セルキー デレ化 大作戦
「今日もまた彼女、ぶっきらぼうだったわね」
「ねー、そうだよねー」
ここは常冬の港町、ガーヴァニ。そのある家のリビングで、同じ男を夫に持つグラキエスのキーラとイエティのソフィアはジャム入りの紅茶を飲みながらおしゃべりをしていた。ちなみに夫は今、ここにはいない。
「半年前に遭難しかけたアキムを助けて以来、毎週のように様子を見に来るのにねー」
「どう考えても彼女もアキムのこと、好きよね……いい加減認めればいいのに意地張るんだから……」
二人が話している"彼女"……それはセルキーのオリガのことである。彼女たちや夫のアキムと知り合ったのは先ほどの会話のとおり。
漁に出たアキムの船が潮に流されてしまって帰れなくなり、食料も尽きて困っていたところをオリガが食料を分け、さらにガーヴァニの近くまで誘導してくれたのだ。そんなことがあってから、なぜかオリガは毎週のようにアキムのところに訪ねてきて、様子を見たり食料を押し付けていったりする。
「と言うか、アキムもよくトラブルに陥るわよね……私との出会いは雪騙し草を採りに雪山に来たら遭難した、だったし……」
「それをキーラに会う前にー、あたしと会うときも同じようなことをしていたしー……」
自分たちの出会いを思い出し、二人は苦笑する。二人の夫、アキムはかなりのドジであった。忘れ物や転倒はしょっちゅう。遭難だってソフィアとキーラ、そしてオリガの時と3回もしている。
それでも、なぜか憎めないのがアキムであった。その性格は、本人にそのつもりがなくても魔物娘たちの母性本能のような物をくすぐり、ひきつける。だからソフィアはアキムを助けたらそのまま恋人となり結婚した。キーラも助けたのちに気になり、長く接しているうちに魔物の本性が現れてアキムと交わり、結婚した。
そして今、アキムを助けたオリガがアキムのことが気になっている模様だ。バイコーンもびっくりのハーレムが形成されそうだと苦笑しながら二人は紅茶を一口飲んだ。飲んだところで話がオリガの事に戻る。
「それにしても彼女、いつデレるかな……」
キーラがぽつんと呟く。オリガが本心をあらわにすると言うことはアキムと交わるということになるはずなのだが、既に氷の心が溶けてしまっている彼女は別に問題ないと思っているようだ。むしろ、魔物娘が淫らではなく、愛する男と結ばれない方が問題だと思っているらしい。ソフィアもまた同意見だった。
そう言う理由でソフィアとキーラはいつオリガが素直になるか、どのようにして素直にさせるかと言う話をよくしている。
「うーん……セルキーってあの毛皮を脱いだら甘えん坊な性格になるらしいよー?」
「それは本当?」
ソフィアの言葉にキーラが食らいついた。雪山での生活が長かった彼女はセルキーの生態を知らなかったらしい。ソフィアが説明する。
アザラシと人魚が合体したような魔物であるセルキーだが、そのアザラシの毛皮は「肉体」ではない。どちらかというとサハギンの鱗などに近く、着脱が可能だ。その毛皮はセルキーたちの魔力によって纏っているだけで温かさを感じ、寒さから身を守ってくれる。また、その毛皮が彼女たちに精神的な安定ももたらしており、そのためセルキーは概して気丈な性格をしているのだ。
だがその毛皮を脱いだらどうなるか。その身体と心を守っていた毛皮が身体から離れると、セルキーは肉体的な寒さだけでなく心の寒さ、すなわち孤独感を味わうことになるのだ。
「なるほど……私たちグラキエスがもたらす魔力の効果を受けるようなものなのね」
「そーゆーことー。だからオリガがあの毛皮を脱いだらー……」
「いつ、どこで脱ぐのよ? さすがに彼女の住処で脱いで、全裸のままここまで来るとは思えないわよ?」
「それもそーねー」
オリガが毛皮を脱いでここに来ることはないだろう。だから、彼女が毛皮を脱ぐのを待っていてはダメだ。
「じゃー、ここで脱がしちゃおーかぁ……あたしがおそいかかってー……」
「いや、それはダメでしょう……喧嘩になったら大変よ。でも、ここで脱がせる以外にはないわよね……」
ソフィアの意見を却下し、キーラはうつむいて考える。ソフィアも白くてふわふわした手を顎に当てて首をかしげて考えた。
しかし、なかなかいい案は出てこない。先に諦めようとしたのはソフィアだった。放置していた紅茶のことを思い出す。
「いけなーい、お茶が覚めるー」
「そうだったわね……ん、んん?」
キーラもちょっと考えるのを休もうと紅茶を一口飲んだが、何があったのか目を見開いた。その目はキラキラと輝いている。
「閃いたわ! 彼女を"脱がせる"方法が!」
「なになにー、教えてー?」
「ええ、ちょっと耳を貸して……」
ソフィアの耳元にキーラは口を寄せ、こしょこしょと何事かを囁く。うんうんとソフィアは頷いていたが、キーラと同じように目を見開いた。
「なるほどー、キーラ、頭いい!」
「それほどでも……さて、思いついたらもっと計画を煮詰めましょう」
「そーだねー。"アレ"は今度来る、人食い箱さんから買えばいいと思うー」
「あら、ミミックの行商人が来るの? なおさら好都合ね」
少しいたずらっぽい笑みを顔に浮かべながら、二人はセルキーのオリガを『素直にさせる』作戦を練るのであった。
