悪戯の誘い
「トリック オア トリート!!」「トリック オア トリート!!」
小さな教会の外でたくさんの子どもたちの声がする。
はいはい、と返事をしながら教会の主であるシスター・タリスは扉を開けた。
「こんにちは、可愛い子どもたち。お菓子が欲しいのですか?」
「はーい!」「ぼくも! ぼくも!」「わたしも! わたしも!」
魔女の姿、海賊の姿、東洋の忍者の姿、スケルトンの姿……様々な仮装をした人間の子どもたちがぴょんぴょんと飛びながら叫ぶ。
「はいはい、順番ですよ」
元気よすぎる子どもたちに苦笑しながら、タリスは彼らを一列に並ばせる。
そして篭から焼き菓子や飴を取り出し、子どもたちに順番に配っていった。
「どうもありがとう!」「うわー、これ美味い!」「……もそもそする」
お礼を言う者、嬉しい声をあげる者、文句を言う者……くちぐちに叫びながら子どもたちは去っていく。
気をつけなさいねと手を軽く振って、シスターは扉を閉めた。
自分も子どもの頃はああして回ったっけ……
幼い頃に主神の教えを叩き込まれ、慎ましく生き、欲望を押し殺していたシスター・タリスにとってハロウィンは子どもらしく無邪気におねだりができる数少ないイベントであった。
『だからこそお礼はちゃんと言ったものですが……』
最近の子どもはお礼を言わない者がちらほら見られる……
これも時代の流れ、仕方がないのかもしれない……
そう考えていると、扉がとんとんと遠慮がちに叩かれる。
「おや」
ようやく来たか……そう言った感じでタリスは扉を再び開けた。
玄関には少年がひとりポツリと立っていた。
精一杯の仮装だったのだろう。
ボロボロのベッドのシーツらしきものをすっぽりとかぶってゴーストの仮装をしている。
顔は見えないが、その可愛らしいゴーストの正体をタリスは分かっていた。
エフェル……近所に住む子どもの一人だ。
とある理由で先ほどの子どもたちと馴染めず、一人でいることが多い。
「あら、可愛いゴーストさん。私に何かご用かしら?」
「ト……」
蚊が泣くような小さな声でゴーストの仮装をしている少年はつぶやく。
だが緊張のためか言葉がそこで詰まってしまい、それ以上言えずにもじもじしている。
そんな彼をタリスは急かすことなくニコニコと笑いながら見つめ、彼が言葉を紡ぐのを待った。
「ト……トリック オア、トリート……」
「はい、よく言えました♪ お菓子をあげなきゃ悪戯をするのですね? あ……」
そう笑いながらバスケットに手を突っ込んだタリスだったが、その顔が曇る。
バスケットの中には欠けた焼き菓子が一つしか残っていなかった。
どうもさっきの子どもたちが予想以上に人数が多かったみたいだ。
目の前のゴーストにあげる分のお菓子がない。
「とりあえず入りなさい。お茶くらいは用意できるから……」
「そ、そんなことをしなくても……」
「いいからいいから」
半ば強引にタリスは少年を教会の中に入れる。
そして扉を閉めた。
「ふぅ……」
緊張が解けたかのように、タリスが詰めていた息を吐き出す。
それと同時に彼女の頭と腰からぶわっと何かが現れた。
頭からは角が伸び、腰からは黒い羽毛に包まれた翼が広がり、さらにずるりと先端がハート型の青い尻尾が生える。
そう、シスター・タリスの正体は人間ではない。
この街に密かに潜伏し、堕落神の教えを広げようとしているダークプリーストだ。
「……」
目の前のシスターが魔物の正体を表しても、少年は平然としている。
実は何度も見慣れているのだ。
そんな彼にダークプリーストのタリスは言う。
「エフェル、あなたもそれを脱いでいいですよ」
「……」
こくりと、エフェルと呼ばれた少年は頷き、もぞもぞとシーツで作った粗末なゴーストの仮装を脱いで畳んだ。
