追加シナリオ【噴出せし魔力のマグマ】
依頼主:火山のふもとのドリアード
依頼内容
ここ数年、月に一度くらいのペースで火山から噴出するマグマの魔力濃度が濃くなります。
一ヶ月くらいかけて徐々に薄くなり、そして一ヶ月経ったらまた濃くなる・・・
あの火山はイグニスが守護精霊として存在しますが、もしや・・・
事の解明を内密にお願いします。
**********
『彼』の気配を感じてイグニスは洞窟から顔をのぞかせる。
果たしてその気配通り、彼は彼女のすみか、火山に来ていた。
火山を荒らす者がいたのか、彼は一度大地に降り、しばらくしたらまた空を飛び回った。
彼は彼女と、とある契約を交わしており、一月に一度、火山を飛び回ってパトロールをする。
パトロールを終えた男がイグニスのところにやってきた。
真紅の鎧を身にまとった彼は膝をついてイグニスに報告する。
「大したことはなかった。赤いリザードマンがちょっと暴れ回っていたが、何とかしておいた」
「ありがとうね、いつも助かるよ」
「まぁ、契約だからな」
心からの笑みとも苦笑ともつかない笑顔を男は浮かべた。
そんな男に反して、イグニスは真剣な顔で尋ねた。
「その契約の履行だけど・・・あとをつけられたりしてないか?」
「ああ、大丈夫だ。何度も飛び回って確認したし、魔力を使って探知もしてみたが、追跡はされていない」
「なら・・・」
イグニスの雰囲気が変わる。
それは精霊の物ではあったが、それと同時に一人の女の物であり、艶が混じっていた。
そんなイグニスを男は無言で抱きしめる。
もはや二人の雰囲気はひと組の男女のものだった。
「はふ・・・んちゅ、ん、んちゅう」
「んっ・・・」
生まれたままの姿でイグニスと男は抱きしめ合い、くちびるをむさぼっていた。
くちびるを押し付け合い、舌をからめあい、熱い吐息を吐きながら唾液を交換して飲み下す。
「んっ・・・!」
口づけをしながら、イグニスがびくりと身をすくめる。
男の手がイグニスの尖った耳を撫でていた。
耳だけではない。
イグニスの背中を、腰を、尻を男の手が這いまわる。
そのたびにイグニスは身もだえし、熱い吐息をついた。
男の手が尻の割れ目を経てイグニスの秘裂に触れる。
そこは炎より熱く、そして濡れていた。
「もうこんなになっているのか」
「んんっ、ふあっ・・・あんただって」
イグニスは軽く腰をひき、男の下腹部に手をやる。
「さっきからずっとあたしのお腹に当たっていたよ。ふふ・・・熱くて硬くて、やけどしそうさ」
「くっ、よせ・・・そんなに手を、動かす・・なっ、うはっ・・・」
「おやおや、手コキだけでそんなに可愛い声を漏らすなんて・・・奥さんにもそんな可愛い声を聞かせるのかい?」
そうイグニスが言った途端、男の顔が不快そうにゆがんだ。
「・・・妻のことはここでは話題にしない約束だったはずだ」
「そう、だった・・・な、ごめんよ。あたしったらつい嫉妬で口にしちゃったよ」
男の言葉を聞き、先ほどの言葉を口にした自己嫌悪と、今の二人の状況にイグニスの顔も曇った。
二人は契約を交わしており、男は火山を守る他、精をイグニスに与え、イグニスはその見返りとして男に飛行能力と炎を操る力を与えている。
その契約を履行するために二人は肌を重ねる。
だが、二人は結婚していない。
そういう関係にはなれないのだ。
なぜなら、男は結婚しているから・・・
彼にはドラゴンの妻がおり、子どもも二人いる。
『元はと言えばあたしが先に彼と交わっていたのに・・・!』
男の性器を扱きながらイグニスは思う。
弱小ハンターだったの彼に、火山を守ることと精を与えることを見返りに契約を提示したのは彼女だった。
彼女と契約して強力な力を得た彼は次々とクエストを成功させていった。