★
一週間後。
いつものようにオリガが来た。アザラシの頭を模した被り物を頭に乗せ、下半身をアザラシの下半身を模した毛皮で人魚のように纏っている。この毛皮と被り物がセルキーの身体と心を寒さから守っているのだ。そしてその毛皮の下には雪のように白い肌があり、かつ豊満な乳房やくびれた腹など、女を感じさせる肉体が潜んでいる。
ソフィアとキーラ、そしてアキムがオリガ迎え入れる。
「いらっしゃーい、オリガー」
「よく来たわね」
「いつも、ありがとう」
三人はそれぞれ挨拶をする。対してオリガは軽く頭を下げただけだった。
「タラを獲った。食べるがいい」
そう言ってオリガはずいっと手に持っている魚を突きつけた。ソフィアとキーラが喜びの声を上げる。アキムが礼を言った。
「いつも本当にありがとう、オリガ」
「別に……あんな海で遭難するお前のことだ。少しは手助けしてやらないといけないと思っているだけだ」
「それでも嬉しいよ。お礼にもならないけど……紅茶をどう? いいジャムが手に入ったんだ」
オリガを紅茶に誘うのはアキムの役目だと三人は前もって打ち合わせをしていた。魔物のソフィアやキーラが誘うより、男のアキムが誘ったほうが成功率が高いと考えられたからだ。果たして、オリガは少し考えたあと、頷いた。
ソフィアとオリガ、アキムがテーブルに就いた。キーラが紅茶を用意する。テーブルにジャムの入った4つのティーカップが運ばれ、並べられた。
めいめい、目の前のカップに手を伸ばし、口に運んだ。紅茶の香り、そしてフルーティーさを備えた甘味が口にいっぱい広がる。
「オリガ、如何かしら?」
「甘くて、おいしい……」
ぽつんとオリガが答えた。それは良かったとキーラは平静を装って応えたが、どこか緊張した面持ちだった。キーラだけではない。ソフィアも少しよそよそしい態度だった。
それもそうだ。作戦が完全に成功する方向で進行しているのだから。しかし、よそよそしい態度はそれだけではない。
実は紅茶には一服、盛られている。媚薬のような物が入っているのだ。しかし、オリガの紅茶だけに入れると怪しまれる可能性があるし、万が一取り替えられたり間違えて別の人が飲んでしまうおそれもあるので、全員の紅茶にその作戦の鍵となる物が入っている。その効果を表に出すまいと、魔物のソフィアとキーラは必死だった。
やがて全員紅茶を全て飲み干し、短い間だったがお茶会はお開きになることとなった。オリガが立ち上がろうとする。
「ごちそうさ……ん、んあっ……」
小さかったが、甘い声がオリガの口から漏れた。少し動きを止めていたオリガだったが、気のせいかと思ったのか出口に向かって動こうとする。しかし、毛皮に包まれた足を動かそうとするたびに彼女は身体をびくつかせ、声を上げた。その場にへたり込んだオリガはキッと3人を睨む。ようやく彼女は、自分が一服盛られたことを理解したのだ。
「お前ら……何を飲ませた……んくぅ!」
「お、おいソフィア、キーラ……! 一体何を……!?」
「あ、アキムはちょっと静かにしていて」
お茶会をするとしか聞かされていなかったアキムも、オリガの変化に驚いて立ち上がって何かを言おうとする。だがキーラがパチンと指を鳴らすとどこからともなく縄が現れてアキムの手足にまとわりつき、縛り上げられて床に転がされた。
アキムの動きを封じてから、とろけた顔をしたソフィアとキーラがオリガの横に回る。オリガの鋭い視線など意に介していない。
「うっふっふー……オリガー、お肌がムズムズして仕方がないんでしょー?」
「分かるわよ。私たちもそうだし……」
「肌が……まさか……!」
実際に目にしたことはなかったが、名前と効果はオリガも知っていた。
まといの野菜。
肌を活性化させて敏感にさせる効果を持つ魔界の特産物だ。あまりに活性化しすぎるため、肌は火照り、むず痒さを感じ、最終的には身にまとっているものを全て脱ぎ捨ててしまう。
「とすると……あの紅茶に入っていたジャム……!」
「そー、まといの野菜の芯のジャムー」
「野菜と言う割には甘いから、ジャムとしても美味しかったでしょう?」
ケラケラと笑うソフィアとキーラをオリガは恨みがましい目で睨みつけた。しかしそのようなことをしても意味はない。今も彼女の肌はまといの野菜の影響で火照り、毛皮が擦れるたびにそこから快感が生じた。すでに毛皮の内側の秘密の場所は洪水のように濡れ、彼女の股まで濡らしている。べとべとする下半身と毛皮が擦れる感触にもはや彼女は耐えられなかった。
「うう、くそぉ……!」
3人の目があり羞恥心はあるが、快感と生理的不快感には勝てなかった。手が腰にかかり、毛皮が下ろされていく。アザラシのような下半身のなかからスラリとした人間の女性の脚が現れた。内股の部分は、秘貝から溢れた液体で濡れて光っていた。
「手伝ってあげるー」
そう言ってソフィアはオリガがかぶっていた毛皮を取り、脇に置いた。手袋は紅茶を飲むためにすでに外してしまっていたため、これで彼女は毛皮を身に纏っていない。当然、オリガは慌てた。
「ま、待て……! 何を勝手に……!」
「今!」
