Unlimited Mam Doll
「ただいま、母さん」
勉学に励み夜遅くに学校から帰ってきた俺は、何時ものように真っ直ぐ自分の部屋に行く
そうして棚の上に飾ってある「人形」に帰ってきたことを告げる、すると人形から返事が…あるはずもない
相変わらず「人形」の母さんは精巧に作られた笑顔と虚ろなガラスの瞳を動かさないまま、しかし俺は物言わぬ人形と会話するように話しかけ続ける
「今日は学校でテストがあったんだ、まぁ自信はないけどさ…でも母さん、最近は頑張って結構遅くまでテスト勉強してたでしょ?平均点くらいは出せると思うんだよねー」
俺は母さんを抱えてベッドに座る、そうしてまるで本物のような髪の毛を指先で軽く撫でながら母さんに話しかけ続ける
いくら話し掛けようが人形からの返事はない…なのに何故、俺はずっと話しかけているのか、それは俺がまだ小さい頃の話だ
今から十数年前、俺…涼木リクの前から突如として両親が居なくなった
家で両親が帰ってくるのを待っていた俺の元に来たのは、青い制服を着た大人が数人…両親が交通事故で亡くなったということを知らせに来た警察官だった
細かい詳細は覚えていない、ただでさえ小さい頃だったから…酷い事故だったらしく、遺体は無かったのだけは覚えている
それから身寄りを失った俺はしばらく親戚の人の世話になっていて、ある程度自立してからは一人暮らしをしている
あの両親が亡くなった際に、遺品などいろいろと整理された中で…家族の写真と共に渡されたのが、あの人形だ
小さな頃は本当に人間かと思ったぐらいの、驚くほど精巧に作られた人形…大きさは当時の俺と同じくらいで、不思議とその人形と一緒だと両親が亡くなった悲しさが安らいだ
キラリとした宝石のようなガラスの碧眼…ふわふわとロールがかかったプラチナブロンドの髪、精巧に作られたであろう幼い身体…そんな少女の姿の人形
元々は母さんが大切にしていた大事な人形、と親戚の人は言っていた…俺も前に母さんの部屋で見たことがあった、その時はあまり興味がなかったけど…
そして小さかった俺はその人形を「母さん」と呼んでその寂しさを誤魔化して来た、何かあればすぐに母さんに話したし、何か無くても何かと母さんにずっと話しかけてきた
だから今でも母さんには話し続けているし、手入れだって欠かさない、いま俺がいるのは紛れも無く母さんのお陰だから
でも、もしかしたら、こうやってずっと話しかけていれば…魂とか宿ってくれたりするんじゃないか、なんて夢見たりもする
小さい頃からずっと一緒にいて、話しかけてきたから…俺には随分と前からこの人形がいきているんじゃないか、とか考えたりするようになっていた
ありえない話だけど、大切にしていたら物にも魂が宿ったり…そんなことをまた夢見ながら俺は母さんを抱いてそのままベッドに横になった
そうして学校の疲れからすぐに意識が薄れていく、あぁ…夜ご飯食べなきゃ…いや、明日休みだし…朝早くでいいかな…
…
「…ん」
ぐっすり眠っていただろうか、気怠さを覚えながらも体を伸ばしてシャッキリと目を覚ますと俺はベッドから出てちょっと早い朝ご飯を作るためにリビングに降りてくる
「昨日は夜食べてないから腹減ったなぁ…」
リビングに降りてきた俺の目の前には、ありえない光景が広がっていた
そこにはテーブルの上に色取り取りの料理が並べられていた、湯気が立ちふわりと美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる
勿論俺が作ったわけではない、多少なりとも家事はできるがここまで上手いわけじゃない
そうしてわざわざ俺に料理を作りに来てくれる人なんていないし、頼んだ覚えもない
「〜♪」
そして何よりも信じられないのは…おれにとって馴染み深い格好をした"何か"が今なおキッチンで調理をしていることだ
背が圧倒的に足りていない為、椅子の上に立ち調理している後ろ姿は何か微笑ましくも見えるが、そんなことを考えている場合ではない
「あ…あ、あぁ…?」
「…あら!ようやく起きたのだわ!もう少しで準備出来るからいい子にお座りしてなさい♪」
口をあんぐりとして驚愕していると、その"何か"は声を掛けてきた…これはまだおれは夢を見ているに違いない
じゃないと何もかもが説明つかない、そうだ…これは夢だ
俺の母親、アンリエッタはただの人形なのだから
「は、はは…凄い、夢だなぁ…アンリエッタが、母さんが喋ってるよ…それに料理もしてる…それに触れるし、匂いまで…」
席に座り料理の皿に手をつける、温かいしいい匂いもしてくる…まるで夢とは思えないリアルな感覚だ
「あっ!こら、まだ食べちゃだめよ!お腹空いてるのも分かるけど、もう少しで出来上がるから我慢してほしいのだわ」
「あ、はい…」
叱られてしまったので皿を置き、俺はキッチンの様子をよく観察する…アンリエッタ、母さんらしき存在は慣れた手つきであれこれと料理をしている
ずっと憧れて、夢みてたような光景だ…今までこんなにもリアルで幻想のような夢は見たことがあっただろうか?
「…ふふっ♪」
ずっと見ていて、目が合うと彼女はにこっとこちらに微笑むとご機嫌そうに作業を続ける…そんな風にされると夢とはいえ思わずときめいてしまうじゃないか
いや夢だからこそ、こういった俺が望んでいた光景になっているのだろう、遠慮なくときめいておこう
「さぁさぁ、お待たせ♪」
最後の料理が出来上がったらしく、机に並べるとそのまま彼女は俺の隣の席にちょこんと座る
その席は俺が母さん専用に置いた、脚の長い子供椅子…この席にさも当然かのように座るということはやはり彼女は母さんなのだろう
夢の中なのだから、とは思っていても疑いをかけてしまうのは未知と遭遇した人間のサガ故か
「いただきますなのだわ♪」
「い、いただきます…?」
とりあえずいただきますをして料理に手をつけることにしたが、箸が無くて食べられない事に気付く
「はい、あ〜ん♪」
そうして隣から料理を摘んだ箸が伸びてくるということは、そういうことなのだろうか
「…あーん」
…
さて、彼女から美味しい料理を丁重に食べさせていただいてお腹はたっぷりと膨れた…空腹感が満たされたってことはやっぱり夢じゃないのか?
「〜♪」
食べ終えた食器を鼻歌交じりに歌いながらカチャカチャと洗っている彼女をやることの無い俺は後ろから眺めている
鼻歌に合わせながら動いている小さな背中を見ていると、やっぱり夢とは到底思えなくて…
「あの…」
「んー?何かしら〜、もうちょっとで洗い終わるから少しだけ待っていて欲しいのだわ!」
「あ、はい」
声をかけてしばらく、お皿を洗い終えた彼女がとてとて小さな歩幅でこちらにやってくる
「はい!お呼びなのかしら!」
ニッコニコしている彼女を近くで見ると、その姿はやはり"母さん"そのものだ…彼女は一体何者なのだろうか?
「えっと…」
「何かしら!」
「…あのさ」
「はい!」
「…君は、何者なの?」
「…あい?」
空気がピタッと止まった気がした、いや実際には目の前の彼女がピタッと動きを止めただけなんだけど…
「あの〜?」
「…ハッ!」
「あ、動いた」
「ごめんなさい!ちょっとおかしな言葉が聞こえて固まっちゃったのだわ!…で、な、なんの話だったかしら?」
「えっと、君が何者なのかって話…」
「嘘、嘘嘘!き、きき、聞き間違いなのだわ!そうよ、そうなのだわ!聞き間違いに違いないのだわ!」
「いや別に聞き間違いじゃないけど」
「は、はは、反抗期!反抗期なのだわ!!!リクがグレてしまったのだわ!!!」
「グレてないですけど!?」
「じ、じゃあ本当に忘れちゃったの…?ママのこと、知らないっていうのかしら…!?」
あわあわと表情を変えていく彼女は、自分のことを"ママ"と言った…つまりはそういうことなのだろうか?
この目の前にいる存在が本当に俺の母さんなのだとしたら、何故動いているのか…それが大きな問題なんだけど
「…ええと、君は…アンリエッタ。俺の母さんで…」
「あぁリク!ちゃんと覚えてるじゃない!よかったのだわ、本当に忘れられてたらショックで死んじゃうところだったかしら!」
「その…人形のはずだから、生きてるってことは有り得ないんだけど…」
「…あら?もしかして私、リクに何の説明もしてなかったかしら」
「ええと、動いてる母さんと対面したのは…キッチンにいるときが初めてだね…」
「…」
「…」
なんだかちょっと気まずい空気が流れる、母さんはきっと何もかも俺が知っている前提のようだったみたいだけど…
生憎なにも知らない俺からしたら、目の前にいる母さんが実はよく似た格好をした不審者なんじゃないのか説すら浮上している
「…感動的な対面にしたかったのだけれど、ちょっとリテイクしてもいいかしら?」
「いやもう無理じゃないかな!?感動もなにも困惑しかなかったよ!?」
「やーだー!やーりーなーおーすーのー!」
手足をバタバタさせる母さん(仮)を抱きかかえるようにして抑える、しかしまぁ…もし本当の本当に母さんなのだとしたら、随分と性格がイメージと違う
人形の状態では全く動くことも喋ることもなかったからか、勝手に落ち着いた女性のイメージだったけど…たしかに見た目相応の女の子だったらこれくらいなのだろうか?
