ヒルトン夫婦のNight and Day
夜中の11時半・・・ランプを一つ灯した部屋で一人の男が本を読み、ノートを広げて自分なりにまとめていた。
彼の名前はレクト・ヒルトン。
アルドラド・T・タイラント率いる自警団の9番隊隊長で衛生兵的な役割を任されている。
突然、ドアがノックされた。
「・・・開いている」
「じゃ、お邪魔しま〜す」
一匹の魔物がレクトの部屋に入ってくる。
美しい女性の上半身に魅惑的な赤色をした魚の下半身を持つ魔物・・・
彼女はメロウのスイート・ヒルトン。
レクトの妻で、レクトの診療所のナースを務めている。
「熱心ね・・・でも休んだら? もう3時間も勉強しているわ」
「もうそんなに経ったか・・・」
「うん・・・お茶にでもしない? カフェインが入っていない海草ハーブティーを入れたわ」
手にした盆には温かそうな湯気を立てているカップが2つあった。
「どうも・・・」
ノートと本を押しやり、盆を置くスペースをつくる。
二人はゆっくりとスイートが入れたハーブティーを飲み始めた。
「何読んでいたの?」
お茶を二口ほど飲んだスイートが訊ねる。
「魔法学だ」
「へぇ」
照れくさそうにレクトは言い、スイートはちょっと驚いたような声を上げる。
「やっぱり気が変わったの? あなた、以前『魔法なんて非科学的でインチキだ』なんて言っていたじゃん」
「ああ、実に非科学的な人間のセリフだな」
自嘲的な笑みをレクトは浮かべ、お茶をすする。
「科学とはいろんな事象を観察し、そこから法則性を導き出す学問・・・魔法も一定の法則性を持つものだというのに、まったく頭が固かったな、俺も」
「・・・でもどうして急に魔法なんて勉強しようと思ったの?」
スイートは首をかしげる。
ケガや病気は魔法で治療できる魔界ゆえ、レクトの診療所は忙しいということはあまりない。
だが、レクトの医術を求める人は少ないというわけでもなかった。
現にレクトとスイート、娘のオリビアが3人で暮らす分には十分な収入がある。
そろそろオリビアに妹をとも考えている。
別に魔法を学んで来院する患者を増やすようなことをする必要はないのだが・・・
「自警団に入ったからには、戦いでケガをする奴も出てくるだろう。そんなわけでケガに関する本を読んでいたんだが・・・」
レクトが顎で横に積まれている本を指す。
そこには軍医向けの救急・外傷の本もあった。
「治癒魔法はケガに対しては即効性のある治療だと書かれていた。簡単なケガとか・・・釣り針でのケガとかは治癒魔法の方が早いし、むしろ効果が高い」
「釣り針のケガなんて、随分懐かしい例を持ってくるわね」
スイートが懐かしいといった理由。
それは釣り針でのケガが二人の出会いのキッカケだったからだ。
昔、レクトは船医をやっていた。
ある航海のとき、レクトが乗っていた船にスイートが飛び込んできた。
魚を食べていたら何かが喉に刺さったようだから助けて欲しいということだった。
レクトが診て釣り針が刺さっていることが分かり、処置をした。
これが二人の馴れ初めだ。
以来、スイートは頻繁にレクトが乗っている船に遊びに来るようになった。
最初は鬱陶しいと思っていたレクトだったが、あるとき嵐で船から放り出されたときスイートに助けてもらい、彼女の優しさに惚れて付き合いだし、そして結婚して現在に至る。
「ともかく、魔法が効果的なのであれば勉強しておく価値があるだろう。勉強するのは隊長として当然だ」
過去の思い出はとりあえずおいておき、レクトがまたお茶をすすって言う。
そのとき、目がちらりと下を向いたのをスイートは見逃さなかった。
自分の言葉に何か満足がいっていないとき、レクトはそんなしぐさを示す。
だてに恋人観察、恋愛観察、性交観察を趣味としているメロウではない。
勘は鋭い方だ。
ましてや相手がそれなりに長く連れ添っている夫となったらなおさらだ。
「確かにケガの治療には必要なことね。でも、それだけなの?」
レクトはギクッとしたようだが、すぐに観念したような苦笑いを浮かべた。
「・・・オリビアから聞いたのか?」
「ちょっとね・・・保育園でのことと、あなたが魔法は分からないといったことと・・・」
保育園のこと・・・オリビアの話によると、保育園に簡単な傷なら治してしまえるスフィンクスとマミーがいるらしい。
自分に似た分野で自分より上の能力を見せ付けられたのが悔しかったのだろう。
オリビアはレクトに魔法での治療を教えて欲しいと頼んできた。
