ラスト・ラスト&スタート・オブ・ラスト
そろそろ日が沈むころ、とあるハーピーが人間界の号外だとのことで私のポストに新聞を投げてくれた。このかなり高い霊山にまでひとっ飛びとは言え配達してくれる彼女に、私は相場の倍の銀貨を渡した。寝室に戻り、その記事を見る。
「そうか、ニスコス12世が死んだか……」
「何かあった?」
ベッドからけだるげな声が聞こえてきた。振り向くと私の妻、ロミアがこちらを見ていた。
「ニスコス12世が亡くなったとのことだ」
「そう……」
興味なさそうに妻は軽く息をついて、再び枕に頭を沈めた。その頭からはゆらゆらと炎が立ち上っている。だが本人は熱がる様子はまったくなく、その炎が寝具を舐めても燃え移る様子はない。身体にかけられているベッドカバーからは収まりきらなかった、頭髪と同じように炎のように真っ赤な翼が背中から広がっている。
フェニックス……誰もが知る、死しても蘇り永遠の時を生きる「不死鳥」。それが私の妻だ。
永遠の時を生きる彼女たちにとって、他人というものは儚い存在であり、興味があまりない。今、ニスコス12世の崩御を聞いても興味ないように。もっとも、私も特別に何かあるというわけではないのだが。ただ、ニスコス1世の誕生を知っている者としてはそのくらい時が経ったのかと感じる。
とは言え、ニスコス12世のことを聞いてロミアが何も感じなかったかというと、そうでもない。人間離れした数え切れない年月をともに過ごしていれば、分かる。かすかに眉がよって”気にした”ことを。
不死鳥とて死ぬ。死んでもすぐに蘇るだけで、死ぬ。その恐怖は、他の者と比べたら軽いかもしれないが、ないわけではないのだ。このフェニックスのつがいとなり、彼女とともに転生を繰り返す私とて、同じ恐怖を味わっている。
転生の炎に自分や私が身を焼き尽くされ……そのまま目覚めなかったらどうしよう。いやそれだけならまだいい。
二人が相手のことを覚えていなかったらどうしよう。この恐怖は常に私達にあった。他のフェニックスの個体やそのつがいはどうかは知らないが、私達は実際に何度かあったのだ。自分が愛している相手が自分のことを認識してくれない……これは気が狂いそうになる。最終的には記憶をだいたいは取り戻すのだが、それでも何世代分もの記憶をすべて克明に覚え思い出すわけでもないし、また記憶を取り戻すのに十年二十年かかったこともある。その間の時間は……ロミアは「初対面をもう一度味わえるなんて新鮮だ」と嘯くが……地獄だ。もっとも、"相手のことを想起できなくても、"魂"と"身体"は覚えているのか、私達は何度も惹かれ合い、愛し合うのだが。
寝室を一度出て、私は居住としている神殿の地下に向かう。そこにはフクロウを連れているロミアの石像がある。その像の前にはロミアの魔力で作り出した、燃え尽きることのない炎の祭壇があった。
その炎に私は号外の紙を投げ入れた。紙は炎でぱっと燃え、その光はホタルのように浮かび上がり、ロミアの像の胸元に吸い込まれる。
これはそれまでのことを記録している、アーカイブの像だ。悠久の時を生きる私達は外界で起きたことが書かれている新聞や自分たちの日記をすべてここに保存している。転生した私達が記憶を失っていた時、それを思い出せるように。
像の足元の石版に覚書きが書いてある。「日記を書いて燃やす」「新聞を燃やす」。
やるべきことを終えた私は寝室に戻った。ロミアは先程と同じ姿勢でベッドに横になっている。先程のニスコス12世が逝去したことを聞いてもそっけない調子だったのは、興味がなかったからというだけではない。身体がだるかったからだ。
"寿命"が近づいていた。運命を同じくするものだから分かっている。
暮れかかっていた日も沈んだ。今日は特別に長い夜になりそうだ。"今夜そうする"と決めていた。
私はベッドに潜り込んだ。すかさずと言った調子でロミアの手が私の身体にとりついてくる。自ら熱を持つふわふわとした羽毛が私の身体をなでた。抱きついてきた不死鳥を私はそっと抱きしめ返す。その耳に、覚悟していた言葉がささやきかけられた。
「ジョージ……最期に、抱いて」
小鳥がついばむようなキスを互いに数度、挨拶代わりに繰り出す。そこから互いにゆっくりとくちびるを押し当てて、舌を差し入れる。入れられた舌が絡み合い、互いに唾液を交換する。同時に、彼女の翼が私の背中を包んできた。お返しをしたいところであるが、あいにく私には翼はない。代わりに抱きしめる力を強くする。んっ、と彼女が軽くうめいた。嫌がる様子はない。むしろこうすると喜ぶことを私は知っている。現に彼女の尾は嬉しそうにぴこぴこと揺れていた。
何度もしたキス。何度しても、生まれ変わってしても、飽きない。だが、それだけでは満足できないのも事実だ。
