海岸前線V
これはIkaijuが出現してから半年以上経過し全ての戦いで勝利しながらも、終わらない戦いに明け暮れる日々の1日にすぎない。
ピピピピッ!ピピピピッ!ピッ!
「んぁー」
自分でセットした目覚まし時計を恨めしく叩き、最愛の妻を起こさないようにベットから抜け出s
「マスター...何処に行かれるのですか?」
なかった...
「お、おはよう。レム...いつから起きてたんだ?」
「マスターが目覚める46分49秒前からマスターの寝顔を見ていました。」
「いやいやいや、どんだけ俺の寝顔見てんだよ!」
「マスターの顔はどれだけ見ても飽きません。」
「ちょっ...そこまでハッキリ言われると恥ずかしいです。」
「恥じることはありません。マスターは素敵な方です。
あぁ今日もカッコいいですマスター。私の、私だけのマスター。
マスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスター大好きです。」
「おぉう。」
俺のパートナー、ゴーレムであるレムは自分で言うのもなんだが、かなり俺に依存している。
このやりとりも毎朝の恒例行事なので最近では慣れてしまったが、レムが俺の寝顔を見ている時間が日に日に延びてきていることが心配だ。
今日もまた俺の考えたしょうもないゲーム「妻にバレずに朝食作るゲーム」が失敗してしまい2人で部屋を出て朝食を作り素早く身支度を済ませてシミュレーションルームに向かった。
<ドリフトを始めます。位置についてください。>
2人で実戦でドリフトした時のそれぞれの負担を軽減するためにこの練習用のドリフトをよく利用する。
俺たちが乗る機体は旧式であるため、ドリフトのハードも古く高い親密度を持っていても高いシンクロ率が望めない。
だからこそ、こうして他のパイロット以上に時間を割いているのだが...
「あぁ、マスターの記憶が、感覚が入ってくりゅうぅぅぅぅぅ!」
<シンクロ率118%を突破しました。>
レムの性格からか最新のハードを使用すると、ものすごい数値を叩き出す。
あとレムがちょっとアヘる。
それでも作戦の成功率を上げることを目的に、あえて古い方のハードを使用しているが本来の力の80%ほどしか出すことができない。
それももったいないのでこうして訓練しているのだがなかなかうまくいかない。
ちなみに俺の脳内にもマスター大好きコールが流れ込んでくる。
これは結構キツい、決して嫌なわけではないが毎度毎度溺れそうになる、糖分で。
このことをオペレーターのマイクに相談すると
「惚気か、このヤロー!独身いじって楽しいか?おーん?」
とブチギレられるから口が裂けても言わないと固く誓った。
<ドリフトを終了します。お疲れ様でした。>
そうこうしているうちに訓練が終了し糖分の過剰摂取から解放される。
「マスターお疲れ様です。いつものブラックコーヒーです。」
「あ、ありがとう。」
レムがいつもの調子に戻った様子を見るといつも落ち着かない。
彼女の頭の中では、あんなことやこんなことをされているんじゃないかと思ってしまう。
「ごめんなさい。マスター。」
「どうしたレム?急に謝ったりして。」
「私、ゴーレムなのにいつも感情を制御できなくて...」
どうやら考えごとをしていたせいで、彼女を不安にさせてしまったらしい。
彼女はこんなにも真剣に考えているのに俺は一体何をやっているんだ。
「それでいいんじゃないか?」
「そ、それはどういうことですかマスター?」
「いやぁさ、ゴーレムだ云々だ以前にさ、レムは1人の女の子なんだからさ、自分らしくいればいいんじゃないかって思ってさ。」
「マ、マスター。」
「レム!」
レムの表情に温かみが戻り、俺たちの周りに感動的なムードが広がる。
段々とレムの顔が俺の顔に近づいていき、唇と唇が触れ合ー
「おいお前らIkaiju反応があっー」
「Oh...レェム...」
