読切小説
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"ソレ"ガ見エタラ終ワリ
 雨の日の排水路の流れは速い。その排水路の流れに船を乗せればきっと速く進む。その仮説のもと、大雨の日にエルマー少年は黄色のレインコートを着て、新聞紙を折った船をもって外へと飛び出した。
 道路端にできた小さな小さな川に、船をそっと乗せて、手を離す。予想通り船はスイスイと進み始めた。エルマー少年は歓声を上げ、船を追いかけ始めた。
 船は家を一つぶんぬけ、二つぶんぬけ、どんどん進んでいく。エルマーはそれを夢中になって追いかけた。
 しかし彼は一つ大きなことを見落としていた。道路脇の水は最終的にどこに流れ着くのか? 排水溝へと落ちるのだ。当然、丹精込めて作った大切な船も。
「わーっ!? 待ってー!!」
 叫ぶが命なき紙の船は聞く耳持たない。無情にも船は排水溝へと吸い込まれ落ちていった。数秒遅れてエルマーは排水溝へと駆け寄る。覗き込んでみるが深い闇が広がるばかりだ。船の様子は見えない。
 エルマーの心に頭上の空のような重たい雲がかかる。雨で濡れてわかりにくいが彼の目には涙が盛り上がり落ち始めていた。せっかく作った船……それをたった数分で失ってしまうなんて……
 もう一度覗き込んでみるが、船は見えない。さすがのエルマーもこの排水溝の中に入って探検をする気にはなれなかった。諦めて帰ろうとしたその時であった。
「はぁい、エルマーくん」
 突然、排水溝から女性の声が響いた。ぎょっとしてエルマーは再び排水溝を覗き込んだ。
 だしぬけに闇の中から顔が浮かび上がった。顔の半分は黒い仮面で多い、もう片方を白のドーランで塗り固めている。頭からは二本の角のようなものが伸びているがそこには星のマークがおしゃれに刻まれている。
 仮面の目と口は三日月のように笑顔を作っているが、もう半分の顔もニコニコと親しげに、エルマーに笑いかけていた。
 道化師……例えるなら、そうなるだろう。
「あれれ? 挨拶してくれないのかな? それともびっくりしちゃっているかな?」
 現れた道化師は首をかしげてみせる。それは、人がいないはずの排水溝から突然現れたらそれはびっくりする。エルマーは目を白黒させるばかりだ。そんな少年を安心させるように道化師は優しく話しかけた。
「ほぉら、風船はいかがかな?」
 どこからともなく、黄色の風船を取り出してみせる。エルマーのレインコートと同じ、彼のお気に入りの色だ。思わずエルマーは手を伸ばしたが、すぐにその手を引っ込めた。
「知らない人からものをもらっちゃいけないんだよ。パパが言ってた!」
 自分の好意をピシャリを否定された道化師。だが彼女は笑みをますます強くした。
「おー、君のお父さんはしっかり者だねぇ。そんなお父さんの言いつけを守る君もとってもお利口さんだ」
 父親のことと自分のことを良く言われ、思わずエルマーは小さく笑顔を作る。しかしすぐにエルマーは沈み込んだ声を出した。
「パパはもういないよ。りこんして出て行っちゃった」
「おーう、それは残念……お母さんはどうしてるかな?」
「お酒飲んでほかの男とあそんで朝に帰ってくるよ。アバズレだから」
「おおっと、どんなに嫌な人でも、そういう汚い言葉を使うのは良くないなぁ?」
 初対面の人間にたしなめられ、エルマー少年はむっとする。だが気持ちが変わったことで、自分がついペラペラと自分の家庭事情のことを喋っていたことに気づいた。自分をこのように話をするようにしてしまうこのひとは誰なのか……エルマーは再び警戒心を抱く。そんなエルマーに道化師はニコニコしながら自己紹介をした。
「どうもこんにちはエルマーくん。アタシはペネロペ・セージ、踊るピエロさ。気軽にペニーって呼んでね。君はエルマーくん。ほら、これでお互い知り合いになった。でしょ?」
「ああ、そうだね。じゃあボク、行かなきゃ」
「イカなきゃだって!?」
 適当に相槌を打ってエルマーは目の前の不気味な道化師から逃げようとする。だが彼が身を起こした直後に鋭い声が道化師から放たれた。思わず身を固くしたエルマーにやんわりとペニーは話しかける。
「これを置いてイッちゃうのかなぁ?」
 彼女の指先でつままれてゆらゆらと揺らされている物を見て、エルマーの顔が輝き、声を上げる。
「あー、ボクの船!」
「Exactly! そのとおりでございまぁす!」
 エルマーの感情に呼応するかのように、道化師の口が裂けんばかりに開いて笑顔を作る。
「いやぁ、いい船だね。ちゃんと丁寧に折られているし、この雨で船が濡れて重たくなったり破れたりしないように防水スプレーまでされている……おー、これを作った人はすごい人だなぁ」
「ボクが作ったんだ」
「本当! すごいね! ささ、持って帰りなよ」
 そう言って再び手を振ってみせるペニー。しかしエルマーの表情は晴れない。今、ペニーが持っている物を返してもらうにはよくかがんで、手を伸ばす必要がある。なんとなく危ない気がする。
 戸惑っているエルマーにペニーは首をかしげた。
「あれれ? この船を返して欲しいんじゃないのかな? それともアタシと一緒に遊びたいのかな? それもいいよ」
 遊ぶって一体何をすると言うのだろうか? この排水溝の下に何かあるのだろうか? 
