Assault and Parasite
「ちくしょー、しくったなぁ……まさかアタシとしたことがあんな簡単なトラップにかかっちゃうとはなぁ……」
とあるダンジョンを一人愚痴りながら歩いている女がいた。よく日焼けしていて四肢は筋肉で引き締まっており、それでいながら胸には豊かな果実が実っている。胸と腰回りだけを覆った革鎧で包んでおり、その身体を惜しげも無く晒していた。どこか黒豹を思わせる雰囲気があり、油断のない目と身のこなしが、彼女がそれなりに歲月を経て場数を踏んできた人物であることを物語っている。だがその割にはのんびりとしていて少し舌っ足らずな口調が幼い印象を与え、ギャップを醸し出していた。
マクティラ。盗賊だ。
盗賊とは一口には言ったが、彼女の場合は冒険者としての盗賊という要素が強い。手先の器用さを活かしてトラップの解除をしたり鍵を開けたりし、戦闘ではその素早さを活かした攻撃をする職業だ。
今回、彼女はとある一人旅の勇者に請われ、あるダンジョンに一緒に潜ることになった。彼曰く、ダンジョンの最奥に重要なアイテムがあるらしい。
正直、マクティラはそのアイテムに興味はない。興味があるのはダンジョンの道中で手に入る宝物と、勇者の所持金。
このマクティラは冒険者としての盗賊でもあったが、コソ泥をする盗賊でもあった。一時的にパーティーに加わってその所持金をちょろまかしたり、あるいはその肢体を使って男の仲間を誘惑してうまいこと宝石を掠め盗ったり……そうして貯めた額は結構な物になっている。
そのような小汚い思惑もあってマクティラは勇者、トラステンとともにダンジョンに潜ったのだが、突然上から扉が降りてきてパーティーを分断されてしまったのだ。トラップだった。
こうしたわけでマクティラは一人ダンジョンを歩いている。先に進めばトラステンと合流できると信じて。
「にしてもやっぱり盗賊一人でダンジョンを歩くってのは、心細いなぁ……」
きょろきょろと左右に目を配りながらマクティラは歩く。素早さを活かして奇襲をかけることを得意とする盗賊だが、それは仲間がいて初めて成り立つ戦法。一人で敵と遭遇してしまうと、逃げる以外の選択肢はない。
道中で何体か魔物娘を見かけたが、相手することなく脱兎のごとく逃げた。
『けどもし、マンティコアとかアタシの手に負えないような魔物が出た時は……』
考えたくもない。マクティラは頭を振った。そしてたとえであったとしても、自分の俊足で逃げ切ればいい。
トラステンと早く合流できることを祈りながら女盗賊のマクティラはダンジョンを一人歩き続けるのであった。
トラップもあったとおり、このダンジョンは人の手が加わっている。しかし、どうやらもともとあった洞窟を改良して作ったもののようだ。手をつけてなさそうな岩肌が壁や天井からときどきむき出しになっている。地下水脈が近くを通ったりでもしているのだろうか? その岩肌は黒々と濡れていた。
天井からはぽたぽたと水滴が滴り落ちており、床に水たまりを作っている。そのことがマクティラの歩みをより慎重な物にした。スライム、レッドスライム、おおなめくじ……この洞窟で今までで見かけた魔物を思い出す。もともと彼女らが住みやすい洞窟が、さらに住み良いように造り変えられているのだ。
「……っ!」
不意にマクティラは足を止め、ナイフを抜いて振り返った。何者かの気配を感じたのだ。相手を確認し、すぐに逃げられるように重心を後ろに置く。
しかし、誰もいなかった。気配はあるが、何もいない。
ぴちょん……ぴちょん……
天井から水たまりに滴りおちる音だけがあたりに響く。
『気のせいか……』
マクティラはナイフをしまい、今まで進んでいた方向に向き直る。その時、ものすごい勢いで何かがマクティラの背中にぶつかってきた。
べちゃりと、粘液質な音がする。
『スライム!? そんな!? さっき見たとき何もいなかったのに!?』
驚愕しながらマクティラは一度しまったナイフを引き抜いた。その間も自分に奇襲をしかけてきた大きさ一抱え程度のスライムはうぞぞと動き、首でも締めにかかるかのようにまとわりついてくる。
「このっ……!」
スライムを斬るべくマクティラは左手で首筋にある桃色の粘体をつかむ。そしてナイフを走らせた。だが刃は通っただけで、泥を斬るかのように効果がなかった。斬られた粘体はすぐにくっついて再生してしまう。
マクティラが炎や氷の魔法や、魔法剣を使えたのなら、スライムにダメージを与えることができたかもしれない。しかし彼女は盗賊。そのような高度な戦闘の技は持っていない。
自分の攻撃が無意味だと知り、マクティラの心に一気に恐怖が沸き起こった。その恐怖がさらに掻き立てられるような物を彼女は目にする。今、自分を襲っている魔物の顔だ。魔物の顔はマクティラがよく知る魔物の顔、すなわち人間の女性をかたどった物ではなかった。まるで子供の落書きのような、目と口があるだけの顔だったのだ。
「ひっ……!?」
今、自分を襲っているのは人を本当の意味で食らう旧世代の魔物なのではないかという考えが浮かび、マクティラはくちびるを震わせる。
そうではない。今、マクティラを襲っているのは寄生(パラサイト)スライム。今の魔王の時代になっても女性の姿を取ることができない、極めて特殊な魔物だ。だが、旧世代の魔物というわけでもない。"彼女ら"も立派な、魔物"娘"である。
このスライムもまた他の魔物娘と同様、男性の精液をはじめとする体液を餌とする。しかし、このままの姿では男を誘惑することはできない。そこでこのスライムはどうするかというと、人間の女性を捕えて寄生し、宿主となった女性を使って男を襲うのだ。
マクティラはこの寄生スライムに、寄生の対象として選ばれて襲われてしまったのだ。
そうとは知らないマクティラは恐怖に怯え、無意味にもがくばかりだ。もちろん、効果はない。その間にスライムはマクティラの革鎧の胸当てを溶かし始めた。
「きゃっ……!? と、溶けて……!」
自分も溶かされて食べられる……その恐怖にマクティラは歯を鳴らす。支えを失って胸当てが地に落ちたことも、革鎧ばかりかその下のブラも溶かされたことも、それによって形のいい乳房がむき出しになったことも気づかなかった。