だがレクトは自分自身魔法についてはまだ勉強不足だし、なにより回復魔法を過信して幼いうちから治療行為を甘く見て欲しくなかった。
「やっぱりな・・・葛藤するんだよ。娘の願いは叶えてやりたいが、生半可な知識や技術なんて与えたくたない・・・」
顔をしかめてレクトは言う。
そんなレクトの片手を取ってメロウは首を振って言った。
「ううん、あなたは間違っていないと思うわ。あたしに看護について教えてくれたとき、あなたは最初に『人の身体というものはそんな単純なものじゃない』って言った。そのときは分からなかったけれど、あなたのナースになって良く分かったわ・・・」
「ああ・・・最初のころのお前は酷かったな」
苦笑しながらレクトはまた昔の思い出に浸る。
結婚して三ヶ月ほどしてスイートがレクトの仕事の手伝いをしたいと言い出した。
受付とかではなく、もっと同じようなフィールドで。
「たとえばあたしも医者になるとか・・・」
「無理だ」
スイートの提案をレクトはバッサリと否定した。
「え〜っ!? なんでぇ?」
「だって、お前が医者をやるとなったら・・・」
こんにちは、今日はどうしました?
はぁ、最近疲れやすくて困っていると。
では検査をしますので服を脱いでくださいねぇ。
あ、おち○ち○立って来ましたよ〜、シコシコ・・・
うわ、濃いのが一杯出ましたね〜、これなら大丈夫ですよ。
「こんな感じだろう?」
「ひっど〜い! まぁ、否定できないけど。でも・・・」
スイートがうつむく。
「何かしたいな・・・」
そんなスイートにレクトが提案したのはナースになることだった。
スイートの目が輝く。
「ナースってあれだよね!? 『入院生活で溜まった欲求もきちんと看護します』とかエロエロ・・・じゃなかった、いろいろ・・・」
ピシャーン!
魔法を使ったわけでもないのに雷が落ちたかと思われた。
「きゃ〜っ!?」
「お前、全国のナースに謝れえぇ!」
「ほんの茶目っ気よ!」
その後二人はしばらく口論をしていたが(というより、ほとんどレクトの説教)、それでもスイートの学ぼうとする姿勢は本物だと分かり、レクトは分かる範囲で自分の知識をスイートに与えていった。
「あはは、そんなこともあったわねぇ。でも結局あなたは・・・」
「・・・う、うるさい! 言ってくれるな!」
顔を赤くし、照れ隠しにお茶をすすろうとしたが、むせて吹いてしまった。
その慌てようにスイートはクスクスと笑い、レクトはますます顔を赤くする。
あの時『ナースに謝れ』と怒ったレクトだったが、結局スイートとのナースプレイにそれなりにはまってしまったのだ。
家の中では白衣は脱ぎたいというレクトの希望で、そうしょっちゅうナースプレイをやるわけではないが、楽しいものはやはり楽しい。
『頑固・堅物だった俺も、色々変わったな・・・』
落ち着いてもう一度お茶をすすろうと思ったが、カップはもう空だった。
「レクたん・・・」
話が色事の方向に向いたせいか、スイートが甘えた声を出した。
スイートが夫を「あなた」ではなく、「レクたん」とオリビアが生まれる前の呼び方で呼んだとき・・・それはレクトを男として求めているときだ。
押しやっていた本とノートを閉じ、ランプを消して、レクトはスイートのくちびるに自分のくちびるを重ねた。
「スイート・・・スイート・・・」
「あ・・・あん! 大丈夫、あたしは・・・はぁ・・・はぁ・・・ここにいるよ・・・んあ!」
二人の寝室でレクトとスイートが生まれたままの姿で絡み合っていた。
レクトが下になり、スイートは上に乗って腰を弾ませている。
二人の手はシッカリと指を絡めて握り締められていた。
部屋にくちゅくちゅと粘液質な音と二人の荒い息が部屋に響く。
「スイート・・・あ・・・くっ・・・」
「ん・・・イキそうなの・・・?」
レクトが短いあえぎ声を漏らしたときは絶頂に達しそうなときだ。
何年も夫婦として肌を重ねていたスイートには分かる。
「いいよ、イッても・・・レクたんが一番気持いいときにだして・・・」
繋いでいた手を離してスイートは上半身を倒し、レクトを抱きしめた。
「あたしが全部受け止めてあげるから・・・」
そう言ってキスをしたまま、とどめの追い込みにかかった。
魚の下半身が水中を泳ぐかのように激しく左右にくねる。
何度受けても耐え難いほどの凄まじい快楽に、レクトはスイートにしがみつく。
そして・・・
「ん・・・んん!」
絶頂を迎えたレクトの背が反りかえり、スイートの体内に精を吐き出す。
受け止めるスイートがキスをしたままうっとりとした表情を浮かべた。
