連載小説
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前篇なのニャ
「貴様ら・・・調子に・・・乗るなぁ!」
ふんぎゃ〜!
ドラゴンさんが怒ったニャ!
攻撃するか、笛を吹いて旦那様を援護するか・・・!?
もう一方のオトモのクリスタルは・・・?
「Zzz・・・」
ニャ!?
寝てるにゃ〜!?
「にゃ〜〜〜!?」
どうするにゃどうするにゃ!?
あ、ヤバい、パニクッたニャ!
状況を整理すると、ボクたちは旦那さんと一緒に緑ドラゴンの狩りに来ているニャ。
強力な装備をそろえるためにはどうしても緑ドラゴンさんの鱗とかが必要なのニャ。
でも、もうすでに2落ちしていたりしてピンチなのニャ!
「どけ、邪魔だ!」
「ふぎゃ・・・」
パニクっていたボクをドラゴンさんが蹴り飛ばすニャ・・・
けれどもお陰で目が覚めたニャ!
ドラゴンさんが口を大きく開けて火球を旦那様めがけて吐こうとしてる・・・そうはさせるかニャ!
ダッシュで旦那さんの前に飛び出すにゃ!
どごおおん!
「にゃ〜〜!!」
火球を直接身体で受け止めて、全身ボロボロだにゃ・・・でも、これで旦那さんは助かったニャ・・・
さぁ、旦那さん!
今のうちに逃げて体勢を整えるにゃ・・・
え、旦那さん何をしているニャ・・・?
生命の粉塵!?
ちょ、たしかにボクも旦那さんも今ぼろぼろだけど、それを今使わないほうがいいニャ!
一旦エリア移動して・・・
「とどめだ!」
ばきゃん!
宙返りを打ったドラゴンさんのとげが付いている尾が旦那さんの顎を撃ち抜いたニャ・・・
崩れ落ちる旦那さん・・・ああ、これで3落ちでクエスト失敗だニャ・・・



「あそこでクリスタルが回復笛を吹いていたら助かったかもしれないのにニャ・・・」
報酬もなく、契約金は持って行かれ、回復系アイテムも使いつくした状態であたしたちはトボトボと村に帰ったニャ。
でも落ち込む暇もなければ、帰ってから休む暇もないのニャ!
次のクエストでそう簡単に倒れないように、お腹が6つに割れるほど鍛えて、攻撃に耐えられるように頑張るのニャ!
ちょっとセクシーじゃなくなるのが残念にゃ・・・
「だってぇ、ご主人さま(笑)相手にそんなことするほどの仲でもないしにゃ〜。いや、雇ってもらっているけどにゃ〜」
ボクの隣で寝そべって休憩しているクリスタルがぼやいてるにゃ。
オトモワーキャットにあるまじき発言だニャ!
でもまぁ、まだ旦那さんに懐いていないから仕方ないのかニャ・・・
このクリスタルはオトモ受け渡しによって、キムという旦那さんの幼馴染の女ハンターの元からやってきたコにゃ。
ボクのほうが旦那さんのお供をしている時期が長かったから、あたしが先輩にあたるんだけど実力はクリスタルのほうが上だニャ。
でもサボってばかりだから役に立たないニャ!
そんなやりとりをしていたら・・・
「アシュリー、クエストに行くよ」
旦那さんがやってきて声をかけたニャ。
ん?
今、ボクだけを呼んだニャ?
「ああ、キムと狩りに行くからアシュリーだけだ。クリスタルはお留守番ね」
またキムさんか・・・この間もその前もキムさんと一緒に狩りをしたニャ。
「旦那さん、最近キムさんと、お出かけすることが多いみたいニャね」
「にゃにアシュリー、妬いているのかニャ?」
ボクがポツリと漏らした言葉にクリスタルが食いついて来たにゃ。
「いやー! 違うニャ違うニャ! ヤキモチとかそういう感じじゃないニャ! ただ、フーンって思っただけで、違うニャ違うニャ! そーゆーんじゃないニャ!」
あわてているボクを旦那さんはジッと見ていたけど、やがてふっと笑って、行くぞと言ったニャ。
ま、待ってニャ〜!