だが、ここでようやくマクティラは大声をあげるという手段を思いついた。近くにトラステンがいたら、気づいて助けに来てくれるかもしれない。
「助けて、トラステン! 魔物に襲われて……んぐっ!?」
驚いたようにスライムが粘体を、叫び声をあげるマクティラの口に押し込んできた。どうやらそれなりの知性はあるらしい。未だ状況は不利でありながらも少し落ち着きを取り戻したマクティラは考える。
『そしてこんなことされても……!』
刃が通らなかった粘体にどれだけ効果があるか分からないが、試してみる価値はあるだろう。マクティラは口に力を入れ、粘体を噛み切ろうとした。あっさりと口の中にあった粘体は噛みちぎられる。口に押し込まれていた粘体も怯んだのか、マクティラの顔から離れる。
『……いや、あっさりすぎる?』
そう思った時には遅かった。噛みちぎられた小さなスライムはまるで意思を持っているかのようにマクティラの喉の奥へと移動したのだ。反射的にマクティラはそれを飲み込んでしまう。粘体は喉を通って胃の中に。
「んっ!? 何これ!? お腹が……!? お腹が、熱い……!」
突然、腹の中の水分が沸騰したかのように思えるほど、熱が発生した。その熱はあっという間に全身を回り、特に下半身に集中する。集まった熱を何とかして逃がそうとするかのように、とろりとした液がマクティラの股間から滲み出し、ショーツの染みこんだ。
『私、濡れてる!? それにこれって……!』
思い当たる現象は一つしかない。
発情。
自分の女の身体を武器に使う彼女だ。この手の身体の変化は熟知している。今自分の身に起きていることは発情以外の何物でもなかった。
熱くなった身体は汗ばみ、女の香りを漂わせ始める。上半身に粘ついているスライムはまるでそれを舐めとるかのように蠢いた。口を粘体で塞いだのも、噛み切られることを見越してのことだったのだろう。
ようやくマクティラは把握する。今、自分を襲っている魔物は姿形こそ旧世代の魔物を思わせる異形の物であるが、本質は現在の魔物と同じ淫らな存在であることを。
だが分かったからと言って状況が好転することもない。せいぜい、物理的に食べられて命を失うということだけは避けられることが分かっただけだ。魔物の中には人間の女性を自分と同じ存在に変える能力を持つ者もいる。この魔物もその手の魔物だったら……?
「いや……いやっ! いやぁあああ!」
恐怖に引きつった声がマクティラの口からほとばしる。だがその声はどこか甘い物を漂わせていた。
むき出しになっている彼女の胸の頂は尖っており、肌は上気している。もうすでにマクティラの身体は快楽を受け入れる準備が整えられていた。
「んっ、ふぅうんっ! あっ、あああ……」
上半身に張り付いていたスライムが下半身へと移動を始める。粘体が肌を這うたびに、演技ではない艶かしい声を女盗賊は漏らした。
スカート状の革鎧も一部が溶かされて地に落とされ、冒険者としてはおおよそ機能的ではない、娼婦のような下着が露わになる。そのクロッチ部分はまだ粘体が触れていないのに、染みを作っていた。マクティラ自身が分泌している粘液によるものだ。
「ああっ、あふあああっ」
一方、全ての粘体が下半身に移動した訳ではない。一部の粘体はマクティラの胸を覆っていた。そしてむにゅりむにゅりと圧力を加えてくる。スライムの動きにあわせて女盗賊の形のいい胸の果実が独りでに変形する。乳房を揉まれる感覚にマクティラは身体を震わせ、熱い吐息をつく。
それだけでは終わらず、スライムはその粘体でマクティラの固く凝っている乳首を吸い立てた。女の身体で特に敏感な部分の一つを攻められ、マクティラは声を上げてのけぞった。
「くっ、魔物が……! こんないやらしいことを……いや、あっ、あっ!」
スライムを引き剥がそうとマクティラの手が動くが、手にべったりとスライムがついただけだった。そして胸や肌への攻めで嬌声を上げさせられ、抵抗する気力が削られていく。
はらりと力なく、濡れた下着が落ちた。ついにスライムはマクティラのショーツのサイドも溶かしたのだ。物欲しげに蜜を滴らせている、マクティラの秘密の場所が露わになってしまう。
「や、やだあっ! やめてぇえ!」
本能的に何をされるか察知したマクティラは、股間を両手で押さえた。ぬるりと自分の愛液が指に絡みつく。スライムにソコを攻められることを拒否しているマクティラの行動だったが、それとは裏腹に彼女の身体はさらなる快楽を求めていた。
寄生スライムもそれを分かっている。そして、マクティラの形ばかりの守りは、その通り意味を成していない。指の隙間から、スライムはどんどん侵入していく。そしてべっとりとマクティラの秘部を覆った。
「んんんん〜〜っ!」
膣口とクリトリスを覆われる感覚だけでも鳥肌物だった。快感のあまりマクティラは股間を押さえ込んだまま膝をつく。しかしまだ覆っただけ。スライムによる攻めはまだまだこれからだ。
股間を覆ったスライムが波打つように動く。透き通った粘液の下で小さく勃起したクリトリスがあちらへこちらへと転がされる。
「んひぅううう! やだぁあ! そこ、だめぇええ!」
女の身体で快感を感じるためだけに創られたと言われており、最も敏感な部分を攻められ、マクティラは恥も外聞もなく声をあげる。だがそれでスライムが攻めの手を緩めるはずがない。
容赦のないスライムの攻めでマクティラの身体に快感が蓄積していく。その臨界点がすぐそこまで迫っていた。がくりと上体が崩れ落ちる。ロンググローブとニーハイブーツだけで尻を高く持ち上げているという卑猥な格好になってしまう。快感と羞恥心に顔を紅く染めてマクティラは唸る。
「ううっ、くそぉ……こんな、魔物に……んいっ!?」
まるで魔物への侮辱の言葉に反応したかのように、不意に強い刺激がクリトリスに加えられた。粘体がきゅっと吸い立ててきたのだ。それがとどめとなる。
「あっ、だめっ……イクッ! ぐ、んくううううう!」
