お酒は二十歳になってから……
とある親魔物領の、のんびりした朝。
買い物袋を提げた獣人型の魔物と、その隣を歩く小さな少年は、二人の家へと向けてゆっくりと歩いていた。
魔物は開いた手に透明な瓶を持っており、定期的に瓶の中身を飲んでいる。
魔物が手に持つ瓶の事を除けば、どこにでもいる買い物帰りの親子の様だ。
「おかあさん、どうしておかあさんはいつもおさけをのんでいるの？」
６歳になったばかりの少年は、常々思っていた疑問を、『おかあさん』と呼んだ魔物に問いかける。
「それは、お母さんがサテュロスという、お酒が大好きな魔物だからよ。」
少年の隣を歩く魔物は、少年に答える。
サテュロスは山羊の特徴を持つ獣人型の魔物だ、山羊の角、山羊の下半身以外は人間とそれほど変わらない。
彼女達サテュロスは、バッカスという中級神を信仰している。
バッカスはお酒を司る神だ、その為彼女らはお酒が大好きで手放せないのだ。
もちろん、現魔王の影響で、現在の魔物特有の好色さも持ち合わせている。
「そうなんだー、ぼくもおおきくなったら、おかあさんといっしょに、おさけのむ！」
無邪気な笑顔で少年はサテュロスに話しかける。
魔物には人間の子供を産むことはまず出来ない、この少年は乳飲み子の頃に道端に捨てられていた。
彼を見つけたのは、警備兵のリザードマンだった。
リザードマンは乳飲み子の世話を、交友があったサテュロスに一方的に押し付けた。
しかしサテュロスはしっかり乳飲み子の世話をした。
その甲斐あって、乳飲み子は無事に少年に成長し、今やサテュロスの事を『おかあさん』と呼ぶ。
「そうねぇ、この街での人間の成人は二十歳だから、成人式の後にお母さんとお酒を飲みましょう。」
サテュロスも笑顔で少年に話す。
少年はより一層笑顔を輝かせた。
「絶対だよ、約束したからね！」
少年は興奮した様子で、二人が住む家まで急いで駆けていく。
そんな少年の……アーダンの後ろ姿を見つめながら、サテュロスは魔物としての欲望を必死に押さえ込んでいた。
「今はあの子が成人するまで、男への誘惑や交わりは控えないとね……。」
彼女はボソッっとつぶやいた後、アーダンを見失わないよう追いかけ始めた。
サテュロス達は気に入った男性を誘惑し、交わろうと常に狙っている。
少年だろうが老人だろうが、サテュロスが性的な相手と認識してしまえば、容赦なく誘惑し、交わりを求めるだろう。
少年やその他大勢の男達に、『おかあさん』と呼ばれるサテュロスが誘惑をしないのは、彼女が彼女自身の魔物特有の欲望を、母性本能で押さえ込んでいるためだ。
彼女がまだ人間だった頃の名残なのだろう。
彼女の名前はララという。
ララには人間だった頃、アーダンと同じ年頃の息子、そして夫がいたが、二人を流行り病で亡くなってしまった。
ララにはその後、二人の家族を同時に失った悲しみと、病に苦しむ息子を救えなかった悔しさから立ち直る時間と方法が必要だった。
そしてララは、バッカス神の信徒達の酒宴に参加し、酒を浴びる様に飲んでいた。
そんなララを見かねた、バッカス神の敬虔な信徒であるサテュロス達に言葉巧みに誘惑され、ララはバッカス神の加護を受けサテュロスに生まれ変わったのだ。
「ただいまー。」
ララとアーダンは二人揃って、玄関の戸を潜る。
ララはお腹を空かせたアーダンの為に、栄養バランスをしっかり考えたお昼ご飯を作り、アーダンを外へ遊びに行かせる。
ララは酔っ払っていても、家事の精度に全く影響を出さない。
「ちゃんとくらくなるまえにかえってくるね！ おかあさん。」
アーダンはララの返事を待たずに、街へと駆け出してゆく。
「ふう……あの子の元気さには毎日手を焼くわ。」
ララは言葉の割に嬉しそうな表情をしている。
「今日もあの子の為に、しっかりとお金を稼がないとね。」
ララは片手に持ったお酒を飲みながら、お店の開店準備を始めた。