そしてある日、彼はドラゴンを打ち負かし、繁殖を望んだ彼女と半強制的に交わらされて子どもが出来、そして現在に至る。
だが、二人は契約関係を切らずに続けていた。
ドラゴンの夫でいるために男は力が必要だったし、イグニスも火山の守り手と魔力の元の精が必要だったからだ。
「あっ!? んあっ、ふああっ!」
びりびりと下肢からの強くて甘い刺激にイグニスは意識を現実に引き戻される。
男の後ろから回っている手が、彼女の陰核を攻めていた。
「んあっ・・・だめ、そこは・・・弱い・・・!」
がくがくと脚を震わせながらイグニスは鳴く。
だが男は止めずに彼女の弱点を攻め続ける。
「一回イッたほうが君は激しく燃えるからな・・・ほら、君がイくところを見せて・・・」
そう言って、男はイグニスの顎を軽く持ち上げて上を向かせる。
イグニスの顔に熱がのぼった。
このままだと自分が絶頂に達している、無防備な顔を見られてしまう。
それはさすがに恥ずかしいのだが、どこか見て欲しいという気持ちもあった。
その矛盾した気持ちと、下肢からの刺激とそこから響く音があっという間に彼女を押し上げる。
「だ・・・だめっ! 本当にイク・・・! イッちゃう! くっ、ああああああ!」
達するのを、歯を食いしばって絶頂を我慢しようとしたイグニスだったが、それは一瞬であっさりと折れた。
男の腕の中で痙攣し、声を上げて絶頂に果てる。
「イッちゃった? ふふ、可愛かったよ」
ぐったりと倒れ込んだイグニスを受け止めた男が囁く。
その声で絶頂の余韻でぼーっとしていたイグニスの頭が羞恥心で覚醒する。
その羞恥心はすぐに対抗心と悪戯心になり、イグニスを突き動かした。
「ちょ、おい・・・」
「ふふふ、私だけに恥ずかしい思いをさせる気かい? そうはいかないよ」
イグニスは男のいきり立っていた肉棒をつかみ、扱きあげていた。
快感に引こうとする男の腰に腕を回して逃がさないようにする。
「ほらほら、見せてよ。あんたが気持ちよくなってイクところを」
自らのくちびるを舐めながらイグニスは男の絶頂をねだる。
男もやはり恥ずかしいのか顔を背けるが、先程も同じことを彼女にやったので強くは言えない。
そんな男の様子に笑いながらイグニスは彼に顔を寄せて甘くささやく。
「ほら、見ててあげるから出して・・・」
その一言がとどめとなった。
「くっ・・・あぐっ!」
びゅるっ、どぷっ・・・
白濁液がイグニスの腹にぶちまけられた。
それを感じながらイグニスは男の顔を見続けている。
「ふふふ、こんなに気持ちよさそうにして・・・初めて交わった時から強く、たくましく、いい男になったというのに・・・あいかわらず可愛いな。ん・・・れろ・・・」
腹にかかった精液を掬い取りながらイグニスはくすくす笑って男に言う。
丁寧に残さず、男の精液を舐めとったイグニスは寝床に横たわって男を誘った。
「さぁ、あんたが言ったとおり、一度イッた私は身体が敏感で火照って仕方がないんだ・・・満足、させてくれるよな?」
「ああ。俺もおさまらないことだしな・・・」
男がイグニスに覆いかぶさり、一度射精したはずなのに勢いが衰えていない肉棒を彼女の性器にあてがう。
粘液質な水音と、二人の嬌声が洞窟に響いた。
「らめぇぇ! またイぐ・・・イッひゃうう! んぁあああ! あぁあああ!!」
男に跨って腰を振っていたイグニスが絶叫のような嬌声を上げて痙攣する。
それと同時に男が短い声を上げて腰を突き上げた。
もう何度目か分からない二人同時での絶頂を見ている。
がくりとイグニスが男の胸の上に崩れ落ちた。
だが痙攣が止まっていない。
「ふあああっ・・・らめえぇ、きもひいいのがとまりゃにゃいぃ・・・」
呂律の回らない舌でイグニスは男の精を受け止めながら快感を口にする。
