一ツ目ハウスだ!
……囲まれた。
壁を背にした僕に、右から、左から、正面から、一気に三体ものゲイザー達が近づいてくる。
さっき青い目の小さいゲイザーを見たときから悪い予感はしてたけど、まさかゲイザーみたいな上級魔物がこんな小さなダンジョンに、しかも何匹もいるなんて思わなかった。
ゲイザーのことは「一つ目で、触手がいっぱいある魔物」としか知らなかった僕にとって、本物のゲイザーは大分イメージと違った。目玉ひとつがふわふわと浮いてて、触手だらけの感じを思い描いてたのに、こんな人間らしい体格をしているなんて。
彼女たちの一つ目は丸くて綺麗で、体つきもなんというかスタイルが良いし、全身を包む白い肌はシルクの布のように綺麗だ。それと白い肌には黒い結晶のような物が付いていて、大事な所はその黒い何かで覆われている。
背中から伸びる黒い触手は怪しいけれど、どこかそれも神秘的に見えた。
「ねえお兄さん、さっきはウチの妹が世話になったみたいだねェ」
「私たちのカワイイ妹いじめて、ただで帰れるなんて思ってないでしょー?」
「……いたかった」
ゲイザー達にふわふわと浮かびながらにじり寄られ、僕は少しずつ距離を詰められていく。右の方を見ると、前の階で見た青い目の小さなゲイザーがいた。
どうやらその子の仕返しにきたらしい。
……と言っても、会ったときからその子が無警戒に付いてきて、「危ないから来るな」って言っても聞かないから盾でこつんと叩いただけで、恨みを買われるほどの事をした覚えはない。
「その子をいじめた覚えはないけど……言ってもダメか」
「そうなんだよねェ、ま、大人しく食べられたらどうだい?
あたしら三姉妹で、たーっぷり可愛がったげるからさぁ……?」
しかし確かに、この三体は姉妹のように顔が似ている。一番背丈の高いゲイザーは赤い目、その次に大きいゲイザーは緑の目、一番小さいゲイザーは青い目で、胸の大きさも背丈に比例するように――と、余計な事を考えてる場合じゃない。
「無暗に争いなんかしたくないんだ、見逃してくれ」
「ふぅん? ずいぶん優しいコト言ってくれるじゃない」
「そーだね、シルメが気に入っただけはありそー」
僕の言葉に従ってくれるわけもなく、ゲイザー達の歩みは止まらない。
すると緑の目のゲイザーが、その大きな一つ目を煌めかせながら僕をじろじろと睨みつける。
「さ、暗示掛けてあげちゃうからねー。暴れちゃダメだよー」
暗示。
それはゲイザーにとっての最大の武器であり、最も恐れるべき魔法だ。
しかし、今の僕にとっては大した脅威にならない。
何故なら、僕の持っている盾は『ゲイズの盾』と呼ばれる特製品で、これはゲイザー達の催眠術や暗示を装備しているだけで防いでくれる。
この盾さえ手放さなければ、ゲイザー達の暗示に僕が掛かる事は絶対にない! 絶対にだ!
「あれー? おかしいなぁー?」
「くふふ、どうしたの? クメル」
もうお互いが手を伸ばせば届くような距離だが、恐れることはない。
ゲイザー達の戦闘力そのものも低いわけではないけど、彼女たちが暗示を掛ける事に集中している今なら三対一でもなんとかなる。
暗示さえ防げれば、たとえゲイザーに囲まれても切り抜ける事は可能だ……!
「どうしたのかなー? 私の暗示が掛からないよー?」
「へえ、そりゃあヘンだねぇ、じゃあ代わりにあたしがやったげるよ」
「……(こくこく)」
続いて赤い目をした胸が大きいゲイザーが僕をじろじろと見つめるけれど、僕に暗示はもう効かないから大丈夫だろう。
でも、いくら魔物といっても無益な争いはしないほうがいい。
暗示が効いてないと気付かれる前に、この包囲から抜け出さないと。
「んん、ほんとだ、暗示が効かないねェ。なんでかしら」
「ありゃー、お姉ちゃんでもダメかー。どうしよっかー?
……んふふっ♪」
他の二人にも気を配りながら、一番出し抜きやすそうな緑目の、幼いゲイザーの方へゆっくりと僕は近づく。
「悪いけど、先を急ぐんだ。だから――」
横を強引にすり抜けようとした瞬間、青い目のゲイザーにぼふ、と毛皮の鎧の上から僕の腰へ抱きつかれる。
小さな子にケガはさせたくないけど仕方ない、ここは無理やりにでも、
「……だめっ」
ぎゅっ、と彼女が僕に抱きつく力が強くなる。黒い触手も一緒になって僕に絡みつく。
あれ? なぜだ、身体に力が入らない……?
「――はぁ、ほんと一丁前に暗示も使えるようになって。
アタシに似て覚えがいいし、オトコを見る目も中々ってトコかな」
「そーだよねー。この子、すっごくおいしそー」
「……(にこにこ)」
ど、どうして?
赤目と緑目、二人のゲイザーが寄ってくるのに、地面に引っ付いたみたいに足が動かせない。
身体にも手にも力が入らなくなって――あぁっ、だめだ、この盾を落としてしまったら――!
「もう力抜いてイイよォ、おにーさん?
あたしらの暗示が効かないとか思ってるかもしんないけどさァ、」
「たぶんそれ、シルメの暗示だよー。ま、言ってもまだ分かんないかなー。
シルメの暗示でも、そんなすぐに解けないだろうし」
「……(こくこく)」
「ウチの妹は頭が良いからね、自分一人で丸め込める相手とそうでない相手がちゃーんと分かってる。
自分一人じゃ分が悪い、しかも未熟な暗示だと時間が掛かるし、暴れられても面倒だから、あたし達三人で囲めるまで油断させてくれたってトコだね。
で、お分かりの通り大成功♪」
「……(にこにこ)」
「え、あ、や、やめろ……!」
僕の後ろには一番下の妹、右側には二女、左側には長女。
自由に動かせない僕の体を、ゲイザー三姉妹たちが好き勝手に触りだす。
――からん、と地面に盾が落ちる音がした。
「ああ、いいねェその表情……すっごくカワイイよ」
「あっお姉ちゃん、味見するのは家に持って帰ってからだかんね。
前みたいに横取りしないでよー」
「……(ぎゅっ)」
体中をまさぐられながら、僕は段々睡魔に襲われる。
柔らかな彼女たちの感触を感じながら、僕の瞼が閉じていった。
――ううん、ここはどこだ。ベッドの上?
ということは、昨日泊まった宿?
いや違う、見覚えのない部屋だ。しかも僕の装備はシャツとトランクスの下着だけになっていて、ちょっと肌寒い。
……そうだ、あのゲイザー達に捕まったんだった。
起き上がろうとしたけど、がっちりと何かで縛られていて全身がうまく動かせなかった。けれど、僕の身体に縄はない。という事は、魔法か何かが掛かっているんだろう。
それでも上半身だけはなんとか起こせたので、周りの様子を見渡してみる。
空気が少し湿っているから、まだ洞窟の中かもしれない。けれど、人間が使うような椅子やテーブル、僕の寝ているベッド、タンスといった家財もたくさんあって、まるで人間の家みたいだ。窓はなかったけど、明かり代わりに魔法石がウォールランプのように付けられていてほんのりと明るい。
魔物もちゃんと生活しているんだなと、呑気なことを僕は考える。
この部屋の扉は一つしかないから、ここは誰かが使っている部屋なんだろうか。
すると、ちょうどその扉が開いた。
「よォ、目が覚めたか。ようこそ我が家へ、手荒いもてなしで悪いねェ」
奥の部屋から赤い目のゲイザーがふわふわと浮いて現れ、にやにやと笑みを浮かべながらこっちに近づいてくる。
ぼんやりと、ゲイザー達に襲われた時のことを思い出した。
「そういや名前、まだ言ってなかったっけ?
あたしはメリア。あんたは?」
この赤い目のゲイザーはさっきの三姉妹の長女だと、捕まる前の会話で分かった。
僕は三姉妹の長女――メリアの問いには答えず、そのまま質問を返す。
「くそ……僕を捕まえて、一体どうする気だ」
「ん? そりゃああんたを食べるために決まってるじゃないか。
あたし達三人はみんな一緒にエモノを『食べる』コトにしてるんだけど、ちょっとシルメが疲れちゃっててね。
ま、お楽しみはも少し後ってことさ」
「……食べるんなら、さっさとすればいいだろ」
僕は精一杯強がって悪態を吐く。
しかし体も動かせないこの状況で、一体どうやって切り抜ければいいのか。
「えっ? ……あ、そ、そーか。んまぁあんたのほうから言われたらしょうがないよなァ、うん。あたしもガマン出来なくなってきちゃってね。
んふふ、シルメには悪いけど、ちょっとつまみ食いっと……♪」
にんまりと笑いながら、メリアはどんどん僕に近づいてくる。
……しまった、余計な事を言ってしまったかもしれない。このままでは食べられてしまう。
「ま、待ってくれ……まだ死にたくない、代わりの食糧なら取って来れる、頼む、見逃してくれ」
「へ?」
「こう見えても一人で生活してたんだ、狩りの経験だって――」
「おいおい、なんか勘違いしてない? お兄さん」
「……え?」
「あたしら魔物が何食べるか、知らないのかい?」
「で、でもさっき、僕を食べるって言ったじゃないか」
「あっはっは、一体いつの話してんのさ。
食べるって言ってもねえ、ベツに肉を齧って食ったりしないよ?