「レクたん・・・気持ちよかった?」
くちびるを離し、脱力したレクトを抱きしめ、スイートがささやく。
「ああ。最高だった」
正直にレクトは答える。
「さっきの悩み、今考えていた?」
「・・・ピロートークにはふさわしくない話題じゃないか?」
「考えてなかったでしょ?」
レクトの言葉を無視してスイートは訊ねる。
事実なのでしぶしぶ頷く。
「レクたんの悩みは分かるけど、難しく考えすぎなのかもよ? 人間も魔物もエロくてなんぼ。自分の気持ちに正直になって自分が思ったとおりのことをすればいいと思うよ?」
もちろん、他人に迷惑かけるのはまずいと思うけどねと、スイートはレクトに突っ込まれる前に付け加える。
「・・・ふっ」
スイートの言葉にレクトは軽く笑う。
『お前がパートナーでよかったよ。そうでなければ、俺はいつも悩みを抱え込んで固くなっていただろうな・・・』
今も、自分の悩みが根本的に解決したわけじゃないが、少なくとも気持は楽になった。
「さぁ、気持がスッキリしたところで第二ラウンドへ、レッツ・ゴー♪」
「おいおい、またかよ?」
「いいじゃない。あたしはまだイッてないんだから、今度はキチンとイカせてね」
「でもまだ出したばかり・・・」
「出してから3分も経ったわよ」
「3分しか・・・だろ?」
「つべこべ言わない!」
スイートが魚の下半身をぶるぶると振るわせた。
その振動が膣を通して男根に伝わる。
スイートの愛液だけでなく先ほどレクトが出した精液で、ぐちゃぐちゃと聞こえる音がとても卑猥だった。
「ほら、元気になりました〜♪」
膣から男根を引き抜いてその様子を見せつけながらスイートは嬉しそうに言う。
そしてレクトから降りて仰向けになって横たわった。
「さぁ、あたしを抱いて」
「ああ・・・」
半分苦笑の笑顔を浮かべながらレクトはスイートに覆いかぶさる。
だが、残る半分は心からの笑顔だ。
スイートは自分にとってかけがえのない大切な存在・・・その彼女が自分を心から求めてくれている・・・
「ふあああん! は、入ってくるぅ!」
身体をくねらせ、スイートはあられもない嬌声を上げる。
そんなスイートを抱きしめ、レクトはささやいた。
「愛しているよ、スイート」
言葉に刺激されたのか、スイートの膣がキュッとしまる。
「ず・・・ずるいよ、レクたぁん! その言葉を不意うちで・・・いやっ! 激しっ・・・!」
スイートが皆まで言う前にレクトは腰を振る。
一突き一突きに思いを込めるように・・・
「あ・・・あたしも愛して・・・る・・・の・・・ああん!」
あえぎながらそう言う妻をレクトはぎゅっと抱きしめる。
今までの悩みやさっきまで勉強していた魔法学のことは押しやり、二人がいるこの空間だけが全てのように感じながら、レクトはスイートを愛し続けた。
翌日・・・
「そんなに酷い顔をしているか?」
仕事先。
一休みするときに、洗面所で自分の顔を鏡でよく見る。
目の下には隈がまだ残っていた。
思わず苦笑いする。
分かっていなさそうな人には、魔法学の勉強をしていた、と半分本当で半分嘘のことを言ってごまかしたが・・・
「特に魔物たちにはばれているなぁ・・・」
そりゃ肌もつやつや元気一杯なスイートを見れば分かるか。
もう一度苦笑いするが、すぐに顔を引き締める。
「・・・行くか。待っている人がいる」
もう、慣れない魔法学に頭を抱える姿や、子どものことに悩む姿、妻だけに見せる甘い夜の姿、その影響で疲れている姿なんかを、ここでは見せるわけには行かない。
自警団9番隊隊長、レクト・ヒルトンは顔を引き締めて洗面所から出るのだった。
彼の名前はレクト・ヒルトン。
アルドラド・T・タイラント率いる自警団の9番隊隊長で衛生兵的な役割を任されている。
突然、ドアがノックされた。
「・・・開いている」
「じゃ、お邪魔しま〜す」
一匹の魔物がレクトの部屋に入ってくる。
美しい女性の上半身に魅惑的な赤色をした魚の下半身を持つ魔物・・・
彼女はメロウのスイート・ヒルトン。
レクトの妻で、レクトの診療所のナースを務めている。
「熱心ね・・・でも休んだら? もう3時間も勉強しているわ」
「もうそんなに経ったか・・・」
「うん・・・お茶にでもしない? カフェインが入っていない海草ハーブティーを入れたわ」
手にした盆には温かそうな湯気を立てているカップが2つあった。
「どうも・・・」
ノートと本を押しやり、盆を置くスペースをつくる。
二人はゆっくりとスイートが入れたハーブティーを飲み始めた。
「何読んでいたの?」
