バジリスクお姉ちゃんの甘い毒
俺、砂山トシヤ恵まれた環境にいると自分でも分かる
家庭の都合で十分過ぎるほどの仕送りで自由気ままな一人暮らしだし、今いる家は一人じゃ広過ぎるマンションの一室
不自由なんて何一つない素晴らしい環境のはずだ、しかし俺はこの家にやってきてから何か楽しむと言うのをすっかり忘れてしまっていた
何かに忙しい、というわけではないが…友達と遊ぶにしてもゲームするにしてもずっと何かが足りない
その原因を俺は知っている、知っているが…どうにかなるもんじゃない
俺には姉がいた、姉は魔物でラミア種の…普通とはちょっと違うバジリスクという魔物だった
俺がこっちで一人暮らしをする少し前…姉は魔物としての力を制御出来なくなってしまったらしく、その影響が及ばないようにするために親が俺をこちらに避難させたのだ
当然俺は反対した、俺は姉が好きだったし一人暮らしに不安もあった
そんな俺が承諾して今この家にいるのは、姉自身に叱られたからだ
その時のことは今でも鮮明に覚えている、何しろそれが俺の中の最後の姉だったから
「もう、トシくんっ…お父さんとお母さんを困らせたらダメだよ…っ?大丈夫だから、いい子のトシくんなら…お姉ちゃんの言うこと聞けるよね…?」
姉はその時の、大きく目を覆う仮面を着けていた…後で話を聞くと、あの時すでに制御が効かなくなっていた状況だったらしい
バジリスクというのは魔眼という、目に特殊な力が宿っている。バジリスク自身その力を上手く制御出来ないので、基本的にみんな目を塞ぐ仮面をつけるのだとか
姉もその例に漏れず、成長して力が制御出来なくなってしまって…その力が及ばないように仮面を着けていた
小さい頃は力が未熟なため仮面をつける必要はないそうで、昔は姉の顔…目を見ることができたのに
そんなわけで俺は姉がいないこの生活に退屈しかなくなっていたのだ
…というのは今までの話だ、なんと今日その姉がこっちの家に来ることになった
力を完全に制御出来たわけじゃないが、仮面を着けたままなら力の暴走とかはしなくなって危険がなくなったらしい
俺も一人暮らしである程度立派になったから、親が一緒に暮らすことに許可を出してくれたそうだ
あの日から一度も声を聞いてない、姿も見てない姉がようやく戻ってきてくれるんだ
「…!来た!」
部屋のインターホンが鳴る、俺はドタバタと玄関まで駆け寄ってドアを開けた
「おかえり、スクナねぇ…!」
「ただいま、トシくん…っ♪」
そこには記憶とあまり変わらない姉の姿があった、後ろ髪を長いおさげにして…ラミア種特有の長い下半身で、やはり目を塞ぐ仮面。
変わっていたのは成長して大きくなった身体くらいのものだ
姉…スクナねぇは身体全体を絡みつかせ俺を抱きしめる。
俺も今までの寂しさを埋めるように強く抱きしめた
「ふぁ…っ…♪」
するとスクナねぇが顔を真っ赤にしてフラリと倒れ込んできた、もしかしてここまで来る間に何かあったのだろうか
「す、スクナねぇ!?」
「と、トシくん…っ、ちょっ、と…近過ぎ…っ…♪」
そう言うとスクナねぇは少しだけ俺から離れると深呼吸する
「大丈夫、スクナねぇ」
「ご、ごめんね…久しぶりで、ちょっとだけ刺激が強過ぎたみたいで…」
そういえばバジリスクは仮面で目が見えない代わりに優れた知覚能力があって、側に近過ぎると刺激を強く感じ過ぎて大変だとか
「ううん大丈夫だよ、俺も不用意に近寄り過ぎたみたいで…もうちょっと気をつけるよ」
「うぅ…お姉ちゃん的にそれも悲しいよぉ…」
「えっ、じゃあ近寄る?」
「そ、それはもっとダメぇ…っ!」
うーん、バジリスクというのは距離感が難しい魔物のようだ
「でもよかった…トシくん、立派になったんだね…♪」
「えっ、見えないでも分かるの?」
「うん…さっき抱きしめた時にね」
「まぁ、俺もスクナねぇに甘えるだけじゃなかったってことだな」
「…トシくん、よしよし♪」
不意にスクナねぇに頭を撫でられる、久々だな…こうやって頭を撫でられるのは
「ん…スクナねぇ」
「トシくんはえらいね…私が迷惑を掛けたのに、こんなに立派になって」
「えらくなんてないさ、ただ寂しさを誤魔化してた結果だよ」
「…もう、これからはお姉ちゃんが一緒だからね…寂しくないよ」
ぎゅっとスクナねぇが抱きしめてくれる、これも大分懐かしいな…この長い身体の柔らかくてスクナねぇの甘い匂いがして落ち着く
「スクナねぇ、自分から近づくのは大丈夫なんだ?」
「うん、不意に来ると刺激が強くてびっくりしちゃうだけだから…」
「…ねぇ、スクナねぇ…もうちょっとだけこのままがいいな」
「はぅ…♪トシくん…そうだよね、寂しがらせちゃったから…好きなだけお姉ちゃんに甘えていいんだよ…♪」
「わぁい、スクナねぇ大好き」
「ふふ…お姉ちゃんも、大好きだからね…♪」
…
しばらくスクナねぇに抱きしめてもらって、俺はスクナねぇに空いてる部屋を案内した
と言ってもマンションの一室だしそんな多くないため、スクナねぇは俺の隣の空いていた部屋を使うことになった
「あっちが風呂で、飯はあのリビング…っていうかただの広間だけど」
「ご飯とかの材料は買ってあるのかな…?」
「え、あ…飯は、いつも近くのスーパーのお惣菜だったから…」
「むっ…トシくん、それどういうこと…?」
「…すいません、自炊とかたまにしかしてないんです」
「通りで調理器具が変に綺麗なはず…もう、ダメだよトシくん…ちゃんとしたもの食べないと…!」
ペシッと軽く頭をはたかれてしまった、だってお惣菜のほうが楽なんです…仕方なかったんです…
「やっぱり、お姉ちゃんがいないとダメなんだから…♪」
「申し訳ない…」
「大丈夫…これからはお姉ちゃんが、栄養のあるもの沢山作ってあげられるからね…♪」
そういえばスクナねぇは料理が得意だったな、家では母さんと料理している姿をよく見た
「でもスクナねぇ、見えないのに料理なんて危ないんじゃ…」
「それは大丈夫、ちゃんとそれも練習したんだよ…?いつかまた、トシくんに料理を作ってあげられるように…だから心配いらないからね」
まぁ目が見えないで何年も経ってるわけだし、スクナねぇならそれくらいならできるのだろう…昔から何かとスクナねぇは優秀だったし
「じゃあ今日のご飯は期待しちゃおうかな!」
「ふふ、それなら材料買わなくちゃね…?」
「スクナねぇ、ここら辺まだ分かんないでしょ?買い物なら俺が行ってくるよ」
凄い久しぶりにスクナねぇのご飯が食べられる、俺は浮かれてすぐに外に行こうとするとスクナねぇに止められる
「ま、待って…!」
「え、何」
「私も一緒に、だよ…?せっかく二人になれたんだから…」
ちょっとふくれた顔のスクナねぇ、そうか…スクナねぇってば結構寂しがり屋さんだったな
いかんいかん、普段から一人でなんでもやるようになってからはあまり考えずに行動することが多くなったからなぁ
「ご、ごめんなさい…」
「ふふ…さっきから、謝ってばっかりだよ…?」
「あ、はは…やっぱあんまり変わってないかもなぁ俺」
「そうだよ…トシくんはやっぱり、お姉ちゃんがいないとダメなんだから…♪」
「そうだなぁ…スクナねぇがいるとそれを常々思い知らされるよ」
親の十分な仕送りがなかったら死んでたかもなぁ、俺
いやこんなまだ学生の身で無理に一人暮らしさせる親側にも問題あるだろうし、俺だけのせいではないはず!