これが語っている言わんばかりに、彼女の手が私の下腹部に回った。寝巻きの上から、さすってくる。ロミアを求めて私の陽物は、寿命が近い身体だというのに若い時と変わらず固く大きく張り詰めていた。
一方、彼女とて私と同じ気持ちだ。そっと、寝巻きの合わせ目から手を差し入れる。驚いたロミアはわずかに脚をこすり合わせて抵抗したが、すぐにそっと脚をゆるやかに開いた。彼女のそこは太ももまで濡れるくらいに、よだれを垂らしていた。恥ずかしかったのか、彼女の頭の炎が揺らめく。
もうふたりとも、すぐにでも挿入を果たせそうなくらいに互いを求めていた。だが、それは我慢だ。少しの間はこの姿とはお別れなのである。その姿を互いの記憶に焼き付けることにする。たとえ一度忘れたとしても。
身体にかけられたベッドカバーはうっちゃり、私達は寝巻きを脱ぎ捨てた。ふたりとも、生まれたままの姿になる。
何度見てもロミアの身体は美しかった。少し前と比べると、乳房はハリより柔らかさが出ているかもしれない。だが贅肉などはなく、肌艶も保たれており、彫像のような美しさは変わらない。その彼女の身体を記憶しようと、私は撫でる。
燃えるような赤髪と実際に炎をあげている頭……ほんのりと温かいがやけどをしないのが不思議だ。
その下には桜色の肌と琥珀色の瞳……普段は何を考えているか分からないような、表情の薄い顔をしているが、何回も転生して気が遠くなるほどの時をかけたら、何を考えているかくらいは分かる。そして……彼女の顔は、たまにアーカイブに保存されている資料や、彼女の霊力の籠もった尾を求めて来た者が拝むことはあるだろうが……このように快感にとろけた顔をすることは誰も知るまい。それを知るのは私だけだという事実は胸を震わせる。
胸はハーピー属とは思えないほど豊かだ。この乳房で子育てもした……個体数が少ないフェニックスたちだが、何度も身体を重ねれば子どもはできる。もう私達のものとを離れ、彼女たちもつがいを見つけて転生もしていることだろう……そんな、子どもを育てた胸だが、私の愚息を慰めることに使ったこともあったか。
私を包んでいる翼は炎の翼……その気になれば大木一本など羽一つで消し炭にすることができるくらいに強力な武器になるのだが……それが今、私を優しく包んでいる。もふもふしていて、温かい。撫で返すと彼女は落ち着くらしい。
お腹や太ももはまるで絹のようにすべすべとしたさわり心地だ。だが膝から下はやはり、彼女はハーピーだ。ごつごつとした鱗に覆われ、先は鉤爪が光っている。
その脚の間にある性器……何度私はここに迎え入れられ、精を放っただろうか。
一つ一つ、刻み込むようにして私は撫で、口づけを落とす。一方の彼女も愛おしそうに彼女も私の身体を撫でてくる。寿命間際の身体は、インキュバス化していても少し筋力が落ちて痩せただろうか。肌もカサついていて少し恥ずかしい。それでも彼女は私を愛してくれるのだが。煤けた髪、頬、胸元、腹、太もも、そして性器……
「うおっ」
思わず声を上げる。亀頭にくちづけしたロミアは、そのまま先端も竿も、口の中に迎え入れていた。彼女の膣の中の感触も極上なのだが、口の中も甲乙つけがたいくらいに気持ちいい。くちびるにしごきぬかれ、なめくじのようにぬめった舌で撫で回される……なにより神の使い、あるいは神として崇められ敬慕されるフェニックスのロミアが、私の泌尿器を咥えて見上げてくる様は、クラクラするような刺激となった。一気に射精欲が高まってくる。
「ロミア……これ以上は……!」
「んっ、じゅぷ……んっ、我慢できない?」
口を離し、可愛らしく小首を傾げるロミア。神の使いという代名詞とは間逆な、小悪魔的な可愛らしさが出ている。
「すまない……」
「ん……仕方ないわ。私も我慢できないし……」
ふっと不死鳥はめったに拝めない笑みを浮かべ、彼女は体勢を変えた。私の身体をまたぎ、膝を折って腰を落としていく。
そして私は、彼女の神聖な場所に迎え入れられた。
「お、おおお……」
何度交わってもこの快感には感動する。溶岩のように熱く、ぬめぬめしていて、それでいながらヒダは多くて締め付けてくる……そして子宮口がぐにぐにと熱烈に鈴口にキスをしてくるのだ。快感のあまりこのままペニスとヴァギナの境界が融け、そこを起点に二人が一つに溶けあうかのような気持ちになる。
「あああ……」
ロミアもそれは一緒のようだ。温泉につかったかのような、リラックスした、気持ちよさそうな声が彼女の口から漏れた。私を見下ろすその琥珀色の目は、けだるげな様子はなく、情欲の炎に燃えている。
その炎が漏れたかのように……私達の周囲のシーツから火が上がった。通常であれば仰天するような事態だが私達は何ら驚かない。これは転生の炎……私達の交わりが最高潮に達したとき私達の身体を焼き尽くし、新たに生まれ変わらせる炎……