「い、急ぎましょう!マスター!」
無残にも館内アナウンスの無機質な音声が出動要請を告げる。
未練タラタラに指令室に向かうと事の元凶であるIkaijuと全てを察してニヤニヤしている独身男の実態が明らかになった。
「ぶふっwこ、今回のIkaijuのカテゴリはっw3だw」
「マイクいつまでも笑ってないで状況を説明しなさい!」
ピリついた指令室に雷が落ちる。
レムはIkaijuに対して強く恨みを持っている。
彼女が製造されたと言われる研究所が最初に出現したIkaijuに破壊されてしまったからだ。
死傷者はいなかったものの、彼女にとっての故郷が消されたことは彼女の心に影を作った。
俺との出会いがきっかけでその陰りは身を潜めているが彼女とIkaijuとの溝は深いままだった。
「ゴホン!それじゃあ改めて状況を説明するぜ。海岸から8km離れた地点にIkaijuが出現した。カテゴリは3。偵察班からの報告によると真っ直ぐこちらに向かっているようだ。時間がないがいけるか?」
「もちろんです。」
「マスターの赴くままに。」
「それじゃ決まりだ。5分後に『メルキド=アルファ』出撃だ!」
「「了解!!」
俺たちの乗る狩人『メルキド=アルファ』は初の2人乗りの狩人で同時に初めてドリフトを採用した狩人でもある。
その搭乗方法も原始的で胴体部分にあるコックピットハッチから下ろされるクレーンで巻き上げてもらう。
レムが機体の全てのネットワークに接続しオンラインにする間、俺は手動で一つ一つ頭上のスイッチを入れていく。
この間約3分だいぶこなれたものだ。
<抑制ドリフト開始します>
2人の記憶が交錯し、しばらくして落ち着く。
「シンクロ率79%で安定。」
「よし準備完了!暴れてこい!」
「いくぞ!「「メルキド=アルファ!出撃!」」」
強い北風を真正面に受けながらそれをもろともせず海に出た。
「こちらアルファ、ポイントに到着Ikaiju確認しました。」
グワァァァァァ!!
Ikaijuが二足歩行になり前脚で胸部叩いて威嚇する。ドラミングである。
「どうやら向こうもパワータイプのようだな。」
「見た目で判断してはいけません。マスター。」
「わかっているさ。こちらも威圧感出すぞ!」
「了解!」
アルファの拳同士を打ち付け合い、空気弁を解放する。
ブオォォォォォン!!
腹の底に響く低い音が辺り一面に響き渡る。
グォォォ!
「よしビビったぞ!仕掛けるぞ!」
超重量級の機体でも一度スピードになると後は早い。
あっという間にIkaijuの懐に潜り込み腹部に油圧式ピストンパンチを打ち込む。
Ikaijuも殴りかかってくるが片方の腕でいなす。
「おらぁ!キスの邪魔した報いだ!」
特大の一発をお見舞いしIkaijuを吹き飛ばす。
たまらずIkaijuも宙に舞い海面に叩きつけられる。
「引きずりあげるぞ!」
「マスター何か変です。一旦距離を!」
「何だこれは?」
♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜
突然あたりから笛のような繊細な音楽が流れてきたのだ。
明かに異常だった。戦場で優美な音が聞こえるのだから。
警戒をする2人に異変は起こった。
「あれ?マスター私なんだか眠くなってーすぅ」
「おいどうしたレム!起きろ!寝るな!」
「2人ともどうした!説明しろ!」
マイクの怒号が飛ぶがそれでもレムは起きない。
「司令塔へ!こちらアルファ!謎の音楽が流れてきた!」
「音楽だって?」
「多分それを聴いたせいでレムが眠ってしまった!」
「機体の状況は?」
「レムの意識がないから右半身しか動かない!」
「なんでもいいから起こせ!来るぞ!」
突如起こったアクシデントによりレムの意識が戻らない。
その間も容赦無く攻撃を続けるIkaiju。
唯一使える右半身だけで必死に守りに徹するが時間の問題である。