「とりあえず、トシくんは私をスーパーまで案内してね…?」
「はいよ、かしこまり!」
俺はスクナねぇの手を引いて外に出る、スクナねぇは一瞬驚いたような顔をしたがすぐに俺の手を握り返してついてきてくれた
こうやって手を繋ぐのも数年ぶりか、もう手なんか繋ぐ歳じゃないけど…いいんだ俺はお姉ちゃんっ子だからな
「こっちがスーパーだよ」
「…ふふっ♪」
「…?どうしたのさ、スクナねぇ」
「…こうやってトシくんと出掛けるの、すっごい久しぶりだなって」
「そうだなぁ、すごい久しぶりだよね」
スクナねぇと一緒にスーパーにやってきた、スクナねぇは目が見えないけど材料の良し悪しが分かるらしい
「これくらいでいいかな…」
「スクナねぇ、なんで見えないのに材料の良し悪しが分かるの?」
「なんかこう、知覚するのを極めるとビビッと来るようになるの…」
「…うーん、よく分からないな」
「あはは、魔物特有の力なのかもね…?」
「ふーん、あ…」
レジに行く途中にお菓子コーナーを通りすがった、なんか買おうかな
「…だめだよ、トシくん…?」
「えーっ」
「お菓子買ったら、お菓子ばっかり食べてご飯はいらなくなっちゃうよ…?」
「いくらなんでもそんな子供じゃないって」
「んー…」
「スクナねぇ、だめ…?」
俺は精一杯の可愛らしさを出して甘えてみる、弟に甘えられて甘やかさない姉なんていないはず…!
「ぅ…そ、そんな可愛いことしたって…」
「お姉ちゃん…買って…?」
「…っ、も、もぉ…一個だけだからね…っ?」
「やったぜ。」
そんなたわいのない会話をしながらも楽しく買い物を終えた、ただの買い物なのにスクナねぇと一緒だと楽しいなぁ
「私ご飯の用意するから、トシくんはゆっくりしててね…?」
「んじゃテレビでも見てるかな」
俺はスクナねぇが料理の準備をしている後ろで適当にテレビをつける
「…この時間帯って何もやってないのな」
やってるのはニュースだとかそんなつまらないのばかりだ、最近は面白いニュースもやらないしなぁ
…いかん、ニュースの淡々とした音声聞いてたら眠くなってきたな
「…ぐぅ」
「あれ、トシくん…寝ちゃってるの?こんな地べたで寝たら体痛くなっちゃうよ…」
おぼろげな意識の中、ふわっと頭が浮いたと思ったらいい匂いがして…柔らかくて暖かい枕みたいなのが頭の下にきた
この感触、この匂い…昔なんかで感じたことがあるような…
「ん〜…?」
「あ、ごめん…起こしちゃったかな…」
「スクナ、ねぇ…か…ごめん落ちかけてた…」
目の前には見上げる形でスクナねぇがいた、ってことはこの枕は…?
「…スクナねぇ、膝枕してくれてる?」
「うん…地べたに直接寝てたら辛いと思って…」
「…懐かしいな、スクナねぇの膝枕…」
普通の人間とは違う、独特の柔らかさでいい匂いのするスクナねぇの膝枕…いやスクナねぇの場合は膝じゃないんだけどさ
「まだごはんじゃないから寝てて大丈夫だよ…?」
「…ん、なんか…気持ちいい枕もあるし…そうする…」
「えへへ…いい子いい子…♪」
「…むにゃ」
「…ほんと、久しぶりだよ…こうやって膝枕してあげるのも…頭をなでなでしてあげるのも…」
なんかスクナねぇが言ってるなぁ、でももう眠くて聞き取れないや…
「私ね、トシくんに会うために頑張ったんだよ…?トシくんが危なくないように、目を塞いで…トシくんの顔が分からなくなっちゃうのは辛いけど…トシくんを危険な目に遭わせるのはもっと辛いから…」
ごめんスクナねぇ…たぶん、俺に言ってるんだろうけど…眠くて…
「頑張って頑張って頑張って…ようやく、戻ってこれたの…トシくん、もう離さないからね…トシくんに寂しい思いなんてさせないからね…?」
「すく、な…ね…ぇ…zzz…」
「ふふ、夢に私がいるのかな…?嬉しいな…お姉ちゃんも、一瞬たりとも忘れたことないよ…トシくんだけのことを考えてたから…これからはずっと、一緒だからね…」
…
「…いっけね!完全に寝落ちしてた!」
「そんな経ってないから大丈夫だよ…?」
時計を見るとさっきから30分くらい経っていた、俺30分もスクナねぇに膝枕させてたのか
「ごめん、疲れたでしょ?」
「ううん、むしろ元気かな…久々にトシくんに膝枕させてあげれて」
「いやそんな気を遣わなくても…」
「気なんか遣ってないよ…?お姉ちゃんは、可愛い弟に膝枕してあげたら…すごい幸せになる生き物なんだからね?」
スクナねぇというか、いやぁ…姉ってすごいなぁ
「そろそろご飯にしよっか…?」
「うん、お腹すいたよ」
テキパキと食事の準備を進めるスクナねぇにお皿を渡したりして手伝い、いつもは寂しいお惣菜しか乗らないテーブルは一気に華やかになった
「わぁ…美味そうだなぁ」
「お料理も、昔より上手くなったんだよ…トシくんに作ってあげるために」
「前から得意だったのに今はさらに上達したのか、目が見えないハンデあるのに凄いなぁ」
「お姉ちゃんは弟の為なら、無限の力を発揮するのよ…?」
姉ってすごい、改めて俺はそう思った
「それにしても、食器の数が少ないし今度スクナねぇ用の食器とか買ってこないとね」
「うん…まぁ、しばらくはお客さん用のでも大丈夫だけど」
スクナねぇと楽しく食事をしながら、今までお互いに何があったかなどを話していた
俺は学校での友達とのバカ話とか、そういう感じで…スクナねぇは俺がいない家庭は寂し過ぎたとか、そんな話
そんなことをしていたらあっという間に食べ終わってしまっていた、久しぶりのスクナねぇの料理は美味しかったなぁ…
「ごちそうさま、やっぱスクナねぇの料理は最高だな」
「ふふ、お粗末様…お風呂沸かしたからね」
「スクナねぇ先に入っていいよ、今日は色々やって疲れたでしょ?」
「ううん、私は長いからトシくん先に入って…」
「そう?じゃあ先に入るよ」
俺はスクナねぇのお言葉に甘えて先に入る、まぁ男の風呂なんて10〜20分くらいだしすぐ次に回せるだろう
「シャワーで済ませることが多かったから湯船に浸かるのは久しぶりだなぁ」
俺はさっさと髪と身体を洗って湯船に浸かる、生き返るなぁ…べつに死んでないけど
「さっ、暖まったし出よっと」
俺はすぐに出て着替えるとスクナねぇのところへ行く
「スクナねぇ、次…って」
「ん…ぅ…」
「…寝てるな」
スクナねぇがリビングで可愛い寝息を立てていた、今日は疲れたんだろうなぁ
「…」
ひょいと顔を覗き込んでみる、仮面で目は隠れていているがやっぱり凄い美人だなぁ
「…ん、トシくん…」
「起きっ…いや寝言か…」
こんなに深く寝ているなら少しくらい仮面を取っても大丈夫なんじゃないか?という邪な気持ちが出てきた
「…ごくり」
俺はゆっくりと仮面に手を触れる、目が開いてなければ魔眼なんて意味はないだろうし少しなら大丈夫だろう…たぶん
「よっ…と…」
起こさないように慎重に、仮面を掴み…外した
「…やっぱ、スクナねぇは素顔が一番いいよな…」
そこにあったのは、俺の記憶にあるスクナねぇの素顔より少し大人っぽくなったスクナねぇの素顔だった
大人っぽくなったせいか、目を瞑っていても美しくて…まるで芸術品のように触れてはいけない禁忌の雰囲気を感じさせる
