前章
「レーナ、私達一体どうなるのでしょう?」
「姫様……お気を確かに……!」
不安げに尋ねるシスター姿の女に、軽鎧で身を固めた女は応える。しかし彼女の声も焦りがにじみ出ている。
異世界より来訪した女騎士レーナと姫シスターのカルミア……二人は今、巨大な花に包まれていた。森の中、カルミアが足を滑らせて斜面から落ちそうになった。慌ててレーナは助けようと手を伸ばしたが彼女もつられて滑落。落ちた先にあったのが巨大な花であった。落下して首の骨を折るなどの事態は避けたが状況は良くない。二人の墜落を感知したかのように花は閉じて二人は閉じ込められたのだった。
陽の光で透けているか互いの姿はかろうじて見える。だがかと言って状況は良くない。レーナが力いっぱい花弁の壁に力を込めてもぐんにゃりと曲がるだけで花が開く様子はない。剣は転がり落ちたときにどこかに落としてしまったらしい。
そうこうしているうちに壁から粘液がにじみ出始めた。
「う……何ですの、これ……」
顔をしかめるカルミア。粘液はあっという間に二人の衣服を髪を濡らし、べとべとと肌にまとわりつく。レーナも眉を寄せている。不快さだけではなく、焦りに。この花が食人花の一種ではないかと考えたのだ。実際、二人の服が魔法のように溶けていくことがその考えを加速させる。
あっという間に二人は花の中で生まれたままの姿になった。普段は革鎧に、修道服に隠されている肢体が顕になる。
レーナは騎士を務めているだけあって引き締まった体をしている。しかし胸の上に乗っている果実は柔らかく、彼女が女であることを主張しており、身体の方も引き締まっていると言ってもゴツゴツした様子はなく、適度に柔らかさを見せていた。カルミアはレーナと比べるとさらに柔らかだ。特に胸周りと腰回りの大きさは顕著にレーナを上回っている。しかしかと言って余分なに肉はなくお腹周りは平らだ。
双方に差はあれど、どちらも極上の肢体であることは間違いないだろう。その身体が花の中でもみくちゃにされていた。
このまま消化されるのか……焦ってレーナは暴れるが、事態は好転しない。息が上がり、体力を消耗しただけであった。
一度息を整えるために暴れるのをレーナはやめる。そうすると少し冷静になることができ、あることに気づいた。
『……服を溶かされたが、他は溶けていない?』
革や金属、ほか布地の物はすべて溶かされたが、髪は溶けておらず、肌も灼けていない。衣服だけが溶かされたのだ。
『それにこの動き……』
自分たちをもみくちゃにしようとする動き……最初は消化のための蠕動運動にも思えたのだが、どこか艶めかしい様子がある。尻や脇腹を撫でる様子とか、意識してしまうとそのようにしか感じられない。
さらに思えば、自分の息も整わない。確かに暴れて疲弊はしたがこの程度であれば少し休めば回復する。しかし息は未だに荒いままだ。花に閉じ込められており、湿度も高いということもあるのかもしれないが、これは
『発情……』
レーナとて年頃の女であり、自分の身体を、性の快楽をよく知っている。自分の身体の変化には思い当たるところがあった。そして気づいてしまう。自分の性器が濡れていることに。身体の熱を逃がすかのように愛液が分泌され、とろとろと膣壁を撫でて外へと出ていく。彼女の内腿は花の粘液と自分の汗の他に、その秘花から溢れ出た蜜によって濡れていった。
「レーナ……」
カルミアも同じような状況であった。こちらを護衛騎士を見上げる彼女の目はとろんととろけきっており、だらしなく半開きになった口からはひっきりなしに熱い吐息がこぼれている。おそらく彼女の、誰にも触れられていないやんごとなき姫割れも濡れきっているはずだ。
それだけではない。カルミアの反応はレーナより顕著であった。すっと彼女は侍従の尻に手を回したのだ。
「ふあっ!? か、カルミア様、何をっ!?」
騎士らしからぬ可愛らしい声を上げ、動揺した声をレーナは上げる。尻の膨らみを撫で回されただけで、くすぐったいだけではない声が出たのだ。それ以上に、カルミアの突然の行動に騎士は驚く。