「うぅ〜…せっかく動けるようになったのにこんなんじゃ意味ないのだわ…」
「ええと、うん…まぁ、母さんが本当に人形が動いている存在なら、嬉しいよ」
「そうなのだわ!私が今こうしているのにはちゃんと理由があるの。ちょっとズレちゃったけど、ちゃんと説明するのかしら!」
(ちょっとじゃないでしょ…)
心の中でツッコミを入れて俺は話を聞くことにした、このままだと一向に状況が変わらない気がする
「今私がこうやって命を得て動いている深い理由…それは…」
「…ゴクリ」
「ずばり奇跡よ!」
「…えっ?」
「ずばり…奇跡よ!」
「…浅ッッッッッ!!!」
「あ、ああああ、浅くないのだわ!」
あまりの理由の浅さにびっくりしてしまったが、彼女は両手を振り違うという…いやだってただ奇跡の一言で済ませられることじゃないでしょうに
「母が子を思う偉大なる愛が呼んだ奇跡…こんなに深い理由が他にあるかしら!?」
「うん…まぁ、もうこの現状が夢でも妄想でもなんでもいいや、深くは気にしないことにするよ…」
「感動的でしょ!?」
「…あぁ、泣きそうだよ」
いろんな意味で。
「うふふ、泣きそうなくらい感動的なのねぇ♪いいのよいいのよ、ママの胸で泣いてもいいのだわ♪」
ぎゅっと、その小さな胸に抱きしめられる…暖かくて柔らかくて、誰かに抱きしめられるだなんて…本当に母さん達が生きていた頃以来だよ
あっ、素直に嬉しいのがなんか悔しい
「ずっと、ずっとこうしたかった…こうして抱きしめてあげたかった。あぁ、あなたってこんなにも暖かくて、想像していたよりも柔らかくて、ちょっぴり硬いのね…」
「…母さん」
「本当はもっと早くこうしてあげたかった、あの子の代わりに…私がリクのことを抱きしめたかった。ごめんなさいね…こんなに遅くなって、寂しい思いをさせたわ…ぐすっ」
「…そっちが泣いてどうすんのさ。それに、寂しいだなんて思ったことあんまりないよ、おかげさまで」
「リクぅ…!なんていい子なのだわ!うぅっ…いい子に育ったのねぇ…!」
ダバーって顔から汁を流しながら俺に頬ズリをする母さん、一応感動的な場面だと思うけど…うん、なんだかあれだ
(…汚い)
鼻水やらよだれやら諸々体液がベトベト顔に付いてしまっている
それに思春期の男の子は女の子に抱きしめられるこの状況は少し、いやかなり恥ずかしいのだ
「…あの、母さん?そろそろ離して…」
「…いやなのだわ!まだこうしていないとリクの寂しさは埋められないのだわ!」
「いや大丈夫だから…って力強っ!?」
無理やり引き剥がそうとしたが物凄い力でガッチリとホールドされていてビクともしない、こんな小さな身体のどこにそんなパワーが…
(こりゃあ、母さんが満足するまで離れないな…)
結局母さんは俺を離さないので、そのまま母さんがしがみついた状態で活動することになってしまった
肩車の要領で移動しているのだけども、人形とはいえ子供サイズなのでちょっと重い
「はわぁ〜〜〜…見違えた景色なのだわ〜…大きく育ったのねぇ」
肩車にはしゃぐ母さん、これじゃどっちが子供なのか分かったもんじゃない
(…まぁ、喜んでるからしばらくはいいか…)
そうしてしばらくしてから母さんが「これじゃ私が子供みたいなのだわ!!!」と言って肩車から降りたのは昼飯の時間になってからだった
…
「さて…」
母さんが調理のために俺から離れてくれたので、ちょいと部屋に戻りパソコンをつけた
そうして友達のグループチャットにアクセスした
<Riku☆さんがログインしました。>
『よぉ』
<@Hiro@さんがログインしました。>
『休日の昼にわざわざなんだよ』
こいつは俺の数少ない友人、クラスでは浮いていた俺に絡んできて母さんの人形について話しに興味を示してくれた男だ
すぐにレスポンスがあったのに安心して、俺は今までのことを話す
『はぁ?人形が生きてる?頭イカれたの?』
『いやだから、あの人形が生きてて動いてんだって!』
『嘘乙』
『なんでわざわざ休日の昼にそんな嘘をつくんだよ!お前じゃないんだぞ!』
『あー!?俺はいつだって誠実な男よ!?選挙時の政治家くらい誠実な男よ!?』
(こ、こいつ…この前遊びに行く時に約束忘れてて4時間の大遅刻かましたくせに…!)
そうこいつはかなり適当なやつなのだ、信用度は70%(当社比)くらいだ
『お前この前の遅刻の件まだ忘れてないからな』
『そのような事実はこちらでは認識していません、現在調査中です』
『政治的発言で誤魔化すな』
くそ、こいつ本当に適当なやつだな…でもこいつ以外に相談できそうやついないし…
「リク〜ご飯よ〜」
リビングから母さんの俺を呼ぶ声がする、仕方ないここは証拠を揃えて飯の後にするか…
『飯食ったら証拠揃えてまたインするからな』
『初めからそうしろ定期』
<@Hiro@さんがログアウトしました。>
『(^ω^#)』
<Riku☆さんがログアウトしました。>
「あの野郎、普段から美少女フィギュアとかの話しかしないくせに…」
「リク〜!!!」
「待ってて今いくよ!」
パソコンをスリープモードにして俺は母さんが呼んでいるリビングまで降りていった
「何してたのかしら、ご飯冷めちゃうわよ」
「ごめんごめん、友達と話してた」
「あらそうなの?邪魔しちゃったかしら…」
「いや母さんのご飯食べる方が先決でしょ」
「あら〜うれしいのだわ〜、やっぱりリクはいい子ねぇ」
にへ〜と笑う母さん、えらい可愛いじゃないか…
パシャ!(シャッターを切る音)
「あら、写真?」
「あ、ごめんつい」
写真に収めてしまった…だって可愛いから…
(可愛かったならしょうがねぇわ…)
「も、もぉ〜!いきなり写真撮るなんてびっくりするのだわ!へ、変な顔じゃなかった…?」
「う、うん…」
少しだけ顔を赤くして照れる母さん、どこを切り取っても可愛いのずるいな
(もう一枚いっとくか…?)
い、いやまぁアイツに証拠として見せる分だけでいいか…
いかんな、あまりの可愛さに的確な判断が出来なくなってしまっている。
「ほ、ほら!ご飯にするのかしら!」
「あ、うん…頂きます…」
…
さて、昼飯を済まして俺は再び部屋に戻ってきた
母さんは洗濯物やら掃除、色々と家事が残っているとの事でまだ下にいる
アイツに撮った写真を見せれば信じるだろうと言うことでまたチャット部屋に俺はログインする
<Riku☆さんがログインしました。>
『証拠撮ってきた』
<@Hiro@さんがログインしました。>
『画像ハラデイ』
『はい』
俺はチャットに先程撮った写真を貼り付ける、すぐに既読のマークが表示されてあいつが見たことを確認する
『どーよ』
『すっげ、どこのドールの顔?自作かこれ…ここまで自然に人間の顔って作れるなんてさぞ名のある人の作品だろうな』
『いやだから、実際に生きてるんだって!今一緒にご飯食べたところ!』
『いやそういうのいいから、休日に俺を驚かすだけにこんな手間かけるなんて君も暇だね!?寂しがりや拗らせすぎてかまちょなの?』
『黙れ○すぞ』
『キレてて草』
ダメだ、完全に信じてくれていない…こういう話に一番食いつくと思ったのになぁ
(使えない男だ…)
「リク〜、お部屋に洗濯物な〜い〜?」
「わっ、母さん!ノックしてよ!」
「あらごめんなさいなのだわ、リクったらまたパソコンやってるの?そんなに楽しいのかしら」
とてとてと側までやってきた母さん、そうだ!今ビデオ通話に切り替えて見せればアイツも信じるだろう!