びくびくと、マクティラの尻が揺れた。達してしまったのだ。オーガズムの経験は何度もある彼女だが、ここまで早くかつ一方的に追いやられたのは初めてだった。
「はあ、はあ……んぅ……?」
アクメの余韻に荒い息をついていた彼女だったが、不意に違和感を覚えた。股間にまとわりついているスライムが重たくなったように感じたのだ。
実際に、スライムは大きくなっていた。寄生スライムは獲物の女性に快楽を与え、魔力を流し込むと同時に精を奪っていく。その精によってスライムは巨大化していくのだ。
だがそのことを考えるまでの余裕はマクティラには与えられなかった。次なる攻めがマクティラの身体に施される。
大きくなったスライムはマクティラを覆うその面積を広げた。
「いやっ!? お尻まで……!? ん、んううう!」
まるでスライムでできたショーツを穿いているような感じに覆われる。これでマクティラの股間はスライムから逃げようがなくなってしまった。胸も同じように覆われている。そのマクティラにまとわりついたスライムが流動し始めた。
声を上げてマクティラが身体を跳ねさせる。まるで、いくつものローションにまみれた手で身体を撫で回られているかのような感覚だった。くすぐったさと、それを上回る快感が肌から発生し、脊髄に集中して脳へと貫かれる。
持ち上がっていたマクティラの尻が横に倒れ、ついに彼女は地に転がった。身体を掻き抱き、彼女は悶える。まとわりついているスライムを引き剥がそうとするかのように転がりまわるが、効果はない。
「ダメッ! そんな、全身を、シちゃ……んぅうう! ああ、いやぁああ!」
また身体に迫ってくる絶頂の予感。恐怖に駆られた声をマクティラは上げる。またイかされてしまうと、自分の心が快楽に溶かされてしまう気がした。相手は魔物なのに。人間の自分を壊して同じ存在に変えてしまうかもしれない者なのに。
「あはああああああっ!」
マクティラの身体が海老反りになる。また達してしまったのだ。彼女が抱いている恐怖や、理性は、快感の前には無力だった。
じゅるり……マクティラに貼りついているスライムの体積がまた増加する。
体幹を覆い尽くした状態でさらに体積を増したスライム。そのスライムが次に攻める所は……
「ひっ!?」
快感にとろけていたマクティラの顔が恐怖にひきつる。股間にべっとりとまとわりついているスライムが、ある程度の硬度と弾力を持った粘体でつんつんと膣口をつついていた。
『挿れるつもりだ……』
それを理解したマクティラは絶叫した。
「やめ、やめてぇえ! それだけは……それだけは許してぇ!」
何度も男をハニートラップで捕らえた女盗賊が、まるで暴行される処女のような悲鳴を上げた。恐怖と快感に震えながら彼女は力の入らない手足を奮い立たせ、四つん這いになって逃げようとする。寄生スライムはマクティラの身体に張り付いているのだから、そのようなことをしても何も効力がない。スライムを引き剥がそうとすること以上に無意味なその行動はマクティラがパニックに陥ったことを物語っていた。
そして効果のない行動だったのだから、次のスライムの行動は防ぐことができない。
ぬぷっ……
スライムの一部がマクティラの膣口をこじ開け、中に侵入し始めた。それだけでマクティラの身体が崩れ落ちる。
「いやあああっ! 入って来ないでぇえ!」
再びマクティラは両手で股間を抑えこむ。もちろん効果はない。にゅるにゅるとスライムは女盗賊の中にどんどん侵入していく。
「んっ、んんぅうううあああ……」
拒絶の言葉はもう紡がれない。出てくるのは伸びやかな嬌声。顔からは怯えや拒絶が消え、快楽の色に染まっていく。スライムの挿入は、それまで咥えこんできた男のモノとは比べ物にならないくらい良かった。
じゅっじゅじゅ、じゅっ……!
スライムによる抽送が始まった。人間の男の肉棒では到底成し得ない愛撫がマクティラの膣内に施される。彼女の中にあるスライムはミミズのように収縮と拡張をポンプのように繰り返しながら、滑るように出入りをして膣肉を撫でていた。
「ふわあああああっ!」
もはや抵抗する気は失せていた。近くに転がっているナイフを拾い上げて抵抗する考えもない。彼女の頭の中は、このスライムの色と同じ色に染まってしまっている。
「イイ……あ、ああああっ、イクっ……イッちゃう……! ううっ、ううううう♥」
ついに彼女は快感を肯定する言葉を吐き、絶頂の宣言を自らの口でしてからアクメに達した。どろりとした白濁の本気汁がヴァギナから漏れ、スライムに受け止められて広がる。その愛液はスライムによって速やかに吸収され"彼女"の養分となり、"彼女"を大きくする。すでにマクティラは胸も腹も背中も股間も尻も、全て魔物娘である寄生スライムに厚く覆われている。だがまだ終わらない。
「ひあああっ♥ また、またぐじゅぐじゅってぇえ♥ おまんこも、おっぱいもぉお……ひああああん♥」
再びマクティラがだらしのない嬌声を上げ始めた。より巨大化したスライムはさらに寄生に馴染もうと攻めを続ける。
「やだぁ、ダメェ♥ 気持ちいい、気持ちよすぎてダメになっちゃうう♥ 身体中全部気持よくておかしくなっちゃうぅ♥」
転げまわり、スライムに包まれていない手足をばたつかせながら彼女は叫ぶ。言葉は拒絶しているような内容だが、その声は快感に染まりきり、顔は至福を感じさせる。
一見すれば、女がピンク色のスライムに包まれてもがいているだけのように見える。だがそのスライムの中で獲物となった女盗賊のマクティラは優しくも激しく蹂躙されていた。
背中と腹と尻に張り付いているスライムはにゅるにゅると流動して愛撫をする。それはヌメった蛇に身体を這い回られているような、あるいは全身を愛されているかのような……どう表現すべきかはマクティラにしか分からない。いや、その彼女は表現できないほど快感に溺れている。
胸には多彩な愛撫が施されていた。二つの乳房は踊るようにあっちこっちに先端を向け、変形している。寄生スライムの粘液が揉みしだいているのだ。さらにその先端の乳首は転がされたり摘まれたり座れたりしている。形も攻めも変化自在な粘液は器用にそれらの愛撫を一度にマクティラに施していた。
