三匹の仔犬
日が暮れかけたいつもの帰り道、閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”と、とても綺麗な文字で書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は、まるで人と犬が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
「……」
顔のマズルにイヌ耳と、ふさふさとした薄茶色の体毛は犬のそれだが、ブロンドのロングヘアが髪が頭から生えており、そして明らかに二本足で立っている。
しかし気品ある服と佇まいは淑やかなお姫様のように慎ましく、ますます人間なのか犬なのか分からない。
「……(ぺこり)」
思わず立ち止まって彼女を見ていた僕に対し、その犬の女の子は恭しく頭を下げた。反射で僕も頭を下げてしまう。
道路には人通りがほとんどなく、たまに通っても彼女からは目を逸らしながら歩いている。これだけ妖しい風貌なのだから当然かもしれない。
「君は……」
そのまま無視して通り過ぎるのをばつが悪く感じた僕は、その子に話しかけてみる。
そもそも言葉が通じるかも怪しかったが、彼女の口から出てくる言葉はとても流暢かつ礼儀正しいものだった。
「これは失礼いたしました。
わたくし、クー・シーのアナスタシア、と申します。アーニャ、とお呼びくださいませ」
「えっと、アーニャ……さんは、ここで何を?」
「僭越ながらわたくし、ご主人様を探しているのです」
「ご主人様?」
「はい。 わたくしが仕えるべきご主人様を探し求めて、この場所へ尋ねて参りました」
「えと……じゃあその段ボールは?」
僕が『ひろってください』と書かれた段ボールを指さすと、
「これですか?
主人を探す際はこうするのがこちらでのしきたりとお聞きしたのですが……何か不備がありましたか?」
女の子はとても真面目な顔でそう返す。冗談を言っているような顔ではない。
「ああ、うーん……。色々と間違ってるような」
「そうでしたか……。どうりでずっとこうして立っているのに、どなたも声を掛けてくださらなかったのですね。
ご指摘いただきありがとうございます、大変助かりました」
また犬の女の子……アーニャはぺこりと頭を下げる。
「……その、貴方様は如何様に思われますか?」
「え?」
「こうして声を掛けていただいたのも何かの縁だと思います。
わたくしを貴方様の家へ置いていただけませんか」
「えーと……」
アーニャの顔は真剣で冗談を言っているような表情ではない。
「でも僕、アパートで一人暮らしだし、お手伝いさんとか雇う余裕はなくて……」
「大丈夫です、お給金を頂く必要はありません。お家にさえ置いていただければ」
「え、ええ?」
「こ、こう見えても家事は一通りこなせますし、どんな雑用でもやり遂げます!
ご主人様が望むのであればもちろん、夜のお供も――はっ、し、失礼致しました」
「……でもなあ」
「そこをどうか!」
正直な所、タダでいいだなんて言われると訝しむ気持ちの方が大きいけれども、その無垢な瞳を見ているとどうにも断りにくい。
ダメだと言っても引き下がってくれそうにないので、とりあえず妥協案を提示する。
「じゃあ、二、三日ほど様子を見てもらうというのは……」
「本当ですか! ありがとうございます!」
僕がそう言うと、アーニャはまた丁寧にお辞儀をした。
「ご主人様、おゆはんの準備が出来ました」
台所からアーニャの声が聞こえたので、テーブルに料理を運ぶのを手伝う。
そういうわけで早速アーニャにお手伝いさんとして家に来て貰ったのだが、恐ろしいほどにアーニャは働き者だ。
うちに来るのも早々に部屋の掃除を始めると、溜まっていた洗濯物の処理から夕飯の買い出しまで全てやってくれた。対応した店員さんはどんな顔をしていたのだろう。
「今日の献立は?」
「鶏肉の蒸し焼きとチンゲン菜のサラダです。お口に合えばよいのですが」
「じゃあ、いただきます」
一礼をしてからぼく達は一緒に食べ始める。
適度な焼き加減、手作りのソース。栄養価と味のバランスを考えたサラダ。三ツ星レストランで出てくるような出来の料理なのに、とっつきにくさが全くない。
「うん、おいしい」
「本当ですか? 嬉しいですっ」
僕が思わず感嘆すると、ぱっと花が咲いたようにアーニャが微笑む。
犬のような人懐っこさの中に慎みのある、とても上品な笑顔だ。
「最近ずっと不摂生な食事ばっかりだったから、助かるなあ」
「まあ、それはいけません。 医食同源、食事は全ての源です。
これからは腕によりをかけてごはんを作りますので、楽しみにしておいてください」
お手伝いさんなんて雇ってもしようがないと思っていたけど、こんなに尽くしてくれる子ならそれもいいな、と思ってしまう。
「ところで、アーニャさんはどうしてこんな仕事を?」
「もう、呼び捨てで構いませんのに。
わたくしは……その、仕事というわけではないんです」
「?」
「つまり、その……将来の伴侶となる方を、探しておりまして……」
その言葉で思わずご飯が喉に詰まりそうになる。
「花嫁修業……みたいなものですか?」
「そうですね、いちおう一通りの女性の嗜みは学んできたつもりですが……、
実際にそれを生かせるかどうかは別になりますから」
「ううん、アーニャさんも大変なんですね」
「いいえ、とんでもございません。……あ、ご主人様。ご飯のおかわりは必要ですか?」
「あ、うん。 ありがとう」
――アーニャと出会って、三日後。
日が暮れかけたいつもの帰り道、閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”という簡素な文字が書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は、まるで人間の子供と子犬が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
――というか、彼女が入っているのはアーニャが居たのと同じ箱だ。
「わうっ」
よくできたコスプレにも見えるその子はゆっくりこっちを見た。
ビー玉みたいにつぶらな茶色の瞳からは、普通の人や犬よりも深い純真さを感じる。
そして目が合った。
「わうー」
じろじろ観察するのも気まずいので、そのまま僕は通り過ぎる。
「……わうー、」