「か、母さんこっち来て!」
「えっ?は、はいなのだわ!」
母さんを持ち上げて膝に乗せる、ちょうどカメラの位置に俺の顔と母さんの姿が映る…よし、これで
「今から友達に母さんを紹介したいんだけどいいかな?」
「えっ?リクのお友達!?も、勿論なのだわ!」
「じゃあ今から繋げるから、このカメラを見ながら会話してね?」
「ええ!任せてほしいかしら!」
<Riku☆さんがビデオ通話を開始しました>
<@Hiro@さんが参加しました>
『いきなりビデオ通話って何?ビビったんだけど』
『あら声が聞こえる…リクのお友達なのかしら?御機嫌よう♪』
『ファッ!?ファッ!?ファッ!?』
母さんが喋るなり急に壊れたおもちゃのような声を出すアイツ、うるさいな…
向こうはカメラオンにしていないので、アイツの姿は見れないがこっちのカメラは繋げているから母さんと俺の姿は写っているだろう
『えっ、ちょっ!?待て待て待て!おいリクさんついに犯罪に手ェ出しちゃいました!?』
「違うよ、さっき言ったとおりだって!人形の母さんが動いてんの!」
『いや、でも…えぇ〜?機械仕掛け…なわけない、こんな自然に動くなんてありえないよな…CG合成?リアルタイムで?いやそんな技術個人で持ち合わせているわけない!?』
「ちょっと、無視しちゃ悲しいのだわ!私にもお話しさせて?ふふ、リク以外とおしゃべりなんて初めてかしら♪なんとお呼びしたらいいかしら」
『ぴょっ!?ひ、ヒロですぅ…よ、よろしく…』
「吃るなオタク」
『い、いやいや関係なくない!?誰だってこんなのまともに会話できるわけないじゃん!?やっぱどこかから人形に良く似た子連れてきたんじゃ!?』
「ちゃうわい!ちゃんと見てくれヒロ、アンリエッタの姿を…お前ならわかってくれると思って、この姿を映してるんだ」
『で、でもなぁ…えっと、アンリエッタちゃん?』
「はい!なのかしら!」
『…人形っていう、証拠…ある?出せる?』
「証拠…?えっと、これで如何?」
「わ、わあっ!?」
すぽん!と手首から先を外してしまった、そうして外した手首はそのまま指が動き続けている
何気なく手首をいきなり外すもんだからびっくりして声を上げてしまった…
『四肢が取り外せる…義手…?いや、こんな精巧なものありえない、しかも外してもそのまま動くなんて…』
「これじゃダメかしら?それじゃあ次は首でも…」
「や、やめよう母さん!それはやめよう!」
首を取り外す母さんなんて見たら俺はきっと卒倒してしまう、手首外したことでもう心臓が飛び出るかと思ったのに
『…わかった、わかったよ…認める。信じたくないけど、あのリクの大事にしていた人形が動いているってのは、理解した』
「おおっ!良かった、信じてたぜ」
『で、俺にどうしろって?悪いけど人形が動くなんて悪霊的ホラーには役に立ちそうにないぞ』
「悪霊じゃないのかしら!?」
「あ、いや…うん、こっちもいきなりで動揺してて…何かしろってわけじゃないんだけど、何か知ってること無いかなぁって」
『えぇ…ただのオタクに何期待してんの…よくある話だとあれじゃないの?大事にしていた物に魂が宿る〜とかいうやつ、付喪神って言ったっけ』
「あー、聞いたことあるかも…?」
実際そういうような希望を持って人形に話しかけていたわけだけど、いやまさか現実に起こりうることだとは…
『まぁ見てる感じ悪意は無いし、何かヤバいこと起きる様子もなさそうだしいいんじゃない?大事にしていた人形が動くなんてよくよく考えたらラッキーだろ!?俺のフィギュアもならないかな!?』
「さぁ…?」
『何か特定の条件でもあるのか?…いかん、これは俺も夢を叶える希望が出てきたな!リク悪いがこれから忙しいから切るぞ!じゃあな!』
「あ、おい!…切りやがったわ」
「ふふっ、愉快な人だったのだわ♪いいお友達に恵まれてるのねぇ」
「…そうかなぁ」
通話は切られてしまったが、まぁ有益?な情報は聞けたから良しとしよう…たしかに人形だったアンリエッタが動いているだけで害もないどころか世話を焼いてくれて助かっているのだから
「母さんは母さん、だもんなぁ」
「?…えぇ、もちろんなのだわ?」
「なんか疲れた…」
朝からの怒涛な展開に参ってしまった、せっかくの休みなのだから…うん、ベッドでゴロゴロしよう
「あらお昼寝かしら?よしよし、ママが添い寝してあげるわ〜」
俺より先に部屋のベッドに母さんが寝転んでおいでおいでと手招きする、俺もベッドに横たわるとお互いに見つめるように向き合った
「えへへぇ、こんな風に寝るのは初めてかしら…ずっとずっとこうしてあげたかったのだわ」
「それさっき抱きしめられたときも聞いたよ」
「だってだって、そうなんだもの。してあげたいこと、この十何年間分でた〜くさんあるんだから…」
「…まだあるの?」
「えぇ、勿論なのだわ。ずっと貴方を支えたかったの…料理だってしてあげたかった、抱きしめてあげたかった、慰めてあげたかった、褒めてあげたかった、一緒に寝てあげたかった…志半ばで亡くなったあの子の代わりができるのは私だけなのだから、あの子の為に…貴方の為に…」
「母さん…アンリエッタも、悲しかったんだね。母さん達が亡くなったの。」
「それはそうなのだわ…あの子にはとてもとても、大事にしてもらったの。だから私はあの子の一番大切な貴方の為に…今ここにいるの」
「…はは、なんだよ。ちゃんと深い理由…あるんじゃないか」
「…間違えじゃないもの、奇跡が起きたことに代わりは無いのよ?私の気持ちだけじゃ、ダメだった。リクが私に絶えず話しかけて、大事にしてくれていたから…私のリクの気持ちが、奇跡を起こしたの」
「そっかぁ…じゃあアンリエッタは、これからずっと俺の為にずっと一緒にいてくれるんだね」
「えぇ、その為の私だもの♪私は貴方の為ならなんだってしてあげる、この身全てを捧げて…貴方を幸せにするのかしら♪」
そこまで言われたら俺にだって、幸せにならなくちゃいけない義務がある…アンリエッタに幸せにしてもらう権利がある
母さんってだけじゃなくて、一緒に幸せになる必要があるから…
「だったらさ…俺の、恋人になってよ。俺のたった一人の家族、本当の…家族になってよ。」
「よくってよ♪貴方が…リクがそう望むのなら…私はリクのお嫁さんにだってなるのだわ♪」
「母さん…」
「恋人なのにママってなんだか変なのかしら…あ、でもやっぱりママは外せないのだわ♪だってリクが何度もそう呼んでくれてたから気に入ってるの♪」
「うん…母さんはそのままでいいよ…」
「ふふっ、嬉しいのだわ…リクから愛の告白してもらうなんて考えてもなかったかしら」
「だって、こんなにも俺を想ってくれる子なんて…きっといない。アンリエッタ以上の女の子なんて、存在しないよ」
「…あらあら、まぁまぁ♪確かに、ココもしっかりと反応しているみたいなのかしら♪」
にんま〜と口端を釣り上げ笑う母さん、その視線の先は俺の下半身…人知れず大きく主張している股間だった
「か、母さん、これは…まぁ…その…」
「そうよねぇ、リクも男の子だものねぇ♪いいのよ、ママちゃんと分かってるから♪うんうん、そうよねぇ〜♪」
「や、やめろ!そのオカンムーブやめろぉ!」
「いいのよぉ〜♪私のことしっかりと女の子として見ていてくれてる証拠だもの♪隠す必要は無いのだわ♪」
「…あぁ、そうだよ…母さんが可愛い女の子だから大きくなっちゃったよ!」
「ふふっ、あらあらそれは大変なのだわ♪ママがしっかりと責任取って面倒見てあげなくちゃ♪」
そういって母さんはズボン越しに主張している下半身に手を伸ばした…小さな指がズボンの上からスリスリと這う
「ぅ、は…ぁ…か、母さん…」
「ふふっ、ちょ〜っと触っただけなのに気持ち良さそうなのかしら♪ふふっ、おっきいおちんちんがビクビクぅ♪ってしてるのだわ♪窮屈そうだし、出してあげましょう〜」
母さんはニコニコしながらズボンのチャックを下ろし、ズボンから怒張した肉棒を露出させる
大きくそそり勃つモノは母さんの腕に並ぶ大きさだ(俺が特別デカイわけではないのだけど…)
「あらまぁ立派なおちんちん♪私が知らない間に随分と大人になったのかしら♪」
「み、見せたことないでしょ…!」
「あら?そうだったかしら、まぁいいのだわ♪それじゃあゆっくりと可愛がってあげるのかしら〜♪」
そういうと母さんはその小さな指を伸ばし、直に俺のモノを両手で輪っかを作り掴むように握った
「ぅあっ…!」
ズボン越しからではなく直接触れた手の感触に身体が震えた、柔らかい肌と温もりがジンジンと伝わってくる
「うわぁ、あっついのだわ…火傷しちゃいそうなのかしら♪ふふっ、ビクビクして暴れん坊さんねぇ♪よしよし♪よしよーし♪」
「ぁっ…!かあさ、っ…!それ、だめっ…!」
肉棒の先端をこねくり回すように撫で回す母さん、ただでさえ敏感な部分を刺激され俺は情けなくただその快感を受けるしかない
「あらあら、そんなに顔トロトロにしてそんなに気持ちいいかしら?ふふっ、一緒にしこしこ〜♪ってしたらもっと気持ちいいかしら?そ〜れしこしこしこ〜♪なでなでなで〜♪」
「うぁっ!か、母さんっ…は、激しすぎ…っ!だ、だめ…っでちゃっ…!」
先端を撫で回すのに合わせ、更に肉棒を扱き上げる母さんの手…下半身がどんどん熱くなり甘い痺れが身体を焦がす