その顔は口の端から涎を、目からは涙を、鼻から鼻水を垂らしており、ぐちゃぐちゃになっていた。
「大丈夫か?」
「ら、らいじょうぶ・・・」
大丈夫じゃないと思うが、と男は苦笑するが、彼の気遣いを無視するかのように、肉棒は未だに固く張り詰めていた。
今、射精したばかりだと言うのにだ。
イグニスの方も絶頂に達していると言うのにまだ快感を求めて腰を動かそうとする。
男も思いっきり腰を振って、イグニスがめちゃくちゃになるまで愛したかった。
「んちゅ、ちゅる、はふっ・・・」
そんな衝動を抑え、男はイグニスにくちづけをする。
彼の意図を理解し、イグニスもそのくちづけに答えた。
「ん・・・ふぁあ・・・キスしへぇ・・・もっと、もっとキスしてぇ・・・」
口の端でイグニスはさらにくちづけを要求する。
彼女の要求に応えるように、男の舌がねじ込まれる。
すぐに倍の勢いでイグニスの舌が絡みつき、唾液をなすりつけた。
くちづけだけでぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながら二人は唾液を交換する。
そのうち、ようやくイグニスの身体の痙攣がおさまってきた。
だが収まったのは痙攣だけだ。
互いに求め合う気持ちと身体は二人とも収まっていない。
二人のくちびるが離れ、その間を銀の糸がつなぐ。
「ん・・・落ち着いた。 ありがとうね。また・・・動くよ」
それを拭おうともせずにイグニスは身体を起こし、再び腰を動かそうとしたが
「無理はするな。俺に任せろ」
男がそれを追いかけて抱きしめ、繋がったまま身体を反転させて今度は逆に彼女を組み敷いた。
そのまま腰を付き入れてイグニスの奥を抉る。
「ひっ、んん! あっ、はっ、はぁん! すごい、すごいのぉ! これぇ! これじゃなきゃ満足できないのぉ!」
のけぞりながらイグニスは叫ぶ。
これじゃなきゃ・・・
他の男と比べられたことに男の胸がチクリと痛む。
だが、自分も妻がいるという身なので、何も言わない。
本当は契約を切るという選択肢だって二人にはあった。
イグニスは別の男と契約を結び、男は妻につくす。
実際それを二人が考えたこともあった。
だが、できなかった。
イグニスはほかの男を捕まえて契約しようと交わったが満足できず、男もまた彼のドラゴンの妻では射精することはあってもどこか心が満足しなかった。
互いに、互いの体でないと満足できない心と体になっていた。
それほどまでに二人の身体の相性が良すぎたのだ。
契約を続けるというのは建前。
心と身体の欲望に従って二人は互いを求める。
「こ、こんなのダメなのに・・・ダメなのにぃ! ふああっ、やめなくちゃいけないのにぃ! あああっ、んうう!」
口ではそう言いながらも、頭では二人の関係が許されないことを理解しつつも、心と全身がそれを拒む。
イグニスの脚が離れたくないと言う意思表示のように男の腰にきつく巻き付いた。
二人の結合がより深くなり、亀頭と子宮口がこすれ合う。
その感触にイグニスの体が痙攣し、それに合わせて膣がうねり、じゅわっとヒダの隙間から愛液が大量にあふれ出てた。
男がイグニスに腰を打ち付けるたびにぐちゅ、びちゃっと音がし、愛液や汗が辺りに飛び散る。
「ああ、いいっ! 溶ける・・・あたしのおまんこも、くううっ、あんたのおちんぽも・・・・んああっ、からだがとけちゃううう」
熱に浮かされたようにイグニスは嬌声を上げて訴える。
一方の男は何も言わない。
いや、言えない。
普段、ドラゴンの妻と交わるときは言葉で責めたりもするのだが、イグニスと交わっているときはそんな余裕もないし、彼女の身体と心がもたらす快楽に溺れていたかった。
「とけりゅう、とけひゃうう・・・らめぇえ、またイッひゃう・・・んもぉ、にゃにがにゃんらか・・・ふぁあああっ!」