あたしらが食べるのはオトコの精――いちばんイイのはもちろん、精液さ。
オトコの身体から出る、どろりとした濃いセイエキ……くふふ」
そう言いながら、赤い目のゲイザー、メアリはまたニヤリと笑った。白く鋭い歯がちらりと見えて、獰猛な表情を見せる。
彼女の身体を見ると、その大きい胸がどんと視界に入って目のやり場に困ってしまう。ちょっと浮いてるから正確には分からないけど、背丈は僕と同じくらいのようだ。
「せ……精液、って」
「そ、お兄さんも溜まってるよねェ? そんなにおっきくしちゃってさァ」
言われたとおり、にやっと笑った彼女に僕はどこか色気を感じて、恥ずかしながら勃起していた。
そもそも女性と接することさえ少なかった僕にとって、服を着ていない彼女たちの肢体はあまりにも淫らで、しかも人間の女の子とそっくりだから、否が応にも心臓がドキドキしてしまう。
メアリの赤い目がぎらりと僕の顔を見て、それからにぃっと彼女が微笑んだ。
「い、いや、これは……」
「ごまかさなくってもいいよ、ドーテイじゃガマン出来ないでしょ?」
「えっ、な、なんでそれを!」
「あ、やっぱり初めてだったんだ。 だいじょーぶだいじょーぶ、あたしがリードしたげるって♪」
メアリがふよふよと寄ってきてぽふ、と僕の寝ているベッドに飛び乗る。
思わず僕はとっさに飛びのいた――つもりだったけど、やっぱり身体は一つも動かなかった。ベッドの上に座った僕は、両手とを後ろに縛られたみたいに動けない。両足も、縄なんてないはずなのに縛られているような感覚で、やはり動かせなかった。
「逃げようたってムリだよ、動けないように暗示はたーっぷり掛けちゃったから。
手も足も、あたしが引っ張ったげないと動かないんだよねェ。
けど、カラダはビンカンにしてあげてるよ……ほぉら?」
そう言いながらメアリがその黒い手を伸ばし、下着の上から僕の股間をそっと擦る。黒い何かで包まれた彼女の手は、子供のほっぺたみたいに柔らかい。
もう大きくなって突っ張っているそこは、そっと手で触れられるだけでもびくり、と反応してしまった。
「んふふ、さっき話してる間にも暗示掛けちゃったの、気付いた?
普段の数倍は感じちゃうんじゃないかな……?」
確かに、さっき彼女が触った時は僕の感覚が段違いに敏感になっていた。
彼女の瞳をこれ以上見つめていると、どんどん術に掛かってしまう、でも、頭が動かせない。
「ね……キス、していい?」
僕の両肩に彼女が手を載せて、そっと顔を近づけてくる。
その赤い瞳に見惚れているうちに、僕は唇を奪われていた。マシュマロのように柔らかい感触がそっと唇に触れて、時間が止まったかのように僕も彼女も動かなかった。
薄らと目を開けていた僕の視界には、意外そうな顔をした彼女の顔が映る。
ほんの少しだけ顔が離れて、吐息が触れ合うぐらいの距離になる。
「……ん、あれ。抵抗とか、しないんだ?」
「え、えっと……」
「もしかしてシルメの暗示?
……それともお兄さん、あたし達のコト気に入ってくれた?」
彼女がまた僕に唇を重ね、今度はそっと舌を口内に滑りこませてくる。彼女の舌が僕の舌に触れて唾液が絡み合うと、ミントのように甘い味がして、頭が痺れるように思考がぼやけていく。
僕の口内もまた暗示で敏感になっているのか、舌がどこかに触れるだけでも僕には耐えがたい快感だ。それなのに彼女の舌でぬちゅぬちゅと口内を這い回られると、たまらなく感じてしまう。
「まだあたし達、『好きになれ』とか、『一つ目が好きになる』とかって暗示は掛けてないと思ったケド。
ってコトは、やっぱり……ううん、そんならなおさら容赦できないねぇ……♪」
僕はメアリに押し倒され、ベッドへ仰向けに倒れる。
上から彼女の顔が近づいてきて、また濃厚なディープキスが続けられる。舌が絡むたび、背筋がぞくっとして僕の身体が震えた。
後ろに回したまま動かせなかった僕の腕を、彼女が掴んで前に持ってくる。縛られたように動かなかったはずの両腕は、彼女が掴むとあっさり動いた。
両腕を彼女に掴まれながら、仰向けに寝転んだ僕は彼女に馬乗りにされる。男が女を押し倒して犯す――それが逆になったみたいな体勢で、彼女に両腕を掴まれながら覆い被さられ、柔らかな舌で口内をもみくちゃにされていく。
「んぅ、んっ。 あんた、キスとか初めて、でしょ?
……あたしも、自分からフツーにしたのなんて初めて。
嫌がるヤツに暗示掛けて、ムリヤリしたコトはあるけどさァ……そん時は、こんなにドキドキ、しなかったかな……?」
ぼんやりする僕の思考をよそに、彼女がまたキスを浴びせてくる。身体が敏感になる暗示が掛かっているとはいえ、唇を重ねて舌を絡ませる事が、こんなに刺激的だなんて。
しゅっと僕の背中に何かが当たる、それはメアリの背中から伸びた触手だった。ベッドと背中の間に何本も入り込んで、ぐい、と僕は持ち上げてしまう。
僕の身体は、前をメアリの豊かな胸で、後ろを触手でくるまれて、ぎゅうっと包み込まれてしまった。
メアリの胸と、背中に当たる触手。どちらも柔らかくて、蕩けるような感触だ。
しかもメアリの濡れた秘部と僕の股間が擦れて、それだけでも射精してしまいそうになる。
「ん、ちゅ、っ、……ぷはぁ、んんっ、くちゅ、ぅん、」
息が苦しくなると口が離れ、でもすぐにまた僕の口内へ彼女の舌が侵入してくる。
ぴちゃぴちゃ、くにゅくにゅ、むぐむぐ。
舌を舌でなぞられる度にくすぐったいような快感が走って、ほんのり甘いメアリの唾液が、頭いっぱいに広がっていく。
「……気持ちイイ? じゃ、今度はこっち♪」
僕の背を包む触手が緩んで、僕はまたベッドに寝かされるような体勢になり、僕とメアリの間に隙間が空く。
僕の両腕を掴んでいたメアリの両手が離れて、今度は僕の胸をさわさわと撫でる。彼女の両手が離れても、やはり僕の腕は上がったまま動かせず、彼女にされるがままだ。
薄いシャツの上から黒い手が乳首に触れると、ピクッと僕は反応してしまった。くすぐったいような、気持ちいいような、変な感じだ。自分ではあんまり意識したことが無いけれど、他人に触られると妙に感じてしまう。
「あれぇ、乳首勃ってきちゃったよ?