アーダンを引き取る前から、ララは酒場の店主をしている。
ララにアーダンを押し付けたリザードマンは、店の常連客だ。
サテュロスが仕入れたお酒の中に、不味い物や外れはない。
安い酒ですら、そこらの人間が仕入れた同じ商品とは、比べ物にならないほど美味しいのだ。
彼女達のお酒に関する知識や仕入れルートは、どんな競争相手にも負けないだろう。
「さてと、今日は常連達にどれだけお金を落としていってもらおうかしら。」
常連客達を迎え入れる彼女の顔には、営業スマイルが張り付いている。
「ララさん、俺と結婚して夫婦になってくれよ？」
あきらかに酔っている常連客がララにニヤニヤしながら絡んでくる。
「はいはい、私には既に心に決めた男性がいるの、残念ながら売約済みよ。」
何時ものようにララは常連客をあしらう。
常連客は、チェッっと舌打ちすると、ララの注いだお酒を不機嫌そうに飲んでいる。
ララは常連客達が、別のお客相手にトラブルを起こしていないか、辺りを見渡す。
そこでララは、酔いつぶれているリザードマンの警備兵と、彼女を介抱する墓守の男を見た。
私もいつかはあんな風に介抱されたいと、ララは羨ましがった。
「あの二人、お互いに気があるんだから、さっさと夫婦になればいいのに。」
ララは少し不機嫌そうに呟きながら、アーダンが成人したら、自分の夫を早く見つけようと心に誓った。
それからしばらくの年数が経過した。
今日は成人式が行われる大事な日だ。
「今日はついに俺の成人の日だな、俺との約束忘れていないよな？」
逞しい若者に成長したアーダンは、母親であるララに嬉しそうに話しかける。
ララは魔物で長寿である為、１４年前と全く外見は変わっていない。
豊満で妖艶な、大人の女性の身体つきのままだ。
一方のアーダンは、ララの身長を超えて、がっしりした筋肉が付いている。
「ええ、しっかり覚えているわよ、私の可愛いアーダン。」
ララも嬉しそうに、アーダンへ微笑んで答えた。
「あなたの為に、私が作った最高傑作を開けさせて頂戴ね？」
ララはまるでアーダンを誘惑するような声色で、アーダンに声を掛ける。
「あ、ああ……未婚の魔物達から無事に逃げ切って、ちゃんと我が家まで帰ってくるよ。」
いつもと違う様子のララに、アーダンは内心ドキドキしながら、成人式へと出発していった。
アーダンが成人式に出発し、ララから見えなくなっても、ララは玄関先に立ったままだ。
「ついに長年の禁欲生活から開放されるのね……あの子の為に入念に準備をしなくちゃ。」
ララの発情した表情は既に抑えきれなくなっており、あたりには発情した雌特有の、濃い女の香りが充満していた。
無事にアーダン達若者が主役の成人式は、終わりを迎えようとしている。
街の代表である市長が、アーダン達に長く退屈な祝辞を述べていた。
後は司会者による、式の終了の挨拶が終われば、アーダン達は無事に大人の仲間入りだ。
アーダンは終了の挨拶が終わると同時に、一目散に我が家へ……お酒を一緒に飲む約束をした母の元へ走り出す。
アーダンの後ろでは、未婚の魔物達が我先にと、成人を終えたばかりの若者達に跨り、人目をはばからす交わっていた。
「俺は母さんと一緒に、酒を満足するまで飲んでからしか、嫁さんは持たないぞ、母さんだってそれを望んでいるはずだ！」
アーダンは魔物達に追いつかれたくない一心と、母への愛情パワーで、普段の３倍の速度で街を駆け抜けた。
「た……ただいま……母さん。」
肩で息をしながら、アーダンは無事に我が家に着いた。
不思議とアーダンは道中、未婚の魔物達に襲われなかった。
襲われていたら、アーダンの童貞は間違いなく奪われて、交わった魔物と夫婦になっていただろう。
「本当に俺は運が良かった。」
母さんに偶然拾われたときも、運が良かったのだろうと、アーダンは思いながらつぶやいた。
「おかえりなさい、アーダン。」