尻尾が垂れ下がっているところからして元気が無さそうだけれど、何故だろう。
物陰から観察してみたところ、道行く人は彼女に目もくれない。
いや、わざと目を逸らしているのだろう。
彼女を憐みの眼や不思議さで見る人はいても、文字通り拾ってくれそうな人はいないらしい。
アーニャの姿は非現実的すぎて浮いていたが、こちらの少女はアーニャより人間の幼女らしい姿で、それがまた妖しさを醸し出している。犯罪臭だ。
「くーん……」
僕もそのまま通り過ぎよう――と思ったのだが、何故かつい彼女のいる道に戻ってしまった。
三日前にアーニャという不思議な子に会ったせいなのかもしれない。
「わう?」
段ボールの前に座って彼女と目線を合わせると、無垢な茶色の瞳が僕を興味津々に見つめてくる。
「君、名前は……」
「わうー! ごしゅじん! ごしゅじん!」
僕の言葉は理解しているのかしていないのか分からない。
とりあえず僕は、柔らかそうな茶色の毛並みをした頭を撫でてみたかった。
おずおずと手を伸ばした僕に注がれる彼女の視線。
ブラウンの毛並みをした耳はちゃんと頭から生えているように見える。
ぽふん。さわさわ。
ゆっくりと頭を撫でてみると、満足そうに僕の手へ頬をすり寄せてきた。
その仕草だけ見ると本当に子犬のようだけれど。
「人間……じゃ、ないのかな、もしかして」
「わうー?」
「言葉はわかる?」
「わう! わかる! わかります……わかった? うーんと……」
「えーと、どうしてきみはここにいるの?」
「ごしゅじん、さがす! さがしてる!」
「ご主人、」
彼女の首にはまさしく犬がそうするように、大きな首輪がはめられている。
しかしネームプレートはない。
「誰かを探してるの?」
「わう! さがしてる! ごしゅじんになってくれるひと!」
「ご主人に?」
「ごしゅじん、ごしゅじん! ごしゅじんになってくれるひと、さがしてる!」
彼女は餌皿のようなものを段ボールの中から取り出し、そして尻尾をぶんぶんと振った。
この子は……一体なんなのだろう。
趣味や酔狂でこんな事をしているとは思えないし、そもそも人間かどうかも怪しい。
とはいえこんな所に放っておくのも気が引ける――
「じゃあ、一緒に探してあげよう」
「ほんと! やったー! わうー!」
……しかし”ご主人様”を探してあげるとは言ったものの。
こんな格好の幼子を連れ回す事などできず、僕は自分の家に彼女を案内した。
警察に行くべきかと一瞬だけ頭をよぎったが、つぶらな茶色の瞳がそうさせてくれなかった。犬のお巡りさんなんて現実にはいないのだから。
あの箱に入っていたということはアーニャと何か関係があるのかもしれないし、聞いてみるのもいいかもしれない。
しかしアーニャは今買い出しに行っているらしく、達筆な字で書き置きが置いてあった。あの犬のような手でペンが使えたことに驚きを隠せない。
「わうー。 ここは?」
「僕の家」
「いえ? どーして?」
「それは……うーんと」
良い返事が思いつかないまま、僕は自分の家のテーブル前に腰掛ける。
とてとてと彼女は僕の後ろを付いてきて、僕の横に座った。
「まあいいや! おじゃましまーす!わん!」
返事はとても元気が良いのだが、その自信はどこから来るのだろう。
「そもそも君はどこから来たの?」
「どこ……? うーんと、えーと、くさのおおい、ところ……なまえはわかんないけど……」
「うーん」
「そんなことよりあそんで!なでて!」
それこそ犬のように愛嬌たっぷりに、少女はそのもふもふした身体をすり寄せてくる。
ちょっと待って、と言いながら僕は彼女の身体を撫ぜてみた。
「わうぅー、んんー」
耳から髪へ、髪の流れに沿って手櫛を入れる。
ぱっと見た感じではやはり、犬らしい体毛の生えた女の子という印象だ。
手足には肉球も付いているみたいだし、犬娘というのが似合っている。
「……お手」
「わう!」
素直に右手の肉球を僕の手に載せてきた。中々柔らかい感触だ。
もみもみしてみる。
「みゃうっ、んっ、……わうっ」
普通の犬のそれより敏感なのか、揉んでいるだけでぴくっと彼女の背が跳ねた。
それに……どこか反応も妙だ。
「くぅーん、もっと、もっとなでてーっ」
彼女がごろんと床で横になり、お腹を無防備にさらけ出した。
お腹の毛は中心にいくほど薄くなっていて、ヘソは人間の肌のようにつるんとしている。
ここを触ると――どうなるのだろう。
僕は意を決してその綺麗なヘソをさわさわと撫でてみた。
「うみゃっ! あぅー、そこ、きもちいいっ……」
その艶めいた声を聞くと、何だか変な事をしている気分になってくる。
もし彼女が本当に人間の女の子だったらと思うとゾッとしない行為だ。
「ね、ごしゅじん、もっと……」
胡坐をかいて座っている僕の膝に、彼女が身体をすっと乗せてくる。
そしてそのまま、さっきのようにお腹を見せた。
ふわふわの毛越しに温かい体温が足から伝わってくる。
僕はごくりと唾を飲みながら、労わるようにお腹をさすっていく。
「あふ……あぅ……っ」
びくびくと身体をのけ反らせる姿がとてもいじらしい。
気持ちよさにうっとりとした表情のまま、彼女が呟く。
「ごしゅじん……もっと、したの、ほう……」
すすす、と下腹部の方へ手を持って行く。もさもさとしたやわらかな体毛が掌を擦る。
これ以上いくと――それは流石に、まずいのではないか。
「……さわって、くれないの……?」
いや、彼女は人間じゃないはず、大丈夫だ。
心のどこかでそう弁護しながら、手を彼女の太ももの間へと滑らせる。
その窄まりはやはりブラウンの毛でふわりとしていて、一際温かく感じる。秘所を隠すためか、他と比べて毛の量も多い。
「まうっ! あ、あむぅ……なんか、へんなかんじだよぉ……」
彼女の上げる声はどこか色めいて艶っぽい。
恥ずかしがっているのかはぁはぁと息が荒くなり、頬の色も桃のように染まって見える。
「あっ、あっ、もっ、もっとぉ、もっとなでなでしてぇっ……」
ふわふわとした毛を撫で続けていると、どんどん少女は嬌声を上げはじめる。
僕はたまらず少女の首筋や胸元といった敏感なところを丁寧に撫でまわし、彼女が酔いしれる様に見惚れてしまう。
「ふぁ、ああぁっ、だっ、だめぇっ、きもちよくて、へ、へんになっちゃうよぉっ……!」
くちゅ、と股間に触れていた手が熱い蜜で濡れていることに気付く。
弄るようにそこをくにくにといじり続けていると、少女は背中を逸らしながらがくがくと震えだす。
「あっ、わうぅぅ、あぁぁっ、ぁぁ……っ!!