 エルマーの心を読み取ったかのようにペニーは答える。
「この下には嵐で流されたアタシのサーカスがあるのさ♪ 綿あめ、ピーナッツ、ホットドック、ポップコーン……乗り物も紙芝居も空中ブランコもなんだってあるよ! それに風船もたくさん! どんな色でも取り揃えているよ!」
「ふうせんは浮くやつ?」
 軽い気体は飛空船などに使われてそれなりに貴重な時代だ。手を離せば飛んでいく風船は非常にレアで持っているだけで周囲の子どもからは人気者になれる一品であった。エルマーの風船への興味が恐怖を上回り始める。
「うん、もちろん……とっても浮くやつだよ……と〜っても……天国までイッちゃうかもね」
 ねっとりとささやく道化師。その囁きに導かれるように、おずおずと手を伸ばすエルマー。
「ここまで来たら……君も天国にイッちゃうかもね!
 次の瞬間、エルマーはバランスを崩して排水溝へと転げ落ちる。雨の日のアスファルトは人が思う以上に滑るものだ。そしてそれだけでなく、滑った彼が踏んだのは……血のような赤い液体であった。
 甲高い悲鳴が周囲に響き渡ったのち……雨の音だけが残った。そこには最初から何もなかったように、だれもいなかった。





「おーう、危ないなぁ……気をつけないといけないぞぉ?」
 仰向けに倒れているペニー。その上にエルマーが倒れ込んでいた。顔にはとても柔らかな感触。身体を起こして、彼はそれが彼女の胸だということに気づいた。
 ペニーの胸は非常に大きく、風船を詰め込んだのではないかというくらいである。彼女の服の胸元はざっくりと大きく開かれており、排水溝よりも深い谷間が刻まれている。その周囲の襟元はおしゃれなフリルがあやどられているが、そんなものなど目に入らないくらい、ペニーの胸の谷間は少年の目を釘付けにした。
 幼くも牡の欲求に忠実なエルマーを見てペニーはくすくすと笑う。
「あれれ? エルマーくん、そんなところをじっと見るなんてエッチだぞぉ?」
 言われてエルマーは飛び上がり、視線を下に下ろす。それも良くなかった。
 ペニーの下半身はぴっちりと身体にはりついているタイツに包まれていた。身体のラインが当然出る。むっちりとした太ももも、つるりと丸くて大きいお尻も、そして……男であれば盛り上がるはずの部分はつるりとしている。お腹は平らでムダ肉など一切ない。むしろすべての贅肉を胸と尻と太ももに盛ったのではないかと思われるくらいの肢体であった。
 再び響くくすくす笑いにエルマーはこれを見るのも良くないと飛び上がり、周囲をきょろきょろと見渡した。
 排水溝の下にこんな世界があったなんて、とエルマーは驚く。ファンシーな空間がそこには広がっていた。ピンクを基調としたその部屋には、先程ペニーが言ったとおりいろんなものが転がっていた。
 無数の種類の色の風船が枝を広げる大樹のように浮いている。離れたところには乗り手が誰もいない回転木馬が動いている。その横には子ども向けと言わんばかりの小さくなった車が停まっていた。
「わああ!」
「気に入ったかな? ようこそペニーのサーカス小屋に!」
 目をキラキラと輝かせるエルマーにペニーは胸を張ってみせる。エルマーはさらに視線を動かす。別のところはお菓子コーナーだろうか。綿菓子、ホットドック、チュロス、スモークターキー、ポップコーン……あらゆるスナックがガラスの保温器の中に収められている。
 ペニーがさっそく綿菓子を一つ取り出してエルマーに与える。夢中になってエルマーはそのふわふわな菓子にかぶりつく。こらこら、お礼はちゃんと言うものだぞとペニーは苦笑した。
 そのペニーのサーカス小屋と称された空間だが、一方で、サーカスらしくないものがあった。一人で寝るにしては大きすぎる天蓋付きの豪奢なベッドが、部屋の中央に鎮座ましましている。ここが彼女のすみかだからとも言えるが、その割にはこの部屋がこのためにあると言わんばかりの配置に、エルマーは幼いながらも違和感を覚える。
