Trap and Get
勇者トラステンは焦っていた。街で仲間にした女盗賊、マクティラとはぐれてからだいぶ時間が経過している。
単独で魔物と面と向かって戦うには少々頼りない女盗賊が一人歩いているのはよくない。自分よりいくらか年上で冒険歴もその分長く、場数も踏んでいる彼女ではあるが、それでもかなり危険だ。そして自分も仕掛けやトラップには疎いため、彼女がいない状態でこのダンジョンを歩きまわるのは危険だし、突破はできない。目的のアイテムも手に入らないだろう。
だがそう言う損得抜きに、トラステンはマクティラのことが心配だった。彼女とは街で知り合ってパーティーを組み、ほんの数日の付き合いの上、勇者にとってはいくらでも替えの効く人材ではある。しかし、そうは考えないのがトラステンだった。
「マクティラー!? どこにいるんだー!?」
敵地の中で大声を出す。愚かで危険極まりない行動であるのだが、そうまでしてでもトラステンはマクティラを探していた。
だが返事はない。まだ幼さの残る、少年から青年へと移りつつある顔をトラステンはしかめた。焦りばかりが彼の中で積もっていく。そして焦りは迷いを生む。
はたしてこの旅、勇者として魔物を倒していってやがて魔王を倒す旅と言うのは正しいのだろうか。何度か彼は魔物と交戦し、撤退を余儀なくされていた。幸か不幸か、全て番いがいる魔物娘だったため、捕まって強引に契を交わされたりすることはなかったのだが。
魔物娘に負けるたびに、人間と魔物娘の実力差を思い知る。魔物娘ですら勝てないのに魔王にどうして勝てようか。そもそも、どの魔物娘も人間の男を夫とし、家族で仲良く平和に暮らしていただけだった。少々、淫らが過ぎていて教団の国出身の彼としては目を背けたくなるような物だったが。それでも、その平和な家庭をわざわざ壊すことに意義はあるのだろうか。
トラステンは頭を振った。今それは考えるべきではない。今考えるべきことは早くマクティラと合流すること、そしてこの洞窟の奥にある、魔物の力を弱めることができるという噂の剣を手に入れることだ。
「……んっ……ぁん……♥」
不意に、張り詰めた雰囲気に相応しくない声をトラステンは耳で捕らえた。苦しげでありながら、何かドキドキとしてしまうような声。
女の嬌声だ。
『……どこかの魔物が旦那とよろしくヤっているのかな?』
番いがいる魔物はこちらから手を出さなければ襲ってくることはない。ある意味安全だ。だがその近くに魔物がさらにいる可能性もあるし、仲間を呼ばれる可能性だってある。自分から近づく必要性はないだろう。
しかし、妙な胸騒ぎがして、トラステンは声が聞こえる方向に足を向けた。歩をすすめるにつれて声はどんどん大きくなってくる。そして角を曲がったところで、声の主の影を見つけた。
巨大な球状のスライムに女が跨っていて、喘いでいた。ほとんど全裸で、彼女が身体を揺らすたびに乳房の影が上下にゆさゆさと揺れる。
トラステンは腰の剣に手をかけた。その目は警戒に細められている。見たことがない魔物だ。
女が跨っている物は確かにスライムで、人ならざる物だ。はたしてこれは魔物なのだろうか? 今日の魔物は魔物"娘"の名の通り、女性の姿をしている。とすると、上に跨っている女性が魔物の本体と考えるべきだろう。
勇者として駆逐しても良いのだが、今はその時間すら惜しい。トラステンは角を曲がらずに直進しようとした。その時、女が声を上げた。
「あっ! いやぁああ! も……やめてぇえ!」
喘ぎ声混じりに紡ぎだされる、許しを乞う声。スライムと女が合わせて魔物娘だったら、こんな言葉は言わないだろう。とすると、信じがたいことだが下にいる異形のスライムが魔物で、上にいるのはそのスライムに犯されている女ということになる。
そして、その声はトラステンにも聞き覚えのある声だった。こんな調子の声を聞いたのは初めてだったが。
「マクティラ!」
近づくと女の姿がはっきりと見えてきた。はたして、スライムに跨っているのは探していた女盗賊、マクティラだった。革鎧や下着は溶かされてしまったのかつけておらず、ハリのある乳房がむき出しになっており、股間は浅くスライムに沈み込んでいる。おそらくそこをクチュクチュと攻められているのだろう。嬌声を上げながらマクティラはスライムの上で逃げようとするように身を捩っている。
「マクティラ!」
剣を抜き、突進しながらトラステンは呼ぶ。声に気づいたマクティラの目が喜びに輝く。
「トラステン!」
「うおおおおっ! マクティラを離せえぇ!」
一気に懐に潜り込んだトラステンはツヴァイハンダーを横薙ぎに振る。あまり手応えはなかったが、動揺したようにスライムがぶるりと揺れる。上に乗っていたマクティラの身体が前のめりに倒れた。
支えを求めるようにマクティラが右手を伸ばす。彼女をひっぱろうとトラステンは左手を伸ばし、その手を掴んだ。
その時、彼女がにぃっと笑った。助けられたことによる安堵感とはまた違う。計略が上手く行った時に見せる狡猾な笑み……! 気づいた時にはもう遅い!