護衛騎士の反応をよそに姫シスターの動きはさらに大胆になる。尻を撫で回し、さらに顔を胸に近づけた。そして熱っぽくささやく。
「レーナのお尻、すごくすべすべしていますわね……それに胸も、騎士なのにこんなに柔らかくて……」
「ふわぁあああっ!」
嬌声を上げてレーナはのけぞる。いつの間にかカルミアの片手はレーナの胸に回っており、愛撫を施していた。やわらかさを楽しむように揉みしだかれ、細い指で頂きを転がされる。
それだけではない。もう一方の胸の先端をカルミアは口に含んだのだ。温かな口腔粘膜の中で、発情して尖った乳首が舌でこねくり回される。
純真可憐な姫シスターとは思えぬ技巧に女騎士は声を上げて身を捩って悶える。
「カルミア様……おやめくださ……んあぁあ!」
「んん、ちゅぱ……ほら、レーナも私の身体を触って……」
「そんなことできな……うわっ!?」
今度は純粋に驚きの声をレーナは上げる。花の壁が意志を持っているかのようにレーナの身体を押したのだ。結果、レーナはカルミアの身体を抱きしめる形になってしまった。
その身体のやわらかさに、肌のなめらかさに、思わずレーナはカルミアを振り払うことを忘れて固まってしまう。そしておずおずと、手を動かして愛撫を始めた。背中、脇腹、尻……
「んっ、いいですわよ、レーナ……」
護衛騎士の動きに満足したカルミアは、さらに自分も気持ちよくなろうと、彼女の脚を自分の脚の間に誘い込む。そのまま太ももに自分の性器を押し当て、上下に揺り動かし始めた。花の粘液と自身の愛液によってぬめっていたため、痛みはなく快感がカルミアの下腹部から脳へと突き抜ける。
「んんっ! あはぁ……いい……」
カルミアの口から甘い嬌声があがる。快感にとろけ始めた姫の動きは大胆になった。胸を撫でていた手が下へと伸びる。その手指は女騎士の脚の間にたどり着き、そのまま間にある大事な場所へと潜り込んだ。
「あっ、あっ、ああああっ!」
内側から押し広げられる圧迫感と膣壁を撫でられる感覚……レーナは逃げるように身を捩って声を上げる。しかしカルミアの脚が絡みついて逃してくれない。レーナが本気で嫌がっている訳ではないと見抜いているからだ。声を上げたのは苦痛からではなく、快感から……身体も、喜んでおり、下の口はよだれを垂らしながら指を咥えて離すまいときゅうきゅう締め付けている。
「ふふっ、レーナの声……すごく可愛らしいですわ……あむっ……」
自分の愛撫が騎士に通じていることを察した姫はさらに攻めに出た。揺れる胸の先端をくわえ込み攻め立てる。ちゅぱちゅぱと音を立てて吸い、舌で舐め転がし、ときどき歯やくちびるで甘噛する。
「あっ、あっ、いやぁあ……」
姫シスターの寵愛に女騎士は嬌声を上げて悶えた。片腕をカルミアの背中にまわして引き剥がそうとする……いや、むしろ積極的に抱き寄せているような形になっている。自分でもどうしているのかどうしたいのか分からない。頭に桃色のもやがかかり、身体が限界を迎えようとしている。
『まずい……このままだと……イッてしまう……』
お硬い雰囲気に反して、自慰で自分の身体のことを良く知るレーナはその限界が近いのを察知した。だが察知できたところでなすすべはない。カルミアに胸を吸われ、膣内をかき回され、さらに全身を花の粘膜で愛撫され……
悲鳴を上げながらレーナは花の中で身体を弓なりに反らせる。アクメを迎えたのだ。身体が細かくびくびく震え、膣肉は咥えこんでいるカルミアの指をきゅうきゅうと締め付ける。
「ああ、レーナ……なんて可愛らしい……」
恍惚とつぶやくカルミアも身体を震わせている。軽くイッているのだ。性器をこすりつけるだけではなくより愛撫すればより深いオーガズムが得られるだろうが、それより今は姫シスターは護衛騎士を弄ぶのに夢中になっている。
達した直後の敏感な身体を愛撫され、身体を戦慄かせるレーナ。だが快感とは別に彼女は違和感を覚えていた。