 視線を上に向けてみると……天井からは空中ブランコがぶらさっていた。しかし、天井と称したが、どう目を凝らしても天井は見えない。それどころか、自分が落ちてきたはずの穴、入り口も見当たらない。
 そのことをペニーに訊ねると……ペニーの顔が、もう半分の仮面のようにニンマリと笑った。
「おやおや……どうなるのかな? 知らない人についていったり、知らない人に物をもらったり、パパの言うことを聞けないワルぅい子はどうなっちゃうのかなぁ?」
 ペニーの言葉と笑顔に背筋がゾクリと寒くなる。同時にペニーの言葉はなにかひっかかるものがあった。子どもは無知で感情任せかもしれないが、バカではない。習ったことは注意すればすぐに思い出せる。
−−言うことを聞かない悪い子は……
 怒る怖い……それでもどんなときでも味方でいてくれた、今はもういない父親の言葉が脳裏に蘇る。
−−ボギーに食べられちゃうんだぞ!
 思い出すと同時にびくりと震え、恐る恐るペニーを見る。とうとう気づいたかとばかりにペニーは裂けんばかりに大きな口を開けて笑った。わきわきと動かす手の先からは血のような赤いしずくが滴る。
 ボギー……親が子どもに言い聞かせる「悪い子は鬼がさらって食べてしまう」伝承として伝えられている鬼、その一種である。ちなみに他にも子どもにおとなしくするように言い聞かせる伝承の魔物にブギーという種族もいるが、ボギーは特に道化のような姿をことが最大の特徴だ。
 子どもたちはそのような鬼がいると思ってそれを恐れ、親の言うことを聞くものだが……まさか実際に鉢合わせることになるとは、言って聞かせていたエルマーの父親も思っていなかっただろう。
「ヒッ……!」
 綿菓子を捨てて逃げようとするエルマーだが、そんな子どもの足より人間離れしている魔物娘のほうがはるかに速い。あっという間にエルマーはボギーに抱きすくめられる。
「ほぅら捕まえた!」
「わぁああああああ! 助けてぇええええ!!」
 涙を流し、泣き叫ぶエルマー。その様子にペニーはニンマリと笑う。
「ほぉら、泣く子は食べられちゃうんじゃないかなぁ? こんなふうにね!」
 エルマーは強引にペニーと正面に向かい合わせにされる。そしてその泣き叫ぶ口に魔物のアギトが迫る。
 次の瞬間にエルマーが感じたのは痛みではなく、柔らかさだった。ボギーのくちびるがエルマーのそれに押し当てられる。それだけではない。中途半端に開かれていたエルマーの口の中ににゅるりとペニーの舌が入り込んでくる。驚き抵抗することすら忘れた少年の口内を、鬼の舌は悠然と蹂躙し始めた。ねっとりと唾液を塗りたくり、舌にからみついて挨拶をし、親に聞かれたら行儀悪いと言われるような水音をわざと立てる。
 たっぷりと時間をかけてキスをしたボギーは一度少年を解放した。
「あ、はわ……」
 少年の顔には強い困惑が浮かんでいる。自分を食べようとしている魔物娘から逃げなければならない。でも身体が動かない。ペニーが唾液に魔力より錬成した麻痺毒を混ぜ込んだからだ。そんなものをキスでたっぷり味わわされたら大の大人でも動けなくなる。
 だが、彼が困惑の表情をするのはそれだけではない。ボギーが少年に施した濃厚なキス……それはウブな少年の心をあっさりと懐柔していた。心は恐怖を感じているのに、脳を含めた身体はもたらされたキスによる快感を全力で肯定している。その溝にエルマーは混乱していた。
「んふふふふ〜♪」
 抵抗できないことをいいことにボギーは少年をベッドに押し倒し、服を剥いていく。もうすでに水玉を落としきった黄色のレインコートを、同じ色のレインブーツを脱がせてもう興味ないといわんばかりにぽいっと放り捨てる。その下のシャツも、半ズボンも、そして下着も……
 あっという間にエルマーは生まれたままの姿にされる。この姿は風呂に入るときの家族以外に見せたことはない。恥ずかしそうにエルマーは縮こまろうとするが、麻痺している身体は言うことを聞かない。