「キム! 待たせてごめん!」
「ああ、やっと来たか」
キムさんはのんびりと温泉につかっていて待っていたニャ。
「隣、良いか?」
「ああ、どうぞ」
旦那さんはキムさんの横に腰をおろしてお湯につかったニャ。
ボクは旦那さんの前でお湯につかったニャ。
・・・バスタオルとスパッツだけの格好の旦那さんとキムさんが並んで座っているのはニャんかよく分からニャいけど、嫌な気持ちになるニャ・・・
それに、キムさんの身体はきれいでちょっとうらやましいニャ。
ハンター生活をしているのに傷が少ない身体、今はバスタオルで隠れているけど平らなお腹、狩りをしているときには想像もつかない柔らかな笑顔・・・
む・・・胸は多分ボクのほうがあるニャ!
きっと・・・いや、どうだろうニャ・・・僅差かニャ?
でもきっとボクのほうがあるはずだニャ!
「ところで、お前にはいい女はいないのか?」
いきなりキムさんがおしゃべりを始めたニャ。
「ちょ、いきなり何てことを訊くんだ!?」
「何を言う、女がする話題と言ったら恋バナと芸能人とファッションと決まっている」
そ、そうなのかニャ?
ボクもそんな話題ができるように勉強するべきなのかニャ?
「で、ほれほれ、どうなんだ?」
「え、いや、その・・・別に・・・」
にゃ?
旦那さんの態度が煮え切らないニャ。
それは誰か気になる人がいるってことかニャ?
誰なのニャ?
・・・なんか胸がチリチリするのニャ。
「ところで今日は何を狩るんだ?」
「緑のドラゴンだ」
「造作もないな。15分以内に屈服させよう。さて、先に行って準備しているぞ」
お湯から立ち上がったキムさんはさっきまで恋バナをしようとしていた女の人じゃニャく、もうハンターになっていたニャ。




こうしてさっそく狩りが始まったニャ!
「はあああっ!」
鋭い気合を発してキムさんが双剣で切り込むニャ。
ドラゴンさんが回し蹴りと尻尾攻撃で反撃しようとしたけれど、キムさんは地を滑るように動いてそれを回避したニャ・・・すごいニャ!
キムさんの狩りは、悔しいけどやっぱりうまいニャ。
「おのれ・・・!」
ドラゴンさんが飛んで間合いを取ろうとしたニャ。
「くっ・・・!」
風圧で身動きがとれなくなるキムさん・・・でもキムさんはあわてなかったニャ。
「・・・頼む!」
「おう!」
キムさんのその言葉だけで少し離れたところで待機していた旦那さんが動いたにゃ。
腰のポーチに手をやって何かをポイ・・・とたんに軽い炸裂音とともに視界が真っ白になったニャ!
閃光玉だニャ。
「きゃあああ!?」
視力を一時的に失って、空中でバランスを保てなくなったドラゴンさんが墜落したニャ。
「サンキュー! チャンスだ!」
風圧で身動きが取れなかったキムさんが立ち直り、双剣を踊るように振り回しながら連続攻撃を叩きこむにゃ。
・・・むぅ、いつの間に旦那さんはこんな風に連携が取れるようになったんだニャ?
嬉しいけど、その連携をとっている相手がキムさんと言うのがなんか複雑ニャ・・・
「くっ・・・だが見切ったぞ・・・まずは」
視力が回復したドラゴンさんが立ち上がり、また飛び上がったニャ。
そして急降下して旦那さんを押し倒したニャ!
「お前を先に葬り去れば、連携はとれまい・・・!」
「な、なに!?」
いきなりターゲットを変えられてキムさんもこれには焦ったニャ。
キムさんがドラゴンさんに向かって突進するけど、もうドラゴンは鋭い爪を持った腕を振り上げているニャ・・・間に合わないニャ!
「させるかニャ!」
腰のポーチから『あるモノ』をとりだしてドラゴンさんの顔面に投げつけてやるニャ!
「ぶっ!? うわっ!? な、なんだこれは!?」
ドラゴンさんは思わず攻撃の手を止め、顔についたそれを拭おうとしているニャ。
ボクが投げつけたものは・・・
「どうだニャ!? それはモンスターのフンをこねた肥やし玉だニャ!」
「くそっ・・・臭い! 尋常じゃないくらい臭くて汚い! なんだってこんなものを!」
ドラゴンさんが肥やし玉を拭おうとしている間に旦那さんはドラゴンさんの拘束から抜け出したニャ。
「大丈夫か!?」
「ああ、なんとかな。アシュリー、ありがとう」
旦那さんがボクににっこりと笑ってお礼を言ってくれたニャ。
「旦那さんのことを思えばなんのそのニャ!」
キムさんだけじゃない・・・ボクだって頑張って旦那さんを助けるのニャ!

こうしてボクたちの狩りは続いたのニャ・・・!
11/05/21 01:44更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
「いやー! 違うニャ違うニャ! ヤキモチとかそういう感じじゃないニャ! ただ、フーンって思っただけで、違うニャ違うニャ! そーゆーんじゃないニャ!」
モ●ハ●P3を電車内でやっているときに、このセリフを見たときには萌え死ぬかと思いましたww
今回のア●ルーまじ可愛いww
萌え殺しにかかってますよ♪

さてさて、こんな状況の訳ですが、どう進展するのか?
さぁ、次の章へどうぞ。

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