『なんだ……これは……私の中から何かが抜けて、何か私ではない物が入ってくる感覚は……』
慣れ親しんだオナニーのオーガズムではこんな感覚はない。レーナは戸惑う。さらにその入り込んでくるものが決して不快ではない、かと言って破滅的な何かであることがより困惑させる。
レーナの戸惑いなどつゆ知らず、カルミアはせっせとレーナを愛撫し続けた。
「か、カルミア様! も、もうおやめに……うぁあああ!」
「ほら、レーナ……もっと気持ちよくなって……さっきの可愛らしい姿、もう一度お見せになって……」
一度達したらもう遠慮は無用だろう。激しく攻め立てる。お硬い騎士の股からぐちゃぐちゃとはしたない水音が立った。潜り込んでいる姫の手は、植物の粘液とは異なる液体に濡れまみれている。すべて女騎士の愛液だ。
その手がさらに別の液体で濡れる。達したと同時にレーナが潮を吹いたのだ。一瞬カルミアの顔が驚きに彩られるが、すぐに聖母のような慈悲深く見える笑みをたたえた。
「ああ、レーナ……またこんなに気持ちよくなったのですね……」
「あ、あ、あああ……」
レーナは返事をできない。身体はだらしなく脚をカエルのように広げ、嬌声混じりの乱れた呼吸をするだけで精一杯だ。頭の方もモヤがかかっていてうまく回らないが……それでも先程の違和感がもっと強くなったのはしっかりと感じる。まるで潮と一緒に何かが出ていき、何かが入り込んだ感覚……そして、普段なら絶対考えないであろうこと……人間を超越し、かつその人間を見下すわけではなく手を引いてともに高みにのぼりたい……大切に思う気持ち、愛……
その今までの自分になかった気持ちに突き動かされるかのように、レーナの身体が動く。一方の手はしがみつくようにカルミアの身体に絡みついていたが、もう一方の手は空いていた。その手が動き出す。
姿勢も少し変え、レーナは空いていた手をカルミアの下肢に這わせた。
「あんっ!」
予想していなかった女騎士からの反撃に姫は嬌声を上げる。しかし出過ぎた真似をと怒りなどしない。むしろようやく来てくれたかとご満悦だ。脚を広げて、挟んでいたレーナの太ももを解放する。そして広げた脚はそのまま、レーナの指を誘った。それまで誰も迎え入れたことのない、やんごとなき姫の花園に。そこは先程から従者の太ももに敏感な尖りと入り口をこすりつけていたがゆえに、たっぷりと濡れて挿入の準備を整えていた。
静かに、だが臆することなく、女騎士の指は姫の大切なところに潜り込んだ。
「ああ……レーナが私の中に……!」
びくびくと身体を痙攣させながら、カルミアはレーナの指を受け止める。何者も受け入れたことのない彼女のソコは、下準備ゆえに苦痛なく挿入を受け入れることができた。
しかし、予想される快感への期待のあまり、そして相手の身体に夢中になっていたあまり、二人は自分たちの身体の変化に気づくことができなかった。自分たちの手先や足先が、植物のように緑色に染まっていることに。
肌の色の変化はじわじわと広がっていく。手先足先の濃い緑は広がり、
「カルミアさま……ダメです……そんなにされては……またイ……クッ……!」
「レーナ、レーナぁ! 私も来ますから……もっと、もっとぐちゅぐちゅして……!」
二人は互いの股間をいじり合い、二人一緒に身体を震わせて達した。
オーガズムを迎えたそのとき、二人の身体の変化は大きく現れた。ぐんと手足の緑色の面積が大きくなる。そして達したタイミングから、手足意外の肌も二人の快感の熱にあぶり出されるようにゆっくりと薄緑に変わり始めた。
だが二人は気にせず、そもそも気づく余裕などもなく、互いの身体を貪りあう。自分が変わるような感覚が恐怖はないわけではないが、快楽がそれを塗りつぶし、またその変わる感覚もそう邪悪なものではないとなんとなく感じていた。
二人の交わりをより盛り上げようと、二人を包み閉じ込めている花も蜜を分泌する。粘液でどろどろになりながら、二人は何度目か分からないアクメを迎えようとしていた。