股間に淫らに粘りついている粘体は貼り付いているだけではない。マクティラの股間を今覗きこむことができるものがいたら、彼女の膣穴がぽっかりと開いているのを見ることができただろう。スライムは透明ゆえに、その肉壷が押し広げられているようすが手に取るように分かる。
マクティラの膣内に潜り込んでいる粘体はポンプのように動いて膣壁を圧迫し、蛇のようにうねり、流動して肉壁を撫で、そして子宮口をつつく。その攻めにスライムを咥えこんでいるマクティラの性器はスライムとは異なる粘液を垂らした。その愛液もスライムによって吸収されてしまい、糧となる。
「んふああああ♥ またイクぅううう♥」
ばだばたと逃げ場のない快感に暴れていた彼女の身体が固まり、そして腰だけがびくびくと震えた。限界へと押しやられたのだ。そしてまたスライムの体積が増す。
ところがその増え方が今までとは少し違う。先ほどまでは全体的に大きくなっていたのに、今はマクティラの股の間にあるスライムだけが大きくなったのだ。まるで、マクティラが膣穴からスライムを産みだしたかのように。
だが当のマクティラは気づかない。ほんの数秒のインターバルを経てまた始められた寄生スライムの攻めに夢中になっていた。
「おまんちょ……おまんちょもっとぐちゅぐちゅしてぇ……♥ おっぱいもおしりももっとぬるぬるしてえぇ♥」
あられもない言葉を吐きながらマクティラは快感を求める。腰が動いているのは絶頂のためではなく、自分から気持よくなりたいためだ。
もうそこには、トラップなどを解除したり、男を肉体でだまくらかして財宝を盗んだりしていた女盗賊の姿はない。姿形こそ女盗賊のマクティラだが、それは性の快感に貪欲な、一匹の魔物であった。
そう。寄生スライムに貼りつかれ体内に侵入され、快感を徹底的に叩きこまれ、心も身体も魔物の物へと染め上げられた人間の女性……それが"スライムキャリア"だ。
もうマクティラは人間の女盗賊ではない。スライムキャリアであった。
「だめっ……またイッちゃう♥ おまんちょきもちよすぎて……どこもかしこもよくて……うあ、あ、んあああああっ♥」
何度目か分からない絶頂。また膨らむ、彼女の股にあるスライム。そして始まる絶頂へのカウントダウン。
寄生スライムによる陵辱と呼ぶべきか、スライムキャリアによる自慰と呼ぶべきか分からない、淫らなサイクルが繰り返された。
「もっとぉお……もっとおまんちょしたいよぉお……もっとイキたいよぉお……」
どれだけ時間が経っただろうか。スライムキャリアとなったマクティラは一人、自分の身体の一部となった寄生スライムと淫らに戯れいていた。しかしその身体が完全に魔物の物となったためか、その嬌声は最高潮のときよりも控えられており、理性も感じられる。それどころか物足りなさすら訴えていた。実際に彼女は、物足りないと思っていた。
『なんでだろう〜?』
魔物となって桃色に染まっている頭でマクティラは考える。自分の一部であるスライムの攻めは確かに気持ちよかった。あんなに気持ちよかったこと、あんなにたくさんイッたことはこれまでになかった。それなのに物足りないのはなぜだろうか。ただ単に慣れだろうか? それも何か別な理由があるのだろうか。
『あ、そう言えば……』
ふと思い出して、彼女は自分の股間に目を向けてみた。そして驚く。
自分の脚を巨大なスライムが身体を割り入れていた。高さだけだと58インチ(おおよそ147cm)。ちょっとした馬くらいの大きさになっている。お陰で自分ははしたなく大股開きだ。
「えーっと……こんなに大きいとアタシの足、届かないよね……あ、それこそ馬みたいにすればいいか。よいしょ、よいしょ……」
スライムはもはや自分の身体の一部。彼女は人間の身体の部分を使うことなく、身体をスライムの上に移動させることができた。
巨大な桃色の粘体の上に人間の女性が跨った姿……これがスライムキャリアの標準的な姿だ。
「悪く無いわねぇ、ねえ?」
首を横に向けてマクティラは同意を求める。そこには子どもの落書きのような顔、もとは単独であった寄生スライムの本来の顔があった。マクティラの一部となった寄生スライムは、顔のある部分を上下に動かしてみせた。
その仕草に微笑んだマクティラだったが、不意にその顔を引き締めた。誰かが来る。足音と、何者かを呼ぶ声と、そして何かの匂いがする。若い男のようだ。それらを感じ取ったと同時に、マクティラは身体が熱くなったように感じた。また発情だ。
『あ……』
それでマクティラは全てを悟った。
なぜ物足りないのか。魔物のことを考えれば簡単な話だった。
男だ。
スライムのような人外の攻めはできない。しかしその精、その体液は魔物娘にとって、スライムなんかでは得られないほどの甘美なものだ。
それを自覚した瞬間、マクティラの中で欲棒が一気に膨れ上がった。
男が欲しい。逞しいモノでスライムに満ちたこの膣内をぐちゅぐちゅに掻き回して欲しい。そしてその者の精液が欲しい。
「……クティラー」
男の声がする。はっきりとは聞こえなかったが、自分を呼んでいるのだとマクティラは理解した。今、このダンジョンの中で自分を探しまわる男と言ったら一人しか思い浮かばない。
勇者、トラステンだ。
『そうよ……そもそも当初の計画だったら、このダンジョンを出た後、彼とエッチしてお金をちょろまかすはずだったんじゃない。それに、彼は結構可愛くてハンサムだし……♥』
スライムキャリアの顔がみるみるとろけたものになる。
しかし、相手は勇者だ。このまま対面すると戦闘になってしまう。それは少々面倒くさい。
「あ、そうだ……!」
マクティラのとろけた顔にさらに狡猾な笑みが混じる。その表情を浮かべた彼女は傍らにいる自分の一部、寄生スライムに話しかけた。
「協力……してくれるわよね?」
返事は聞くまでもない。この寄生スライムは自分の一部であり、求める物は一緒なのだ。いや、本来は彼女が求めていた物なのだ。
「マクティラー! どこだー!?」
寄生スライムの真の獲物がすぐそこまで近づいていた。