「よし、バレないうちに仮面を元に…」
俺が仮面を元に戻そうとした瞬間…
「わっ!?」
グルンと世界が回った、というか俺が何かに引っ張られて回った…
「…もぉ、ダメでしょートシくん…?」
すぐ近くでスクナねぇの声がした、甘く囁くような…蕩ける声
「す、スクナねぇ…寝てたんじゃ…」
「寝てたよぉ…でもね、トシくんが私に近くに来た時かなぁ…?気配を感じて、目を覚ましたんだ…でもトシくんだからって油断しちゃったなぁ…」
そりゃそうだ、あんなに敏感に知覚できるスクナねぇがすぐ側にいた俺に気づかないわけがなかった
「ふふ、ふふふふ…」
「す、スクナ…ねぇ…?」
「ねぇ…?こっち、見て…」
俺の顔に手が伸びてくる、その手は俺の顔をそっと触れて…
「あ…」
目の前には、スッと目を開いたスクナねぇの顔があった
頬を薔薇色に染め、すぐ近くで感じる吐息は熱く…そして妖しく艶やかな仄灯りを放つ瞳
その顔は、運命の男性を見つけた女性の…いや雄を見つけた時の雌か、獲物を見つけた時の獣の目に近い
いずれにせよ、そんな見たことのないスクナねぇの表情に俺は畏怖した…
畏怖、してるはずなのに…
(なんだ、これ…身体が動かないくらい怖い…筈なのに、身体が熱くて…頭がボーッと…)
それだけじゃない、こんな恐ろしい状況にも関わらずに俺の下半身は爆発するんじゃないかと言わんばかりに怒張している
「ふふ…いけないんだぁ、ココ…こぉんなにおっきくしちゃって…♪」
「う、ぁ…な、なんで…?こ、怖い…筈なのに…」
「身体が熱くてたまらないでしょ…?頭もボーッとしちゃってるよね…?」
もしかして、これがスクナねぇの…魔眼ってやつなのか…?
「本来ならね、魔眼の力でトシくんを目視した時点で私も理性が飛んじゃうんだぁ…でもまだ理性がほんのちょっとだけ残ってるの…♪それはね、たぶんトシくんが大事な大事な弟で…大好きな人だから、できることなら酷いことしたくないから…♪」
「ひ、酷いこと…しない、よね…?」
「はぁうぅぅぅ…っ♪」
俺の懇願に近い問いかけに、スクナねぇは恍惚な表情をして身体をくねらせる
「はぁ…はぁ…っ♪お姉ちゃんね、久々にトシくんの可愛い顔を見たら…我慢なんてできなくなっちゃった…♪でもでも、トシくんが悪いんだからね…?危ないって言ったのに、仮面を取っちゃうんだから…そう、これはおしおきだもん…♪だから、ちょっとくらい酷いことしちゃうのは…仕方ないんだよ…♪」
喰われる、身体の全てがそう叫びだした…
あのいつも優しくて、引っ込み思案なのに俺が関わる時だけは人一倍強さを見せて護ってくれたスクナねぇが…俺に酷いことをしようとしてる
俺が不用意に仮面を取らなかったら、こんなことにはならなかったのに…
「っ…!」
俺は迫り来る恐怖と、後悔の苦い味を噛み締めて…目を閉じてスクナねぇに覚悟を決めた
「…ちゅぅぅ…♪」
「んっ…!?」
しかし来たのは口に当たる柔らかくて気持ちのいい感触と、全身に広がる幸福感だけだった
「ちぅ…ちゅっ、じゅぅ…♪」
「んっ…はっ、す、スクナ、ね…ぇ…?」
「はぁうぅぅぅ…っ…♪おとーとの、ふぁーすときすぅ…うばっちゃったぁ…♪わたし、おねぇちゃんなのにぃ…だいじなだいじなおとーとの、ふぁーすときす、うばっちゃったよぉ…♪」
なんだかとてもスクナねぇが幸せそうだ、ファーストキスを奪った?…つまり、今のはキスされたってことか…?
「いつか、たいせつなひとにささげるはずの…おとーとのはつちゅぅ…えへへぇ…♪わ、わたしぃ…ひどすぎるよぉ〜…っ♪でもでも、しあわせ…おとーとにひどいことしたのにしあわせすぎるよぅ…♪」
…もしかして、スクナねぇの言う酷いことって…キスのことなのか?
「あの…スクナねぇ…」
「はぁうぅぅ…としくん、ごめんね…ごめんねっ…?ひどいことしちゃったよね…っ、でもおしおきだからぁ…あぅ…きらいにならないで…?」
「…酷いことって、これ…?」
「ごめんねとしくん…っ、すきなひとにささげる…はつちゅぅ…おねぇちゃんがうばっちゃったぁ…っ」
まるで大罪を犯したかのような表情のスクナねぇ、あの…俺一応喰われる恐怖とか痛みとか、死への覚悟とか決めてたんですけど…
(よくよく考えたら、スクナねぇがそんな怖いこと出来るはずないじゃん…ホラー物だって苦手だったはずだし暴力なんて程遠い性格だし)
それに魔物が人に傷害的な被害を与えるなんて、そんなの昔も昔…おとぎ話の世界だけだ
「…なんか恐怖とかまとめて全部どっか行ったわ」
自然と思考もまとまってくる、依然として身体は変に熱く下半身も変わりなく元気なのだが…
「もぉー、俺スクナねぇに殺されるかと思ったじゃん…」
「こ、ころっ…!?や、やぁぁぁぁっ…お、おねっ、おねぇ、おねぇちゃんが…そ、そっ、そんな恐ろしいことするわけ、ないでしょぉ…っ!」
ペチペチと小気味好く叩かれる、あぁうん…これがスクナねぇの精いっぱいの暴力?だよな
「ごめんって…そんな泣きそうにならないでよ…」
「…おねぇちゃん、そんなにこわかった…?」
「…んんっ、まぁ…少しだけ…?」
なんか言うと本気で泣きそうなので、本当のことは言わないことにしておこう
「…ふぁーすときす、うばってごめんね…?」
「気にすんな、どうせ当てもなかったしね」
「でも、すきなひとへの…」
「ならスクナねぇでも問題ないな」
「ぇ…?としくん…なんて…?」
「大好きなスクナねぇにファーストキス、捧げられて良かったな…って、もぉー恥ずかしいから聞き返さないでくれよ!」
「ふあぁああぁぁぁっ…としくん、としくんっ♪おねぇちゃんも、ふぁーすときすだったの…っ…おねぇちゃんもとしくんにあげれてしあわせだよぉ…っ♪」
ぎゅうっと強く抱きしめられた、ふわりと甘い匂いと抱きしめられる刺激は熱くなった身体と激しく怒張した下半身には強すぎようで…
「まっ、スクナねぇ…っ…あぁっ!?」
「えっ、なぁに…としくん、あ…このにおいって…?」
「…ごめんなさい…」
俺は情けなくもズボンの中で白濁の欲望を吐き出してしまった、うぅ…いつもならこんなことには…
しかもまだ全然元気だし…
「ううん…ごめんね、おねぇちゃんのせいだもんね…?せきにんもって、おねぇちゃんがなんとかしてあげるからね…っ」
「え、いやスクナねぇ?いくら魔眼のせいとは言えそれはちょっと、今は敏感になりすぎてて…ちょっとマジで…」
「いいから、おとーとはおねぇちゃんのいうことをききなさい…っ!」
あれよあれよとスクナねぇに服を全部ひん剥かれてしまった、過敏になった身体には触れる空気すらも刺激になる
「ま、待ってスクナねぇ…っ、俺たちは姉弟であって…」
「としくんは、わたしがすき…わたしも、としくんがすきだもん…なんにももんだいないのよ…?」
問題ありありだと思う、っていうか何ていうか目を開いてからのスクナねぇが何だかキャラが違うような…
魔眼で自分の理性が飛ぶとは言っていたが、若干幼児退行しているような気も…ああいや、幼児退行なら理性が飛んでるのも間違いではないのか?