中から現れたのは痩せっぽっちで同年代の子にしては背も小さい少年だった。
何より目を引くのは、白に近い、灰色の頭髪……彼が先ほどの子どもたちに馴染めない、正確には仲間に入れてもらえない理由はこれだ。
この髪のせいで彼はいつも一人ぼっちだった。
そんな彼に手を差し伸べたのが、タリスであった。
彼はタリスだけに心を開き、二人は仲良くなった。
ある日、うっかり事故でタリスが正体を見せてしまったことがあったが、その時エフェルは怯えることなく、唯一自分を認めてくれている女性の真の姿を受け入れた。
自分の正体を知っても逃げずにいてくれたエフェルにタリスは歓喜し、そしてその頭髪のことにも触れた。
白い髪は、強力な魔物のみがもつ、特別な素敵な色だと……
こうして二人の結びつきは今まで以上になった。
それがほんのひと月ほど前のことだ。
「さて……ふーむ、お菓子がないのは困りましたねぇ」
形のいい顎に指を当て、かくりとタリスは首を傾げて見せる。
だが本当に困っている様子はない。
お菓子がないのは計算外だったが、すでに良い案が彼女の頭に浮かんでいた。
「これじゃあ……エフェルに悪戯されちゃいますねぇ……」
「そ、そんな……ぼくは、そんなつもりはこれっぽっちも……」
実際、エフェルはお菓子がもらえなかったからと言って拗ねたり暴れたりする子どもではない。
タリスもそれは十分に分かっている。
それでも……
「いいですよ……お菓子を用意しなかったのは私なのですから……悪戯しても……」
そう言ってタリスはカーペットに尻をつき、そして軽く足を広げた。
今、タリスは魔物娘らしからぬ、全身をすっぽりとした修道服を身にまとっている。
その修道服の裾がそろそろとまくり上げられ、普段は隠されている彼女の白く艶かしい脚が太腿まで顕になる。
「タ、タリスさん……」
「ふふふ……」
妖しげに笑いながらタリスは脚をさらに大きく広げてみせた。
「あ、ああ……」
エフェルの目に、普通の村人には絶対に見られない、破廉恥な魔の修道女の秘密の場所が映っている。
いくらタリスと仲が良くても、そこはエフェルも見るのは初めてだった。
見るのは恥ずかしい……でも目をそらせない。
そして孤独でおとなしくても、エフェルも好奇心旺盛な子供だ。
食い入るようにタリスのそこを見つめている。
「あふっ……」
甘い吐息をタリスは漏らす。
お菓子の代わりを思いついてから身体が火照り初めていて、そしてエフェルに見られることによって心と身体が高ぶった。
とろりと下の口から涎が溢れる。
「ほら……好きに悪戯していいですよ? エフェルの好奇心と欲望の赴くまま……」
好奇心と欲望……これらの単語の意味はわからなかったが、遠まわしに触れと命令されている気がした。
エフェルはタリスに近づき、膝をついて彼女の身体に自分の身体をくっつける。
そろそろと彼女の股間に手を伸ばす。
彼の指先がぬるりと先ほどこぼした蜜に触れた。
「ぬるぬるしている……」
ぽつりとした声だったが、その声は驚きの感情がこもっていた。
エフェルの背中に片腕を回して抱きしめ、タリスはさらに悪戯を薦める。
「もっと悪戯していいですよ? そのぬるぬるしたのを出しているところをいじっても……」
恐る恐ると言った感じでエフェルの手が少し上がる。
指先が、神聖で魔性の女性の生殖器に触れた。
「何これ……熱くて……ぬるぬるしていて……」
「んっ、んん……どうですか? 面白いですか?」
前から目をつけていた年下の少年に性器を触れられ、押し殺したような嬌声を漏らしながらタリスは訊ねる。
今まで仲間はずれだったエフェルは女の性器を触るなど愚か、見たこともない。