オトコなのに、こんなトコ触られるのがイイの? ほぉら、くりくり♪」
メアリの柔らかい手が、シャツの上から僕の乳首をさらに弄りまわす。ぐにぐにと刺激したり、しゅっしゅっと左右に擦ったり、上から優しく押しつぶしたり。
触られるたびに、股間を触られるのとは違う、切なくもどかしいような、胸の奥がうずく感覚が僕を襲って、吐息を漏らしてしまう。
「あは、やっぱ感じるんだ。 じゃ、コレはどう……?」
黒い手が僕のシャツを掴んで、胸が見えるようにまくり上げた。僕の胸板にメアリが顔を近づけ、ぺろりと左の乳首を舐める。手で弄られるのとは違う、より直接的な快感が僕を襲う。敏感に感じてしまうそこは、もう立派な性感帯になっていた。
唾液でぬめった舌で乳首をころころと転がしながら、彼女はさらに右手でもう一つの乳首をくりくりと優しく引っかく。
舐められるたび、触れられるたびに身体が熱くなって、股間が突っ張っていくのが分かった。
もうほんの少しでもペニスを擦られると、出してしまいそうなぐらいだ。
「んん……ホントはちょっとからかうだけって思ってたのに、ホントにガマン出来なくなりそう……。
そんなに感じてるカオされると……ね。
だから、次はあんたのココ、あたしので――」
「あーっ! ちょっとお姉ちゃん!」
彼女がそう言いながら、僕のトランクスを脱がそうと手を掛けたその時、違う女の子の声が聞こえた。
その元気な声には聞き覚えがある――たしか、このゲイザー三姉妹の次女の物だ。
……たしか、クメルって呼ばれてたな。
赤い目のゲイザーが振り向いて、部屋の扉を見る。
「っと、なんだクメル、シルメが起きるまで休むって言ってたのに」
「ちょーっと様子見に来ようと思ったらコレだよ、もぉー!」
悪い悪い、すこし味見するだけのつもりだったんだけどさァ、こいつが食べてくれって言うもんだから……」
「……え、いや、うう……」
それは勘違いだ――とは言い切れない。
もう僕だってガマンできないぐらい興奮しているし、緑の目の彼女にも襲われてしまうのかなと思うと、ますます高ぶってきているのだ。
僕はもう明らかに彼女たちに食べられたいと――犯されたいと思っていた。
「んもー、シルメが起きるまで待とうって言ったのお姉ちゃんでしょー。
そんならあたしも一緒にやっちゃうんだからー!」
ちょっと怒ったような声の後、緑の目のゲイザーの、クメルと呼ばれていたその子も僕のいるベッドに飛び込んでくる。
しゅるしゅるとメアリの触手が僕から離れて、僕はまたベッドの上でに仰向けになった。
僕の右手側からは赤い目が、左手側からは緑の目が、寝転がった僕を見つめてくる。
クメルも黒髪だけど、長女と違って長さがショートだ。胸は中くらいの綺麗な形で、ほんの少しだけど肌の色も違う。背丈も、僕よりも少し低いぐらい。
大人びたメアリとは違って活発な感じで、元気そうな妹って感じだ。
「あれお姉ちゃん、もう暗示かけちゃったの?
この人、すっごくぼーっとしたカオしてるけど……」
「それがねえ、まだそういう暗示はあたし、掛けてないよ。
ま、もしかしたらシルメが掛けちゃったのかもねェ。
ただカラダは感じるようにしたげたから、何されてもイイ気持ちになっちゃうと思うけど♪」
メアリが僕の耳にふーっと息を吹きかけると、背筋がぞわっとして、でも震えるだけで僕は動けず、むず痒い。
そんな軽い愛撫でも、僕には十分快感に感じてしまう。
「ふーん、珍しい子だねー。
嫌がる子にちょっとずつ暗示かけるのも楽しいけど、こーいうのもイイかもー……♪」
楽しそうな声で、クメルが僕の唇にキスをしてくる。軽く触れあう程度に、つん、つんと。メアリの濃厚な口づけとは違って、スキンシップのようなソフトキスだ。
僕も嫌がる表情は見せず――むしろ蕩けてしまったカオで、それを受け入れる。
たとえ逃げたくても、僕にはほとんど抵抗できないけれど。
「……んっ……ホントだ。
キミ、あたし達のコト好きになってくれるの? 嬉しいなぁー……♪」
緑の目のゲイザーがゆっくり僕のトランクスを脱がす。
股間にトランクスが引っかかる刺激で、また声が出そうになる。
「もうおちんちんヌルヌルだねー?
すっごくピクピクしてて、ちょっと擦っただけで出ちゃいそうだよ。
……ねえお姉ちゃん、シルメには黙って、こっそり……イイかな?」
「んふふ、そうだねェ。あたしらもガマン、出来ないもんね……♪
じゃ、今回はクメルに譲ったげる。アタシはこの子の色々なトコ、いじっちゃおうかなァ」
「さっすがお姉ちゃん! じゃ、いただきまーす……♪」
次女のクメルが僕に飛び乗って、たっぷり濡れた自分の秘部を僕のペニスにくちゅ、と音を立ててくっつける。入り口が触れただけなのに、クメルの中はとっても柔らかくて、熱くて、ペニスにとって何より気持ちいい場所なのを感じた。
緑の綺麗な目が僕を見下ろして、にんまりと笑う。
そして長女のメアリは位置を移動して僕を膝枕する。そして、僕の真上からその赤い目で僕の顔を見つめていた。
「さあ、あたしの目をじーっと見て。
今からアンタのペニスは、あたしがイイって言うまでシャセイ出来ないよォ……?」
――その赤い目を見た瞬間、頭の中を柔らかい何かでぎゅっと包まれたような、強烈な感覚が走った。元々ぼんやりしていた思考が、夢の中みたいにもっとクラクラしていく。
だけど感覚だけはしっかりしていて、僕のペニスを飲み込もうとするクメルの秘部の感触は、より鮮明に感じられる。火傷しそうなぐらい熱くて、ぐちゅぐちゅにとろけたクメルの膣が、僕の亀頭をぬちゅ、ぬちゅと少しずつ包んでいく。
女の子の中に包まれる、僕にとって初めての経験。
「――んっ、あぁっ! すっ、ごい、あつくて、おっきくてっ……っ♪」
ずっぽりとクメルの小さな膣の中でペニスを銜え込まれ、挿入した瞬間、蠢く肉壁にぐにぐにとペニスを刺激される。それだけでももう射精してしまいそうなのに、なぜか出せない。
快感だけがどんどん溜まっていくのに、それを放出することが出来ず、僕はうめき声を上げる。
「んぅ……じゃ、動いて、あげる、ねぇ……♪」
ゆっくりとクメルの腰が浮いて、僕のペニスをぬるりと扱く。そしてまた一番奥までしっかり飲み込まれて、じゅぽじゅぽとペニスを何度も扱きあげていく。クメルの膣はとても狭く、全部銜え込むのがやっとだけど、でもそれがすごく気持ちいい。
彼女が動くたび、腰が浮いてしまいそうな快感が走る――けど身体を動かせない僕は、身体をくねらせて刺激を逃がすこともできず、ひたすらに悶えながら受け止める事しかできない。
「んっ、あっ、い、イイよぉ、ッ……!」
そしてどれだけ快感が高まっても、射精してしまう事ができない。
ペニスに与えられる強烈な快感をただガマンする事しか出来ず、気が狂いそうなほど気持ちよくなってしまう。
クメルに最奥まで飲み込まれるたび、彼女も僕も快感の声を上げる。ぎゅっと締め付けて、でも僕のペニスを優しく掴んで離さない彼女の熱い膣が、たまらなく気持ちいい。
網膜に焼き付いてしまいそうなほど、姉妹たちの緑と赤の一つ目が、美しく、愛おしく感じる。
「あぁ、そのトロけたカオ、すっごくカワイイ♪
でも、もうちょっと、もうちょっとガマンだよ……?」
彼女が腰を上下させ貪欲に快感を貪ろうとすると、中にある無数のヒダが僕のペニスをくにゅくにゅと擦っていく。敏感な亀頭や裏筋をヒダで擦られるたび、ぞわっとした快感が昇っては頭の中でせき止められてしまう。もう僕の頭の中は、射精する事と、目の前にいる姉妹達の姿に夢中になる。
けれどまだ絶頂の快感が延々と続くだけで、しかもそれが治まらない。
「ほらっ、もーっと気持ちよくしたげるからね♪」
メアリの黒い手が僕の乳首をコリコリと引っ掻く。
同時に、メアリが自分の膝に乗せた僕の頭に顔を近づけて、くちゅくちゅと激しく舌を絡めつつキスをしてくる。
口も、乳首も、ペニスも、全部が敏感になって、どこを触られても気持ちいい。
それ全てがひたすらに射精に繋がる快感を増幅させ、何度も何度も絶頂しているかのような錯覚を起こす。止まらない射精のような快感に身を任せて溶けてしまう。通常ではあり得ないその強烈な快楽に、意識が飛んでしまいそうになる。
「ぁ、うぅっ、も、もぉ、あたしも、イっちゃい、そぉっ……!」
連続する絶頂の快感を味わうコトに塗りつぶされて、他の事が何にも分からなくなっていく。
早く、クメルの膣の中に、全て吐き出したい。小さなその膣中には入りきらずに零れてしまうくらい、一滴残らず、全部。
「そろそろクメルもアンタも限界、かな?