オリガが裸になった瞬間、キーラは魔力を解き放った。心を凍えさせ、ぬくもりを求めて止まないように仕向ける、グラキエスの魔力だ。ただでさえ毛皮を失うと体も心も寒く感じるセルキーなのに、これはたまったものではない。
自分の身体をかき抱いてオリガはがたがたと震えだした。その目はいつもの鋭さや気丈さは消え、怯え切った目をしている。
「や、やめて……! こんなの……ん、ふぅ……! 耐えられない!」
寒さと自分の身体を抱くことによって皮膚から生じる快感にオリガは声を上げた。言葉使いすら変わっている。オリガの変わりようにソフィアとキールは満足げな笑みを浮かべた。ソフィアがオリガの背後に周り、抱きしめようとする。
「オリガ、寒いのー? じゃあ温めてあげるー」
「な、なにを……ふあああん!」
「はぁあん♥」
オリガとソフィアの嬌声が絡まり合う。まといの野菜の影響で、肌が密着するだけで声が出るほどの快感だった。さらにソフィアが後ろからオリガに抱きついたまま身体を揺らす。肌が擦れ合い、二人をよりよがらせた。
「ふああっ! やっ……いやぁっ! 変な声、出ちゃう……!」
「いいよぉ、エッチな声出してもー。温かいし、気持ちいいでしょー?」
「そ、そんなことない……!」
ソフィアの言葉にオリガは弱々しく首を振る。そう言う彼女の言葉とは裏腹に彼女は股間からたらたらと愛液を垂れ流し、口からは嬌声が上がっていた。
だが、彼女の言葉は一部は真実であった。オリガを覗き込むようにしてキーラが近づき、話しかける。
「そんなことない、ねぇ……ま、ある意味そうかもね。ソフィアの身体は温かいかもしれないけど、物足りないでしょう? なんか安心できないでしょう?」
キーラの言う通りであった。イエティの体温は高く、抱きしめられていると確かにぬくもりは感じられたが、どこか安心感がなかった。自分の心の内を読み取られたかのような言葉にオリガは動揺する。
そのオリガにソフィアが追い討ちをかけた。
「私に抱きしめられたり抱きついたりするよりー、アキムに抱きついた方が温かいと思うよー?」
「あ……」
アキムの名前が出た瞬間、オリガの身体がぴくんと跳ねた。肌を密着させているソフィアは敏感にそれを感じ取り、ニヤニヤと笑って耳元で囁く。
「もしかしてー、アキムのことを考えたらもっとエッチな気分になっちゃったー?」
「うあ、あ……」
うつろで甘い声を上げるだけでオリガは答えない。キーラも攻め立てる。
「ほらほら、どうなのよ? 素直になりなさいよ」
「アキムのこと、好きなんでしょー?」
自分の心を覆い隠していた毛皮を失い、そこにグラキエスによる寒さを浴びせられ、さらにまといの野菜によって敏感になった肌にもたらされる快感で、美しき氷海のハンターであるセルキーのプライドと気丈さは完全に崩されていた。彼女の本心が、セルキー本来の寂しがり屋で甘えたがりの性格とともに、吐露される。
「好き、好きですぅ! 会って以降ずっと、彼のことを考えていましたぁ!」
「はーい、よく言えましたー」
「やっぱりね……それでこそ魔物よ」
オリガの言葉にソフィアとキーラは会心の笑みを浮かべる。彼女の気持ちを吐かせ、魔物の本性をむき出しにさせた。作戦は大成功だ。
イエティが抱きしめていた腕を解く。
「ほーら、アキムとエッチしてくるといいよー」
言われるまでもなかった。オリガは立ち上がり、フラフラしながらアキムに近寄る。
「手伝ってあげるわ」
そう言ってキーラは、縄で縛られて転がされていたアキムの服をむしり取った。あっという間にアキムは手足の縄を残して裸にされる。そして彼の逸物はオリガとソフィアが絡み合い、悶えていた様子を見ていたからか既に怒張し、ひくついてオスを主張していた。アキムの勃起を見てオリガの顔がだらしなくとろける。
「ああ、アキム……アキムの熱いオチンチン……」
呟きとともに男の上にセルキーが倒れこむ。あっと言う間に腕は頭を抱え込み、脚が男のそれに絡みつく。オリガの肌とアキムの肌がある一点を覗いて限りなく密着した。
「アキムの身体、あたたかい……落ち着く……」
「あの……オリガ、いいの? 僕なんかで……」
「海では私がいないとアキム、ダメだもの……」
アキムの首筋に頬擦りしながらオリガは言う。新たな女を迎える、こんな展開になっていいのかとアキムは情けない表情でソフィアとキーラを見た。二人は頷く。自分の同胞である魔物が自分の愛する夫とともに淫らになる。これほど喜ばしいことはない。
そうしている間にオリガが身体を動かし、腰を少し下ろした。勃起したペニスの幹が彼女のクレヴァスに当たる。
「アキムのオチンチン……私のアソコに擦れてる……」
うっとりとした表情でオリガはつぶやき、そしてアキムにねだる。
「ねぇ、ちょうだい……アキムの熱いの……私にいっぱいちょうだい……私を温めて……」
答えを聞かずにオリガは片手でアキムの肉棒を握り、位置を調整した。そのまま腰を押し付け、自分の肉洞に受け入れる。ついにオリガとアキムは一つになり、最大限に肌を合わせることになった。
「んあああっ! 入ってる……! アキムのが、私の中に……くうう!」
「あつっ、く……キツっ……!」
男と女の嬌声が部屋に響き渡る。オリガは自分の膣内を満たす圧迫感に、アキムは自分のモノを締め付ける肉壁の熱さとその強さに声を上げた。