初めて目にし、手にする秘花にすっかり気圧されて、こくこくと頷く。
その様子に嬉しそうに軽く笑いながらタリスは彼の耳元に囁く。
「ほら、もっと指を進めてご覧なさい……」
もはや命令……シスターが無垢な少年に悪戯をしている。
そんな状況など露知らず、エフェルは指を進めていく。
「あっ、あっ……! 入ってきて……」
「な、何これ……すごい……!」
「ふあああっ!」
突然の快感にタリスは声を上げた。
入ってきたエフェルの指が無遠慮に、蜜壷をかき回したのだ。
不意打ちの刺激にタリスは身体をびくんと震わせる。
「ご、ごめんなさい! 痛かった……?」
「あっ、ダメ! 痛くないですからもっと続けてください……!」
タリスの声に指を抜こうとしたエフェルだったが、彼女は腕を掴んでそれを止めた。
彼女が嫌がらないのならばと、それでも恐る恐ると言った感じでエフェルは指を彼女の膣内でぐりぐりと動かす。
彼に柔肉をこすられる度にタリスは甘い吐息を漏らして身体を震わせた。
彼女の膣からは最初のとき以上に蜜がとろりとこぼれ、修道服とカーペットに染みを作る。
しかし、おっかなびっくりの動きだと、快感は鈍い。
そして本人は気づいていないだろうが、エフェルのズボン立派なテントを作っており、タリスにとって甘美な匂いを漂わせていた。
「指を抜きなさい、エフェル。代わりにすごい悪戯を一緒にしましょう?」
一人だけではない、自分も一緒に悪戯をする……そう言う意図も含めてタリスはエフェルの心理的抵抗を取り除きながら誘う。
どうすればと戸惑うエフェルのズボンをタリスは一息に下ろす。
ぶるんと、その年の少年にしては立派な男性器が現れた。
あるいは細身だから余計にそう見えるのかもしれない。
パッとタリスは目を輝かせるが、エフェルは顔を真っ赤にする。
「タ、タリスさん……! 一体何を……!?」
「エフェルのおちんちんを……私のここに入れるのです」
タリスの言葉にエフェルはさらに目を白黒させる。
自分の泌尿器を今までいじっていたタリスの秘密の場所に挿入するということに、タリスがおちんちんなどといういやらしい言葉を使ったことに。
戸惑って硬直しているエフェルの肉棒をタリスはそっと握り込み、にゅこにゅことしごき始める。
「う……ああ……」
「気持ちいいでしょう? 私のここはもっと気持ちいいですよ、きっと……ほら……イケナイことをしましょう?」
とんでもない悪戯を魔性の聖職者が誘ってくる。
その誘惑に少年は抗い切れなかった。
もぞもぞと身体を動かし、ダークプリーストの脚の間に身体を割入れる。
そして自分のいきり立った肉棒を本能のままに秘裂に突き立てようとした。
だがヴァギナはぬめっていて滑り、膣口は少年が思う以上に下にある。
「ほら、ここですよ……」
迷える子羊にシスターはそっと手を差し伸べる。
ペニスに細い指が添えられて導かれ、先端が入口にはまり込んだ。
「そのまま奥に……」
「は、はい……あ、ああああっ!」
ずちゅ、ぬちゅ……
教会にあるまじき卑猥な水音を立てながら、少年の性器が魔性の性器に飲み込まれていく。
同時に二人の吐息が聖堂に響いた。
「ああ、男の人と交わるのがこんなに気持ちいいなんて……男の人の欲望を受け止めるのがこんなに素敵なんて……」
「あ、あああ……」
タリスの堕落神への告白など、エフェルは聞いていない。
ただただ、女性器の熱さと滑りと締め付けに圧倒されていた。
ぶるぶると身体を震わせているエフェルの背中をタリスはそっと落ち着かせるように撫でる。
「どうです? 気持ちいいでしょう?」
「き、気持ちいい……こんなの、こんなの……」
イケナイとでもいうかのように、少年はうわごとのようにつぶやく。
だが本当にイケナイ理由など挙げられるはずなどない。