さ……もうイイよ、クメルの中に、ぜーんぶ出しちゃいな♪」
メアリがそう言った瞬間、堤防が決壊したみたいに僕は射精してしまう。
クメルの熱い、膣奥の中に。
「――んんぅ〜っ……♪ すっ、ごい、こんなに、いっぱい、セーエキ、がぁっ……♪」
何度何度も射精を焦らされて、数時間後に思いっきり責められたような快感。
僕の中に溜まった濃い精液がクメルの膣にびゅくん、びゅくん、と注がれて、中を僕の欲望で満たしていく。
それでもクメルの小さな膣は、もっと欲しいとねだるみたいに僕のペニスをまたぎゅっと締め付け、搾り取ろうとするように膣内をくねらせた。
強烈な射精の余韻の中なのに、その刺激のせいでもう僕は頭が真っ白になっていた。
「……ぁ……うぅ……」
絞り出した僕の声は、ほとんど聞こえず、言葉にならなかった。
「はぁぁっ……♪ キミのセイエキ、すごくおいしいよ……♪
……あぁ、もう、ダメぇ……」
僕の上に乗って腰を振っていたクメルが、ペニスをじゅぽっと音を立てて抜いた後、僕に向かって倒れ込んでくる。
柔らかい彼女の身体の感触が伝わって、ぼんやりしながら僕は彼女を抱きしめていた。
「あらら。一回でダウンなんて、クメルも根性ないねェ。
それとも……アンタとの相性が良すぎたのかな? なんてね♪」
すっ、とメアリの膝が頭から離れて、メアリはクメルを介抱し始める。メアリがクメルの体を持ち上げる頃には、クメルは安らかに寝息を立てていた。
「あたしも食べちゃいたいけど、アンタそろそろ意識トンじゃいそうだし、ちょっとやりすぎたかなァ。
ま、元々シルメのエモノだ、お姉さん達が取っちゃダメだよねェ。
ほらクメル、ちゃんと自分の部屋で寝なさいな」
メアリはそう言いながら、すでにぐっすりと眠っているらしいクメルを触手と両腕で持ち上げ、別の部屋にふわふわと浮いて行ってしまった。
それを横目にしながら僕も、段々と睡魔に襲われる。
まだ暗示が効いて動けない僕は、その眠気に誘われるまま、意識を失った。
「――ううん、」
ぼんやり、目が覚める。
見上げた天井はさっきと同じ、ゲイザー三姉妹の部屋のものだ。
僕はベッドから起き上がって周囲を確かめる。
僕の身体を動けないように縛っていた暗示はどうやら解けたらしく、身体を動かすことが出来た。
色々な液体で汚れていたはずの僕の身体は綺麗になっていて、シャツとトランクスも着せられている。僕の装備も部屋の隅に固めて置いてあった。
……まるで夢を見ていた心地だけど、疲労による身体の重さと意識の奥に刻み込まれた快感が、さっきのは夢じゃないと言っている。
ちゃんと体を動かせるかどうか、隅々まで試していると、一つしかないこの部屋の扉が開いた。
「……あ」
小さな声とともに、青い目のゲイザーが現れる。確か三女の、シルメとかいう子だ。
黒い触手を除けば背丈も見た目も幼い子供のようで、人間で言うなら十歳ぐらいにも見える。
黒髪がさらりと長く垂れていて、目の色以外は長女のメアリを幼くしたような外見だ。
「……」
彼女は何も言わず僕のそばに近寄ってきて、ベッドの上で女の子座りをする。
もしかして、また襲われるのだろうか――と思っていたけれど、そわそわしながら下を向いたまま、彼女は何も言わない。
変な沈黙が流れて、僕から声を掛けたほうがいいのかと迷っていると、密やかに彼女が言った。
「……ごめん、なさい……」
「えっ?」
やっぱり小さな声だったけど、謝罪の言葉なのは聞き取れた。
でもなぜ謝ったのか、僕にはよく分からない。
「わたしが……ウソついちゃった、から……」
「どういうこと?」
「お姉ちゃんたちに……あたしがいじめられたって言って……
あたしも、暗示、かけちゃって……
……お兄ちゃん、メイワク……だった、よね……」
たどたどしく、しんみりとした彼女の声。
そうか、この子が『あの人にいじめられた』って言ったから、あの姉達がやってきたんだった。
でもその前にこの子にも暗示を掛けられていたから、まんまと僕は捕まってしまったワケだ。
……この子のせいと言えばそうだけど、そんな面と向かって謝られてしまうと、僕も怒る気になれない。
うつむいたままだからよく見えないけど、この子――シルメも、きっと明るい表情はしていないだろう。
「そんな事は、……ない、けど」
はっきりとは言えず、変に僕は口ごもってしまう。
彼女達にされた事はともかく、僕がこのダンジョンでこなす予定だった依頼はもう間に合わないだろう。
決して有名でも凄腕でもない冒険者の僕にとって、依頼を失敗した事による信用の低下はそれなりに痛い。
シルメにもそれは分かったらしい、声のトーンも変えず彼女は続ける。
「……いいよ、ウソ、つかなくても。 ……わたし、いっつもこう。
お兄ちゃん、やさしいから……ぎゅーって、してほしかった、だけなのに……」
「優しいって、どういう……?」
「……お兄ちゃん、わたしがくっついても……イヤなカオ、しなかった……」
シルメの顔がほんの少し上を向いて、僕を上目遣いで見上げる。
「……あのね。
いつも、オトコのヒト……わたしのこと、……きもちわるいって、怖いって……言って、みんな、いそいでどこかに……行っちゃうの。
けど……お兄ちゃん、いっかいも、そんなコト……言わなかった。
だから……、すごく嬉しくて、でも……」
でも語尾が段々と小さくなって、またシルメが下を向く。
「……こっそり、お兄ちゃんにも、暗示……かけちゃって。
お姉ちゃんにも……告げ口、しちゃって……。
あたし……ずるいコトばっかりしてる……」
段々と小さくなる彼女の声とともに、その両肩が震える。
「ごめんね。僕も君みたいな子は初めてだったから、どうすればいいのか分からなくて。
でも君はまだ子供なんだから、知らない人には付いてきちゃダメだよ。
いくら見た目が優しそうな人でも、中身もそうとは限らないんだから」
「……ちがうよ」
シルメが顔を上げて、青く澄んだ一つ目で僕を見る。
瞬きを何度も繰り返すその瞳は潤んでいて、今にも泣き出してしまいそうに見えた。
「お兄ちゃんは……ほんとに、やさしいって、わかったから。
だから……もう、しらない人じゃ、ないもん……」
複雑な表情をする僕を見た後、シルメはまた下を向く。
すると、彼女の手が僕の方に伸びた。
「ねえ……お兄ちゃん。もう少しだけ……いっしょに、いて……」
ぎゅっと、シルメが僕のシャツの裾を掴む。
その仕草は人間の子供みたいにいじらしくて、健気だった。
僕は彼女を怖がらせないように、そっと彼女の両肩に手を添える。
「……あ……」
背中を丸めたシルメの身体を包むように、僕はゆっくりと彼女の頭を抱き寄せる。
彼女は体勢を変えて、僕にしなだれかかるように抱きついてくる。それからそっと僕の背中まで手を伸ばし、そわそわしながら僕の背中を撫でた。
黒い触手も少しの間震えていたけれど、彼女の長女が僕にそうしたように、僕の背中はシルメの触手に包まれる。僕達を包む触手の力は少しずつ強くなって、僕とシルメの身体はほどなく密着する。
これは、ゲイザーである彼女たちなりの抱擁のカタチなのだろうか。
「ん……お兄ちゃんの、匂いがする……」
すんすん、とシルメが僕の胸板で鼻を動かすと、僕も少しだけくすぐったい。
彼女の黒髪からは、ほんのりと石鹸のような匂いがした。
「……このまま……ねちゃって、いい?」
僕は少し微笑んで、シルメを抱いたままベッドにそっと倒れ込む。
何の邪気も持たずに僕に甘えてくれる彼女が、たまらなく愛おしくなる。
これも彼女達の暗示なのかな――まあ、どうでもいいか。
「いいよ。僕も、もう少し休みたいから」
もし離してって言っても、きっと離してくれそうにない――そう思った僕は、綿のように柔らかい彼女の身体を抱きしめながら、もう一眠りしようと決めた。
「ふぁ……おやすみ、なさい……おにい、ちゃん……」
起きたらまた、彼女たちに搾られてしまうだろうか。
それも悪くないかな――と思いながら、僕はシルメの黒髪をそっと撫でた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……はあ、シルメはやっぱりまだ子供だねェ。
あんなイイ雰囲気なのに、もうぐっすりだよ。寝る子は育つって言うけどさァ」
「おねーちゃん、自分だけつまみ食いしよーとしといて、それはないでしょー?」
「えぇ? だって経験なくて一つ目が好きであんな若いコ、そうそういないよ。
先に一口ぐらい味見したいじゃん? ……っていうか、結局シたのはあんただけでしょうが」
「んー、でもあのコすっごく美味しかったなー。
まあいーじゃん、シルメもオクテさんだから、これから三人で仲良く食べちゃえば♪」
「それもそーだねえ。
ま、これでめでたくシルメの婿さんも決まったコトだし、そろそろ引っ越そうか」
「えぇー? も少し粘ってここにいようよー?