もつれた舌でイグニスが、絶頂が近いことを男に伝える。
そんなイグニスを抱きしめながら男は囁く。
「大丈夫、っく・・・俺は、ここに・・・うぅ、いる・・・」
男の存在を確かめるようにイグニスが脚や腕の締め付けを、そして結合部の締め付けをさらに強くした。
「くっ、そんなに・・・強く締め付けると・・・!」
「らしてっ! らしてぇ! あたしにぃ、あんたのしぇーえきをぉ! んぁああ! もうらめぇ、 あたしもイクぅ、イッひゃううう! ああああああ!」
絶叫しながらイグニスが果てる。
同時に男もイグニスのきつい締め付けに耐えかね、身体をガクガクと痙攣させながら射精していた。
白い欲望のマグマがイグニスの子宮口をめがけて何度も何度も放たれる。
それに合わせて身体の中で爆発が起こっているかのように、イグニスが身体をのたうたせた。
そしてその痙攣が収まって脱力する頃には、二人は意識を手放していた。
かちゃかちゃという物音にイグニスは目を覚ました。
まだ情事の余韻でけだるい身体と頭に鞭打って物音がする方向を見る。
男がイグニスに背を向けて帰り支度をしていた。
半身を起こして尋ねる。
「もう行くの?」
「もう行かなければ・・・」
イグニスの言葉に男は首だけをそちらに向けてそれだけ答え、帰り支度を続けた。
がちゃ。
男が赤い鎧を身にまとう。
「じゃあ、また・・・」
ぽつりとそれだけ言い、男は出口に向かって歩いていく。
そして魔力を使って飛び立とうとした。
だが、できなかった。
イグニスが後ろから抱きついて彼を止めていた。
「お願い・・・帰らないで・・・」
血を吐くような悲痛な声がイグニスの口から漏れる。
男はそれを、目を閉じて聞いていた。
重たい沈黙が流れる。
男がイグニスの手をとった。
その手は震えている。
「本当は、俺だって帰りたくない・・・けど・・・」
けど。
逆接の言葉。
彼には彼の家庭がある。
妻が、娘がいる。
本心はどこにあろうと、彼女たちを完全に裏切るわけにはいかない。
ぽたりとイグニスの手にしずくが落ちる。
それでイグニスは我に帰った。
涙を流しながらも無理やり笑い、イグニスは言う。
「・・・ごめん、あたしがどうかしていた。ぐすっ・・・またね。気を付けて・・・帰るんだよ」
イグニスの腕の力が弱まる。
男はああと短く返事をし、振り返らずに飛び立った。
振り返ったら、また互いに求め合ってしまいそうだから・・・
空を駆ける赤い鎧の姿がどんどん小さくなっていく。
ドラゴンの、妻と娘の待つ家に帰る男をイグニスはいつまでも見続けていた。
この歪んだ二人の関係にどのような終止符が打たれるのか・・・
それは誰にも、二人にも分からない・・・
*********
「え〜っと・・・ステラさん? どうしてレポートを官能小説風に書いたのですか?」
ここはドリアードが形成する、樹の中の空間。
ピクシーのステラが依頼の報告を行なっていた。
「それは・・・そっちの方が、あたしが書きやすかったから」
「まぁ、むしろそっちの方がよかったかもしれませんね。このレポートは私しか見ないでしょうから・・・」
ドリアードはそう言ってレポートをしまう。
「このレポートは封印します。これは私とあなたの中だけの秘密にしましょう」
「そうね・・・二人がどうなるか分からないけど、部外者によって二人の関係がめちゃくちゃになってしまうのはごめんだわ」
火山のふもとの樹の中で、二人の秘密を胸に封じ込めた者がここに二人誕生した。
++++++++
+Quest Clear!+
++++++++
依頼内容
ここ数年、月に一度くらいのペースで火山から噴出するマグマの魔力濃度が濃くなります。
一ヶ月くらいかけて徐々に薄くなり、そして一ヶ月経ったらまた濃くなる・・・