 それでもどうしても隠したい部分があった。性器である。まだ幼い彼でも、男である。女の身体には興味がある。いけないことと思いならも。そんないけないことをしたときは決まって、性器は血潮を集め、下腹部を叩かんばかりに固く張り詰めて反り返るのであった。
 自分がイケナイことになっているのをなんとか隠そうとするエルマーであるが身体が動かないのでそれは叶わない。ゆえに、彼の勃起はあっさりと目の前の魔物娘の知ることとなる。
「あれれ? こんなところに美味しそうなホットドックがあるぞ〜?」
 ベッドに飛び乗り、猫のように四つん這いでにじり寄ったペニーはペニスに顔を寄せてすんすんと匂いを嗅いでみせる。
「じゃあ、食べちゃうぞ〜♪ いっただきま〜す♡」
「ひっ!」
 それこそホットドックのように食いちぎられる! エルマーは襲いくるであろう激痛に備えて身体を固くする。
「あああああっ!」
 少年の口から悲鳴が上がる。しかしそれは激痛の咆哮ではなく、悦楽と困惑の絶叫であった。
 彼の肉棒はたしかにボギーの口内に収まっていた。だが歯は立っていない。代わりにべろべろとキャンディでのなめ転がすかのように、舌が這い回っている。
「……♪」
 悲鳴を上げるエルマーを見てペニーはにんまりと仮面と同じように笑った。自分の、尿を出すところを咥えこんでそのような表情をする女に、少年は背徳感と快感で震えた。
 時々自分で性器をいじったことはあるが、本当にちょっとだけ。実質、彼は初めて性器を快感を得ることができる器官だということを教え込まれるのは、これが始めてだ。それが魔物娘だったというのは彼にとって幸せなのか、それとも不幸なのか……
 何も知らなかった少年はあっという間に追い詰められる。
「だめぇえ! おしっこ! おしっこ出ちゃう!」
「んぱっ! んん〜? おもらししちゃうのかなぁ?」
 フェラチオを一度中断して、赤く染まった手で勃起したペニスをボギーはやわらかく握り込んだ。彼女の唾液と、指先から滴る魔力のしずくがにちゃにちゃと音を立てる。それはフェラチオと同様に少年に刺激を与え続け……図らずもとどめとなった。
「出ちゃうぅうう!」
「おおぉう!?」
 さすがにこれで射精するとは思っていなかったペニーは素っ頓狂な声を上げる。若きペニスより放たれた精液の勢いは凄まじくペニーの頭の高さを越えてから降り注ぐ。ボギーの髪、角、仮面、顔、そして赤く濡れた手に……
 一方のエルマーも自分の身体から出たものに自分で驚いていた。彼にとって"ソコ"は尿を出すためだけの場所……そこから白い液体が出ることなぞ知ることもなければ想像することもなかった。ましてや、その液体の意義も。
 しかし……意義は分からなくても、身体は今の現象がオスにとって最高の快感であることを本能的に理解していた。
「おお……ふっふっふ〜、出ちゃったねぇ、おもらししちゃったねぇ? イケナイ子だなぁ?」
 おもらし……出した液体の意義を知らないエルマーにとって、そう言われてしまうと悪いことをしてしまった気分になる。誤解ではあるのだが、さすがにここ数年しなかった行為をしてしまったことに羞恥心を覚える。
「でも仕方ないね。気持ちよかったもんね? 我慢できないよね? もっとしてほしいよね? キヒヒ」
 道化師の最後の言葉はエルマーの心を打った。それに呼応するように、ペニスが脈打つ。その様子はまだまだできそうだと、顔にかかった精液を指で拭い、魔力のしずくと一緒に舌で舐め取りながら、ペニーはニンマリと笑った。
 さて、もう何度か搾り取ろうと考えるペニーであるが、同じことをすると言うのは面白くない。ピエロの格好をしているボギーであるが、格好だけでなく、心も姿と同様にエンターテイナーである。怖がらせる反面、相手を愉しませることを重視する。そんなエンターテイナーが同じ芸を繰り返すというのは芸がない。"天丼"という言葉がジパングの芸家にはあるが、それは今やることではない。