アーダンを見送った後の、玄関先で興奮を抑えきれていない様子のララではない、何時もどおりの『母』としてのララがアーダンを待っていた。
「お酒とおつまみはもう用意してあるわ、今日は予め、お店は臨時休業にしてあるから、お互いゆっくりとお酒を楽しみましょう。」
ララはやさしくアーダンに声を掛ける。
「ああ、今日は念願の飲酒解禁日だ、母さんとも一緒に飲めるチャンスだし、誰にも邪魔はされたくない。」
アーダンは心底嬉しそうに言った。
ララはアーダンの手を取り、いつも以上に綺麗に整頓されたダイニングへ連れて行った。
小１時間後、アーダンは今日の事を、お酒が程良く回り、上手く考えがまとまらない頭で激しく後悔していた。
「なぜ俺は今日まで、母さんが俺が成人するまで夫を作らなかったのか、疑問に思わなかったのか……。」
飲まされたお酒がサテュロスワインと知らず、何の疑いも無く飲んでしまったアーダンは、既にズボンの股間部分を、パンパンに膨らませている。
「ああっ、アーダン！ こんなに逞しく成長しているなんて、お母さんはすごく嬉しいわ！」
真っ赤な顔をした、発情した雌犬状態のララが、アーダンを肌蹴させ、服の中を弄っている。
アーダンは椅子に腰掛けたまま、ララに跨られ、逃げようにも逃げられない。
ララは１４年前、アーダンが成人したら、夫を持とうと決意したが、その標的はすぐに成人後のアーダンに切り替わった。
理由はララが、アーダンを何時ものように起こしに行った際、偶然彼の朝勃ちを見てしまったからだ。
アーダンを引き取ってからの禁欲生活の反動もあり、あっと言う間にララの中で、アーダンは一人の男として認識され、未来の夫となった。
ララはすぐに別の魔物達が、可愛い可愛い未来の夫アーダンを無理やり襲わない様に、自分の魔力の臭いをアーダンに染み込ませる。
今日、アーダンが未婚の魔物達に押し倒されなかったのは、ララの魔力の臭いが染み込んでいた為だ。
未婚の魔物にとって、既にアーダンは『予約済み』の男だった。
魔物達は、既に伴侶がいる男には手を出さない、余計なトラブルの元だし、自分達も同じ事をされたくは無い。
パートナーが既にいる相手に手を出さないことは、魔物達の間で暗黙のルールになっている。
ララは一通りアーダンの肉体をさわると、椅子に座ったまま動けない、彼のパンパンに膨らんだ股間の前にしゃがみ込む。
「こちらはあの朝勃ちの時から、どんなに立派に成長したかしら？」
ララはアーダンの必死の抵抗をもろともせず、彼の勃起した剛直を取り出した。
「ああ……濃厚な若い雄の臭いがする、たまらないわ。」
アーダンの濃厚な雄の臭いがララを直撃し、ララは軽く絶頂を迎えていた。
アーダンを引き取ってからずっと禁欲していたのだ、当然の結果としか言いようが無い。
そのままララは彼の剛直を口に含むと、童貞であるアーダンが我慢できるはずがない程の快楽を、彼に与えていく。
アーダンは見る見るうちに、ララのフェラに追い詰められていった。
「ウッ……母さ、それ以上は……」
アーダンは必死にララのフェラを止めようとするが、与えられる快楽により力が入らない。
抵抗に成功したところで、すぐに魔物の腕力で押さえつけられてしまうだろう。
「か、母さん……本当にやめ……あぁっ……出る！」
より一層剛直を刺激されたアーダンは、あっけなく母代わりであるララの口の中に、精を放ってしまった。
アーダンから放たれた精を、ララはゴクリゴクリと美味しそうに喉の鳴らしながら飲み込んでいく。
「うーんっ、アーダンの精子、すごく美味しいわ……。」
あまりの美味しさと興奮により、ララはアーダンの精液を飲み込みながら何度も絶頂していた。
そんなララの卑猥な姿を見たアーダンは、長年許されないと思っていた想いを隠し切れなくなった。
アーダンも実は、ララの事を一人の魅力的な女性として、密かに想っていたのだ。
アーダンの剛直はすぐに臨戦態勢となる。
「母さん、もう我慢出来ない……。」