「つぅかまぁえたっ♪」
女性の物とは思えないほどの力でグイッとトラステンは身体を引かれた。胸から下はスライムの中に埋まってしまう。しゅうしゅうと音を立てて鎧が、その下の服と下着が溶かされていく。右手にあった剣は身体を強く引かれた際に落としてしまった。
「お前は、一体……!?」
「アタシぃ? アタシは君の仲間のマクティラだよぉ♪ 今はスライムキャリアって魔物になっちゃったけどね♪」
「くっ……!」
トラステンはくちびるを噛む。彼女の言葉を信じれば、マクティラは自分とはぐれている間にスライム系の魔物に襲われ、スライムキャリアなる魔物になったのだろう。
もっと早く助けられれば、せっかく仲間になったこの女盗賊を勇者として殺さなければならないのか、そもそも自分はこの魔物から逃げ出せるのか。いろんな考えがトラステンの頭の中に浮かび上がり、ぐるぐると飛び回る。
だがその混乱した思考の中でも男としての本能は残っていたらしい。トラステンの目はほぼ裸のマクティラに釘付けになっていた。
粘液に濡れた彼女の身体は妖しく光っていた。革鎧に隠されていた胸は、重力に逆らってツンと上を剥いており、それでいてスライム以上にプルプルしていそうだ。股間の方はスライムに沈み込んでおり、残念ながらよく見えない。
女性にあまり慣れていなかったトラステンはその淫らな身体を見て分身を粘体の中で屹立させていた。粘体はスライムキャリアの身体の一部。よってトラステンの勃起はすぐにマクティラの知ることとなった。
「あれれぇ? トラステン、どうしたの? まさかアタシのエッチな身体を見て、勃っちゃった?」
クスクスと笑うマクティラにトラステンは恥じ入るばかりだ。背中を丸め、マクティラはトラステンの顔に自分の顔を近づける。
「恥ずかしがることないじゃない。アタシは嬉しいよ? アタシの身体が魅力的ってことだからね」
「うぅ……はうっ!」
「え、あっ、ちょ! 何やってんの!?」
トラステンが急に声を上げたことにマクティラが制止の声を上げる。その相手はスライムだ。スライムがトラステンの勃起したペニスに密度が濃い粘体をまとわりつかせていた。
一つの魔物と捉えられるスライムキャリアだが、厳密に考えれば宿主と寄生者を合わせた魔物だ。完全に一体となって融合しているわけではない。故に、寄生スライムが宿主の意思に反して勝手に行動を起こしたり、あるいは宿主が寄生スライムの欲望をねじ伏せることも起こりうるのだ。
「あう、あう、あううう!」
トラステンは快感から逃れるように腰を引く。自分を今愛撫しているのはスライムで自分はそのスライムの中にいるのだ。逃げられるはずがない。ぐちゅぐちゅと卑猥な音とともに、トラステンの肉棒がもみくちゃにされる。粘体でしごきぬかれ、蛇のように這い回られ、揉みしだかれる。
「もう、しょうがないなぁ……じゃあ始めはスライムに搾らせるわ。次はアタシだからね」
腕を組んでマクティラが言う。自分が後回しにされたことを少し不満に思っているようだ。だがその不満も、目の前の男の反応を見ていれば押し流されてしまう。
「ふわあああっ!」
敏感な裏筋をにゅるりと粘体に這い回られ、トラステンは身体を震わせた。それを見てマクティラはくすくすと笑う。
「うふふ、君、女の子みたいな声上げるわね。そんなに気持ちいいの?」
「うぅう……」
女盗賊に自分が悶えている様子をジッと観察され、トラステンは恥ずかしさで頭が爆発しそうだった。その間にもスライムによる攻めは容赦なく続いている。じゅるじゅると絡みつかれ、にゅるにゅると這い回られ、ぐちゅぐちゅとしごきぬかれる。自分でもろくに慰めた経験のない性器への人外の攻めに勇者はあっという間に追い詰められる。
「あ、ああああ……!」
トラステンの声が昂った物になる。それに呼応するかのように、スライムの股間攻めがより激しい物となった。ぐちょぐちょと言う音が大きくなり、透明なスライムの身体の奥でペニスがもみくちゃにサれているのが見える。
そして間もなく、限界の時が訪れた。
「くっ、あ、あああ……」
びくりとトラステンの身体が一際大きく震える。ドクドクとペニスの先端から白濁の液が溢れ出た。その様子もやはりスライムが透明な故に、マクティラにばっちり観察され、自分でも見るはめになってしまう。
「おー、一杯出たねぇ……♪ やっぱり教団の勇者だから、溜まってるのかな?」
「ううう……」
人外の物に恥ずかしいところを嫐られ、射精してしまう屈辱……トラステンはくちびるを噛んだ。だが、スライムによる射精は忘れようのない快楽を彼の身体に刻みつけていた。
「随分、スライムの愛撫が気に入ったみたいね。なんならもう一回くらい味わってみる?」
「え? うぅうう……!」
肉棒に再びスライムがまとわりついてきた。だが今度のスライムは感触が違う。ぷるぷる、もちもちとした、まるでゼリーのような感触……それがむっちりとトラステンのペニスを圧迫してきたのだ。そして変化自在のその粘体が、スライムの中で肉棒をしごくように動き始めた。
ぷるぷるしていながらも絡みついてくる感触もあるスライムに攻められ、トラステンはまた身体を揺する。
「うあ、あ、ダメ……うううっ!」
「あはは〜♪ また声を漏らしちゃっているぅ。勇者なのに情けないなぁ♪ まあ、そこが可愛いんだけど♪」
悶えるトラステンの様子にマクティラは笑う。トラステンはそのことに深い屈辱を覚えた。だが気持ちいいものは気持ちいい。もはやトラステンは無意識のうちに逃げたり反撃したりする行動を自ら放棄していた。
「ねぇ、さっきのスライムと今のスライム。どっちが気持ちいい?」
「りょ、両方……」
「あっはははは♪ 両方なんだ? バカ正直に答えるトラステンも可愛いなぁ♪」
女盗賊は自分より年下で青い勇者をもてあそぶ。恥じらう余裕はもうトラステンには残っていなかった。早くも二回目の射精が彼の体に迫っている。
ポーカーフェイスができていないトラステンを見てマクティラが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「また出ちゃいそう? スライムの中にどぴゅどぴゅって射精しちゃう?」
「う、ううぅ……!」
そう言われてトラステンは下腹部に力を入れて射精をこらえようとした。だがその努力をあざ笑うかのようにスライムの動きが速くなる。マクティラもニヤニヤと笑いながら、トラステンの顔に顔を寄せた。そして耳元で囁く。
「我慢しないでいいよ。出しちゃえ♥」
妖しげな囁き声にぞくりとトラステンは身体を震わせた。同時に我慢するべく固くしていた身体から力が抜けてしまう。そして射精が始まった。
「やだ……うっ……!」
「おー、若いっていいねぇ♥ 連続二回の射精なのにまだこんなにたくさんでて、まだまだおちんちんも勃っていて……」
びゅくびゅくと精液が粘体の中にほとばしる。白濁の粘液は濃度の異なるスライムの中でふよふよと浮かんだ。出された精液を見てマクティラは舌なめずりをする。
