」
「なるほど……でもその割に君は、そんな感じじゃないね」
「ワタシは独自に色々勉強して、忍耐と好かれるための技術を覚えたんですケロ。
たとえば、人気のあるカエルさんのキャラを真似してみたり……。
どこまでもいっしょとか、ゲロゲロ軍曹とか、根性カエルとか……色々見て回りましたケロ〜」
おそらく勉強の成果は、その特徴的な語尾に現れているのだろう。
「じゃあ、男の人を無理矢理襲ったりはしないと?」
「まあ昔ならいざ知らず、現代ではそんな事する子はほとんどいませんですケロよ。
こっちのセカイに来れるようになってからは、オトコ不足も多少は解消されましたから。
もっとも……」
「?」
「気に入ったオトコの人なら……分かりませんですケロねぇ〜……♪」
ぺろり、と見せつけるように舌なめずりをするカエル少女。
その姿は人外らしさが強調され、どこか妖艶さを感じさせる。
「あ……ぼく、もう彼女がい、いるから。
じゃ……じゃあ僕はこれで……」
長く話していると危険な予感がして、僕は話を切り上げて離れようとした。
が、
「ケロケロっ!ちゅおっとお待ちくださいケロよぉ〜」
しゅぱっと伸びてきた彼女の舌が、僕の胴体に強く巻かれる。
締め付けは痛みこそないが非常に強く、身体が浮いてしまいそうなほどだ。
そのまま伸び続ける彼女の舌の先っぽが、僕の頬をぺろりと舐めてくる。
ぬめぬめした舌に舐められる感覚で、背筋がゾクっとしてしまう。
「むっ……この味は、『ウソ』をついている味だぜ……ケロ。
ホントはまだ誰のお手付きでもないんでしょう?
それなら……そう簡単には逃がせないですケロっ」
「お、襲ったりはしないってさっき言ったじゃないか」
「ゲロッ……まあまあ、そう邪見にしないでくださいケロ。
せっかくなんですから、ワタシと暮らしてみませんか、ケロ〜?」
「ええっ?」
「お互いの事を知れば、きっとワタシたちの事もわかって頂けるはずですケロ。
このまま誤解されたままでは悲しいのです……ゲロッ」
「わ、わかったから離して……」
舌はしゅるしゅると元に戻り、体が締め付けから解放される。
僕が少女に向き直ると、にっこりと彼女は微笑んだ。
「ということは……考えてもらえますケロ?」
「う……うん。ただ、こっちにも予定があるから、また後日ってことには……」
「ええ〜、それは……んっ?」
言葉が途切れ、カエル少女はどこか遠くを見る。
かなり遠いので見えにくいが、視線の先には警察官の姿がぼんやりと見えた。
あれは……『アヌビス』という魔物の警察官のようだ。
「こらっ!貴様町に来てたのか!待てぇ〜カエル女!」
「ゲロロッ、サツに見つかるのはまずいケロ!
それじゃあとっつぁん、今日の所はスタコラサッサケロ〜!ケーロヨ〜ン!」
「待てー!待たんかー!」
そう言いながら、後ろ足を生かして大きく飛び跳ねる。家を軽々飛び越すほどの飛距離だ。
あっという間にカエル少女の姿は見えなくなり、慌てて追いかけるアヌビス警官さんだが途中で見失ってしまったようだった。
翌日。
大学からの帰り道に、段ボール箱のあった通りへまた来てみたが、あるのは乾き跡のある空の箱だけで、カエル少女の姿はなかった。
「ヘンな子だったけど、追われてる身なわけだし、流石にもうここには来ないかな……」
安堵と少しの寂寥感に苛まれながら、僕は自分の住むアパートへ戻る。
自宅の玄関を開け、靴を脱いで家に上がる。
家に帰ってきた僕はいつものように部屋のカーテンを開ける――と、窓の向こうのベランダには、見覚えのある緑肌の少女がカエル座りでそこに居た。
「ケロロ〜、やっぱり待ちきれずに家まで来ちゃいましたケロ。
開けてくださーいケロ〜♪」
驚きのあまり転びそうになるが、なんとか踏みとどまる。
「ちょ、ちょっと!どうしてここに?!」
「味も匂いも知ってる相手なら、追跡するぐらいどんな魔物だってできますケロ〜」
「いや、ここ八階なんだけど……」
「これぐらいの高さ、カベさえあれば吸盤ですいすい登れちゃいますケロ。
ワタシたち、気に入った相手にはしつこいんですケロよ〜?」
口元をゆがませ、にやあっと笑うカエル少女。
どうやら僕は恐ろしい魔物に気に入られてしまったらしい。
結局僕は押しに負け、彼女をアパートの中に入れた。
「おじゃましますケロ〜。わ〜、オトコの人の部屋ってこんなになってるんですケロ?