ゆえに熱くないし、驚かない。だが……
「怖い?」
「ちょっと……」
やはり死の恐怖は拭いきれない。そして蘇った後に二人がどうなるのかも怖い。
だが……今つながっているお互いの存在と快感がその恐怖を薄めてくれ、新たな人生への希望を感じさせてくれる。
上になっているロミアが腰を動かし始めた。ゆっくりと、揺れる炎のように、腰が前後上下に揺り動かされる。動きが最初から激しくないのは、身体に負担をかけないようにするのと、私達がつながっている時間を長くするため。だがそのゆっくりとした動きでも快感としては十分であった。
熱くきつい彼女の膣は、その中に迎え入れている私のペニスの竿を亀頭をぬめぬめと撫で回し、締め付ける。一方彼女もまた、私の陽物で膣壁をこすられ、子宮口をぐぐっと圧迫され、甘い声を上げた。
「あっ♡ ジョージ……そこ、いいっ……♡ ああ、気持ちいいわ……あっ、ふわぁあ♡」
ロミアの声が徐々に大きくなり、それにつられるように腰の動きがこらえられなくなって大きく、早くなっていく。つられるのは腰の動きだけではない。私達の周りの炎も勢いを増していく。今や炎はすっかりベッドに広がり、炎の壁となって私達を取り囲んでいた。まるで逆さになったカーテンのように揺れている。
「あんっ♡ ああああっ! あっ、あああっ♡」
もうロミアの声に余裕はなく、腰の動きも制御できていない。膝をついて揺り動かしていたのが、はしたなく用足しをするかのように膝を持ち上げて大きく広げ、上下に弾ませていた。少し首を曲げると私とロミアがつながっているところが見える。彼女が腰を引き抜くたびに陰唇が名残惜しそうに私の竿を撫でて愛液を塗りたくっていた。腰を落とすたびに子宮口を穿たれるロミアは声を上げた。
激しい動きは私を翻弄するが、当然その快感は自分にも返ってくる。
「やあああっ! ひぅ♡ や、やだああ!」
口から上る恐怖と拒絶の声。飛んでしまいそうな快感に彼女はよく「いや」と悲鳴を上げる。普段であればそれは追い込みのサインとばかりに私は下から突き上げたり、あるいは上下逆転して攻め立てたり、あるいはそのままロミアがアクメを迎える様子を鑑賞するのだが……今回はそうではない。
私も普段とは異なる高揚感を覚えながら、半身を起こした。ロミアを抱きしめようとするがそれより先に彼女の方から腕と翼を使って私にしがみついてきた。
「ジョージ! イク、イッちゃうの……! お願い、ぎゅってして……!」
「ああ……!」
言われるまでもない。快感ととらえどころのない恐怖になく彼女を彼女を私は抱きしめる。全身を限りなく密着させ、互いの存在を感じ取りながら私達はその時を待った。
最高の快感と、生まれ変わる時を。
「あっ、ああっ! ジョージ、一緒にイッて……!」
「ああ、ずっと一緒だ……!」
ずっと一緒……その言葉が引き金になったかのように、ロミアはアクメに達した。腟内がぎゅうぎゅうと締め付け、私を天国へと道連れにしようとしてくる。
拒むはずもない。私はそのままロミアの中に滾りを放った。寿命寸前とは思えない量の精液が……いや、今生最期の射精だからか、おびただしい白濁のマグマが不死鳥の中に注がれる。
その瞬間、それまで私達を取り囲んでいた炎が覆いかぶさるように私達を包んできた。視界が真っ白になる。全てが爆発するような、それでいてとろけるような至高の快感の中で、抱きしめつながっているロミアの感触をしっかりと確かめながら……私はすべてを受け入れ、意識を手放した。
暗い。真っ暗だ。視界は黒く塗りつぶされている。最期に見たのは真っ白な光だったのに。
加えて重い。何かに覆いかぶされている。そして下腹部からは得も言われぬ快感がじんわりと脳髄へと上がっていた。腕や脚の一部はかさかさした物があたっているが、お腹や胸はなめらかな、人肌があたっている。
「んっ……」
私に覆いかぶさっている者が、声を上げた。記憶にあるより高いものになっているが、懐かしい声。
私は身体を起こした。私に覆いかぶさっていた者が驚いたような声を上げた。同時に乗っていた者以外の物がぱらぱらと身体から落ちる。
それは、灰であった。私の周囲にうず高く積もっている。だが私が今寝ていたベッドは燃えた様子は一切ない。
さて、ところで私はさきほど聞こえた声を「記憶にある」「懐かしい」と感じた。最期に見た光のことも覚えている。そして……
「ジョージ、覚えてる?」
眼の前で首を傾げる、燃えるような赤髪でさらに実際に炎が頭でゆらめている、背中から同じく赤い翼が生えている少女が、不安そうな表情で私を見ていた。
「覚えているよ、ロミア」