「今度はこの精液はアタシがいただくからね」
どうやら、寄生スライムに言っているようだった。そう言えばと見てみると、自分が今の前に出した精液はいつの間にか跡形もなく消えている。どうやらスライムに吸収されてしまったらしい。本来、子どもを作るための精液を魔物娘に魔力や餌として利用される……教団の勇者の立場としてはおぞましい状況だ。しかしトラステンは、目の前の美しい、女盗賊だったスライムキャリアに心地よく射精に導かれて、そんな勇者の立場などどうでも良くなっていた。
「ねえ、見て……」
そう言ってマクティラは股を広げた。それまで見たことのなかった女の秘密の翳りがトラステンの目にさらされる。スライムが中に満ちていて、膣穴がぱっくりと開いている様子も丸見えだ。もっとも、スライムは透明ではあるが桃色であるため、全てが見えているわけではない。だがそれがかえってトラステンの見たいという欲求を掻き立て、彼の視線を釘付けにした。
ふふふ、とマクティラが妖艶に笑った。それと同時に、今しがたトラステンが放った精液が一人でに移動した。スライムが運んでいるのだ。
スライムの流れに乗ってトラステンの精液はマクティラの下腹部へとゆっくり向かっていく。マクティラが何をしようとしているかが分かり、トラステンが目を見張る。
「ま、まさか、マクティラ……!?」
「そうよぉ? トラステンの精液を中に入れるのぉ♪」
精液を餌として吸収されても動かなかったトラステンだったが、さすがに慌てふためいた。性に厳しい教団国出身の彼でも、女性の膣内に精液を注ぐ意味は知っている。まして、相手は見ず知らずの魔物ではなく、短い間だが一緒に旅をした仲間なのだ。そのことが彼に罪悪感を抱かせる。
しかし彼が焦ったところでどうしようもない。すでに精液はそこにあり、あとは寄生スライムとマクティラの意思を持って膣内に運ばれるだけだ。ついに精液はマクティラの股間の前まで運ばれた。
「ふふふ、見てなさい……ほぅら♪」
言葉とともに、精液はちゅるんと吸い込まれ、膣穴の奥へと消える。普通は見ることができない、膣内に精液が注がれる様子……トラステンは呆けたような声を出しながらそれを見守ることしかできなかった。
「あん……♥」
マクティラが軽く嬌声を上げる。男の精を宿主の本体に直接受けることで、しびれるような快感が彼女の身体に走っていた。
とろけた表情でマクティラは自分の下腹部を撫でる。
「トラステンの精液、中にあるの分かる……♥ もっと欲しいなぁ……?」
さらに膣内に精を受けるためマクティラはトラステンの肩をそっと押す。彼女の意図を理解したスライムは、スライムの中で直立の姿勢だったトラステンを仰向けにした。さながら、ベッドの上に寝かされる形になる。そのトラステンの上にマクティラは跨った。内股から粘体がぬとぬとと滴り落ちる。だがやはり宿主と寄生者の関係からか、粘体が途切れることはなく、マクティラと寄生スライムはつながり続けていた。
「ねえねえ、トラステンって……やっぱり、童貞?」
挿入前に、ふとマクティラはトラステンに問いかけた。勇者の目が動揺する。図星のようだ。またマクティラは楽しそうに笑った。
「あららトラステン。童貞喪失の前に中出しをしちゃったことになるわね。随分奇妙な体験ね?」
「くっ……」
恥ずかしそうにトラステンはそっぽを向く。その仕草に可愛らしいと笑ってから、マクティラは囁く。
「大丈夫♪ もう中出ししちゃったから本番はさせてあげないとか言わないから♪ 挿れるね♥」
「や、やめ……」
横を向いていたトラステンの顔がマクティラの方に向き直り、拒絶の言葉を口にする。だがそう言う割には彼は逃げようともがいていなかった。二度も射精をしたというのに固く怒張して青筋すら走ってひくついている自分の肉棒とマクティラの股間が近づいているのを凝視している。挿入を今か今かと待ちわびるように。勇者と言えどまだ若いトラステンには快楽の欲求を振り切るのは厳しすぎるものがあった。
とうとう先っぽが粘壺の中にめり込んだ。粘液まみれなのに粘液とは異なる物を亀頭に感じる。それはマクティラの膣肉。これから、女とセックスをする。相手が交わってはいけないと言われていた魔物とはいえ、その期待感は否が応でもトラステンを興奮させていた。
トラステンの初々しい反応と下腹部から立ち上る挿入の快感を楽しみながら、マクティラは腰を落としていく。見せつけるように腰をひねりながら、ゆっくりと。
ペニスが中に入った分、マクティラの蜜壺からスライムが押し出される。溢れ出たスライムは、肉棒のまだ入っていない部分を撫でながら落ちていった。
「はううぅ!」
トラステンが切ない声を上げる。膣内に満ちているスライムとマクティラの粘液、さらにマクティラの膣による圧迫感。そのぬめっていながら締め付けられる感触だけでトラステンは達しそうになっていた。だがなんとか持ちこたえる。
そしてついに、勇者は魔性の女盗賊の奥に招かれた。マクティラの口からリラックスしたかのような長い、それでいて妖艶な吐息が漏れる。勇者の肉剣を深くまでくわえ込んだマクティラはその持ち主を見下ろした。
「どう、勇者様? 初めて知る女の味は……?」
「うっ、くっ……!」
トラステンは答えない。いや、答えられない。彼が今挿入させられているのは、人間だった時に幾人もの男を骨抜きにした名器にさらに寄生スライムの粘体が加わった極上の代物だ。前に射精していなければ挿入の時点で果てていただろう。今も気を抜くと射精しそうだ。なんとか目の前の魔物娘にこれ以上の種付けをしまいと勇者は身体を固くする。
答えないトラステンにマクティラは笑う。先ほど、すでに我慢できずに漏らしたと言うのに耐えられるとでも思っているのか、とその笑みが語っていた。
「これでも我慢できるかしら?」
マクティラが動き始めた。その腰が獲物に食らいつく大蛇のようにうねる。ぐちゅぐちゅとマクティラの中でトラステンの肉棒がシェイクされた。マクティラの柔肉ととろとろの粘液がトラステンの亀頭を中心に撫で回す。
「うあっ! うはぁああ!」
「あっははは! 可愛い声出すじゃない♪ んっ、あんっ♥」
快感に堪えられずに声を上げるトラステンを見下ろし、自分も楽しむべくマクティラは腰を振り続ける。彼女もまた自分の胎内を満たし擦る肉棒とスライムの存在に快感を覚えていた。
洞窟には、地下水の物とは違う、粘液質な音と、男女の嬌声が響いていた。
「ほらほらぁ♪ んふぅ♥ アタシだけじゃないわよぉ♥ スライムの方も君を攻めちゃうよ〜?」
「えっ? うぅうう!」
トラステンの身体をじゅるじゅるとスライムが覆う。うぞうぞと肌を舐めるようにその粘体は動いた。特に男も敏感な乳首を重点的に攻めてくる。攻めが結合部以外にも施されて気が散ってしまう。
「我慢しても無駄無駄♪ こうすれば男の人はたいていイッちゃうもんね♪ んっ、あんっ♥ あっあっああ♥」
マクティラの動きが変わった。今までは前後に動かしていたが、今度は上下に激しく動いたのだ。肉棒をしごき抜き、容赦なく射精に導く荒々しい騎乗位。