アーダンは腰が抜けている様子のララを抱えると、自ら寝室へと抱えていく。
「いいわよアーダン、次はあなたの好きなように私の中で存分に快楽を楽しみなさい……。」
ララは言葉を続ける。
「それと、私達はもう夫婦になるのだから、『母さん』ではなく『ララ』と呼んで頂戴。」
その後寝室からは夫婦になったばかりの二人が交わる卑猥な音と、会話が聞こえてくる。
「あなた！ もっと速く突いて！ あなたの精液で私の子宮をパンパンにして！」
ララの子宮をゴツゴツと突き、絶頂へと向かう。
「ああ！ これから毎日子宮に精液を注ぎ込むからな、嫌とは言わせないぞ！」
二人は快楽と満たされた想いに導かれるまま、夜が明けても交わり続けた。
この日ララと交わりすぎたせいで、アーダンはインキュバスに変貌してしまうが、アーダンは全く気にしていない様子だ。
むしろ、インキュバスとなった事で寿命が延び、愛する妻であるララと、末永く幸せに暮らせる事を、アーダンは喜んでいた。
ララがアーダンに飲ませた『サテュロスワイン』は、『想いあう』男女が共に飲むことで、必ず相手と一線を超えてしまうと言われている。
結局のところ、ララはアーダンが成長する過程で彼の事を、夫に迎える男性として想いを募らせた。
アーダンもまた、ララの事を最初は母親と想っていたが、思春期を迎える頃には、ララの事を魅力的な大人の女性と認識してしまった。
こうなってしまっては、サテュロスワインの効果によって、『想いあう男女』は一線を越え結ばれるしかない。
二人はその後、美味しい酒が飲める、サテュロスの夫婦が営む酒場の店主として順風満帆の生活を送る。
夫婦は家庭円満で、多くの子供達がいる。
養子も迎えている為、人間の男の子達も混じっていた。
夫婦の実の子共達はもちろん、サテュロスだ。
子供達が大人になった時、彼ら、彼女らがどのような結末を迎えるかは安易に想像がつくが、サテュロスワインが解決してくれるだろう。
買い物袋を提げた獣人型の魔物と、その隣を歩く小さな少年は、二人の家へと向けてゆっくりと歩いていた。
魔物は開いた手に透明な瓶を持っており、定期的に瓶の中身を飲んでいる。
魔物が手に持つ瓶の事を除けば、どこにでもいる買い物帰りの親子の様だ。
「おかあさん、どうしておかあさんはいつもおさけをのんでいるの？」
６歳になったばかりの少年は、常々思っていた疑問を、『おかあさん』と呼んだ魔物に問いかける。
「それは、お母さんがサテュロスという、お酒が大好きな魔物だからよ。」
少年の隣を歩く魔物は、少年に答える。
サテュロスは山羊の特徴を持つ獣人型の魔物だ、山羊の角、山羊の下半身以外は人間とそれほど変わらない。
彼女達サテュロスは、バッカスという中級神を信仰している。
バッカスはお酒を司る神だ、その為彼女らはお酒が大好きで手放せないのだ。
もちろん、現魔王の影響で、現在の魔物特有の好色さも持ち合わせている。
「そうなんだー、ぼくもおおきくなったら、おかあさんといっしょに、おさけのむ！」
無邪気な笑顔で少年はサテュロスに話しかける。
魔物には人間の子供を産むことはまず出来ない、この少年は乳飲み子の頃に道端に捨てられていた。
彼を見つけたのは、警備兵のリザードマンだった。
リザードマンは乳飲み子の世話を、交友があったサテュロスに一方的に押し付けた。
しかしサテュロスはしっかり乳飲み子の世話をした。
その甲斐あって、乳飲み子は無事に少年に成長し、今やサテュロスの事を『おかあさん』と呼ぶ。
「そうねぇ、この街での人間の成人は二十歳だから、成人式の後にお母さんとお酒を飲みましょう。」
サテュロスも笑顔で少年に話す。
少年はより一層笑顔を輝かせた。
「絶対だよ、約束したからね！」
少年は興奮した様子で、二人が住む家まで急いで駆けていく。
そんな少年の……アーダンの後ろ姿を見つめながら、サテュロスは魔物としての欲望を必死に押さえ込んでいた。