はーっ、はーっ……し、しんじゃうかとおもったぁ……っ」
少女が絶頂を迎えたのだと気付くのには少し時間が掛かった。何しろ撫でてしかいないし、その愛撫も技術なんて何もない、ただ丁寧に撫でているだけだったのに。
「わうぅぅ……でも、さっきの……すっごく、きもちよかった……♪
ねえ!ねえ!もっかい!もっかいやって!」
「えっ?ええと、うーん。
それよりも汚れちゃったみたいだから、お風呂にでも入ろうか」
「わふん?おふろ……おふろ、しってる!お湯できれいになるんだよね!」
「そうだよ、じゃあ行こうか」
「わん!」
少女をお風呂で洗ってあげて、毛を乾かしていると丁度アーニャが帰ってきた。
事のいきさつをアーニャに説明すると、
「なるほど、見たところ彼女は”コボルド”という種族ですね。
とても純粋で人懐っこい、人間の良き友です」
「へえ……」
「わう?なんのはなし?」
「まあとりあえず、ご飯にしようか。アーニャ、三人分のご飯は作れるかな?」
「ええ、勿論ですよ。今日はピーマンの肉詰めと豚汁です」
「ごはん!ごはん!わうっ!」
「それはそうと、ご主人様。 彼女にも名前を付けてあげてはどうですか?」
「名前を? でも、まだ彼女の面倒を見るって決めたわけじゃないし……」
「面倒を見るにしても、これからご主人様を見つけてあげるにしても、名無しのコボルドというわけにはいかないでしょう。
同じく主人に仕えるものとして、名前はとても重要なものです。
どうか彼女に似合う、ぴったりな名前を付けてあげてください」
「ううん……」
「わうー?」
「では、そろそろ後片付けをしましょうか。お皿を洗ってきますね」
とてとてと流し台に向かうアーニャを尻目に、コリィが僕を見つめる。
一点の曇りもない純粋な瞳だ。
「そうだな、じゃあ……コリィ、なんてどうかな」
「こりー?」
「そう、コリィ。君の名前だ」
「こりー……私は、コリィ?」
「そうだよ。
今日はもう遅いから、ここに泊まっていく?」
「……かたじけない。貴殿の度重なる御親切、誠に痛み入りました。
拙者、此度の御恩を忘るる事なく生涯貴殿に忠節を誓い、誠心誠意お仕え申す所存でございます」
「えっ」
――アーニャと出会って一週間、つまりコリィと出会って、四日後。
日が暮れかけたいつもの帰り道、閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”という簡素な文字が書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は……いやその女性はまるで大型犬と女性が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
――というか、例に漏れず彼女が入っているのはアーニャやコリィが居たのと同じ箱だ。
「ぐるる……」
黒い身体と体毛、燃えるような赤い瞳。ムチムチとして肉付きの良い体格。太腿と胸は特によく締まっている。
犬というよりは狼であり、背丈も僕より少し大きいほどだ。
「……ぐるる……るぅ、」
その頑強そうな肉体とオーラのせいか、道行く人は彼女を見るとびっくりして逃げ出すか、絶対に目を合わせないようにしてどこかへ走り去ってしまう。
その様子をそばで見ていると、獲物を狙うような目つきの彼女と目がばっちり合った。
「! ……わーん、ぐるるー。
あーさびしいなー、拾ってくれるひといないかなー(チラッ)」
僕を一度見たかと思うと、彼女はどこかよそを向いてつぶやき始める。
と思ったら、ちらちらと横目でこちらの様子を確認しているようだ。
「こんなトコにいるとさむくて風邪ひいちゃうなー、おなかすいたなー(チラッ)」
見なかったふりをして僕はゆっくり通り過ぎる。
これ以上ない自然な動きだったが、彼女の目はごまかせなかったらしい。
「あ、おいコラ!ちょっと待ちやがれ!」
跳ねるようなスピードで近づいてきた彼女にがっしりと肩を掴まれる。逃げ出そうとするヒマさえない。
肩から伝わってくる肉球の感触が柔らかい。爪も当たっているはずだが不思議と痛さは感じなかった。
「な……なんでしょうか」
「ほら! ココに! ひとりでかわいそうなコイヌちゃんが!!いるだろ!!」
「あれはどう見てもオオカミじゃないか!」
「細けえコトはいいんだよ! 大体アタシはヘルハウンド様だ!
ココにいたらオトコの方からやって来るって聞いてわざわざ来たんだぞ、逃がすもんか!」
「(僕が捕まるほうなのか……)」
「ほら! このアタシが拾われてやるって言ってんだ、こんなチャンス今しかねえぞ!」
「(にげたい)」
「……む、でもかすかに他のヤツの匂いがすんな……。
どれどれ……れろっ」
「ひゃっ!」
ぺろっ、とざらざらした彼女の舌が僕の頬を舐める。
「この味は……まだセックスしていない味だぜ!平たく言うと童貞だ!」
「やめて」
「お手付きじゃあねえならアタシのモンだなァ。
今すぐここでヤってもいいが……初めてぐらいムードが欲しいしなあ。
オマエん家連れてけ! ほら!」
「(にげたい)」
アーニャとコリィが助けてくれる事を期待して家に帰ってきたが、二人は仲良く夕ご飯の買い物に行ってしまったらしい。 がんばってコリィが書いたのだろう、拙い字の書き置きが置いてあった。
僕と狼女が家に二人だけで、僕は自分の部屋に入った途端にベッドへ押し倒される。
アーニャやコリィと比べると彼女の黒い体毛は少し堅いけれど、ふさふさとした感触が気持ちいい。
「あァン? この部屋も他のヤツの匂いでぷんぷんしてんのにまだヤッてないのか。
しかもアタシと似てる……ウルフ族の匂い、クー・シーとコボルドってトコか。
オマエも随分罪作りなヤローだなぁ?」
完全にマウントを取られた僕は、そのまま彼女の下で動けない。男性に組み伏せられる女の子の気分だ。
バンザイのポーズで彼女の両腕に両手首を掴まれ、さらに僕の腰の上に座るように伸し掛かられていてまったく身動きできない。
「なあに安心しな、オトコをオンナみてえに犯すのはアタシの得意分野だ。
他の甘ちゃんな奴らにはこんなセックス出来ねえぜ?
ほら、たっぷり優しくしてやるよ……♪」
れろり、と熱い舌が首筋をざらざらと撫でる。
ぞくぞくとした快感に震えている間に上着を脱がされ、肌着のシャツを勢いよく破られた。
ぬるっ、ぬちゅっ。
大きな狼女の舌が首筋から胸板にかけて這い回る。
外気に晒されたせいで少し勃った乳首に舌が触れると、僕の身体がびくんと跳ねた。
「イイ反応するじゃねえか。ココがいいんだろ?