イイ匂いがぷんぷんするケロねぇ〜。
あ、外で待ってる間にノド乾いちゃったんで、お水いただいてもイイですケロ?」
カエル少女はぴょんぴょん飛び跳ねながら部屋を見て回っている。
彼女の体重は意外と軽いのか、揺れは下の階に迷惑になるほどではないと思う。
しかし跳ねる度に粘液が飛び散って、部屋の中が大変な有様だ。
「あの……この粘液、なんとかならないの?」
「ん〜、ワタシから離れると、ふつうの水よりはすぐに乾いちゃうんですケロねぇ。
そう言われると思って、粘液に頼らずとも身体の湿り気を保つ魔法は覚えましたケロ。
それに粘液を抑える魔法もあるので、これで問題はないですケロ。
……ただ、」
「ただ?」
「当然使うたびに魔力を消耗するので、たくさんの精が必要になりますケロ。
あと粘液も必要以上に溜め込んじゃいますので、より凶暴になっちゃうことも……ケロ〜」
「……」
カエル少女との共生は思ったより難儀なのかもしれない。
「そういえば……まだ名前も聞いてなかったけど」
「あ、そうでしたケロね。ワタシは”ヤドク”と申しますケロ。
奇遇にもこちらのセカイでは毒たっぷりのカエルさんと同じ名前だとか……。
なんだかウンメイを感じちゃいますケロねぇ〜」
「う……うん。僕の名前は優太(ゆうた)だよ」
「分かりましたケロ。ただまあ、拾っていただいた恩もありますし、これからはご主人様とお呼びしますケロ〜」
「え? いや……君が押し掛けて来たわけで、まだ拾った覚えはないんだけど……」
「まあまあ。細かいコトはいいじゃないですケロ〜。
じゃあ、お近づきのしるしと、喉を潤したいのとで……ご主人様のツバをいただいちゃいますケロ〜」
「え? ――んむっ?!」
突然僕の口元に彼女の舌が伸びてきて、ぬるっとした粘液が唇を濡らす。
舌の先端が凄い力で唇をこじ開けると、僕の口の中を蹂躙していく。
口腔内を舌と粘液で満たされるかのような、激しい愛撫。
「んはぁっ、ご主人のクチの中、温かいですケロねえ♪
ベロはもちろん、歯の裏まで余すところなく粘液でヌルヌルにしちゃいますケロよぉ♪」
「んんん〜〜っ……!」
それはディープキスよりも遥かに激しい、まさしく口内を犯されていく感覚。
れろっ、くちゅっ、ぐちゅぬちゅっ……と激しい水音が鳴る。
妖しく滑った粘液の味は砂糖水のようにほの甘く、味わう度に神経がピリピリしてくる。
「ちなみにワタシたちの粘液を飲むと、少しずつ興奮してきちゃってぇ……。
出せば出すほど、ますますおちんちんが固くなっちゃうんですケロ〜♪」
「そ、そんな……」
彼女の言うとおり、粘液を飲まされる僕の身体には変化が起きていた。
さっきまで平常だった肉棒が勃起し始め、身体が火照り始める。
「けろ〜、美味しいご主人様のツバ、たくさんいただいちゃいましたケロ。
でもこれだけじゃ足りないですケロねぇ……ミネラルウォーターってありますケロ?」
「ううっ……か、身体が……」
「あらら、だいじょうぶですケロ〜?よっぽど溜まってたんですケロねぇ〜」
強くなっていく勃起のせいで歩くのにさえ支障が出る。
そんな僕を見ながらヤドクはにやにや笑って近づいてきた。
「すぐにヌイてあげてもいいんですケロぉ、その前においしいお水が欲しいですケロ〜」
「み、水ならキッチンの冷蔵庫に……」