 そんなペニーが見せる次なる芸は……
「そういえばエルマーくんはアタシの胸がお気に入りだったね? いやらし〜目でずっと見ちゃって……」
 良くないことだと指摘された気分になってエルマーの顔が赤くなる。そんなエルマーの前でペニーは悠然と服を脱ぎ始めた。襟を伸ばして下ろすと、ぶるんと水風船のような大きな胸が勢いよく飛び出て揺れた。その動きは、先程いやらしいと咎められたにも関わらずそれを忘れて見るくらいに、少年の目を引いた。
 エルマーの反応に満足げに笑いながら、ペニーは胸の谷間に自分の舌から唾液を、指先から魔力のしずくを滴らせる。あっという間に彼女の胸はぬらぬらと濡れて光った。準備を整えたペニーは、濡れた胸の間にエルマーの勃起した性器を迎え入れ、そして胸を左右から手で押し、寄せた。いきり立っていたエルマーの牡器は、ふんわりとペニーの胸の膨らみの中に完全に埋もれてしまった。
「あ、あ、あああ……」
「ふふふ? やわらかいでしょ〜? 綿あめみたいにふわふわでしょう〜? このままふわふわと天国に飛んじゃおうねぇ?」
 そう言ってペニーは左右の胸を交互に上下させた。普段であればぬめりがない胸の谷間も、ペニーが下準備をしたおかげでにちゃにちゃと音を立てながらなめらかにエルマーのペニスをしごき、亀頭をよしよしと幼子の頭を撫でるように撫でた。
 フェラチオや手コキと比べると、刺激は比較的単調だ。それでも、どんな男でも夢中になる風船のような胸に自分の性器が挟まれるというのは、目を釘付けにしてやまない最高のショーであった。
「どうかな〜? 女の人のおっぱいって赤ちゃんにお乳をあげるだけじゃなくて、こんなふうに使ったりするんだよ〜? ほらほら〜」
 言いながらペニーは胸の動きを変えた。左右から圧迫して身体を揺らす動きから、下から揺らしてその振動をペニスに加える。刺激としては穏やかで、もどかしいような快感だが、それ以上に男にはない揺れ方をする柔らかな肉の動きに、エルマーの目はそこから離れない。
 かと思いきや、また左右から圧迫して、力強く身体をはずませ始めた。ぐちゅぐちゅと音を立てながらエルマーのペニスはしごかれ、そして時々谷間からその先端をぴょこぴょこと頭を覗かせる。完全に埋もれずに時々見えることが、自分の性器が胸に憧れる胸に挟まれているという事実を嫌でも教えてくれる。
 再びエルマーの身体に限界が近づいてきた。先程も感じた、陰嚢と肛門の間がぞわりとうごめく感覚を彼は感じ取る。
「だめ! ストップ! また……また白いおしっこ出ちゃう!」
「あれれ? またおもらししちゃうのかな?」
 そう言ってペニーは身体の動きを緩めた。許してくれるのかとエルマーは一瞬ホッとするが、ボギーのニヤニヤ笑いを見て嫌な予感を覚える。
 果たしてその予感は当たった。
「それじゃ、エルマーのちんちんにこんにちはのご挨拶だ」
 そう言って彼女はめいいっぱい首を曲げ、そのくちびるをちゅっと性器に触れさせた。その刺激が止めになった。
「うわぁああん!」
 本能で腰をぐっと突き上げながら、彼は二度目の射精を始めた。体勢ゆえに、噴火した白濁のマグマはほぼすべて、ペニーの顔と仮面が受け止めることとなる。受け止めきれなかったものは彼女の胸へと滴り落ちた。
「ま〜たこんなにおもらししちゃって……本当にイケナイ子だ」
 叱るようなことを言うペニーだが、その調子が楽しそうなのがエルマーの心をかき乱す。本当にイケナイことなのか、それともペニーは喜んでいるのか……
 どっちでも良いかとエルマーは、調理される魚のようにぐったりとベッドの上で脱力した。気持ちよかったのが全てだ。そして先程の白いおしっこをすると、ちょっと疲れた。一回目は感じないくらいであったが、二回目はさすがに分かる。気持ちいいけど、疲れる。
「おおっと、何をぐったりしているのかな? 本番はこれからなんだぞ? フィナーレには最高の物を持ってこないとね?」