お茶を二口ほど飲んだスイートが訊ねる。
「魔法学だ」
「へぇ」
照れくさそうにレクトは言い、スイートはちょっと驚いたような声を上げる。
「やっぱり気が変わったの? あなた、以前『魔法なんて非科学的でインチキだ』なんて言っていたじゃん」
「ああ、実に非科学的な人間のセリフだな」
自嘲的な笑みをレクトは浮かべ、お茶をすする。
「科学とはいろんな事象を観察し、そこから法則性を導き出す学問・・・魔法も一定の法則性を持つものだというのに、まったく頭が固かったな、俺も」
「・・・でもどうして急に魔法なんて勉強しようと思ったの?」
スイートは首をかしげる。
ケガや病気は魔法で治療できる魔界ゆえ、レクトの診療所は忙しいということはあまりない。
だが、レクトの医術を求める人は少ないというわけでもなかった。
現にレクトとスイート、娘のオリビアが3人で暮らす分には十分な収入がある。
そろそろオリビアに妹をとも考えている。
別に魔法を学んで来院する患者を増やすようなことをする必要はないのだが・・・
「自警団に入ったからには、戦いでケガをする奴も出てくるだろう。そんなわけでケガに関する本を読んでいたんだが・・・」
レクトが顎で横に積まれている本を指す。
そこには軍医向けの救急・外傷の本もあった。
「治癒魔法はケガに対しては即効性のある治療だと書かれていた。簡単なケガとか・・・釣り針でのケガとかは治癒魔法の方が早いし、むしろ効果が高い」
「釣り針のケガなんて、随分懐かしい例を持ってくるわね」
スイートが懐かしいといった理由。
それは釣り針でのケガが二人の出会いのキッカケだったからだ。
昔、レクトは船医をやっていた。
ある航海のとき、レクトが乗っていた船にスイートが飛び込んできた。
魚を食べていたら何かが喉に刺さったようだから助けて欲しいということだった。
レクトが診て釣り針が刺さっていることが分かり、処置をした。
これが二人の馴れ初めだ。
以来、スイートは頻繁にレクトが乗っている船に遊びに来るようになった。
最初は鬱陶しいと思っていたレクトだったが、あるとき嵐で船から放り出されたときスイートに助けてもらい、彼女の優しさに惚れて付き合いだし、そして結婚して現在に至る。
「ともかく、魔法が効果的なのであれば勉強しておく価値があるだろう。勉強するのは隊長として当然だ」
過去の思い出はとりあえずおいておき、レクトがまたお茶をすすって言う。
そのとき、目がちらりと下を向いたのをスイートは見逃さなかった。
自分の言葉に何か満足がいっていないとき、レクトはそんなしぐさを示す。
だてに恋人観察、恋愛観察、性交観察を趣味としているメロウではない。
勘は鋭い方だ。
ましてや相手がそれなりに長く連れ添っている夫となったらなおさらだ。
「確かにケガの治療には必要なことね。でも、それだけなの?」
レクトはギクッとしたようだが、すぐに観念したような苦笑いを浮かべた。
「・・・オリビアから聞いたのか?」
「ちょっとね・・・保育園でのことと、あなたが魔法は分からないといったことと・・・」
保育園のこと・・・オリビアの話によると、保育園に簡単な傷なら治してしまえるスフィンクスとマミーがいるらしい。
自分に似た分野で自分より上の能力を見せ付けられたのが悔しかったのだろう。
オリビアはレクトに魔法での治療を教えて欲しいと頼んできた。
だがレクトは自分自身魔法についてはまだ勉強不足だし、なにより回復魔法を過信して幼いうちから治療行為を甘く見て欲しくなかった。
「やっぱりな・・・葛藤するんだよ。娘の願いは叶えてやりたいが、生半可な知識や技術なんて与えたくたない・・・」
顔をしかめてレクトは言う。
そんなレクトの片手を取ってメロウは首を振って言った。
「ううん、あなたは間違っていないと思うわ。あたしに看護について教えてくれたとき、あなたは最初に『人の身体というものはそんな単純なものじゃない』って言った。そのときは分からなかったけれど、あなたのナースになって良く分かったわ・・・」
「ああ・・・最初のころのお前は酷かったな」
苦笑しながらレクトはまた昔の思い出に浸る。
結婚して三ヶ月ほどしてスイートがレクトの仕事の手伝いをしたいと言い出した。
受付とかではなく、もっと同じようなフィールドで。
「たとえばあたしも医者になるとか・・・」
「無理だ」
スイートの提案をレクトはバッサリと否定した。
「え〜っ!? なんでぇ?」
「だって、お前が医者をやるとなったら・・・」
こんにちは、今日はどうしました?