乳首舐めるたびに、アタシの下でチンポがピクピクしてるぜ……?」
普段は意識していない場所なのに、彼女のざらりとした舌で舐められるだけで気持ちがいい。
「ああもう、いちいちカワイイ顔しやがって。ガマンできねえよっ」
愛撫に気を取られている間にズボンが脱がされる。
さらにパンツまで脱がされて、あっという間に僕は素っ裸にされてしまった。
「さあて、セックスの時間だ。一滴も出なくなるまで搾り取ってやるからな――」
「ただい――ご、ご主人様?!」
「ごしゅじんさま、そのひとだれー?」
そういうわけで、アーニャとコリィの二人が帰ってきたのは僕が狼女に犯された後だった。
全裸のままベッドで押し倒されている僕は情けないと言うほかない。
「おう、お前らがココに住んでる奴らだったか。
わりぃな、コイツのドーテーは先に頂いちまったぜ」
「私達の家でなんて破廉恥なことを……!」
「わうー。ご主人様、どうしてはだかなのー?」
「まだコイツも体力は余ってるみたいだし、オマエらもどうだ?」
「なっ、なにを――」
「わうー!わたしもしたいー!」
「ええっ?!」
ベッドで横たわる僕目がけて、コリィがぴょんと飛んでくる。
当たらないように狼女がひょいとそれをかわすと、背中に回って僕の脇の下から腕を回して身体を持ち上げ、僕の乳首をその柔らかい肉球で責めてくる。
さらにコリィが僕の腰にどさっと座ってくる。ふわふわした茶色の体毛が僕の股間をさわさわと擦ってきて、それだけで快感が走ってしまう。
「よーし、アタシが手伝ってやるよ。ほれ、早くチンポおっ勃てな♪」
「えっへへー♪ ごしゅじんさまとえっちだー♪」
「な、なんてことを……!」
「アンタはどうするんだい?」
「わ、わたくしは……ご、ご主人様の許可もないのに、そんなはしたないこと……」
「わふぅ……ごしゅじんの、わたしのナカに、はいってくるよぉ……っ」
「あ、ああ、あああ……」
「――はーっ、はーっ……きもちよかったぁ……♪」
「なんだ仔犬ちゃん、可愛いナリのくせにやるじゃねえか。イイ腰遣いだったぜ」
……そういうわけで、続けて無邪気に抱きついてくるコリィにも犯されてしまった。
「さて、もう一人の姉ちゃんは――あれ? どこ行っちまったんだ?」
首を傾けて見てみると、たしかにアーニャの姿がない。
二人にいい様にされてしまう僕を見て嫌気がさしてしまったのだろうか、
「ご主人様……」
と思っていたら、アーニャはドアを開けて部屋に入ってきた。
その姿は――
「ご主人様、アーニャは、アーニャはもうガマンできません……っ」
度重なる交尾を見て発情してしまった犬のように興奮している。
いや、問題はそこじゃない。
一番に目に入ってきたのは、アーニャの股間に生えた雄々しいモノだった。
「わたくし……ご主人様に褒めてもらいたくて、なでなでしてほしくて、がんばったんです……」
ゆらり、とベッドにアーニャが近づいてくる。
手には「ふたなり」とラベルの貼ってあるビンがあり、それはごとりと床に落とされた。
「なでなでも、えっちなことも、ご主人様から許しを貰うまでは――ってガマンしてました。
ご主人様の匂いを嗅ぎながら、一人で自分を慰めて……」
カチカチに勃起したアーニャのペニスから、カウパー液が零れ出す。
「でも!でも!一週間も経つのに、えっちなことも、いいえなでなでひとつもしてくれない!」
異様な迫力を漂わせるアーニャに、狼娘もコリィも見入っている。
「その挙句にこんな……わたくしの前で、他のヒトとのせ、せ、セックスを、見せつけるだなんてっ…… ゆゆ、許せません、謝ったって、許してあげませんからねっ……」
思わずベッドの上で後ずさる僕を、アーニャが追い詰めてくる。普段の淑やかな姿からは想像できない程に荒々しく僕を押さえつけ、四つん這いで足を開かせられる。
唾液でいっぱいのざらりとした舌が僕の菊門に触れ、入り口をこじ開けてくる。
アーニャの尻尾がぶんぶんと大きく揺れ動いているのが目に入った。
「んっ、ちゅっ、んはっ、」
今まで刺激された事のない箇所を責められ、不思議な快楽がこみ上げてくる。
ぐりぐりと熱い舌がねじ込まれ、アナルの中までベロベロに舐められていく。
とてつもなく淫らな音と壮絶な舌技で敏感な内部をぐちゃぐちゃにされ、僕は腰が抜けてしまいそうだった。
「も、もう、アーニャは待てませんっ。ふつうのえっちなんかじゃ満足できません!」
アーニャの舌が離れたかと思うと、今度はぴとっと熱い肉棒が菊門に触れた。
男性なのに四つん這いという被虐的なポーズのまま、彼女はぐりぐりとペニスを押し付けてくる。
「だから――今日はご主人様に女の子になってもらいますからっ!
セイエキが出なくなってお尻の穴でミルクを飲むまでシゴき倒しますっ!」
ゆっくり、ゆっくりとアーニャのペニスがぬるりと僕の中に挿し込まれていく。
耐え難い異物感とともに、腰が溶けそうな快楽が少しずつ昇ってくる。
「あっ、あぁぁ……っ、ご主人様のナカ、熱いですぅ……♪」
ペニスが奥まで入りきると、アーニャは身を屈めて僕の耳元で囁いた。
「あはぁっ……ほ、ほぉらご主人様、入りきっちゃいましたよぉ……♪
お尻の穴がきゅうきゅうっと締め付けてきて、挿れてるだけでイっちゃいそう……♪
じゃあ、動きますから、ねっ……!」
ぬちゅっ、ずちゅっ。
ゆっくりとピストン運動が始まり、カリで腸壁がごりごりと擦られる。それがたまらなく気持ちがいい。
さらに亀頭で入口の敏感な箇所を穿られて、ペニスでは味わえない不思議な快楽がこみ上げてくる。
「あっ♪ あっ♪ だめっ、大好きなご主人様なのに、お尻、犯しちゃってるっ♪
こんな、こんなコトしちゃ、だめなのにぃっ♪
ご主人様犯して気持ちよくなっちゃだめなのにぃっ♪
突くたびに、離したくないって、アナルがぎゅうっとしがみ付いてくるよぉっ♪」
ぐぽっ、ぬぽっ、ずちゅっ。
アーニャの腰つきは激しさを増し、どんどんとお互いを絶頂へと押し上げていく。
「わうー♪ご主人様のおちんちん、なめてあげる♪」
「あうっ、ああぁぁ……」
さらに僕のそそり立った肉棒をコリィがぬぽっと咥える。
温かい口内に包まれ、ねっとりと柔らかい舌で亀頭を万遍なく舐め回され、さらに快感が倍増していく。
腰を振っているせいでじゅぽじゅぽと上下運動まで加えられ、すぐにでもイってしまいそうだった。
「ごっ、ごしゅじんさまぁっ♪ そろそろイっちゃいますぅっ♪
な、中に出しますよ、ご主人様っ! お尻にっ、わたくしのお汁、いっぱい注ぎ込んじゃいますっ! ほらっ、孕めっ♪ わたくしの子供、孕んじゃえぇっ♪」
お尻の最奥でアーニャのペニスがドクドクと激しく脈打つ。熱い液がナカを満たしていく。ヤケドしてしまいそうなほど熱いそれを受けながら、僕もコリィの口内に激しく射精してしまう。
コリィは喉を鳴らしながら、美味しそうに僕の精液を飲み干していく。
さらに尿道に残った精液まで飲み干すようにちゅーっと吸い出され、完全に腰が砕けてしまった。
「あ、あぁぁぁ……♪はぁーっ、はぁーっ……いっぱい出ちゃいましたよぉ……♪
ご主人様のお尻、わたくしのおちんちんをぎゅーっと掴んだまま、離してくれません……♪
ほらっ、まだですよご主人様っ♪ 今日はご主人様がメスイキするまで許してあげませんからね♪」
射精の余韻に浸るのも束の間に、アーニャがまたピストン運動を始める。
僕はその激しさに耐え切れず、四つん這いを維持できないままうつ伏せに潰れてしまう。
それでもアーニャは構わず僕を犯し続けた。
「ほらっ、ほらぁっ、休ませてなんかあげませんからねっ♪
わたくしの子供を孕むまで犯し続けちゃいますぅっ♪」
「……は、発想のスケールで……負けた……」
そう狼女がつぶやいたのが、僕が最後に聞いた声だった。
”ひろってください”と、とても綺麗な文字で書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は、まるで人と犬が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
「……」
顔のマズルにイヌ耳と、ふさふさとした薄茶色の体毛は犬のそれだが、ブロンドのロングヘアが髪が頭から生えており、そして明らかに二本足で立っている。
しかし気品ある服と佇まいは淑やかなお姫様のように慎ましく、ますます人間なのか犬なのか分からない。
「……(ぺこり)」
思わず立ち止まって彼女を見ていた僕に対し、その犬の女の子は恭しく頭を下げた。反射で僕も頭を下げてしまう。
道路には人通りがほとんどなく、たまに通っても彼女からは目を逸らしながら歩いている。これだけ妖しい風貌なのだから当然かもしれない。
「君は……」
そのまま無視して通り過ぎるのをばつが悪く感じた僕は、その子に話しかけてみる。
そもそも言葉が通じるかも怪しかったが、彼女の口から出てくる言葉はとても流暢かつ礼儀正しいものだった。
「これは失礼いたしました。
わたくし、クー・シーのアナスタシア、と申します。アーニャ、とお呼びくださいませ」
「えっと、アーニャ……さんは、ここで何を?」
「僭越ながらわたくし、ご主人様を探しているのです」
「ご主人様?」
「はい。 わたくしが仕えるべきご主人様を探し求めて、この場所へ尋ねて参りました」
「えと……じゃあその段ボールは?」
僕が『ひろってください』と書かれた段ボールを指さすと、
「これですか?