オリガの腰はどんどん進んでいき、アキムのペニスを飲み込んでいく。そして亀頭が子宮口に触れるかというところで止まった。脚を絡ませ合っている体位の都合上、それ以上は進まなかったのだ。
「あ、あ、……ねぇ、アキム……どう、わたしのおまんこ……」
凛と美しき氷海のハンターは自然と淫語を使って繋がっている男に訊ねる。アキムがガクガクと壊れた人形のように頭を縦に振る。
「き、気持ちいいよ……熱くて、ぬるぬるしてて、なのにぎゅうぎゅう締め付けてきて……入れただけなのに、出ちゃいそうだよ……」
しかし、これはまだ挿入しただけ。これからが本番だ。ゆっくりとオリガが腰を動かし始める。円を描くようにくねらせる。
「い、いい……! おっぱいもぉ、おなかもぉ、おまんこもぉ……! みんなこすられて、いい……!」
腰を揺らしながらオリガは声を上げる。密着したままななので、快感が性器からだけではなく、重ねられた肌からも上っていた。それがより彼女を感じさせ、より彼女の動きを激しく、淫らな物にする。
「すごぉい、オリガ、あんなにエッチに動いているー、ん、あんっ」
「私がデレたとき以上に激しくないかしら……くっ、んふぅ」
少し離れたところで二人の交わりの様子を見ていたソフィアとキーラが、自分の股間をまさぐりながら言う。だがその呟きが聞こえないくらい、今はオリガとアキムは交わりに夢中になっていた。オリガの腰がぐねぐねとうねる。海中ではあのアザラシのような毛皮を纏って泳いでいるセルキーだ。そのバネは相当なものであり、それが今交わりに生かされていた。
「だ、ダメだオリガ……! そんなに動かれると……んむぅ!?」
「ん、んちゅう……」
オリガのくちびるが、アキムの言葉を封じるかのように口へ重ねられていた。そのままオリガの舌がアキムの口内に侵入し、蹂躙する。逃げる魚を追いかける海蛇のようにオリガの舌はくねり、アキムの舌を捉えて絡みついた。その間にもセルキーの腰の動きは止まらない。ペニスのヴァギナへの出入りは小さいが、その分中で激しくシェイクされているのが結合部を見れば分かる。にちゃにちゃと言うねちっこい音がそこから響いていた。
「んふぁ……も、も……!」
キスしているくちびるの端からアキムはとぎれとぎれに声を上げた。射精が始まろうとしている。オリガも、それを感じ取っていた。ペニスが自分の中でぴくぴくと痙攣し、先端がぷくりt膨れ上がっている。
本能的にオリガは手足の力を強めた。今抱えている獲物が絶対に逃げないようにロックする。そして終わりの時を待った。
とどめの一撃を刺すことなく、アキムの身体の快感が閾値を振り切った。ガクンと腰が突き上げられ、精が放出される。腰が突き上げられた瞬間、亀頭と子宮口がキスをした。
「〜〜〜〜〜〜っ!?」
その一撃でオリガも達した。男から精を搾ろうと膣肉が蠢く。それによって尿道に残っている精液までがオリガの肉洞へと注がれた。狂おしい白濁の奔流がセルキーの気丈な心を融かし、寂寥感を包み込む。
二人は身体を歓喜に震わせていたが、やがて脱力した。アキムの身体の上でオリガが夢見心地の表情で呟く。
「あ、ふああ……アキムの熱いの、いっぱいに……」
身体の外も、中も、そして心までも、彼女はぬくもりに包まれていた。
「それにしても随分なことをしてくれたな、お前たちは……」
事が終わったあと、毛皮を軽く肩に羽織ったオリガがソフィアとキーラをじろりと睨んだ。
「うーん、ちょっとだけごめんなさいー」
「少し方法が過激だったかしらね。そこらへんはごめんなさいね」
オリガの前でソフィアとキーラは小さくなっていた。しかし、言葉の通り彼女たちは全面的には反省していない。そしてオリガも、騙されてまといの野菜のジャム入りの紅茶を飲まされたことには腹を立てていたが、それ以外については怒っていなかった。むしろ自分が素直になれたことに、二人に感謝すらしていた。
「アキム」
オリガは男の名前を呼んで彼をまっすぐに見た。りんごのように頬を赤く染めながら肩にかけていた毛皮をはらりと落とす。全てを見せながら彼女は心の内も全て見せた。
「なかなか本心を打ち明けられなかったし、自分でも分からなかったが……私はお前が好きだ。こんな毛皮のぬくもりなんかより、お前のぬくもりが欲しい。お前でなければ私の寒さは消せない。私も……嫁に迎えてくれないだろうか」
アキムに否の言葉があるはずがない。こくりと頷く。ソフィアのキーラが歓声を上げ、
「それじゃあ、オリガのデレ記念にみんなでぬくぬくしよー?」
「そうね、私たちもアキムとエッチしたいのにお預け状態だし……」
「みんなで、4人で……か。それもいいな」
魔物が3人、目を淫らに獰猛に爛々と輝かせながらアキムを求めて彼ににじり寄る。
その日、アキムの家では嬌声が止むことはなかった。
★
かくしてセルキーのオリガは新たな嫁としてアキムに迎え入れられた。イエティのソフィアもグラキエスのキーラも、同じ男を愛する魔物娘として、快く彼女を迎えた。
常冬の港町・ガーヴァニにて、身を寄せ合っている4人が寒さを感じることはなかった。
「ねー、そうだよねー」