「ああ、レーナ! イク……またイキますから一緒に……一緒にぃい!」
「ふああっ! カルミア様……んあああああ!」
すでに人としての肌をすべて捨てた二人は、抱き合いながら天国を仰ぎ見て、そして気を失った。
外はすでに夜であったが、その二人が達したとき、二人を包んだ百合の花が一瞬、ほのかに光ったのであった。
日が昇った。それに釣られるように、森の花が開く。
同じように、レーナとカルミアを包んでいた巨大な百合の花も大輪を咲かせた。
それまで気を失っていたレーナは眩しい日の光に眉を少し寄せ、そして目を覚ました。額に乗せていた右腕を振り上げ、うんと伸びをする。そして左を見た。
自分の腕を枕にして、自分の主、姫シスターのカルミアがすやすやと眠っていた。その肌は植物のような緑色になっている。彼女が枕にしている自分の腕も緑色だ。だがレーナは驚かない。目を覚ましたその時から、土が水を吸うように、この世界の理がレーナの頭の中に染み込んできていた。おそらくカルミアもそうだろう。
この世界は自分たちが元いた世界とはまた異なる世界……女淫魔の魔王と対する主神がせめぎ合う世界……だが魔王、そして魔物……いや、魔物娘は、決して邪悪な存在ではなく、愛をもって人間と融合し一つの種族に統合されることを目指している……ここはそのような世界だ。そして自分たちは植物の魔物娘、アルラウネの変異種、一つの花に二つの身体を持つ"リリラウネ"になったのだ。
人間ではなく、リリラウネになった。旅を止め、ここで暮らし、男を娶る。ただ、変わったのはそれだけだ。それ以外は変わっていないし、変わっていても気にするほどではない。
だから、レーナはいつもどおり、カルミアに声をかけた。
「カルミア様、朝です。起きてください」
「姫様……お気を確かに……!」
不安げに尋ねるシスター姿の女に、軽鎧で身を固めた女は応える。しかし彼女の声も焦りがにじみ出ている。
異世界より来訪した女騎士レーナと姫シスターのカルミア……二人は今、巨大な花に包まれていた。森の中、カルミアが足を滑らせて斜面から落ちそうになった。慌ててレーナは助けようと手を伸ばしたが彼女もつられて滑落。落ちた先にあったのが巨大な花であった。落下して首の骨を折るなどの事態は避けたが状況は良くない。二人の墜落を感知したかのように花は閉じて二人は閉じ込められたのだった。
陽の光で透けているか互いの姿はかろうじて見える。だがかと言って状況は良くない。レーナが力いっぱい花弁の壁に力を込めてもぐんにゃりと曲がるだけで花が開く様子はない。剣は転がり落ちたときにどこかに落としてしまったらしい。
そうこうしているうちに壁から粘液がにじみ出始めた。
「う……何ですの、これ……」
顔をしかめるカルミア。粘液はあっという間に二人の衣服を髪を濡らし、べとべとと肌にまとわりつく。レーナも眉を寄せている。不快さだけではなく、焦りに。この花が食人花の一種ではないかと考えたのだ。実際、二人の服が魔法のように溶けていくことがその考えを加速させる。
あっという間に二人は花の中で生まれたままの姿になった。普段は革鎧に、修道服に隠されている肢体が顕になる。
レーナは騎士を務めているだけあって引き締まった体をしている。しかし胸の上に乗っている果実は柔らかく、彼女が女であることを主張しており、身体の方も引き締まっていると言ってもゴツゴツした様子はなく、適度に柔らかさを見せていた。カルミアはレーナと比べるとさらに柔らかだ。特に胸周りと腰回りの大きさは顕著にレーナを上回っている。しかしかと言って余分なに肉はなくお腹周りは平らだ。
双方に差はあれど、どちらも極上の肢体であることは間違いないだろう。その身体が花の中でもみくちゃにされていた。
このまま消化されるのか……焦ってレーナは暴れるが、事態は好転しない。息が上がり、体力を消耗しただけであった。