よろよろと歩きながら僕は台所へ向かい、ペットボトルに入ったミネラルウォーターの蓋を開けて手渡す。
「わぁ〜、ありがとうございますケロ♪ ごくっ、ごくっ……。
ぷはぁっ、生き返りますケロ〜っ」
勢いよくボトルを傾けて一口で半分以上の水を飲むと、満足そうに息を漏らす。
そして改めて僕の方へ向き直ると、またにやりと笑った。
「それじゃあ、次はデザートですケロねぇ♪
さあさあ、ベッドにでも座ってくださいケロっ」
言われるままに僕がベッドに座ると、ヤドクは僕の正面でカエル座りする。
そのままズボンに手を掛けられ、一緒に下着まで脱がされる。
ピンと張ったペニスが飛び出して、彼女の目前にさらけ出された。
「あらら、もうこんなにしちゃって……すぐにスッキリさせてあげちゃいますケロね♪
ん〜っ、えろぉ〜……っ」
「うわっ、ぬ、ぬるぬるしてるのがこんなに……」
ヤドクは舌から唾液をだらっと垂らし、ペニスに振り掛ける。
ぬるぬるに滑った粘液は触れるだけでも気持ちがよく、軽く痺れるような快楽が走る。
「まずはおててでシコシコしてあげちゃいますケロ♪
おちんちんにべったり張り付いて、とっても気持ちいいですケロよぉ〜」
吸盤の付いたヤドクの掌は優しく肉棒に張り付いてきて、普通の手では味わえない感覚を生み出している。
さらに軟らかな指で強弱をつけて、マッサージのようににぎにぎされる。
声が我慢できず、ため息のような嗚咽が思わず漏れた。
「はうぅっ……す、すごい……からみ、ついてっ……」
「あははっ、まだ手しか使ってないですケロよぉ?
本番はこれからですケロ〜、おちんちんをおクチの中でぱっくりと咥えこんで……、
ヌルヌルの舌でれろれろしてあげてぇ〜……、
喉の奥にたくさんシャセイしてもらいますケロねぇ♪」
ヤドクの長い長い舌がペニスにぐるりと絡み付く。
ぬめり気だらけのそれは温かく、ぷにぷにと柔く、触れるだけでも気持ちがいい。
それがずるりと肉棒に纏わりついてくるのだから、思わず腰が浮いてしまう。
しかし腕を腰に回してぎゅっとされて、腰を引くことができないようにされた。
「暴れちゃダメですケロ〜、もっともっとヌルヌルにしてあげますケロ〜♪
んちゅ〜っ、ぬちゅ、ぐちゅぐちゅ……♥
んふふ♥先っぽからいっぱいお汁が出てきてますケロねえ♪」
余すところなく舌でペニスをねぶられ、さらに唇で擦るように愛撫される。
特に敏感な亀頭と裏筋は何度もレロレロと舐められ、快楽で腰が跳ねる。
散々に粘液でペニスをいたぶられて、もう射精は目前だった。
「で、でるぅっ……でちゃうぅ……」
「ケロ〜♪遠慮しないでたーっぷり出してくださいケロ、ご主人様♥」
びくん、と一際強くペニスが跳ねて、勢いよくヤドクの口内に白濁液が飛び出す。
舐める動作から精液をちゅうちゅうと吸い上げる動作に変わり、尿道に残った精液まで吸い出されていく。
こんなに長い絶頂は生まれて初めてだった。
「んぐっ、ごくごくっ……♥んん〜〜っ、ご主人様の、すごく美味しい♥
とっても濃くて、ぷりぷりのセイエキですケロね♪」
舌なめずりをして、喉を鳴らしながら僕の精子を飲む様はとてもいやらしい。
荒い息をつく僕の前で、ヤドクはちゅるん、と舌を口の中に納める。
「ふふふ……あれだけ粘液を飲んじゃったら、一回出したくらいじゃ収まりませんケロね?