このダンジョンならそんなに強いコも来ないしさ、もう入れ食いの選びたい放題だよー?」
「……それも捨てがたいねェ。
あたしとしては、骨のあるヤツをじっくり屈服させてくってのも結構ソソるんだけど……。
じゃあ上のお偉いさんにはうまーいコト言って、もうちょっとだけこのダンジョンに居座っちゃおうか!」
「さんせーい!」
壁を背にした僕に、右から、左から、正面から、一気に三体ものゲイザー達が近づいてくる。
さっき青い目の小さいゲイザーを見たときから悪い予感はしてたけど、まさかゲイザーみたいな上級魔物がこんな小さなダンジョンに、しかも何匹もいるなんて思わなかった。
ゲイザーのことは「一つ目で、触手がいっぱいある魔物」としか知らなかった僕にとって、本物のゲイザーは大分イメージと違った。目玉ひとつがふわふわと浮いてて、触手だらけの感じを思い描いてたのに、こんな人間らしい体格をしているなんて。
彼女たちの一つ目は丸くて綺麗で、体つきもなんというかスタイルが良いし、全身を包む白い肌はシルクの布のように綺麗だ。それと白い肌には黒い結晶のような物が付いていて、大事な所はその黒い何かで覆われている。
背中から伸びる黒い触手は怪しいけれど、どこかそれも神秘的に見えた。
「ねえお兄さん、さっきはウチの妹が世話になったみたいだねェ」
「私たちのカワイイ妹いじめて、ただで帰れるなんて思ってないでしょー?」
「……いたかった」
ゲイザー達にふわふわと浮かびながらにじり寄られ、僕は少しずつ距離を詰められていく。右の方を見ると、前の階で見た青い目の小さなゲイザーがいた。
どうやらその子の仕返しにきたらしい。
……と言っても、会ったときからその子が無警戒に付いてきて、「危ないから来るな」って言っても聞かないから盾でこつんと叩いただけで、恨みを買われるほどの事をした覚えはない。
「その子をいじめた覚えはないけど……言ってもダメか」
「そうなんだよねェ、ま、大人しく食べられたらどうだい?
あたしら三姉妹で、たーっぷり可愛がったげるからさぁ……?」
しかし確かに、この三体は姉妹のように顔が似ている。一番背丈の高いゲイザーは赤い目、その次に大きいゲイザーは緑の目、一番小さいゲイザーは青い目で、胸の大きさも背丈に比例するように――と、余計な事を考えてる場合じゃない。
「無暗に争いなんかしたくないんだ、見逃してくれ」
「ふぅん? ずいぶん優しいコト言ってくれるじゃない」
「そーだね、シルメが気に入っただけはありそー」
僕の言葉に従ってくれるわけもなく、ゲイザー達の歩みは止まらない。
すると緑の目のゲイザーが、その大きな一つ目を煌めかせながら僕をじろじろと睨みつける。
「さ、暗示掛けてあげちゃうからねー。暴れちゃダメだよー」
暗示。
それはゲイザーにとっての最大の武器であり、最も恐れるべき魔法だ。
しかし、今の僕にとっては大した脅威にならない。
何故なら、僕の持っている盾は『ゲイズの盾』と呼ばれる特製品で、これはゲイザー達の催眠術や暗示を装備しているだけで防いでくれる。
この盾さえ手放さなければ、ゲイザー達の暗示に僕が掛かる事は絶対にない! 絶対にだ!
「あれー? おかしいなぁー?」
「くふふ、どうしたの? クメル」
もうお互いが手を伸ばせば届くような距離だが、恐れることはない。
ゲイザー達の戦闘力そのものも低いわけではないけど、彼女たちが暗示を掛ける事に集中している今なら三対一でもなんとかなる。
暗示さえ防げれば、たとえゲイザーに囲まれても切り抜ける事は可能だ……!
「どうしたのかなー? 私の暗示が掛からないよー?」
「へえ、そりゃあヘンだねぇ、じゃあ代わりにあたしがやったげるよ」
「……(こくこく)」
続いて赤い目をした胸が大きいゲイザーが僕をじろじろと見つめるけれど、僕に暗示はもう効かないから大丈夫だろう。
でも、いくら魔物といっても無益な争いはしないほうがいい。
暗示が効いてないと気付かれる前に、この包囲から抜け出さないと。
「んん、ほんとだ、暗示が効かないねェ。なんでかしら」
「ありゃー、お姉ちゃんでもダメかー。どうしよっかー?
……んふふっ♪」
他の二人にも気を配りながら、一番出し抜きやすそうな緑目の、幼いゲイザーの方へゆっくりと僕は近づく。
「悪いけど、先を急ぐんだ。だから――」
横を強引にすり抜けようとした瞬間、青い目のゲイザーにぼふ、と毛皮の鎧の上から僕の腰へ抱きつかれる。
小さな子にケガはさせたくないけど仕方ない、ここは無理やりにでも、
「……だめっ」
ぎゅっ、と彼女が僕に抱きつく力が強くなる。黒い触手も一緒になって僕に絡みつく。
あれ? なぜだ、身体に力が入らない……?
「――はぁ、ほんと一丁前に暗示も使えるようになって。
アタシに似て覚えがいいし、オトコを見る目も中々ってトコかな」
「そーだよねー。この子、すっごくおいしそー」
「……(にこにこ)」
ど、どうして?
赤目と緑目、二人のゲイザーが寄ってくるのに、地面に引っ付いたみたいに足が動かせない。
身体にも手にも力が入らなくなって――あぁっ、だめだ、この盾を落としてしまったら――!
「もう力抜いてイイよォ、おにーさん?
あたしらの暗示が効かないとか思ってるかもしんないけどさァ、」
「たぶんそれ、シルメの暗示だよー。ま、言ってもまだ分かんないかなー。
シルメの暗示でも、そんなすぐに解けないだろうし」
「……(こくこく)」
「ウチの妹は頭が良いからね、自分一人で丸め込める相手とそうでない相手がちゃーんと分かってる。
自分一人じゃ分が悪い、しかも未熟な暗示だと時間が掛かるし、暴れられても面倒だから、あたし達三人で囲めるまで油断させてくれたってトコだね。
で、お分かりの通り大成功♪」
「……(にこにこ)」
「え、あ、や、やめろ……!」
僕の後ろには一番下の妹、右側には二女、左側には長女。
自由に動かせない僕の体を、ゲイザー三姉妹たちが好き勝手に触りだす。
――からん、と地面に盾が落ちる音がした。
「ああ、いいねェその表情……すっごくカワイイよ」
「あっお姉ちゃん、味見するのは家に持って帰ってからだかんね。
前みたいに横取りしないでよー」
「……(ぎゅっ)」
体中をまさぐられながら、僕は段々睡魔に襲われる。
柔らかな彼女たちの感触を感じながら、僕の瞼が閉じていった。
――ううん、ここはどこだ。ベッドの上?
ということは、昨日泊まった宿?
いや違う、見覚えのない部屋だ。しかも僕の装備はシャツとトランクスの下着だけになっていて、ちょっと肌寒い。
……そうだ、あのゲイザー達に捕まったんだった。
起き上がろうとしたけど、がっちりと何かで縛られていて全身がうまく動かせなかった。けれど、僕の身体に縄はない。という事は、魔法か何かが掛かっているんだろう。
それでも上半身だけはなんとか起こせたので、周りの様子を見渡してみる。
空気が少し湿っているから、まだ洞窟の中かもしれない。けれど、人間が使うような椅子やテーブル、僕の寝ているベッド、タンスといった家財もたくさんあって、まるで人間の家みたいだ。窓はなかったけど、明かり代わりに魔法石がウォールランプのように付けられていてほんのりと明るい。
魔物もちゃんと生活しているんだなと、呑気なことを僕は考える。
この部屋の扉は一つしかないから、ここは誰かが使っている部屋なんだろうか。
すると、ちょうどその扉が開いた。
「よォ、目が覚めたか。ようこそ我が家へ、手荒いもてなしで悪いねェ」
奥の部屋から赤い目のゲイザーがふわふわと浮いて現れ、にやにやと笑みを浮かべながらこっちに近づいてくる。
ぼんやりと、ゲイザー達に襲われた時のことを思い出した。
「そういや名前、まだ言ってなかったっけ?
あたしはメリア。あんたは?」
この赤い目のゲイザーはさっきの三姉妹の長女だと、捕まる前の会話で分かった。
僕は三姉妹の長女――メリアの問いには答えず、そのまま質問を返す。
「くそ……僕を捕まえて、一体どうする気だ」
「ん? そりゃああんたを食べるために決まってるじゃないか。
あたし達三人はみんな一緒にエモノを『食べる』コトにしてるんだけど、ちょっとシルメが疲れちゃっててね。
ま、お楽しみはも少し後ってことさ」
「……食べるんなら、さっさとすればいいだろ」
僕は精一杯強がって悪態を吐く。
しかし体も動かせないこの状況で、一体どうやって切り抜ければいいのか。
「えっ? ……あ、そ、そーか。んまぁあんたのほうから言われたらしょうがないよなァ、うん。あたしもガマン出来なくなってきちゃってね。
んふふ、シルメには悪いけど、ちょっとつまみ食いっと……♪」
にんまりと笑いながら、メリアはどんどん僕に近づいてくる。
……しまった、余計な事を言ってしまったかもしれない。このままでは食べられてしまう。
「ま、待ってくれ……まだ死にたくない、代わりの食糧なら取って来れる、頼む、見逃してくれ」
「へ?」
「こう見えても一人で生活してたんだ、狩りの経験だって――」
「おいおい、なんか勘違いしてない? お兄さん」
「……え?」
「あたしら魔物が何食べるか、知らないのかい?」
「で、でもさっき、僕を食べるって言ったじゃないか」
「あっはっは、一体いつの話してんのさ。
食べるって言ってもねえ、ベツに肉を齧って食ったりしないよ?