あの火山はイグニスが守護精霊として存在しますが、もしや・・・
事の解明を内密にお願いします。
**********
『彼』の気配を感じてイグニスは洞窟から顔をのぞかせる。
果たしてその気配通り、彼は彼女のすみか、火山に来ていた。
火山を荒らす者がいたのか、彼は一度大地に降り、しばらくしたらまた空を飛び回った。
彼は彼女と、とある契約を交わしており、一月に一度、火山を飛び回ってパトロールをする。
パトロールを終えた男がイグニスのところにやってきた。
真紅の鎧を身にまとった彼は膝をついてイグニスに報告する。
「大したことはなかった。赤いリザードマンがちょっと暴れ回っていたが、何とかしておいた」
「ありがとうね、いつも助かるよ」
「まぁ、契約だからな」
心からの笑みとも苦笑ともつかない笑顔を男は浮かべた。
そんな男に反して、イグニスは真剣な顔で尋ねた。
「その契約の履行だけど・・・あとをつけられたりしてないか?」
「ああ、大丈夫だ。何度も飛び回って確認したし、魔力を使って探知もしてみたが、追跡はされていない」
「なら・・・」
イグニスの雰囲気が変わる。
それは精霊の物ではあったが、それと同時に一人の女の物であり、艶が混じっていた。
そんなイグニスを男は無言で抱きしめる。
もはや二人の雰囲気はひと組の男女のものだった。
「はふ・・・んちゅ、ん、んちゅう」
「んっ・・・」
生まれたままの姿でイグニスと男は抱きしめ合い、くちびるをむさぼっていた。
くちびるを押し付け合い、舌をからめあい、熱い吐息を吐きながら唾液を交換して飲み下す。
「んっ・・・!」
口づけをしながら、イグニスがびくりと身をすくめる。
男の手がイグニスの尖った耳を撫でていた。
耳だけではない。
イグニスの背中を、腰を、尻を男の手が這いまわる。
そのたびにイグニスは身もだえし、熱い吐息をついた。
男の手が尻の割れ目を経てイグニスの秘裂に触れる。
そこは炎より熱く、そして濡れていた。
「もうこんなになっているのか」
「んんっ、ふあっ・・・あんただって」
イグニスは軽く腰をひき、男の下腹部に手をやる。
「さっきからずっとあたしのお腹に当たっていたよ。ふふ・・・熱くて硬くて、やけどしそうさ」
「くっ、よせ・・・そんなに手を、動かす・・なっ、うはっ・・・」
「おやおや、手コキだけでそんなに可愛い声を漏らすなんて・・・奥さんにもそんな可愛い声を聞かせるのかい?」
そうイグニスが言った途端、男の顔が不快そうにゆがんだ。
「・・・妻のことはここでは話題にしない約束だったはずだ」
「そう、だった・・・な、ごめんよ。あたしったらつい嫉妬で口にしちゃったよ」
男の言葉を聞き、先ほどの言葉を口にした自己嫌悪と、今の二人の状況にイグニスの顔も曇った。
二人は契約を交わしており、男は火山を守る他、精をイグニスに与え、イグニスはその見返りとして男に飛行能力と炎を操る力を与えている。
その契約を履行するために二人は肌を重ねる。
だが、二人は結婚していない。
そういう関係にはなれないのだ。
なぜなら、男は結婚しているから・・・
彼にはドラゴンの妻がおり、子どもも二人いる。
『元はと言えばあたしが先に彼と交わっていたのに・・・!』
男の性器を扱きながらイグニスは思う。
弱小ハンターだったの彼に、火山を守ることと精を与えることを見返りに契約を提示したのは彼女だった。
彼女と契約して強力な力を得た彼は次々とクエストを成功させていった。
そしてある日、彼はドラゴンを打ち負かし、繁殖を望んだ彼女と半強制的に交わらされて子どもが出来、そして現在に至る。
だが、二人は契約関係を切らずに続けていた。
ドラゴンの夫でいるために男は力が必要だったし、イグニスも火山の守り手と魔力の元の精が必要だったからだ。