もう一度くらいイッちゃいますケロ〜?♪」
彼女の言うとおり、僕のペニスはまだ全然萎える気配がない。
ごくりと生唾を飲み込みながら、僕は頷くことしかできなかった。
「でも次は、ワタシたちミューカストードだからできるとっておきの技を……♪
ちょっと失礼して……ケロ〜」
「えっ? な、なにを……」
僕はベッドに押し倒され、ぐいっと足を持ち上げながら開かされる。
俗に言うちんぐり返しの体勢になり、ヤドクの目前に僕のペニスとアナルがさらけ出された。
普段誰にも見せないその場所をまじまじと見つめられ、羞恥心で顔が熱くなる。
「うふふ、ご主人様はお尻の穴も美味しそうにしてますケロねぇ……♥
ヒクヒクしてて、とてもいやらしいですよ♪
ここをワタシのながぁい舌で、奥までぐりぐりされちゃったら……どうなっちゃうんですかねぇ?♪」
「そ、そんなところ、きたな……ひゃっ!」
ツンツンとヤドクの舌の先端がお尻の穴を突っつく。
不浄の穴を舐め回されることの、困惑感と快楽への期待が入り混じる。
粘液が塗されて滑りが良くなると、今度は窄みをぐりぐりとこじ開けようとしてきた。
「ご主人様のカラダだったら、どんなトコでも綺麗に舐めてあげますケロねぇ?♥
さっ、力を抜いて……早くご主人様のこーもん、舐めさせてくださいケロ♪」
「だ、だめだっ、そんなぁっ……あぁぁっ!」
ずにゅっ、とぬめった舌が挿入され、お尻の中に侵入してくる。
異物感と、それ以上の気持ちよさが腸内を満たしていく。
今まで感じたことのない快楽に身体が震えて、肉棒がピクピク蠢いた。
「んん〜っ、ご主人様の奥底の味、とっても美味しいですケロ♪
もっともーっとお尻のナカ、舐め回してあげますケロよぉ♥」
「そ、そんなに、う、うごかさないでっ……んぅっ?!」
にゅぷっ、ぬぷっ、とアナルの中に出たり入ったりしながら舌が動き回り、そこら中を這いずりまわる。
そしてある場所を舌に責められると、一際大きな声が出てしまう。
僕の変化を敏感に感じ取ったヤドクは、とても楽しそうに笑った。
「あらぁ、ヘンな所触っちゃいましたケロ?
さっき感じたのは……ここ?それともこのコリコリしたとこケロ〜?」
「あっ、あっ、そ、そこっ、だめっ……!」
今まで感じた事のない、自慰では決して得られなかった激しい快楽の波。
射精とは一味違う、身体全体を突き抜けるような気持ちよさ。
「ふふっ、意外と浅いトコロにあるんですケロねぇ♪
それじゃあこの一番感じる場所を、やさし〜くペロペロしてあげちゃいますケロっ♥」
「う、うぁぁっ、だ、だめっ、なんか、ヘンなのがぁっ――♥」
ヤドクの舌を使ったアナル責めで悦楽が最大限にまで高まり、僕は再び絶頂を迎える。
だが奇妙なことに、ペニスが射精しようとしない。
その代わりに全身を甘い甘い切ない快楽が包み、全身がびくんと痙攣する。
伸びる舌で責めを続けながらも、ヤドクが震える僕の身体を労わるように抱きしめる。
いつもの絶頂と違う未知の快感に全身を襲われ、僕は恐怖さえ覚えてしまう。
「あはっ……初めてなのに、こんなに上手くメスイキしちゃうなんて……♪
ご主人様のカラダはよっぽどいやらしいんだケロねぇ〜♥
怖がらなくてもいいんですよぉ、イッてる間は頭なでなでしてあげますから♪
心の底まで、女の子の気持ちよさに身を任せちゃいましょうケロ……♥」
「なっ、なに、これぇっ……い、いくのが、とまん、ないぃっ……♥」
そこにヤドクの手で優しく頭を撫でられると、怖さが少しずつ消えていく。
そして純粋な気持ちよさだけが残り、僕もしがみつくように彼女を抱きしめていた。
「どうですケロ〜、お尻の穴舐められて、女の子みたいにイっちゃった気分は?♥
それにしてもご主人様のメスイキ顔、とっても可愛らしかったですケロねぇ〜♪♥」
「あぁ、あぁぁっ、うぅぅ……」
長い長い絶頂は一分以上続き、僕は呂律の回らない舌で呻くことしかできない。
「うふふ……さあ、今だけは身も心も、ワタシに任せちゃいましょうねぇ〜……♥」
ヤドクの柔らかい身体に甘えながら、僕は身体の溶けるような錯覚さえ覚えていた。
夜。
僕から精をたっぷり補給したヤドクは魔法を使ったらしく、彼女の身体から溢れていた粘液がぴたっと止まった。
そのおかげで床が汚れることはなくなった……のだが。
「ケロロ〜、せっかくなんだから一緒に寝ましょうよぉ〜。
今ならベッド汚したりしませんケロ〜」
と言ってヤドクはベッドの中にもそもそと潜り込んでくる。
それも二人が向かい合う形になるように。
「い、いや、今日会ったばっかりでそんな、」
「あんなに気持ちよさそうにイカされて、ワタシに甘えていたのに、いまさら何が問題なんですケロ?