俺はもう爆発寸前だった、ニコニコしながらこっちを見ている母さんの顔を見ながらとうとう俺に限界がやってくる
「いいのよぉ〜♪好きなトコロで出しちゃって♪リクの一番気持ちいいトコロでびゅーびゅー♪っておしゃせーしちゃって♪ちゃんとママが受け止めてあげるのだわ♪ほらっ♪ぴゅっぴゅー♪」
「はぁっ!はぁっ!い、くっ…!」
「ひぁっ♪来たぁ…♪リクの濃ゆ〜いせーえき、ホカホカの出したてミルクがママにぶっかけられてるのかしらぁ…♪」
母さんに射精を促され、俺は大量の精を吐き出した…自分でも驚くくらい大量だ、母さんの小さな手だけでは受け止められず身体のあちこちに飛び散り糸を引いてアーチを作っている
「はぁっ…はぁっ…」
「い〜っぱいおしゃせー出来たのねぇ♪えらいえらいなのかしら♪ふふっ、ママも潤っちゃったのだわ♪」
「うぅ….ごめん、かなり汚しちゃった…」
「あらあら♪謝らなくたっていいのかしら、布団は洗えばいいし服だってリクにこんなにマーキングされて….ふふっ♪とっても幸せなのだわ♪」
「…でも、その…実は…」
「ふふっ♪わかってるのかしら…まだ終わりじゃないのね?まだまだおちんちんが元気元気なのだわ♪」
そう、恥ずかしながらあれだけ大量射精をしておいてまだ下半身は萎える事なくそそり立っている…いやさっきよりもら更に硬く主張をしているのだ(自分でも驚いている)
「いいのよいいのよぉ♪リクが満足するまでママがいっぱい気持ちよくしてあげるのだわ♪ふふっ、次は…ママの中で、ねっ♪」
「か、母さんっ…!」
俺は射精後の倦怠感すら跳ね除け、そのまま母さんに覆いかぶさると服を脱がそうと手をかける
ちょっと乱暴になってしまったが、母さんはニコニコしながら服を脱ぎ生まれたままの姿になった
「ふふっ、どうかしら?ちょーっと、身体が小さいのがコンプレックスだったりするのだけれど…リクは全然問題ないみたいなのだわ♪」
確かに母さんの身体は、幼い女児のものだ…しかしそれ以上に美しい芸術品のようだ、人形として作られた故か母さん自身の魅力か
「…うん、母さんの身体…綺麗だよ」
「ありがとうなのだわ♪ほら、ここ…上半身と下半身分離できるけどするかしら?」
「…萎えるからやめてね」
俺は母さんの身体が幼いという気持ちよりも、この美しい身体に興奮する気持ちの方が大きかった
今から俺はこの身体を好きにできるんだ
「…おちんちんがヘソより上にくるのだわ、壊れちゃうかもしれないかしら♪ふふっ、嘘♪ちょっとやそっとじゃ私は壊れないから安心して欲しいのだわ♪」
下半身の怒張した肉棒をスケールのように、母さんのぷにっとしたお腹に合わせて確かめると挿入したら人間で言えば肺の手前くらいの深さまで入ることになる…でも、母さんは人形だから大丈夫だと言う
だったらこっちも気にする必要はない、今はただ母さんと一つになりたいと言う気持ちばかりが大きくなっている
「さぁ、ママの中にいらっしゃい♪おかえりなさい♪処女膜っていうのが無いから、破瓜はしないけど正真正銘の私の初めて♪リクに、リクだけにあげるのだわ♪」
母さんは自分の恥部を惜しみなく見せつけるように広げる、ぴくぴくと膣内が動いてトロトロした愛液が垂れ布団に染みを作っていた
前戯の必要は無いようだ、覆いかぶさった母さんの小さな身体に俺の怒張した肉棒を押し込んでいく
「あっ♪ぉ…♪り、くのぉ…はいっ、て♪きて、るのぉ♪ぐりぃ、ってねじ込まれて、ぁんっ♪」
本来であれば入ることすら出来ないであろうサイズ比のはずだが母さんの身体は嬌声を上げながら俺を咥え込んでいく
ヌルヌルした熱いヒダが壁を作り、その壁が合わさったような小さい隙間を無理やりこじ開けていくような感覚…熱いヒダの壁はにゅるりと絡みつき刺激してくる
「ぅっ、はぁっ…、こ、これが…女の子の…すごっ、きもちいぃ…っ」
まだ半分くらいしか入れていないのに、その快感は先ほどの射精を遥かに超えており…先ほど出していなかったらここで果てていたかもしれない
「うっ、はぁっ…!」
「ほおぉっ♪んやぁっ♪お、く…までぇ…♪ずんって、きたぁ…っ♪」
そしてついに母さんは僕の怒張した肉棒を完全に咥え込んだ、お腹の上あたりが不自然に盛り上がっているのは…ここまで入っている証拠だ
「ほ、らぁ♪見てぇ、りくぅ…♪ママ、リクのこと…ちゃんと、入れられたからぁ♪」
「う、ん…すごい、気持ちいい、よっ…大丈夫、母さん…?苦しく、ない…っ?」
「き、気持ちいいの…っ♪き、気持ちよくて…っ、くるひぃ♪あ、ぁぁ♪し、しあわへぇ…♪」
今にも昇天してしまいそうなトロトロした顔で恍惚に頬を染める母さん、これがアヘ顔ってやつなのだろうか
しかしそんな母さんの顔を見ていると、俺が心配なんてしてる余裕無くなる…今すぐここで気持ちよくなりたい、本能のまま暴れてしまいたいという欲望が溢れる
「か、母さん…う、動いて、いい?」
「ひ、いぃかしらぁ…♪ママ、のこと…きにしなくて、いいからぁ♪りくの、すきにしてぇっ♪きもちよくなってぇっ♪ママ、も…きもちいぃからぁ…♪」
「う、動くよ?動くからね…!」
母さんの細い腰を掴むと、そのまま腰を前後に動かしていく
「んぉぉぉおぉぉっ♪しゅ、ごぉ…っ!ずんっ、ずんってぇ♪いっぱい、突かれるのいぃっ♪あぁっ♪もっと、もっとぉっ♪」
「母さん!母さん…!」
一心不乱に腰を突き出していく、加減なんて考えない力任せのピストンに母さんが大きく喘ぐ、こんなにもか弱く壊れてしまいそうな身体なのに俺の劣情を全て受け入れてくれている
そんな事実に興奮して、再び俺に限界がやってくる
「し、きゅぅ…とか、おなかぁ…っ♪ぎゅうぎゅうされるの、すきぃっ♪ひぁっ♪りく、りくぅ♪すきぃっ♪んんぁっ♪」
「か、母さん…俺、もう…っ!」
「りくっ♪いくのっ?いっちゃうの♪いいのよ、ママもぉ…っ♪何回も、いって、ぇっ♪あっ、あっ♪いっ、いっくぅぅぅうぅぅぅっ♪」
「うっ、で、る…!はぁぁ…っ!」
ぎゅうっと母さんの身体を力一杯に抱きしめて、一番奥まで突き上げて俺は精を吐き出した…抱きしめることに応えるかのように母さんの膣内がきゅうきゅうと締め付けて絞り出してくる
受け止めきれないほどの大量の精液が、母さんの膣内からごぷりと溢れ出して…母さんは背中を反らせながらガクガクと絶頂を迎えていた
「はぁー…っ♪はぁー…っ♪」
「か、母さん…大丈夫…?」
襲いかかってくる射精後の倦怠感を堪え、母さんに声をかける…すると母さんは横になったまま顔だけこっちに向けるとにっこりと優しく微笑んだ
「だ、大丈夫かしら…さ、流石に壊れちゃうかと…思ったのだわぁ…♪りくったら、男の子なのねぇ…♪」
「ち、ちょっと…抑えが効かなくて…」
「でも、すっきりした顔してるのだわ…♪満足してくれて、よかったかしら♪ほら、リクも疲れたでしょう?一緒におねんねしましょ♪」
母さんが俺の手を引いてくる、俺はその誘いのままベッドに横になる
「いーっぱいびゅーびゅー出して、えらいえらいなのかしら〜…♪ゆっくりおねんね、しましょうね…♪よしよーし♪」
横になったまま母さんは俺の頭を撫でて、そのまま寝かしつけようとしてくれる…囁くような声が耳をくすぐり、だんだんと倦怠感が身体を重くしていく
あんなに動いたのも、射精したのも…初めてだった、興奮していて気づかなかったけどかなり身体が疲れているのが今は感じ取れる
「目が覚めたら、ご飯にしましょうね…♪今日は記念だから、うんといい物作ってあげるのだわ…♪よしよし♪なでなで…♪ねんねこね〜…♪良い子はねんねなのだわ〜…♪」
「…うん、おやすみ…母さん」
俺は母さんの声を聴きながら、目を閉じる…耳に残る優しい音とふわりと暖かい手の温もりを感じて、俺は夢の世界へ旅立った。
…
あれからしばらく経った、母さんと一緒の暮らしはそれはもう毎日が楽しかった
一緒に色んなところへ遊びに行った、一緒に色んなことをした、色んなことを体験した。
そうして俺は、また一つ大人の階段を登る
「ねぇリク、似合ってるかしら?」
「あぁ、とても綺麗だよ…アンリエッタ」
「ふふっ、リクもとってもカッコいいのかしら♪」
見慣れた家の中で、着慣れない服を着る俺たち…多分もう一生着ることのない純白のドレスとタキシード
俺たちは今ここで、生涯の契りを交わす。
本当なら式場や人を用意するつもりだった…でも母さんの様々な事情から断念せざるを得なかった
だから、今ここは自宅で…いるのも俺と母さんの二人きり。
「ごめんね、ちゃんとした式に出来なくて…」
「あら、何を謝るのかしら?今ここは世界で一番幸せな場所なのだわ♪」
夢見心地といった顔でうっとりとしている母さんは、確かに世界でいちばん幸せそうだ
あぁ、そうだ…アンリエッタ母さんはそうなんだよな
俺と一緒にいる時が、一番幸せなんだ
「そっか、幸せかぁ…」
「リクも幸せでしょ?」
「世界で一番ね」
俺は母さんを抱き上げてテーブルの上に乗せる、これでようやく互いの背が並んだ
「…ふふ、寝ている時以外でリクと同じ目線だなんて不思議な気分かしら♪」
「並んで立つことなんて殆ど無いもんね…えっとそれじゃあ、始めるね?」
「えぇ♪」
並んだ俺たちはお互いをしっかりと見つめ合い…そうして誓いの言葉を口にする
「…俺、涼木リクはアンリエッタと永遠の愛を誓います。一生をかけて、幸せにします。だから…俺と結婚してください、母さん」