「いったいどうすれば?んっ?あれは!」
音の発生源は背中の突起にあった。トゲのように生えたそれは一本一本が空洞になっていてリコーダーのように音を出している。
「ゴツい体で芸が細かいじゃねぇか!」
原理がわかれば後は簡単である。アルファは重いっきって海面を叩きつけた。
激しい水しぶきがIkaijuにかかり背中の管に詰まる。
「だめだ量が足りない。その程度なら吹き出すぞ!」
マイクが煩く指示するが俺は勝利を確信した。
「誰が最初殴った衝撃で詰めるっつったよ!」
すると衝撃を加えた場所に波が押し寄せて巨大な水柱となる。
水は衝撃が加わって分散したところに戻る法則があり、加える衝撃が大きいほど集積する水の勢いも強くなる。そして勢いの強い水同士がぶつかると余分な力は上下に逃げ、水を押し上げる。
計算通り押し上げられた水はIkaijuを水没させた。
「よっしゃ今だ!起きろレム!起きたら一日俺のこと好きにしていいぞ!」
「了解しました!マスター!」
愛の力で完全復活した2人は水が引いた一瞬の隙を見逃さず、ラッシュをかましIkaijuの骨を全て粉々に砕いた。
「マスター!先程は申し訳ありませんでした。」
雑務からようやく解放されやっと2人きりになった瞬間レムが開口早々言った言葉がこれだった。
「2人とも怪我しなかったから大丈夫だよ。あの音の後遺症もないし。」
結局Ikaijuが発生させた音は魔物娘だけに有効だったらしく効果もただ相手を眠らせるだけ、後から聞いた話だが司令塔の魔物娘も眠ってしまったらしく、マイクもてんやわんやしていたらしい。ざまみろ。中には眠ったおかげですっきりしたとまで言う猛者もいたらしいがみんな無事でよかった。
「それでも...」
「いいんだよ。何もなきゃ。」
「そうですか。なら...」
「どうした?」
「明日の予定なんですが。マスターを1日中監禁してもいいですか?」
「それって1日俺を自由にするやつ?」
「もちろんです!」
ゴーレムとは思えないほど輝かしい笑顔だ。
まぁこいつも1人の女の子だしなぁ。
「お手柔らかに頼む。」
「いいえ、全力で頑張ります!」
「Oh...レェム...」
ピピピピッ!ピピピピッ!ピッ!
「んぁー」
自分でセットした目覚まし時計を恨めしく叩き、最愛の妻を起こさないようにベットから抜け出s
「マスター...何処に行かれるのですか?」
なかった...
「お、おはよう。レム...いつから起きてたんだ?」
「マスターが目覚める46分49秒前からマスターの寝顔を見ていました。」
「いやいやいや、どんだけ俺の寝顔見てんだよ!」
「マスターの顔はどれだけ見ても飽きません。」
「ちょっ...そこまでハッキリ言われると恥ずかしいです。」
「恥じることはありません。マスターは素敵な方です。
あぁ今日もカッコいいですマスター。私の、私だけのマスター。
マスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスターマスター大好きです。」
「おぉう。」
俺のパートナー、ゴーレムであるレムは自分で言うのもなんだが、かなり俺に依存している。
このやりとりも毎朝の恒例行事なので最近では慣れてしまったが、レムが俺の寝顔を見ている時間が日に日に延びてきていることが心配だ。
今日もまた俺の考えたしょうもないゲーム「妻にバレずに朝食作るゲーム」が失敗してしまい2人で部屋を出て朝食を作り素早く身支度を済ませてシミュレーションルームに向かった。
<ドリフトを始めます。位置についてください。>
2人で実戦でドリフトした時のそれぞれの負担を軽減するためにこの練習用のドリフトをよく利用する。
俺たちが乗る機体は旧式であるため、ドリフトのハードも古く高い親密度を持っていても高いシンクロ率が望めない。
だからこそ、こうして他のパイロット以上に時間を割いているのだが...