それにワタシの身体、抱きしめるとぷにぷにしてて、とっても心地いいはずですケロ♪」
「うっ……」
確かにヤドクの身体はカエルらしく、柔らかさに富んでいる。抱き枕にはもってこいかもしれない。
そしてスタイルもいい。豊満なバストは天上の柔さを持っているだろう。
「それとも……やっぱりカエル娘なんて気持ち悪いから、添い寝されるのはやだケロ?」
「そ、そんなことはないけど……」
しおらしそうな態度を見せた――と思ったのは罠だったかもしれない。
一瞬の隙を突かれ、僕はがばっと頭を抱きしめられる。
「えへへ〜〜……♥ご主人様ならそう言ってくれると思ったケロ♪
ほらぁ……ワタシのおっぱい、柔らかいケロ?」
「んむぅっ……あぁぁ……」
ぐいっと大きな胸で顔を挟まれ、呼吸が苦しくなる。
しかしそれ以上にむにむにっと柔らかい乳房の感触に、脳が溶けてしまいそうだ。
息をするとヤドクの身体から瑞々しい緑のような匂いがして、なんだか落ち着いてしまう。
「今日はたくさん出したから、疲れてるケロよね……?
だからワタシの胸の中で、いい子いい子しながら眠らせてあげるケロ〜……♪♥」
ヤドクの四本指が僕の頭を優しく撫でる。
子供のように甘やかされ、蕩けさせられるようなこの気持ちよさに、僕は抗えない。
全身から伝わる柔らかさと、囁くようなウィスパーボイスですぐに眠気がやってくる。
「ご主人様♪ ほら〜、よしよし♪♥
ぐっすり眠れるように子守唄も歌ってあげるケロね♥
かぁ〜えぇ〜るぅ〜の〜うぅ〜た〜がぁ〜♪ きぃ〜こぉ〜え〜て〜くぅ〜る〜よ〜♪
ケロケロケロケロックワックワックワッ〜……♪」
……ちょっと歌は下手だったが、問題なく僕は眠りに落ちていった。
カエル少女、ヤドクと会ってから一週間ほど過ぎた。
相変わらず彼女は僕の家に居たがって離れようとしない。
警察を呼ぶべきかどうかも考えたが、彼女と生活を共にしていくうちにそんな考えは薄くなっていった。
今では一緒に近所のスーパーへ買い物へ行くぐらいだ。
まあ、それは連れて行ってほしいという彼女のお願いを断りきれなかったからなのだが。
「ケロ〜、チラシを見ると今日は鶏肉が安くなってますケロね〜。
おゆはんの献立は何にしましょうケロ〜」
スーパーへの道を二人で並んで歩く。流石に彼女もこういう時は歩いて移動するらしい。
驚いたことに、どこで習ったのかヤドクは料理(ただし肉料理ばかりだが)や掃除といった家事も憶えていた。
きっと良き妻になろうとした結果なのだと思うと、その努力は涙ぐましい。
「ねぇ……ご主人様ぁ、せっかくなんだから外でも手を繋ぎましょうケロよぉ」
「う、うーん……それは流石に恥ずかし」
「ケロ〜ッ?!それはワタシが一緒にいると体裁が悪いということですケロ?!
ぐすっ……悲しいですゲロッ……」
露骨な泣き真似をするヤドクに、慌てて僕は訂正する。
「わ、分かったよ」
「わあっ、さすがご主人様♪お優しいですケロ〜♪」
コロッと表情を変える調子のいいカエル少女は、嬉しそうに微笑んで僕の手を引っ張って歩きだす。
吸盤の付いた掌は、手を握られると簡単に離せそうにはない。
「さあさあ、早く行きましょうケロ〜♪」
「ちょ、ちょっと待って……」
そして曲がり角を過ぎようとした所で、見覚えのある人影と出会う。
「あっ?! キサマ、この前のカエル女!」
「ゲロッ?!」
その姿はヤドクを追っていたアヌビスの警官だ。
それに今はもう一人、虎のような顔つきをした魔物娘――『人虎(じんこ)』も一緒に立っていた。
「む……件の飛び跳ねまわっていたカエル娘……ミューカストードか。
ちょうどいい、お前にはお灸を据える必要があったからな……」
「け、ケロぉ〜……」
怯えるヤドクににじり寄ってくる二体の魔物娘。
二人とも彼女より背も身体も大きく、力では敵いそうもないだろう。
それに相手には強靭な肉体を持つ人虎もいる、逃げることさえ難しいかもしれない。
「その掴んだ手……ちょうど男を無理やり攫おうとしていたんだろう?!