少女の姿になったロミアはぱっと顔を輝かせた。そして私の身体を抱きしめてくる。そんな私の身体は、まだ肉付きが薄い、少年の物となっていた。
「良かった、覚えている……! 覚えている……!」
「ああ、忘れるはずがないさ……と言いたいけど、『幸い今回は覚えていられた』いったほうが正しいかな?」
忘れたとしても経験的に言えばやがては思い出せるのだが、それまでの孤独は耐え難いものである。頬を伝うロミアの涙を私は拭った。そして私もどうやら泣いていたらしい。ロミアは赤い翼で私の涙を拭った。
「ありがとう、ロミア……けどさ、このままなのはちょっと格好がつかないんだけど……」
私達は、文字通り生まれたままの姿をしている。それだけではなく……繋がったままであった。これで涙を流しながら祝うというのもちょっと滑稽だ。私達はおかしくなってクスクスと笑った。
「でもジョージ、まだガチガチじゃない。じゃあ、まだできるわよね?」
「そうだね」
そう言って私は逆にロミアを押し倒した。一度性器の結合が解ける。
改めてロミアの姿を見ると最期に見たときと比べてずいぶん様変わりした。この姿を見るのは何度目かではあるのだが、新鮮な気分であり……罪悪感のようなものすら覚える。円熟した身体も魅力的であるが、少女から大人に足を入れたくらいの身体つきもまた一興だ。乳首は男と違うぷくりとした立ち上がりを見せてその周りの裾のを牽引しつつある。腰は幅狭で、ゆえに腹回りもくびれもあまりみられない。だが……それでもこれから発展する兆しを見せ、つまりは繁殖するには十分である。
何より、つい先程まで私のモノを咥えていた、ぽっかりと空いて愛液を垂れ流している性器が、彼女が人ならざる魔物娘であり、男を受け入れることができることを示している。オスを誘う色香を漂わせてやまない。
その危険な姿に、少年の体に戻った私の牡器は臨戦態勢になる。眼の前の雌に種付けをしたいと。
私はロミアの性器に自分のそれの先端を押し当て、そのままぐっと腰を沈めた。姿こそ私達は幼くなっているが、この行為はもう数え切れないくらいにしたこと……何の障壁もなかった。
「あぁん♡」
私を受け入れたロミアが快感に身体をくねらせた。その身体の動きが私を刺激する。
体格の都合上、もともとしっかりと締め付けてくるロミアの膣はさらに圧迫感が強い物となっていた。少し先程のようにくねらせるだけで私の亀頭がこね回される。だが固く押し返すわけでもなく、むしろ奥へ奥へと誘ってくる。その姿といい、快感といい、成熟した姿とは異なる魔性を秘めていた。
その魔に突き動かされるかのように、私は腰を振っていた。少し前までは、互いに寿命が近い身体であったため序盤は遠慮があったが、今はもう若さと生命力にあふれている身体である。遠慮はなかった。
「やぁあああ♡ だめぇえええ♡」
少し前のように彼女は拒否のような声を上げる。だが、先程とは異なり、これは純粋な「もっと気持ちよくして♡」のサイン。それは分かっているため、動きを緩めることはない。
神聖な不死鳥の神殿の寝室に、みだらな大合奏が響き渡る。ぱんぱんと寝室に私の太ももとロミアの尻がぶつかり合う音、ぐちゅぐちゅと二人の結合部から響く水音、少女の嬌声と少年の吐息。その大合奏の一章が終わろうとする。
「ジョージ! またイクっ! イッちゃうよぉお……!」
高めの少女の声の絶頂宣言。私は何も言わないが、限界が近かった。だが、不死鳥という神聖な存在でかつ今は幼い姿をしていながら淫魔である彼女はすべてわかっていた。鱗に覆われた脚を伸ばして私の腰に絡みつけて引き寄せ、ぎっちりとロックする。さらに翼までも使って私を逃すまいとする。
「ジョージも一緒にイッて……ナカに、ナカにいっぱいちょうだい……!」
若き不死鳥のおねだりに私の若き身体は、何かを言うより先に素直にしたがった。どくんと腹の奥で鼓動が起き、その衝撃は輸精管を経て尿道を通り、そして幼きフェニックスの胎内へと放たれた。
「きゅぅううう♡」
腟内に白濁の飛沫を受けて、ロミアも達した。尿道内に残っている精液も搾り尽くさんと貪欲に、膣は収縮する。その刺激に私はさらにぶるりと身を震わせて精を放った。
やがて二人の身体から快感の嵐が通り過ぎて少し落ち着く。だが、官能の炎は収まったかと言うと、そうではない。インキュバスになってから性に関して困るようなことはなかったが、ただ若い身体の勢いというものは格別だ。私のペニスはいきり立ったままだったし、それを見る幼き不死鳥の目は獣欲に輝いている。
「ねえジョージ……もう一回……」
四つん這いになって尻を振って要求するロミア。フェニックスの要求に非があろうはずがない。
夜はまだ長い。そして新しい私達の生はまだ長い……時間など無限にある。