とあるダンジョンを一人愚痴りながら歩いている女がいた。よく日焼けしていて四肢は筋肉で引き締まっており、それでいながら胸には豊かな果実が実っている。胸と腰回りだけを覆った革鎧で包んでおり、その身体を惜しげも無く晒していた。どこか黒豹を思わせる雰囲気があり、油断のない目と身のこなしが、彼女がそれなりに歲月を経て場数を踏んできた人物であることを物語っている。だがその割にはのんびりとしていて少し舌っ足らずな口調が幼い印象を与え、ギャップを醸し出していた。
マクティラ。盗賊だ。
盗賊とは一口には言ったが、彼女の場合は冒険者としての盗賊という要素が強い。手先の器用さを活かしてトラップの解除をしたり鍵を開けたりし、戦闘ではその素早さを活かした攻撃をする職業だ。
今回、彼女はとある一人旅の勇者に請われ、あるダンジョンに一緒に潜ることになった。彼曰く、ダンジョンの最奥に重要なアイテムがあるらしい。
正直、マクティラはそのアイテムに興味はない。興味があるのはダンジョンの道中で手に入る宝物と、勇者の所持金。
このマクティラは冒険者としての盗賊でもあったが、コソ泥をする盗賊でもあった。一時的にパーティーに加わってその所持金をちょろまかしたり、あるいはその肢体を使って男の仲間を誘惑してうまいこと宝石を掠め盗ったり……そうして貯めた額は結構な物になっている。
そのような小汚い思惑もあってマクティラは勇者、トラステンとともにダンジョンに潜ったのだが、突然上から扉が降りてきてパーティーを分断されてしまったのだ。トラップだった。
こうしたわけでマクティラは一人ダンジョンを歩いている。先に進めばトラステンと合流できると信じて。
「にしてもやっぱり盗賊一人でダンジョンを歩くってのは、心細いなぁ……」
きょろきょろと左右に目を配りながらマクティラは歩く。素早さを活かして奇襲をかけることを得意とする盗賊だが、それは仲間がいて初めて成り立つ戦法。一人で敵と遭遇してしまうと、逃げる以外の選択肢はない。
道中で何体か魔物娘を見かけたが、相手することなく脱兎のごとく逃げた。
『けどもし、マンティコアとかアタシの手に負えないような魔物が出た時は……』
考えたくもない。マクティラは頭を振った。そしてたとえであったとしても、自分の俊足で逃げ切ればいい。
トラステンと早く合流できることを祈りながら女盗賊のマクティラはダンジョンを一人歩き続けるのであった。
トラップもあったとおり、このダンジョンは人の手が加わっている。しかし、どうやらもともとあった洞窟を改良して作ったもののようだ。手をつけてなさそうな岩肌が壁や天井からときどきむき出しになっている。地下水脈が近くを通ったりでもしているのだろうか? その岩肌は黒々と濡れていた。
天井からはぽたぽたと水滴が滴り落ちており、床に水たまりを作っている。そのことがマクティラの歩みをより慎重な物にした。スライム、レッドスライム、おおなめくじ……この洞窟で今までで見かけた魔物を思い出す。もともと彼女らが住みやすい洞窟が、さらに住み良いように造り変えられているのだ。
「……っ!」
不意にマクティラは足を止め、ナイフを抜いて振り返った。何者かの気配を感じたのだ。相手を確認し、すぐに逃げられるように重心を後ろに置く。
しかし、誰もいなかった。気配はあるが、何もいない。
ぴちょん……ぴちょん……
天井から水たまりに滴りおちる音だけがあたりに響く。
『気のせいか……』
マクティラはナイフをしまい、今まで進んでいた方向に向き直る。その時、ものすごい勢いで何かがマクティラの背中にぶつかってきた。
べちゃりと、粘液質な音がする。
『スライム!? そんな!? さっき見たとき何もいなかったのに!?』
驚愕しながらマクティラは一度しまったナイフを引き抜いた。その間も自分に奇襲をしかけてきた大きさ一抱え程度のスライムはうぞぞと動き、首でも締めにかかるかのようにまとわりついてくる。
「このっ……!」
スライムを斬るべくマクティラは左手で首筋にある桃色の粘体をつかむ。そしてナイフを走らせた。だが刃は通っただけで、泥を斬るかのように効果がなかった。斬られた粘体はすぐにくっついて再生してしまう。
マクティラが炎や氷の魔法や、魔法剣を使えたのなら、スライムにダメージを与えることができたかもしれない。しかし彼女は盗賊。そのような高度な戦闘の技は持っていない。
自分の攻撃が無意味だと知り、マクティラの心に一気に恐怖が沸き起こった。その恐怖がさらに掻き立てられるような物を彼女は目にする。今、自分を襲っている魔物の顔だ。魔物の顔はマクティラがよく知る魔物の顔、すなわち人間の女性をかたどった物ではなかった。まるで子供の落書きのような、目と口があるだけの顔だったのだ。
「ひっ……!?」
今、自分を襲っているのは人を本当の意味で食らう旧世代の魔物なのではないかという考えが浮かび、マクティラはくちびるを震わせる。
そうではない。今、マクティラを襲っているのは寄生(パラサイト)スライム。今の魔王の時代になっても女性の姿を取ることができない、極めて特殊な魔物だ。だが、旧世代の魔物というわけでもない。"彼女ら"も立派な、魔物"娘"である。
このスライムもまた他の魔物娘と同様、男性の精液をはじめとする体液を餌とする。しかし、このままの姿では男を誘惑することはできない。そこでこのスライムはどうするかというと、人間の女性を捕えて寄生し、宿主となった女性を使って男を襲うのだ。
マクティラはこの寄生スライムに、寄生の対象として選ばれて襲われてしまったのだ。
そうとは知らないマクティラは恐怖に怯え、無意味にもがくばかりだ。もちろん、効果はない。その間にスライムはマクティラの革鎧の胸当てを溶かし始めた。
「きゃっ……!? と、溶けて……!」
自分も溶かされて食べられる……その恐怖にマクティラは歯を鳴らす。支えを失って胸当てが地に落ちたことも、革鎧ばかりかその下のブラも溶かされたことも、それによって形のいい乳房がむき出しになったことも気づかなかった。
だが、ここでようやくマクティラは大声をあげるという手段を思いついた。近くにトラステンがいたら、気づいて助けに来てくれるかもしれない。