今日という今日は逃がさんぞ! 今すぐに任意同行を――」
「ま、待ってください!」
僕は後ずさるヤドクの前に出て、彼女を庇いながら言う。
「彼女は……ヤドクは、僕の恋人です」
「えっ……?」
「なっ、」
僕以外の三人がほぼ同時に驚きの声を上げる。
「外へ一緒に着いてきてほしいと言ったのは僕です。
だから、責められるべきなのは僕です、彼女は関係ありません。
補導するのなら、僕にしてください」
「ご……ごしゅじん、さま……」
「む……」
その言葉で、アヌビス警官も人虎警官も口を閉ざしてしまう。
「……まったく。それなら最初からそう言いたまえ。
伴侶のいる魔物だというのなら、話は別になる。
……時間を取らせて悪かったな」
「え?え?そ、それでいいのか?わからん!ぜんぜんわからん!」
「行きましょう、先輩。仕事はまだ残ってますから」
「あ、ああ……?」
予想外の事に狼狽えるアヌビスさんを、人虎警官が引っ張るように連れて行く。
遠ざかっていく二人をよそに、僕らは道に取り残された。
「……ああ、余計な時間を喰っちゃったね。
タイムセールが終わらないうちに、早く行こうか」
「は……はいっ……」
顔を赤らめて下を向くヤドクの手を握り、僕らは道を歩き出す。
今度は、僕が彼女を引っ張っていく番だった。
――そしてその日の夜。
ご飯を食べ終えて後片付けも終えて、という所でヤドクの状態が変わる。
外での一件からずっと口数の少なかった彼女が、ようやく自分から口を開いた。
「ごしゅじん……さま。あの時の……ワタシが連れて行かれそうになった時の言葉……、
ほんとう、ですか?」
立ち上がった際に背中から声を掛けられた僕は、振り向いて彼女を見る。
オレンジ色のまん丸い瞳が僕を見つめる。薄らと頬も赤くなっている。
「あ、あれは……ああ言わないと、懲りてくれなさそうだったから……」
「じゃあ……やっぱり、本心なんかじゃなかったんですね……ケロ……」
うつむいたヤドクの表情が暗くなり、声のトーンが下がっていく。
「ワタシ……ココに来た時から強引で、好かれてないだろうなって事は分かってましたケロ。
でも、ご主人様が優しいから……つい、それに甘えてしまってたんです、ケロ……」
「……ヤドク」
「まだ一線を越えたわけではないんです。今なら後戻りできますケロ。
ご主人様の迷惑になんてなりたくありません、だからワタシは――」
僕は彼女の両肩に手を乗せる。その動作でヤドクの言葉が止まった。
彼女の顔が僕を見上げた瞬間、僕はヤドクの唇にそっと口づけをする。
「――っ」
口で味わう柔らかな感触に動揺しつつも、重なった唇は離さない。離せない。
元々つぶらな目をさらに丸くしながら、彼女の表情が驚きに変わる。
何秒経ったのかもわからず、息が苦しくなってようやく僕らは口を離す。
「ぷはぁっ……ご、ごしゅじん、さま……?」
困惑と陶酔の入り混じった表情で、ヤドクは目を何度も瞬かせた。
「僕達はまだ恋人じゃない。だから今日からは、恋人になりたい。――ヤドクと」
彼女に心からの本心をぶつけながら、ぎゅっと柔い身体を抱きしめる。
しばらくの静粛の後、掠れたヤドクの声。
「ホントに……いいんですケロ?こんなワタシで……」
「うん。君じゃないとダメだ」
返事を返す代わりのように、彼女が僕の背中を抱きしめ返す。
「う……嬉しい、ケロ……ケロケロ、ケロォ〜っ……!」
鳴き声か泣き声なのか分からない声を聞きながら、僕たちはしばらく抱き合っていた。
ヤドクが落ち着いた後、僕たちは二人でベッドの上に寝転がった。
互いの服を脱がせあいながら、互いの温もりに触れ、どこともなく愛撫をする。
彼女はスクール水着のような物を身に着けているのみだったが、あるとないではやはり違う。
肌の色も相まって、ピンと勃起した薄ピンク色の乳首がとても淫靡なものに見える。
全部の服を脱ぎ終えたところで、僕はたまらず乳首に舌を這わせた。
「あふっ……ち、乳首は、ビンカンなんだケロっ……♥
あんまり舐めちゃ、粘液を止める魔法が使えなく……ひゃんっ♥」
「大丈夫だよ、いくらでもベッドは汚していいから」
「ケロロ……そ、そんなこと言われても……あふぅん♥」
昂ぶると粘液が止められなくなるようで、乳首を舐める度にぬるっとした液体が舌に纏わりつく。
ほの甘いそれを舐めとりながら、僕は彼女の股間に手を伸ばす。
粘液の分泌が再開されたせいか、それとも愛液を零していたのか、そこはもうすでにぬるりとした液体で濡れそぼっていた。
「も、もうヌルヌルになってますケロ……ずっと、この時を待ってたから……ケロ♥」
魔物娘たちは一途で、一人の男以外に身体を許すことはないという。
当然処女であるヤドクを、どうすれば優しく抱いてあげられるかを考えていると、
「記念すべき初めての交わりは……ご主人様の上に跨ってもいいですケロ?
