主従逆転!-下着泥棒なんてした坊ちゃまは私の奴隷です♡-
「陽太坊ちゃま、これは一体どういうことですか?」
静かでありながら冷たく鋭い声が部屋に響く。声の主は漆黒のワンピースを着ており、そのワンピースの前面にはフリルがあしらわれたエプロンがかけられている。つまるところ、メイド服。
状況としてはこれだけでだいたい推測できるだろう。メイドが、主または主の嫡男を叱責しているという状況だ。
しかし彼女は普通のメイドとは異なる。たわわな胸の下で腕が組まれているが、その手首のあたりからはふさふさとした、 羽箒のような羽毛が生えている。腕だけではない。腰からも同じような羽毛に包まれた尾が伸びている。メイド服のスカートから覗く足は鳥のようだ。
キキーモラ……人間の男性に仕え、褒美として精を貰って生きる、魔物娘の一種である。特に働き者の男性の家に現れてその男性を助けるとされる。このキキーモラも、今伏している少年に仕えており、何度も身体を重ねている関係だ。
基本的には真面目で献身的で穏やかな種族であるキキーモラだが、そんな彼女らがこのように叱責するのは珍しい。
怒っているキキーモラの前には少年が許しを請うように跪きうなだれている。彼の前には女性の下着がいくつか並べられている。シンプルなクリーム色のショーツ、似たようなデザインで色がピンク色のショーツ、妖しげな黒と金糸でデザインされたショーツ。
「まったく、呆れました。坊ちゃまも年頃だから女性に興味があるのは分かっているつもりです」
しかしである。下着を盗み、あまつさえその下着を使って自分の欲望のはけ口にした……これはいただけない。腕を組んだまま、キキーモラは嘆息する。
「リーナ、ごめんなさい……」
陽太と呼ばれた少年は小さな声で謝る。声は震えており、顔を伏せている彼が泣いていることを物語っていた。
ちくりと胸が痛むキキーモラのリーナ。すでに身体を重ねているのだがら、別に言ってくれれば下着などいくらでも貸した。それ以上のことをすでにしているのだから。そんな関係の、大事な主が涙を流していて心が傷まぬ従者などいない。
だが、だからこそ、黙って下着を盗まれたことは許しがたかった。
「泣いたって許しませんよ、坊ちゃま。これはおしおきの必要がありますね」
「おしおき!?」
少年の口から驚いた声が上がる。それはそうだろう。本来であればリーナは彼の従者である。自分を罰するのであれば、自分より目上の人間であり、被害者たるリーナが罰するということは普通はない。
しかし、リーナは至って真剣だ。その様子に気圧されて逃げようとする陽太を、リーナはネコでも抱えあげるかのように捕まえた。さすがに少年の身体では、成人女性、ましてや魔物娘に抵抗するのは厳しいものがある。
リーナは少年を抱えたままベッドに移動した。そのまま陽太をベッドに転がす。そして彼が起き上がって逃げ出そうとするより先に自分もベッドに飛び込み、陽太に覆いかぶさった。両腕が陽太の動くスペースを潰している。陽太は身をすくめるが……緊張すべきこのような状況でキキーモラの美しい顔と、メイド服に包まれた胸に目が行ってしまうのは男の性なのかもしれない。
そんな陽太を見下ろしながらリーナは低い声で、はっきりという。
「今から坊ちゃまには私の奴隷になってもらいます。私の命令には絶対服従です」
「どれい!?」
自分のメイドがあまりのことを言い出し、思わず大声を上げてしまう陽太。しかしリーナは、淡々と続ける。
「ええ。下着泥棒なんてした坊ちゃまに権利などありません。そして坊ちゃまが二度とこのようなことをしないように、そして魔物娘を怒らせたらどうなるのか、徹底的に教育して差し上げます」
そう宣言してリーナは慣れた手つきで陽太の服を脱がせ始めた。あっという間に少年は生まれたままの姿に剥かれてしまう。現れた主の裸体を、何度も重ねた身体を見て、しかしリーナは呆れたように嘆息する。
「坊ちゃま。私はおしおきといったはずです。なのに、なんなんですか、これは」
きゅっとリーナが握ったモノ。それは陽太の性器であった。それは固く張り詰めており、リーナが強めに握ってもしっかりとした力をもって押し返してくる。リーナに押し倒され、胸が迫ったその時から陽太は反応してしまっていたのだ。
「これは追加でおしおきが必要ですね……」
ペニスを握った手をリズミカルに上下させるリーナ。そのもう一方の手は自分の胸元を這い回り、エプロンの肩紐を外し、さらにメイド服のボタンを外し始めていた。
そうしながらリーナは陽太に問いかける。
「正直に答えてくださいね、坊ちゃま。私の下着なんか盗んで、何をしていたんですか?」
「う……その……」
答えられるはずがない。まさか、リーナの下着でオナニーしていましたなんて言えるわけがない。というより、そもそもリーナだってそんなことくらい分かっているはずだ。それなのに訊ねてくるのは、ただの"意地悪"である。
焦れたリーナが勝手に代弁する。
「私の下着を嗅ぎながらオナニーしたり、あるいは私の下着でおちんちんを包んでそのままオナニーをして射精したのですね?」
「ううう……」
実際に自分がしたことを言われるのは恥ずかしい。少年の顔がりんごのように赤く染まる。しかし、可憐なメイドのリーナが「オナニー」とか「おちんちん」とか「射精」とか言うのは、得も言われぬ興奮がぞくぞくと胸のうちに起こる。
リーナは、まったくしょうがない坊ちゃまですね、と追い討ちをかけるようにつぶやく。
「それに坊ちゃま。あの下着の中には洗濯後の物もありましたわよね? そんなもので良かったのですか?」
そう言うとリーナは陽太のモノから手を離した。リーナの言葉と行動と、ふいに止んだ快感に、陽太は不思議そうな声を上げる。その陽太の前でリーナはメイド服を脱いでいた。ボタンが完全に外れたメイド服は力なくリーナの肌に乗っているだけであり、リーナが少し身じろぎするとあっさりとその玉のような肌を滑り落ち、ベッドの上に黒と白の大輪を咲かせた。
下着姿に、メイドキャップのみの姿になるリーナ。その下着は、今はゴージャスなものであった。黒をベースに、蒼のレースと刺繍でデザインがされている。それだけでない。彼女のへそのちょっと下のところでも、同じように黒と蒼の布地が包んでいた。そのランジェリーは脚への細い紐が伸びていて、彼女の黒いストッキングを吊っている。ガータベルトだ。
