連載小説
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後編
 サキュバス系の魔王が支配する世界に迷い込み、リリラウネとなった女騎士レーナと姫シスターのカルミア……一つにして二つ、二つにして一つの身体を持つ魔物娘となった二人は森の奥で陽の光を浴び、水を摂り、静かに緩やかに過ごしていた。
 そんな日々が突然終わりを迎える。
「レーナ、どうかしましたか? そんなにそわそわして……」
 ある朝のことであった。リリラウネの片方の存在、レーナはいつもより甘い香りを振りまきながら、落ち着きなく周囲を見渡していた。
 かつては自分の護衛騎士であり、今は自分の半身にして異なる存在であるレーナにカルミアは訊ねる。
「いえ、何かあったわけではないのですが……その……何かが起きるような気がして……いえ、悪いことではなさそうなのですが……」
 答える女騎士だった者は、普段の物言いとは異なる歯切れの悪い返事をする。そしてそわそわと周囲を見渡す。彼女が頭を動かすたびに後頭部で束ねられた赤茶の髪が跳ねた。
 落ち着かない様子のレーナにカルミアはふふふと、シスターらしく柔らかな笑みを浮かべる。
「レーナがそういうのでしたら、悪いことではない……いえむしろ今日はきっと素敵な日になるのでしょう」
 自分にはその予兆のようなものはあまり感じない。だが、目の前の対なる存在が浮ついているのであれば、それはきっと自分にも嬉しいことが起こる予兆だ。
 自分の対の存在からの香りに目を細めるカルミアであった。




 二人の形にならぬ予感が当たったのはその日の午後であった。がさがさという草葉の音に、リリラウネの大輪の上で日光浴をしていた二人は身を起こした。
 リリラウネの視線の先には揺れる茂み。そこからひょこりと少年が顔を覗かせた。顔は少し汚れており、手足はところどころに小さな切り傷がある。察するに、森に迷い込んでしまったのだろう。
「え、あ、あ……」
 少年は戸惑っている。この世界の魔物娘は人間を取って食うようなことはしない。愛をもって手を取り合う存在である。しかし一部の人間はそうは考えない。反魔物勢である国は少なくなく、また辺境の村などはその影響を受けていることもある。
 この少年もそうだろう。出会ったのが獣より話が通じそうだとはいえ、魔物である。見せている警戒心は色濃い。
 彼の緊張を解こうと、まずはカルミアが声をかけた。
「こんにちは、いい天気ですね、坊や。こんな森にどうしたのでしょうか?」
「え、えーっと……ぼく、道にまよって……」
 やはり迷子だったようだ。話を聞くに、朝からこの森に入り、昼前には帰るつもりだったのだが迷い込んだらしい。弁当のようなものは用意しておらず、空腹でさまよい歩いていたとのことだ。
 困り果てて森の中を歩いていたのだが、何かいい匂いがして導かれるようにしてここにたどり着いた。こういうことらしい。
 恐怖と安心、そして目の前の人ならざるとはいえ女性の裸に対する羞恥心が綯い交ぜで、たどたどしく話す少年にカルミアは目を合わせてうんうんとうなずきながら静かに聞いていた。一方のレーナは周囲の様子を警戒している。しかしちらちらと興味を隠せぬように少年を時々見ていた。
 話を聞いたカルミアはまず少年に食べ物を与えることにした。リリラウネは植物と同様に地中の養分や光、水分だけでも生きていけるが、食べる楽しみを忘れたわけではない。そして楽しみのためにある食べ物なので、惜しいわけでもない。
 保管しておいた果物をカルミアは取り出す。そして少年ではなく、レーナに渡した。
「はい、レーナ。貴女から彼に渡して差し上げなさい」
「ふぇっ!? な、なぜ私が!?」
「私が話を聞いて少しは緊張をとったのですから、今度はレーナの番ですわよ。それに……」
 すっとカルミアは目を細める。そして少年に聞こえぬよう囁いた。
「無意識とは言え、貴女でしょう? 彼をここに呼んだのは……」