主人を探す際はこうするのがこちらでのしきたりとお聞きしたのですが……何か不備がありましたか?」
女の子はとても真面目な顔でそう返す。冗談を言っているような顔ではない。
「ああ、うーん……。色々と間違ってるような」
「そうでしたか……。どうりでずっとこうして立っているのに、どなたも声を掛けてくださらなかったのですね。
ご指摘いただきありがとうございます、大変助かりました」
また犬の女の子……アーニャはぺこりと頭を下げる。
「……その、貴方様は如何様に思われますか?」
「え?」
「こうして声を掛けていただいたのも何かの縁だと思います。
わたくしを貴方様の家へ置いていただけませんか」
「えーと……」
アーニャの顔は真剣で冗談を言っているような表情ではない。
「でも僕、アパートで一人暮らしだし、お手伝いさんとか雇う余裕はなくて……」
「大丈夫です、お給金を頂く必要はありません。お家にさえ置いていただければ」
「え、ええ?」
「こ、こう見えても家事は一通りこなせますし、どんな雑用でもやり遂げます!
ご主人様が望むのであればもちろん、夜のお供も――はっ、し、失礼致しました」
「……でもなあ」
「そこをどうか!」
正直な所、タダでいいだなんて言われると訝しむ気持ちの方が大きいけれども、その無垢な瞳を見ているとどうにも断りにくい。
ダメだと言っても引き下がってくれそうにないので、とりあえず妥協案を提示する。
「じゃあ、二、三日ほど様子を見てもらうというのは……」
「本当ですか! ありがとうございます!」
僕がそう言うと、アーニャはまた丁寧にお辞儀をした。
「ご主人様、おゆはんの準備が出来ました」
台所からアーニャの声が聞こえたので、テーブルに料理を運ぶのを手伝う。
そういうわけで早速アーニャにお手伝いさんとして家に来て貰ったのだが、恐ろしいほどにアーニャは働き者だ。
うちに来るのも早々に部屋の掃除を始めると、溜まっていた洗濯物の処理から夕飯の買い出しまで全てやってくれた。対応した店員さんはどんな顔をしていたのだろう。
「今日の献立は?」
「鶏肉の蒸し焼きとチンゲン菜のサラダです。お口に合えばよいのですが」
「じゃあ、いただきます」
一礼をしてからぼく達は一緒に食べ始める。
適度な焼き加減、手作りのソース。栄養価と味のバランスを考えたサラダ。三ツ星レストランで出てくるような出来の料理なのに、とっつきにくさが全くない。
「うん、おいしい」
「本当ですか? 嬉しいですっ」
僕が思わず感嘆すると、ぱっと花が咲いたようにアーニャが微笑む。
犬のような人懐っこさの中に慎みのある、とても上品な笑顔だ。
「最近ずっと不摂生な食事ばっかりだったから、助かるなあ」
「まあ、それはいけません。 医食同源、食事は全ての源です。
これからは腕によりをかけてごはんを作りますので、楽しみにしておいてください」
お手伝いさんなんて雇ってもしようがないと思っていたけど、こんなに尽くしてくれる子ならそれもいいな、と思ってしまう。
「ところで、アーニャさんはどうしてこんな仕事を?」
「もう、呼び捨てで構いませんのに。
わたくしは……その、仕事というわけではないんです」
「?」
「つまり、その……将来の伴侶となる方を、探しておりまして……」
その言葉で思わずご飯が喉に詰まりそうになる。
「花嫁修業……みたいなものですか?」
「そうですね、いちおう一通りの女性の嗜みは学んできたつもりですが……、
実際にそれを生かせるかどうかは別になりますから」
「ううん、アーニャさんも大変なんですね」
「いいえ、とんでもございません。……あ、ご主人様。ご飯のおかわりは必要ですか?」
「あ、うん。 ありがとう」
――アーニャと出会って、三日後。
日が暮れかけたいつもの帰り道、閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”という簡素な文字が書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は、まるで人間の子供と子犬が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
――というか、彼女が入っているのはアーニャが居たのと同じ箱だ。
「わうっ」
よくできたコスプレにも見えるその子はゆっくりこっちを見た。
ビー玉みたいにつぶらな茶色の瞳からは、普通の人や犬よりも深い純真さを感じる。
そして目が合った。
「わうー」
じろじろ観察するのも気まずいので、そのまま僕は通り過ぎる。
「……わうー、」
尻尾が垂れ下がっているところからして元気が無さそうだけれど、何故だろう。
物陰から観察してみたところ、道行く人は彼女に目もくれない。
いや、わざと目を逸らしているのだろう。
彼女を憐みの眼や不思議さで見る人はいても、文字通り拾ってくれそうな人はいないらしい。
アーニャの姿は非現実的すぎて浮いていたが、こちらの少女はアーニャより人間の幼女らしい姿で、それがまた妖しさを醸し出している。犯罪臭だ。
「くーん……」
僕もそのまま通り過ぎよう――と思ったのだが、何故かつい彼女のいる道に戻ってしまった。
三日前にアーニャという不思議な子に会ったせいなのかもしれない。
「わう?」
段ボールの前に座って彼女と目線を合わせると、無垢な茶色の瞳が僕を興味津々に見つめてくる。
「君、名前は……」
「わうー! ごしゅじん! ごしゅじん!」
僕の言葉は理解しているのかしていないのか分からない。