トラステンはぎゅっと拳を握りしめて耐えようとする。だが目の前で揺れる乳房、粘液のカーテンの奥で、女性器から出し入れされる自分の牡器、そこから立ち上る快感、身体中を這いまわるスライムの感触……それらが全て、トラステンの努力をそれまでの価値観ごと押し流してしまう。
「ああああああ……!」
ダメなのに気持ちいい……そうしたジレンマを抱えた声をトラステンは上げた。そして射精が始まる。女盗賊の膣内で肉棒が脈打ち、精液を吐き出していく。とうとう彼は直接、スライムキャリアに種付けをしてしまったのだ。
生真面目な勇者を自分の身体と技で射精に導いた。そのことにマクティラは満足そうな笑みを浮かべた。
一方、トラステンは深い罪悪感を覚えていた。それほど主神の教えに信心深い訳ではなかったが、それでも魔物娘の誘惑に乗ることは禁忌であることはその心に刻まれている。だというのに魔物娘と交わってしまい、あまつさえその膣内で射精をしてしまった。教団の希望と言われている勇者としては最も恥ずべき事態だ。
しかし一概に、自分にここまでの仕打ちをした魔物娘、マクティラのことを悪く言うことはできないだろう。そもそも彼女は自分がもう少し早く見つけていたら助けられたかもしれなかった人間だったのだ。自分が魔物娘と交わったことより、そのことがトラステンを苦しめた。
勇者の苦しみは限界を超え、とうとう涙となって溢れだした。突然泣きだしたトラステンにマクティラは慌てふためく。
「ど、どうしたのトラステン!? そんな、急に泣きだして……」
「だって、僕は……僕は……!」
嗚咽しながらトラステンは自分が抱えている罪悪感を打ち明ける。勇者の懺悔を聞いた女盗賊の顔が晴れやかな物になった。
「嬉しい……そんなに私、思われていたのね?」
マクティラの反応に驚いているトラステンの顔に彼女は顔を寄せる。
「今までアタシは何度か他の人とパーティーを組んだことあったけど……君ほど仲間のアタシを思ってくれた人はいなかったわ……」
勇者の懺悔を聞いた女盗賊の心にも罪悪感のような物が沸き起こっていた。魔物になる前、自分はこの勇者を誑かして金目の物をむしりとろうとしたのだ。こんな、自分のことを信じてくれている勇者を。
そして罪悪感とともに、マクティラの心の中に好意のような物が芽生えていた。精液を直接身体に受けた影響もあり、思われていた事への喜びが一気に愛情へと変わる。自分が当初抱いていた小汚い考えは、この気持をぶつけることで贖う……難しく考えることはない。人間の複雑なしがらみや意地を捨て、魔物となったマクティラはその思いを行動に移す。
「すっごく嬉しい♥」
覆い被さるようにして、スライムのベッドに横になっているトラステンを抱きしめる。突然のマクティラの行動にトラステンは目をうるませたまま白黒させた。そんな彼に構わず、マクティラは続ける。
「それに、私の事は気にしないでいいわ。うーん、人間の子どもは産めなかったりするけど……本質的にはアタシはアタシ、マクティラは変わってないんだからさ。それに、魔物はそんなに悪の存在じゃないって、今のアタシを見れば分かるでしょう?」
マクティラの言葉にトラステンの心が揺れる。そうだ、旅をしているうちに思っていた。強引で淫らで快楽主義で堕落しているが、魔物は教団が言うほど悪ではない。
迷っている勇者にスライムキャリアは続ける。
「ねえ……もう冒険なんてやめてさ、アタシと一緒にここで暮らそうよ♥」
これまで戦ってきた魔物娘たちと、そしてその家庭が脳裏を過ぎる。どれも幸せそうな家庭。その家庭を自分も作るのも悪くはないのではないだろうか。敵うかどうか分からない、魔物や魔王の討伐なんかやめて、この美しき女盗賊だったスライムキャリアと一緒に……
トラステンの中の、勇者としての心が折れる。後に残るのは魔物娘と同様の、欲望。
自分を抱きしめているマクティラを、下からトラステンは抱きしめ返した。
「あははっ、嬉しい♪ これ、オッケーととっていいのね?」
勇者は答えない。まだ迷いが完全に断ち切れてはいないのだ。しかし彼は、魔物娘と暮らすという方向に大きく一歩を踏み出した。それだけでマクティラにとっては十分だった。
トラステンを抱きしめたまま、マクティラは上体を起こした。ちょうど、座っている彼の上に彼女が座って結合している形になる。
そして再び、腰の律動を始めようとした。今まで何人もの男を昇天させた、けれどもこれからは今交わっているこの勇者だけに使われる腰振り……
「今度は二人で気持よくなろう、ね……♥ ……うっ!?」
甘く囁いたマクティラが声を上げた。その目が驚きに大きく見開かれている。トラステンも同じような顔をしていた。
二人の結合部内にあるスライムが急に動き出したのだ。宿主が捕らえた男と、宿主自身をイカせるために。
結ばれた自分とトラステンへの祝福のつもりなのだろう。宿主であるマクティラには寄生スライムの思考は分かっていた。だがその不意打ちの刺激は魔物娘となった彼女にも強烈だった。
「あっ、こらっ! ちょ、勝手に……ふああああああっ♥」
「くっ、うううう!」
マクティラの膣内で寄生スライムが暴れまわっていた。
トラステンのペニスにスライムが筒状に巻きつき、激しく竿をしごきながら流動して締め付ける。その動きは同時にマクティラの膣内も刺激していた。しごく動きによって抽送のような刺激を加えられ、流動によって膣壁をにゅるにゅると擦りたてられる。
ふたりともほとんど動いていない。しかし、二人にもたらされている快感は激しい。女盗賊と勇者は互いにキツく抱き合ってスライムの愛撫に悶えた。
「ああっ、マクティラっ! 気持よくて……くぅう!」
「んあっ! いいよっ♥ これもアタシの一部だから、気持よく、なって……♥ くぅうん! アタシも、イイッ♥」
マクティラがトラステンにしがみついたまま、細かく腰を動かし始める。快感によって反射的に出ている動きでもあるが、ある程度は彼女が意図的に動かしていた。
スライムで満たされている二人の結合部だが、トラステンの亀頭とマクティラの子宮口はスライムに覆われておらず直接触れ合っていた。マクティラが腰を動かすことによって、くにゅくにゅと、膣内にしては硬めの肉が亀頭にこすりつけられ、彼が刺激される。また、マクティラ自身も子宮口を肉棒の先端で押し返され、さらに先走り汁や先ほど出した精液を塗りたくられ、快感を得ていた。
「んひぅ!? あっ、そこまで……♥ くひぃいいん♥」
マクティラがトラステンをくわえ込んだまま腰を跳ねさせる。べっとりと彼女の股間に貼り付いているスライムがクリトリスを粘体の中で転がしていた。膣内と陰核、性感帯を同時に攻められてマクティラの身体に快感がどんどん蓄積していく。それに併せて彼女の腰の動きも情熱的な物になり、子どもの部屋の入り口を子種の射出口にぐいぐいと押し付けて密着させた。
「だめぇ、マクティラぁ……! そんなにされるとイク……また出ちゃう……!」