 ぞわっと背中が粟立ったかのようにレーナは感じた。固まる女騎士に姫はさらに目をニィッと細めた。
 このお堅い女騎士は男に関しても浮ついた話はなく、異性の好みに関しても「自分より強く、芯のある男」と口にしていた。だが、裏とは表のまた反対。本人ですら気づいていないが、この女が求めている男は、そうではないことをカルミアは気づいていた。
 軟派な男はたしかに好みではない。「芯のある」男を求めてはいた。だが「自分より強い」という点ではどうだったか。むしろ自分が守りたくなるようなか弱い存在ばかり街では目で追っていたことをカルミアは知っていた。そう、ちょうど目の前にいる少年のような。
 カルミアの言葉と視線にレーナは射すくめられたように背筋をこわばらせた。自分ですら分かっていなかった自分の性癖を言い当てられ、そしてそれを自覚し、動揺を隠せない。
 ぎこちない様子でレーナはカルミアから果物を受け取り、それを少年に差し出した。少年は戸惑ったようにレーナを見て、そこから少し下を見て慌てたようにさらに視線を下にずらして果物を見た。そしておずおずと視線を上げずに果物を受け取り、いただきますとつぶやいた。
 そこからは空腹が魔物への警戒心より勝ったのだろう。夢中になってかぶりつき始めた。そんな彼の様子をカルミアはニコニコしながら見つめ、レーナは腕を組んで顔をそらしながらも目だけで見るのであった。
 やがて少年は果物を食べ終えた。そのときには魔物への警戒心も解けたのだろう。満面の笑顔でありがとう、おいしかったとレーナとカルミアに告げた。どういたしまして、とカルミアは笑い、ふん、とレーナは鼻を鳴らした。
 そんな二人に少年は申し出た。何かお礼はできないかと。レーナの耳がぴくりと動き、カルミアは目の奥を光らせた。
「うふふ……お礼をしてくださるのですか? お気持ちだけでも嬉しいのですが……それではお言葉に甘えさせていただきますわ。こちらにいらして……」
 カルミアは少年を手招きした。餌付けされた少年はリリラウネの優しそうな方の言葉に一も二もなく、歩を進める。しかし、目の前の存在は肌の色は違えど裸……それを直視できず、少年の視線は下を向いている。そんな無警戒な少年をカルミアは抱きすくめ、さらにリリラウネのツルを使って彼を捉えた。
「うわ、わわ!? 何するの!?」
「ふふっ、ご心配なさらずとも、取って食べたりはしませんわ。ただ少し、私達とイイコトをしていただきたいだけですわ」
「ひ、姫様……さすがにそれは……」
 横からレーナは遠慮がちに声をかけたが、カルミアは笑って首を横に振る。
「何を言うのですが、レーナ……貴女こそ彼を求めて止まないくせに。同じリリラウネ……貴女の変化に気づいていないとでも?」
 カルミアの言葉にレーナはウッと言葉に詰まる。主に己の性癖を突きつけられてから背筋から汗がじんわりと滲み出し、止まらない。しかし同様に……彼女の性器も熱を持ち、濡れていた。それに比例するかのように彼女のリリラウネとしての男を誘う香りもとどまるところを知らない。
 それでもとばかりに搾り滓程度に残った理性で少年を襲うことを拒むレーナ。そんなレーナにカルミアは歌うように誘う。
「さぁ……欲望に忠実に……情欲に身を任せて……女として、魔物娘として、貴女が望むことを……」
 言霊に導かれるように、リリラウネの大輪の中で、レーナは無言でカルミアに後ろから抱かれている少年に体を寄せる。彼の顔に両手を軽くあてがって上に向け、そのまま荒々しくくちびるを奪った。
 過去に騎士を務めていたレーナのキスは情熱的で苛烈であった。何が起こっているか分からず目を白黒させている少年の舌に自らのそれを絡みつかせ、蹂躙する。
 女騎士の出した答えに姫は満足げに笑った。そして彼女もまた同じ花に咲くリリラウネ。半身が愛した男はもう半身も愛する。しばらくは相方の好きなようにさせていたが、やがて今度は自分の番だと獲物の手を軽く引いて主張する。