一度息を整えるために暴れるのをレーナはやめる。そうすると少し冷静になることができ、あることに気づいた。
『……服を溶かされたが、他は溶けていない?』
革や金属、ほか布地の物はすべて溶かされたが、髪は溶けておらず、肌も灼けていない。衣服だけが溶かされたのだ。
『それにこの動き……』
自分たちをもみくちゃにしようとする動き……最初は消化のための蠕動運動にも思えたのだが、どこか艶めかしい様子がある。尻や脇腹を撫でる様子とか、意識してしまうとそのようにしか感じられない。
さらに思えば、自分の息も整わない。確かに暴れて疲弊はしたがこの程度であれば少し休めば回復する。しかし息は未だに荒いままだ。花に閉じ込められており、湿度も高いということもあるのかもしれないが、これは
『発情……』
レーナとて年頃の女であり、自分の身体を、性の快楽をよく知っている。自分の身体の変化には思い当たるところがあった。そして気づいてしまう。自分の性器が濡れていることに。身体の熱を逃がすかのように愛液が分泌され、とろとろと膣壁を撫でて外へと出ていく。彼女の内腿は花の粘液と自分の汗の他に、その秘花から溢れ出た蜜によって濡れていった。
「レーナ……」
カルミアも同じような状況であった。こちらを護衛騎士を見上げる彼女の目はとろんととろけきっており、だらしなく半開きになった口からはひっきりなしに熱い吐息がこぼれている。おそらく彼女の、誰にも触れられていないやんごとなき姫割れも濡れきっているはずだ。
それだけではない。カルミアの反応はレーナより顕著であった。すっと彼女は侍従の尻に手を回したのだ。
「ふあっ!? か、カルミア様、何をっ!?」
騎士らしからぬ可愛らしい声を上げ、動揺した声をレーナは上げる。尻の膨らみを撫で回されただけで、くすぐったいだけではない声が出たのだ。それ以上に、カルミアの突然の行動に騎士は驚く。
護衛騎士の反応をよそに姫シスターの動きはさらに大胆になる。尻を撫で回し、さらに顔を胸に近づけた。そして熱っぽくささやく。
「レーナのお尻、すごくすべすべしていますわね……それに胸も、騎士なのにこんなに柔らかくて……」
「ふわぁあああっ!」
嬌声を上げてレーナはのけぞる。いつの間にかカルミアの片手はレーナの胸に回っており、愛撫を施していた。やわらかさを楽しむように揉みしだかれ、細い指で頂きを転がされる。
それだけではない。もう一方の胸の先端をカルミアは口に含んだのだ。温かな口腔粘膜の中で、発情して尖った乳首が舌でこねくり回される。
純真可憐な姫シスターとは思えぬ技巧に女騎士は声を上げて身を捩って悶える。
「カルミア様……おやめくださ……んあぁあ!」
「んん、ちゅぱ……ほら、レーナも私の身体を触って……」
「そんなことできな……うわっ!?」
今度は純粋に驚きの声をレーナは上げる。花の壁が意志を持っているかのようにレーナの身体を押したのだ。結果、レーナはカルミアの身体を抱きしめる形になってしまった。
その身体のやわらかさに、肌のなめらかさに、思わずレーナはカルミアを振り払うことを忘れて固まってしまう。そしておずおずと、手を動かして愛撫を始めた。背中、脇腹、尻……
「んっ、いいですわよ、レーナ……」
護衛騎士の動きに満足したカルミアは、さらに自分も気持ちよくなろうと、彼女の脚を自分の脚の間に誘い込む。そのまま太ももに自分の性器を押し当て、上下に揺り動かし始めた。花の粘液と自身の愛液によってぬめっていたため、痛みはなく快感がカルミアの下腹部から脳へと突き抜ける。
「んんっ! あはぁ……いい……」
カルミアの口から甘い嬌声があがる。快感にとろけ始めた姫の動きは大胆になった。胸を撫でていた手が下へと伸びる。その手指は女騎士の脚の間にたどり着き、そのまま間にある大事な場所へと潜り込んだ。
「あっ、あっ、ああああっ!」