 自分の顔や胸につけられた白濁液を舐め取り終わったペニーが言う。一体何があるのかと天蓋をぼんやりと見ていたエルマーが彼女の方を見る。その目が驚きに見開かれた。
 ペニーはとうとう、着ていた服をすべて脱ごうとしていた。少年にとっては胸だけでも刺激が強い女の肌……それがすべて、さらけ出される。
 ピッタリと張り付いていた服が一度剥がれ、そして素肌が見えていく。平らなお腹が見え、へそが見え、そしてさらにその下の大事なところも……
「……!?」
 タイツが太ももまで降ろされる。その時、彼女の股間とタイツをねっとりと粘液が糸を引いていたのを、エルマーは見た。彼の反応から自分が濡れていることを悟られたことに気づき、今度は珍しくピエロのほうが恥ずかしがる番だった。
「おやおや、アタシがおもらししたみたいになっちゃっているのがバレちゃったかな? でもこれはおしっこじゃないんだよ。ほぉら」
 すべてを脱いで生まれたままの姿になったペニーはエルマーをまたいだ。そして、彼女のもっとも大事な部分を、自分の手で広げてみせた。
「ここが女の人のおまんまんだ。これからここでエルマーのちんちんを食べちゃうんだぞ〜?」
 今まで見たことがなかった女性の性器……これから自分を食べようとしてくるもの。それをエルマーは蛇に睨まれた蛙のように固まって見てしまう。
 ペニーの長い脚分の距離があっても、彼女のナカは多くのヒダが備わっているのが見える。そこはたっぷりと蜜を溜め込んでいる。ペニーの口も胸も気持ちよかったが、こんなところに自分の性器を入れたらどうなるのか……少年は想像を放棄していた。
 とろーりと、ボギーの膣口から愛液がこぼれ、エルマーの胸にそのしずくが落ちる。獲物をいたぶっていた道化鬼であったが、その彼女も馳走のお預けも限界であった。だらだらとだらしなく下の口からよだれを垂らし続ける。
 ゆっくりとペニーは腰を落としていく。自分の背中側から手を回してエルマーの肉棒を掴んで暴れるのを抑えた。背中側から手を回したのは、ペニスが入っていく様子をエルマーによく見えるようにするためだ。自分も結合を早く望んでいるが、それでも彼女はエンターテイナーに徹する。
 少年の肉棒の先端が道化師の肉壷の入り口にピタリとハマる。そのままペニーは腰を下ろしていった。
「うああああっ!」
「あはぁあああん!」
 二人の嬌声が絡まりあい、異空間のサーカス小屋に響き渡った。
 道化鬼の膣……それは初めて女を知る少年にとっては酷なまでに極上の名器であった。ねっとりと蜜をまぶしながら、無数の舌のようなヒダが歓迎するかのようにまとわりつき、さらにぎゅぎゅっと周囲からきつく圧迫してくる。ニ度の射精がなければエルマー少年はこの挿入だけでボギーの膣奥に射精していたことだろう。
 一方のペニーのほうも、相手を愉しませることに徹していたがゆえに寂しい思いをしていたその空間に望んでいた物を受け入れ、歓喜の声を上げていた。まだ発展途上である牡器だが、その硬さはしっかりと彼女を愉しませてくれた。
 とは言え、彼女は道化師。相手を怖がらせながらも愉しませることを重視する。
「はぁはぁ……ふふふ……さあさあお待ちかね……今日の最後の最高のショー、踊る道化師(ダンシング・クラウン)の本領を見せちゃうよ! 君を天国へご招待〜♪」
 言うや否や、ペニーは腰をくねらせながらはずませ始めた。激しさこそないが、ねっとりとしたその動きはまるで笛につられて踊る蛇のような妖しげな動きだ。
「あああっ! だめ、それだめぇえ!」
 強烈な刺激にエルマーは悲鳴を上げる。彼女が腰を上下させるたびに彼の亀頭やカリ首をびっしり備わった膣ヒダが撫で回す。更にペニーが腰を揺らし、回すたびにペニスはミキサーにでもかけられたようにもみくちゃにされる。こんな刺激を続けられたら狂ってしまうのではないか……そんな恐怖すらあった。