はぁ、最近疲れやすくて困っていると。
では検査をしますので服を脱いでくださいねぇ。
あ、おち○ち○立って来ましたよ〜、シコシコ・・・
うわ、濃いのが一杯出ましたね〜、これなら大丈夫ですよ。
「こんな感じだろう?」
「ひっど〜い! まぁ、否定できないけど。でも・・・」
スイートがうつむく。
「何かしたいな・・・」
そんなスイートにレクトが提案したのはナースになることだった。
スイートの目が輝く。
「ナースってあれだよね!? 『入院生活で溜まった欲求もきちんと看護します』とかエロエロ・・・じゃなかった、いろいろ・・・」
ピシャーン!
魔法を使ったわけでもないのに雷が落ちたかと思われた。
「きゃ〜っ!?」
「お前、全国のナースに謝れえぇ!」
「ほんの茶目っ気よ!」
その後二人はしばらく口論をしていたが(というより、ほとんどレクトの説教)、それでもスイートの学ぼうとする姿勢は本物だと分かり、レクトは分かる範囲で自分の知識をスイートに与えていった。
「あはは、そんなこともあったわねぇ。でも結局あなたは・・・」
「・・・う、うるさい! 言ってくれるな!」
顔を赤くし、照れ隠しにお茶をすすろうとしたが、むせて吹いてしまった。
その慌てようにスイートはクスクスと笑い、レクトはますます顔を赤くする。
あの時『ナースに謝れ』と怒ったレクトだったが、結局スイートとのナースプレイにそれなりにはまってしまったのだ。
家の中では白衣は脱ぎたいというレクトの希望で、そうしょっちゅうナースプレイをやるわけではないが、楽しいものはやはり楽しい。
『頑固・堅物だった俺も、色々変わったな・・・』
落ち着いてもう一度お茶をすすろうと思ったが、カップはもう空だった。
「レクたん・・・」
話が色事の方向に向いたせいか、スイートが甘えた声を出した。
スイートが夫を「あなた」ではなく、「レクたん」とオリビアが生まれる前の呼び方で呼んだとき・・・それはレクトを男として求めているときだ。
押しやっていた本とノートを閉じ、ランプを消して、レクトはスイートのくちびるに自分のくちびるを重ねた。
「スイート・・・スイート・・・」
「あ・・・あん! 大丈夫、あたしは・・・はぁ・・・はぁ・・・ここにいるよ・・・んあ!」
二人の寝室でレクトとスイートが生まれたままの姿で絡み合っていた。
レクトが下になり、スイートは上に乗って腰を弾ませている。
二人の手はシッカリと指を絡めて握り締められていた。
部屋にくちゅくちゅと粘液質な音と二人の荒い息が部屋に響く。
「スイート・・・あ・・・くっ・・・」
「ん・・・イキそうなの・・・?」
レクトが短いあえぎ声を漏らしたときは絶頂に達しそうなときだ。
何年も夫婦として肌を重ねていたスイートには分かる。
「いいよ、イッても・・・レクたんが一番気持いいときにだして・・・」
繋いでいた手を離してスイートは上半身を倒し、レクトを抱きしめた。
「あたしが全部受け止めてあげるから・・・」
そう言ってキスをしたまま、とどめの追い込みにかかった。
魚の下半身が水中を泳ぐかのように激しく左右にくねる。
何度受けても耐え難いほどの凄まじい快楽に、レクトはスイートにしがみつく。
そして・・・
「ん・・・んん!」
絶頂を迎えたレクトの背が反りかえり、スイートの体内に精を吐き出す。
受け止めるスイートがキスをしたままうっとりとした表情を浮かべた。
「レクたん・・・気持ちよかった?」
くちびるを離し、脱力したレクトを抱きしめ、スイートがささやく。
「ああ。最高だった」