とりあえず僕は、柔らかそうな茶色の毛並みをした頭を撫でてみたかった。
おずおずと手を伸ばした僕に注がれる彼女の視線。
ブラウンの毛並みをした耳はちゃんと頭から生えているように見える。
ぽふん。さわさわ。
ゆっくりと頭を撫でてみると、満足そうに僕の手へ頬をすり寄せてきた。
その仕草だけ見ると本当に子犬のようだけれど。
「人間……じゃ、ないのかな、もしかして」
「わうー?」
「言葉はわかる?」
「わう! わかる! わかります……わかった? うーんと……」
「えーと、どうしてきみはここにいるの?」
「ごしゅじん、さがす! さがしてる!」
「ご主人、」
彼女の首にはまさしく犬がそうするように、大きな首輪がはめられている。
しかしネームプレートはない。
「誰かを探してるの?」
「わう! さがしてる! ごしゅじんになってくれるひと!」
「ご主人に?」
「ごしゅじん、ごしゅじん! ごしゅじんになってくれるひと、さがしてる!」
彼女は餌皿のようなものを段ボールの中から取り出し、そして尻尾をぶんぶんと振った。
この子は……一体なんなのだろう。
趣味や酔狂でこんな事をしているとは思えないし、そもそも人間かどうかも怪しい。
とはいえこんな所に放っておくのも気が引ける――
「じゃあ、一緒に探してあげよう」
「ほんと! やったー! わうー!」
……しかし”ご主人様”を探してあげるとは言ったものの。
こんな格好の幼子を連れ回す事などできず、僕は自分の家に彼女を案内した。
警察に行くべきかと一瞬だけ頭をよぎったが、つぶらな茶色の瞳がそうさせてくれなかった。犬のお巡りさんなんて現実にはいないのだから。
あの箱に入っていたということはアーニャと何か関係があるのかもしれないし、聞いてみるのもいいかもしれない。
しかしアーニャは今買い出しに行っているらしく、達筆な字で書き置きが置いてあった。あの犬のような手でペンが使えたことに驚きを隠せない。
「わうー。 ここは?」
「僕の家」
「いえ? どーして?」
「それは……うーんと」
良い返事が思いつかないまま、僕は自分の家のテーブル前に腰掛ける。
とてとてと彼女は僕の後ろを付いてきて、僕の横に座った。
「まあいいや! おじゃましまーす!わん!」
返事はとても元気が良いのだが、その自信はどこから来るのだろう。
「そもそも君はどこから来たの?」
「どこ……? うーんと、えーと、くさのおおい、ところ……なまえはわかんないけど……」
「うーん」
「そんなことよりあそんで!なでて!」
それこそ犬のように愛嬌たっぷりに、少女はそのもふもふした身体をすり寄せてくる。
ちょっと待って、と言いながら僕は彼女の身体を撫ぜてみた。
「わうぅー、んんー」
耳から髪へ、髪の流れに沿って手櫛を入れる。
ぱっと見た感じではやはり、犬らしい体毛の生えた女の子という印象だ。
手足には肉球も付いているみたいだし、犬娘というのが似合っている。
「……お手」
「わう!」
素直に右手の肉球を僕の手に載せてきた。中々柔らかい感触だ。
もみもみしてみる。
「みゃうっ、んっ、……わうっ」
普通の犬のそれより敏感なのか、揉んでいるだけでぴくっと彼女の背が跳ねた。
それに……どこか反応も妙だ。
「くぅーん、もっと、もっとなでてーっ」
彼女がごろんと床で横になり、お腹を無防備にさらけ出した。
お腹の毛は中心にいくほど薄くなっていて、ヘソは人間の肌のようにつるんとしている。
ここを触ると――どうなるのだろう。
僕は意を決してその綺麗なヘソをさわさわと撫でてみた。
「うみゃっ! あぅー、そこ、きもちいいっ……」
その艶めいた声を聞くと、何だか変な事をしている気分になってくる。
もし彼女が本当に人間の女の子だったらと思うとゾッとしない行為だ。
「ね、ごしゅじん、もっと……」
胡坐をかいて座っている僕の膝に、彼女が身体をすっと乗せてくる。
そしてそのまま、さっきのようにお腹を見せた。
ふわふわの毛越しに温かい体温が足から伝わってくる。
僕はごくりと唾を飲みながら、労わるようにお腹をさすっていく。
「あふ……あぅ……っ」
びくびくと身体をのけ反らせる姿がとてもいじらしい。
気持ちよさにうっとりとした表情のまま、彼女が呟く。
「ごしゅじん……もっと、したの、ほう……」
すすす、と下腹部の方へ手を持って行く。もさもさとしたやわらかな体毛が掌を擦る。
これ以上いくと――それは流石に、まずいのではないか。
「……さわって、くれないの……?」
いや、彼女は人間じゃないはず、大丈夫だ。
心のどこかでそう弁護しながら、手を彼女の太ももの間へと滑らせる。
その窄まりはやはりブラウンの毛でふわりとしていて、一際温かく感じる。秘所を隠すためか、他と比べて毛の量も多い。
「まうっ! あ、あむぅ……なんか、へんなかんじだよぉ……」
彼女の上げる声はどこか色めいて艶っぽい。
恥ずかしがっているのかはぁはぁと息が荒くなり、頬の色も桃のように染まって見える。
「あっ、あっ、もっ、もっとぉ、もっとなでなでしてぇっ……」
ふわふわとした毛を撫で続けていると、どんどん少女は嬌声を上げはじめる。
僕はたまらず少女の首筋や胸元といった敏感なところを丁寧に撫でまわし、彼女が酔いしれる様に見惚れてしまう。
「ふぁ、ああぁっ、だっ、だめぇっ、きもちよくて、へ、へんになっちゃうよぉっ……!」
くちゅ、と股間に触れていた手が熱い蜜で濡れていることに気付く。
弄るようにそこをくにくにといじり続けていると、少女は背中を逸らしながらがくがくと震えだす。
「あっ、わうぅぅ、あぁぁっ、ぁぁ……っ!!