「あっ!? んあっ、ふああっ!」
びりびりと下肢からの強くて甘い刺激にイグニスは意識を現実に引き戻される。
男の後ろから回っている手が、彼女の陰核を攻めていた。
「んあっ・・・だめ、そこは・・・弱い・・・!」
がくがくと脚を震わせながらイグニスは鳴く。
だが男は止めずに彼女の弱点を攻め続ける。
「一回イッたほうが君は激しく燃えるからな・・・ほら、君がイくところを見せて・・・」
そう言って、男はイグニスの顎を軽く持ち上げて上を向かせる。
イグニスの顔に熱がのぼった。
このままだと自分が絶頂に達している、無防備な顔を見られてしまう。
それはさすがに恥ずかしいのだが、どこか見て欲しいという気持ちもあった。
その矛盾した気持ちと、下肢からの刺激とそこから響く音があっという間に彼女を押し上げる。
「だ・・・だめっ! 本当にイク・・・! イッちゃう! くっ、ああああああ!」
達するのを、歯を食いしばって絶頂を我慢しようとしたイグニスだったが、それは一瞬であっさりと折れた。
男の腕の中で痙攣し、声を上げて絶頂に果てる。
「イッちゃった? ふふ、可愛かったよ」
ぐったりと倒れ込んだイグニスを受け止めた男が囁く。
その声で絶頂の余韻でぼーっとしていたイグニスの頭が羞恥心で覚醒する。
その羞恥心はすぐに対抗心と悪戯心になり、イグニスを突き動かした。
「ちょ、おい・・・」
「ふふふ、私だけに恥ずかしい思いをさせる気かい? そうはいかないよ」
イグニスは男のいきり立っていた肉棒をつかみ、扱きあげていた。
快感に引こうとする男の腰に腕を回して逃がさないようにする。
「ほらほら、見せてよ。あんたが気持ちよくなってイクところを」
自らのくちびるを舐めながらイグニスは男の絶頂をねだる。
男もやはり恥ずかしいのか顔を背けるが、先程も同じことを彼女にやったので強くは言えない。
そんな男の様子に笑いながらイグニスは彼に顔を寄せて甘くささやく。
「ほら、見ててあげるから出して・・・」
その一言がとどめとなった。
「くっ・・・あぐっ!」
びゅるっ、どぷっ・・・
白濁液がイグニスの腹にぶちまけられた。
それを感じながらイグニスは男の顔を見続けている。
「ふふふ、こんなに気持ちよさそうにして・・・初めて交わった時から強く、たくましく、いい男になったというのに・・・あいかわらず可愛いな。ん・・・れろ・・・」
腹にかかった精液を掬い取りながらイグニスはくすくす笑って男に言う。
丁寧に残さず、男の精液を舐めとったイグニスは寝床に横たわって男を誘った。
「さぁ、あんたが言ったとおり、一度イッた私は身体が敏感で火照って仕方がないんだ・・・満足、させてくれるよな?」
「ああ。俺もおさまらないことだしな・・・」
男がイグニスに覆いかぶさり、一度射精したはずなのに勢いが衰えていない肉棒を彼女の性器にあてがう。
粘液質な水音と、二人の嬌声が洞窟に響いた。
「らめぇぇ! またイぐ・・・イッひゃうう! んぁあああ! あぁあああ!!」
男に跨って腰を振っていたイグニスが絶叫のような嬌声を上げて痙攣する。
それと同時に男が短い声を上げて腰を突き上げた。
もう何度目か分からない二人同時での絶頂を見ている。
がくりとイグニスが男の胸の上に崩れ落ちた。
だが痙攣が止まっていない。
「ふあああっ・・・らめえぇ、きもひいいのがとまりゃにゃいぃ・・・」
呂律の回らない舌でイグニスは男の精を受け止めながら快感を口にする。
その顔は口の端から涎を、目からは涙を、鼻から鼻水を垂らしており、ぐちゃぐちゃになっていた。
「大丈夫か?」
「ら、らいじょうぶ・・・」
大丈夫じゃないと思うが、と男は苦笑するが、彼の気遣いを無視するかのように、肉棒は未だに固く張り詰めていた。