「坊ちゃまが盗まれた下着といっしょに買ったものですが……あれもこれも高かったんですよ?」
値段の問題ではないのだが、そんな高い下着をなくしたと思ったときはちょっとショックだった。まあ、持ち去った人間が自分の主で良かった。
一方の陽太は、リーナの下着姿を食い入るように見ている。リーナの下着にも確かに興奮したのだが、実際に身に着けている姿を見るのとは次元が違う。
自分が主の視線と気持ちを釘付けにしていることに心の中で満足するリーナだが、まだまだ物足りない。
ベッドに腰を下ろしたリーナは親指をショーツのサイドにかける。だが、そこで彼女は動きを止めた。誘うような目つきでリーナは陽太を見つめる。
「坊ちゃま、どうせなら私の脱ぎたての下着のほうが良くないですか?」
可憐なメイドの小悪魔めいた問いかけに、ごくり、と思わず陽太の喉が鳴った。だがメイドは笑う。
「何を期待しているんですか? 今は坊ちゃまは私の奴隷なんですよ? 欲しいなら……分かりますね?」
脚を大きく広げ、さらにクロッチをぐっとずらすリーナ。現れた秘密の花園は、まだ主から何も愛撫を受けていないのに、蜜をたらし甘い芳香を漂わせていた。
メイドの意図を主は察した。普段、自分が受けているように、口で奉仕せよと言っているのだ。
少年はメイドの脚の間に身体を割り入れ、股間に、犬のように顔を寄せた。そして下を伸ばした。
「んっ……」
思わず声を上げてしまうリーナ。自分の性器が熱く柔らかいものに撫でられる感覚に背筋を快楽が走った。そのたびに秘花の奥からどぷりと蜜があふれる。
「ああ……坊ちゃま、いいこです……もっとなめてください……」
今は自分の奴隷と言えど、そしておしおきと言えど、鞭ばかりではいけない。ダークエルフも頷くことだろう。陽太の奉仕をリーナは褒め、おだてる。
頭を撫でられながら大好きなメイドにそんなことを言われたらたまらない。少年のクンニリングスに熱が入る。舌を攣らせそうにしながらも、できるだけ奥に差し入れたり、クリトリスをなで上げたりと、懸命に愛撫する。
このまま主の口唇愛撫を受けて達しても良かったのだが、本来の目的はおしおきだ。リーナは陽太に離れるように言う。
「では約束どおり、私の脱ぎたてのショーツを差し上げます」
一度クロッチを戻して、ショーツの上から指でリーナは自分の秘裂をなぞり、愛液をなじませる。そうしてから見せつけるようにショーツを脱いだ。
だが、リーナは"差し上げる"と言いながら、脱いだショーツを陽太に渡さなかった。そのショーツを陽太の、おあずけにされていたペニスにかぶせたのだ。もちろん、クロッチの部分が亀頭に当たるようにしながら。ぬるりとした感触と、さきほどまでリーナが身につけていたがゆえの温かさに、陽太は声を上げる。
「ふふふ、こんなことされたかったのでしょう? さっきまで私のおまんこがくっついていたショーツに思いっきり射精したかったのでしょう?」
そう言いながらリーナはショーツごと陽太のペニスを握り込み、手を上下に動かし始めた。その動きは最初から速く、そしてやや暴力的であった。これはおしおきなのだから。
荒々しい手での愛撫だが、それでもツボは抑えている。それがゆえに、陽太は着実に追い込まれていく。にんまりとメイドは笑う。そしてはっきりと命じた。
「ほらっ! 出しなさい! このメイドのショーツに!!」
陽太がその言葉を理解するより先に、身体が従命した。びくん、と陽太の腰が跳ね、ショーツにくるまれた亀頭の先から白濁液が噴き上がる。吐き出されたそれは、クロッチにねっとりとついていた愛液と絡まりあった。射精の勢いはショーツのクロッチでは吸収が追いつかず、隙間からにゅるにゅるとこぼれ落ち、メイドの手を汚した。
「ふふふ、いっぱい出しましたね。そんなにショーツでしごかれるのが良かったですか?」
射精してぐったりベッドに身を投げ出している陽太にメイドは笑って見せる。その声の裏に不満のようなものが滲んでいるのを、陽太は敏感に感じ取った。少し考えて、そして思い至る。
このメイドは自分の身体に射精されたのではなく、下着に射精されたのに不満を覚えているのだ。いや、それだけではない。そもそも下着を盗んだ時点で、自分の身体ではなく下着に興味を惹かれたことに不満があるのだ。もちろん下着を盗まれた事自体にも怒りはあるのだが。
ようやく分かったようですね、とメイドは口角をつりあげる。だが目は笑っていない。そして、答え合わせとばかりにリーナは彼の体を跨いだ。ショーツと同じデザインのブラを外して放り捨てる。ぷるんと形よくハリもある彼女の胸があらわになった。いつもはこの胸を揉ませたり、乳での奉仕をするのだが、今日はおしおきだからしない。
メイドキャップとガーターストッキングのみの姿になった彼女は、ゆっくりと腰を下ろそうとする。
「ま、待ってリーナ! 今だしたばっかりだから……!」
「何を言っているのですか、坊ちゃま。坊ちゃまは今、私の奴隷です。そしてこれはおしおきです。口ごたえの権利はありません。坊ちゃまが泣こうが喚こうが嫌がろうがおちんちんを勃たせ、射精させます」
きっぱりと言い切るメイド。そして、腰を落とした。ぬぷりと濡れた膣に、少年の陰茎が飲み込まれた。
「あ、あ、あああ……」
いつもの甘々とした交わりではなく、暴力的なセックス。それでも彼女の中は極上であった。温かく、濡れていて、柔肉が絡みつき、締め付けてくる。
「あ、坊ちゃまのおちんちんが私の中に……♡ ああ、気持ちいいです……♡」
一方、リーナにとっても少年の挿入は心地よかった。うっとりととろけている様はまるで温泉に入っているかのようだ。だが、ひとしきり味わったあと陽太を見下ろすその目は、普段の優しく献身的な彼女ではなく、獲物を食らう獣であった。
「それでは……動きますね、坊ちゃま♡」
一方的に宣言してキキーモラは身体を弾ませ始めた。はじめはゆっくりと、しかし徐々に速くしていく。彼女の動きにつられて胸がぷるぷると弾む。そんな胸を触ろうと陽太は腕を伸ばすが、リーナはそれを制した。少年の手を手首のあたりで交差させて少年の頭の上に、ベッドに抑え込む。腰だけを器用に動かしながらリーナは言う。
「坊ちゃま、これはおしおきです。坊ちゃまに私の身体を楽しむ権利はありません」