いやでもスクナねぇ自体元々こんな感じだし…
「そもそもこんなこと、父さんと母さんが許すはずが」
「だいじょーぶ、ちゃんとわたしからせつめいするから…♪」
「いやそういうもんじゃ…」
「じゃあとしくんは、それ…ひとりですませちゃう…?わたしのちからでなっちゃってるし、ひとりじゃむりじゃないかなぁ…?」
む…たしかに、原因であるスクナねぇならどうにかしてくれると思うけど…
「ねぇ…ほら、わたしのこのても、おくちも…おっぱいも、おまんこも…からだのぜんぶをつかってきもちよくしてあげる…♪」
「う…っ…」
「としくんなんにもかんがえないで…おねぇちゃんにまかせてくれればいいんだよ…?としくんのわるいの、ぜんぶおねぇちゃんがだしてあげるから…」
…もうだめだ、これ以上スクナねぇの誘惑に耐えれそうにない
俺は声を押し殺して、首を縦に小さく振った
「はぁうぅぅ…♪それじゃ、としくん…っ♪」
「っ…」
「はぷっ…ぢゅぅぅぅううっ♪れろぉ…んっ、じゅぷっ…ちぅうぅぅぅっ♪」
「んんーっ…!」
容赦なく俺の口内にスクナねぇの長い舌が入って、激しく蹂躙する
人間では到底できない舌捌き、まともな思考なんてできるはずなく…その刺激に俺は堪える間もなく精を放出する
「ぷはぁ…っ、はぁーっ…はぁーっ…!」
「んはっ、きすだけでいっちゃったんだぁ…♪あっつぅい…♪」
放出された精はスクナねぇの下半身へとかかってしまって、スクナねぇはそれを熱いまなざしで見る
「ぅ…ごめん…」
「いいのよ、きもちよかったんだもんね…?よしよし、ちゃんとしゃせーできてえらいねぇ…♪」
キスだけでイってしまって、その放出された精はスクナねぇの下半身を汚してしまったのにも関わらずスクナねぇはよしよしと頭を撫でて褒めてくれた
「スクナねぇ…っ!」
「まだまだげんきだね…♪つぎは、こっちでしてあげる…♪」
スクナねぇは自分の服を全て脱いでしまう、全てがさらけ出されたスクナねぇの裸体を見るだけで俺は射精してしまいそうになる
「おねぇちゃん、おててできもちよくしてあげるから…としくんは、ちからぬいてててね…♪」
ぎゅうっと後ろから抱き寄せられる、頭の後ろにはスクナねぇの柔らかい胸がむにむにと形を変える
そしてスクナねぇはその手で俺の怒張した下半身の愚息を優しく握った
「おぉ…ぅ…っ」
「きもちいい…?きもちいいよねぇ…かおが、とろとろだよぉ…っ♪」
ゆっくりと上下に擦るスクナねぇ、さきほど出したからか少しだけ堪えられるようになったようですぐに射精とはいかない
「はぁっ、くぅ…っ」
「あー、がまんしてるでしょ…?そんなことしちゃだめなんだから…っ」
「うあっ!?」
「それっ…♪それっ…♪」
急にスクナねぇが握る力を強くした、そして容赦なく上下に擦りあげる
急な強い刺激に俺は頭が焼き焦げるような快感で埋め尽くされ、上下に擦るたびに何度も精を放出した
「ぐああっ!」
「わっ…すごいねぇ、いっぱい出るよぉ…♪」
「あっ、あぁっ!まっ、すくな、ねぇっ…手ぇ、止めてっ…!」
「もうがまんとかしない…?」
「しないからっ…!お願いっ!」
「…しょーがないなぁ、わたしもそろそろしたいし…♪」
すっと手が離されて、スクナねぇは精液で汚れた手を見せつけるように舐めとると俺と向き合うように体位を変えた
「あ…」
真正面からみるスクナねぇの身体は目がそらすことができないくらい綺麗で…ずっと見惚れてしまうほどの妖艶さを放っていた
「あぅ…そ、そんなにまじまじとみられるのは、はずかしいかな…」
「ごめん、でも…綺麗で…その…」
「あやまらなくていーの、それよりほら…おねぇちゃんもえっちなきぶんになってるの、わかる?」
スクナねぇは人間でいう足と足の付け根に辺る部位、つまりは自分の秘所を見せつけるように開く
桜色の割れ目の奥からはこぷりと粘り気のある体液が止めなく溢れていて、それはスクナねぇも準備ができているという証拠だ
「本当に、するんだ…」
「うんっ…♪としくんのどーてーは、おねぇちゃんがいただいちゃいますっ♪」
覆いかぶさるようにスクナねぇは俺の上にくる、そしてまるで捕食するかのように俺の怒張した下半身の愚息はスクナねぇの秘所に飲み込まれていく
「ひゅあぁっ…♪」
「うぁ…っ、くっ…!」
まるで熱い泥が絡みついてくるような、容赦なく精を吐き出させるための快感が俺の下半身を溶かす
まだ半分も挿入されてすらいないにも関わらず、気づかぬうちに何度も精を吐き出していた
「あぁっ♪あつい、あついよぉっ…♪もっと、おくまでいれるからねぇっ…♪」
「ぐっ、うぅぅぅっ…!」
一瞬にも永遠にも感じる快楽の波に全身を強張らせ、歯をくいしばるがそんなことでは到底抗うことができない快感が脳を焦がした
「おくまでぇ…♪ひぁあぁあぁぁっ♪ああぅっ♪」
「あぐぅぅぅぅっ…!」
スクナねぇの一番奥まで入った瞬間だった、今までよりもさらに大きな快楽の波が押し寄せてきた
下半身が飛び散ってしまうんじゃないかというほどに感じる、その快楽は大量の精をスクナねぇの一番デリケートな場所に叩きつけられた
「ひゅあぁぁあぁあぁぁぁぁっ♪」
「ぐぁぁぁっ!ぐっ、ぐぅぅうっ!」
快楽の波に全身を打たれ、まともな思考なんて出来たはずがなかった…残ったのは心地よい疲れと、スクナねぇの柔らかい身体の感触
「はぁーっ…♪はぁーっ…♪」
「ぁーっ…!…っ…!」
俺はそのまま力つきるように大の字に転がり、スクナねぇも俺の上に倒れこんできた
そしてお互い繋がりあったまま、意識は完全に夢の世界に飛んでしまった…
…
「…トシくん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない、動けないよ…」
あれから数時間、スクナねぇは先に起きていて何事も無かったかのように仮面をつけ直して後始末をしていた
俺はというと、疲れからか魔眼の影響がまだ残っているのか…全然動けないでいた
「魔眼の影響なら、もうしばらくしたら大丈夫だと思うけど…」
「うぁー、おねぇちゃんだっこして部屋まで連れてってー」
「もぉ、甘えん坊さんなんだから…♪いいよ、おねぇちゃんがだっこしてあげるね…♪」
ひょいっと軽々しく俺を抱き上げるスクナねぇ、大人しそうに見えるが魔物なので普通の成人男性より力持ちなのだ
「はいっ、服も新しいのに着替えさせてあげるねっ…♪」
「それはちょっと…って、身体動かないしお願いします…」
「えへへ…っ、なんだか昔に戻ったみたい…♪」
昔からスクナねぇにはおんぶだっこだったなぁ
「せっかくだから、スクナねぇ今日はここで寝なよ」
「いいの…?」
「今日は、っていうか今日からはスクナねぇと一緒に寝たいかな」
「もぉ、おねぇちゃんっ子なんだから…トシくんは…っ♪」
「お姉ちゃんでもあるし、恋人だしさ」
「え、えへへ…そうだね…♪」
あー、そういえば親になんて言おうかなぁ…
「スクナねぇ、父さん母さんにどう説明しようか」
「あ、まだトシくんが寝てる時に説明したよ…?」
「えっ」
「トシくんとお姉ちゃんは、めでたく結ばれましたって…♪そしたら、式の話し合いとかあるから一度戻ってこいって…お父さんとお母さん笑ってたよ?」
うーん、あまりにも軽過ぎるノリ…まぁスクナねぇは魔物だしそこらへんゆるいのかもしれないけどさ
「まずはちゃんと学校卒業して、スクナねぇを養わなくちゃな」
「そんなことしなくても…私がトシくんを養ってあげるよ…?」