 リリラウネの半身であり、また過去に護衛騎士であったレーナはすぐに主の意思を察した。名残惜しくはあるが、少年のくちびるを解放する。すかさずそのくちびるを今度は姫が奪った。
 姫だった彼女のキスは、女騎士とは逆にまったりと穏やかなものであった。ゆっくりと舌を絡みつけたり、時には逃げて口腔内を撫で回したり……
 ただあまり時間をかけすぎるとこの獲物を特に求めた相方が焦れてしまう。カルミアは口を離した。少年の左側に回る。反対側はレーナが絡みついた。
 一つにして二つ、二つにして一つの身体を持つ魔物娘は捉えた獲物に左右同時に迫り、耳に口を寄せて囁いた。
「「さあ……三人で一つになりましょう……」」



 日はまだ高いのに、森の広間では淫靡な空気が漂っていた。裸に剥かれた少年は大輪の中でリリラウネのレーナとカルミアに絡まれていた。
 花の中心で少年はカルミアによって起立を強制されていた。その少年の前にレーナは跪いていた。彼女の目の前には、おとなしそうな顔とは裏腹に筋張っており凶悪な見た目をしている男性器……少年の性器は驚きと魔物娘への恐怖がありながらも、二人の裸体とリリラウネの芳香、そしてこれから味わうであろう快感への期待によって、彼が経験したことがないくらいに固く張り詰めていた。
 そんな性器に女騎士はおずおずと手を伸ばし、握り込んだ。あっ……と、少年と、握った本人の口から声が漏れた。
「熱い……やけどしそうだ……」
 レーナの口からそんな驚きの声が溢れる。だがその手は離れない。それどころか、ゆっくりといやらしく動き始める。少年の口からうめき声が漏れた。
「す、すまない。痛かったか?」
「そ、そ、そんなことないです」
「ふふ、大丈夫ですよレーナ。逃げないということは、そういうことですわ」
 不安そうに見上げる女騎士。少年はその不安を否定し、さらに姫はそれを補佐する。ただそう言っている姫は捉えた獲物を逃すまいと、背後から絡みついていた。むにゅりと双乳が少年の背中に押し付けられ、ひしゃげる。しかしその先端は固く凝っており、ゆえにその存在を主張する。男にはない柔らかな感触に少年の心が昂ぶった。
 少年の心が浮ついたのを察し、レーナの中に嫉妬心のようなものが燃え上がる。その炎は彼女を焚き付けた。
 肉棒を握った手を根本まで引き下ろし、一度止める。そうして露出している少年の性器に顔を近づけ、そのまま咥え込んだ。
「うあ、あ、ああ!」
 少年は思わず声を上げた。突然の温かなぬめった感覚に、堪えられなかった。
 獲物の意識がこちらに戻ったのに満足する。だが女騎士は攻めの手は休めなかった。頭をゆっくりと揺らし始める。それに合わせて後頭部で束ねた髪がゆらゆらと揺れ、くちもとではじゅぷじゅぷと卑猥な水音が立った。
 ただ、卑猥な水音はそこだけではなかった。少年のペニスを握っていない方の手はいつのまにか自らの下肢に向かっており、濡れた秘花にその指を潜り込ませていた。膣壁をかき回し、子宮口をなぞるその動きは手慣れたものであり、彼女がリリラウネになる前からそうしていたことを雄弁に語っていた。溢れ出る蜜は彼女の手をつたい、リリラウネの大輪にしたたり落ちる。
 女騎士の調子が徐々に乗ってきたのを見て背後の姫はにっこりと笑った。ここで対抗するように少年を攻めても良かったのだが、それは無粋だろうと判断したのか、彼女はあまり少年を攻めなかった。ゆっくりと手で体を撫で、自分の体を揺らして肌や胸をこすりつけるに留める。
 それでも少年には刺激が強すぎた。ぶるぶると体を震わせ、言葉にならない声を上げる。少年の体に限界が迫ったことを察したリリラウネは同時に少年の顔を見る。下から、後ろから。
「ふふふ、もう我慢できなくなってしまいましたか?」
 口が空いているカルミアが少年の耳元にいたずらっぽく問いかける。少年は答えられない。レーナが、問答無用でとどめを刺すべく、攻めの手を苛烈にしたからだ。馬の尾の名を持つ髪が、まさに奔馬のごとく跳ねる。