「う、ううう……」
「ご不満ですか? ならばちゃんと"反省"しなければなりません」
「はんせいしているよぉ……」
「口ではなんとでも言えます。とりあえず、何度か射精させて頭が回らないようにして差し上げますね♡」
腕を押さえつけたまま、キキーモラは器用に腰だけを動かし、少年の肉棒を膣肉でしごきぬく。もちろん、自分でも気持ちいいところに当たるように調節しながら。
先に我慢できなくなってきたのは陽太の方であった。射精が近い宣言をリーナにし、リーナもそれを性器で感じ取った。
そして腰の動きを緩めた。
「な、どうして……?」
「何度も言いますがこれはおしおきです。ただ気持ちよく射精するだけでは、おしおきになりませんからね」
「そんなぁ……」
陽太は自分で気持ちよくなろうと身体を揺するが、上に乗っているリーナがその動きを受け流すように動かし、じれったさが募るだけだ。
「ふふ、そうやって情けのないお顔をしてる坊ちゃま、可愛いですね」
そう言ってリーナは陽太に身体を預けた。胸の柔らかさが彼に伝わる。少年の鼓動とキキーモラの鼓動が伝わり合う。そんな距離でリーナはさやきかけた。
「本当に反省しています?」
「はんせいしているよぉ……下着をかってにとったのはわるかったよぅ」
「本当ですかぁ? じゃあ……私が言う通りにできますね? まずは下着を盗んだことを告白して、それでどんなことをしたか自分の口で説明してください」
さっきも、リーナが確認したことだが、改めて本人にすべて語らせる。リーナに促されて陽太はぽつりぽつりと告白し始めた。
「ぼ、ぼくはリーナの下着をぬすんだうえに……その……それを嗅ぎながらオナニーしました……」
「そう、それから?」
「それから、下着でおちんちんをくるんで、せいえきでよごしました」
「そう、特にどこを?」
「お、おしりのところと……お、おまんこがあたるところです」
陽太はかあっと顔が赤くしている。今まで何度も肌を重ねてきたが、こんなことをさせられるのは初めてだ。その羞恥がどこか心地よいのはなぜだろうか。
「じゃあ最後に。何が悪かったんですか?」
「リーナの下着を盗んだことと、それをよごしたことと……リーナにじゃなくて下着にせいえきを出したこと」
「大変よくできました」
2つも言えれば十分かと思っていたが、3つ目まで言えたことにリーナは満足そうに笑った。腰の律動を再開させる。
「ちゃんと何が悪かったか反省しているようですから、イカせてあげますね、坊ちゃま。ほら、ほら、ほぉら!」
「あ、あ、あ、リーナぁあ!」
ぎりぎりのところでおあずけを食らっていたところの刺激は強烈であった。すぐに陽太は射精した。どくどくと、メイドの膣内に主の精液が重力に逆らって注がれていく。従者はそれをうっとりと気持ちよさそうに目を閉じて受け入れた。
「んん……いっぱい出ましたね♡ 気持ちよかったですか?」
「う、うん……」
「それは良かったですね。でも私はまだ満足していないですよ♡」
これはおしおきですし、今は坊ちゃまは私の奴隷なんですからね? と念を押すようにリーナは言う。
今夜はひたすら自分が楽しみ、主にその権利はないとばかりに、相手に気遣うことなくキキーモラは腰を再び弾ませ始めた。さきほど陽太が触ろうとした胸も、自分で揉みしだく。
「んっ♡ あんっ♡ あっ、あはぁあ♡」
従者のみだらな姿に、そしてもたらされる刺激に、射精して一休みしようとしていた主の分身が再び力を取り戻した。
「あっ、あんっ! ぼ、坊ちゃまぁ……また元気になりましたね?」
嬉しそうにリーナは微笑んだ。そして自分の腰の動きをさらに激しくする。陽太が出した精液が潤滑油となり、キキーモラの性器にさらなる快楽をもたらしていた。
「うぁっ!? あ、ああぁ……」
その刺激に思わず陽太は声を上げた。だがそれは苦痛からではないことを、リーナは知っている。だから彼女は腰の動きを止めない。それどころかより強く腰を打ち付ける。その激しさを物語るかのように部屋には二人の肉がぶつかり合う音とベッドが軋む音、そして二人の嬌声が絡まり合って響いた。埋もれるようにして二人の結合部はぐちゅぐちゅと、陽太の精液とリーナのみだらな体液が卑猥な音を立てている。
「ああっ♡ 坊ちゃまのが奥に届いて赤ちゃんの部屋をぐにぐにってぇえ♡」
普段は奉仕をするメイドが、自分の快楽だけに酔って乱れている。それでも、魔物娘だ。自分本位な動きでも、いや、暴力的で容赦がないからこそ、着実に相手の男を追い詰めていった。少し前に射精したばかりだと言うのに、再び腰の疼きが、陽太には沸き起こっていた。
「うあああ、リーナぁあ、また出ちゃうよぉお……」
「はうっ♡ また、ですか? んんんっ♡ もう少しで……あんっ♡ イケそうなので我慢、してもらえ……んんっ♡ ませんか?」
少し腰の動きを緩めながらリーナは主に要求する。自分の快感が冷めないように、片手で自分の胸を揉み、もう一方でクリトリスをいじりながら。
しかし、陽太の方はとても我慢できそうにない。やはり自分の快感と相手の射精とおしおきという状況の調和を取るのは難しい。難しいが……"やはり"の言葉の通り、このあたりは折込済でもある。こんな状況になったときにどう言おうか、リーナはすでにシミュレートしていた。
メイドは主に要求をする。
「……では坊ちゃま。私にお願いしてください♡『射精させてください、リーナ様』って」
「えっ!?」
陽太の目が泳ぐ。自分に様をつけて呼ばせる……メイドが主に向かってそんな要求をしたのだ。完全なる主従逆転。リーナの要求は二人の関係を根底から覆すほどの大きな物であった。
きっぱりとはねのけて主としての威厳を保つのか、それとも快感に屈してメイドの下にくだるのか。陽太の胸のうちに大きなモヤが立ち込め、ぐらぐらと頭が揺れる。
やがて少年はつぶやいた。
「……ください」
「んー? 聞こえませんでしたよ? なんですかぁ?」
「イカせてください、リーナさまぁあ!」
ヤケになったかのように陽太は叫んだ。ついに彼は自分の従者に屈した。しかし本心はそれを悦んでいるのか、彼女の膣内で分身がぐぐっとさらに怒張した。
「大変よくできました♡ それじゃあ、イカせてあげますね♡」
再びメイドの腰が動き始めた。主だった少年を射精させるために、そして自分を絶頂に導くために。