揺れ動くロミアの未発達な尻を押さえ、私はいきり立った牡器を再び牝穴に挿し入れるのであった……
「そうか、ニスコス12世が死んだか……」
「何かあった?」
ベッドからけだるげな声が聞こえてきた。振り向くと私の妻、ロミアがこちらを見ていた。
「ニスコス12世が亡くなったとのことだ」
「そう……」
興味なさそうに妻は軽く息をついて、再び枕に頭を沈めた。その頭からはゆらゆらと炎が立ち上っている。だが本人は熱がる様子はまったくなく、その炎が寝具を舐めても燃え移る様子はない。身体にかけられているベッドカバーからは収まりきらなかった、頭髪と同じように炎のように真っ赤な翼が背中から広がっている。
フェニックス……誰もが知る、死しても蘇り永遠の時を生きる「不死鳥」。それが私の妻だ。
永遠の時を生きる彼女たちにとって、他人というものは儚い存在であり、興味があまりない。今、ニスコス12世の崩御を聞いても興味ないように。もっとも、私も特別に何かあるというわけではないのだが。ただ、ニスコス1世の誕生を知っている者としてはそのくらい時が経ったのかと感じる。
とは言え、ニスコス12世のことを聞いてロミアが何も感じなかったかというと、そうでもない。人間離れした数え切れない年月をともに過ごしていれば、分かる。かすかに眉がよって”気にした”ことを。
不死鳥とて死ぬ。死んでもすぐに蘇るだけで、死ぬ。その恐怖は、他の者と比べたら軽いかもしれないが、ないわけではないのだ。このフェニックスのつがいとなり、彼女とともに転生を繰り返す私とて、同じ恐怖を味わっている。
転生の炎に自分や私が身を焼き尽くされ……そのまま目覚めなかったらどうしよう。いやそれだけならまだいい。
二人が相手のことを覚えていなかったらどうしよう。この恐怖は常に私達にあった。他のフェニックスの個体やそのつがいはどうかは知らないが、私達は実際に何度かあったのだ。自分が愛している相手が自分のことを認識してくれない……これは気が狂いそうになる。最終的には記憶をだいたいは取り戻すのだが、それでも何世代分もの記憶をすべて克明に覚え思い出すわけでもないし、また記憶を取り戻すのに十年二十年かかったこともある。その間の時間は……ロミアは「初対面をもう一度味わえるなんて新鮮だ」と嘯くが……地獄だ。もっとも、"相手のことを想起できなくても、"魂"と"身体"は覚えているのか、私達は何度も惹かれ合い、愛し合うのだが。
寝室を一度出て、私は居住としている神殿の地下に向かう。そこにはフクロウを連れているロミアの石像がある。その像の前にはロミアの魔力で作り出した、燃え尽きることのない炎の祭壇があった。
その炎に私は号外の紙を投げ入れた。紙は炎でぱっと燃え、その光はホタルのように浮かび上がり、ロミアの像の胸元に吸い込まれる。
これはそれまでのことを記録している、アーカイブの像だ。悠久の時を生きる私達は外界で起きたことが書かれている新聞や自分たちの日記をすべてここに保存している。転生した私達が記憶を失っていた時、それを思い出せるように。
像の足元の石版に覚書きが書いてある。「日記を書いて燃やす」「新聞を燃やす」。
やるべきことを終えた私は寝室に戻った。ロミアは先程と同じ姿勢でベッドに横になっている。先程のニスコス12世が逝去したことを聞いてもそっけない調子だったのは、興味がなかったからというだけではない。身体がだるかったからだ。
"寿命"が近づいていた。運命を同じくするものだから分かっている。
暮れかかっていた日も沈んだ。今日は特別に長い夜になりそうだ。"今夜そうする"と決めていた。
私はベッドに潜り込んだ。すかさずと言った調子でロミアの手が私の身体にとりついてくる。自ら熱を持つふわふわとした羽毛が私の身体をなでた。抱きついてきた不死鳥を私はそっと抱きしめ返す。その耳に、覚悟していた言葉がささやきかけられた。
「ジョージ……最期に、抱いて」
小鳥がついばむようなキスを互いに数度、挨拶代わりに繰り出す。そこから互いにゆっくりとくちびるを押し当てて、舌を差し入れる。入れられた舌が絡み合い、互いに唾液を交換する。同時に、彼女の翼が私の背中を包んできた。お返しをしたいところであるが、あいにく私には翼はない。代わりに抱きしめる力を強くする。んっ、と彼女が軽くうめいた。嫌がる様子はない。むしろこうすると喜ぶことを私は知っている。現に彼女の尾は嬉しそうにぴこぴこと揺れていた。
何度もしたキス。何度しても、生まれ変わってしても、飽きない。だが、それだけでは満足できないのも事実だ。
これが語っている言わんばかりに、彼女の手が私の下腹部に回った。寝巻きの上から、さすってくる。ロミアを求めて私の陽物は、寿命が近い身体だというのに若い時と変わらず固く大きく張り詰めていた。