「今はあの子が成人するまで、男への誘惑や交わりは控えないとね……。」
彼女はボソッっとつぶやいた後、アーダンを見失わないよう追いかけ始めた。
サテュロス達は気に入った男性を誘惑し、交わろうと常に狙っている。
少年だろうが老人だろうが、サテュロスが性的な相手と認識してしまえば、容赦なく誘惑し、交わりを求めるだろう。
少年やその他大勢の男達に、『おかあさん』と呼ばれるサテュロスが誘惑をしないのは、彼女が彼女自身の魔物特有の欲望を、母性本能で押さえ込んでいるためだ。
彼女がまだ人間だった頃の名残なのだろう。
彼女の名前はララという。
ララには人間だった頃、アーダンと同じ年頃の息子、そして夫がいたが、二人を流行り病で亡くなってしまった。
ララにはその後、二人の家族を同時に失った悲しみと、病に苦しむ息子を救えなかった悔しさから立ち直る時間と方法が必要だった。
そしてララは、バッカス神の信徒達の酒宴に参加し、酒を浴びる様に飲んでいた。
そんなララを見かねた、バッカス神の敬虔な信徒であるサテュロス達に言葉巧みに誘惑され、ララはバッカス神の加護を受けサテュロスに生まれ変わったのだ。
「ただいまー。」
ララとアーダンは二人揃って、玄関の戸を潜る。
ララはお腹を空かせたアーダンの為に、栄養バランスをしっかり考えたお昼ご飯を作り、アーダンを外へ遊びに行かせる。
ララは酔っ払っていても、家事の精度に全く影響を出さない。
「ちゃんとくらくなるまえにかえってくるね！ おかあさん。」
アーダンはララの返事を待たずに、街へと駆け出してゆく。
「ふう……あの子の元気さには毎日手を焼くわ。」
ララは言葉の割に嬉しそうな表情をしている。
「今日もあの子の為に、しっかりとお金を稼がないとね。」
ララは片手に持ったお酒を飲みながら、お店の開店準備を始めた。
アーダンを引き取る前から、ララは酒場の店主をしている。
ララにアーダンを押し付けたリザードマンは、店の常連客だ。
サテュロスが仕入れたお酒の中に、不味い物や外れはない。
安い酒ですら、そこらの人間が仕入れた同じ商品とは、比べ物にならないほど美味しいのだ。
彼女達のお酒に関する知識や仕入れルートは、どんな競争相手にも負けないだろう。
「さてと、今日は常連達にどれだけお金を落としていってもらおうかしら。」
常連客達を迎え入れる彼女の顔には、営業スマイルが張り付いている。
「ララさん、俺と結婚して夫婦になってくれよ？」
あきらかに酔っている常連客がララにニヤニヤしながら絡んでくる。
「はいはい、私には既に心に決めた男性がいるの、残念ながら売約済みよ。」
何時ものようにララは常連客をあしらう。
常連客は、チェッっと舌打ちすると、ララの注いだお酒を不機嫌そうに飲んでいる。
ララは常連客達が、別のお客相手にトラブルを起こしていないか、辺りを見渡す。
そこでララは、酔いつぶれているリザードマンの警備兵と、彼女を介抱する墓守の男を見た。
私もいつかはあんな風に介抱されたいと、ララは羨ましがった。
「あの二人、お互いに気があるんだから、さっさと夫婦になればいいのに。」
ララは少し不機嫌そうに呟きながら、アーダンが成人したら、自分の夫を早く見つけようと心に誓った。
それからしばらくの年数が経過した。
今日は成人式が行われる大事な日だ。
「今日はついに俺の成人の日だな、俺との約束忘れていないよな？」
逞しい若者に成長したアーダンは、母親であるララに嬉しそうに話しかける。
ララは魔物で長寿である為、１４年前と全く外見は変わっていない。
豊満で妖艶な、大人の女性の身体つきのままだ。
一方のアーダンは、ララの身長を超えて、がっしりした筋肉が付いている。
「ええ、しっかり覚えているわよ、私の可愛いアーダン。」
ララも嬉しそうに、アーダンへ微笑んで答えた。
「あなたの為に、私が作った最高傑作を開けさせて頂戴ね？」