「ああ、リーナ、リーナぁああ!」
「あっ、あんっ! こらっ! 様をつけなさい!」
「リーナ、リーナさまぁあ!」
叫びながら少年は射精した。屈服の証がどくどくと、メイドの膣内に捧げられる。下腹部に広がる生暖かい感覚と、ついに堕ちた主を見てにんまりと笑う。
しかし、自分のオーガズムはまだだ。ゆえに、リーナの腰は止まらない。
「り、リーナさまぁ! だめっ! いまイッたからぁあ!」
再び強制的にもたらされた快感に乱れながらも命令に従う陽太を見てリーナは満足げに微笑む。
「ふふっ♡ 坊ちゃまのお願いの『イカせてほしい』は叶えてあげましたけど、坊ちゃまは私の奴隷です♡ 拒否権はありません♡ 今度はちゃんと私をイカせてくださいね?」
三回の射精程度では萎えないことはこれまでの経験から分かっている。リーナの腰使いに遠慮はなかった。
「あっ! リーナさまぁ、それだめぇえ、やめてぇええ!」
「あはっ♡ やめて? 坊ちゃまにそんなこと言う権利ないですし、それにそんな気持ちよさそうな声で言っても説得力ないですよ?」
つまりはもっと、ということですね? とばかりに恍惚とした表情を浮かべながらリーナは腰を振り続けた。
「ほらほら♡ もうちょっとで私もイケそうですから頑張ってください♡」
実際、さっきはもう少しというところで一度腰を止めていたということもあり、リーナはぎりぎりだった。そんなおあずけという溜め込みがあることに加えて……なんとか自分をイカせようとしながらも快感にとろけてよだれを垂らしている、自分が屈服させた主を見て、リーナは興奮でどうにかなってしまいそうだった。
その状況でふとリーナは新たなことを思いついた。思いついた次の瞬間、反射的に実行していた。
快感に目から火花が散っているように感じながら、メイドは主に命令する。
「坊ちゃま♡ ああっ♡ めいれ、いです♡ 『リーナ様大好き』って、言いな、がら……射精しなさい!」
「はあっ、はああっ! リーナさまぁあ……!」
快感に歯を食いしばり頭を左右に振りながら叫ぶ陽太。ほぼ限界だがこらえにこらえ、主の命令を果たそうとする。
「リーナさま! 大好き! 大好きです!」
言葉とともに少年は射精した。四度目とは思えない量の精液が、メイドの子宮口を叩いた。
「………ッ!」
リーナは陽太の上で、雷に打たれたかのように身体を一度びくんと震わせて固まる。自分が望んだ言葉を聞きながら、そして胎内に散る愚かなことをしたが愛おしい男の精液の感覚で、キキーモラは達したのであった。
返事をしたかったのだが、自分への好意の言葉を聞きながらの膣内射精はあまりにも快感が強すぎた。固まっていた身体から力が抜けたときには、もう腰がぬけていた。リーナは陽太に倒れ込みながら、このあとのことを考えまいとしながら、今は絶頂の余韻を味わうのであった……
「ううううう……!」
「り、リーナ……泣かないでよ……」
「だって、だって……!」
数分後。普段であれば結合を解いて甘いピロートークという状況で、部屋には女がすすり泣く声が響いていた。
泣いているのは少し前まで嬉々として主を攻め立てていたリーナだ。そのリーナを、慰めるように陽太が頭を撫でている。その陽太の姿は少年ではなく、引き締まった身体をもった青年の姿になっている。ベッドの横には、ファスネット・サバト製の幼体化する薬の小瓶が転がっていた。
リーナが泣いている理由。それは……
「私、陽太様にあんなひどいことを……奴隷だとか権利がないとか……ううう……」
「だーいじょうぶだって! そういう設定だったんだし」
つまりは、先程までの主従逆転劇は茶番である。主の暇慰みのために何か変わったことをしますか、と提案したリーナに陽太がリクエストしたのが、先程の主従逆転プレイだったのだ。傅くのが基本のキキーモラであるリーナは気乗りしなかったのだが、主のリクエストを断るわけにもいかない。リーナは応じたのだが……
生真面目なキキーモラである。彼女はダークエルフが書いた調教プレイの本や他調教系の官能小説を短時間ではあるが読み込み、さらに調教系のアダルトゲームも一通り嗜み、『メイドの下着を盗んだ主におしおきする』という寸劇のあらすじまで書き上げてしまったのである。「女性の身体に興味が出始めた年頃」という設定も活かしたかったので、幼体化する薬も買った。
あまりにデキすぎたメイドの仕事に驚いた陽太であったが、悪い気はしない。そして二人はプレイに及んだ。陽太としては満足だった。
しかし、リーナとしてはどうしても自分が許せないところがあった。それは……
「私、あの状況を楽しんでしまって……ううう……こんなの、キキーモラ失格です!」
「だーいじょうぶだってばリーナ! だってさ……」
リーナの顔をまっすぐに覗き込む陽太。その目を赤く泣き腫らした目でキキーモラは見返す。陽太は言った。
「だって最後の『「リーナ様大好き」って言えって、僕のことを想っているから出てきた言葉でしょ?』
陽太の言葉にリーナはハッとする。そうだ。ダークエルフの本はともかく、アダルトゲームでは、奴隷に忠誠を誓わせたりするシーンこそあれど、自分のことを好きと言え、なんて命令するゲームは、少なくともリーナがプレイした中ではなかった。
「当たり前だけど、あの言葉は命令されたから言ったわけじゃないからね?」
先回りするかのように、陽太は付け加えた。リーナはうなずきながら思い返す。そうだ。そう言えばダークエルフが書いた本にはこう書いてあったではないか。
--どの調教のスペシャリストのダークエルフでも大事にしていること、それは「相手を愛すること」
自分は主従逆転プレイ中に相手のことを軽んじたり、愛するのをやめていたか? 否。それは自信を持って言える。
『だって……「大好き」って言われながら射精されたの、とっても幸せだったから……』
ようやくキキーモラの顔に笑顔が戻った。よし、と陽太は笑う。
「で、でもあんなに嬉々として陽太様を逆レイプしたのは恥ずかしすぎます〜!」
「おいおい……」
せっかく立ち直ったと思ったのに今度は羞恥で再び顔を覆ってしまったリーナに、陽太は苦笑いするのであった。
こうしたプレイも経て愛を確かめあったリーナと陽太。その二人の時間に、ときどき主従逆転茶番劇が混ざるようになったのは、それからであった……