内側から押し広げられる圧迫感と膣壁を撫でられる感覚……レーナは逃げるように身を捩って声を上げる。しかしカルミアの脚が絡みついて逃してくれない。レーナが本気で嫌がっている訳ではないと見抜いているからだ。声を上げたのは苦痛からではなく、快感から……身体も、喜んでおり、下の口はよだれを垂らしながら指を咥えて離すまいときゅうきゅう締め付けている。
「ふふっ、レーナの声……すごく可愛らしいですわ……あむっ……」
自分の愛撫が騎士に通じていることを察した姫はさらに攻めに出た。揺れる胸の先端をくわえ込み攻め立てる。ちゅぱちゅぱと音を立てて吸い、舌で舐め転がし、ときどき歯やくちびるで甘噛する。
「あっ、あっ、いやぁあ……」
姫シスターの寵愛に女騎士は嬌声を上げて悶えた。片腕をカルミアの背中にまわして引き剥がそうとする……いや、むしろ積極的に抱き寄せているような形になっている。自分でもどうしているのかどうしたいのか分からない。頭に桃色のもやがかかり、身体が限界を迎えようとしている。
『まずい……このままだと……イッてしまう……』
お硬い雰囲気に反して、自慰で自分の身体のことを良く知るレーナはその限界が近いのを察知した。だが察知できたところでなすすべはない。カルミアに胸を吸われ、膣内をかき回され、さらに全身を花の粘膜で愛撫され……
悲鳴を上げながらレーナは花の中で身体を弓なりに反らせる。アクメを迎えたのだ。身体が細かくびくびく震え、膣肉は咥えこんでいるカルミアの指をきゅうきゅうと締め付ける。
「ああ、レーナ……なんて可愛らしい……」
恍惚とつぶやくカルミアも身体を震わせている。軽くイッているのだ。性器をこすりつけるだけではなくより愛撫すればより深いオーガズムが得られるだろうが、それより今は姫シスターは護衛騎士を弄ぶのに夢中になっている。
達した直後の敏感な身体を愛撫され、身体を戦慄かせるレーナ。だが快感とは別に彼女は違和感を覚えていた。
『なんだ……これは……私の中から何かが抜けて、何か私ではない物が入ってくる感覚は……』
慣れ親しんだオナニーのオーガズムではこんな感覚はない。レーナは戸惑う。さらにその入り込んでくるものが決して不快ではない、かと言って破滅的な何かであることがより困惑させる。
レーナの戸惑いなどつゆ知らず、カルミアはせっせとレーナを愛撫し続けた。
「か、カルミア様! も、もうおやめに……うぁあああ!」
「ほら、レーナ……もっと気持ちよくなって……さっきの可愛らしい姿、もう一度お見せになって……」
一度達したらもう遠慮は無用だろう。激しく攻め立てる。お硬い騎士の股からぐちゃぐちゃとはしたない水音が立った。潜り込んでいる姫の手は、植物の粘液とは異なる液体に濡れまみれている。すべて女騎士の愛液だ。
その手がさらに別の液体で濡れる。達したと同時にレーナが潮を吹いたのだ。一瞬カルミアの顔が驚きに彩られるが、すぐに聖母のような慈悲深く見える笑みをたたえた。
「ああ、レーナ……またこんなに気持ちよくなったのですね……」
「あ、あ、あああ……」
レーナは返事をできない。身体はだらしなく脚をカエルのように広げ、嬌声混じりの乱れた呼吸をするだけで精一杯だ。頭の方もモヤがかかっていてうまく回らないが……それでも先程の違和感がもっと強くなったのはしっかりと感じる。まるで潮と一緒に何かが出ていき、何かが入り込んだ感覚……そして、普段なら絶対考えないであろうこと……人間を超越し、かつその人間を見下すわけではなく手を引いてともに高みにのぼりたい……大切に思う気持ち、愛……
その今までの自分になかった気持ちに突き動かされるかのように、レーナの身体が動く。一方の手はしがみつくようにカルミアの身体に絡みついていたが、もう一方の手は空いていた。その手が動き出す。
姿勢も少し変え、レーナは空いていた手をカルミアの下肢に這わせた。
「あんっ!」