一方、彼女とて私と同じ気持ちだ。そっと、寝巻きの合わせ目から手を差し入れる。驚いたロミアはわずかに脚をこすり合わせて抵抗したが、すぐにそっと脚をゆるやかに開いた。彼女のそこは太ももまで濡れるくらいに、よだれを垂らしていた。恥ずかしかったのか、彼女の頭の炎が揺らめく。
もうふたりとも、すぐにでも挿入を果たせそうなくらいに互いを求めていた。だが、それは我慢だ。少しの間はこの姿とはお別れなのである。その姿を互いの記憶に焼き付けることにする。たとえ一度忘れたとしても。
身体にかけられたベッドカバーはうっちゃり、私達は寝巻きを脱ぎ捨てた。ふたりとも、生まれたままの姿になる。
何度見てもロミアの身体は美しかった。少し前と比べると、乳房はハリより柔らかさが出ているかもしれない。だが贅肉などはなく、肌艶も保たれており、彫像のような美しさは変わらない。その彼女の身体を記憶しようと、私は撫でる。
燃えるような赤髪と実際に炎をあげている頭……ほんのりと温かいがやけどをしないのが不思議だ。
その下には桜色の肌と琥珀色の瞳……普段は何を考えているか分からないような、表情の薄い顔をしているが、何回も転生して気が遠くなるほどの時をかけたら、何を考えているかくらいは分かる。そして……彼女の顔は、たまにアーカイブに保存されている資料や、彼女の霊力の籠もった尾を求めて来た者が拝むことはあるだろうが……このように快感にとろけた顔をすることは誰も知るまい。それを知るのは私だけだという事実は胸を震わせる。
胸はハーピー属とは思えないほど豊かだ。この乳房で子育てもした……個体数が少ないフェニックスたちだが、何度も身体を重ねれば子どもはできる。もう私達のものとを離れ、彼女たちもつがいを見つけて転生もしていることだろう……そんな、子どもを育てた胸だが、私の愚息を慰めることに使ったこともあったか。
私を包んでいる翼は炎の翼……その気になれば大木一本など羽一つで消し炭にすることができるくらいに強力な武器になるのだが……それが今、私を優しく包んでいる。もふもふしていて、温かい。撫で返すと彼女は落ち着くらしい。
お腹や太ももはまるで絹のようにすべすべとしたさわり心地だ。だが膝から下はやはり、彼女はハーピーだ。ごつごつとした鱗に覆われ、先は鉤爪が光っている。
その脚の間にある性器……何度私はここに迎え入れられ、精を放っただろうか。
一つ一つ、刻み込むようにして私は撫で、口づけを落とす。一方の彼女も愛おしそうに彼女も私の身体を撫でてくる。寿命間際の身体は、インキュバス化していても少し筋力が落ちて痩せただろうか。肌もカサついていて少し恥ずかしい。それでも彼女は私を愛してくれるのだが。煤けた髪、頬、胸元、腹、太もも、そして性器……
「うおっ」
思わず声を上げる。亀頭にくちづけしたロミアは、そのまま先端も竿も、口の中に迎え入れていた。彼女の膣の中の感触も極上なのだが、口の中も甲乙つけがたいくらいに気持ちいい。くちびるにしごきぬかれ、なめくじのようにぬめった舌で撫で回される……なにより神の使い、あるいは神として崇められ敬慕されるフェニックスのロミアが、私の泌尿器を咥えて見上げてくる様は、クラクラするような刺激となった。一気に射精欲が高まってくる。
「ロミア……これ以上は……!」
「んっ、じゅぷ……んっ、我慢できない?」
口を離し、可愛らしく小首を傾げるロミア。神の使いという代名詞とは間逆な、小悪魔的な可愛らしさが出ている。
「すまない……」
「ん……仕方ないわ。私も我慢できないし……」
ふっと不死鳥はめったに拝めない笑みを浮かべ、彼女は体勢を変えた。私の身体をまたぎ、膝を折って腰を落としていく。
そして私は、彼女の神聖な場所に迎え入れられた。
「お、おおお……」
何度交わってもこの快感には感動する。溶岩のように熱く、ぬめぬめしていて、それでいながらヒダは多くて締め付けてくる……そして子宮口がぐにぐにと熱烈に鈴口にキスをしてくるのだ。快感のあまりこのままペニスとヴァギナの境界が融け、そこを起点に二人が一つに溶けあうかのような気持ちになる。
「あああ……」
ロミアもそれは一緒のようだ。温泉につかったかのような、リラックスした、気持ちよさそうな声が彼女の口から漏れた。私を見下ろすその琥珀色の目は、けだるげな様子はなく、情欲の炎に燃えている。
その炎が漏れたかのように……私達の周囲のシーツから火が上がった。通常であれば仰天するような事態だが私達は何ら驚かない。これは転生の炎……私達の交わりが最高潮に達したとき私達の身体を焼き尽くし、新たに生まれ変わらせる炎……
ゆえに熱くないし、驚かない。だが……
「怖い?」
「ちょっと……」
やはり死の恐怖は拭いきれない。そして蘇った後に二人がどうなるのかも怖い。