「スクナねぇには、仕事で疲れた俺を癒す妻の役目があるんで仕事するのはダメです!」
「あぅ…姉さん女房って、やつなのかな…?」
「ともかく疲れたから、寝よう…スクナねぇ抱きしめて〜」
「はいはい、甘えん坊さん…♪」
家庭の都合で十分過ぎるほどの仕送りで自由気ままな一人暮らしだし、今いる家は一人じゃ広過ぎるマンションの一室
不自由なんて何一つない素晴らしい環境のはずだ、しかし俺はこの家にやってきてから何か楽しむと言うのをすっかり忘れてしまっていた
何かに忙しい、というわけではないが…友達と遊ぶにしてもゲームするにしてもずっと何かが足りない
その原因を俺は知っている、知っているが…どうにかなるもんじゃない
俺には姉がいた、姉は魔物でラミア種の…普通とはちょっと違うバジリスクという魔物だった
俺がこっちで一人暮らしをする少し前…姉は魔物としての力を制御出来なくなってしまったらしく、その影響が及ばないようにするために親が俺をこちらに避難させたのだ
当然俺は反対した、俺は姉が好きだったし一人暮らしに不安もあった
そんな俺が承諾して今この家にいるのは、姉自身に叱られたからだ
その時のことは今でも鮮明に覚えている、何しろそれが俺の中の最後の姉だったから
「もう、トシくんっ…お父さんとお母さんを困らせたらダメだよ…っ?大丈夫だから、いい子のトシくんなら…お姉ちゃんの言うこと聞けるよね…?」
姉はその時の、大きく目を覆う仮面を着けていた…後で話を聞くと、あの時すでに制御が効かなくなっていた状況だったらしい
バジリスクというのは魔眼という、目に特殊な力が宿っている。バジリスク自身その力を上手く制御出来ないので、基本的にみんな目を塞ぐ仮面をつけるのだとか
姉もその例に漏れず、成長して力が制御出来なくなってしまって…その力が及ばないように仮面を着けていた
小さい頃は力が未熟なため仮面をつける必要はないそうで、昔は姉の顔…目を見ることができたのに
そんなわけで俺は姉がいないこの生活に退屈しかなくなっていたのだ
…というのは今までの話だ、なんと今日その姉がこっちの家に来ることになった
力を完全に制御出来たわけじゃないが、仮面を着けたままなら力の暴走とかはしなくなって危険がなくなったらしい
俺も一人暮らしである程度立派になったから、親が一緒に暮らすことに許可を出してくれたそうだ
あの日から一度も声を聞いてない、姿も見てない姉がようやく戻ってきてくれるんだ
「…!来た!」
部屋のインターホンが鳴る、俺はドタバタと玄関まで駆け寄ってドアを開けた
「おかえり、スクナねぇ…!」
「ただいま、トシくん…っ♪」
そこには記憶とあまり変わらない姉の姿があった、後ろ髪を長いおさげにして…ラミア種特有の長い下半身で、やはり目を塞ぐ仮面。
変わっていたのは成長して大きくなった身体くらいのものだ
姉…スクナねぇは身体全体を絡みつかせ俺を抱きしめる。
俺も今までの寂しさを埋めるように強く抱きしめた
「ふぁ…っ…♪」
するとスクナねぇが顔を真っ赤にしてフラリと倒れ込んできた、もしかしてここまで来る間に何かあったのだろうか
「す、スクナねぇ!?」
「と、トシくん…っ、ちょっ、と…近過ぎ…っ…♪」
そう言うとスクナねぇは少しだけ俺から離れると深呼吸する
「大丈夫、スクナねぇ」
「ご、ごめんね…久しぶりで、ちょっとだけ刺激が強過ぎたみたいで…」
そういえばバジリスクは仮面で目が見えない代わりに優れた知覚能力があって、側に近過ぎると刺激を強く感じ過ぎて大変だとか
「ううん大丈夫だよ、俺も不用意に近寄り過ぎたみたいで…もうちょっと気をつけるよ」
「うぅ…お姉ちゃん的にそれも悲しいよぉ…」
「えっ、じゃあ近寄る?」
「そ、それはもっとダメぇ…っ!」
うーん、バジリスクというのは距離感が難しい魔物のようだ
「でもよかった…トシくん、立派になったんだね…♪」
「えっ、見えないでも分かるの?」
「うん…さっき抱きしめた時にね」
「まぁ、俺もスクナねぇに甘えるだけじゃなかったってことだな」
「…トシくん、よしよし♪」
不意にスクナねぇに頭を撫でられる、久々だな…こうやって頭を撫でられるのは
「ん…スクナねぇ」
「トシくんはえらいね…私が迷惑を掛けたのに、こんなに立派になって」
「えらくなんてないさ、ただ寂しさを誤魔化してた結果だよ」
「…もう、これからはお姉ちゃんが一緒だからね…寂しくないよ」
ぎゅっとスクナねぇが抱きしめてくれる、これも大分懐かしいな…この長い身体の柔らかくてスクナねぇの甘い匂いがして落ち着く
「スクナねぇ、自分から近づくのは大丈夫なんだ?」
「うん、不意に来ると刺激が強くてびっくりしちゃうだけだから…」
「…ねぇ、スクナねぇ…もうちょっとだけこのままがいいな」
「はぅ…♪トシくん…そうだよね、寂しがらせちゃったから…好きなだけお姉ちゃんに甘えていいんだよ…♪」
「わぁい、スクナねぇ大好き」
「ふふ…お姉ちゃんも、大好きだからね…♪」
…
しばらくスクナねぇに抱きしめてもらって、俺はスクナねぇに空いてる部屋を案内した
と言ってもマンションの一室だしそんな多くないため、スクナねぇは俺の隣の空いていた部屋を使うことになった
「あっちが風呂で、飯はあのリビング…っていうかただの広間だけど」
「ご飯とかの材料は買ってあるのかな…?」
「え、あ…飯は、いつも近くのスーパーのお惣菜だったから…」
「むっ…トシくん、それどういうこと…?」
「…すいません、自炊とかたまにしかしてないんです」
「通りで調理器具が変に綺麗なはず…もう、ダメだよトシくん…ちゃんとしたもの食べないと…!」
ペシッと軽く頭をはたかれてしまった、だってお惣菜のほうが楽なんです…仕方なかったんです…
「やっぱり、お姉ちゃんがいないとダメなんだから…♪」
「申し訳ない…」
「大丈夫…これからはお姉ちゃんが、栄養のあるもの沢山作ってあげられるからね…♪」
そういえばスクナねぇは料理が得意だったな、家では母さんと料理している姿をよく見た
「でもスクナねぇ、見えないのに料理なんて危ないんじゃ…」
「それは大丈夫、ちゃんとそれも練習したんだよ…?いつかまた、トシくんに料理を作ってあげられるように…だから心配いらないからね」
まぁ目が見えないで何年も経ってるわけだし、スクナねぇならそれくらいならできるのだろう…昔から何かとスクナねぇは優秀だったし
「じゃあ今日のご飯は期待しちゃおうかな!」
「ふふ、それなら材料買わなくちゃね…?」
「スクナねぇ、ここら辺まだ分かんないでしょ?買い物なら俺が行ってくるよ」
凄い久しぶりにスクナねぇのご飯が食べられる、俺は浮かれてすぐに外に行こうとするとスクナねぇに止められる
「ま、待って…!」
「え、何」
「私も一緒に、だよ…?せっかく二人になれたんだから…」
ちょっとふくれた顔のスクナねぇ、そうか…スクナねぇってば結構寂しがり屋さんだったな
いかんいかん、普段から一人でなんでもやるようになってからはあまり考えずに行動することが多くなったからなぁ
「ご、ごめんなさい…」
「ふふ…さっきから、謝ってばっかりだよ…?」
「あ、はは…やっぱあんまり変わってないかもなぁ俺」
「そうだよ…トシくんはやっぱり、お姉ちゃんがいないとダメなんだから…♪」
「そうだなぁ…スクナねぇがいるとそれを常々思い知らされるよ」
親の十分な仕送りがなかったら死んでたかもなぁ、俺
いやこんなまだ学生の身で無理に一人暮らしさせる親側にも問題あるだろうし、俺だけのせいではないはず!