予想していなかった女騎士からの反撃に姫は嬌声を上げる。しかし出過ぎた真似をと怒りなどしない。むしろようやく来てくれたかとご満悦だ。脚を広げて、挟んでいたレーナの太ももを解放する。そして広げた脚はそのまま、レーナの指を誘った。それまで誰も迎え入れたことのない、やんごとなき姫の花園に。そこは先程から従者の太ももに敏感な尖りと入り口をこすりつけていたがゆえに、たっぷりと濡れて挿入の準備を整えていた。
静かに、だが臆することなく、女騎士の指は姫の大切なところに潜り込んだ。
「ああ……レーナが私の中に……!」
びくびくと身体を痙攣させながら、カルミアはレーナの指を受け止める。何者も受け入れたことのない彼女のソコは、下準備ゆえに苦痛なく挿入を受け入れることができた。
しかし、予想される快感への期待のあまり、そして相手の身体に夢中になっていたあまり、二人は自分たちの身体の変化に気づくことができなかった。自分たちの手先や足先が、植物のように緑色に染まっていることに。
肌の色の変化はじわじわと広がっていく。手先足先の濃い緑は広がり、
「カルミアさま……ダメです……そんなにされては……またイ……クッ……!」
「レーナ、レーナぁ! 私も来ますから……もっと、もっとぐちゅぐちゅして……!」
二人は互いの股間をいじり合い、二人一緒に身体を震わせて達した。
オーガズムを迎えたそのとき、二人の身体の変化は大きく現れた。ぐんと手足の緑色の面積が大きくなる。そして達したタイミングから、手足意外の肌も二人の快感の熱にあぶり出されるようにゆっくりと薄緑に変わり始めた。
だが二人は気にせず、そもそも気づく余裕などもなく、互いの身体を貪りあう。自分が変わるような感覚が恐怖はないわけではないが、快楽がそれを塗りつぶし、またその変わる感覚もそう邪悪なものではないとなんとなく感じていた。
二人の交わりをより盛り上げようと、二人を包み閉じ込めている花も蜜を分泌する。粘液でどろどろになりながら、二人は何度目か分からないアクメを迎えようとしていた。
「ああ、レーナ! イク……またイキますから一緒に……一緒にぃい!」
「ふああっ! カルミア様……んあああああ!」
すでに人としての肌をすべて捨てた二人は、抱き合いながら天国を仰ぎ見て、そして気を失った。
外はすでに夜であったが、その二人が達したとき、二人を包んだ百合の花が一瞬、ほのかに光ったのであった。
日が昇った。それに釣られるように、森の花が開く。
同じように、レーナとカルミアを包んでいた巨大な百合の花も大輪を咲かせた。
それまで気を失っていたレーナは眩しい日の光に眉を少し寄せ、そして目を覚ました。額に乗せていた右腕を振り上げ、うんと伸びをする。そして左を見た。
自分の腕を枕にして、自分の主、姫シスターのカルミアがすやすやと眠っていた。その肌は植物のような緑色になっている。彼女が枕にしている自分の腕も緑色だ。だがレーナは驚かない。目を覚ましたその時から、土が水を吸うように、この世界の理がレーナの頭の中に染み込んできていた。おそらくカルミアもそうだろう。
この世界は自分たちが元いた世界とはまた異なる世界……女淫魔の魔王と対する主神がせめぎ合う世界……だが魔王、そして魔物……いや、魔物娘は、決して邪悪な存在ではなく、愛をもって人間と融合し一つの種族に統合されることを目指している……ここはそのような世界だ。そして自分たちは植物の魔物娘、アルラウネの変異種、一つの花に二つの身体を持つ"リリラウネ"になったのだ。
人間ではなく、リリラウネになった。旅を止め、ここで暮らし、男を娶る。ただ、変わったのはそれだけだ。それ以外は変わっていないし、変わっていても気にするほどではない。
だから、レーナはいつもどおり、カルミアに声をかけた。
「カルミア様、朝です。起きてください」
21/02/07 22:39更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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