彼女の動きを少しでも抑えようとするかのように腰を抱え込んでしがみつきながら、トラステンは絶頂の予感を訴える。だがマクティラの動きは止まらない。
「いいよ……♥ アタシも……イ、ク……からぁ……!」
そして彼女もまたその時が近づいていた。本能的に腰を振りながら、その時を待つ。
二人の絶頂のタイミングは、ほぼ同時だった。その調節は寄生スライムが行った。トラステンの肉棒が射精すべく膨れ上がったのを感じ取ったと同時に、きゅうっと粘体でマクティラのクリトリスを吸ったのだ。
「ああっ! 出るぅう!」
「イクぅうううう♥」
震える身体を抱きしめあったまま二人はのけぞり、天国を見る。狂おしいほどの快楽を二人は共有していた。マクティラの膣内でトラステンの牡器が爆ぜる。
あふれた白濁液は愛液と粘体と融け合った。
「ねえねえ、もう寝ちゃったの?」
少し不満そうな声をマクティラは上げる。彼女の下で、寄生スライムの上でトラステンはぐったりと横たわっていた。
いくら身体能力が普通の人間より優れている勇者でも、初めての性行為で人間レベルを超えた快楽による連続四回の射精は堪えたらしい。トラステンは気を失っていた。
ふぅとマクティラはため息をつく。自分としてはもう三回くらい交わりたかったのだが、気絶されてしまっては仕方がない。でも無理に起こすこともないだろうと彼女は思った。待てば彼も回復するだろうし、時間はいくらでもあるのだ。
「ふふふ……」
マクティラは笑いながらトラステンに覆い被さり、大切そうに彼を抱きしめた。
「アタシ……いいもんゲットしちゃった♪ 宝石とかお金とか、そんなのどうでも良いくらいイイもの……うっふふふ♥」
至福の笑みを浮かべるマクティラとトラステンをさらに寄生スライムが包み込む。このスライムにとって、ふたりとも大事な存在だからだ。
マクティラの笑いにあわせて、寄生スライムは愉快そうに身体を揺らした。
狡猾なる二体のスライム……寄生スライムと元女盗賊のスライムキャリアは、こうして望む物を手に入れるのであった。
単独で魔物と面と向かって戦うには少々頼りない女盗賊が一人歩いているのはよくない。自分よりいくらか年上で冒険歴もその分長く、場数も踏んでいる彼女ではあるが、それでもかなり危険だ。そして自分も仕掛けやトラップには疎いため、彼女がいない状態でこのダンジョンを歩きまわるのは危険だし、突破はできない。目的のアイテムも手に入らないだろう。
だがそう言う損得抜きに、トラステンはマクティラのことが心配だった。彼女とは街で知り合ってパーティーを組み、ほんの数日の付き合いの上、勇者にとってはいくらでも替えの効く人材ではある。しかし、そうは考えないのがトラステンだった。
「マクティラー!? どこにいるんだー!?」
敵地の中で大声を出す。愚かで危険極まりない行動であるのだが、そうまでしてでもトラステンはマクティラを探していた。
だが返事はない。まだ幼さの残る、少年から青年へと移りつつある顔をトラステンはしかめた。焦りばかりが彼の中で積もっていく。そして焦りは迷いを生む。
はたしてこの旅、勇者として魔物を倒していってやがて魔王を倒す旅と言うのは正しいのだろうか。何度か彼は魔物と交戦し、撤退を余儀なくされていた。幸か不幸か、全て番いがいる魔物娘だったため、捕まって強引に契を交わされたりすることはなかったのだが。
魔物娘に負けるたびに、人間と魔物娘の実力差を思い知る。魔物娘ですら勝てないのに魔王にどうして勝てようか。そもそも、どの魔物娘も人間の男を夫とし、家族で仲良く平和に暮らしていただけだった。少々、淫らが過ぎていて教団の国出身の彼としては目を背けたくなるような物だったが。それでも、その平和な家庭をわざわざ壊すことに意義はあるのだろうか。
トラステンは頭を振った。今それは考えるべきではない。今考えるべきことは早くマクティラと合流すること、そしてこの洞窟の奥にある、魔物の力を弱めることができるという噂の剣を手に入れることだ。
「……んっ……ぁん……♥」
不意に、張り詰めた雰囲気に相応しくない声をトラステンは耳で捕らえた。苦しげでありながら、何かドキドキとしてしまうような声。
女の嬌声だ。
『……どこかの魔物が旦那とよろしくヤっているのかな?』
番いがいる魔物はこちらから手を出さなければ襲ってくることはない。ある意味安全だ。だがその近くに魔物がさらにいる可能性もあるし、仲間を呼ばれる可能性だってある。自分から近づく必要性はないだろう。
しかし、妙な胸騒ぎがして、トラステンは声が聞こえる方向に足を向けた。歩をすすめるにつれて声はどんどん大きくなってくる。そして角を曲がったところで、声の主の影を見つけた。
巨大な球状のスライムに女が跨っていて、喘いでいた。ほとんど全裸で、彼女が身体を揺らすたびに乳房の影が上下にゆさゆさと揺れる。
トラステンは腰の剣に手をかけた。その目は警戒に細められている。見たことがない魔物だ。
女が跨っている物は確かにスライムで、人ならざる物だ。はたしてこれは魔物なのだろうか? 今日の魔物は魔物"娘"の名の通り、女性の姿をしている。とすると、上に跨っている女性が魔物の本体と考えるべきだろう。
勇者として駆逐しても良いのだが、今はその時間すら惜しい。トラステンは角を曲がらずに直進しようとした。その時、女が声を上げた。
「あっ! いやぁああ! も……やめてぇえ!」
喘ぎ声混じりに紡ぎだされる、許しを乞う声。スライムと女が合わせて魔物娘だったら、こんな言葉は言わないだろう。とすると、信じがたいことだが下にいる異形のスライムが魔物で、上にいるのはそのスライムに犯されている女ということになる。
そして、その声はトラステンにも聞き覚えのある声だった。こんな調子の声を聞いたのは初めてだったが。
「マクティラ!」
近づくと女の姿がはっきりと見えてきた。はたして、スライムに跨っているのは探していた女盗賊、マクティラだった。革鎧や下着は溶かされてしまったのかつけておらず、ハリのある乳房がむき出しになっており、股間は浅くスライムに沈み込んでいる。おそらくそこをクチュクチュと攻められているのだろう。嬌声を上げながらマクティラはスライムの上で逃げようとするように身を捩っている。
「マクティラ!」
剣を抜き、突進しながらトラステンは呼ぶ。声に気づいたマクティラの目が喜びに輝く。
「トラステン!」
「うおおおおっ! マクティラを離せえぇ!」
一気に懐に潜り込んだトラステンはツヴァイハンダーを横薙ぎに振る。あまり手応えはなかったが、動揺したようにスライムがぶるりと揺れる。上に乗っていたマクティラの身体が前のめりに倒れた。
支えを求めるようにマクティラが右手を伸ばす。彼女をひっぱろうとトラステンは左手を伸ばし、その手を掴んだ。
その時、彼女がにぃっと笑った。助けられたことによる安堵感とはまた違う。計略が上手く行った時に見せる狡猾な笑み……! 気づいた時にはもう遅い!