「とりあえず、トシくんは私をスーパーまで案内してね…?」
「はいよ、かしこまり!」
俺はスクナねぇの手を引いて外に出る、スクナねぇは一瞬驚いたような顔をしたがすぐに俺の手を握り返してついてきてくれた
こうやって手を繋ぐのも数年ぶりか、もう手なんか繋ぐ歳じゃないけど…いいんだ俺はお姉ちゃんっ子だからな
「こっちがスーパーだよ」
「…ふふっ♪」
「…?どうしたのさ、スクナねぇ」
「…こうやってトシくんと出掛けるの、すっごい久しぶりだなって」
「そうだなぁ、すごい久しぶりだよね」
スクナねぇと一緒にスーパーにやってきた、スクナねぇは目が見えないけど材料の良し悪しが分かるらしい
「これくらいでいいかな…」
「スクナねぇ、なんで見えないのに材料の良し悪しが分かるの?」
「なんかこう、知覚するのを極めるとビビッと来るようになるの…」
「…うーん、よく分からないな」
「あはは、魔物特有の力なのかもね…?」
「ふーん、あ…」
レジに行く途中にお菓子コーナーを通りすがった、なんか買おうかな
「…だめだよ、トシくん…?」
「えーっ」
「お菓子買ったら、お菓子ばっかり食べてご飯はいらなくなっちゃうよ…?」
「いくらなんでもそんな子供じゃないって」
「んー…」
「スクナねぇ、だめ…?」
俺は精一杯の可愛らしさを出して甘えてみる、弟に甘えられて甘やかさない姉なんていないはず…!
「ぅ…そ、そんな可愛いことしたって…」
「お姉ちゃん…買って…?」
「…っ、も、もぉ…一個だけだからね…っ?」
「やったぜ。」
そんなたわいのない会話をしながらも楽しく買い物を終えた、ただの買い物なのにスクナねぇと一緒だと楽しいなぁ
「私ご飯の用意するから、トシくんはゆっくりしててね…?」
「んじゃテレビでも見てるかな」
俺はスクナねぇが料理の準備をしている後ろで適当にテレビをつける
「…この時間帯って何もやってないのな」
やってるのはニュースだとかそんなつまらないのばかりだ、最近は面白いニュースもやらないしなぁ
…いかん、ニュースの淡々とした音声聞いてたら眠くなってきたな
「…ぐぅ」
「あれ、トシくん…寝ちゃってるの?こんな地べたで寝たら体痛くなっちゃうよ…」
おぼろげな意識の中、ふわっと頭が浮いたと思ったらいい匂いがして…柔らかくて暖かい枕みたいなのが頭の下にきた
この感触、この匂い…昔なんかで感じたことがあるような…
「ん〜…?」
「あ、ごめん…起こしちゃったかな…」
「スクナ、ねぇ…か…ごめん落ちかけてた…」
目の前には見上げる形でスクナねぇがいた、ってことはこの枕は…?
「…スクナねぇ、膝枕してくれてる?」
「うん…地べたに直接寝てたら辛いと思って…」
「…懐かしいな、スクナねぇの膝枕…」
普通の人間とは違う、独特の柔らかさでいい匂いのするスクナねぇの膝枕…いやスクナねぇの場合は膝じゃないんだけどさ
「まだごはんじゃないから寝てて大丈夫だよ…?」
「…ん、なんか…気持ちいい枕もあるし…そうする…」
「えへへ…いい子いい子…♪」
「…むにゃ」
「…ほんと、久しぶりだよ…こうやって膝枕してあげるのも…頭をなでなでしてあげるのも…」
なんかスクナねぇが言ってるなぁ、でももう眠くて聞き取れないや…
「私ね、トシくんに会うために頑張ったんだよ…?トシくんが危なくないように、目を塞いで…トシくんの顔が分からなくなっちゃうのは辛いけど…トシくんを危険な目に遭わせるのはもっと辛いから…」
ごめんスクナねぇ…たぶん、俺に言ってるんだろうけど…眠くて…
「頑張って頑張って頑張って…ようやく、戻ってこれたの…トシくん、もう離さないからね…トシくんに寂しい思いなんてさせないからね…?」
「すく、な…ね…ぇ…zzz…」
「ふふ、夢に私がいるのかな…?嬉しいな…お姉ちゃんも、一瞬たりとも忘れたことないよ…トシくんだけのことを考えてたから…これからはずっと、一緒だからね…」
…
「…いっけね!完全に寝落ちしてた!」
「そんな経ってないから大丈夫だよ…?」
時計を見るとさっきから30分くらい経っていた、俺30分もスクナねぇに膝枕させてたのか
「ごめん、疲れたでしょ?」
「ううん、むしろ元気かな…久々にトシくんに膝枕させてあげれて」
「いやそんな気を遣わなくても…」
「気なんか遣ってないよ…?お姉ちゃんは、可愛い弟に膝枕してあげたら…すごい幸せになる生き物なんだからね?」
スクナねぇというか、いやぁ…姉ってすごいなぁ
「そろそろご飯にしよっか…?」
「うん、お腹すいたよ」
テキパキと食事の準備を進めるスクナねぇにお皿を渡したりして手伝い、いつもは寂しいお惣菜しか乗らないテーブルは一気に華やかになった
「わぁ…美味そうだなぁ」
「お料理も、昔より上手くなったんだよ…トシくんに作ってあげるために」
「前から得意だったのに今はさらに上達したのか、目が見えないハンデあるのに凄いなぁ」
「お姉ちゃんは弟の為なら、無限の力を発揮するのよ…?」
姉ってすごい、改めて俺はそう思った
「それにしても、食器の数が少ないし今度スクナねぇ用の食器とか買ってこないとね」
「うん…まぁ、しばらくはお客さん用のでも大丈夫だけど」
スクナねぇと楽しく食事をしながら、今までお互いに何があったかなどを話していた
俺は学校での友達とのバカ話とか、そういう感じで…スクナねぇは俺がいない家庭は寂し過ぎたとか、そんな話