静かでありながら冷たく鋭い声が部屋に響く。声の主は漆黒のワンピースを着ており、そのワンピースの前面にはフリルがあしらわれたエプロンがかけられている。つまるところ、メイド服。
状況としてはこれだけでだいたい推測できるだろう。メイドが、主または主の嫡男を叱責しているという状況だ。
しかし彼女は普通のメイドとは異なる。たわわな胸の下で腕が組まれているが、その手首のあたりからはふさふさとした、 羽箒のような羽毛が生えている。腕だけではない。腰からも同じような羽毛に包まれた尾が伸びている。メイド服のスカートから覗く足は鳥のようだ。
キキーモラ……人間の男性に仕え、褒美として精を貰って生きる、魔物娘の一種である。特に働き者の男性の家に現れてその男性を助けるとされる。このキキーモラも、今伏している少年に仕えており、何度も身体を重ねている関係だ。
基本的には真面目で献身的で穏やかな種族であるキキーモラだが、そんな彼女らがこのように叱責するのは珍しい。
怒っているキキーモラの前には少年が許しを請うように跪きうなだれている。彼の前には女性の下着がいくつか並べられている。シンプルなクリーム色のショーツ、似たようなデザインで色がピンク色のショーツ、妖しげな黒と金糸でデザインされたショーツ。
「まったく、呆れました。坊ちゃまも年頃だから女性に興味があるのは分かっているつもりです」
しかしである。下着を盗み、あまつさえその下着を使って自分の欲望のはけ口にした……これはいただけない。腕を組んだまま、キキーモラは嘆息する。
「リーナ、ごめんなさい……」
陽太と呼ばれた少年は小さな声で謝る。声は震えており、顔を伏せている彼が泣いていることを物語っていた。
ちくりと胸が痛むキキーモラのリーナ。すでに身体を重ねているのだがら、別に言ってくれれば下着などいくらでも貸した。それ以上のことをすでにしているのだから。そんな関係の、大事な主が涙を流していて心が傷まぬ従者などいない。
だが、だからこそ、黙って下着を盗まれたことは許しがたかった。
「泣いたって許しませんよ、坊ちゃま。これはおしおきの必要がありますね」
「おしおき!?」
少年の口から驚いた声が上がる。それはそうだろう。本来であればリーナは彼の従者である。自分を罰するのであれば、自分より目上の人間であり、被害者たるリーナが罰するということは普通はない。
しかし、リーナは至って真剣だ。その様子に気圧されて逃げようとする陽太を、リーナはネコでも抱えあげるかのように捕まえた。さすがに少年の身体では、成人女性、ましてや魔物娘に抵抗するのは厳しいものがある。
リーナは少年を抱えたままベッドに移動した。そのまま陽太をベッドに転がす。そして彼が起き上がって逃げ出そうとするより先に自分もベッドに飛び込み、陽太に覆いかぶさった。両腕が陽太の動くスペースを潰している。陽太は身をすくめるが……緊張すべきこのような状況でキキーモラの美しい顔と、メイド服に包まれた胸に目が行ってしまうのは男の性なのかもしれない。
そんな陽太を見下ろしながらリーナは低い声で、はっきりという。
「今から坊ちゃまには私の奴隷になってもらいます。私の命令には絶対服従です」
「どれい!?」
自分のメイドがあまりのことを言い出し、思わず大声を上げてしまう陽太。しかしリーナは、淡々と続ける。
「ええ。下着泥棒なんてした坊ちゃまに権利などありません。そして坊ちゃまが二度とこのようなことをしないように、そして魔物娘を怒らせたらどうなるのか、徹底的に教育して差し上げます」
そう宣言してリーナは慣れた手つきで陽太の服を脱がせ始めた。あっという間に少年は生まれたままの姿に剥かれてしまう。現れた主の裸体を、何度も重ねた身体を見て、しかしリーナは呆れたように嘆息する。
「坊ちゃま。私はおしおきといったはずです。なのに、なんなんですか、これは」
きゅっとリーナが握ったモノ。それは陽太の性器であった。それは固く張り詰めており、リーナが強めに握ってもしっかりとした力をもって押し返してくる。リーナに押し倒され、胸が迫ったその時から陽太は反応してしまっていたのだ。
「これは追加でおしおきが必要ですね……」
ペニスを握った手をリズミカルに上下させるリーナ。そのもう一方の手は自分の胸元を這い回り、エプロンの肩紐を外し、さらにメイド服のボタンを外し始めていた。
そうしながらリーナは陽太に問いかける。
「正直に答えてくださいね、坊ちゃま。私の下着なんか盗んで、何をしていたんですか?」
「う……その……」
答えられるはずがない。まさか、リーナの下着でオナニーしていましたなんて言えるわけがない。というより、そもそもリーナだってそんなことくらい分かっているはずだ。それなのに訊ねてくるのは、ただの"意地悪"である。
焦れたリーナが勝手に代弁する。
「私の下着を嗅ぎながらオナニーしたり、あるいは私の下着でおちんちんを包んでそのままオナニーをして射精したのですね?」
「ううう……」
実際に自分がしたことを言われるのは恥ずかしい。少年の顔がりんごのように赤く染まる。しかし、可憐なメイドのリーナが「オナニー」とか「おちんちん」とか「射精」とか言うのは、得も言われぬ興奮がぞくぞくと胸のうちに起こる。
リーナは、まったくしょうがない坊ちゃまですね、と追い討ちをかけるようにつぶやく。
「それに坊ちゃま。あの下着の中には洗濯後の物もありましたわよね? そんなもので良かったのですか?」
そう言うとリーナは陽太のモノから手を離した。リーナの言葉と行動と、ふいに止んだ快感に、陽太は不思議そうな声を上げる。その陽太の前でリーナはメイド服を脱いでいた。ボタンが完全に外れたメイド服は力なくリーナの肌に乗っているだけであり、リーナが少し身じろぎするとあっさりとその玉のような肌を滑り落ち、ベッドの上に黒と白の大輪を咲かせた。
下着姿に、メイドキャップのみの姿になるリーナ。その下着は、今はゴージャスなものであった。黒をベースに、蒼のレースと刺繍でデザインがされている。それだけでない。彼女のへそのちょっと下のところでも、同じように黒と蒼の布地が包んでいた。そのランジェリーは脚への細い紐が伸びていて、彼女の黒いストッキングを吊っている。ガータベルトだ。
「坊ちゃまが盗まれた下着といっしょに買ったものですが……あれもこれも高かったんですよ?」