「つぅかまぁえたっ♪」
女性の物とは思えないほどの力でグイッとトラステンは身体を引かれた。胸から下はスライムの中に埋まってしまう。しゅうしゅうと音を立てて鎧が、その下の服と下着が溶かされていく。右手にあった剣は身体を強く引かれた際に落としてしまった。
「お前は、一体……!?」
「アタシぃ? アタシは君の仲間のマクティラだよぉ♪ 今はスライムキャリアって魔物になっちゃったけどね♪」
「くっ……!」
トラステンはくちびるを噛む。彼女の言葉を信じれば、マクティラは自分とはぐれている間にスライム系の魔物に襲われ、スライムキャリアなる魔物になったのだろう。
もっと早く助けられれば、せっかく仲間になったこの女盗賊を勇者として殺さなければならないのか、そもそも自分はこの魔物から逃げ出せるのか。いろんな考えがトラステンの頭の中に浮かび上がり、ぐるぐると飛び回る。
だがその混乱した思考の中でも男としての本能は残っていたらしい。トラステンの目はほぼ裸のマクティラに釘付けになっていた。
粘液に濡れた彼女の身体は妖しく光っていた。革鎧に隠されていた胸は、重力に逆らってツンと上を剥いており、それでいてスライム以上にプルプルしていそうだ。股間の方はスライムに沈み込んでおり、残念ながらよく見えない。
女性にあまり慣れていなかったトラステンはその淫らな身体を見て分身を粘体の中で屹立させていた。粘体はスライムキャリアの身体の一部。よってトラステンの勃起はすぐにマクティラの知ることとなった。
「あれれぇ? トラステン、どうしたの? まさかアタシのエッチな身体を見て、勃っちゃった?」
クスクスと笑うマクティラにトラステンは恥じ入るばかりだ。背中を丸め、マクティラはトラステンの顔に自分の顔を近づける。
「恥ずかしがることないじゃない。アタシは嬉しいよ? アタシの身体が魅力的ってことだからね」
「うぅ……はうっ!」
「え、あっ、ちょ! 何やってんの!?」
トラステンが急に声を上げたことにマクティラが制止の声を上げる。その相手はスライムだ。スライムがトラステンの勃起したペニスに密度が濃い粘体をまとわりつかせていた。
一つの魔物と捉えられるスライムキャリアだが、厳密に考えれば宿主と寄生者を合わせた魔物だ。完全に一体となって融合しているわけではない。故に、寄生スライムが宿主の意思に反して勝手に行動を起こしたり、あるいは宿主が寄生スライムの欲望をねじ伏せることも起こりうるのだ。
「あう、あう、あううう!」
トラステンは快感から逃れるように腰を引く。自分を今愛撫しているのはスライムで自分はそのスライムの中にいるのだ。逃げられるはずがない。ぐちゅぐちゅと卑猥な音とともに、トラステンの肉棒がもみくちゃにされる。粘体でしごきぬかれ、蛇のように這い回られ、揉みしだかれる。
「もう、しょうがないなぁ……じゃあ始めはスライムに搾らせるわ。次はアタシだからね」
腕を組んでマクティラが言う。自分が後回しにされたことを少し不満に思っているようだ。だがその不満も、目の前の男の反応を見ていれば押し流されてしまう。
「ふわあああっ!」
敏感な裏筋をにゅるりと粘体に這い回られ、トラステンは身体を震わせた。それを見てマクティラはくすくすと笑う。
「うふふ、君、女の子みたいな声上げるわね。そんなに気持ちいいの?」
「うぅう……」
女盗賊に自分が悶えている様子をジッと観察され、トラステンは恥ずかしさで頭が爆発しそうだった。その間にもスライムによる攻めは容赦なく続いている。じゅるじゅると絡みつかれ、にゅるにゅると這い回られ、ぐちゅぐちゅとしごきぬかれる。自分でもろくに慰めた経験のない性器への人外の攻めに勇者はあっという間に追い詰められる。
「あ、ああああ……!」
トラステンの声が昂った物になる。それに呼応するかのように、スライムの股間攻めがより激しい物となった。ぐちょぐちょと言う音が大きくなり、透明なスライムの身体の奥でペニスがもみくちゃにサれているのが見える。
そして間もなく、限界の時が訪れた。
「くっ、あ、あああ……」
びくりとトラステンの身体が一際大きく震える。ドクドクとペニスの先端から白濁の液が溢れ出た。その様子もやはりスライムが透明な故に、マクティラにばっちり観察され、自分でも見るはめになってしまう。
「おー、一杯出たねぇ……♪ やっぱり教団の勇者だから、溜まってるのかな?」
「ううう……」
人外の物に恥ずかしいところを嫐られ、射精してしまう屈辱……トラステンはくちびるを噛んだ。だが、スライムによる射精は忘れようのない快楽を彼の身体に刻みつけていた。
「随分、スライムの愛撫が気に入ったみたいね。なんならもう一回くらい味わってみる?」
「え? うぅうう……!」
肉棒に再びスライムがまとわりついてきた。だが今度のスライムは感触が違う。ぷるぷる、もちもちとした、まるでゼリーのような感触……それがむっちりとトラステンのペニスを圧迫してきたのだ。そして変化自在のその粘体が、スライムの中で肉棒をしごくように動き始めた。
ぷるぷるしていながらも絡みついてくる感触もあるスライムに攻められ、トラステンはまた身体を揺する。
「うあ、あ、ダメ……うううっ!」
「あはは〜♪ また声を漏らしちゃっているぅ。勇者なのに情けないなぁ♪ まあ、そこが可愛いんだけど♪」
悶えるトラステンの様子にマクティラは笑う。トラステンはそのことに深い屈辱を覚えた。だが気持ちいいものは気持ちいい。もはやトラステンは無意識のうちに逃げたり反撃したりする行動を自ら放棄していた。
「ねぇ、さっきのスライムと今のスライム。どっちが気持ちいい?」
「りょ、両方……」
「あっはははは♪ 両方なんだ? バカ正直に答えるトラステンも可愛いなぁ♪」
女盗賊は自分より年下で青い勇者をもてあそぶ。恥じらう余裕はもうトラステンには残っていなかった。早くも二回目の射精が彼の体に迫っている。
ポーカーフェイスができていないトラステンを見てマクティラが勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「また出ちゃいそう? スライムの中にどぴゅどぴゅって射精しちゃう?」
「う、ううぅ……!」
そう言われてトラステンは下腹部に力を入れて射精をこらえようとした。だがその努力をあざ笑うかのようにスライムの動きが速くなる。マクティラもニヤニヤと笑いながら、トラステンの顔に顔を寄せた。そして耳元で囁く。
「我慢しないでいいよ。出しちゃえ♥」
妖しげな囁き声にぞくりとトラステンは身体を震わせた。同時に我慢するべく固くしていた身体から力が抜けてしまう。そして射精が始まった。
「やだ……うっ……!」
「おー、若いっていいねぇ♥ 連続二回の射精なのにまだこんなにたくさんでて、まだまだおちんちんも勃っていて……」
びゅくびゅくと精液が粘体の中にほとばしる。白濁の粘液は濃度の異なるスライムの中でふよふよと浮かんだ。出された精液を見てマクティラは舌なめずりをする。
「今度はこの精液はアタシがいただくからね」
どうやら、寄生スライムに言っているようだった。そう言えばと見てみると、自分が今の前に出した精液はいつの間にか跡形もなく消えている。どうやらスライムに吸収されてしまったらしい。本来、子どもを作るための精液を魔物娘に魔力や餌として利用される……教団の勇者の立場としてはおぞましい状況だ。しかしトラステンは、目の前の美しい、女盗賊だったスライムキャリアに心地よく射精に導かれて、そんな勇者の立場などどうでも良くなっていた。
「ねえ、見て……」
そう言ってマクティラは股を広げた。それまで見たことのなかった女の秘密の翳りがトラステンの目にさらされる。スライムが中に満ちていて、膣穴がぱっくりと開いている様子も丸見えだ。もっとも、スライムは透明ではあるが桃色であるため、全てが見えているわけではない。だがそれがかえってトラステンの見たいという欲求を掻き立て、彼の視線を釘付けにした。