今、射精したばかりだと言うのにだ。
イグニスの方も絶頂に達していると言うのにまだ快感を求めて腰を動かそうとする。
男も思いっきり腰を振って、イグニスがめちゃくちゃになるまで愛したかった。
「んちゅ、ちゅる、はふっ・・・」
そんな衝動を抑え、男はイグニスにくちづけをする。
彼の意図を理解し、イグニスもそのくちづけに答えた。
「ん・・・ふぁあ・・・キスしへぇ・・・もっと、もっとキスしてぇ・・・」
口の端でイグニスはさらにくちづけを要求する。
彼女の要求に応えるように、男の舌がねじ込まれる。
すぐに倍の勢いでイグニスの舌が絡みつき、唾液をなすりつけた。
くちづけだけでぐちゅぐちゅと卑猥な水音を立てながら二人は唾液を交換する。
そのうち、ようやくイグニスの身体の痙攣がおさまってきた。
だが収まったのは痙攣だけだ。
互いに求め合う気持ちと身体は二人とも収まっていない。
二人のくちびるが離れ、その間を銀の糸がつなぐ。
「ん・・・落ち着いた。 ありがとうね。また・・・動くよ」
それを拭おうともせずにイグニスは身体を起こし、再び腰を動かそうとしたが
「無理はするな。俺に任せろ」
男がそれを追いかけて抱きしめ、繋がったまま身体を反転させて今度は逆に彼女を組み敷いた。
そのまま腰を付き入れてイグニスの奥を抉る。
「ひっ、んん! あっ、はっ、はぁん! すごい、すごいのぉ! これぇ! これじゃなきゃ満足できないのぉ!」
のけぞりながらイグニスは叫ぶ。
これじゃなきゃ・・・
他の男と比べられたことに男の胸がチクリと痛む。
だが、自分も妻がいるという身なので、何も言わない。
本当は契約を切るという選択肢だって二人にはあった。
イグニスは別の男と契約を結び、男は妻につくす。
実際それを二人が考えたこともあった。
だが、できなかった。
イグニスはほかの男を捕まえて契約しようと交わったが満足できず、男もまた彼のドラゴンの妻では射精することはあってもどこか心が満足しなかった。
互いに、互いの体でないと満足できない心と体になっていた。
それほどまでに二人の身体の相性が良すぎたのだ。
契約を続けるというのは建前。
心と身体の欲望に従って二人は互いを求める。
「こ、こんなのダメなのに・・・ダメなのにぃ! ふああっ、やめなくちゃいけないのにぃ! あああっ、んうう!」
口ではそう言いながらも、頭では二人の関係が許されないことを理解しつつも、心と全身がそれを拒む。
イグニスの脚が離れたくないと言う意思表示のように男の腰にきつく巻き付いた。
二人の結合がより深くなり、亀頭と子宮口がこすれ合う。
その感触にイグニスの体が痙攣し、それに合わせて膣がうねり、じゅわっとヒダの隙間から愛液が大量にあふれ出てた。
男がイグニスに腰を打ち付けるたびにぐちゅ、びちゃっと音がし、愛液や汗が辺りに飛び散る。
「ああ、いいっ! 溶ける・・・あたしのおまんこも、くううっ、あんたのおちんぽも・・・・んああっ、からだがとけちゃううう」
熱に浮かされたようにイグニスは嬌声を上げて訴える。
一方の男は何も言わない。
いや、言えない。
普段、ドラゴンの妻と交わるときは言葉で責めたりもするのだが、イグニスと交わっているときはそんな余裕もないし、彼女の身体と心がもたらす快楽に溺れていたかった。
「とけりゅう、とけひゃうう・・・らめぇえ、またイッひゃう・・・んもぉ、にゃにがにゃんらか・・・ふぁあああっ!」
もつれた舌でイグニスが、絶頂が近いことを男に伝える。
そんなイグニスを抱きしめながら男は囁く。
「大丈夫、っく・・・俺は、ここに・・・うぅ、いる・・・」
男の存在を確かめるようにイグニスが脚や腕の締め付けを、そして結合部の締め付けをさらに強くした。