「えぇ、結婚…します。これから私は世界でいちばん幸せなママで…貴方の奥さんです♪」
そういって、俺たちは口付けを交わした
これからも幸せにします、だから俺のことももっと幸せにして下さい。
大好きな、アンリエッタ母さん。
勉学に励み夜遅くに学校から帰ってきた俺は、何時ものように真っ直ぐ自分の部屋に行く
そうして棚の上に飾ってある「人形」に帰ってきたことを告げる、すると人形から返事が…あるはずもない
相変わらず「人形」の母さんは精巧に作られた笑顔と虚ろなガラスの瞳を動かさないまま、しかし俺は物言わぬ人形と会話するように話しかけ続ける
「今日は学校でテストがあったんだ、まぁ自信はないけどさ…でも母さん、最近は頑張って結構遅くまでテスト勉強してたでしょ?平均点くらいは出せると思うんだよねー」
俺は母さんを抱えてベッドに座る、そうしてまるで本物のような髪の毛を指先で軽く撫でながら母さんに話しかけ続ける
いくら話し掛けようが人形からの返事はない…なのに何故、俺はずっと話しかけているのか、それは俺がまだ小さい頃の話だ
今から十数年前、俺…涼木リクの前から突如として両親が居なくなった
家で両親が帰ってくるのを待っていた俺の元に来たのは、青い制服を着た大人が数人…両親が交通事故で亡くなったということを知らせに来た警察官だった
細かい詳細は覚えていない、ただでさえ小さい頃だったから…酷い事故だったらしく、遺体は無かったのだけは覚えている
それから身寄りを失った俺はしばらく親戚の人の世話になっていて、ある程度自立してからは一人暮らしをしている
あの両親が亡くなった際に、遺品などいろいろと整理された中で…家族の写真と共に渡されたのが、あの人形だ
小さな頃は本当に人間かと思ったぐらいの、驚くほど精巧に作られた人形…大きさは当時の俺と同じくらいで、不思議とその人形と一緒だと両親が亡くなった悲しさが安らいだ
キラリとした宝石のようなガラスの碧眼…ふわふわとロールがかかったプラチナブロンドの髪、精巧に作られたであろう幼い身体…そんな少女の姿の人形
元々は母さんが大切にしていた大事な人形、と親戚の人は言っていた…俺も前に母さんの部屋で見たことがあった、その時はあまり興味がなかったけど…
そして小さかった俺はその人形を「母さん」と呼んでその寂しさを誤魔化して来た、何かあればすぐに母さんに話したし、何か無くても何かと母さんにずっと話しかけてきた
だから今でも母さんには話し続けているし、手入れだって欠かさない、いま俺がいるのは紛れも無く母さんのお陰だから
でも、もしかしたら、こうやってずっと話しかけていれば…魂とか宿ってくれたりするんじゃないか、なんて夢見たりもする
小さい頃からずっと一緒にいて、話しかけてきたから…俺には随分と前からこの人形がいきているんじゃないか、とか考えたりするようになっていた
ありえない話だけど、大切にしていたら物にも魂が宿ったり…そんなことをまた夢見ながら俺は母さんを抱いてそのままベッドに横になった
そうして学校の疲れからすぐに意識が薄れていく、あぁ…夜ご飯食べなきゃ…いや、明日休みだし…朝早くでいいかな…
…
「…ん」
ぐっすり眠っていただろうか、気怠さを覚えながらも体を伸ばしてシャッキリと目を覚ますと俺はベッドから出てちょっと早い朝ご飯を作るためにリビングに降りてくる
「昨日は夜食べてないから腹減ったなぁ…」
リビングに降りてきた俺の目の前には、ありえない光景が広がっていた
そこにはテーブルの上に色取り取りの料理が並べられていた、湯気が立ちふわりと美味しそうな匂いが鼻腔をくすぐる
勿論俺が作ったわけではない、多少なりとも家事はできるがここまで上手いわけじゃない
そうしてわざわざ俺に料理を作りに来てくれる人なんていないし、頼んだ覚えもない
「〜♪」
そして何よりも信じられないのは…おれにとって馴染み深い格好をした"何か"が今なおキッチンで調理をしていることだ
背が圧倒的に足りていない為、椅子の上に立ち調理している後ろ姿は何か微笑ましくも見えるが、そんなことを考えている場合ではない
「あ…あ、あぁ…?」
「…あら!ようやく起きたのだわ!もう少しで準備出来るからいい子にお座りしてなさい♪」
口をあんぐりとして驚愕していると、その"何か"は声を掛けてきた…これはまだおれは夢を見ているに違いない
じゃないと何もかもが説明つかない、そうだ…これは夢だ
俺の母親、アンリエッタはただの人形なのだから
「は、はは…凄い、夢だなぁ…アンリエッタが、母さんが喋ってるよ…それに料理もしてる…それに触れるし、匂いまで…」
席に座り料理の皿に手をつける、温かいしいい匂いもしてくる…まるで夢とは思えないリアルな感覚だ
「あっ!こら、まだ食べちゃだめよ!お腹空いてるのも分かるけど、もう少しで出来上がるから我慢してほしいのだわ」
「あ、はい…」
叱られてしまったので皿を置き、俺はキッチンの様子をよく観察する…アンリエッタ、母さんらしき存在は慣れた手つきであれこれと料理をしている
ずっと憧れて、夢みてたような光景だ…今までこんなにもリアルで幻想のような夢は見たことがあっただろうか?
「…ふふっ♪」
ずっと見ていて、目が合うと彼女はにこっとこちらに微笑むとご機嫌そうに作業を続ける…そんな風にされると夢とはいえ思わずときめいてしまうじゃないか
いや夢だからこそ、こういった俺が望んでいた光景になっているのだろう、遠慮なくときめいておこう
「さぁさぁ、お待たせ♪」
最後の料理が出来上がったらしく、机に並べるとそのまま彼女は俺の隣の席にちょこんと座る
その席は俺が母さん専用に置いた、脚の長い子供椅子…この席にさも当然かのように座るということはやはり彼女は母さんなのだろう
夢の中なのだから、とは思っていても疑いをかけてしまうのは未知と遭遇した人間のサガ故か
「いただきますなのだわ♪」
「い、いただきます…?」
とりあえずいただきますをして料理に手をつけることにしたが、箸が無くて食べられない事に気付く
「はい、あ〜ん♪」
そうして隣から料理を摘んだ箸が伸びてくるということは、そういうことなのだろうか
「…あーん」
…
さて、彼女から美味しい料理を丁重に食べさせていただいてお腹はたっぷりと膨れた…空腹感が満たされたってことはやっぱり夢じゃないのか?
「〜♪」
食べ終えた食器を鼻歌交じりに歌いながらカチャカチャと洗っている彼女をやることの無い俺は後ろから眺めている
鼻歌に合わせながら動いている小さな背中を見ていると、やっぱり夢とは到底思えなくて…
「あの…」
「んー?何かしら〜、もうちょっとで洗い終わるから少しだけ待っていて欲しいのだわ!」
「あ、はい」
声をかけてしばらく、お皿を洗い終えた彼女がとてとて小さな歩幅でこちらにやってくる
「はい!お呼びなのかしら!」
ニッコニコしている彼女を近くで見ると、その姿はやはり"母さん"そのものだ…彼女は一体何者なのだろうか?
「えっと…」
「何かしら!」
「…あのさ」
「はい!」
「…君は、何者なの?」
「…あい?」
空気がピタッと止まった気がした、いや実際には目の前の彼女がピタッと動きを止めただけなんだけど…
「あの〜?」
「…ハッ!」
「あ、動いた」
「ごめんなさい!ちょっとおかしな言葉が聞こえて固まっちゃったのだわ!…で、な、なんの話だったかしら?」
「えっと、君が何者なのかって話…」
「嘘、嘘嘘!き、きき、聞き間違いなのだわ!そうよ、そうなのだわ!聞き間違いに違いないのだわ!」
「いや別に聞き間違いじゃないけど」
「は、はは、反抗期!反抗期なのだわ!!!リクがグレてしまったのだわ!!!」
「グレてないですけど!?」
「じ、じゃあ本当に忘れちゃったの…?ママのこと、知らないっていうのかしら…!?」
あわあわと表情を変えていく彼女は、自分のことを"ママ"と言った…つまりはそういうことなのだろうか?
この目の前にいる存在が本当に俺の母さんなのだとしたら、何故動いているのか…それが大きな問題なんだけど
「…ええと、君は…アンリエッタ。俺の母さんで…」
「あぁリク!ちゃんと覚えてるじゃない!よかったのだわ、本当に忘れられてたらショックで死んじゃうところだったかしら!」
「その…人形のはずだから、生きてるってことは有り得ないんだけど…」
「…あら?もしかして私、リクに何の説明もしてなかったかしら」
「ええと、動いてる母さんと対面したのは…キッチンにいるときが初めてだね…」
「…」
「…」
なんだかちょっと気まずい空気が流れる、母さんはきっと何もかも俺が知っている前提のようだったみたいだけど…
生憎なにも知らない俺からしたら、目の前にいる母さんが実はよく似た格好をした不審者なんじゃないのか説すら浮上している
「…感動的な対面にしたかったのだけれど、ちょっとリテイクしてもいいかしら?」
「いやもう無理じゃないかな!?感動もなにも困惑しかなかったよ!?」
「やーだー!やーりーなーおーすーのー!」
手足をバタバタさせる母さん(仮)を抱きかかえるようにして抑える、しかしまぁ…もし本当の本当に母さんなのだとしたら、随分と性格がイメージと違う
人形の状態では全く動くことも喋ることもなかったからか、勝手に落ち着いた女性のイメージだったけど…たしかに見た目相応の女の子だったらこれくらいなのだろうか?