ふふふ、とマクティラが妖艶に笑った。それと同時に、今しがたトラステンが放った精液が一人でに移動した。スライムが運んでいるのだ。
スライムの流れに乗ってトラステンの精液はマクティラの下腹部へとゆっくり向かっていく。マクティラが何をしようとしているかが分かり、トラステンが目を見張る。
「ま、まさか、マクティラ……!?」
「そうよぉ? トラステンの精液を中に入れるのぉ♪」
精液を餌として吸収されても動かなかったトラステンだったが、さすがに慌てふためいた。性に厳しい教団国出身の彼でも、女性の膣内に精液を注ぐ意味は知っている。まして、相手は見ず知らずの魔物ではなく、短い間だが一緒に旅をした仲間なのだ。そのことが彼に罪悪感を抱かせる。
しかし彼が焦ったところでどうしようもない。すでに精液はそこにあり、あとは寄生スライムとマクティラの意思を持って膣内に運ばれるだけだ。ついに精液はマクティラの股間の前まで運ばれた。
「ふふふ、見てなさい……ほぅら♪」
言葉とともに、精液はちゅるんと吸い込まれ、膣穴の奥へと消える。普通は見ることができない、膣内に精液が注がれる様子……トラステンは呆けたような声を出しながらそれを見守ることしかできなかった。
「あん……♥」
マクティラが軽く嬌声を上げる。男の精を宿主の本体に直接受けることで、しびれるような快感が彼女の身体に走っていた。
とろけた表情でマクティラは自分の下腹部を撫でる。
「トラステンの精液、中にあるの分かる……♥ もっと欲しいなぁ……?」
さらに膣内に精を受けるためマクティラはトラステンの肩をそっと押す。彼女の意図を理解したスライムは、スライムの中で直立の姿勢だったトラステンを仰向けにした。さながら、ベッドの上に寝かされる形になる。そのトラステンの上にマクティラは跨った。内股から粘体がぬとぬとと滴り落ちる。だがやはり宿主と寄生者の関係からか、粘体が途切れることはなく、マクティラと寄生スライムはつながり続けていた。
「ねえねえ、トラステンって……やっぱり、童貞?」
挿入前に、ふとマクティラはトラステンに問いかけた。勇者の目が動揺する。図星のようだ。またマクティラは楽しそうに笑った。
「あららトラステン。童貞喪失の前に中出しをしちゃったことになるわね。随分奇妙な体験ね?」
「くっ……」
恥ずかしそうにトラステンはそっぽを向く。その仕草に可愛らしいと笑ってから、マクティラは囁く。
「大丈夫♪ もう中出ししちゃったから本番はさせてあげないとか言わないから♪ 挿れるね♥」
「や、やめ……」
横を向いていたトラステンの顔がマクティラの方に向き直り、拒絶の言葉を口にする。だがそう言う割には彼は逃げようともがいていなかった。二度も射精をしたというのに固く怒張して青筋すら走ってひくついている自分の肉棒とマクティラの股間が近づいているのを凝視している。挿入を今か今かと待ちわびるように。勇者と言えどまだ若いトラステンには快楽の欲求を振り切るのは厳しすぎるものがあった。
とうとう先っぽが粘壺の中にめり込んだ。粘液まみれなのに粘液とは異なる物を亀頭に感じる。それはマクティラの膣肉。これから、女とセックスをする。相手が交わってはいけないと言われていた魔物とはいえ、その期待感は否が応でもトラステンを興奮させていた。
トラステンの初々しい反応と下腹部から立ち上る挿入の快感を楽しみながら、マクティラは腰を落としていく。見せつけるように腰をひねりながら、ゆっくりと。
ペニスが中に入った分、マクティラの蜜壺からスライムが押し出される。溢れ出たスライムは、肉棒のまだ入っていない部分を撫でながら落ちていった。
「はううぅ!」
トラステンが切ない声を上げる。膣内に満ちているスライムとマクティラの粘液、さらにマクティラの膣による圧迫感。そのぬめっていながら締め付けられる感触だけでトラステンは達しそうになっていた。だがなんとか持ちこたえる。
そしてついに、勇者は魔性の女盗賊の奥に招かれた。マクティラの口からリラックスしたかのような長い、それでいて妖艶な吐息が漏れる。勇者の肉剣を深くまでくわえ込んだマクティラはその持ち主を見下ろした。
「どう、勇者様? 初めて知る女の味は……?」
「うっ、くっ……!」
トラステンは答えない。いや、答えられない。彼が今挿入させられているのは、人間だった時に幾人もの男を骨抜きにした名器にさらに寄生スライムの粘体が加わった極上の代物だ。前に射精していなければ挿入の時点で果てていただろう。今も気を抜くと射精しそうだ。なんとか目の前の魔物娘にこれ以上の種付けをしまいと勇者は身体を固くする。
答えないトラステンにマクティラは笑う。先ほど、すでに我慢できずに漏らしたと言うのに耐えられるとでも思っているのか、とその笑みが語っていた。
「これでも我慢できるかしら?」
マクティラが動き始めた。その腰が獲物に食らいつく大蛇のようにうねる。ぐちゅぐちゅとマクティラの中でトラステンの肉棒がシェイクされた。マクティラの柔肉ととろとろの粘液がトラステンの亀頭を中心に撫で回す。
「うあっ! うはぁああ!」
「あっははは! 可愛い声出すじゃない♪ んっ、あんっ♥」
快感に堪えられずに声を上げるトラステンを見下ろし、自分も楽しむべくマクティラは腰を振り続ける。彼女もまた自分の胎内を満たし擦る肉棒とスライムの存在に快感を覚えていた。
洞窟には、地下水の物とは違う、粘液質な音と、男女の嬌声が響いていた。
「ほらほらぁ♪ んふぅ♥ アタシだけじゃないわよぉ♥ スライムの方も君を攻めちゃうよ〜?」
「えっ? うぅうう!」
トラステンの身体をじゅるじゅるとスライムが覆う。うぞうぞと肌を舐めるようにその粘体は動いた。特に男も敏感な乳首を重点的に攻めてくる。攻めが結合部以外にも施されて気が散ってしまう。
「我慢しても無駄無駄♪ こうすれば男の人はたいていイッちゃうもんね♪ んっ、あんっ♥ あっあっああ♥」
マクティラの動きが変わった。今までは前後に動かしていたが、今度は上下に激しく動いたのだ。肉棒をしごき抜き、容赦なく射精に導く荒々しい騎乗位。
トラステンはぎゅっと拳を握りしめて耐えようとする。だが目の前で揺れる乳房、粘液のカーテンの奥で、女性器から出し入れされる自分の牡器、そこから立ち上る快感、身体中を這いまわるスライムの感触……それらが全て、トラステンの努力をそれまでの価値観ごと押し流してしまう。
「ああああああ……!」
ダメなのに気持ちいい……そうしたジレンマを抱えた声をトラステンは上げた。そして射精が始まる。女盗賊の膣内で肉棒が脈打ち、精液を吐き出していく。とうとう彼は直接、スライムキャリアに種付けをしてしまったのだ。
生真面目な勇者を自分の身体と技で射精に導いた。そのことにマクティラは満足そうな笑みを浮かべた。
一方、トラステンは深い罪悪感を覚えていた。それほど主神の教えに信心深い訳ではなかったが、それでも魔物娘の誘惑に乗ることは禁忌であることはその心に刻まれている。だというのに魔物娘と交わってしまい、あまつさえその膣内で射精をしてしまった。教団の希望と言われている勇者としては最も恥ずべき事態だ。
しかし一概に、自分にここまでの仕打ちをした魔物娘、マクティラのことを悪く言うことはできないだろう。そもそも彼女は自分がもう少し早く見つけていたら助けられたかもしれなかった人間だったのだ。自分が魔物娘と交わったことより、そのことがトラステンを苦しめた。
勇者の苦しみは限界を超え、とうとう涙となって溢れだした。突然泣きだしたトラステンにマクティラは慌てふためく。