 魔物娘と交わる禁忌感からか、男の意地なのか、射精をこらえようとする少年。そんな彼にカルミアはくすりと笑ってそっとささやいた。
「いいですわよ。イッておしまいなさい」
 そしてそっと耳に息を吹きかけた。
 少年の体が雷に打たれたかのように跳ねた。達したのだ。人ならざる者が相手とはいえ、女性に前後から挟まれ、あまつさえその温かな口腔に攻められる快感は少年の身体に余る代物であった。
 突き出された腰の先、肉竿より白濁液がどぷどぷとほとばしる。しかしそれが日の目を見ることはない。レーナが一滴も漏らさず、口で受け止めたからだ。
 いきなり口の中に突き入れられて驚きこそしたが、口の中いっぱいにあふれる甘美な精に彼女は目を細めている。
−もっと出せ
 そう言うかのように、女騎士はきゅっと尿道に残っている精液まで吸い上げようとする。おかげで少年は射精の最後の瞬間まで快感であった。びくびくと身体をわななかせている。
 もうこれ以上は出ないと判断したレーナはペニスから口を離した。味わうかのように目を閉じ、こくりと喉を鳴らして、口の中にたまった精液を飲み下す。
「あ、あ、あああ……飲んで……」
 自分の泌尿器から出た体液を植物の魔物娘が飲んだ。その背徳感と淫靡さに少年は言葉にならない声を漏らした。
 だがこれで終わらない。次は後ろに控えていた姫の番だ。
 影のように少年の身体をぬるりと撫でながらリリラウネの二人は移動する。今度はレーナが後ろに周り、カルミアが少年の前に跪いた。彼女の前には一度射精してなお怒張を保っている剛直がある。それはレーナの唾液でねっとりと濡れていた。
 満足げに微笑むカルミア。そしてそっと身体をその肉棒に寄せた。また同じようにくわえ込まれるのか。襲いくる快感に備えて少年は身を固くする。だがカルミアは同じことをするのは無芸とばかりに、口唇愛撫を行わなかった。
 カルミアはレーナより大きな胸をもって少年の分身を包み込んだのだ。そしてゆっくりと身体をゆすり始める。リリラウネの身体の表面から分泌されている蜜と先程のレーナの唾液が潤滑油となり、にちゃにちゃと卑猥な音が立った。
「ふふふ、どうですか? 会ったときからずっと、私の胸を見ていらしたでしょ?」
 勝ち誇ったようにニンマリと笑って見上げてくるカルミア。言い当てられて少年の頭にカッと血が上る。顔を赤くしてうつむく少年だが、その目はカルミアの胸から離れない。
 誰もが釘付けになるであろう、現に少年の目を捉えて離さない豊満な乳房……その谷間からひょこひょこと己の泌尿器が顔を覗かせる。あまりにも淫猥な光景であった。胸での愛撫はフェラチオと比べたら刺激はマイルドだ。だがその光景と、何物にも例え難く代えがたい柔らかさはオスの心と身体を焚きつける。谷間でびくんと肉棒がひくついたのをカルミアは敏感に感じ取った。
「お気に召したようですね。それではもう少し激しくいたしましょうか?」
 カルミアの動きが変わった。今まで挟んで身体をゆするだけであったが、手で本格的にペニスをもみくちゃにしにかかる。左右の乳房が交互に上から下へ、下から上へと肉棒を撫でる。谷間の中で少年の分身は暴れまわり……いや、むしろ渦巻に放り込まれた舟のように翻弄される。その刺激はフェラチオと比べるとマイルドであっても、射精に導くには十分な代物であった。
 少年の身体が絶頂の階段を上っているのを感じ取ったのは、身体を後ろから密着させているレーナであった。
「ふふ……身体が震えているぞ? どうだ、カルミア様の胸は気持ちいいか?」
「き、気持ちい……あっ、あっ!」
「……本当に気持ちよさそうだな……私にもできなくはないがそれはまたいつかだな。さぁ、まずはカルミア様に精を捧げるが良い」
 そうして耳に舌を這わせ始めた。少年の身体がさらに大きく震える。耳の溝や穴を撫でられるぞわぞわとしたくすぐったさに、唾液にまみれた舌……それも先程自分を射精に導いた軟体が立てる水音に。