ここは常冬の港町、ガーヴァニ。そのある家のリビングで、同じ男を夫に持つグラキエスのキーラとイエティのソフィアはジャム入りの紅茶を飲みながらおしゃべりをしていた。ちなみに夫は今、ここにはいない。
「半年前に遭難しかけたアキムを助けて以来、毎週のように様子を見に来るのにねー」
「どう考えても彼女もアキムのこと、好きよね……いい加減認めればいいのに意地張るんだから……」
二人が話している"彼女"……それはセルキーのオリガのことである。彼女たちや夫のアキムと知り合ったのは先ほどの会話のとおり。
漁に出たアキムの船が潮に流されてしまって帰れなくなり、食料も尽きて困っていたところをオリガが食料を分け、さらにガーヴァニの近くまで誘導してくれたのだ。そんなことがあってから、なぜかオリガは毎週のようにアキムのところに訪ねてきて、様子を見たり食料を押し付けていったりする。
「と言うか、アキムもよくトラブルに陥るわよね……私との出会いは雪騙し草を採りに雪山に来たら遭難した、だったし……」
「それをキーラに会う前にー、あたしと会うときも同じようなことをしていたしー……」
自分たちの出会いを思い出し、二人は苦笑する。二人の夫、アキムはかなりのドジであった。忘れ物や転倒はしょっちゅう。遭難だってソフィアとキーラ、そしてオリガの時と3回もしている。
それでも、なぜか憎めないのがアキムであった。その性格は、本人にそのつもりがなくても魔物娘たちの母性本能のような物をくすぐり、ひきつける。だからソフィアはアキムを助けたらそのまま恋人となり結婚した。キーラも助けたのちに気になり、長く接しているうちに魔物の本性が現れてアキムと交わり、結婚した。
そして今、アキムを助けたオリガがアキムのことが気になっている模様だ。バイコーンもびっくりのハーレムが形成されそうだと苦笑しながら二人は紅茶を一口飲んだ。飲んだところで話がオリガの事に戻る。
「それにしても彼女、いつデレるかな……」
キーラがぽつんと呟く。オリガが本心をあらわにすると言うことはアキムと交わるということになるはずなのだが、既に氷の心が溶けてしまっている彼女は別に問題ないと思っているようだ。むしろ、魔物娘が淫らではなく、愛する男と結ばれない方が問題だと思っているらしい。ソフィアもまた同意見だった。
そう言う理由でソフィアとキーラはいつオリガが素直になるか、どのようにして素直にさせるかと言う話をよくしている。
「うーん……セルキーってあの毛皮を脱いだら甘えん坊な性格になるらしいよー?」
「それは本当?」
ソフィアの言葉にキーラが食らいついた。雪山での生活が長かった彼女はセルキーの生態を知らなかったらしい。ソフィアが説明する。
アザラシと人魚が合体したような魔物であるセルキーだが、そのアザラシの毛皮は「肉体」ではない。どちらかというとサハギンの鱗などに近く、着脱が可能だ。その毛皮はセルキーたちの魔力によって纏っているだけで温かさを感じ、寒さから身を守ってくれる。また、その毛皮が彼女たちに精神的な安定ももたらしており、そのためセルキーは概して気丈な性格をしているのだ。
だがその毛皮を脱いだらどうなるか。その身体と心を守っていた毛皮が身体から離れると、セルキーは肉体的な寒さだけでなく心の寒さ、すなわち孤独感を味わうことになるのだ。
「なるほど……私たちグラキエスがもたらす魔力の効果を受けるようなものなのね」
「そーゆーことー。だからオリガがあの毛皮を脱いだらー……」
「いつ、どこで脱ぐのよ? さすがに彼女の住処で脱いで、全裸のままここまで来るとは思えないわよ?」
「それもそーねー」
オリガが毛皮を脱いでここに来ることはないだろう。だから、彼女が毛皮を脱ぐのを待っていてはダメだ。
「じゃー、ここで脱がしちゃおーかぁ……あたしがおそいかかってー……」
「いや、それはダメでしょう……喧嘩になったら大変よ。でも、ここで脱がせる以外にはないわよね……」
ソフィアの意見を却下し、キーラはうつむいて考える。ソフィアも白くてふわふわした手を顎に当てて首をかしげて考えた。
しかし、なかなかいい案は出てこない。先に諦めようとしたのはソフィアだった。放置していた紅茶のことを思い出す。
「いけなーい、お茶が覚めるー」
「そうだったわね……ん、んん?」
キーラもちょっと考えるのを休もうと紅茶を一口飲んだが、何があったのか目を見開いた。その目はキラキラと輝いている。
「閃いたわ! 彼女を"脱がせる"方法が!」
「なになにー、教えてー?」
「ええ、ちょっと耳を貸して……」
ソフィアの耳元にキーラは口を寄せ、こしょこしょと何事かを囁く。うんうんとソフィアは頷いていたが、キーラと同じように目を見開いた。
「なるほどー、キーラ、頭いい!」
「それほどでも……さて、思いついたらもっと計画を煮詰めましょう」
「そーだねー。"アレ"は今度来る、人食い箱さんから買えばいいと思うー」
「あら、ミミックの行商人が来るの? なおさら好都合ね」
少しいたずらっぽい笑みを顔に浮かべながら、二人はセルキーのオリガを『素直にさせる』作戦を練るのであった。
★
一週間後。