「助けて、トラステン! 魔物に襲われて……んぐっ!?」
驚いたようにスライムが粘体を、叫び声をあげるマクティラの口に押し込んできた。どうやらそれなりの知性はあるらしい。未だ状況は不利でありながらも少し落ち着きを取り戻したマクティラは考える。
『そしてこんなことされても……!』
刃が通らなかった粘体にどれだけ効果があるか分からないが、試してみる価値はあるだろう。マクティラは口に力を入れ、粘体を噛み切ろうとした。あっさりと口の中にあった粘体は噛みちぎられる。口に押し込まれていた粘体も怯んだのか、マクティラの顔から離れる。
『……いや、あっさりすぎる?』
そう思った時には遅かった。噛みちぎられた小さなスライムはまるで意思を持っているかのようにマクティラの喉の奥へと移動したのだ。反射的にマクティラはそれを飲み込んでしまう。粘体は喉を通って胃の中に。
「んっ!? 何これ!? お腹が……!? お腹が、熱い……!」
突然、腹の中の水分が沸騰したかのように思えるほど、熱が発生した。その熱はあっという間に全身を回り、特に下半身に集中する。集まった熱を何とかして逃がそうとするかのように、とろりとした液がマクティラの股間から滲み出し、ショーツの染みこんだ。
『私、濡れてる!? それにこれって……!』
思い当たる現象は一つしかない。
発情。
自分の女の身体を武器に使う彼女だ。この手の身体の変化は熟知している。今自分の身に起きていることは発情以外の何物でもなかった。
熱くなった身体は汗ばみ、女の香りを漂わせ始める。上半身に粘ついているスライムはまるでそれを舐めとるかのように蠢いた。口を粘体で塞いだのも、噛み切られることを見越してのことだったのだろう。
ようやくマクティラは把握する。今、自分を襲っている魔物は姿形こそ旧世代の魔物を思わせる異形の物であるが、本質は現在の魔物と同じ淫らな存在であることを。
だが分かったからと言って状況が好転することもない。せいぜい、物理的に食べられて命を失うということだけは避けられることが分かっただけだ。魔物の中には人間の女性を自分と同じ存在に変える能力を持つ者もいる。この魔物もその手の魔物だったら……?
「いや……いやっ! いやぁあああ!」
恐怖に引きつった声がマクティラの口からほとばしる。だがその声はどこか甘い物を漂わせていた。
むき出しになっている彼女の胸の頂は尖っており、肌は上気している。もうすでにマクティラの身体は快楽を受け入れる準備が整えられていた。
「んっ、ふぅうんっ! あっ、あああ……」
上半身に張り付いていたスライムが下半身へと移動を始める。粘体が肌を這うたびに、演技ではない艶かしい声を女盗賊は漏らした。
スカート状の革鎧も一部が溶かされて地に落とされ、冒険者としてはおおよそ機能的ではない、娼婦のような下着が露わになる。そのクロッチ部分はまだ粘体が触れていないのに、染みを作っていた。マクティラ自身が分泌している粘液によるものだ。
「ああっ、あふあああっ」
一方、全ての粘体が下半身に移動した訳ではない。一部の粘体はマクティラの胸を覆っていた。そしてむにゅりむにゅりと圧力を加えてくる。スライムの動きにあわせて女盗賊の形のいい胸の果実が独りでに変形する。乳房を揉まれる感覚にマクティラは身体を震わせ、熱い吐息をつく。
それだけでは終わらず、スライムはその粘体でマクティラの固く凝っている乳首を吸い立てた。女の身体で特に敏感な部分の一つを攻められ、マクティラは声を上げてのけぞった。
「くっ、魔物が……! こんないやらしいことを……いや、あっ、あっ!」
スライムを引き剥がそうとマクティラの手が動くが、手にべったりとスライムがついただけだった。そして胸や肌への攻めで嬌声を上げさせられ、抵抗する気力が削られていく。
はらりと力なく、濡れた下着が落ちた。ついにスライムはマクティラのショーツのサイドも溶かしたのだ。物欲しげに蜜を滴らせている、マクティラの秘密の場所が露わになってしまう。
「や、やだあっ! やめてぇえ!」
本能的に何をされるか察知したマクティラは、股間を両手で押さえた。ぬるりと自分の愛液が指に絡みつく。スライムにソコを攻められることを拒否しているマクティラの行動だったが、それとは裏腹に彼女の身体はさらなる快楽を求めていた。
寄生スライムもそれを分かっている。そして、マクティラの形ばかりの守りは、その通り意味を成していない。指の隙間から、スライムはどんどん侵入していく。そしてべっとりとマクティラの秘部を覆った。
「んんんん〜〜っ!」
膣口とクリトリスを覆われる感覚だけでも鳥肌物だった。快感のあまりマクティラは股間を押さえ込んだまま膝をつく。しかしまだ覆っただけ。スライムによる攻めはまだまだこれからだ。
股間を覆ったスライムが波打つように動く。透き通った粘液の下で小さく勃起したクリトリスがあちらへこちらへと転がされる。
「んひぅううう! やだぁあ! そこ、だめぇええ!」
女の身体で快感を感じるためだけに創られたと言われており、最も敏感な部分を攻められ、マクティラは恥も外聞もなく声をあげる。だがそれでスライムが攻めの手を緩めるはずがない。
容赦のないスライムの攻めでマクティラの身体に快感が蓄積していく。その臨界点がすぐそこまで迫っていた。がくりと上体が崩れ落ちる。ロンググローブとニーハイブーツだけで尻を高く持ち上げているという卑猥な格好になってしまう。快感と羞恥心に顔を紅く染めてマクティラは唸る。
「ううっ、くそぉ……こんな、魔物に……んいっ!?」
まるで魔物への侮辱の言葉に反応したかのように、不意に強い刺激がクリトリスに加えられた。粘体がきゅっと吸い立ててきたのだ。それがとどめとなる。
「あっ、だめっ……イクッ! ぐ、んくううううう!」
びくびくと、マクティラの尻が揺れた。達してしまったのだ。オーガズムの経験は何度もある彼女だが、ここまで早くかつ一方的に追いやられたのは初めてだった。
「はあ、はあ……んぅ……?」