「ど、どうしたのトラステン!? そんな、急に泣きだして……」
「だって、僕は……僕は……!」
嗚咽しながらトラステンは自分が抱えている罪悪感を打ち明ける。勇者の懺悔を聞いた女盗賊の顔が晴れやかな物になった。
「嬉しい……そんなに私、思われていたのね?」
マクティラの反応に驚いているトラステンの顔に彼女は顔を寄せる。
「今までアタシは何度か他の人とパーティーを組んだことあったけど……君ほど仲間のアタシを思ってくれた人はいなかったわ……」
勇者の懺悔を聞いた女盗賊の心にも罪悪感のような物が沸き起こっていた。魔物になる前、自分はこの勇者を誑かして金目の物をむしりとろうとしたのだ。こんな、自分のことを信じてくれている勇者を。
そして罪悪感とともに、マクティラの心の中に好意のような物が芽生えていた。精液を直接身体に受けた影響もあり、思われていた事への喜びが一気に愛情へと変わる。自分が当初抱いていた小汚い考えは、この気持をぶつけることで贖う……難しく考えることはない。人間の複雑なしがらみや意地を捨て、魔物となったマクティラはその思いを行動に移す。
「すっごく嬉しい♥」
覆い被さるようにして、スライムのベッドに横になっているトラステンを抱きしめる。突然のマクティラの行動にトラステンは目をうるませたまま白黒させた。そんな彼に構わず、マクティラは続ける。
「それに、私の事は気にしないでいいわ。うーん、人間の子どもは産めなかったりするけど……本質的にはアタシはアタシ、マクティラは変わってないんだからさ。それに、魔物はそんなに悪の存在じゃないって、今のアタシを見れば分かるでしょう?」
マクティラの言葉にトラステンの心が揺れる。そうだ、旅をしているうちに思っていた。強引で淫らで快楽主義で堕落しているが、魔物は教団が言うほど悪ではない。
迷っている勇者にスライムキャリアは続ける。
「ねえ……もう冒険なんてやめてさ、アタシと一緒にここで暮らそうよ♥」
これまで戦ってきた魔物娘たちと、そしてその家庭が脳裏を過ぎる。どれも幸せそうな家庭。その家庭を自分も作るのも悪くはないのではないだろうか。敵うかどうか分からない、魔物や魔王の討伐なんかやめて、この美しき女盗賊だったスライムキャリアと一緒に……
トラステンの中の、勇者としての心が折れる。後に残るのは魔物娘と同様の、欲望。
自分を抱きしめているマクティラを、下からトラステンは抱きしめ返した。
「あははっ、嬉しい♪ これ、オッケーととっていいのね?」
勇者は答えない。まだ迷いが完全に断ち切れてはいないのだ。しかし彼は、魔物娘と暮らすという方向に大きく一歩を踏み出した。それだけでマクティラにとっては十分だった。
トラステンを抱きしめたまま、マクティラは上体を起こした。ちょうど、座っている彼の上に彼女が座って結合している形になる。
そして再び、腰の律動を始めようとした。今まで何人もの男を昇天させた、けれどもこれからは今交わっているこの勇者だけに使われる腰振り……
「今度は二人で気持よくなろう、ね……♥ ……うっ!?」
甘く囁いたマクティラが声を上げた。その目が驚きに大きく見開かれている。トラステンも同じような顔をしていた。
二人の結合部内にあるスライムが急に動き出したのだ。宿主が捕らえた男と、宿主自身をイカせるために。
結ばれた自分とトラステンへの祝福のつもりなのだろう。宿主であるマクティラには寄生スライムの思考は分かっていた。だがその不意打ちの刺激は魔物娘となった彼女にも強烈だった。
「あっ、こらっ! ちょ、勝手に……ふああああああっ♥」
「くっ、うううう!」
マクティラの膣内で寄生スライムが暴れまわっていた。
トラステンのペニスにスライムが筒状に巻きつき、激しく竿をしごきながら流動して締め付ける。その動きは同時にマクティラの膣内も刺激していた。しごく動きによって抽送のような刺激を加えられ、流動によって膣壁をにゅるにゅると擦りたてられる。
ふたりともほとんど動いていない。しかし、二人にもたらされている快感は激しい。女盗賊と勇者は互いにキツく抱き合ってスライムの愛撫に悶えた。
「ああっ、マクティラっ! 気持よくて……くぅう!」
「んあっ! いいよっ♥ これもアタシの一部だから、気持よく、なって……♥ くぅうん! アタシも、イイッ♥」
マクティラがトラステンにしがみついたまま、細かく腰を動かし始める。快感によって反射的に出ている動きでもあるが、ある程度は彼女が意図的に動かしていた。
スライムで満たされている二人の結合部だが、トラステンの亀頭とマクティラの子宮口はスライムに覆われておらず直接触れ合っていた。マクティラが腰を動かすことによって、くにゅくにゅと、膣内にしては硬めの肉が亀頭にこすりつけられ、彼が刺激される。また、マクティラ自身も子宮口を肉棒の先端で押し返され、さらに先走り汁や先ほど出した精液を塗りたくられ、快感を得ていた。
「んひぅ!? あっ、そこまで……♥ くひぃいいん♥」
マクティラがトラステンをくわえ込んだまま腰を跳ねさせる。べっとりと彼女の股間に貼り付いているスライムがクリトリスを粘体の中で転がしていた。膣内と陰核、性感帯を同時に攻められてマクティラの身体に快感がどんどん蓄積していく。それに併せて彼女の腰の動きも情熱的な物になり、子どもの部屋の入り口を子種の射出口にぐいぐいと押し付けて密着させた。
「だめぇ、マクティラぁ……! そんなにされるとイク……また出ちゃう……!」
彼女の動きを少しでも抑えようとするかのように腰を抱え込んでしがみつきながら、トラステンは絶頂の予感を訴える。だがマクティラの動きは止まらない。
「いいよ……♥ アタシも……イ、ク……からぁ……!」
そして彼女もまたその時が近づいていた。本能的に腰を振りながら、その時を待つ。
二人の絶頂のタイミングは、ほぼ同時だった。その調節は寄生スライムが行った。トラステンの肉棒が射精すべく膨れ上がったのを感じ取ったと同時に、きゅうっと粘体でマクティラのクリトリスを吸ったのだ。
「ああっ! 出るぅう!」
「イクぅうううう♥」
震える身体を抱きしめあったまま二人はのけぞり、天国を見る。狂おしいほどの快楽を二人は共有していた。マクティラの膣内でトラステンの牡器が爆ぜる。
あふれた白濁液は愛液と粘体と融け合った。
「ねえねえ、もう寝ちゃったの?」
少し不満そうな声をマクティラは上げる。彼女の下で、寄生スライムの上でトラステンはぐったりと横たわっていた。
いくら身体能力が普通の人間より優れている勇者でも、初めての性行為で人間レベルを超えた快楽による連続四回の射精は堪えたらしい。トラステンは気を失っていた。
ふぅとマクティラはため息をつく。自分としてはもう三回くらい交わりたかったのだが、気絶されてしまっては仕方がない。でも無理に起こすこともないだろうと彼女は思った。待てば彼も回復するだろうし、時間はいくらでもあるのだ。
「ふふふ……」
マクティラは笑いながらトラステンに覆い被さり、大切そうに彼を抱きしめた。
「アタシ……いいもんゲットしちゃった♪ 宝石とかお金とか、そんなのどうでも良いくらいイイもの……うっふふふ♥」
至福の笑みを浮かべるマクティラとトラステンをさらに寄生スライムが包み込む。このスライムにとって、ふたりとも大事な存在だからだ。
マクティラの笑いにあわせて、寄生スライムは愉快そうに身体を揺らした。
狡猾なる二体のスライム……寄生スライムと元女盗賊のスライムキャリアは、こうして望む物を手に入れるのであった。
13/10/22 20:59更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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