あるいはこんな快感を知ってしまったら虜になり、バカになってしまう恐怖があったのかもしれない。
「大丈夫ですよ。そのままゆっくりと腰を動かしなさい」
大丈夫という言葉を使って少年を落ち着かせ、シスターは少年に動くように導く。
言われるがまま、エフェルは腰をゆするように動かした。
ピストン運動とは違う刺激が二人にもたらされ、声を漏らす。
「ああ、素敵……」
「ふあ、あああ……」
うっとりとつぶやいているタリスに対してエフェルが切羽詰った声を上げる。
無理もない。
生まれて初めて女を知る若き性器に魔性の膣は酷だった。
挿入だけで快感に耐えるのが精一杯だったのだ。
その先にあるものは……
「だ、ダメっ! タリスさん……おしっこが……!」
おもらしにも似た禁忌感にエフェルは焦った声を上げた。
そんなエフェルに微笑みかけながらタリスは教える。
「ふ、ふふふ……それはおしっこなどではありませんよ。それはあなたの精液です……」
精液……聞きなれぬその単語はエフェルにとって何か背徳的な、それでいて魅力的な響きがした。
タリスのすらりとした脚がエフェルの腰に回され、逃げないようにロックする。
「そのまま気持ちの赴くまま、力を抜いて漏らしなさい……ほら……」
そう言ってタリスは下腹部に力を込めて膣を締め、そして自ら下から腰を揺すった。
限界ギリギリだった少年にあっさりと止めが刺される。
「うあ、うはあああっ!」
肉棒がビクンビクンと震え、精液が尿道を駆け抜ける。
そのまま精液は普段、尿を排泄する鈴口からどぷどぷと漏れた。
えフェルの子どもの元がどんどん、聖職者の生殖器に溜め込まれる。
「ああ、男の人の……可愛いエフェルの精液が……あ、熱い……」
達することはなかったが、前から愛しいと思っていた少年の精液をその身体で受け止め、タリスはうっとりとした表情をする。
一方のエフェルは初めての射精の余韻に身体をぴくぴくと身体を震わせながら、タリスに身体を預けていた。
「ごめんなさい……」
タリスの前にぺたんと座り込んだエフェルがぽつりと謝る。
「ん? なぜ謝るのですか?」
少年の身体や時間などを気遣い、服を整えたシスターが訊ねる。
うつむいていたエフェルだったが、やがて謝罪した理由を答えた。
「いたずら……しちゃったから……」
気持ち良かったし、タリスが誘ったのだが、少年の中ではやはり悪戯は悪いこと、だったのだろう。
背徳感は常に甘美なものであるが、今回は少々その背徳感とその後の罪悪感を効かせすぎたか……
少しだけ、タリスは後悔する。
どう答えるべきか迷っているところに、エフェルが訊ねた。
「どうすれば……いいかな?」
その問いはタリスにとって助け舟だった。
にやりと狡猾そうな笑みが魔物の口に浮かぶ。
「そうですね……」
エフェルの横にしゃがみこんで彼の顔を下から覗き込みながらタリスは悪戯っぽくいう。
「責任をとってもらいましょうか?」
「せきにん……?」
「あなたが大人になったら……私と結婚してくれますか?」
一瞬、エフェルは意味が分からないと言ったようにぽかんと口を開けたが、次の瞬間には嬉しそうに顔が輝いた。
「タリスさんがよければ……!」
「もちろんですよ。それから……」
「それから……?」
続く条件にエフェルの顔がこわばる。
そんな少年ににっこりと笑いながらダークプリーストは続ける。
「先ほどの悪戯をあなたがしたくなったら私にすること、そして私が求めたら私に悪戯すること。いいですね?」
「は、はい……!」
続く条件に、少年は悪戯の代償としてきちんと答えようという決意を胸に頷いた。
先ほどの甘美な悪戯をまた味わえるという期待感も抱きながら……
小さな教会の外でたくさんの子どもたちの声がする。