だが……今つながっているお互いの存在と快感がその恐怖を薄めてくれ、新たな人生への希望を感じさせてくれる。
上になっているロミアが腰を動かし始めた。ゆっくりと、揺れる炎のように、腰が前後上下に揺り動かされる。動きが最初から激しくないのは、身体に負担をかけないようにするのと、私達がつながっている時間を長くするため。だがそのゆっくりとした動きでも快感としては十分であった。
熱くきつい彼女の膣は、その中に迎え入れている私のペニスの竿を亀頭をぬめぬめと撫で回し、締め付ける。一方彼女もまた、私の陽物で膣壁をこすられ、子宮口をぐぐっと圧迫され、甘い声を上げた。
「あっ♡ ジョージ……そこ、いいっ……♡ ああ、気持ちいいわ……あっ、ふわぁあ♡」
ロミアの声が徐々に大きくなり、それにつられるように腰の動きがこらえられなくなって大きく、早くなっていく。つられるのは腰の動きだけではない。私達の周りの炎も勢いを増していく。今や炎はすっかりベッドに広がり、炎の壁となって私達を取り囲んでいた。まるで逆さになったカーテンのように揺れている。
「あんっ♡ ああああっ! あっ、あああっ♡」
もうロミアの声に余裕はなく、腰の動きも制御できていない。膝をついて揺り動かしていたのが、はしたなく用足しをするかのように膝を持ち上げて大きく広げ、上下に弾ませていた。少し首を曲げると私とロミアがつながっているところが見える。彼女が腰を引き抜くたびに陰唇が名残惜しそうに私の竿を撫でて愛液を塗りたくっていた。腰を落とすたびに子宮口を穿たれるロミアは声を上げた。
激しい動きは私を翻弄するが、当然その快感は自分にも返ってくる。
「やあああっ! ひぅ♡ や、やだああ!」
口から上る恐怖と拒絶の声。飛んでしまいそうな快感に彼女はよく「いや」と悲鳴を上げる。普段であればそれは追い込みのサインとばかりに私は下から突き上げたり、あるいは上下逆転して攻め立てたり、あるいはそのままロミアがアクメを迎える様子を鑑賞するのだが……今回はそうではない。
私も普段とは異なる高揚感を覚えながら、半身を起こした。ロミアを抱きしめようとするがそれより先に彼女の方から腕と翼を使って私にしがみついてきた。
「ジョージ! イク、イッちゃうの……! お願い、ぎゅってして……!」
「ああ……!」
言われるまでもない。快感ととらえどころのない恐怖になく彼女を彼女を私は抱きしめる。全身を限りなく密着させ、互いの存在を感じ取りながら私達はその時を待った。
最高の快感と、生まれ変わる時を。
「あっ、ああっ! ジョージ、一緒にイッて……!」
「ああ、ずっと一緒だ……!」
ずっと一緒……その言葉が引き金になったかのように、ロミアはアクメに達した。腟内がぎゅうぎゅうと締め付け、私を天国へと道連れにしようとしてくる。
拒むはずもない。私はそのままロミアの中に滾りを放った。寿命寸前とは思えない量の精液が……いや、今生最期の射精だからか、おびただしい白濁のマグマが不死鳥の中に注がれる。
その瞬間、それまで私達を取り囲んでいた炎が覆いかぶさるように私達を包んできた。視界が真っ白になる。全てが爆発するような、それでいてとろけるような至高の快感の中で、抱きしめつながっているロミアの感触をしっかりと確かめながら……私はすべてを受け入れ、意識を手放した。
暗い。真っ暗だ。視界は黒く塗りつぶされている。最期に見たのは真っ白な光だったのに。
加えて重い。何かに覆いかぶされている。そして下腹部からは得も言われぬ快感がじんわりと脳髄へと上がっていた。腕や脚の一部はかさかさした物があたっているが、お腹や胸はなめらかな、人肌があたっている。
「んっ……」
私に覆いかぶさっている者が、声を上げた。記憶にあるより高いものになっているが、懐かしい声。
私は身体を起こした。私に覆いかぶさっていた者が驚いたような声を上げた。同時に乗っていた者以外の物がぱらぱらと身体から落ちる。
それは、灰であった。私の周囲にうず高く積もっている。だが私が今寝ていたベッドは燃えた様子は一切ない。
さて、ところで私はさきほど聞こえた声を「記憶にある」「懐かしい」と感じた。最期に見た光のことも覚えている。そして……
「ジョージ、覚えてる?」
眼の前で首を傾げる、燃えるような赤髪でさらに実際に炎が頭でゆらめている、背中から同じく赤い翼が生えている少女が、不安そうな表情で私を見ていた。
「覚えているよ、ロミア」
少女の姿になったロミアはぱっと顔を輝かせた。そして私の身体を抱きしめてくる。そんな私の身体は、まだ肉付きが薄い、少年の物となっていた。
「良かった、覚えている……! 覚えている……!」