「あんっ、暴れてはいけませんわ」
 カルミアが窘める。しかしそれは、しっかりと挟み込めないからという理由ではない。その動きは自分を追い込んでしまうぞという忠告だ。果たして
「ふああ……出る、出ちゃうよぉお……」
 情けない声で射精感を訴える。カルミアは仕方ないと言わんばかりに慈悲深く優しい笑みを浮かべ、だが胸の圧迫を強めてフィニッシュにかかる。
「ふふ、いいですわよ……私の胸にいっぱいお出しなさい」
「んちゅっ……ほら……出せ……!」
「……!」
 二度目の射精が始まった。それはちょうど、胸の谷間から亀頭が出た瞬間であった。白濁液は宙へと打ち上げられ、そして重力に従って降り注ぐ。カルミアの顔へ、胸へ。あっという間に彼女の緑色の肌は白くべとべとに染まった。
「あんっ、こんなにたくさん……しかもこんなに濃くて……んっ……」
 自分の顔についた白濁液を人差し指でこそぎとり、それに舌を這わせるカルミア。先程レーナが味わった甘美な精液を彼女も味わう。二度目だと言うのにその量も濃さもレーナの口に出したものとほぼ変わらない。
 これならば三発目も……期待に、そして精液の味にカルミアの濡れていた秘唇がよだれを垂らした。
 我慢できなくなった彼女はリリラウネの大輪に腰をおろした。そして脚をカエルのように広げてみせる。そのはしたなさはとてもリリラウネになる前は一国の姫であったとは思えない。だがそんなことも気にならないくらい、彼女の身体は少年を求め、誘っていた。
 その花の誘いに少年は抗えない。カルミアの身体に覆いかぶさり、未だに勃起が衰えない男性器をその姫割れに入れようとする。だが女性器は彼が思う以上に下にあり、おまけに挿入を手助けするはずの愛液によって逆に滑って入り口にはまらない。見かねたリリラウネの片割れが嘆息する。
「ほら……こうだ……!」
 少年の背後に周り、腕を回して性器の根本を押さえつけ、先端をカルミアの膣口にはめる。それだけで少年はびくりと身体を震わせた。しかしレーナは容赦しない。自分が挿入するかのように身体を沈み込ませ、少年の身体を押しやる。押された少年の身体はそのままカルミアに重ねられ、はめ込まれていたペニスはヴァギナへと飲み込まれていった。
「あぁああん♡」
 伸びやかな嬌声がカルミアの口から上がった。リリラウネは二人いながら孤独な魔物娘……互いに互いを慰め合うがそれでも埋めきれない空虚……それが埋められた、歓喜の声であった。
 一方の少年も、カルミアほどではないが、嬌声を伸ばしていた。カルミアの膣は締め付けこそ比較的穏やかだが、たくさんの襞がうじゅるじゅると絡んでくるかのような感触だ。生まれて始めて味わう女の肉……それが魔物娘による極上の肉壷であったのは少年にとって幸運なのか不運なのか……
「ふふ、姫様に挿れてしまったな。どうだ、気持ちいいか?」
「あ、ふわあ……」
「言葉も出ぬか。しっかりしろ。姫様の初めてを奪った責任は重いぞ?」
 後ろから押した張本人が嘯く。少年が振り返り不満げな声を漏らすがレーナは受け流した。
「そら、今は私よりカルミア様を気持ちよくするのだ。手伝ってやろう」
 そう言ってレーナは再び、自分がカルミアを犯すかのように腰を振った。レーナの下腹部が少年の尻にぶつかり、それに衝かれた少年の腰はカルミアに突き挿れられる。反動で少年の腰は戻るが再びレーナがぶつかり、注送が繰り返されることとなる。
「あぁん! これ、すごいですわ! 二人に犯されているみたいで……きゃうん♡」
 レーナと少年の二人の下でカルミアは身体をくねらせてよがる。自分の半身と手に入れた男、二人による快感は彼女の身も心も高ぶらせた。少年の傘によって掻き出された愛液は彼女の尻を伝って花に広がる。
 一方、自分のものではないペースで腰を振らされている少年は溜まったものではない。ペニスしごきぬかれる快感がたまらない。そして自分の身体で巨乳を揺らし、蕩けた顔で嬌声を上げる女が彼のオスとしての気持ちを駆り立てる。それだけでなく背中の女性の存在も意識してしまう。当たるお腹や胸が気になる。