はいはい、と返事をしながら教会の主であるシスター・タリスは扉を開けた。
「こんにちは、可愛い子どもたち。お菓子が欲しいのですか?」
「はーい!」「ぼくも! ぼくも!」「わたしも! わたしも!」
魔女の姿、海賊の姿、東洋の忍者の姿、スケルトンの姿……様々な仮装をした人間の子どもたちがぴょんぴょんと飛びながら叫ぶ。
「はいはい、順番ですよ」
元気よすぎる子どもたちに苦笑しながら、タリスは彼らを一列に並ばせる。
そして篭から焼き菓子や飴を取り出し、子どもたちに順番に配っていった。
「どうもありがとう!」「うわー、これ美味い!」「……もそもそする」
お礼を言う者、嬉しい声をあげる者、文句を言う者……くちぐちに叫びながら子どもたちは去っていく。
気をつけなさいねと手を軽く振って、シスターは扉を閉めた。
自分も子どもの頃はああして回ったっけ……
幼い頃に主神の教えを叩き込まれ、慎ましく生き、欲望を押し殺していたシスター・タリスにとってハロウィンは子どもらしく無邪気におねだりができる数少ないイベントであった。
『だからこそお礼はちゃんと言ったものですが……』
最近の子どもはお礼を言わない者がちらほら見られる……
これも時代の流れ、仕方がないのかもしれない……
そう考えていると、扉がとんとんと遠慮がちに叩かれる。
「おや」
ようやく来たか……そう言った感じでタリスは扉を再び開けた。
玄関には少年がひとりポツリと立っていた。
精一杯の仮装だったのだろう。
ボロボロのベッドのシーツらしきものをすっぽりとかぶってゴーストの仮装をしている。
顔は見えないが、その可愛らしいゴーストの正体をタリスは分かっていた。
エフェル……近所に住む子どもの一人だ。
とある理由で先ほどの子どもたちと馴染めず、一人でいることが多い。
「あら、可愛いゴーストさん。私に何かご用かしら?」
「ト……」
蚊が泣くような小さな声でゴーストの仮装をしている少年はつぶやく。
だが緊張のためか言葉がそこで詰まってしまい、それ以上言えずにもじもじしている。
そんな彼をタリスは急かすことなくニコニコと笑いながら見つめ、彼が言葉を紡ぐのを待った。
「ト……トリック オア、トリート……」
「はい、よく言えました♪ お菓子をあげなきゃ悪戯をするのですね? あ……」
そう笑いながらバスケットに手を突っ込んだタリスだったが、その顔が曇る。
バスケットの中には欠けた焼き菓子が一つしか残っていなかった。
どうもさっきの子どもたちが予想以上に人数が多かったみたいだ。
目の前のゴーストにあげる分のお菓子がない。
「とりあえず入りなさい。お茶くらいは用意できるから……」
「そ、そんなことをしなくても……」
「いいからいいから」
半ば強引にタリスは少年を教会の中に入れる。
そして扉を閉めた。
「ふぅ……」
緊張が解けたかのように、タリスが詰めていた息を吐き出す。
それと同時に彼女の頭と腰からぶわっと何かが現れた。
頭からは角が伸び、腰からは黒い羽毛に包まれた翼が広がり、さらにずるりと先端がハート型の青い尻尾が生える。
そう、シスター・タリスの正体は人間ではない。
この街に密かに潜伏し、堕落神の教えを広げようとしているダークプリーストだ。
「……」
目の前のシスターが魔物の正体を表しても、少年は平然としている。
実は何度も見慣れているのだ。
そんな彼にダークプリーストのタリスは言う。
「エフェル、あなたもそれを脱いでいいですよ」
「……」
こくりと、エフェルと呼ばれた少年は頷き、もぞもぞとシーツで作った粗末なゴーストの仮装を脱いで畳んだ。
中から現れたのは痩せっぽっちで同年代の子にしては背も小さい少年だった。