そんなことをしていたらあっという間に食べ終わってしまっていた、久しぶりのスクナねぇの料理は美味しかったなぁ…
「ごちそうさま、やっぱスクナねぇの料理は最高だな」
「ふふ、お粗末様…お風呂沸かしたからね」
「スクナねぇ先に入っていいよ、今日は色々やって疲れたでしょ?」
「ううん、私は長いからトシくん先に入って…」
「そう?じゃあ先に入るよ」
俺はスクナねぇのお言葉に甘えて先に入る、まぁ男の風呂なんて10〜20分くらいだしすぐ次に回せるだろう
「シャワーで済ませることが多かったから湯船に浸かるのは久しぶりだなぁ」
俺はさっさと髪と身体を洗って湯船に浸かる、生き返るなぁ…べつに死んでないけど
「さっ、暖まったし出よっと」
俺はすぐに出て着替えるとスクナねぇのところへ行く
「スクナねぇ、次…って」
「ん…ぅ…」
「…寝てるな」
スクナねぇがリビングで可愛い寝息を立てていた、今日は疲れたんだろうなぁ
「…」
ひょいと顔を覗き込んでみる、仮面で目は隠れていているがやっぱり凄い美人だなぁ
「…ん、トシくん…」
「起きっ…いや寝言か…」
こんなに深く寝ているなら少しくらい仮面を取っても大丈夫なんじゃないか?という邪な気持ちが出てきた
「…ごくり」
俺はゆっくりと仮面に手を触れる、目が開いてなければ魔眼なんて意味はないだろうし少しなら大丈夫だろう…たぶん
「よっ…と…」
起こさないように慎重に、仮面を掴み…外した
「…やっぱ、スクナねぇは素顔が一番いいよな…」
そこにあったのは、俺の記憶にあるスクナねぇの素顔より少し大人っぽくなったスクナねぇの素顔だった
大人っぽくなったせいか、目を瞑っていても美しくて…まるで芸術品のように触れてはいけない禁忌の雰囲気を感じさせる
「よし、バレないうちに仮面を元に…」
俺が仮面を元に戻そうとした瞬間…
「わっ!?」
グルンと世界が回った、というか俺が何かに引っ張られて回った…
「…もぉ、ダメでしょートシくん…?」
すぐ近くでスクナねぇの声がした、甘く囁くような…蕩ける声
「す、スクナねぇ…寝てたんじゃ…」
「寝てたよぉ…でもね、トシくんが私に近くに来た時かなぁ…?気配を感じて、目を覚ましたんだ…でもトシくんだからって油断しちゃったなぁ…」
そりゃそうだ、あんなに敏感に知覚できるスクナねぇがすぐ側にいた俺に気づかないわけがなかった
「ふふ、ふふふふ…」
「す、スクナ…ねぇ…?」
「ねぇ…?こっち、見て…」
俺の顔に手が伸びてくる、その手は俺の顔をそっと触れて…
「あ…」
目の前には、スッと目を開いたスクナねぇの顔があった
頬を薔薇色に染め、すぐ近くで感じる吐息は熱く…そして妖しく艶やかな仄灯りを放つ瞳
その顔は、運命の男性を見つけた女性の…いや雄を見つけた時の雌か、獲物を見つけた時の獣の目に近い
いずれにせよ、そんな見たことのないスクナねぇの表情に俺は畏怖した…
畏怖、してるはずなのに…
(なんだ、これ…身体が動かないくらい怖い…筈なのに、身体が熱くて…頭がボーッと…)
それだけじゃない、こんな恐ろしい状況にも関わらずに俺の下半身は爆発するんじゃないかと言わんばかりに怒張している
「ふふ…いけないんだぁ、ココ…こぉんなにおっきくしちゃって…♪」
「う、ぁ…な、なんで…?こ、怖い…筈なのに…」
「身体が熱くてたまらないでしょ…?頭もボーッとしちゃってるよね…?」
もしかして、これがスクナねぇの…魔眼ってやつなのか…?
「本来ならね、魔眼の力でトシくんを目視した時点で私も理性が飛んじゃうんだぁ…でもまだ理性がほんのちょっとだけ残ってるの…♪それはね、たぶんトシくんが大事な大事な弟で…大好きな人だから、できることなら酷いことしたくないから…♪」
「ひ、酷いこと…しない、よね…?」
「はぁうぅぅぅ…っ♪」
俺の懇願に近い問いかけに、スクナねぇは恍惚な表情をして身体をくねらせる
「はぁ…はぁ…っ♪お姉ちゃんね、久々にトシくんの可愛い顔を見たら…我慢なんてできなくなっちゃった…♪でもでも、トシくんが悪いんだからね…?危ないって言ったのに、仮面を取っちゃうんだから…そう、これはおしおきだもん…♪だから、ちょっとくらい酷いことしちゃうのは…仕方ないんだよ…♪」
喰われる、身体の全てがそう叫びだした…
あのいつも優しくて、引っ込み思案なのに俺が関わる時だけは人一倍強さを見せて護ってくれたスクナねぇが…俺に酷いことをしようとしてる
俺が不用意に仮面を取らなかったら、こんなことにはならなかったのに…
「っ…!」
俺は迫り来る恐怖と、後悔の苦い味を噛み締めて…目を閉じてスクナねぇに覚悟を決めた
「…ちゅぅぅ…♪」
「んっ…!?」
しかし来たのは口に当たる柔らかくて気持ちのいい感触と、全身に広がる幸福感だけだった
「ちぅ…ちゅっ、じゅぅ…♪」
「んっ…はっ、す、スクナ、ね…ぇ…?」
「はぁうぅぅぅ…っ…♪おとーとの、ふぁーすときすぅ…うばっちゃったぁ…♪わたし、おねぇちゃんなのにぃ…だいじなだいじなおとーとの、ふぁーすときす、うばっちゃったよぉ…♪」
なんだかとてもスクナねぇが幸せそうだ、ファーストキスを奪った?…つまり、今のはキスされたってことか…?
「いつか、たいせつなひとにささげるはずの…おとーとのはつちゅぅ…えへへぇ…♪わ、わたしぃ…ひどすぎるよぉ〜…っ♪でもでも、しあわせ…おとーとにひどいことしたのにしあわせすぎるよぅ…♪」
…もしかして、スクナねぇの言う酷いことって…キスのことなのか?