「うぅ〜…せっかく動けるようになったのにこんなんじゃ意味ないのだわ…」
「ええと、うん…まぁ、母さんが本当に人形が動いている存在なら、嬉しいよ」
「そうなのだわ!私が今こうしているのにはちゃんと理由があるの。ちょっとズレちゃったけど、ちゃんと説明するのかしら!」
(ちょっとじゃないでしょ…)
心の中でツッコミを入れて俺は話を聞くことにした、このままだと一向に状況が変わらない気がする
「今私がこうやって命を得て動いている深い理由…それは…」
「…ゴクリ」
「ずばり奇跡よ!」
「…えっ?」
「ずばり…奇跡よ!」
「…浅ッッッッッ!!!」
「あ、ああああ、浅くないのだわ!」
あまりの理由の浅さにびっくりしてしまったが、彼女は両手を振り違うという…いやだってただ奇跡の一言で済ませられることじゃないでしょうに
「母が子を思う偉大なる愛が呼んだ奇跡…こんなに深い理由が他にあるかしら!?」
「うん…まぁ、もうこの現状が夢でも妄想でもなんでもいいや、深くは気にしないことにするよ…」
「感動的でしょ!?」
「…あぁ、泣きそうだよ」
いろんな意味で。
「うふふ、泣きそうなくらい感動的なのねぇ♪いいのよいいのよ、ママの胸で泣いてもいいのだわ♪」
ぎゅっと、その小さな胸に抱きしめられる…暖かくて柔らかくて、誰かに抱きしめられるだなんて…本当に母さん達が生きていた頃以来だよ
あっ、素直に嬉しいのがなんか悔しい
「ずっと、ずっとこうしたかった…こうして抱きしめてあげたかった。あぁ、あなたってこんなにも暖かくて、想像していたよりも柔らかくて、ちょっぴり硬いのね…」
「…母さん」
「本当はもっと早くこうしてあげたかった、あの子の代わりに…私がリクのことを抱きしめたかった。ごめんなさいね…こんなに遅くなって、寂しい思いをさせたわ…ぐすっ」
「…そっちが泣いてどうすんのさ。それに、寂しいだなんて思ったことあんまりないよ、おかげさまで」
「リクぅ…!なんていい子なのだわ!うぅっ…いい子に育ったのねぇ…!」
ダバーって顔から汁を流しながら俺に頬ズリをする母さん、一応感動的な場面だと思うけど…うん、なんだかあれだ
(…汚い)
鼻水やらよだれやら諸々体液がベトベト顔に付いてしまっている
それに思春期の男の子は女の子に抱きしめられるこの状況は少し、いやかなり恥ずかしいのだ
「…あの、母さん?そろそろ離して…」
「…いやなのだわ!まだこうしていないとリクの寂しさは埋められないのだわ!」
「いや大丈夫だから…って力強っ!?」
無理やり引き剥がそうとしたが物凄い力でガッチリとホールドされていてビクともしない、こんな小さな身体のどこにそんなパワーが…
(こりゃあ、母さんが満足するまで離れないな…)
結局母さんは俺を離さないので、そのまま母さんがしがみついた状態で活動することになってしまった
肩車の要領で移動しているのだけども、人形とはいえ子供サイズなのでちょっと重い
「はわぁ〜〜〜…見違えた景色なのだわ〜…大きく育ったのねぇ」
肩車にはしゃぐ母さん、これじゃどっちが子供なのか分かったもんじゃない
(…まぁ、喜んでるからしばらくはいいか…)
そうしてしばらくしてから母さんが「これじゃ私が子供みたいなのだわ!!!」と言って肩車から降りたのは昼飯の時間になってからだった
…
「さて…」
母さんが調理のために俺から離れてくれたので、ちょいと部屋に戻りパソコンをつけた
そうして友達のグループチャットにアクセスした
<Riku☆さんがログインしました。>
『よぉ』
<@Hiro@さんがログインしました。>
『休日の昼にわざわざなんだよ』
こいつは俺の数少ない友人、クラスでは浮いていた俺に絡んできて母さんの人形について話しに興味を示してくれた男だ
すぐにレスポンスがあったのに安心して、俺は今までのことを話す
『はぁ?人形が生きてる?頭イカれたの?』
『いやだから、あの人形が生きてて動いてんだって!』
『嘘乙』
『なんでわざわざ休日の昼にそんな嘘をつくんだよ!お前じゃないんだぞ!』
『あー!?俺はいつだって誠実な男よ!?選挙時の政治家くらい誠実な男よ!?』
(こ、こいつ…この前遊びに行く時に約束忘れてて4時間の大遅刻かましたくせに…!)
そうこいつはかなり適当なやつなのだ、信用度は70%(当社比)くらいだ
『お前この前の遅刻の件まだ忘れてないからな』
『そのような事実はこちらでは認識していません、現在調査中です』
『政治的発言で誤魔化すな』
くそ、こいつ本当に適当なやつだな…でもこいつ以外に相談できそうやついないし…
「リク〜ご飯よ〜」
リビングから母さんの俺を呼ぶ声がする、仕方ないここは証拠を揃えて飯の後にするか…
『飯食ったら証拠揃えてまたインするからな』
『初めからそうしろ定期』
<@Hiro@さんがログアウトしました。>
『(^ω^#)』
<Riku☆さんがログアウトしました。>
「あの野郎、普段から美少女フィギュアとかの話しかしないくせに…」
「リク〜!!!」
「待ってて今いくよ!」
パソコンをスリープモードにして俺は母さんが呼んでいるリビングまで降りていった
「何してたのかしら、ご飯冷めちゃうわよ」
「ごめんごめん、友達と話してた」
「あらそうなの?邪魔しちゃったかしら…」
「いや母さんのご飯食べる方が先決でしょ」
「あら〜うれしいのだわ〜、やっぱりリクはいい子ねぇ」
にへ〜と笑う母さん、えらい可愛いじゃないか…
パシャ!(シャッターを切る音)
「あら、写真?」
「あ、ごめんつい」
写真に収めてしまった…だって可愛いから…
(可愛かったならしょうがねぇわ…)
「も、もぉ〜!いきなり写真撮るなんてびっくりするのだわ!へ、変な顔じゃなかった…?」
「う、うん…」
少しだけ顔を赤くして照れる母さん、どこを切り取っても可愛いのずるいな
(もう一枚いっとくか…?)
い、いやまぁアイツに証拠として見せる分だけでいいか…
いかんな、あまりの可愛さに的確な判断が出来なくなってしまっている。
「ほ、ほら!ご飯にするのかしら!」
「あ、うん…頂きます…」
…
さて、昼飯を済まして俺は再び部屋に戻ってきた
母さんは洗濯物やら掃除、色々と家事が残っているとの事でまだ下にいる
アイツに撮った写真を見せれば信じるだろうと言うことでまたチャット部屋に俺はログインする
<Riku☆さんがログインしました。>
『証拠撮ってきた』
<@Hiro@さんがログインしました。>
『画像ハラデイ』
『はい』
俺はチャットに先程撮った写真を貼り付ける、すぐに既読のマークが表示されてあいつが見たことを確認する
『どーよ』
『すっげ、どこのドールの顔?自作かこれ…ここまで自然に人間の顔って作れるなんてさぞ名のある人の作品だろうな』
『いやだから、実際に生きてるんだって!今一緒にご飯食べたところ!』
『いやそういうのいいから、休日に俺を驚かすだけにこんな手間かけるなんて君も暇だね!?寂しがりや拗らせすぎてかまちょなの?』
『黙れ○すぞ』
『キレてて草』
ダメだ、完全に信じてくれていない…こういう話に一番食いつくと思ったのになぁ
(使えない男だ…)
「リク〜、お部屋に洗濯物な〜い〜?」
「わっ、母さん!ノックしてよ!」
「あらごめんなさいなのだわ、リクったらまたパソコンやってるの?そんなに楽しいのかしら」
とてとてと側までやってきた母さん、そうだ!今ビデオ通話に切り替えて見せればアイツも信じるだろう!