「あぁ、マスターの記憶が、感覚が入ってくりゅうぅぅぅぅぅ!」
<シンクロ率118%を突破しました。>
レムの性格からか最新のハードを使用すると、ものすごい数値を叩き出す。
あとレムがちょっとアヘる。
それでも作戦の成功率を上げることを目的に、あえて古い方のハードを使用しているが本来の力の80%ほどしか出すことができない。
それももったいないのでこうして訓練しているのだがなかなかうまくいかない。
ちなみに俺の脳内にもマスター大好きコールが流れ込んでくる。
これは結構キツい、決して嫌なわけではないが毎度毎度溺れそうになる、糖分で。
このことをオペレーターのマイクに相談すると
「惚気か、このヤロー!独身いじって楽しいか?おーん?」
とブチギレられるから口が裂けても言わないと固く誓った。
<ドリフトを終了します。お疲れ様でした。>
そうこうしているうちに訓練が終了し糖分の過剰摂取から解放される。
「マスターお疲れ様です。いつものブラックコーヒーです。」
「あ、ありがとう。」
レムがいつもの調子に戻った様子を見るといつも落ち着かない。
彼女の頭の中では、あんなことやこんなことをされているんじゃないかと思ってしまう。
「ごめんなさい。マスター。」
「どうしたレム?急に謝ったりして。」
「私、ゴーレムなのにいつも感情を制御できなくて...」
どうやら考えごとをしていたせいで、彼女を不安にさせてしまったらしい。
彼女はこんなにも真剣に考えているのに俺は一体何をやっているんだ。
「それでいいんじゃないか?」
「そ、それはどういうことですかマスター?」
「いやぁさ、ゴーレムだ云々だ以前にさ、レムは1人の女の子なんだからさ、自分らしくいればいいんじゃないかって思ってさ。」
「マ、マスター。」
「レム!」
レムの表情に温かみが戻り、俺たちの周りに感動的なムードが広がる。
段々とレムの顔が俺の顔に近づいていき、唇と唇が触れ合ー
「おいお前らIkaiju反応があっー」
「Oh...レェム...」
「い、急ぎましょう!マスター!」
無残にも館内アナウンスの無機質な音声が出動要請を告げる。
未練タラタラに指令室に向かうと事の元凶であるIkaijuと全てを察してニヤニヤしている独身男の実態が明らかになった。
「ぶふっwこ、今回のIkaijuのカテゴリはっw3だw」
「マイクいつまでも笑ってないで状況を説明しなさい!」
ピリついた指令室に雷が落ちる。
レムはIkaijuに対して強く恨みを持っている。
彼女が製造されたと言われる研究所が最初に出現したIkaijuに破壊されてしまったからだ。
死傷者はいなかったものの、彼女にとっての故郷が消されたことは彼女の心に影を作った。
俺との出会いがきっかけでその陰りは身を潜めているが彼女とIkaijuとの溝は深いままだった。
「ゴホン!それじゃあ改めて状況を説明するぜ。海岸から8km離れた地点にIkaijuが出現した。カテゴリは3。偵察班からの報告によると真っ直ぐこちらに向かっているようだ。時間がないがいけるか?」
「もちろんです。」
「マスターの赴くままに。」
「それじゃ決まりだ。5分後に『メルキド=アルファ』出撃だ!」
「「了解!!」
俺たちの乗る狩人『メルキド=アルファ』は初の2人乗りの狩人で同時に初めてドリフトを採用した狩人でもある。
その搭乗方法も原始的で胴体部分にあるコックピットハッチから下ろされるクレーンで巻き上げてもらう。
レムが機体の全てのネットワークに接続しオンラインにする間、俺は手動で一つ一つ頭上のスイッチを入れていく。
この間約3分だいぶこなれたものだ。
<抑制ドリフト開始します>
2人の記憶が交錯し、しばらくして落ち着く。
「シンクロ率79%で安定。」
「よし準備完了!暴れてこい!」
「いくぞ!「「メルキド=アルファ!出撃!」」」
強い北風を真正面に受けながらそれをもろともせず海に出た。
「こちらアルファ、ポイントに到着Ikaiju確認しました。」
グワァァァァァ!!
Ikaijuが二足歩行になり前脚で胸部叩いて威嚇する。ドラミングである。
「どうやら向こうもパワータイプのようだな。」
「見た目で判断してはいけません。マスター。」
「わかっているさ。こちらも威圧感出すぞ!」
「了解!」
アルファの拳同士を打ち付け合い、空気弁を解放する。
ブオォォォォォン!!