ワタシたちミューカストードはこの形で繋がるのが大好きなんですケロ……♪」
主導権を渡すとはいえ、他ならぬヤドクの頼みを断る意味はなかった。
それに騎乗位の姿勢なら、彼女が自分で動きやすいように調節できる。一石二鳥だ。
僕は頷いてベッドに寝転がり、そしてヤドクがカエル座りで上に乗っかってくる。
彼女の粘液を舐めたせいか、僕の肉棒はすでに元気よく勃起していた。
「ふふ……それじゃあ、ワタシの初めて、ご主人様に捧げちゃいますケロ……。
でも、一回なんかじゃ終わらせてあげませんケロね……?」
じっとりした目つきで妖しく笑うヤドクは、自分の小さな性器をぐっと僕のペニスに押し付けてくる。
くちゅ、と亀頭と穴がくっつき、ずぶずぶと肉棒が熱い秘部に飲み込まれていく。
膣の中は特に濃い粘液でいっぱいだった。
「あっ……は、入ってくるぅ……ご主人様の、熱いおちんちんっ……ケロケロ♥」
「ううっ、す、すごい……気持ちいい……!」
にゅぶ……ぐにゅにゅ。
あっという間にペニスは彼女の性器に根元まで咥えこまれてしまう。
締め付けが強いが、それ以上にじっとりと粘液が絡み付いてくる。動かなくても感じてしまうぐらいだ。
「おちんちん、食べちゃいましたケロねぇ……♪
それじゃあ動いちゃいますよ……出なくなるまで犯しちゃうかもですケロ〜♥」
「えっ……あうっ!あっ、ああっ……」
囁き声と共に、いきなり激しくヤドクの腰が跳ねる。ぶるんぶるんと大きな乳房が揺れる。
ぱんっぱんっと肉のぶつかる小気味いい音が鳴り、同時にペニスを激しく擦りあげていく。
ぬちゃぬちゃと蜜壺から滴る粘液が肉棒に絡み付いて、糸を引くのがとてもいやらしい。
「はっ♥はっ♥ふぅっ♥んぅっ♥すごいっ♥奥まで♥届いてっ♥ケロっ♥」
「あぁぁ……うぅぅっ、」
淫らに腰を跳ねさせながら、ヤドクは子供のように甲高い嬌声を上げる。
その腰つきの激しさはまさにカエル少女そのものだ。
手や舌とはまた比べ物にならない快感でペニスを咥えこまれ、僕も声を上げてしまう。
「うふふっ♥さっきのお返しですっ♥腰を振りながら♥乳首、イジってあげますケロ♥」
「そ、そんなところっ……んふぅっ」
彼女のぬるっとした指が僕の胸に伸びてきて、コリコリと乳首を弄ってくる。
乳輪をくすぐるように触ったり、乳頭を突いてきたり。
腰を跳ねさせながらとは思えない繊細な動きで、僕の性感帯を巧みに責めてくる。
「ち、乳首、気持ちいいよっ……ヤドクっ……!」
「あはっ、ご主人様も乳首がビンカンなんですね♥ワタシと同じで嬉しいですケロ♥ほらっ♥もっともっとっ♥
舌でも乳首、ペロペロしてあげますケロっ♥」
ヤドクは舌を伸ばし、両方の乳首を交互にれろれろと舐めあげてくる。
腰を動かすスピードが増し、より激しい気持ちよさでペニスが包まれていく。
ぬちゅちゅっ、ぐちゅぐちゅっ、ぱちゅっ。
肉棒が抜けるのと同時にきゅっと乳首を摘ままれ、同時に二か所の性感帯を責められる。
絶頂はもうすぐそこまで来ていた。
「うぅ……だめだ、もう、出ちゃうっ……」
「わ、ワタシも……そろそろ、イッちゃいますケロ……♥
中に……一番奥に♥いっぱい出してくださいケロぉっ♥」
「い、イクぅッ……!!」
ほぼ同時に雄叫びを上げ、僕らは天上の悦楽へ達する。
ヤドクの一番奥に包み込まれ、ペニスが溶けてしまったかのような快感が走る。