値段の問題ではないのだが、そんな高い下着をなくしたと思ったときはちょっとショックだった。まあ、持ち去った人間が自分の主で良かった。
一方の陽太は、リーナの下着姿を食い入るように見ている。リーナの下着にも確かに興奮したのだが、実際に身に着けている姿を見るのとは次元が違う。
自分が主の視線と気持ちを釘付けにしていることに心の中で満足するリーナだが、まだまだ物足りない。
ベッドに腰を下ろしたリーナは親指をショーツのサイドにかける。だが、そこで彼女は動きを止めた。誘うような目つきでリーナは陽太を見つめる。
「坊ちゃま、どうせなら私の脱ぎたての下着のほうが良くないですか?」
可憐なメイドの小悪魔めいた問いかけに、ごくり、と思わず陽太の喉が鳴った。だがメイドは笑う。
「何を期待しているんですか? 今は坊ちゃまは私の奴隷なんですよ? 欲しいなら……分かりますね?」
脚を大きく広げ、さらにクロッチをぐっとずらすリーナ。現れた秘密の花園は、まだ主から何も愛撫を受けていないのに、蜜をたらし甘い芳香を漂わせていた。
メイドの意図を主は察した。普段、自分が受けているように、口で奉仕せよと言っているのだ。
少年はメイドの脚の間に身体を割り入れ、股間に、犬のように顔を寄せた。そして下を伸ばした。
「んっ……」
思わず声を上げてしまうリーナ。自分の性器が熱く柔らかいものに撫でられる感覚に背筋を快楽が走った。そのたびに秘花の奥からどぷりと蜜があふれる。
「ああ……坊ちゃま、いいこです……もっとなめてください……」
今は自分の奴隷と言えど、そしておしおきと言えど、鞭ばかりではいけない。ダークエルフも頷くことだろう。陽太の奉仕をリーナは褒め、おだてる。
頭を撫でられながら大好きなメイドにそんなことを言われたらたまらない。少年のクンニリングスに熱が入る。舌を攣らせそうにしながらも、できるだけ奥に差し入れたり、クリトリスをなで上げたりと、懸命に愛撫する。
このまま主の口唇愛撫を受けて達しても良かったのだが、本来の目的はおしおきだ。リーナは陽太に離れるように言う。
「では約束どおり、私の脱ぎたてのショーツを差し上げます」
一度クロッチを戻して、ショーツの上から指でリーナは自分の秘裂をなぞり、愛液をなじませる。そうしてから見せつけるようにショーツを脱いだ。
だが、リーナは"差し上げる"と言いながら、脱いだショーツを陽太に渡さなかった。そのショーツを陽太の、おあずけにされていたペニスにかぶせたのだ。もちろん、クロッチの部分が亀頭に当たるようにしながら。ぬるりとした感触と、さきほどまでリーナが身につけていたがゆえの温かさに、陽太は声を上げる。
「ふふふ、こんなことされたかったのでしょう? さっきまで私のおまんこがくっついていたショーツに思いっきり射精したかったのでしょう?」
そう言いながらリーナはショーツごと陽太のペニスを握り込み、手を上下に動かし始めた。その動きは最初から速く、そしてやや暴力的であった。これはおしおきなのだから。
荒々しい手での愛撫だが、それでもツボは抑えている。それがゆえに、陽太は着実に追い込まれていく。にんまりとメイドは笑う。そしてはっきりと命じた。
「ほらっ! 出しなさい! このメイドのショーツに!!」
陽太がその言葉を理解するより先に、身体が従命した。びくん、と陽太の腰が跳ね、ショーツにくるまれた亀頭の先から白濁液が噴き上がる。吐き出されたそれは、クロッチにねっとりとついていた愛液と絡まりあった。射精の勢いはショーツのクロッチでは吸収が追いつかず、隙間からにゅるにゅるとこぼれ落ち、メイドの手を汚した。
「ふふふ、いっぱい出しましたね。そんなにショーツでしごかれるのが良かったですか?」
射精してぐったりベッドに身を投げ出している陽太にメイドは笑って見せる。その声の裏に不満のようなものが滲んでいるのを、陽太は敏感に感じ取った。少し考えて、そして思い至る。
このメイドは自分の身体に射精されたのではなく、下着に射精されたのに不満を覚えているのだ。いや、それだけではない。そもそも下着を盗んだ時点で、自分の身体ではなく下着に興味を惹かれたことに不満があるのだ。もちろん下着を盗まれた事自体にも怒りはあるのだが。
ようやく分かったようですね、とメイドは口角をつりあげる。だが目は笑っていない。そして、答え合わせとばかりにリーナは彼の体を跨いだ。ショーツと同じデザインのブラを外して放り捨てる。ぷるんと形よくハリもある彼女の胸があらわになった。いつもはこの胸を揉ませたり、乳での奉仕をするのだが、今日はおしおきだからしない。
メイドキャップとガーターストッキングのみの姿になった彼女は、ゆっくりと腰を下ろそうとする。
「ま、待ってリーナ! 今だしたばっかりだから……!」
「何を言っているのですか、坊ちゃま。坊ちゃまは今、私の奴隷です。そしてこれはおしおきです。口ごたえの権利はありません。坊ちゃまが泣こうが喚こうが嫌がろうがおちんちんを勃たせ、射精させます」
きっぱりと言い切るメイド。そして、腰を落とした。ぬぷりと濡れた膣に、少年の陰茎が飲み込まれた。
「あ、あ、あああ……」
いつもの甘々とした交わりではなく、暴力的なセックス。それでも彼女の中は極上であった。温かく、濡れていて、柔肉が絡みつき、締め付けてくる。
「あ、坊ちゃまのおちんちんが私の中に……♡ ああ、気持ちいいです……♡」
一方、リーナにとっても少年の挿入は心地よかった。うっとりととろけている様はまるで温泉に入っているかのようだ。だが、ひとしきり味わったあと陽太を見下ろすその目は、普段の優しく献身的な彼女ではなく、獲物を食らう獣であった。
「それでは……動きますね、坊ちゃま♡」
一方的に宣言してキキーモラは身体を弾ませ始めた。はじめはゆっくりと、しかし徐々に速くしていく。彼女の動きにつられて胸がぷるぷると弾む。そんな胸を触ろうと陽太は腕を伸ばすが、リーナはそれを制した。少年の手を手首のあたりで交差させて少年の頭の上に、ベッドに抑え込む。腰だけを器用に動かしながらリーナは言う。
「坊ちゃま、これはおしおきです。坊ちゃまに私の身体を楽しむ権利はありません」
「う、ううう……」
「ご不満ですか? ならばちゃんと"反省"しなければなりません」
「はんせいしているよぉ……」