「ああ、忘れるはずがないさ……と言いたいけど、『幸い今回は覚えていられた』いったほうが正しいかな?」
忘れたとしても経験的に言えばやがては思い出せるのだが、それまでの孤独は耐え難いものである。頬を伝うロミアの涙を私は拭った。そして私もどうやら泣いていたらしい。ロミアは赤い翼で私の涙を拭った。
「ありがとう、ロミア……けどさ、このままなのはちょっと格好がつかないんだけど……」
私達は、文字通り生まれたままの姿をしている。それだけではなく……繋がったままであった。これで涙を流しながら祝うというのもちょっと滑稽だ。私達はおかしくなってクスクスと笑った。
「でもジョージ、まだガチガチじゃない。じゃあ、まだできるわよね?」
「そうだね」
そう言って私は逆にロミアを押し倒した。一度性器の結合が解ける。
改めてロミアの姿を見ると最期に見たときと比べてずいぶん様変わりした。この姿を見るのは何度目かではあるのだが、新鮮な気分であり……罪悪感のようなものすら覚える。円熟した身体も魅力的であるが、少女から大人に足を入れたくらいの身体つきもまた一興だ。乳首は男と違うぷくりとした立ち上がりを見せてその周りの裾のを牽引しつつある。腰は幅狭で、ゆえに腹回りもくびれもあまりみられない。だが……それでもこれから発展する兆しを見せ、つまりは繁殖するには十分である。
何より、つい先程まで私のモノを咥えていた、ぽっかりと空いて愛液を垂れ流している性器が、彼女が人ならざる魔物娘であり、男を受け入れることができることを示している。オスを誘う色香を漂わせてやまない。
その危険な姿に、少年の体に戻った私の牡器は臨戦態勢になる。眼の前の雌に種付けをしたいと。
私はロミアの性器に自分のそれの先端を押し当て、そのままぐっと腰を沈めた。姿こそ私達は幼くなっているが、この行為はもう数え切れないくらいにしたこと……何の障壁もなかった。
「あぁん♡」
私を受け入れたロミアが快感に身体をくねらせた。その身体の動きが私を刺激する。
体格の都合上、もともとしっかりと締め付けてくるロミアの膣はさらに圧迫感が強い物となっていた。少し先程のようにくねらせるだけで私の亀頭がこね回される。だが固く押し返すわけでもなく、むしろ奥へ奥へと誘ってくる。その姿といい、快感といい、成熟した姿とは異なる魔性を秘めていた。
その魔に突き動かされるかのように、私は腰を振っていた。少し前までは、互いに寿命が近い身体であったため序盤は遠慮があったが、今はもう若さと生命力にあふれている身体である。遠慮はなかった。
「やぁあああ♡ だめぇえええ♡」
少し前のように彼女は拒否のような声を上げる。だが、先程とは異なり、これは純粋な「もっと気持ちよくして♡」のサイン。それは分かっているため、動きを緩めることはない。
神聖な不死鳥の神殿の寝室に、みだらな大合奏が響き渡る。ぱんぱんと寝室に私の太ももとロミアの尻がぶつかり合う音、ぐちゅぐちゅと二人の結合部から響く水音、少女の嬌声と少年の吐息。その大合奏の一章が終わろうとする。
「ジョージ! またイクっ! イッちゃうよぉお……!」
高めの少女の声の絶頂宣言。私は何も言わないが、限界が近かった。だが、不死鳥という神聖な存在でかつ今は幼い姿をしていながら淫魔である彼女はすべてわかっていた。鱗に覆われた脚を伸ばして私の腰に絡みつけて引き寄せ、ぎっちりとロックする。さらに翼までも使って私を逃すまいとする。
「ジョージも一緒にイッて……ナカに、ナカにいっぱいちょうだい……!」
若き不死鳥のおねだりに私の若き身体は、何かを言うより先に素直にしたがった。どくんと腹の奥で鼓動が起き、その衝撃は輸精管を経て尿道を通り、そして幼きフェニックスの胎内へと放たれた。
「きゅぅううう♡」
腟内に白濁の飛沫を受けて、ロミアも達した。尿道内に残っている精液も搾り尽くさんと貪欲に、膣は収縮する。その刺激に私はさらにぶるりと身を震わせて精を放った。
やがて二人の身体から快感の嵐が通り過ぎて少し落ち着く。だが、官能の炎は収まったかと言うと、そうではない。インキュバスになってから性に関して困るようなことはなかったが、ただ若い身体の勢いというものは格別だ。私のペニスはいきり立ったままだったし、それを見る幼き不死鳥の目は獣欲に輝いている。
「ねえジョージ……もう一回……」
四つん這いになって尻を振って要求するロミア。フェニックスの要求に非があろうはずがない。
夜はまだ長い。そして新しい私達の生はまだ長い……時間など無限にある。
揺れ動くロミアの未発達な尻を押さえ、私はいきり立った牡器を再び牝穴に挿し入れるのであった……
22/10/30 23:16更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)