何より目を引くのは、白に近い、灰色の頭髪……彼が先ほどの子どもたちに馴染めない、正確には仲間に入れてもらえない理由はこれだ。
この髪のせいで彼はいつも一人ぼっちだった。
そんな彼に手を差し伸べたのが、タリスであった。
彼はタリスだけに心を開き、二人は仲良くなった。
ある日、うっかり事故でタリスが正体を見せてしまったことがあったが、その時エフェルは怯えることなく、唯一自分を認めてくれている女性の真の姿を受け入れた。
自分の正体を知っても逃げずにいてくれたエフェルにタリスは歓喜し、そしてその頭髪のことにも触れた。
白い髪は、強力な魔物のみがもつ、特別な素敵な色だと……
こうして二人の結びつきは今まで以上になった。
それがほんのひと月ほど前のことだ。
「さて……ふーむ、お菓子がないのは困りましたねぇ」
形のいい顎に指を当て、かくりとタリスは首を傾げて見せる。
だが本当に困っている様子はない。
お菓子がないのは計算外だったが、すでに良い案が彼女の頭に浮かんでいた。
「これじゃあ……エフェルに悪戯されちゃいますねぇ……」
「そ、そんな……ぼくは、そんなつもりはこれっぽっちも……」
実際、エフェルはお菓子がもらえなかったからと言って拗ねたり暴れたりする子どもではない。
タリスもそれは十分に分かっている。
それでも……
「いいですよ……お菓子を用意しなかったのは私なのですから……悪戯しても……」
そう言ってタリスはカーペットに尻をつき、そして軽く足を広げた。
今、タリスは魔物娘らしからぬ、全身をすっぽりとした修道服を身にまとっている。
その修道服の裾がそろそろとまくり上げられ、普段は隠されている彼女の白く艶かしい脚が太腿まで顕になる。
「タ、タリスさん……」
「ふふふ……」
妖しげに笑いながらタリスは脚をさらに大きく広げてみせた。
「あ、ああ……」
エフェルの目に、普通の村人には絶対に見られない、破廉恥な魔の修道女の秘密の場所が映っている。
いくらタリスと仲が良くても、そこはエフェルも見るのは初めてだった。
見るのは恥ずかしい……でも目をそらせない。
そして孤独でおとなしくても、エフェルも好奇心旺盛な子供だ。
食い入るようにタリスのそこを見つめている。
「あふっ……」
甘い吐息をタリスは漏らす。
お菓子の代わりを思いついてから身体が火照り初めていて、そしてエフェルに見られることによって心と身体が高ぶった。
とろりと下の口から涎が溢れる。
「ほら……好きに悪戯していいですよ? エフェルの好奇心と欲望の赴くまま……」
好奇心と欲望……これらの単語の意味はわからなかったが、遠まわしに触れと命令されている気がした。
エフェルはタリスに近づき、膝をついて彼女の身体に自分の身体をくっつける。
そろそろと彼女の股間に手を伸ばす。
彼の指先がぬるりと先ほどこぼした蜜に触れた。
「ぬるぬるしている……」
ぽつりとした声だったが、その声は驚きの感情がこもっていた。
エフェルの背中に片腕を回して抱きしめ、タリスはさらに悪戯を薦める。
「もっと悪戯していいですよ? そのぬるぬるしたのを出しているところをいじっても……」
恐る恐ると言った感じでエフェルの手が少し上がる。
指先が、神聖で魔性の女性の生殖器に触れた。
「何これ……熱くて……ぬるぬるしていて……」
「んっ、んん……どうですか? 面白いですか?」
前から目をつけていた年下の少年に性器を触れられ、押し殺したような嬌声を漏らしながらタリスは訊ねる。
今まで仲間はずれだったエフェルは女の性器を触るなど愚か、見たこともない。
初めて目にし、手にする秘花にすっかり気圧されて、こくこくと頷く。
その様子に嬉しそうに軽く笑いながらタリスは彼の耳元に囁く。