はーっ、はーっ……し、しんじゃうかとおもったぁ……っ」
少女が絶頂を迎えたのだと気付くのには少し時間が掛かった。何しろ撫でてしかいないし、その愛撫も技術なんて何もない、ただ丁寧に撫でているだけだったのに。
「わうぅぅ……でも、さっきの……すっごく、きもちよかった……♪
ねえ!ねえ!もっかい!もっかいやって!」
「えっ?ええと、うーん。
それよりも汚れちゃったみたいだから、お風呂にでも入ろうか」
「わふん?おふろ……おふろ、しってる!お湯できれいになるんだよね!」
「そうだよ、じゃあ行こうか」
「わん!」
少女をお風呂で洗ってあげて、毛を乾かしていると丁度アーニャが帰ってきた。
事のいきさつをアーニャに説明すると、
「なるほど、見たところ彼女は”コボルド”という種族ですね。
とても純粋で人懐っこい、人間の良き友です」
「へえ……」
「わう?なんのはなし?」
「まあとりあえず、ご飯にしようか。アーニャ、三人分のご飯は作れるかな?」
「ええ、勿論ですよ。今日はピーマンの肉詰めと豚汁です」
「ごはん!ごはん!わうっ!」
「それはそうと、ご主人様。 彼女にも名前を付けてあげてはどうですか?」
「名前を? でも、まだ彼女の面倒を見るって決めたわけじゃないし……」
「面倒を見るにしても、これからご主人様を見つけてあげるにしても、名無しのコボルドというわけにはいかないでしょう。
同じく主人に仕えるものとして、名前はとても重要なものです。
どうか彼女に似合う、ぴったりな名前を付けてあげてください」
「ううん……」
「わうー?」
「では、そろそろ後片付けをしましょうか。お皿を洗ってきますね」
とてとてと流し台に向かうアーニャを尻目に、コリィが僕を見つめる。
一点の曇りもない純粋な瞳だ。
「そうだな、じゃあ……コリィ、なんてどうかな」
「こりー?」
「そう、コリィ。君の名前だ」
「こりー……私は、コリィ?」
「そうだよ。
今日はもう遅いから、ここに泊まっていく?」
「……かたじけない。貴殿の度重なる御親切、誠に痛み入りました。
拙者、此度の御恩を忘るる事なく生涯貴殿に忠節を誓い、誠心誠意お仕え申す所存でございます」
「えっ」
――アーニャと出会って一週間、つまりコリィと出会って、四日後。
日が暮れかけたいつもの帰り道、閑静な住宅街、アスファルトの道路の上。
”ひろってください”という簡素な文字が書かれた段ボールの中。
普通なら入っているのは子猫か子犬と相場が決まっているものだ。
だがその子は……いやその女性はまるで大型犬と女性が混ざったような姿でそこに佇んでいた。
――というか、例に漏れず彼女が入っているのはアーニャやコリィが居たのと同じ箱だ。
「ぐるる……」
黒い身体と体毛、燃えるような赤い瞳。ムチムチとして肉付きの良い体格。太腿と胸は特によく締まっている。
犬というよりは狼であり、背丈も僕より少し大きいほどだ。
「……ぐるる……るぅ、」
その頑強そうな肉体とオーラのせいか、道行く人は彼女を見るとびっくりして逃げ出すか、絶対に目を合わせないようにしてどこかへ走り去ってしまう。
その様子をそばで見ていると、獲物を狙うような目つきの彼女と目がばっちり合った。
「! ……わーん、ぐるるー。
あーさびしいなー、拾ってくれるひといないかなー(チラッ)」
僕を一度見たかと思うと、彼女はどこかよそを向いてつぶやき始める。
と思ったら、ちらちらと横目でこちらの様子を確認しているようだ。
「こんなトコにいるとさむくて風邪ひいちゃうなー、おなかすいたなー(チラッ)」
見なかったふりをして僕はゆっくり通り過ぎる。
これ以上ない自然な動きだったが、彼女の目はごまかせなかったらしい。
「あ、おいコラ!ちょっと待ちやがれ!」
跳ねるようなスピードで近づいてきた彼女にがっしりと肩を掴まれる。逃げ出そうとするヒマさえない。
肩から伝わってくる肉球の感触が柔らかい。爪も当たっているはずだが不思議と痛さは感じなかった。
「な……なんでしょうか」
「ほら! ココに! ひとりでかわいそうなコイヌちゃんが!!いるだろ!!」
「あれはどう見てもオオカミじゃないか!」
「細けえコトはいいんだよ! 大体アタシはヘルハウンド様だ!
ココにいたらオトコの方からやって来るって聞いてわざわざ来たんだぞ、逃がすもんか!」
「(僕が捕まるほうなのか……)」
「ほら! このアタシが拾われてやるって言ってんだ、こんなチャンス今しかねえぞ!」
「(にげたい)」
「……む、でもかすかに他のヤツの匂いがすんな……。
どれどれ……れろっ」
「ひゃっ!」
ぺろっ、とざらざらした彼女の舌が僕の頬を舐める。
「この味は……まだセックスしていない味だぜ!平たく言うと童貞だ!」
「やめて」
「お手付きじゃあねえならアタシのモンだなァ。
今すぐここでヤってもいいが……初めてぐらいムードが欲しいしなあ。
オマエん家連れてけ! ほら!」
「(にげたい)」
アーニャとコリィが助けてくれる事を期待して家に帰ってきたが、二人は仲良く夕ご飯の買い物に行ってしまったらしい。 がんばってコリィが書いたのだろう、拙い字の書き置きが置いてあった。
僕と狼女が家に二人だけで、僕は自分の部屋に入った途端にベッドへ押し倒される。
アーニャやコリィと比べると彼女の黒い体毛は少し堅いけれど、ふさふさとした感触が気持ちいい。
「あァン? この部屋も他のヤツの匂いでぷんぷんしてんのにまだヤッてないのか。
しかもアタシと似てる……ウルフ族の匂い、クー・シーとコボルドってトコか。
オマエも随分罪作りなヤローだなぁ?」
完全にマウントを取られた僕は、そのまま彼女の下で動けない。男性に組み伏せられる女の子の気分だ。
バンザイのポーズで彼女の両腕に両手首を掴まれ、さらに僕の腰の上に座るように伸し掛かられていてまったく身動きできない。
「なあに安心しな、オトコをオンナみてえに犯すのはアタシの得意分野だ。
他の甘ちゃんな奴らにはこんなセックス出来ねえぜ?
ほら、たっぷり優しくしてやるよ……♪」
れろり、と熱い舌が首筋をざらざらと撫でる。
ぞくぞくとした快感に震えている間に上着を脱がされ、肌着のシャツを勢いよく破られた。
ぬるっ、ぬちゅっ。
大きな狼女の舌が首筋から胸板にかけて這い回る。
外気に晒されたせいで少し勃った乳首に舌が触れると、僕の身体がびくんと跳ねた。
「イイ反応するじゃねえか。ココがいいんだろ?