 この倒錯した状況に少年は一気に追い詰められた。宣言をするまでもなく、彼はその熱い滾りをカルミアの中に解き放った。
「あああっ♡ 出てる♡ 熱いのが……私のナカに……!」
 少年の精液を子宮口で受け、その感覚でカルミアは達した。少年の下でぶるぶると身体を震わせ、肉壷をきゅうきゅうと収縮させる。
 カルミアが達したのを見てレーナはぐっと腰を突き入れた。少年の肉棒の先端がぐりぐりとカルミアの子宮口に押し当てられる。少年は締め付けてくる膣肉にさらにしごかれ、カルミアは敏感な性器をさらにえぐられ、二人は絶頂の最後のときまで快感を味わうことができた。
 やがて快感の嵐がすぎさり、少年はぐったりと身体を弛緩させた。カルミアの豊満な胸を枕にこのまま一眠りしそうな調子だ。しかしここでおやすみとはいかない。待っている者がいる。
 カルミアは気だるい身体に鞭を打ち、身体を反転させた。少年を組み敷く形にし、そして結合を解いた。少年は動かない。いや、動けない。それだけ彼は消耗していた。そんな少年に女騎士は跨がる。
「も、もうだめぇ……」
「何を言う。もう一回くらいは大丈夫だ」
 のしかかってきたレーナに少年は弱々しく言ったがそれはあっさりと却下された。
 確かに消耗している少年だが、彼の性器は目の前のメスに種付けしたいと熱り立っており、そしてその精嚢の中では新たな精子がせっせと作られ、溜め込まれている。それが分からない魔物娘ではない。
「けれども、疲れておいでてしょう? 大丈夫、ここからは私達にお任せください♡」
 カルミアが少年の半身を起こし、自らが背もたれとなって耳元でささやいた。これまでもすべて彼女たちにいいようにされていた気もするが、それを言い返す気力は少年にはなかった。疲れと、背中に当たる柔らかな感触と、そして目の前の別の裸体にそのような文句はどうでも良い。
 用足のようにはしたなく脚を広げながら、レーナは見せつけるようにして腰を落としていく。実際、少年はそれを食い入るように見つめる。カルミアが相手の時は結合部はよく見えなかったが、今度は何の阻みもなく、全てが見える。近づいてくる秘花が、そしてそれを期待してひくついている自分の性器が。
 今は背後のカルミアより自分に少年が夢中になっているのに満足したレーナは軽く笑った。そして少年を迎え入れた。
「うううう……!」
 レーナの膣の感触に少年は喜びのうめき声を上げる。レーナの膣は性格よろしく、かなり締め付けがきつい。リリラウネになる前は騎士だった彼女だ。自然と鍛えられたそこは、カルミアとはまたひと味違った男殺しの名器へと仕上がっていた。 
「ふふ……いいぞ、あんなに出したのにまだ固くて、熱くて……あああ……」
 一方のレーナも涼しい顔ではない。長めにおあずけされて寂しい思いをしていた彼女の身体……それがようやく埋められた。
 だが、それだけでは満足できない。
「動くぞ」
「ま、待って、まって! あああ!」
 少年の制止を聞かず、レーナは動き出した。少年の上で腰を弾ませる。かつて騎士だけあって馬に乗っているかのような動きであった。
 きつい締め付けでしごきぬかれ少年は身体をわななかせる。そんな少年を後ろから乳首を撫でながらカルミアはささやきかけた。
「ほぉら、見てご覧なさい……あなたとレーナがつながっている場所を……♡」
 快感でもうろうとしている少年は言われるがまま首を下に曲げて自分たちの結合部を覗き見る。レーナが腰を上げるたびに陰唇が肉竿にぴったりとまとわりついてしごきながら愛液を塗りたくっていく。そして腰を落とすたびにすべてがレーナの胎内へと消え、二人がしっかりと繋がっているのを示している。
「あ、あああ……しごかれてる……」
「しごいているぞ……んんっ、このレーナが……あっ♡」