「あんっ! あ、あ……! いいっ!」
 一方のエンターテイナーであろうとしていたペニーも、徹しきるのは厳しかった。魔物娘にとって獲物のとなった男の肉棒は最高のご馳走……それを味わって我慢できない魔物娘などいない。
 自分の嬌声と結合部の水音いう音楽を追加しながら、ペニーはみだらな踊りを踊り続ける。
「やだっ! やだあ! また出ちゃう! おしっこ、ナカに出しちゃうよぉお!」
 そんな魔物娘の腰捌きをうけて、三度目の射精がエルマーの身体に迫っていた。まだ彼は自分が先程から泌尿器から放っている体液の意義を知らない。故に、その得体のしれない体液を女性の体内に放つことへの恐怖を覚えていた。
 そんな恐怖に怯えるエルマーを、ペニーは起こして抱きしめた。風船のように膨らんだ胸にその顔を埋もれさせ、腰をくねらせ続けながらささやく。
「ふふふ……いいよ、おもらししちゃって。そしたら……いーっぱいよしよししてあげよう。ほら、ほらほーら!」
「……!」
 言葉が引き金になったかのように射精が始まった。三度目だというのに、重力に逆らっているというのに、その射精はこの日一番量が多く、ブギーの子宮口を叩いた。何度も、何度も。
 そして射精を終えたころには、エルマーはぐったりと脱力した。身体が魔力で麻痺しているが、それがなくなっても指一本動かせそうにない。
「おー、よしよし……いっぱい出したねぇ♪ えらいぞぉ、かっこいいぞぉ♡」
 そう言ってたった一人の観客を射精に導いた踊る道化鬼は彼の頭を撫でた。またおもらしをしてしまった……それも、女の人の身体の中に……その罪悪感に打ち震えながらも、彼は最高だった快感の余韻に浸っていた。その様子にペニーは軽く笑いながら耳元にささやく。
「ふふふ……これからもちゃあんといい子でいるんだよ? そしたらもっとご褒美に気持ちよくしてあげるから……♡」




 とある大雨を境に、エルマー少年は恐ろしく聞き分けの良い子どもになった。学校の成績も急激に良くなり、さらに地元では有名な大学に主席で入学するほどであった。それを鼻にかけることなく、礼儀も正しい。離婚してからさらに酒浸りで男遊びが激しくなった母親のもとでどう育つか危惧されていたが、周囲は杞憂だったと胸をなでおろした。
 しかしその背後にいる存在を皆は知らなかった。悪い子のもとに現れて食うと言われる道化鬼の存在を……
「今日もいっぱい頑張ったみたいだね、エルマーくん。えらいぞぉ」
「あっあっ、あああ……」
「そぉんな優秀なエルマーくんがこんな変態プレイが好きだなんて……ほんとうにイケナイ子だ。それでも君は頑張ったからね。気持ちよ〜くしてあげよう。さあ、今日もふわふわと気持ちよくなって天国行きだ! 踊る道化師 ペニー・セージのショーをご堪能あれ♡」
21/10/16 23:14更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)

■作者メッセージ
ご無沙汰しております。沈黙の天使です。

……いや、本当にすみません。後悔はしていませんが反省はしています。
でも「ピエロ」「子ども」と来たらもう脳がすぐに
「はぁい、ジョージぃ」
とおすすめピエロおじさんと結びつけちゃったんですよ! あのおすすめおじさん、本来の設定であればボギーよりショゴスのほうが近いと思うのですが……いや、思いついてしまったものは仕方がない。というわけで一気に書きあげました。途中でボギーの設定で「善良な親から子を奪うことはない」ってのに気づいて訂正をするのが大変だったり、竿役の恐怖を煽りながらも写生したら褒めるとかとっても難しかったのですが……これで、ボギーがどんな魔物娘なのか分かれば幸いです。


ちなみに映画は見ていません……いや、ホラー苦手なんですよ……

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33