どぷっ、どぷっ……と、大量の精液が狭い膣の中に放出されていく。
長い長い射精の快楽で、腰が砕けてしまいそうだった。
「あぁあっ……♥ナカにいっぱい、熱いの……注ぎ込まれてるケロ♥
子宮の中まで、入ってくるのが分かっちゃうくらい……♥」
ヤドクは満足そうにお腹をさすりながら、トロけた顔で口を開いて涎を垂らしている。
お互いに絶頂の余韻に浸りながら、火照った体を抱きしめあった。
顔を突き合わせると彼女が舌を伸ばしてきたので、互いの唾液を交換するようにキスをする。
粘液の効果もあって、僕のペニスはまだ硬さと大きさをほとんど失っていなかった。
「まだまだ……イケますケロよね?♥」
「ダメって言っても離してくれないくせに……僕もまだ、離したくないけどね」
「ケロっ♥さすがご主人様ですケロね……♥さっ、早く続きをしましょうケロ♥」
――累計五回目の射精を終えた頃。
精液はとっくに膣穴から漏れ出し、ベッドシーツまで汚している。
ヤドクの身体中から溢れてくる粘液で、二人共がヌルヌルに混ざり合い、溶けあっている。
さすがに彼女も度重なる絶頂により腰を跳ねさせるのに疲れたのか、動きが止まる。
もう最初の頃ほどペニスは勃起していないが、それでもまだ硬さを保っていた。
「はふぅ……♥ご主人様の、ま、まだ……♥カタいままなんですケロねぇ……♥」
さぁ、で、出なくなるまで犯して――ケロっ?!」
僕は滑ってしまわないように気を付けながら、ぐいっと身を起こして彼女を持ち上げ、さっきまでとは逆に、彼女を押し倒してベッドの上で仰向けに寝かせる。
もっとも一般的な体位、正常位の形になった。
「け……けろけろっ……?ご、ご主人様……?」
僕の腰の上で跳ねていた時とはうってかわって、途端にしおらしい態度になるヤドク。
顔を突き合わせ、僕は彼女の瞳をじっと見つめていた。
「そんなに……改まって見つめられると……すごく恥ずかしいです……ケロ……♥」
さらに彼女の膝を曲げさせ、M字開脚のポーズを取らせる。
精液で塗れた膣穴がくぱっと開いて晒され、色々な液が混ざった滴がとろりと垂れた。
「恥ずかしがる所もかわいいよ、ヤドク。他の誰よりずっと」
「あ、あふぅぅ……♥そ、そんなコト、言われるとっ……ケロぉ〜っ……♥」
慣れない体勢が合わさりさらに恥ずかしいのか、羞恥心で彼女の顔が真っ赤に染まっていく。
「それに、このカッコだと……ワタシのあそこ、丸見えでっ、ケロケロっ……」
「今まではずっと君のペースだったからね。少しぐらい、僕もやり返したいし」
「あうぅ……し、仕方ないですケロね……。
でも、その……や、やさしく……してほしい、ケロ……♥」
彼女を安心させるために、僕は緑髪の頭を撫でながら、そっと軽いキスをする。
両手で四本の指を握ると、彼女もぎゅっと手を握り返してくれた。
「えへへぇ……ご主人様ぁ、ずうっと、たっくさん愛してくださいケロねぇ……♥」
微笑んだヤドクの表情を見て安心しながら、僕はまた彼女と一つになっていく。
そしてまた何度も、何度もヤドクに欲望を注ぎ込む――。
僕達は意識が途切れるまで、ずっと繋がっていた。
押し掛け女房のようなカエル少女と僕の話は、ここで一旦終わる。
近いうちに子宝を授かって、更に賑やかな生活が始まるのだけど――それはまた別の話。
18/07/19 21:04更新 / しおやき