あたしらが食べるのはオトコの精――いちばんイイのはもちろん、精液さ。
オトコの身体から出る、どろりとした濃いセイエキ……くふふ」
そう言いながら、赤い目のゲイザー、メアリはまたニヤリと笑った。白く鋭い歯がちらりと見えて、獰猛な表情を見せる。
彼女の身体を見ると、その大きい胸がどんと視界に入って目のやり場に困ってしまう。ちょっと浮いてるから正確には分からないけど、背丈は僕と同じくらいのようだ。
「せ……精液、って」
「そ、お兄さんも溜まってるよねェ? そんなにおっきくしちゃってさァ」
言われたとおり、にやっと笑った彼女に僕はどこか色気を感じて、恥ずかしながら勃起していた。
そもそも女性と接することさえ少なかった僕にとって、服を着ていない彼女たちの肢体はあまりにも淫らで、しかも人間の女の子とそっくりだから、否が応にも心臓がドキドキしてしまう。
メアリの赤い目がぎらりと僕の顔を見て、それからにぃっと彼女が微笑んだ。
「い、いや、これは……」
「ごまかさなくってもいいよ、ドーテイじゃガマン出来ないでしょ?」
「えっ、な、なんでそれを!」
「あ、やっぱり初めてだったんだ。 だいじょーぶだいじょーぶ、あたしがリードしたげるって♪」
メアリがふよふよと寄ってきてぽふ、と僕の寝ているベッドに飛び乗る。
思わず僕はとっさに飛びのいた――つもりだったけど、やっぱり身体は一つも動かなかった。ベッドの上に座った僕は、両手とを後ろに縛られたみたいに動けない。両足も、縄なんてないはずなのに縛られているような感覚で、やはり動かせなかった。
「逃げようたってムリだよ、動けないように暗示はたーっぷり掛けちゃったから。
手も足も、あたしが引っ張ったげないと動かないんだよねェ。
けど、カラダはビンカンにしてあげてるよ……ほぉら?」
そう言いながらメアリがその黒い手を伸ばし、下着の上から僕の股間をそっと擦る。黒い何かで包まれた彼女の手は、子供のほっぺたみたいに柔らかい。
もう大きくなって突っ張っているそこは、そっと手で触れられるだけでもびくり、と反応してしまった。
「んふふ、さっき話してる間にも暗示掛けちゃったの、気付いた?
普段の数倍は感じちゃうんじゃないかな……?」
確かに、さっき彼女が触った時は僕の感覚が段違いに敏感になっていた。
彼女の瞳をこれ以上見つめていると、どんどん術に掛かってしまう、でも、頭が動かせない。
「ね……キス、していい?」
僕の両肩に彼女が手を載せて、そっと顔を近づけてくる。
その赤い瞳に見惚れているうちに、僕は唇を奪われていた。マシュマロのように柔らかい感触がそっと唇に触れて、時間が止まったかのように僕も彼女も動かなかった。
薄らと目を開けていた僕の視界には、意外そうな顔をした彼女の顔が映る。
ほんの少しだけ顔が離れて、吐息が触れ合うぐらいの距離になる。
「……ん、あれ。抵抗とか、しないんだ?」
「え、えっと……」
「もしかしてシルメの暗示?
……それともお兄さん、あたし達のコト気に入ってくれた?」
彼女がまた僕に唇を重ね、今度はそっと舌を口内に滑りこませてくる。彼女の舌が僕の舌に触れて唾液が絡み合うと、ミントのように甘い味がして、頭が痺れるように思考がぼやけていく。
僕の口内もまた暗示で敏感になっているのか、舌がどこかに触れるだけでも僕には耐えがたい快感だ。それなのに彼女の舌でぬちゅぬちゅと口内を這い回られると、たまらなく感じてしまう。
「まだあたし達、『好きになれ』とか、『一つ目が好きになる』とかって暗示は掛けてないと思ったケド。
ってコトは、やっぱり……ううん、そんならなおさら容赦できないねぇ……♪」
僕はメアリに押し倒され、ベッドへ仰向けに倒れる。
上から彼女の顔が近づいてきて、また濃厚なディープキスが続けられる。舌が絡むたび、背筋がぞくっとして僕の身体が震えた。
後ろに回したまま動かせなかった僕の腕を、彼女が掴んで前に持ってくる。縛られたように動かなかったはずの両腕は、彼女が掴むとあっさり動いた。
両腕を彼女に掴まれながら、仰向けに寝転んだ僕は彼女に馬乗りにされる。男が女を押し倒して犯す――それが逆になったみたいな体勢で、彼女に両腕を掴まれながら覆い被さられ、柔らかな舌で口内をもみくちゃにされていく。
「んぅ、んっ。 あんた、キスとか初めて、でしょ?
……あたしも、自分からフツーにしたのなんて初めて。
嫌がるヤツに暗示掛けて、ムリヤリしたコトはあるけどさァ……そん時は、こんなにドキドキ、しなかったかな……?」
ぼんやりする僕の思考をよそに、彼女がまたキスを浴びせてくる。身体が敏感になる暗示が掛かっているとはいえ、唇を重ねて舌を絡ませる事が、こんなに刺激的だなんて。
しゅっと僕の背中に何かが当たる、それはメアリの背中から伸びた触手だった。ベッドと背中の間に何本も入り込んで、ぐい、と僕は持ち上げてしまう。
僕の身体は、前をメアリの豊かな胸で、後ろを触手でくるまれて、ぎゅうっと包み込まれてしまった。
メアリの胸と、背中に当たる触手。どちらも柔らかくて、蕩けるような感触だ。
しかもメアリの濡れた秘部と僕の股間が擦れて、それだけでも射精してしまいそうになる。
「ん、ちゅ、っ、……ぷはぁ、んんっ、くちゅ、ぅん、」
息が苦しくなると口が離れ、でもすぐにまた僕の口内へ彼女の舌が侵入してくる。
ぴちゃぴちゃ、くにゅくにゅ、むぐむぐ。
舌を舌でなぞられる度にくすぐったいような快感が走って、ほんのり甘いメアリの唾液が、頭いっぱいに広がっていく。
「……気持ちイイ? じゃ、今度はこっち♪」
僕の背を包む触手が緩んで、僕はまたベッドに寝かされるような体勢になり、僕とメアリの間に隙間が空く。
僕の両腕を掴んでいたメアリの両手が離れて、今度は僕の胸をさわさわと撫でる。彼女の両手が離れても、やはり僕の腕は上がったまま動かせず、彼女にされるがままだ。
薄いシャツの上から黒い手が乳首に触れると、ピクッと僕は反応してしまった。くすぐったいような、気持ちいいような、変な感じだ。自分ではあんまり意識したことが無いけれど、他人に触られると妙に感じてしまう。
「あれぇ、乳首勃ってきちゃったよ?