「くっ、そんなに・・・強く締め付けると・・・!」
「らしてっ! らしてぇ! あたしにぃ、あんたのしぇーえきをぉ! んぁああ! もうらめぇ、 あたしもイクぅ、イッひゃううう! ああああああ!」
絶叫しながらイグニスが果てる。
同時に男もイグニスのきつい締め付けに耐えかね、身体をガクガクと痙攣させながら射精していた。
白い欲望のマグマがイグニスの子宮口をめがけて何度も何度も放たれる。
それに合わせて身体の中で爆発が起こっているかのように、イグニスが身体をのたうたせた。
そしてその痙攣が収まって脱力する頃には、二人は意識を手放していた。
かちゃかちゃという物音にイグニスは目を覚ました。
まだ情事の余韻でけだるい身体と頭に鞭打って物音がする方向を見る。
男がイグニスに背を向けて帰り支度をしていた。
半身を起こして尋ねる。
「もう行くの?」
「もう行かなければ・・・」
イグニスの言葉に男は首だけをそちらに向けてそれだけ答え、帰り支度を続けた。
がちゃ。
男が赤い鎧を身にまとう。
「じゃあ、また・・・」
ぽつりとそれだけ言い、男は出口に向かって歩いていく。
そして魔力を使って飛び立とうとした。
だが、できなかった。
イグニスが後ろから抱きついて彼を止めていた。
「お願い・・・帰らないで・・・」
血を吐くような悲痛な声がイグニスの口から漏れる。
男はそれを、目を閉じて聞いていた。
重たい沈黙が流れる。
男がイグニスの手をとった。
その手は震えている。
「本当は、俺だって帰りたくない・・・けど・・・」
けど。
逆接の言葉。
彼には彼の家庭がある。
妻が、娘がいる。
本心はどこにあろうと、彼女たちを完全に裏切るわけにはいかない。
ぽたりとイグニスの手にしずくが落ちる。
それでイグニスは我に帰った。
涙を流しながらも無理やり笑い、イグニスは言う。
「・・・ごめん、あたしがどうかしていた。ぐすっ・・・またね。気を付けて・・・帰るんだよ」
イグニスの腕の力が弱まる。
男はああと短く返事をし、振り返らずに飛び立った。
振り返ったら、また互いに求め合ってしまいそうだから・・・
空を駆ける赤い鎧の姿がどんどん小さくなっていく。
ドラゴンの、妻と娘の待つ家に帰る男をイグニスはいつまでも見続けていた。
この歪んだ二人の関係にどのような終止符が打たれるのか・・・
それは誰にも、二人にも分からない・・・
*********
「え〜っと・・・ステラさん? どうしてレポートを官能小説風に書いたのですか?」
ここはドリアードが形成する、樹の中の空間。
ピクシーのステラが依頼の報告を行なっていた。
「それは・・・そっちの方が、あたしが書きやすかったから」
「まぁ、むしろそっちの方がよかったかもしれませんね。このレポートは私しか見ないでしょうから・・・」
ドリアードはそう言ってレポートをしまう。
「このレポートは封印します。これは私とあなたの中だけの秘密にしましょう」
「そうね・・・二人がどうなるか分からないけど、部外者によって二人の関係がめちゃくちゃになってしまうのはごめんだわ」
火山のふもとの樹の中で、二人の秘密を胸に封じ込めた者がここに二人誕生した。
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+Quest Clear!+
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11/08/09 19:26更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)
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