第六章 桃太郎と三人
こうして三人の仲間を加えた桃太郎ですが、彼女たちの戦い方を見ていると不安で仕方がありませんでした。
彼女たちに協調性というものが見られないのです。
相手が少人数だと問題がないように見えるのですが、相手が大人数だと一人一人が囲まれ、決まって苦戦してしまいます。
どうして協調性が持てないのか、聞かなくても分かっていたのですが、桃太郎は彼女たち一人一人から話を聞いてみました。
彼女たちの言い分はそれぞれこうでした。
ランはリンの奔放な性格が苦手と言います。
「いつもリンにはやきもきします・・・もっとシッカリして欲しいのに、自分勝手に好きなことをしたり文句ばっかり言ったり・・・」
そのリンはランの堅苦しい生真面目な性格が苦手と言います。
「ランは固すぎなんだにゃー。もっとおおらかな心を持って欲しいのにゃ〜。と言うか、桃太郎には『ご主人様』なんて呼んで丁寧な言葉でしゃべるのに、あたしたちにはなぜか上から目線なのニャ〜。そのぶりっ子具合も何とかして欲しいのニャ〜」
さらにレンの甘え具合も気に入らないといいます。
「表情からして気に食わないんだにゃ〜! 自分ばっかりかわいそうなんて顔をしててにゃ・・・虐められていたのはつらかっただろうけど、世の中もっとつらいこともあるニャ」
そのリンの気持ちが薄々分かっているのでしょう。
レンはそんなリンが怖くて遠慮してしまうと言います。
「もっと私が頑張らないといけないのは分かるの・・・でも、まだ翼が治ってないから・・・ううん、そんなのも言い訳。リンのことも、私はちゃんと彼女と向き合って話さなきゃいけないのに・・・」
レンはうつむきながらそう話しました。
『みんなの言い分は分かったけど・・・どうすればいいだろう。なにかいいきっかけはないかな』
今日も囲まれて苦戦している彼女たちを助けに向かいながら、桃太郎は考えていました。
そんなある日のことでした。
一行は川に差し掛かりました。
アカオニたちがいる鬼が島に近い村に行くにはこの川をどうしても渡らなければなりません。
川には渡し舟がありますが、二人乗りです。
桃太郎以外に舟は漕げません。
レンはまだ翼が治っていないので、飛んでわたる手段も不可能です。
また、この川は流れが速めで、河童の姿も見られません。
つまり、桃太郎が舟を漕いで仲間を一人ずつ向こう岸に渡していく意外に手段はないのですが、事は単純ではありません。
ランとリンを残してしまうと、二人は喧嘩を始めてしまうでしょう。
リンとレンを残してしまうと、リンがレンをいじめてしまうでしょう。
これらの組み合わせにならないようにしなければなりません。
『難しいニャ・・・』
『みんなを運ぶのは出来そうにない・・・出来ないのであれば・・・』
『桃太郎さんは私たちのうち一人だけを連れて行く・・・』
彼女たちは心の中で同じ事を考えます。
『もしご主人様が一人だけを連れて行くのなら・・・』
『誰を連れて行くのかにゃ・・・』
『ここでお別れかな・・・』
しかし、桃太郎はキッパリといいました。
「大丈夫、絶対みんなを連れて行く! みんな僕の大事な仲間だから・・・」
本当にそんなことが出来るのでしょうか?
彼女たちに協調性というものが見られないのです。
相手が少人数だと問題がないように見えるのですが、相手が大人数だと一人一人が囲まれ、決まって苦戦してしまいます。
どうして協調性が持てないのか、聞かなくても分かっていたのですが、桃太郎は彼女たち一人一人から話を聞いてみました。
彼女たちの言い分はそれぞれこうでした。
ランはリンの奔放な性格が苦手と言います。
「いつもリンにはやきもきします・・・もっとシッカリして欲しいのに、自分勝手に好きなことをしたり文句ばっかり言ったり・・・」
そのリンはランの堅苦しい生真面目な性格が苦手と言います。
「ランは固すぎなんだにゃー。もっとおおらかな心を持って欲しいのにゃ〜。と言うか、桃太郎には『ご主人様』なんて呼んで丁寧な言葉でしゃべるのに、あたしたちにはなぜか上から目線なのニャ〜。そのぶりっ子具合も何とかして欲しいのニャ〜」
さらにレンの甘え具合も気に入らないといいます。
「表情からして気に食わないんだにゃ〜! 自分ばっかりかわいそうなんて顔をしててにゃ・・・虐められていたのはつらかっただろうけど、世の中もっとつらいこともあるニャ」
そのリンの気持ちが薄々分かっているのでしょう。
レンはそんなリンが怖くて遠慮してしまうと言います。
「もっと私が頑張らないといけないのは分かるの・・・でも、まだ翼が治ってないから・・・ううん、そんなのも言い訳。リンのことも、私はちゃんと彼女と向き合って話さなきゃいけないのに・・・」
レンはうつむきながらそう話しました。
『みんなの言い分は分かったけど・・・どうすればいいだろう。なにかいいきっかけはないかな』
今日も囲まれて苦戦している彼女たちを助けに向かいながら、桃太郎は考えていました。
そんなある日のことでした。
一行は川に差し掛かりました。
アカオニたちがいる鬼が島に近い村に行くにはこの川をどうしても渡らなければなりません。
川には渡し舟がありますが、二人乗りです。
桃太郎以外に舟は漕げません。
レンはまだ翼が治っていないので、飛んでわたる手段も不可能です。
また、この川は流れが速めで、河童の姿も見られません。
つまり、桃太郎が舟を漕いで仲間を一人ずつ向こう岸に渡していく意外に手段はないのですが、事は単純ではありません。
ランとリンを残してしまうと、二人は喧嘩を始めてしまうでしょう。
リンとレンを残してしまうと、リンがレンをいじめてしまうでしょう。
これらの組み合わせにならないようにしなければなりません。
『難しいニャ・・・』
『みんなを運ぶのは出来そうにない・・・出来ないのであれば・・・』
『桃太郎さんは私たちのうち一人だけを連れて行く・・・』
彼女たちは心の中で同じ事を考えます。
『もしご主人様が一人だけを連れて行くのなら・・・』
『誰を連れて行くのかにゃ・・・』
『ここでお別れかな・・・』
しかし、桃太郎はキッパリといいました。
「大丈夫、絶対みんなを連れて行く! みんな僕の大事な仲間だから・・・」
本当にそんなことが出来るのでしょうか?
10/12/14 23:38更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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