「ほら、もっと指を進めてご覧なさい……」
もはや命令……シスターが無垢な少年に悪戯をしている。
そんな状況など露知らず、エフェルは指を進めていく。
「あっ、あっ……! 入ってきて……」
「な、何これ……すごい……!」
「ふあああっ!」
突然の快感にタリスは声を上げた。
入ってきたエフェルの指が無遠慮に、蜜壷をかき回したのだ。
不意打ちの刺激にタリスは身体をびくんと震わせる。
「ご、ごめんなさい! 痛かった……?」
「あっ、ダメ! 痛くないですからもっと続けてください……!」
タリスの声に指を抜こうとしたエフェルだったが、彼女は腕を掴んでそれを止めた。
彼女が嫌がらないのならばと、それでも恐る恐ると言った感じでエフェルは指を彼女の膣内でぐりぐりと動かす。
彼に柔肉をこすられる度にタリスは甘い吐息を漏らして身体を震わせた。
彼女の膣からは最初のとき以上に蜜がとろりとこぼれ、修道服とカーペットに染みを作る。
しかし、おっかなびっくりの動きだと、快感は鈍い。
そして本人は気づいていないだろうが、エフェルのズボン立派なテントを作っており、タリスにとって甘美な匂いを漂わせていた。
「指を抜きなさい、エフェル。代わりにすごい悪戯を一緒にしましょう?」
一人だけではない、自分も一緒に悪戯をする……そう言う意図も含めてタリスはエフェルの心理的抵抗を取り除きながら誘う。
どうすればと戸惑うエフェルのズボンをタリスは一息に下ろす。
ぶるんと、その年の少年にしては立派な男性器が現れた。
あるいは細身だから余計にそう見えるのかもしれない。
パッとタリスは目を輝かせるが、エフェルは顔を真っ赤にする。
「タ、タリスさん……! 一体何を……!?」
「エフェルのおちんちんを……私のここに入れるのです」
タリスの言葉にエフェルはさらに目を白黒させる。
自分の泌尿器を今までいじっていたタリスの秘密の場所に挿入するということに、タリスがおちんちんなどといういやらしい言葉を使ったことに。
戸惑って硬直しているエフェルの肉棒をタリスはそっと握り込み、にゅこにゅことしごき始める。
「う……ああ……」
「気持ちいいでしょう? 私のここはもっと気持ちいいですよ、きっと……ほら……イケナイことをしましょう?」
とんでもない悪戯を魔性の聖職者が誘ってくる。
その誘惑に少年は抗い切れなかった。
もぞもぞと身体を動かし、ダークプリーストの脚の間に身体を割入れる。
そして自分のいきり立った肉棒を本能のままに秘裂に突き立てようとした。
だがヴァギナはぬめっていて滑り、膣口は少年が思う以上に下にある。
「ほら、ここですよ……」
迷える子羊にシスターはそっと手を差し伸べる。
ペニスに細い指が添えられて導かれ、先端が入口にはまり込んだ。
「そのまま奥に……」
「は、はい……あ、ああああっ!」
ずちゅ、ぬちゅ……
教会にあるまじき卑猥な水音を立てながら、少年の性器が魔性の性器に飲み込まれていく。
同時に二人の吐息が聖堂に響いた。
「ああ、男の人と交わるのがこんなに気持ちいいなんて……男の人の欲望を受け止めるのがこんなに素敵なんて……」
「あ、あああ……」
タリスの堕落神への告白など、エフェルは聞いていない。
ただただ、女性器の熱さと滑りと締め付けに圧倒されていた。
ぶるぶると身体を震わせているエフェルの背中をタリスはそっと落ち着かせるように撫でる。
「どうです? 気持ちいいでしょう?」
「き、気持ちいい……こんなの、こんなの……」
イケナイとでもいうかのように、少年はうわごとのようにつぶやく。
だが本当にイケナイ理由など挙げられるはずなどない。
あるいはこんな快感を知ってしまったら虜になり、バカになってしまう恐怖があったのかもしれない。