いつものようにオリガが来た。アザラシの頭を模した被り物を頭に乗せ、下半身をアザラシの下半身を模した毛皮で人魚のように纏っている。この毛皮と被り物がセルキーの身体と心を寒さから守っているのだ。そしてその毛皮の下には雪のように白い肌があり、かつ豊満な乳房やくびれた腹など、女を感じさせる肉体が潜んでいる。
ソフィアとキーラ、そしてアキムがオリガ迎え入れる。
「いらっしゃーい、オリガー」
「よく来たわね」
「いつも、ありがとう」
三人はそれぞれ挨拶をする。対してオリガは軽く頭を下げただけだった。
「タラを獲った。食べるがいい」
そう言ってオリガはずいっと手に持っている魚を突きつけた。ソフィアとキーラが喜びの声を上げる。アキムが礼を言った。
「いつも本当にありがとう、オリガ」
「別に……あんな海で遭難するお前のことだ。少しは手助けしてやらないといけないと思っているだけだ」
「それでも嬉しいよ。お礼にもならないけど……紅茶をどう? いいジャムが手に入ったんだ」
オリガを紅茶に誘うのはアキムの役目だと三人は前もって打ち合わせをしていた。魔物のソフィアやキーラが誘うより、男のアキムが誘ったほうが成功率が高いと考えられたからだ。果たして、オリガは少し考えたあと、頷いた。
ソフィアとオリガ、アキムがテーブルに就いた。キーラが紅茶を用意する。テーブルにジャムの入った4つのティーカップが運ばれ、並べられた。
めいめい、目の前のカップに手を伸ばし、口に運んだ。紅茶の香り、そしてフルーティーさを備えた甘味が口にいっぱい広がる。
「オリガ、如何かしら?」
「甘くて、おいしい……」
ぽつんとオリガが答えた。それは良かったとキーラは平静を装って応えたが、どこか緊張した面持ちだった。キーラだけではない。ソフィアも少しよそよそしい態度だった。
それもそうだ。作戦が完全に成功する方向で進行しているのだから。しかし、よそよそしい態度はそれだけではない。
実は紅茶には一服、盛られている。媚薬のような物が入っているのだ。しかし、オリガの紅茶だけに入れると怪しまれる可能性があるし、万が一取り替えられたり間違えて別の人が飲んでしまうおそれもあるので、全員の紅茶にその作戦の鍵となる物が入っている。その効果を表に出すまいと、魔物のソフィアとキーラは必死だった。
やがて全員紅茶を全て飲み干し、短い間だったがお茶会はお開きになることとなった。オリガが立ち上がろうとする。
「ごちそうさ……ん、んあっ……」
小さかったが、甘い声がオリガの口から漏れた。少し動きを止めていたオリガだったが、気のせいかと思ったのか出口に向かって動こうとする。しかし、毛皮に包まれた足を動かそうとするたびに彼女は身体をびくつかせ、声を上げた。その場にへたり込んだオリガはキッと3人を睨む。ようやく彼女は、自分が一服盛られたことを理解したのだ。
「お前ら……何を飲ませた……んくぅ!」
「お、おいソフィア、キーラ……! 一体何を……!?」
「あ、アキムはちょっと静かにしていて」
お茶会をするとしか聞かされていなかったアキムも、オリガの変化に驚いて立ち上がって何かを言おうとする。だがキーラがパチンと指を鳴らすとどこからともなく縄が現れてアキムの手足にまとわりつき、縛り上げられて床に転がされた。
アキムの動きを封じてから、とろけた顔をしたソフィアとキーラがオリガの横に回る。オリガの鋭い視線など意に介していない。
「うっふっふー……オリガー、お肌がムズムズして仕方がないんでしょー?」
「分かるわよ。私たちもそうだし……」
「肌が……まさか……!」
実際に目にしたことはなかったが、名前と効果はオリガも知っていた。
まといの野菜。
肌を活性化させて敏感にさせる効果を持つ魔界の特産物だ。あまりに活性化しすぎるため、肌は火照り、むず痒さを感じ、最終的には身にまとっているものを全て脱ぎ捨ててしまう。
「とすると……あの紅茶に入っていたジャム……!」
「そー、まといの野菜の芯のジャムー」
「野菜と言う割には甘いから、ジャムとしても美味しかったでしょう?」
ケラケラと笑うソフィアとキーラをオリガは恨みがましい目で睨みつけた。しかしそのようなことをしても意味はない。今も彼女の肌はまといの野菜の影響で火照り、毛皮が擦れるたびにそこから快感が生じた。すでに毛皮の内側の秘密の場所は洪水のように濡れ、彼女の股まで濡らしている。べとべとする下半身と毛皮が擦れる感触にもはや彼女は耐えられなかった。
「うう、くそぉ……!」
3人の目があり羞恥心はあるが、快感と生理的不快感には勝てなかった。手が腰にかかり、毛皮が下ろされていく。アザラシのような下半身のなかからスラリとした人間の女性の脚が現れた。内股の部分は、秘貝から溢れた液体で濡れて光っていた。
「手伝ってあげるー」
そう言ってソフィアはオリガがかぶっていた毛皮を取り、脇に置いた。手袋は紅茶を飲むためにすでに外してしまっていたため、これで彼女は毛皮を身に纏っていない。当然、オリガは慌てた。
「ま、待て……! 何を勝手に……!」
「今!」
オリガが裸になった瞬間、キーラは魔力を解き放った。心を凍えさせ、ぬくもりを求めて止まないように仕向ける、グラキエスの魔力だ。ただでさえ毛皮を失うと体も心も寒く感じるセルキーなのに、これはたまったものではない。