「か、母さんこっち来て!」
「えっ?は、はいなのだわ!」
母さんを持ち上げて膝に乗せる、ちょうどカメラの位置に俺の顔と母さんの姿が映る…よし、これで
「今から友達に母さんを紹介したいんだけどいいかな?」
「えっ?リクのお友達!?も、勿論なのだわ!」
「じゃあ今から繋げるから、このカメラを見ながら会話してね?」
「ええ!任せてほしいかしら!」
<Riku☆さんがビデオ通話を開始しました>
<@Hiro@さんが参加しました>
『いきなりビデオ通話って何?ビビったんだけど』
『あら声が聞こえる…リクのお友達なのかしら?御機嫌よう♪』
『ファッ!?ファッ!?ファッ!?』
母さんが喋るなり急に壊れたおもちゃのような声を出すアイツ、うるさいな…
向こうはカメラオンにしていないので、アイツの姿は見れないがこっちのカメラは繋げているから母さんと俺の姿は写っているだろう
『えっ、ちょっ!?待て待て待て!おいリクさんついに犯罪に手ェ出しちゃいました!?』
「違うよ、さっき言ったとおりだって!人形の母さんが動いてんの!」
『いや、でも…えぇ〜?機械仕掛け…なわけない、こんな自然に動くなんてありえないよな…CG合成?リアルタイムで?いやそんな技術個人で持ち合わせているわけない!?』
「ちょっと、無視しちゃ悲しいのだわ!私にもお話しさせて?ふふ、リク以外とおしゃべりなんて初めてかしら♪なんとお呼びしたらいいかしら」
『ぴょっ!?ひ、ヒロですぅ…よ、よろしく…』
「吃るなオタク」
『い、いやいや関係なくない!?誰だってこんなのまともに会話できるわけないじゃん!?やっぱどこかから人形に良く似た子連れてきたんじゃ!?』
「ちゃうわい!ちゃんと見てくれヒロ、アンリエッタの姿を…お前ならわかってくれると思って、この姿を映してるんだ」
『で、でもなぁ…えっと、アンリエッタちゃん?』
「はい!なのかしら!」
『…人形っていう、証拠…ある?出せる?』
「証拠…?えっと、これで如何?」
「わ、わあっ!?」
すぽん!と手首から先を外してしまった、そうして外した手首はそのまま指が動き続けている
何気なく手首をいきなり外すもんだからびっくりして声を上げてしまった…
『四肢が取り外せる…義手…?いや、こんな精巧なものありえない、しかも外してもそのまま動くなんて…』
「これじゃダメかしら?それじゃあ次は首でも…」
「や、やめよう母さん!それはやめよう!」
首を取り外す母さんなんて見たら俺はきっと卒倒してしまう、手首外したことでもう心臓が飛び出るかと思ったのに
『…わかった、わかったよ…認める。信じたくないけど、あのリクの大事にしていた人形が動いているってのは、理解した』
「おおっ!良かった、信じてたぜ」
『で、俺にどうしろって?悪いけど人形が動くなんて悪霊的ホラーには役に立ちそうにないぞ』
「悪霊じゃないのかしら!?」
「あ、いや…うん、こっちもいきなりで動揺してて…何かしろってわけじゃないんだけど、何か知ってること無いかなぁって」
『えぇ…ただのオタクに何期待してんの…よくある話だとあれじゃないの?大事にしていた物に魂が宿る〜とかいうやつ、付喪神って言ったっけ』
「あー、聞いたことあるかも…?」
実際そういうような希望を持って人形に話しかけていたわけだけど、いやまさか現実に起こりうることだとは…
『まぁ見てる感じ悪意は無いし、何かヤバいこと起きる様子もなさそうだしいいんじゃない?大事にしていた人形が動くなんてよくよく考えたらラッキーだろ!?俺のフィギュアもならないかな!?』
「さぁ…?」
『何か特定の条件でもあるのか?…いかん、これは俺も夢を叶える希望が出てきたな!リク悪いがこれから忙しいから切るぞ!じゃあな!』
「あ、おい!…切りやがったわ」
「ふふっ、愉快な人だったのだわ♪いいお友達に恵まれてるのねぇ」
「…そうかなぁ」
通話は切られてしまったが、まぁ有益?な情報は聞けたから良しとしよう…たしかに人形だったアンリエッタが動いているだけで害もないどころか世話を焼いてくれて助かっているのだから
「母さんは母さん、だもんなぁ」
「?…えぇ、もちろんなのだわ?」
「なんか疲れた…」
朝からの怒涛な展開に参ってしまった、せっかくの休みなのだから…うん、ベッドでゴロゴロしよう
「あらお昼寝かしら?よしよし、ママが添い寝してあげるわ〜」
俺より先に部屋のベッドに母さんが寝転んでおいでおいでと手招きする、俺もベッドに横たわるとお互いに見つめるように向き合った
「えへへぇ、こんな風に寝るのは初めてかしら…ずっとずっとこうしてあげたかったのだわ」
「それさっき抱きしめられたときも聞いたよ」
「だってだって、そうなんだもの。してあげたいこと、この十何年間分でた〜くさんあるんだから…」
「…まだあるの?」
「えぇ、勿論なのだわ。ずっと貴方を支えたかったの…料理だってしてあげたかった、抱きしめてあげたかった、慰めてあげたかった、褒めてあげたかった、一緒に寝てあげたかった…志半ばで亡くなったあの子の代わりができるのは私だけなのだから、あの子の為に…貴方の為に…」
「母さん…アンリエッタも、悲しかったんだね。母さん達が亡くなったの。」
「それはそうなのだわ…あの子にはとてもとても、大事にしてもらったの。だから私はあの子の一番大切な貴方の為に…今ここにいるの」
「…はは、なんだよ。ちゃんと深い理由…あるんじゃないか」
「…間違えじゃないもの、奇跡が起きたことに代わりは無いのよ?私の気持ちだけじゃ、ダメだった。リクが私に絶えず話しかけて、大事にしてくれていたから…私のリクの気持ちが、奇跡を起こしたの」
「そっかぁ…じゃあアンリエッタは、これからずっと俺の為にずっと一緒にいてくれるんだね」
「えぇ、その為の私だもの♪私は貴方の為ならなんだってしてあげる、この身全てを捧げて…貴方を幸せにするのかしら♪」
そこまで言われたら俺にだって、幸せにならなくちゃいけない義務がある…アンリエッタに幸せにしてもらう権利がある
母さんってだけじゃなくて、一緒に幸せになる必要があるから…
「だったらさ…俺の、恋人になってよ。俺のたった一人の家族、本当の…家族になってよ。」
「よくってよ♪貴方が…リクがそう望むのなら…私はリクのお嫁さんにだってなるのだわ♪」
「母さん…」
「恋人なのにママってなんだか変なのかしら…あ、でもやっぱりママは外せないのだわ♪だってリクが何度もそう呼んでくれてたから気に入ってるの♪」
「うん…母さんはそのままでいいよ…」
「ふふっ、嬉しいのだわ…リクから愛の告白してもらうなんて考えてもなかったかしら」
「だって、こんなにも俺を想ってくれる子なんて…きっといない。アンリエッタ以上の女の子なんて、存在しないよ」
「…あらあら、まぁまぁ♪確かに、ココもしっかりと反応しているみたいなのかしら♪」
にんま〜と口端を釣り上げ笑う母さん、その視線の先は俺の下半身…人知れず大きく主張している股間だった
「か、母さん、これは…まぁ…その…」
「そうよねぇ、リクも男の子だものねぇ♪いいのよ、ママちゃんと分かってるから♪うんうん、そうよねぇ〜♪」
「や、やめろ!そのオカンムーブやめろぉ!」
「いいのよぉ〜♪私のことしっかりと女の子として見ていてくれてる証拠だもの♪隠す必要は無いのだわ♪」
「…あぁ、そうだよ…母さんが可愛い女の子だから大きくなっちゃったよ!」
「ふふっ、あらあらそれは大変なのだわ♪ママがしっかりと責任取って面倒見てあげなくちゃ♪」
そういって母さんはズボン越しに主張している下半身に手を伸ばした…小さな指がズボンの上からスリスリと這う
「ぅ、は…ぁ…か、母さん…」
「ふふっ、ちょ〜っと触っただけなのに気持ち良さそうなのかしら♪ふふっ、おっきいおちんちんがビクビクぅ♪ってしてるのだわ♪窮屈そうだし、出してあげましょう〜」
母さんはニコニコしながらズボンのチャックを下ろし、ズボンから怒張した肉棒を露出させる
大きくそそり勃つモノは母さんの腕に並ぶ大きさだ(俺が特別デカイわけではないのだけど…)
「あらまぁ立派なおちんちん♪私が知らない間に随分と大人になったのかしら♪」
「み、見せたことないでしょ…!」
「あら?そうだったかしら、まぁいいのだわ♪それじゃあゆっくりと可愛がってあげるのかしら〜♪」
そういうと母さんはその小さな指を伸ばし、直に俺のモノを両手で輪っかを作り掴むように握った
「ぅあっ…!」
ズボン越しからではなく直接触れた手の感触に身体が震えた、柔らかい肌と温もりがジンジンと伝わってくる
「うわぁ、あっついのだわ…火傷しちゃいそうなのかしら♪ふふっ、ビクビクして暴れん坊さんねぇ♪よしよし♪よしよーし♪」
「ぁっ…!かあさ、っ…!それ、だめっ…!」
肉棒の先端をこねくり回すように撫で回す母さん、ただでさえ敏感な部分を刺激され俺は情けなくただその快感を受けるしかない
「あらあら、そんなに顔トロトロにしてそんなに気持ちいいかしら?ふふっ、一緒にしこしこ〜♪ってしたらもっと気持ちいいかしら?そ〜れしこしこしこ〜♪なでなでなで〜♪」
「うぁっ!か、母さんっ…は、激しすぎ…っ!だ、だめ…っでちゃっ…!」
先端を撫で回すのに合わせ、更に肉棒を扱き上げる母さんの手…下半身がどんどん熱くなり甘い痺れが身体を焦がす
俺はもう爆発寸前だった、ニコニコしながらこっちを見ている母さんの顔を見ながらとうとう俺に限界がやってくる