「大丈夫ですよ。そのままゆっくりと腰を動かしなさい」
大丈夫という言葉を使って少年を落ち着かせ、シスターは少年に動くように導く。
言われるがまま、エフェルは腰をゆするように動かした。
ピストン運動とは違う刺激が二人にもたらされ、声を漏らす。
「ああ、素敵……」
「ふあ、あああ……」
うっとりとつぶやいているタリスに対してエフェルが切羽詰った声を上げる。
無理もない。
生まれて初めて女を知る若き性器に魔性の膣は酷だった。
挿入だけで快感に耐えるのが精一杯だったのだ。
その先にあるものは……
「だ、ダメっ! タリスさん……おしっこが……!」
おもらしにも似た禁忌感にエフェルは焦った声を上げた。
そんなエフェルに微笑みかけながらタリスは教える。
「ふ、ふふふ……それはおしっこなどではありませんよ。それはあなたの精液です……」
精液……聞きなれぬその単語はエフェルにとって何か背徳的な、それでいて魅力的な響きがした。
タリスのすらりとした脚がエフェルの腰に回され、逃げないようにロックする。
「そのまま気持ちの赴くまま、力を抜いて漏らしなさい……ほら……」
そう言ってタリスは下腹部に力を込めて膣を締め、そして自ら下から腰を揺すった。
限界ギリギリだった少年にあっさりと止めが刺される。
「うあ、うはあああっ!」
肉棒がビクンビクンと震え、精液が尿道を駆け抜ける。
そのまま精液は普段、尿を排泄する鈴口からどぷどぷと漏れた。
えフェルの子どもの元がどんどん、聖職者の生殖器に溜め込まれる。
「ああ、男の人の……可愛いエフェルの精液が……あ、熱い……」
達することはなかったが、前から愛しいと思っていた少年の精液をその身体で受け止め、タリスはうっとりとした表情をする。
一方のエフェルは初めての射精の余韻に身体をぴくぴくと身体を震わせながら、タリスに身体を預けていた。
「ごめんなさい……」
タリスの前にぺたんと座り込んだエフェルがぽつりと謝る。
「ん? なぜ謝るのですか?」
少年の身体や時間などを気遣い、服を整えたシスターが訊ねる。
うつむいていたエフェルだったが、やがて謝罪した理由を答えた。
「いたずら……しちゃったから……」
気持ち良かったし、タリスが誘ったのだが、少年の中ではやはり悪戯は悪いこと、だったのだろう。
背徳感は常に甘美なものであるが、今回は少々その背徳感とその後の罪悪感を効かせすぎたか……
少しだけ、タリスは後悔する。
どう答えるべきか迷っているところに、エフェルが訊ねた。
「どうすれば……いいかな?」
その問いはタリスにとって助け舟だった。
にやりと狡猾そうな笑みが魔物の口に浮かぶ。
「そうですね……」
エフェルの横にしゃがみこんで彼の顔を下から覗き込みながらタリスは悪戯っぽくいう。
「責任をとってもらいましょうか?」
「せきにん……?」
「あなたが大人になったら……私と結婚してくれますか?」
一瞬、エフェルは意味が分からないと言ったようにぽかんと口を開けたが、次の瞬間には嬉しそうに顔が輝いた。
「タリスさんがよければ……!」
「もちろんですよ。それから……」
「それから……?」
続く条件にエフェルの顔がこわばる。
そんな少年ににっこりと笑いながらダークプリーストは続ける。
「先ほどの悪戯をあなたがしたくなったら私にすること、そして私が求めたら私に悪戯すること。いいですね?」
「は、はい……!」
続く条件に、少年は悪戯の代償としてきちんと答えようという決意を胸に頷いた。
先ほどの甘美な悪戯をまた味わえるという期待感も抱きながら……
13/01/13 16:36更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)