自分の身体をかき抱いてオリガはがたがたと震えだした。その目はいつもの鋭さや気丈さは消え、怯え切った目をしている。
「や、やめて……! こんなの……ん、ふぅ……! 耐えられない!」
寒さと自分の身体を抱くことによって皮膚から生じる快感にオリガは声を上げた。言葉使いすら変わっている。オリガの変わりようにソフィアとキールは満足げな笑みを浮かべた。ソフィアがオリガの背後に周り、抱きしめようとする。
「オリガ、寒いのー? じゃあ温めてあげるー」
「な、なにを……ふあああん!」
「はぁあん♥」
オリガとソフィアの嬌声が絡まり合う。まといの野菜の影響で、肌が密着するだけで声が出るほどの快感だった。さらにソフィアが後ろからオリガに抱きついたまま身体を揺らす。肌が擦れ合い、二人をよりよがらせた。
「ふああっ! やっ……いやぁっ! 変な声、出ちゃう……!」
「いいよぉ、エッチな声出してもー。温かいし、気持ちいいでしょー?」
「そ、そんなことない……!」
ソフィアの言葉にオリガは弱々しく首を振る。そう言う彼女の言葉とは裏腹に彼女は股間からたらたらと愛液を垂れ流し、口からは嬌声が上がっていた。
だが、彼女の言葉は一部は真実であった。オリガを覗き込むようにしてキーラが近づき、話しかける。
「そんなことない、ねぇ……ま、ある意味そうかもね。ソフィアの身体は温かいかもしれないけど、物足りないでしょう? なんか安心できないでしょう?」
キーラの言う通りであった。イエティの体温は高く、抱きしめられていると確かにぬくもりは感じられたが、どこか安心感がなかった。自分の心の内を読み取られたかのような言葉にオリガは動揺する。
そのオリガにソフィアが追い討ちをかけた。
「私に抱きしめられたり抱きついたりするよりー、アキムに抱きついた方が温かいと思うよー?」
「あ……」
アキムの名前が出た瞬間、オリガの身体がぴくんと跳ねた。肌を密着させているソフィアは敏感にそれを感じ取り、ニヤニヤと笑って耳元で囁く。
「もしかしてー、アキムのことを考えたらもっとエッチな気分になっちゃったー?」
「うあ、あ……」
うつろで甘い声を上げるだけでオリガは答えない。キーラも攻め立てる。
「ほらほら、どうなのよ? 素直になりなさいよ」
「アキムのこと、好きなんでしょー?」
自分の心を覆い隠していた毛皮を失い、そこにグラキエスによる寒さを浴びせられ、さらにまといの野菜によって敏感になった肌にもたらされる快感で、美しき氷海のハンターであるセルキーのプライドと気丈さは完全に崩されていた。彼女の本心が、セルキー本来の寂しがり屋で甘えたがりの性格とともに、吐露される。
「好き、好きですぅ! 会って以降ずっと、彼のことを考えていましたぁ!」
「はーい、よく言えましたー」
「やっぱりね……それでこそ魔物よ」
オリガの言葉にソフィアとキーラは会心の笑みを浮かべる。彼女の気持ちを吐かせ、魔物の本性をむき出しにさせた。作戦は大成功だ。
イエティが抱きしめていた腕を解く。
「ほーら、アキムとエッチしてくるといいよー」
言われるまでもなかった。オリガは立ち上がり、フラフラしながらアキムに近寄る。
「手伝ってあげるわ」
そう言ってキーラは、縄で縛られて転がされていたアキムの服をむしり取った。あっという間にアキムは手足の縄を残して裸にされる。そして彼の逸物はオリガとソフィアが絡み合い、悶えていた様子を見ていたからか既に怒張し、ひくついてオスを主張していた。アキムの勃起を見てオリガの顔がだらしなくとろける。
「ああ、アキム……アキムの熱いオチンチン……」
呟きとともに男の上にセルキーが倒れこむ。あっと言う間に腕は頭を抱え込み、脚が男のそれに絡みつく。オリガの肌とアキムの肌がある一点を覗いて限りなく密着した。
「アキムの身体、あたたかい……落ち着く……」
「あの……オリガ、いいの? 僕なんかで……」
「海では私がいないとアキム、ダメだもの……」
アキムの首筋に頬擦りしながらオリガは言う。新たな女を迎える、こんな展開になっていいのかとアキムは情けない表情でソフィアとキーラを見た。二人は頷く。自分の同胞である魔物が自分の愛する夫とともに淫らになる。これほど喜ばしいことはない。
そうしている間にオリガが身体を動かし、腰を少し下ろした。勃起したペニスの幹が彼女のクレヴァスに当たる。
「アキムのオチンチン……私のアソコに擦れてる……」
うっとりとした表情でオリガはつぶやき、そしてアキムにねだる。
「ねぇ、ちょうだい……アキムの熱いの……私にいっぱいちょうだい……私を温めて……」
答えを聞かずにオリガは片手でアキムの肉棒を握り、位置を調整した。そのまま腰を押し付け、自分の肉洞に受け入れる。ついにオリガとアキムは一つになり、最大限に肌を合わせることになった。
「んあああっ! 入ってる……! アキムのが、私の中に……くうう!」
「あつっ、く……キツっ……!」
男と女の嬌声が部屋に響き渡る。オリガは自分の膣内を満たす圧迫感に、アキムは自分のモノを締め付ける肉壁の熱さとその強さに声を上げた。