「口ではなんとでも言えます。とりあえず、何度か射精させて頭が回らないようにして差し上げますね♡」
腕を押さえつけたまま、キキーモラは器用に腰だけを動かし、少年の肉棒を膣肉でしごきぬく。もちろん、自分でも気持ちいいところに当たるように調節しながら。
先に我慢できなくなってきたのは陽太の方であった。射精が近い宣言をリーナにし、リーナもそれを性器で感じ取った。
そして腰の動きを緩めた。
「な、どうして……?」
「何度も言いますがこれはおしおきです。ただ気持ちよく射精するだけでは、おしおきになりませんからね」
「そんなぁ……」
陽太は自分で気持ちよくなろうと身体を揺するが、上に乗っているリーナがその動きを受け流すように動かし、じれったさが募るだけだ。
「ふふ、そうやって情けのないお顔をしてる坊ちゃま、可愛いですね」
そう言ってリーナは陽太に身体を預けた。胸の柔らかさが彼に伝わる。少年の鼓動とキキーモラの鼓動が伝わり合う。そんな距離でリーナはさやきかけた。
「本当に反省しています?」
「はんせいしているよぉ……下着をかってにとったのはわるかったよぅ」
「本当ですかぁ? じゃあ……私が言う通りにできますね? まずは下着を盗んだことを告白して、それでどんなことをしたか自分の口で説明してください」
さっきも、リーナが確認したことだが、改めて本人にすべて語らせる。リーナに促されて陽太はぽつりぽつりと告白し始めた。
「ぼ、ぼくはリーナの下着をぬすんだうえに……その……それを嗅ぎながらオナニーしました……」
「そう、それから?」
「それから、下着でおちんちんをくるんで、せいえきでよごしました」
「そう、特にどこを?」
「お、おしりのところと……お、おまんこがあたるところです」
陽太はかあっと顔が赤くしている。今まで何度も肌を重ねてきたが、こんなことをさせられるのは初めてだ。その羞恥がどこか心地よいのはなぜだろうか。
「じゃあ最後に。何が悪かったんですか?」
「リーナの下着を盗んだことと、それをよごしたことと……リーナにじゃなくて下着にせいえきを出したこと」
「大変よくできました」
2つも言えれば十分かと思っていたが、3つ目まで言えたことにリーナは満足そうに笑った。腰の律動を再開させる。
「ちゃんと何が悪かったか反省しているようですから、イカせてあげますね、坊ちゃま。ほら、ほら、ほぉら!」
「あ、あ、あ、リーナぁあ!」
ぎりぎりのところでおあずけを食らっていたところの刺激は強烈であった。すぐに陽太は射精した。どくどくと、メイドの膣内に主の精液が重力に逆らって注がれていく。従者はそれをうっとりと気持ちよさそうに目を閉じて受け入れた。
「んん……いっぱい出ましたね♡ 気持ちよかったですか?」
「う、うん……」
「それは良かったですね。でも私はまだ満足していないですよ♡」
これはおしおきですし、今は坊ちゃまは私の奴隷なんですからね? と念を押すようにリーナは言う。
今夜はひたすら自分が楽しみ、主にその権利はないとばかりに、相手に気遣うことなくキキーモラは腰を再び弾ませ始めた。さきほど陽太が触ろうとした胸も、自分で揉みしだく。
「んっ♡ あんっ♡ あっ、あはぁあ♡」
従者のみだらな姿に、そしてもたらされる刺激に、射精して一休みしようとしていた主の分身が再び力を取り戻した。
「あっ、あんっ! ぼ、坊ちゃまぁ……また元気になりましたね?」
嬉しそうにリーナは微笑んだ。そして自分の腰の動きをさらに激しくする。陽太が出した精液が潤滑油となり、キキーモラの性器にさらなる快楽をもたらしていた。
「うぁっ!? あ、ああぁ……」
その刺激に思わず陽太は声を上げた。だがそれは苦痛からではないことを、リーナは知っている。だから彼女は腰の動きを止めない。それどころかより強く腰を打ち付ける。その激しさを物語るかのように部屋には二人の肉がぶつかり合う音とベッドが軋む音、そして二人の嬌声が絡まり合って響いた。埋もれるようにして二人の結合部はぐちゅぐちゅと、陽太の精液とリーナのみだらな体液が卑猥な音を立てている。
「ああっ♡ 坊ちゃまのが奥に届いて赤ちゃんの部屋をぐにぐにってぇえ♡」
普段は奉仕をするメイドが、自分の快楽だけに酔って乱れている。それでも、魔物娘だ。自分本位な動きでも、いや、暴力的で容赦がないからこそ、着実に相手の男を追い詰めていった。少し前に射精したばかりだと言うのに、再び腰の疼きが、陽太には沸き起こっていた。
「うあああ、リーナぁあ、また出ちゃうよぉお……」
「はうっ♡ また、ですか? んんんっ♡ もう少しで……あんっ♡ イケそうなので我慢、してもらえ……んんっ♡ ませんか?」
少し腰の動きを緩めながらリーナは主に要求する。自分の快感が冷めないように、片手で自分の胸を揉み、もう一方でクリトリスをいじりながら。
しかし、陽太の方はとても我慢できそうにない。やはり自分の快感と相手の射精とおしおきという状況の調和を取るのは難しい。難しいが……"やはり"の言葉の通り、このあたりは折込済でもある。こんな状況になったときにどう言おうか、リーナはすでにシミュレートしていた。
メイドは主に要求をする。
「……では坊ちゃま。私にお願いしてください♡『射精させてください、リーナ様』って」
「えっ!?」
陽太の目が泳ぐ。自分に様をつけて呼ばせる……メイドが主に向かってそんな要求をしたのだ。完全なる主従逆転。リーナの要求は二人の関係を根底から覆すほどの大きな物であった。
きっぱりとはねのけて主としての威厳を保つのか、それとも快感に屈してメイドの下にくだるのか。陽太の胸のうちに大きなモヤが立ち込め、ぐらぐらと頭が揺れる。
やがて少年はつぶやいた。
「……ください」
「んー? 聞こえませんでしたよ? なんですかぁ?」
「イカせてください、リーナさまぁあ!」
ヤケになったかのように陽太は叫んだ。ついに彼は自分の従者に屈した。しかし本心はそれを悦んでいるのか、彼女の膣内で分身がぐぐっとさらに怒張した。
「大変よくできました♡ それじゃあ、イカせてあげますね♡」
再びメイドの腰が動き始めた。主だった少年を射精させるために、そして自分を絶頂に導くために。
「ああ、リーナ、リーナぁああ!」
「あっ、あんっ! こらっ! 様をつけなさい!」
「リーナ、リーナさまぁあ!」