「いいのよぉ〜♪好きなトコロで出しちゃって♪リクの一番気持ちいいトコロでびゅーびゅー♪っておしゃせーしちゃって♪ちゃんとママが受け止めてあげるのだわ♪ほらっ♪ぴゅっぴゅー♪」
「はぁっ!はぁっ!い、くっ…!」
「ひぁっ♪来たぁ…♪リクの濃ゆ〜いせーえき、ホカホカの出したてミルクがママにぶっかけられてるのかしらぁ…♪」
母さんに射精を促され、俺は大量の精を吐き出した…自分でも驚くくらい大量だ、母さんの小さな手だけでは受け止められず身体のあちこちに飛び散り糸を引いてアーチを作っている
「はぁっ…はぁっ…」
「い〜っぱいおしゃせー出来たのねぇ♪えらいえらいなのかしら♪ふふっ、ママも潤っちゃったのだわ♪」
「うぅ….ごめん、かなり汚しちゃった…」
「あらあら♪謝らなくたっていいのかしら、布団は洗えばいいし服だってリクにこんなにマーキングされて….ふふっ♪とっても幸せなのだわ♪」
「…でも、その…実は…」
「ふふっ♪わかってるのかしら…まだ終わりじゃないのね?まだまだおちんちんが元気元気なのだわ♪」
そう、恥ずかしながらあれだけ大量射精をしておいてまだ下半身は萎える事なくそそり立っている…いやさっきよりもら更に硬く主張をしているのだ(自分でも驚いている)
「いいのよいいのよぉ♪リクが満足するまでママがいっぱい気持ちよくしてあげるのだわ♪ふふっ、次は…ママの中で、ねっ♪」
「か、母さんっ…!」
俺は射精後の倦怠感すら跳ね除け、そのまま母さんに覆いかぶさると服を脱がそうと手をかける
ちょっと乱暴になってしまったが、母さんはニコニコしながら服を脱ぎ生まれたままの姿になった
「ふふっ、どうかしら?ちょーっと、身体が小さいのがコンプレックスだったりするのだけれど…リクは全然問題ないみたいなのだわ♪」
確かに母さんの身体は、幼い女児のものだ…しかしそれ以上に美しい芸術品のようだ、人形として作られた故か母さん自身の魅力か
「…うん、母さんの身体…綺麗だよ」
「ありがとうなのだわ♪ほら、ここ…上半身と下半身分離できるけどするかしら?」
「…萎えるからやめてね」
俺は母さんの身体が幼いという気持ちよりも、この美しい身体に興奮する気持ちの方が大きかった
今から俺はこの身体を好きにできるんだ
「…おちんちんがヘソより上にくるのだわ、壊れちゃうかもしれないかしら♪ふふっ、嘘♪ちょっとやそっとじゃ私は壊れないから安心して欲しいのだわ♪」
下半身の怒張した肉棒をスケールのように、母さんのぷにっとしたお腹に合わせて確かめると挿入したら人間で言えば肺の手前くらいの深さまで入ることになる…でも、母さんは人形だから大丈夫だと言う
だったらこっちも気にする必要はない、今はただ母さんと一つになりたいと言う気持ちばかりが大きくなっている
「さぁ、ママの中にいらっしゃい♪おかえりなさい♪処女膜っていうのが無いから、破瓜はしないけど正真正銘の私の初めて♪リクに、リクだけにあげるのだわ♪」
母さんは自分の恥部を惜しみなく見せつけるように広げる、ぴくぴくと膣内が動いてトロトロした愛液が垂れ布団に染みを作っていた
前戯の必要は無いようだ、覆いかぶさった母さんの小さな身体に俺の怒張した肉棒を押し込んでいく
「あっ♪ぉ…♪り、くのぉ…はいっ、て♪きて、るのぉ♪ぐりぃ、ってねじ込まれて、ぁんっ♪」
本来であれば入ることすら出来ないであろうサイズ比のはずだが母さんの身体は嬌声を上げながら俺を咥え込んでいく
ヌルヌルした熱いヒダが壁を作り、その壁が合わさったような小さい隙間を無理やりこじ開けていくような感覚…熱いヒダの壁はにゅるりと絡みつき刺激してくる
「ぅっ、はぁっ…、こ、これが…女の子の…すごっ、きもちいぃ…っ」
まだ半分くらいしか入れていないのに、その快感は先ほどの射精を遥かに超えており…先ほど出していなかったらここで果てていたかもしれない
「うっ、はぁっ…!」
「ほおぉっ♪んやぁっ♪お、く…までぇ…♪ずんって、きたぁ…っ♪」
そしてついに母さんは僕の怒張した肉棒を完全に咥え込んだ、お腹の上あたりが不自然に盛り上がっているのは…ここまで入っている証拠だ
「ほ、らぁ♪見てぇ、りくぅ…♪ママ、リクのこと…ちゃんと、入れられたからぁ♪」
「う、ん…すごい、気持ちいい、よっ…大丈夫、母さん…?苦しく、ない…っ?」
「き、気持ちいいの…っ♪き、気持ちよくて…っ、くるひぃ♪あ、ぁぁ♪し、しあわへぇ…♪」
今にも昇天してしまいそうなトロトロした顔で恍惚に頬を染める母さん、これがアヘ顔ってやつなのだろうか
しかしそんな母さんの顔を見ていると、俺が心配なんてしてる余裕無くなる…今すぐここで気持ちよくなりたい、本能のまま暴れてしまいたいという欲望が溢れる
「か、母さん…う、動いて、いい?」
「ひ、いぃかしらぁ…♪ママ、のこと…きにしなくて、いいからぁ♪りくの、すきにしてぇっ♪きもちよくなってぇっ♪ママ、も…きもちいぃからぁ…♪」
「う、動くよ?動くからね…!」
母さんの細い腰を掴むと、そのまま腰を前後に動かしていく
「んぉぉぉおぉぉっ♪しゅ、ごぉ…っ!ずんっ、ずんってぇ♪いっぱい、突かれるのいぃっ♪あぁっ♪もっと、もっとぉっ♪」
「母さん!母さん…!」
一心不乱に腰を突き出していく、加減なんて考えない力任せのピストンに母さんが大きく喘ぐ、こんなにもか弱く壊れてしまいそうな身体なのに俺の劣情を全て受け入れてくれている
そんな事実に興奮して、再び俺に限界がやってくる
「し、きゅぅ…とか、おなかぁ…っ♪ぎゅうぎゅうされるの、すきぃっ♪ひぁっ♪りく、りくぅ♪すきぃっ♪んんぁっ♪」
「か、母さん…俺、もう…っ!」
「りくっ♪いくのっ?いっちゃうの♪いいのよ、ママもぉ…っ♪何回も、いって、ぇっ♪あっ、あっ♪いっ、いっくぅぅぅうぅぅぅっ♪」
「うっ、で、る…!はぁぁ…っ!」
ぎゅうっと母さんの身体を力一杯に抱きしめて、一番奥まで突き上げて俺は精を吐き出した…抱きしめることに応えるかのように母さんの膣内がきゅうきゅうと締め付けて絞り出してくる
受け止めきれないほどの大量の精液が、母さんの膣内からごぷりと溢れ出して…母さんは背中を反らせながらガクガクと絶頂を迎えていた
「はぁー…っ♪はぁー…っ♪」
「か、母さん…大丈夫…?」
襲いかかってくる射精後の倦怠感を堪え、母さんに声をかける…すると母さんは横になったまま顔だけこっちに向けるとにっこりと優しく微笑んだ
「だ、大丈夫かしら…さ、流石に壊れちゃうかと…思ったのだわぁ…♪りくったら、男の子なのねぇ…♪」
「ち、ちょっと…抑えが効かなくて…」
「でも、すっきりした顔してるのだわ…♪満足してくれて、よかったかしら♪ほら、リクも疲れたでしょう?一緒におねんねしましょ♪」
母さんが俺の手を引いてくる、俺はその誘いのままベッドに横になる
「いーっぱいびゅーびゅー出して、えらいえらいなのかしら〜…♪ゆっくりおねんね、しましょうね…♪よしよーし♪」
横になったまま母さんは俺の頭を撫でて、そのまま寝かしつけようとしてくれる…囁くような声が耳をくすぐり、だんだんと倦怠感が身体を重くしていく
あんなに動いたのも、射精したのも…初めてだった、興奮していて気づかなかったけどかなり身体が疲れているのが今は感じ取れる
「目が覚めたら、ご飯にしましょうね…♪今日は記念だから、うんといい物作ってあげるのだわ…♪よしよし♪なでなで…♪ねんねこね〜…♪良い子はねんねなのだわ〜…♪」
「…うん、おやすみ…母さん」
俺は母さんの声を聴きながら、目を閉じる…耳に残る優しい音とふわりと暖かい手の温もりを感じて、俺は夢の世界へ旅立った。
…
あれからしばらく経った、母さんと一緒の暮らしはそれはもう毎日が楽しかった
一緒に色んなところへ遊びに行った、一緒に色んなことをした、色んなことを体験した。
そうして俺は、また一つ大人の階段を登る
「ねぇリク、似合ってるかしら?」
「あぁ、とても綺麗だよ…アンリエッタ」
「ふふっ、リクもとってもカッコいいのかしら♪」
見慣れた家の中で、着慣れない服を着る俺たち…多分もう一生着ることのない純白のドレスとタキシード
俺たちは今ここで、生涯の契りを交わす。
本当なら式場や人を用意するつもりだった…でも母さんの様々な事情から断念せざるを得なかった
だから、今ここは自宅で…いるのも俺と母さんの二人きり。
「ごめんね、ちゃんとした式に出来なくて…」
「あら、何を謝るのかしら?今ここは世界で一番幸せな場所なのだわ♪」
夢見心地といった顔でうっとりとしている母さんは、確かに世界でいちばん幸せそうだ
あぁ、そうだ…アンリエッタ母さんはそうなんだよな
俺と一緒にいる時が、一番幸せなんだ
「そっか、幸せかぁ…」
「リクも幸せでしょ?」
「世界で一番ね」
俺は母さんを抱き上げてテーブルの上に乗せる、これでようやく互いの背が並んだ
「…ふふ、寝ている時以外でリクと同じ目線だなんて不思議な気分かしら♪」
「並んで立つことなんて殆ど無いもんね…えっとそれじゃあ、始めるね?」
「えぇ♪」
並んだ俺たちはお互いをしっかりと見つめ合い…そうして誓いの言葉を口にする
「…俺、涼木リクはアンリエッタと永遠の愛を誓います。一生をかけて、幸せにします。だから…俺と結婚してください、母さん」
「えぇ、結婚…します。これから私は世界でいちばん幸せなママで…貴方の奥さんです♪」
そういって、俺たちは口付けを交わした
これからも幸せにします、だから俺のことももっと幸せにして下さい。
大好きな、アンリエッタ母さん。
19/08/24 20:34更新 / ミドリマメ