腹の底に響く低い音が辺り一面に響き渡る。
グォォォ!
「よしビビったぞ!仕掛けるぞ!」
超重量級の機体でも一度スピードになると後は早い。
あっという間にIkaijuの懐に潜り込み腹部に油圧式ピストンパンチを打ち込む。
Ikaijuも殴りかかってくるが片方の腕でいなす。
「おらぁ!キスの邪魔した報いだ!」
特大の一発をお見舞いしIkaijuを吹き飛ばす。
たまらずIkaijuも宙に舞い海面に叩きつけられる。
「引きずりあげるぞ!」
「マスター何か変です。一旦距離を!」
「何だこれは?」
♪〜♪〜♪〜♪〜♪〜
突然あたりから笛のような繊細な音楽が流れてきたのだ。
明かに異常だった。戦場で優美な音が聞こえるのだから。
警戒をする2人に異変は起こった。
「あれ?マスター私なんだか眠くなってーすぅ」
「おいどうしたレム!起きろ!寝るな!」
「2人ともどうした!説明しろ!」
マイクの怒号が飛ぶがそれでもレムは起きない。
「司令塔へ!こちらアルファ!謎の音楽が流れてきた!」
「音楽だって?」
「多分それを聴いたせいでレムが眠ってしまった!」
「機体の状況は?」
「レムの意識がないから右半身しか動かない!」
「なんでもいいから起こせ!来るぞ!」
突如起こったアクシデントによりレムの意識が戻らない。
その間も容赦無く攻撃を続けるIkaiju。
唯一使える右半身だけで必死に守りに徹するが時間の問題である。
「いったいどうすれば?んっ?あれは!」
音の発生源は背中の突起にあった。トゲのように生えたそれは一本一本が空洞になっていてリコーダーのように音を出している。
「ゴツい体で芸が細かいじゃねぇか!」
原理がわかれば後は簡単である。アルファは重いっきって海面を叩きつけた。
激しい水しぶきがIkaijuにかかり背中の管に詰まる。
「だめだ量が足りない。その程度なら吹き出すぞ!」
マイクが煩く指示するが俺は勝利を確信した。
「誰が最初殴った衝撃で詰めるっつったよ!」
すると衝撃を加えた場所に波が押し寄せて巨大な水柱となる。
水は衝撃が加わって分散したところに戻る法則があり、加える衝撃が大きいほど集積する水の勢いも強くなる。そして勢いの強い水同士がぶつかると余分な力は上下に逃げ、水を押し上げる。
計算通り押し上げられた水はIkaijuを水没させた。
「よっしゃ今だ!起きろレム!起きたら一日俺のこと好きにしていいぞ!」
「了解しました!マスター!」
愛の力で完全復活した2人は水が引いた一瞬の隙を見逃さず、ラッシュをかましIkaijuの骨を全て粉々に砕いた。
「マスター!先程は申し訳ありませんでした。」
雑務からようやく解放されやっと2人きりになった瞬間レムが開口早々言った言葉がこれだった。
「2人とも怪我しなかったから大丈夫だよ。あの音の後遺症もないし。」
結局Ikaijuが発生させた音は魔物娘だけに有効だったらしく効果もただ相手を眠らせるだけ、後から聞いた話だが司令塔の魔物娘も眠ってしまったらしく、マイクもてんやわんやしていたらしい。ざまみろ。中には眠ったおかげですっきりしたとまで言う猛者もいたらしいがみんな無事でよかった。
「それでも...」
「いいんだよ。何もなきゃ。」
「そうですか。なら...」
「どうした?」
「明日の予定なんですが。マスターを1日中監禁してもいいですか?」
「それって1日俺を自由にするやつ?」
「もちろんです!」
ゴーレムとは思えないほど輝かしい笑顔だ。
まぁこいつも1人の女の子だしなぁ。
「お手柔らかに頼む。」
「いいえ、全力で頑張ります!」
「Oh...レェム...」
19/11/26 18:05更新 / 甘党大工さん