ララはまるでアーダンを誘惑するような声色で、アーダンに声を掛ける。
「あ、ああ……未婚の魔物達から無事に逃げ切って、ちゃんと我が家まで帰ってくるよ。」
いつもと違う様子のララに、アーダンは内心ドキドキしながら、成人式へと出発していった。
アーダンが成人式に出発し、ララから見えなくなっても、ララは玄関先に立ったままだ。
「ついに長年の禁欲生活から開放されるのね……あの子の為に入念に準備をしなくちゃ。」
ララの発情した表情は既に抑えきれなくなっており、あたりには発情した雌特有の、濃い女の香りが充満していた。
無事にアーダン達若者が主役の成人式は、終わりを迎えようとしている。
街の代表である市長が、アーダン達に長く退屈な祝辞を述べていた。
後は司会者による、式の終了の挨拶が終われば、アーダン達は無事に大人の仲間入りだ。
アーダンは終了の挨拶が終わると同時に、一目散に我が家へ……お酒を一緒に飲む約束をした母の元へ走り出す。
アーダンの後ろでは、未婚の魔物達が我先にと、成人を終えたばかりの若者達に跨り、人目をはばからす交わっていた。
「俺は母さんと一緒に、酒を満足するまで飲んでからしか、嫁さんは持たないぞ、母さんだってそれを望んでいるはずだ！」
アーダンは魔物達に追いつかれたくない一心と、母への愛情パワーで、普段の３倍の速度で街を駆け抜けた。
「た……ただいま……母さん。」
肩で息をしながら、アーダンは無事に我が家に着いた。
不思議とアーダンは道中、未婚の魔物達に襲われなかった。
襲われていたら、アーダンの童貞は間違いなく奪われて、交わった魔物と夫婦になっていただろう。
「本当に俺は運が良かった。」
母さんに偶然拾われたときも、運が良かったのだろうと、アーダンは思いながらつぶやいた。
「おかえりなさい、アーダン。」
アーダンを見送った後の、玄関先で興奮を抑えきれていない様子のララではない、何時もどおりの『母』としてのララがアーダンを待っていた。
「お酒とおつまみはもう用意してあるわ、今日は予め、お店は臨時休業にしてあるから、お互いゆっくりとお酒を楽しみましょう。」
ララはやさしくアーダンに声を掛ける。
「ああ、今日は念願の飲酒解禁日だ、母さんとも一緒に飲めるチャンスだし、誰にも邪魔はされたくない。」
アーダンは心底嬉しそうに言った。
ララはアーダンの手を取り、いつも以上に綺麗に整頓されたダイニングへ連れて行った。
小１時間後、アーダンは今日の事を、お酒が程良く回り、上手く考えがまとまらない頭で激しく後悔していた。
「なぜ俺は今日まで、母さんが俺が成人するまで夫を作らなかったのか、疑問に思わなかったのか……。」
飲まされたお酒がサテュロスワインと知らず、何の疑いも無く飲んでしまったアーダンは、既にズボンの股間部分を、パンパンに膨らませている。
「ああっ、アーダン！ こんなに逞しく成長しているなんて、お母さんはすごく嬉しいわ！」
真っ赤な顔をした、発情した雌犬状態のララが、アーダンを肌蹴させ、服の中を弄っている。
アーダンは椅子に腰掛けたまま、ララに跨られ、逃げようにも逃げられない。
ララは１４年前、アーダンが成人したら、夫を持とうと決意したが、その標的はすぐに成人後のアーダンに切り替わった。
理由はララが、アーダンを何時ものように起こしに行った際、偶然彼の朝勃ちを見てしまったからだ。
アーダンを引き取ってからの禁欲生活の反動もあり、あっと言う間にララの中で、アーダンは一人の男として認識され、未来の夫となった。
ララはすぐに別の魔物達が、可愛い可愛い未来の夫アーダンを無理やり襲わない様に、自分の魔力の臭いをアーダンに染み込ませる。
今日、アーダンが未婚の魔物達に押し倒されなかったのは、ララの魔力の臭いが染み込んでいた為だ。
未婚の魔物にとって、既にアーダンは『予約済み』の男だった。