オトコなのに、こんなトコ触られるのがイイの? ほぉら、くりくり♪」
メアリの柔らかい手が、シャツの上から僕の乳首をさらに弄りまわす。ぐにぐにと刺激したり、しゅっしゅっと左右に擦ったり、上から優しく押しつぶしたり。
触られるたびに、股間を触られるのとは違う、切なくもどかしいような、胸の奥がうずく感覚が僕を襲って、吐息を漏らしてしまう。
「あは、やっぱ感じるんだ。 じゃ、コレはどう……?」
黒い手が僕のシャツを掴んで、胸が見えるようにまくり上げた。僕の胸板にメアリが顔を近づけ、ぺろりと左の乳首を舐める。手で弄られるのとは違う、より直接的な快感が僕を襲う。敏感に感じてしまうそこは、もう立派な性感帯になっていた。
唾液でぬめった舌で乳首をころころと転がしながら、彼女はさらに右手でもう一つの乳首をくりくりと優しく引っかく。
舐められるたび、触れられるたびに身体が熱くなって、股間が突っ張っていくのが分かった。
もうほんの少しでもペニスを擦られると、出してしまいそうなぐらいだ。
「んん……ホントはちょっとからかうだけって思ってたのに、ホントにガマン出来なくなりそう……。
そんなに感じてるカオされると……ね。
だから、次はあんたのココ、あたしので――」
「あーっ! ちょっとお姉ちゃん!」
彼女がそう言いながら、僕のトランクスを脱がそうと手を掛けたその時、違う女の子の声が聞こえた。
その元気な声には聞き覚えがある――たしか、このゲイザー三姉妹の次女の物だ。
……たしか、クメルって呼ばれてたな。
赤い目のゲイザーが振り向いて、部屋の扉を見る。
「っと、なんだクメル、シルメが起きるまで休むって言ってたのに」
「ちょーっと様子見に来ようと思ったらコレだよ、もぉー!」
悪い悪い、すこし味見するだけのつもりだったんだけどさァ、こいつが食べてくれって言うもんだから……」
「……え、いや、うう……」
それは勘違いだ――とは言い切れない。
もう僕だってガマンできないぐらい興奮しているし、緑の目の彼女にも襲われてしまうのかなと思うと、ますます高ぶってきているのだ。
僕はもう明らかに彼女たちに食べられたいと――犯されたいと思っていた。
「んもー、シルメが起きるまで待とうって言ったのお姉ちゃんでしょー。
そんならあたしも一緒にやっちゃうんだからー!」
ちょっと怒ったような声の後、緑の目のゲイザーの、クメルと呼ばれていたその子も僕のいるベッドに飛び込んでくる。
しゅるしゅるとメアリの触手が僕から離れて、僕はまたベッドの上でに仰向けになった。
僕の右手側からは赤い目が、左手側からは緑の目が、寝転がった僕を見つめてくる。
クメルも黒髪だけど、長女と違って長さがショートだ。胸は中くらいの綺麗な形で、ほんの少しだけど肌の色も違う。背丈も、僕よりも少し低いぐらい。
大人びたメアリとは違って活発な感じで、元気そうな妹って感じだ。
「あれお姉ちゃん、もう暗示かけちゃったの?
この人、すっごくぼーっとしたカオしてるけど……」
「それがねえ、まだそういう暗示はあたし、掛けてないよ。
ま、もしかしたらシルメが掛けちゃったのかもねェ。
ただカラダは感じるようにしたげたから、何されてもイイ気持ちになっちゃうと思うけど♪」
メアリが僕の耳にふーっと息を吹きかけると、背筋がぞわっとして、でも震えるだけで僕は動けず、むず痒い。
そんな軽い愛撫でも、僕には十分快感に感じてしまう。
「ふーん、珍しい子だねー。
嫌がる子にちょっとずつ暗示かけるのも楽しいけど、こーいうのもイイかもー……♪」
楽しそうな声で、クメルが僕の唇にキスをしてくる。軽く触れあう程度に、つん、つんと。メアリの濃厚な口づけとは違って、スキンシップのようなソフトキスだ。
僕も嫌がる表情は見せず――むしろ蕩けてしまったカオで、それを受け入れる。
たとえ逃げたくても、僕にはほとんど抵抗できないけれど。
「……んっ……ホントだ。
キミ、あたし達のコト好きになってくれるの? 嬉しいなぁー……♪」
緑の目のゲイザーがゆっくり僕のトランクスを脱がす。
股間にトランクスが引っかかる刺激で、また声が出そうになる。
「もうおちんちんヌルヌルだねー?
すっごくピクピクしてて、ちょっと擦っただけで出ちゃいそうだよ。
……ねえお姉ちゃん、シルメには黙って、こっそり……イイかな?」
「んふふ、そうだねェ。あたしらもガマン、出来ないもんね……♪
じゃ、今回はクメルに譲ったげる。アタシはこの子の色々なトコ、いじっちゃおうかなァ」
「さっすがお姉ちゃん! じゃ、いただきまーす……♪」
次女のクメルが僕に飛び乗って、たっぷり濡れた自分の秘部を僕のペニスにくちゅ、と音を立ててくっつける。入り口が触れただけなのに、クメルの中はとっても柔らかくて、熱くて、ペニスにとって何より気持ちいい場所なのを感じた。
緑の綺麗な目が僕を見下ろして、にんまりと笑う。
そして長女のメアリは位置を移動して僕を膝枕する。そして、僕の真上からその赤い目で僕の顔を見つめていた。
「さあ、あたしの目をじーっと見て。
今からアンタのペニスは、あたしがイイって言うまでシャセイ出来ないよォ……?」
――その赤い目を見た瞬間、頭の中を柔らかい何かでぎゅっと包まれたような、強烈な感覚が走った。元々ぼんやりしていた思考が、夢の中みたいにもっとクラクラしていく。
だけど感覚だけはしっかりしていて、僕のペニスを飲み込もうとするクメルの秘部の感触は、より鮮明に感じられる。火傷しそうなぐらい熱くて、ぐちゅぐちゅにとろけたクメルの膣が、僕の亀頭をぬちゅ、ぬちゅと少しずつ包んでいく。
女の子の中に包まれる、僕にとって初めての経験。
「――んっ、あぁっ! すっ、ごい、あつくて、おっきくてっ……っ♪」
ずっぽりとクメルの小さな膣の中でペニスを銜え込まれ、挿入した瞬間、蠢く肉壁にぐにぐにとペニスを刺激される。それだけでももう射精してしまいそうなのに、なぜか出せない。
快感だけがどんどん溜まっていくのに、それを放出することが出来ず、僕はうめき声を上げる。
「んぅ……じゃ、動いて、あげる、ねぇ……♪」
ゆっくりとクメルの腰が浮いて、僕のペニスをぬるりと扱く。そしてまた一番奥までしっかり飲み込まれて、じゅぽじゅぽとペニスを何度も扱きあげていく。クメルの膣はとても狭く、全部銜え込むのがやっとだけど、でもそれがすごく気持ちいい。
彼女が動くたび、腰が浮いてしまいそうな快感が走る――けど身体を動かせない僕は、身体をくねらせて刺激を逃がすこともできず、ひたすらに悶えながら受け止める事しかできない。
「んっ、あっ、い、イイよぉ、ッ……!」
そしてどれだけ快感が高まっても、射精してしまう事ができない。
ペニスに与えられる強烈な快感をただガマンする事しか出来ず、気が狂いそうなほど気持ちよくなってしまう。
クメルに最奥まで飲み込まれるたび、彼女も僕も快感の声を上げる。ぎゅっと締め付けて、でも僕のペニスを優しく掴んで離さない彼女の熱い膣が、たまらなく気持ちいい。
網膜に焼き付いてしまいそうなほど、姉妹たちの緑と赤の一つ目が、美しく、愛おしく感じる。
「あぁ、そのトロけたカオ、すっごくカワイイ♪
でも、もうちょっと、もうちょっとガマンだよ……?」
彼女が腰を上下させ貪欲に快感を貪ろうとすると、中にある無数のヒダが僕のペニスをくにゅくにゅと擦っていく。敏感な亀頭や裏筋をヒダで擦られるたび、ぞわっとした快感が昇っては頭の中でせき止められてしまう。もう僕の頭の中は、射精する事と、目の前にいる姉妹達の姿に夢中になる。
けれどまだ絶頂の快感が延々と続くだけで、しかもそれが治まらない。
「ほらっ、もーっと気持ちよくしたげるからね♪」
メアリの黒い手が僕の乳首をコリコリと引っ掻く。
同時に、メアリが自分の膝に乗せた僕の頭に顔を近づけて、くちゅくちゅと激しく舌を絡めつつキスをしてくる。
口も、乳首も、ペニスも、全部が敏感になって、どこを触られても気持ちいい。
それ全てがひたすらに射精に繋がる快感を増幅させ、何度も何度も絶頂しているかのような錯覚を起こす。止まらない射精のような快感に身を任せて溶けてしまう。通常ではあり得ないその強烈な快楽に、意識が飛んでしまいそうになる。
「ぁ、うぅっ、も、もぉ、あたしも、イっちゃい、そぉっ……!」
連続する絶頂の快感を味わうコトに塗りつぶされて、他の事が何にも分からなくなっていく。
早く、クメルの膣の中に、全て吐き出したい。小さなその膣中には入りきらずに零れてしまうくらい、一滴残らず、全部。
「そろそろクメルもアンタも限界、かな?