叫びながら少年は射精した。屈服の証がどくどくと、メイドの膣内に捧げられる。下腹部に広がる生暖かい感覚と、ついに堕ちた主を見てにんまりと笑う。
しかし、自分のオーガズムはまだだ。ゆえに、リーナの腰は止まらない。
「り、リーナさまぁ! だめっ! いまイッたからぁあ!」
再び強制的にもたらされた快感に乱れながらも命令に従う陽太を見てリーナは満足げに微笑む。
「ふふっ♡ 坊ちゃまのお願いの『イカせてほしい』は叶えてあげましたけど、坊ちゃまは私の奴隷です♡ 拒否権はありません♡ 今度はちゃんと私をイカせてくださいね?」
三回の射精程度では萎えないことはこれまでの経験から分かっている。リーナの腰使いに遠慮はなかった。
「あっ! リーナさまぁ、それだめぇえ、やめてぇええ!」
「あはっ♡ やめて? 坊ちゃまにそんなこと言う権利ないですし、それにそんな気持ちよさそうな声で言っても説得力ないですよ?」
つまりはもっと、ということですね? とばかりに恍惚とした表情を浮かべながらリーナは腰を振り続けた。
「ほらほら♡ もうちょっとで私もイケそうですから頑張ってください♡」
実際、さっきはもう少しというところで一度腰を止めていたということもあり、リーナはぎりぎりだった。そんなおあずけという溜め込みがあることに加えて……なんとか自分をイカせようとしながらも快感にとろけてよだれを垂らしている、自分が屈服させた主を見て、リーナは興奮でどうにかなってしまいそうだった。
その状況でふとリーナは新たなことを思いついた。思いついた次の瞬間、反射的に実行していた。
快感に目から火花が散っているように感じながら、メイドは主に命令する。
「坊ちゃま♡ ああっ♡ めいれ、いです♡ 『リーナ様大好き』って、言いな、がら……射精しなさい!」
「はあっ、はああっ! リーナさまぁあ……!」
快感に歯を食いしばり頭を左右に振りながら叫ぶ陽太。ほぼ限界だがこらえにこらえ、主の命令を果たそうとする。
「リーナさま! 大好き! 大好きです!」
言葉とともに少年は射精した。四度目とは思えない量の精液が、メイドの子宮口を叩いた。
「………ッ!」
リーナは陽太の上で、雷に打たれたかのように身体を一度びくんと震わせて固まる。自分が望んだ言葉を聞きながら、そして胎内に散る愚かなことをしたが愛おしい男の精液の感覚で、キキーモラは達したのであった。
返事をしたかったのだが、自分への好意の言葉を聞きながらの膣内射精はあまりにも快感が強すぎた。固まっていた身体から力が抜けたときには、もう腰がぬけていた。リーナは陽太に倒れ込みながら、このあとのことを考えまいとしながら、今は絶頂の余韻を味わうのであった……
「ううううう……!」
「り、リーナ……泣かないでよ……」
「だって、だって……!」
数分後。普段であれば結合を解いて甘いピロートークという状況で、部屋には女がすすり泣く声が響いていた。
泣いているのは少し前まで嬉々として主を攻め立てていたリーナだ。そのリーナを、慰めるように陽太が頭を撫でている。その陽太の姿は少年ではなく、引き締まった身体をもった青年の姿になっている。ベッドの横には、ファスネット・サバト製の幼体化する薬の小瓶が転がっていた。
リーナが泣いている理由。それは……
「私、陽太様にあんなひどいことを……奴隷だとか権利がないとか……ううう……」
「だーいじょうぶだって! そういう設定だったんだし」
つまりは、先程までの主従逆転劇は茶番である。主の暇慰みのために何か変わったことをしますか、と提案したリーナに陽太がリクエストしたのが、先程の主従逆転プレイだったのだ。傅くのが基本のキキーモラであるリーナは気乗りしなかったのだが、主のリクエストを断るわけにもいかない。リーナは応じたのだが……
生真面目なキキーモラである。彼女はダークエルフが書いた調教プレイの本や他調教系の官能小説を短時間ではあるが読み込み、さらに調教系のアダルトゲームも一通り嗜み、『メイドの下着を盗んだ主におしおきする』という寸劇のあらすじまで書き上げてしまったのである。「女性の身体に興味が出始めた年頃」という設定も活かしたかったので、幼体化する薬も買った。
あまりにデキすぎたメイドの仕事に驚いた陽太であったが、悪い気はしない。そして二人はプレイに及んだ。陽太としては満足だった。
しかし、リーナとしてはどうしても自分が許せないところがあった。それは……
「私、あの状況を楽しんでしまって……ううう……こんなの、キキーモラ失格です!」
「だーいじょうぶだってばリーナ! だってさ……」
リーナの顔をまっすぐに覗き込む陽太。その目を赤く泣き腫らした目でキキーモラは見返す。陽太は言った。
「だって最後の『「リーナ様大好き」って言えって、僕のことを想っているから出てきた言葉でしょ?』
陽太の言葉にリーナはハッとする。そうだ。ダークエルフの本はともかく、アダルトゲームでは、奴隷に忠誠を誓わせたりするシーンこそあれど、自分のことを好きと言え、なんて命令するゲームは、少なくともリーナがプレイした中ではなかった。
「当たり前だけど、あの言葉は命令されたから言ったわけじゃないからね?」
先回りするかのように、陽太は付け加えた。リーナはうなずきながら思い返す。そうだ。そう言えばダークエルフが書いた本にはこう書いてあったではないか。
--どの調教のスペシャリストのダークエルフでも大事にしていること、それは「相手を愛すること」
自分は主従逆転プレイ中に相手のことを軽んじたり、愛するのをやめていたか? 否。それは自信を持って言える。
『だって……「大好き」って言われながら射精されたの、とっても幸せだったから……』
ようやくキキーモラの顔に笑顔が戻った。よし、と陽太は笑う。
「で、でもあんなに嬉々として陽太様を逆レイプしたのは恥ずかしすぎます〜!」
「おいおい……」
せっかく立ち直ったと思ったのに今度は羞恥で再び顔を覆ってしまったリーナに、陽太は苦笑いするのであった。
こうしたプレイも経て愛を確かめあったリーナと陽太。その二人の時間に、ときどき主従逆転茶番劇が混ざるようになったのは、それからであった……
24/08/18 17:02更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)