魔物達は、既に伴侶がいる男には手を出さない、余計なトラブルの元だし、自分達も同じ事をされたくは無い。
パートナーが既にいる相手に手を出さないことは、魔物達の間で暗黙のルールになっている。
ララは一通りアーダンの肉体をさわると、椅子に座ったまま動けない、彼のパンパンに膨らんだ股間の前にしゃがみ込む。
「こちらはあの朝勃ちの時から、どんなに立派に成長したかしら？」
ララはアーダンの必死の抵抗をもろともせず、彼の勃起した剛直を取り出した。
「ああ……濃厚な若い雄の臭いがする、たまらないわ。」
アーダンの濃厚な雄の臭いがララを直撃し、ララは軽く絶頂を迎えていた。
アーダンを引き取ってからずっと禁欲していたのだ、当然の結果としか言いようが無い。
そのままララは彼の剛直を口に含むと、童貞であるアーダンが我慢できるはずがない程の快楽を、彼に与えていく。
アーダンは見る見るうちに、ララのフェラに追い詰められていった。
「ウッ……母さ、それ以上は……」
アーダンは必死にララのフェラを止めようとするが、与えられる快楽により力が入らない。
抵抗に成功したところで、すぐに魔物の腕力で押さえつけられてしまうだろう。
「か、母さん……本当にやめ……あぁっ……出る！」
より一層剛直を刺激されたアーダンは、あっけなく母代わりであるララの口の中に、精を放ってしまった。
アーダンから放たれた精を、ララはゴクリゴクリと美味しそうに喉の鳴らしながら飲み込んでいく。
「うーんっ、アーダンの精子、すごく美味しいわ……。」
あまりの美味しさと興奮により、ララはアーダンの精液を飲み込みながら何度も絶頂していた。
そんなララの卑猥な姿を見たアーダンは、長年許されないと思っていた想いを隠し切れなくなった。
アーダンも実は、ララの事を一人の魅力的な女性として、密かに想っていたのだ。
アーダンの剛直はすぐに臨戦態勢となる。
「母さん、もう我慢出来ない……。」
アーダンは腰が抜けている様子のララを抱えると、自ら寝室へと抱えていく。
「いいわよアーダン、次はあなたの好きなように私の中で存分に快楽を楽しみなさい……。」
ララは言葉を続ける。
「それと、私達はもう夫婦になるのだから、『母さん』ではなく『ララ』と呼んで頂戴。」
その後寝室からは夫婦になったばかりの二人が交わる卑猥な音と、会話が聞こえてくる。
「あなた！ もっと速く突いて！ あなたの精液で私の子宮をパンパンにして！」
ララの子宮をゴツゴツと突き、絶頂へと向かう。
「ああ！ これから毎日子宮に精液を注ぎ込むからな、嫌とは言わせないぞ！」
二人は快楽と満たされた想いに導かれるまま、夜が明けても交わり続けた。
この日ララと交わりすぎたせいで、アーダンはインキュバスに変貌してしまうが、アーダンは全く気にしていない様子だ。
むしろ、インキュバスとなった事で寿命が延び、愛する妻であるララと、末永く幸せに暮らせる事を、アーダンは喜んでいた。
ララがアーダンに飲ませた『サテュロスワイン』は、『想いあう』男女が共に飲むことで、必ず相手と一線を超えてしまうと言われている。
結局のところ、ララはアーダンが成長する過程で彼の事を、夫に迎える男性として想いを募らせた。
アーダンもまた、ララの事を最初は母親と想っていたが、思春期を迎える頃には、ララの事を魅力的な大人の女性と認識してしまった。
こうなってしまっては、サテュロスワインの効果によって、『想いあう男女』は一線を越え結ばれるしかない。
二人はその後、美味しい酒が飲める、サテュロスの夫婦が営む酒場の店主として順風満帆の生活を送る。
夫婦は家庭円満で、多くの子供達がいる。
養子も迎えている為、人間の男の子達も混じっていた。
夫婦の実の子共達はもちろん、サテュロスだ。
子供達が大人になった時、彼ら、彼女らがどのような結末を迎えるかは安易に想像がつくが、サテュロスワインが解決してくれるだろう。
16/03/30 19:46更新 / 富有柿