オリガの腰はどんどん進んでいき、アキムのペニスを飲み込んでいく。そして亀頭が子宮口に触れるかというところで止まった。脚を絡ませ合っている体位の都合上、それ以上は進まなかったのだ。
「あ、あ、……ねぇ、アキム……どう、わたしのおまんこ……」
凛と美しき氷海のハンターは自然と淫語を使って繋がっている男に訊ねる。アキムがガクガクと壊れた人形のように頭を縦に振る。
「き、気持ちいいよ……熱くて、ぬるぬるしてて、なのにぎゅうぎゅう締め付けてきて……入れただけなのに、出ちゃいそうだよ……」
しかし、これはまだ挿入しただけ。これからが本番だ。ゆっくりとオリガが腰を動かし始める。円を描くようにくねらせる。
「い、いい……! おっぱいもぉ、おなかもぉ、おまんこもぉ……! みんなこすられて、いい……!」
腰を揺らしながらオリガは声を上げる。密着したままななので、快感が性器からだけではなく、重ねられた肌からも上っていた。それがより彼女を感じさせ、より彼女の動きを激しく、淫らな物にする。
「すごぉい、オリガ、あんなにエッチに動いているー、ん、あんっ」
「私がデレたとき以上に激しくないかしら……くっ、んふぅ」
少し離れたところで二人の交わりの様子を見ていたソフィアとキーラが、自分の股間をまさぐりながら言う。だがその呟きが聞こえないくらい、今はオリガとアキムは交わりに夢中になっていた。オリガの腰がぐねぐねとうねる。海中ではあのアザラシのような毛皮を纏って泳いでいるセルキーだ。そのバネは相当なものであり、それが今交わりに生かされていた。
「だ、ダメだオリガ……! そんなに動かれると……んむぅ!?」
「ん、んちゅう……」
オリガのくちびるが、アキムの言葉を封じるかのように口へ重ねられていた。そのままオリガの舌がアキムの口内に侵入し、蹂躙する。逃げる魚を追いかける海蛇のようにオリガの舌はくねり、アキムの舌を捉えて絡みついた。その間にもセルキーの腰の動きは止まらない。ペニスのヴァギナへの出入りは小さいが、その分中で激しくシェイクされているのが結合部を見れば分かる。にちゃにちゃと言うねちっこい音がそこから響いていた。
「んふぁ……も、も……!」
キスしているくちびるの端からアキムはとぎれとぎれに声を上げた。射精が始まろうとしている。オリガも、それを感じ取っていた。ペニスが自分の中でぴくぴくと痙攣し、先端がぷくりt膨れ上がっている。
本能的にオリガは手足の力を強めた。今抱えている獲物が絶対に逃げないようにロックする。そして終わりの時を待った。
とどめの一撃を刺すことなく、アキムの身体の快感が閾値を振り切った。ガクンと腰が突き上げられ、精が放出される。腰が突き上げられた瞬間、亀頭と子宮口がキスをした。
「〜〜〜〜〜〜っ!?」
その一撃でオリガも達した。男から精を搾ろうと膣肉が蠢く。それによって尿道に残っている精液までがオリガの肉洞へと注がれた。狂おしい白濁の奔流がセルキーの気丈な心を融かし、寂寥感を包み込む。
二人は身体を歓喜に震わせていたが、やがて脱力した。アキムの身体の上でオリガが夢見心地の表情で呟く。
「あ、ふああ……アキムの熱いの、いっぱいに……」
身体の外も、中も、そして心までも、彼女はぬくもりに包まれていた。
「それにしても随分なことをしてくれたな、お前たちは……」
事が終わったあと、毛皮を軽く肩に羽織ったオリガがソフィアとキーラをじろりと睨んだ。
「うーん、ちょっとだけごめんなさいー」
「少し方法が過激だったかしらね。そこらへんはごめんなさいね」
オリガの前でソフィアとキーラは小さくなっていた。しかし、言葉の通り彼女たちは全面的には反省していない。そしてオリガも、騙されてまといの野菜のジャム入りの紅茶を飲まされたことには腹を立てていたが、それ以外については怒っていなかった。むしろ自分が素直になれたことに、二人に感謝すらしていた。
「アキム」
オリガは男の名前を呼んで彼をまっすぐに見た。りんごのように頬を赤く染めながら肩にかけていた毛皮をはらりと落とす。全てを見せながら彼女は心の内も全て見せた。
「なかなか本心を打ち明けられなかったし、自分でも分からなかったが……私はお前が好きだ。こんな毛皮のぬくもりなんかより、お前のぬくもりが欲しい。お前でなければ私の寒さは消せない。私も……嫁に迎えてくれないだろうか」
アキムに否の言葉があるはずがない。こくりと頷く。ソフィアのキーラが歓声を上げ、
「それじゃあ、オリガのデレ記念にみんなでぬくぬくしよー?」
「そうね、私たちもアキムとエッチしたいのにお預け状態だし……」
「みんなで、4人で……か。それもいいな」
魔物が3人、目を淫らに獰猛に爛々と輝かせながらアキムを求めて彼ににじり寄る。
その日、アキムの家では嬌声が止むことはなかった。
★
かくしてセルキーのオリガは新たな嫁としてアキムに迎え入れられた。イエティのソフィアもグラキエスのキーラも、同じ男を愛する魔物娘として、快く彼女を迎えた。
常冬の港町・ガーヴァニにて、身を寄せ合っている4人が寒さを感じることはなかった。
13/02/24 11:15更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)