さ……もうイイよ、クメルの中に、ぜーんぶ出しちゃいな♪」
メアリがそう言った瞬間、堤防が決壊したみたいに僕は射精してしまう。
クメルの熱い、膣奥の中に。
「――んんぅ〜っ……♪ すっ、ごい、こんなに、いっぱい、セーエキ、がぁっ……♪」
何度何度も射精を焦らされて、数時間後に思いっきり責められたような快感。
僕の中に溜まった濃い精液がクメルの膣にびゅくん、びゅくん、と注がれて、中を僕の欲望で満たしていく。
それでもクメルの小さな膣は、もっと欲しいとねだるみたいに僕のペニスをまたぎゅっと締め付け、搾り取ろうとするように膣内をくねらせた。
強烈な射精の余韻の中なのに、その刺激のせいでもう僕は頭が真っ白になっていた。
「……ぁ……うぅ……」
絞り出した僕の声は、ほとんど聞こえず、言葉にならなかった。
「はぁぁっ……♪ キミのセイエキ、すごくおいしいよ……♪
……あぁ、もう、ダメぇ……」
僕の上に乗って腰を振っていたクメルが、ペニスをじゅぽっと音を立てて抜いた後、僕に向かって倒れ込んでくる。
柔らかい彼女の身体の感触が伝わって、ぼんやりしながら僕は彼女を抱きしめていた。
「あらら。一回でダウンなんて、クメルも根性ないねェ。
それとも……アンタとの相性が良すぎたのかな? なんてね♪」
すっ、とメアリの膝が頭から離れて、メアリはクメルを介抱し始める。メアリがクメルの体を持ち上げる頃には、クメルは安らかに寝息を立てていた。
「あたしも食べちゃいたいけど、アンタそろそろ意識トンじゃいそうだし、ちょっとやりすぎたかなァ。
ま、元々シルメのエモノだ、お姉さん達が取っちゃダメだよねェ。
ほらクメル、ちゃんと自分の部屋で寝なさいな」
メアリはそう言いながら、すでにぐっすりと眠っているらしいクメルを触手と両腕で持ち上げ、別の部屋にふわふわと浮いて行ってしまった。
それを横目にしながら僕も、段々と睡魔に襲われる。
まだ暗示が効いて動けない僕は、その眠気に誘われるまま、意識を失った。
「――ううん、」
ぼんやり、目が覚める。
見上げた天井はさっきと同じ、ゲイザー三姉妹の部屋のものだ。
僕はベッドから起き上がって周囲を確かめる。
僕の身体を動けないように縛っていた暗示はどうやら解けたらしく、身体を動かすことが出来た。
色々な液体で汚れていたはずの僕の身体は綺麗になっていて、シャツとトランクスも着せられている。僕の装備も部屋の隅に固めて置いてあった。
……まるで夢を見ていた心地だけど、疲労による身体の重さと意識の奥に刻み込まれた快感が、さっきのは夢じゃないと言っている。
ちゃんと体を動かせるかどうか、隅々まで試していると、一つしかないこの部屋の扉が開いた。
「……あ」
小さな声とともに、青い目のゲイザーが現れる。確か三女の、シルメとかいう子だ。
黒い触手を除けば背丈も見た目も幼い子供のようで、人間で言うなら十歳ぐらいにも見える。
黒髪がさらりと長く垂れていて、目の色以外は長女のメアリを幼くしたような外見だ。
「……」
彼女は何も言わず僕のそばに近寄ってきて、ベッドの上で女の子座りをする。
もしかして、また襲われるのだろうか――と思っていたけれど、そわそわしながら下を向いたまま、彼女は何も言わない。
変な沈黙が流れて、僕から声を掛けたほうがいいのかと迷っていると、密やかに彼女が言った。
「……ごめん、なさい……」
「えっ?」
やっぱり小さな声だったけど、謝罪の言葉なのは聞き取れた。
でもなぜ謝ったのか、僕にはよく分からない。
「わたしが……ウソついちゃった、から……」
「どういうこと?」
「お姉ちゃんたちに……あたしがいじめられたって言って……
あたしも、暗示、かけちゃって……
……お兄ちゃん、メイワク……だった、よね……」
たどたどしく、しんみりとした彼女の声。
そうか、この子が『あの人にいじめられた』って言ったから、あの姉達がやってきたんだった。
でもその前にこの子にも暗示を掛けられていたから、まんまと僕は捕まってしまったワケだ。
……この子のせいと言えばそうだけど、そんな面と向かって謝られてしまうと、僕も怒る気になれない。
うつむいたままだからよく見えないけど、この子――シルメも、きっと明るい表情はしていないだろう。
「そんな事は、……ない、けど」
はっきりとは言えず、変に僕は口ごもってしまう。
彼女達にされた事はともかく、僕がこのダンジョンでこなす予定だった依頼はもう間に合わないだろう。
決して有名でも凄腕でもない冒険者の僕にとって、依頼を失敗した事による信用の低下はそれなりに痛い。
シルメにもそれは分かったらしい、声のトーンも変えず彼女は続ける。
「……いいよ、ウソ、つかなくても。 ……わたし、いっつもこう。
お兄ちゃん、やさしいから……ぎゅーって、してほしかった、だけなのに……」
「優しいって、どういう……?」
「……お兄ちゃん、わたしがくっついても……イヤなカオ、しなかった……」
シルメの顔がほんの少し上を向いて、僕を上目遣いで見上げる。
「……あのね。
いつも、オトコのヒト……わたしのこと、……きもちわるいって、怖いって……言って、みんな、いそいでどこかに……行っちゃうの。
けど……お兄ちゃん、いっかいも、そんなコト……言わなかった。
だから……、すごく嬉しくて、でも……」
でも語尾が段々と小さくなって、またシルメが下を向く。
「……こっそり、お兄ちゃんにも、暗示……かけちゃって。
お姉ちゃんにも……告げ口、しちゃって……。
あたし……ずるいコトばっかりしてる……」
段々と小さくなる彼女の声とともに、その両肩が震える。
「ごめんね。僕も君みたいな子は初めてだったから、どうすればいいのか分からなくて。
でも君はまだ子供なんだから、知らない人には付いてきちゃダメだよ。
いくら見た目が優しそうな人でも、中身もそうとは限らないんだから」
「……ちがうよ」
シルメが顔を上げて、青く澄んだ一つ目で僕を見る。
瞬きを何度も繰り返すその瞳は潤んでいて、今にも泣き出してしまいそうに見えた。
「お兄ちゃんは……ほんとに、やさしいって、わかったから。
だから……もう、しらない人じゃ、ないもん……」
複雑な表情をする僕を見た後、シルメはまた下を向く。
すると、彼女の手が僕の方に伸びた。
「ねえ……お兄ちゃん。もう少しだけ……いっしょに、いて……」
ぎゅっと、シルメが僕のシャツの裾を掴む。
その仕草は人間の子供みたいにいじらしくて、健気だった。
僕は彼女を怖がらせないように、そっと彼女の両肩に手を添える。
「……あ……」
背中を丸めたシルメの身体を包むように、僕はゆっくりと彼女の頭を抱き寄せる。
彼女は体勢を変えて、僕にしなだれかかるように抱きついてくる。それからそっと僕の背中まで手を伸ばし、そわそわしながら僕の背中を撫でた。
黒い触手も少しの間震えていたけれど、彼女の長女が僕にそうしたように、僕の背中はシルメの触手に包まれる。僕達を包む触手の力は少しずつ強くなって、僕とシルメの身体はほどなく密着する。
これは、ゲイザーである彼女たちなりの抱擁のカタチなのだろうか。
「ん……お兄ちゃんの、匂いがする……」
すんすん、とシルメが僕の胸板で鼻を動かすと、僕も少しだけくすぐったい。
彼女の黒髪からは、ほんのりと石鹸のような匂いがした。
「……このまま……ねちゃって、いい?」
僕は少し微笑んで、シルメを抱いたままベッドにそっと倒れ込む。
何の邪気も持たずに僕に甘えてくれる彼女が、たまらなく愛おしくなる。
これも彼女達の暗示なのかな――まあ、どうでもいいか。
「いいよ。僕も、もう少し休みたいから」
もし離してって言っても、きっと離してくれそうにない――そう思った僕は、綿のように柔らかい彼女の身体を抱きしめながら、もう一眠りしようと決めた。
「ふぁ……おやすみ、なさい……おにい、ちゃん……」
起きたらまた、彼女たちに搾られてしまうだろうか。
それも悪くないかな――と思いながら、僕はシルメの黒髪をそっと撫でた。
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「……はあ、シルメはやっぱりまだ子供だねェ。
あんなイイ雰囲気なのに、もうぐっすりだよ。寝る子は育つって言うけどさァ」
「おねーちゃん、自分だけつまみ食いしよーとしといて、それはないでしょー?」
「えぇ? だって経験なくて一つ目が好きであんな若いコ、そうそういないよ。
先に一口ぐらい味見したいじゃん? ……っていうか、結局シたのはあんただけでしょうが」
「んー、でもあのコすっごく美味しかったなー。
まあいーじゃん、シルメもオクテさんだから、これから三人で仲良く食べちゃえば♪」
「それもそーだねえ。
ま、これでめでたくシルメの婿さんも決まったコトだし、そろそろ引っ越そうか」
「えぇー? も少し粘ってここにいようよー?
このダンジョンならそんなに強いコも来ないしさ、もう入れ食いの選びたい放題だよー?」
「……それも捨てがたいねェ。
あたしとしては、骨のあるヤツをじっくり屈服させてくってのも結構ソソるんだけど……。
じゃあ上のお偉いさんにはうまーいコト言って、もうちょっとだけこのダンジョンに居座っちゃおうか!」
「さんせーい!」
18/06/02 05:41更新 / しおやき