正直にレクトは答える。
「さっきの悩み、今考えていた?」
「・・・ピロートークにはふさわしくない話題じゃないか?」
「考えてなかったでしょ?」
レクトの言葉を無視してスイートは訊ねる。
事実なのでしぶしぶ頷く。
「レクたんの悩みは分かるけど、難しく考えすぎなのかもよ? 人間も魔物もエロくてなんぼ。自分の気持ちに正直になって自分が思ったとおりのことをすればいいと思うよ?」
もちろん、他人に迷惑かけるのはまずいと思うけどねと、スイートはレクトに突っ込まれる前に付け加える。
「・・・ふっ」
スイートの言葉にレクトは軽く笑う。
『お前がパートナーでよかったよ。そうでなければ、俺はいつも悩みを抱え込んで固くなっていただろうな・・・』
今も、自分の悩みが根本的に解決したわけじゃないが、少なくとも気持は楽になった。
「さぁ、気持がスッキリしたところで第二ラウンドへ、レッツ・ゴー♪」
「おいおい、またかよ?」
「いいじゃない。あたしはまだイッてないんだから、今度はキチンとイカせてね」
「でもまだ出したばかり・・・」
「出してから3分も経ったわよ」
「3分しか・・・だろ?」
「つべこべ言わない!」
スイートが魚の下半身をぶるぶると振るわせた。
その振動が膣を通して男根に伝わる。
スイートの愛液だけでなく先ほどレクトが出した精液で、ぐちゃぐちゃと聞こえる音がとても卑猥だった。
「ほら、元気になりました〜♪」
膣から男根を引き抜いてその様子を見せつけながらスイートは嬉しそうに言う。
そしてレクトから降りて仰向けになって横たわった。
「さぁ、あたしを抱いて」
「ああ・・・」
半分苦笑の笑顔を浮かべながらレクトはスイートに覆いかぶさる。
だが、残る半分は心からの笑顔だ。
スイートは自分にとってかけがえのない大切な存在・・・その彼女が自分を心から求めてくれている・・・
「ふあああん! は、入ってくるぅ!」
身体をくねらせ、スイートはあられもない嬌声を上げる。
そんなスイートを抱きしめ、レクトはささやいた。
「愛しているよ、スイート」
言葉に刺激されたのか、スイートの膣がキュッとしまる。
「ず・・・ずるいよ、レクたぁん! その言葉を不意うちで・・・いやっ! 激しっ・・・!」
スイートが皆まで言う前にレクトは腰を振る。
一突き一突きに思いを込めるように・・・
「あ・・・あたしも愛して・・・る・・・の・・・ああん!」
あえぎながらそう言う妻をレクトはぎゅっと抱きしめる。
今までの悩みやさっきまで勉強していた魔法学のことは押しやり、二人がいるこの空間だけが全てのように感じながら、レクトはスイートを愛し続けた。
翌日・・・
「そんなに酷い顔をしているか?」
仕事先。
一休みするときに、洗面所で自分の顔を鏡でよく見る。
目の下には隈がまだ残っていた。
思わず苦笑いする。
分かっていなさそうな人には、魔法学の勉強をしていた、と半分本当で半分嘘のことを言ってごまかしたが・・・
「特に魔物たちにはばれているなぁ・・・」
そりゃ肌もつやつや元気一杯なスイートを見れば分かるか。
もう一度苦笑いするが、すぐに顔を引き締める。
「・・・行くか。待っている人がいる」
もう、慣れない魔法学に頭を抱える姿や、子どものことに悩む姿、妻だけに見せる甘い夜の姿、その影響で疲れている姿なんかを、ここでは見せるわけには行かない。
自警団9番隊隊長、レクト・ヒルトンは顔を引き締めて洗面所から出るのだった。
10/10/12 22:49更新 / 三鯖アキラ(旧:沈黙の天使)