アクメの余韻に荒い息をついていた彼女だったが、不意に違和感を覚えた。股間にまとわりついているスライムが重たくなったように感じたのだ。
実際に、スライムは大きくなっていた。寄生スライムは獲物の女性に快楽を与え、魔力を流し込むと同時に精を奪っていく。その精によってスライムは巨大化していくのだ。
だがそのことを考えるまでの余裕はマクティラには与えられなかった。次なる攻めがマクティラの身体に施される。
大きくなったスライムはマクティラを覆うその面積を広げた。
「いやっ!? お尻まで……!? ん、んううう!」
まるでスライムでできたショーツを穿いているような感じに覆われる。これでマクティラの股間はスライムから逃げようがなくなってしまった。胸も同じように覆われている。そのマクティラにまとわりついたスライムが流動し始めた。
声を上げてマクティラが身体を跳ねさせる。まるで、いくつものローションにまみれた手で身体を撫で回られているかのような感覚だった。くすぐったさと、それを上回る快感が肌から発生し、脊髄に集中して脳へと貫かれる。
持ち上がっていたマクティラの尻が横に倒れ、ついに彼女は地に転がった。身体を掻き抱き、彼女は悶える。まとわりついているスライムを引き剥がそうとするかのように転がりまわるが、効果はない。
「ダメッ! そんな、全身を、シちゃ……んぅうう! ああ、いやぁああ!」
また身体に迫ってくる絶頂の予感。恐怖に駆られた声をマクティラは上げる。またイかされてしまうと、自分の心が快楽に溶かされてしまう気がした。相手は魔物なのに。人間の自分を壊して同じ存在に変えてしまうかもしれない者なのに。
「あはああああああっ!」
マクティラの身体が海老反りになる。また達してしまったのだ。彼女が抱いている恐怖や、理性は、快感の前には無力だった。
じゅるり……マクティラに貼りついているスライムの体積がまた増加する。
体幹を覆い尽くした状態でさらに体積を増したスライム。そのスライムが次に攻める所は……
「ひっ!?」
快感にとろけていたマクティラの顔が恐怖にひきつる。股間にべっとりとまとわりついているスライムが、ある程度の硬度と弾力を持った粘体でつんつんと膣口をつついていた。
『挿れるつもりだ……』
それを理解したマクティラは絶叫した。
「やめ、やめてぇえ! それだけは……それだけは許してぇ!」
何度も男をハニートラップで捕らえた女盗賊が、まるで暴行される処女のような悲鳴を上げた。恐怖と快感に震えながら彼女は力の入らない手足を奮い立たせ、四つん這いになって逃げようとする。寄生スライムはマクティラの身体に張り付いているのだから、そのようなことをしても何も効力がない。スライムを引き剥がそうとすること以上に無意味なその行動はマクティラがパニックに陥ったことを物語っていた。
そして効果のない行動だったのだから、次のスライムの行動は防ぐことができない。
ぬぷっ……
スライムの一部がマクティラの膣口をこじ開け、中に侵入し始めた。それだけでマクティラの身体が崩れ落ちる。
「いやあああっ! 入って来ないでぇえ!」
再びマクティラは両手で股間を抑えこむ。もちろん効果はない。にゅるにゅるとスライムは女盗賊の中にどんどん侵入していく。
「んっ、んんぅうううあああ……」
拒絶の言葉はもう紡がれない。出てくるのは伸びやかな嬌声。顔からは怯えや拒絶が消え、快楽の色に染まっていく。スライムの挿入は、それまで咥えこんできた男のモノとは比べ物にならないくらい良かった。
じゅっじゅじゅ、じゅっ……!
スライムによる抽送が始まった。人間の男の肉棒では到底成し得ない愛撫がマクティラの膣内に施される。彼女の中にあるスライムはミミズのように収縮と拡張をポンプのように繰り返しながら、滑るように出入りをして膣肉を撫でていた。
「ふわあああああっ!」
もはや抵抗する気は失せていた。近くに転がっているナイフを拾い上げて抵抗する考えもない。彼女の頭の中は、このスライムの色と同じ色に染まってしまっている。
「イイ……あ、ああああっ、イクっ……イッちゃう……! ううっ、ううううう♥」
ついに彼女は快感を肯定する言葉を吐き、絶頂の宣言を自らの口でしてからアクメに達した。どろりとした白濁の本気汁がヴァギナから漏れ、スライムに受け止められて広がる。その愛液はスライムによって速やかに吸収され"彼女"の養分となり、"彼女"を大きくする。すでにマクティラは胸も腹も背中も股間も尻も、全て魔物娘である寄生スライムに厚く覆われている。だがまだ終わらない。
「ひあああっ♥ また、またぐじゅぐじゅってぇえ♥ おまんこも、おっぱいもぉお……ひああああん♥」
再びマクティラがだらしのない嬌声を上げ始めた。より巨大化したスライムはさらに寄生に馴染もうと攻めを続ける。
「やだぁ、ダメェ♥ 気持ちいい、気持ちよすぎてダメになっちゃうう♥ 身体中全部気持よくておかしくなっちゃうぅ♥」
転げまわり、スライムに包まれていない手足をばたつかせながら彼女は叫ぶ。言葉は拒絶しているような内容だが、その声は快感に染まりきり、顔は至福を感じさせる。
一見すれば、女がピンク色のスライムに包まれてもがいているだけのように見える。だがそのスライムの中で獲物となった女盗賊のマクティラは優しくも激しく蹂躙されていた。
背中と腹と尻に張り付いているスライムはにゅるにゅると流動して愛撫をする。それはヌメった蛇に身体を這い回られているような、あるいは全身を愛されているかのような……どう表現すべきかはマクティラにしか分からない。いや、その彼女は表現できないほど快感に溺れている。
胸には多彩な愛撫が施されていた。二つの乳房は踊るようにあっちこっちに先端を向け、変形している。寄生スライムの粘液が揉みしだいているのだ。さらにその先端の乳首は転がされたり摘まれたり座れたりしている。形も攻めも変化自在な粘液は器用にそれらの愛撫を一度にマクティラに施していた。
股間に淫らに粘りついている粘体は貼り付いているだけではない。マクティラの股間を今覗きこむことができるものがいたら、彼女の膣穴がぽっかりと開いているのを見ることができただろう。スライムは透明ゆえに、その肉壷が押し広げられているようすが手に取るように分かる。