乳首舐めるたびに、アタシの下でチンポがピクピクしてるぜ……?」
普段は意識していない場所なのに、彼女のざらりとした舌で舐められるだけで気持ちがいい。
「ああもう、いちいちカワイイ顔しやがって。ガマンできねえよっ」
愛撫に気を取られている間にズボンが脱がされる。
さらにパンツまで脱がされて、あっという間に僕は素っ裸にされてしまった。
「さあて、セックスの時間だ。一滴も出なくなるまで搾り取ってやるからな――」
「ただい――ご、ご主人様?!」
「ごしゅじんさま、そのひとだれー?」
そういうわけで、アーニャとコリィの二人が帰ってきたのは僕が狼女に犯された後だった。
全裸のままベッドで押し倒されている僕は情けないと言うほかない。
「おう、お前らがココに住んでる奴らだったか。
わりぃな、コイツのドーテーは先に頂いちまったぜ」
「私達の家でなんて破廉恥なことを……!」
「わうー。ご主人様、どうしてはだかなのー?」
「まだコイツも体力は余ってるみたいだし、オマエらもどうだ?」
「なっ、なにを――」
「わうー!わたしもしたいー!」
「ええっ?!」
ベッドで横たわる僕目がけて、コリィがぴょんと飛んでくる。
当たらないように狼女がひょいとそれをかわすと、背中に回って僕の脇の下から腕を回して身体を持ち上げ、僕の乳首をその柔らかい肉球で責めてくる。
さらにコリィが僕の腰にどさっと座ってくる。ふわふわした茶色の体毛が僕の股間をさわさわと擦ってきて、それだけで快感が走ってしまう。
「よーし、アタシが手伝ってやるよ。ほれ、早くチンポおっ勃てな♪」
「えっへへー♪ ごしゅじんさまとえっちだー♪」
「な、なんてことを……!」
「アンタはどうするんだい?」
「わ、わたくしは……ご、ご主人様の許可もないのに、そんなはしたないこと……」
「わふぅ……ごしゅじんの、わたしのナカに、はいってくるよぉ……っ」
「あ、ああ、あああ……」
「――はーっ、はーっ……きもちよかったぁ……♪」
「なんだ仔犬ちゃん、可愛いナリのくせにやるじゃねえか。イイ腰遣いだったぜ」
……そういうわけで、続けて無邪気に抱きついてくるコリィにも犯されてしまった。
「さて、もう一人の姉ちゃんは――あれ? どこ行っちまったんだ?」
首を傾けて見てみると、たしかにアーニャの姿がない。
二人にいい様にされてしまう僕を見て嫌気がさしてしまったのだろうか、
「ご主人様……」
と思っていたら、アーニャはドアを開けて部屋に入ってきた。
その姿は――
「ご主人様、アーニャは、アーニャはもうガマンできません……っ」
度重なる交尾を見て発情してしまった犬のように興奮している。
いや、問題はそこじゃない。
一番に目に入ってきたのは、アーニャの股間に生えた雄々しいモノだった。
「わたくし……ご主人様に褒めてもらいたくて、なでなでしてほしくて、がんばったんです……」
ゆらり、とベッドにアーニャが近づいてくる。
手には「ふたなり」とラベルの貼ってあるビンがあり、それはごとりと床に落とされた。
「なでなでも、えっちなことも、ご主人様から許しを貰うまでは――ってガマンしてました。
ご主人様の匂いを嗅ぎながら、一人で自分を慰めて……」
カチカチに勃起したアーニャのペニスから、カウパー液が零れ出す。
「でも!でも!一週間も経つのに、えっちなことも、いいえなでなでひとつもしてくれない!」
異様な迫力を漂わせるアーニャに、狼娘もコリィも見入っている。
「その挙句にこんな……わたくしの前で、他のヒトとのせ、せ、セックスを、見せつけるだなんてっ…… ゆゆ、許せません、謝ったって、許してあげませんからねっ……」
思わずベッドの上で後ずさる僕を、アーニャが追い詰めてくる。普段の淑やかな姿からは想像できない程に荒々しく僕を押さえつけ、四つん這いで足を開かせられる。
唾液でいっぱいのざらりとした舌が僕の菊門に触れ、入り口をこじ開けてくる。
アーニャの尻尾がぶんぶんと大きく揺れ動いているのが目に入った。
「んっ、ちゅっ、んはっ、」
今まで刺激された事のない箇所を責められ、不思議な快楽がこみ上げてくる。
ぐりぐりと熱い舌がねじ込まれ、アナルの中までベロベロに舐められていく。
とてつもなく淫らな音と壮絶な舌技で敏感な内部をぐちゃぐちゃにされ、僕は腰が抜けてしまいそうだった。
「も、もう、アーニャは待てませんっ。ふつうのえっちなんかじゃ満足できません!」
アーニャの舌が離れたかと思うと、今度はぴとっと熱い肉棒が菊門に触れた。
男性なのに四つん這いという被虐的なポーズのまま、彼女はぐりぐりとペニスを押し付けてくる。
「だから――今日はご主人様に女の子になってもらいますからっ!
セイエキが出なくなってお尻の穴でミルクを飲むまでシゴき倒しますっ!」
ゆっくり、ゆっくりとアーニャのペニスがぬるりと僕の中に挿し込まれていく。
耐え難い異物感とともに、腰が溶けそうな快楽が少しずつ昇ってくる。
「あっ、あぁぁ……っ、ご主人様のナカ、熱いですぅ……♪」
ペニスが奥まで入りきると、アーニャは身を屈めて僕の耳元で囁いた。
「あはぁっ……ほ、ほぉらご主人様、入りきっちゃいましたよぉ……♪
お尻の穴がきゅうきゅうっと締め付けてきて、挿れてるだけでイっちゃいそう……♪
じゃあ、動きますから、ねっ……!」
ぬちゅっ、ずちゅっ。
ゆっくりとピストン運動が始まり、カリで腸壁がごりごりと擦られる。それがたまらなく気持ちがいい。
さらに亀頭で入口の敏感な箇所を穿られて、ペニスでは味わえない不思議な快楽がこみ上げてくる。
「あっ♪ あっ♪ だめっ、大好きなご主人様なのに、お尻、犯しちゃってるっ♪
こんな、こんなコトしちゃ、だめなのにぃっ♪
ご主人様犯して気持ちよくなっちゃだめなのにぃっ♪
突くたびに、離したくないって、アナルがぎゅうっとしがみ付いてくるよぉっ♪」
ぐぽっ、ぬぽっ、ずちゅっ。
アーニャの腰つきは激しさを増し、どんどんとお互いを絶頂へと押し上げていく。
「わうー♪ご主人様のおちんちん、なめてあげる♪」
「あうっ、ああぁぁ……」
さらに僕のそそり立った肉棒をコリィがぬぽっと咥える。
温かい口内に包まれ、ねっとりと柔らかい舌で亀頭を万遍なく舐め回され、さらに快感が倍増していく。
腰を振っているせいでじゅぽじゅぽと上下運動まで加えられ、すぐにでもイってしまいそうだった。
「ごっ、ごしゅじんさまぁっ♪ そろそろイっちゃいますぅっ♪
な、中に出しますよ、ご主人様っ! お尻にっ、わたくしのお汁、いっぱい注ぎ込んじゃいますっ! ほらっ、孕めっ♪ わたくしの子供、孕んじゃえぇっ♪」
お尻の最奥でアーニャのペニスがドクドクと激しく脈打つ。熱い液がナカを満たしていく。ヤケドしてしまいそうなほど熱いそれを受けながら、僕もコリィの口内に激しく射精してしまう。
コリィは喉を鳴らしながら、美味しそうに僕の精液を飲み干していく。
さらに尿道に残った精液まで飲み干すようにちゅーっと吸い出され、完全に腰が砕けてしまった。
「あ、あぁぁぁ……♪はぁーっ、はぁーっ……いっぱい出ちゃいましたよぉ……♪
ご主人様のお尻、わたくしのおちんちんをぎゅーっと掴んだまま、離してくれません……♪
ほらっ、まだですよご主人様っ♪ 今日はご主人様がメスイキするまで許してあげませんからね♪」
射精の余韻に浸るのも束の間に、アーニャがまたピストン運動を始める。
僕はその激しさに耐え切れず、四つん這いを維持できないままうつ伏せに潰れてしまう。
それでもアーニャは構わず僕を犯し続けた。
「ほらっ、ほらぁっ、休ませてなんかあげませんからねっ♪
わたくしの子供を孕むまで犯し続けちゃいますぅっ♪」
「……は、発想のスケールで……負けた……」
そう狼女がつぶやいたのが、僕が最後に聞いた声だった。
15/10/19 17:29更新 / しおやき