 声がした方につられて向いてみると、そこには自分とつながっているリリラウネの顔があった。当初のキツそうな印象はナリを潜め、快感でとろけきってしまっている。
 レーナも少年が自分の方を向いていることに気づいた。少し恥ずかしかったのか、ハッとした顔つきだ。
 照れ隠しをするかのように少年の顔を両手で包んで抑え込み、自分の顔を一気に近づけた。二人のくちびるが繋がる。
 女騎士のキスは初めと同様に苛烈であった。強引に少年のくちびるをこじ開けて舌をねじ込んでくる。この頃には少年も慣れてきたのか、おずおずとながら舌を絡め返してきた。
 その間もレーナの腰の動きは止まらない。いや、もっと激しくなっていた。上下だけではなく、さらに器用に前後に腰をくねらせていた。
 女騎士の巧みな腰捌きに少年は追い詰められていく。
「ぷはっ、だめぇ……来ちゃうよぉお……」
 口づけから逃れて降参を宣言する少年。しかし言い訳は聞かないとばかりに再びレーナがそのくちびるを塞いだ。後ろからカルミアも囃し立てる。
「大丈夫ですわ。そのままお出しなさい。どくどく……どくどく、と……レーナの中に……たっぷりと」
「んんっ! んんっ! んんんーっ!!」
 暴力的なまでの快感に少年は身体をよじり、悲鳴を上げる。しかしリリラウネに絡み付かれて逃れることは能わず、悲鳴はすべてレーナの口に吸収された。
 四度目の射精が始まる。腰をぐんと突き上げて少年はその精をもうひとりのリリラウネに捧げた。彼女の膣内では少年の精液が、重力に逆らって放たれ、亀頭と子宮口の隙間から勢いよく溢れる。四度目とは思えぬ量であった。
 突き上げられ、中で爆ぜた精に、レーナも絶頂へと押し上げられた。快感に吹き飛ばされまいとするかのように、少年の身体にしがみつく。もちろん、つながっている部分も離れることはない。
 しばらく二人はキスをしたまま、アクメの余韻に浸っていた。名残惜しそうに結合を解いたのはレーナの方からであった。少年は……気絶してしまっていた。
「む……やりすぎてしまったか」
「ええ、やりすぎてしまいましたわね、これは……大丈夫、息はありますわ。休ませましょう」
 少年をそっと大輪の中心に横たえ、リリラウネもその少年を挟むようにして身を横にした。休みの間も少年を離したくないように、二人は脚を絡めたり胸を押し当てたり、軽く撫でたりしている。少年はむず痒そうに顔を動かすが、それでもぐっすりと眠っていた。
「ふふ、気持ちよさそうに眠っているな……」
「ええ、そうですわね……起きたらまた愛し合いたいですわ……」
「カルミア様……もう少し休ませてやってもよろしいのでは……」
「あらレーナ、あなただって愛し合いたいくせに……」
 少年を挟んでリリラウネの女騎士と姫は軽口を叩きあい、くすくすと笑う。だが、彼女らとて眠そうであった。それに日は傾き始め、植物は眠る時間だ。性行為の気だるさもあり二人のまぶたは重い。そのまま彼女らの目も閉じられた。
 リリラウネの意識が闇に飲まれていく。その直前、二人は同時に囁いていたのであった。

「「ずっと、三人で、一緒ですよ……」」
21/02/26 23:31更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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■作者メッセージ
 いただいたリクエストは魔物化まででしたが、せっかくならと言うことでその後のエロも書かせていただきました。このおカタイ女騎士は実はショタコンだったとさ。
 そんなわけでいかがだったでしょうか? フェラチオにパイズリにサポート正常位と盛りだくさんな3Pでしたが(やっぱり複数人プレイは作文カロリーが大変です)、おかずになりましたら幸いです。

ではまたどこかで、こちらクロビネガかpixivなど他の媒体でお会いしましょう。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33