マクティラの膣内に潜り込んでいる粘体はポンプのように動いて膣壁を圧迫し、蛇のようにうねり、流動して肉壁を撫で、そして子宮口をつつく。その攻めにスライムを咥えこんでいるマクティラの性器はスライムとは異なる粘液を垂らした。その愛液もスライムによって吸収されてしまい、糧となる。
「んふああああ♥ またイクぅううう♥」
ばだばたと逃げ場のない快感に暴れていた彼女の身体が固まり、そして腰だけがびくびくと震えた。限界へと押しやられたのだ。そしてまたスライムの体積が増す。
ところがその増え方が今までとは少し違う。先ほどまでは全体的に大きくなっていたのに、今はマクティラの股の間にあるスライムだけが大きくなったのだ。まるで、マクティラが膣穴からスライムを産みだしたかのように。
だが当のマクティラは気づかない。ほんの数秒のインターバルを経てまた始められた寄生スライムの攻めに夢中になっていた。
「おまんちょ……おまんちょもっとぐちゅぐちゅしてぇ……♥ おっぱいもおしりももっとぬるぬるしてえぇ♥」
あられもない言葉を吐きながらマクティラは快感を求める。腰が動いているのは絶頂のためではなく、自分から気持よくなりたいためだ。
もうそこには、トラップなどを解除したり、男を肉体でだまくらかして財宝を盗んだりしていた女盗賊の姿はない。姿形こそ女盗賊のマクティラだが、それは性の快感に貪欲な、一匹の魔物であった。
そう。寄生スライムに貼りつかれ体内に侵入され、快感を徹底的に叩きこまれ、心も身体も魔物の物へと染め上げられた人間の女性……それが"スライムキャリア"だ。
もうマクティラは人間の女盗賊ではない。スライムキャリアであった。
「だめっ……またイッちゃう♥ おまんちょきもちよすぎて……どこもかしこもよくて……うあ、あ、んあああああっ♥」
何度目か分からない絶頂。また膨らむ、彼女の股にあるスライム。そして始まる絶頂へのカウントダウン。
寄生スライムによる陵辱と呼ぶべきか、スライムキャリアによる自慰と呼ぶべきか分からない、淫らなサイクルが繰り返された。
「もっとぉお……もっとおまんちょしたいよぉお……もっとイキたいよぉお……」
どれだけ時間が経っただろうか。スライムキャリアとなったマクティラは一人、自分の身体の一部となった寄生スライムと淫らに戯れいていた。しかしその身体が完全に魔物の物となったためか、その嬌声は最高潮のときよりも控えられており、理性も感じられる。それどころか物足りなさすら訴えていた。実際に彼女は、物足りないと思っていた。
『なんでだろう〜?』
魔物となって桃色に染まっている頭でマクティラは考える。自分の一部であるスライムの攻めは確かに気持ちよかった。あんなに気持ちよかったこと、あんなにたくさんイッたことはこれまでになかった。それなのに物足りないのはなぜだろうか。ただ単に慣れだろうか? それも何か別な理由があるのだろうか。
『あ、そう言えば……』
ふと思い出して、彼女は自分の股間に目を向けてみた。そして驚く。
自分の脚を巨大なスライムが身体を割り入れていた。高さだけだと58インチ(おおよそ147cm)。ちょっとした馬くらいの大きさになっている。お陰で自分ははしたなく大股開きだ。
「えーっと……こんなに大きいとアタシの足、届かないよね……あ、それこそ馬みたいにすればいいか。よいしょ、よいしょ……」
スライムはもはや自分の身体の一部。彼女は人間の身体の部分を使うことなく、身体をスライムの上に移動させることができた。
巨大な桃色の粘体の上に人間の女性が跨った姿……これがスライムキャリアの標準的な姿だ。
「悪く無いわねぇ、ねえ?」
首を横に向けてマクティラは同意を求める。そこには子どもの落書きのような顔、もとは単独であった寄生スライムの本来の顔があった。マクティラの一部となった寄生スライムは、顔のある部分を上下に動かしてみせた。
その仕草に微笑んだマクティラだったが、不意にその顔を引き締めた。誰かが来る。足音と、何者かを呼ぶ声と、そして何かの匂いがする。若い男のようだ。それらを感じ取ったと同時に、マクティラは身体が熱くなったように感じた。また発情だ。
『あ……』
それでマクティラは全てを悟った。
なぜ物足りないのか。魔物のことを考えれば簡単な話だった。
男だ。
スライムのような人外の攻めはできない。しかしその精、その体液は魔物娘にとって、スライムなんかでは得られないほどの甘美なものだ。
それを自覚した瞬間、マクティラの中で欲棒が一気に膨れ上がった。
男が欲しい。逞しいモノでスライムに満ちたこの膣内をぐちゅぐちゅに掻き回して欲しい。そしてその者の精液が欲しい。
「……クティラー」
男の声がする。はっきりとは聞こえなかったが、自分を呼んでいるのだとマクティラは理解した。今、このダンジョンの中で自分を探しまわる男と言ったら一人しか思い浮かばない。
勇者、トラステンだ。
『そうよ……そもそも当初の計画だったら、このダンジョンを出た後、彼とエッチしてお金をちょろまかすはずだったんじゃない。それに、彼は結構可愛くてハンサムだし……♥』
スライムキャリアの顔がみるみるとろけたものになる。
しかし、相手は勇者だ。このまま対面すると戦闘になってしまう。それは少々面倒くさい。
「あ、そうだ……!」
マクティラのとろけた顔にさらに狡猾な笑みが混じる。その表情を浮かべた彼女は傍らにいる自分の一部、寄生スライムに話しかけた。
「協力……してくれるわよね?」
返事は聞くまでもない。この寄生スライムは自分の一部であり、求める物は一緒なのだ。いや、本来は彼女が求めていた物なのだ。
「マクティラー! どこだー!?」
寄生スライムの真の獲物がすぐそこまで近づいていた。
13/10/16 01:24更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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