「あの…スクナねぇ…」
「はぁうぅぅ…としくん、ごめんね…ごめんねっ…?ひどいことしちゃったよね…っ、でもおしおきだからぁ…あぅ…きらいにならないで…?」
「…酷いことって、これ…?」
「ごめんねとしくん…っ、すきなひとにささげる…はつちゅぅ…おねぇちゃんがうばっちゃったぁ…っ」
まるで大罪を犯したかのような表情のスクナねぇ、あの…俺一応喰われる恐怖とか痛みとか、死への覚悟とか決めてたんですけど…
(よくよく考えたら、スクナねぇがそんな怖いこと出来るはずないじゃん…ホラー物だって苦手だったはずだし暴力なんて程遠い性格だし)
それに魔物が人に傷害的な被害を与えるなんて、そんなの昔も昔…おとぎ話の世界だけだ
「…なんか恐怖とかまとめて全部どっか行ったわ」
自然と思考もまとまってくる、依然として身体は変に熱く下半身も変わりなく元気なのだが…
「もぉー、俺スクナねぇに殺されるかと思ったじゃん…」
「こ、ころっ…!?や、やぁぁぁぁっ…お、おねっ、おねぇ、おねぇちゃんが…そ、そっ、そんな恐ろしいことするわけ、ないでしょぉ…っ!」
ペチペチと小気味好く叩かれる、あぁうん…これがスクナねぇの精いっぱいの暴力?だよな
「ごめんって…そんな泣きそうにならないでよ…」
「…おねぇちゃん、そんなにこわかった…?」
「…んんっ、まぁ…少しだけ…?」
なんか言うと本気で泣きそうなので、本当のことは言わないことにしておこう
「…ふぁーすときす、うばってごめんね…?」
「気にすんな、どうせ当てもなかったしね」
「でも、すきなひとへの…」
「ならスクナねぇでも問題ないな」
「ぇ…?としくん…なんて…?」
「大好きなスクナねぇにファーストキス、捧げられて良かったな…って、もぉー恥ずかしいから聞き返さないでくれよ!」
「ふあぁああぁぁぁっ…としくん、としくんっ♪おねぇちゃんも、ふぁーすときすだったの…っ…おねぇちゃんもとしくんにあげれてしあわせだよぉ…っ♪」
ぎゅうっと強く抱きしめられた、ふわりと甘い匂いと抱きしめられる刺激は熱くなった身体と激しく怒張した下半身には強すぎようで…
「まっ、スクナねぇ…っ…あぁっ!?」
「えっ、なぁに…としくん、あ…このにおいって…?」
「…ごめんなさい…」
俺は情けなくもズボンの中で白濁の欲望を吐き出してしまった、うぅ…いつもならこんなことには…
しかもまだ全然元気だし…
「ううん…ごめんね、おねぇちゃんのせいだもんね…?せきにんもって、おねぇちゃんがなんとかしてあげるからね…っ」
「え、いやスクナねぇ?いくら魔眼のせいとは言えそれはちょっと、今は敏感になりすぎてて…ちょっとマジで…」
「いいから、おとーとはおねぇちゃんのいうことをききなさい…っ!」
あれよあれよとスクナねぇに服を全部ひん剥かれてしまった、過敏になった身体には触れる空気すらも刺激になる
「ま、待ってスクナねぇ…っ、俺たちは姉弟であって…」
「としくんは、わたしがすき…わたしも、としくんがすきだもん…なんにももんだいないのよ…?」
問題ありありだと思う、っていうか何ていうか目を開いてからのスクナねぇが何だかキャラが違うような…
魔眼で自分の理性が飛ぶとは言っていたが、若干幼児退行しているような気も…ああいや、幼児退行なら理性が飛んでるのも間違いではないのか?
いやでもスクナねぇ自体元々こんな感じだし…
「そもそもこんなこと、父さんと母さんが許すはずが」
「だいじょーぶ、ちゃんとわたしからせつめいするから…♪」
「いやそういうもんじゃ…」
「じゃあとしくんは、それ…ひとりですませちゃう…?わたしのちからでなっちゃってるし、ひとりじゃむりじゃないかなぁ…?」
む…たしかに、原因であるスクナねぇならどうにかしてくれると思うけど…
「ねぇ…ほら、わたしのこのても、おくちも…おっぱいも、おまんこも…からだのぜんぶをつかってきもちよくしてあげる…♪」
「う…っ…」
「としくんなんにもかんがえないで…おねぇちゃんにまかせてくれればいいんだよ…?としくんのわるいの、ぜんぶおねぇちゃんがだしてあげるから…」
…もうだめだ、これ以上スクナねぇの誘惑に耐えれそうにない
俺は声を押し殺して、首を縦に小さく振った
「はぁうぅぅ…♪それじゃ、としくん…っ♪」
「っ…」
「はぷっ…ぢゅぅぅぅううっ♪れろぉ…んっ、じゅぷっ…ちぅうぅぅぅっ♪」
「んんーっ…!」
容赦なく俺の口内にスクナねぇの長い舌が入って、激しく蹂躙する
人間では到底できない舌捌き、まともな思考なんてできるはずなく…その刺激に俺は堪える間もなく精を放出する
「ぷはぁ…っ、はぁーっ…はぁーっ…!」
「んはっ、きすだけでいっちゃったんだぁ…♪あっつぅい…♪」
放出された精はスクナねぇの下半身へとかかってしまって、スクナねぇはそれを熱いまなざしで見る
「ぅ…ごめん…」
「いいのよ、きもちよかったんだもんね…?よしよし、ちゃんとしゃせーできてえらいねぇ…♪」
キスだけでイってしまって、その放出された精はスクナねぇの下半身を汚してしまったのにも関わらずスクナねぇはよしよしと頭を撫でて褒めてくれた
「スクナねぇ…っ!」
「まだまだげんきだね…♪つぎは、こっちでしてあげる…♪」
スクナねぇは自分の服を全て脱いでしまう、全てがさらけ出されたスクナねぇの裸体を見るだけで俺は射精してしまいそうになる
「おねぇちゃん、おててできもちよくしてあげるから…としくんは、ちからぬいてててね…♪」
ぎゅうっと後ろから抱き寄せられる、頭の後ろにはスクナねぇの柔らかい胸がむにむにと形を変える
そしてスクナねぇはその手で俺の怒張した下半身の愚息を優しく握った
「おぉ…ぅ…っ」
「きもちいい…?きもちいいよねぇ…かおが、とろとろだよぉ…っ♪」
ゆっくりと上下に擦るスクナねぇ、さきほど出したからか少しだけ堪えられるようになったようですぐに射精とはいかない
「はぁっ、くぅ…っ」
「あー、がまんしてるでしょ…?そんなことしちゃだめなんだから…っ」
「うあっ!?」
「それっ…♪それっ…♪」
急にスクナねぇが握る力を強くした、そして容赦なく上下に擦りあげる
急な強い刺激に俺は頭が焼き焦げるような快感で埋め尽くされ、上下に擦るたびに何度も精を放出した
「ぐああっ!」
「わっ…すごいねぇ、いっぱい出るよぉ…♪」
「あっ、あぁっ!まっ、すくな、ねぇっ…手ぇ、止めてっ…!」
「もうがまんとかしない…?」
「しないからっ…!お願いっ!」
「…しょーがないなぁ、わたしもそろそろしたいし…♪」
すっと手が離されて、スクナねぇは精液で汚れた手を見せつけるように舐めとると俺と向き合うように体位を変えた
「あ…」
真正面からみるスクナねぇの身体は目がそらすことができないくらい綺麗で…ずっと見惚れてしまうほどの妖艶さを放っていた
「あぅ…そ、そんなにまじまじとみられるのは、はずかしいかな…」
「ごめん、でも…綺麗で…その…」
「あやまらなくていーの、それよりほら…おねぇちゃんもえっちなきぶんになってるの、わかる?」
スクナねぇは人間でいう足と足の付け根に辺る部位、つまりは自分の秘所を見せつけるように開く
桜色の割れ目の奥からはこぷりと粘り気のある体液が止めなく溢れていて、それはスクナねぇも準備ができているという証拠だ
「本当に、するんだ…」
「うんっ…♪としくんのどーてーは、おねぇちゃんがいただいちゃいますっ♪」
覆いかぶさるようにスクナねぇは俺の上にくる、そしてまるで捕食するかのように俺の怒張した下半身の愚息はスクナねぇの秘所に飲み込まれていく
「ひゅあぁっ…♪」
「うぁ…っ、くっ…!」
まるで熱い泥が絡みついてくるような、容赦なく精を吐き出させるための快感が俺の下半身を溶かす
まだ半分も挿入されてすらいないにも関わらず、気づかぬうちに何度も精を吐き出していた
「あぁっ♪あつい、あついよぉっ…♪もっと、おくまでいれるからねぇっ…♪」
「ぐっ、うぅぅぅっ…!」
一瞬にも永遠にも感じる快楽の波に全身を強張らせ、歯をくいしばるがそんなことでは到底抗うことができない快感が脳を焦がした
「おくまでぇ…♪ひぁあぁあぁぁっ♪ああぅっ♪」
「あぐぅぅぅぅっ…!」
スクナねぇの一番奥まで入った瞬間だった、今までよりもさらに大きな快楽の波が押し寄せてきた
下半身が飛び散ってしまうんじゃないかというほどに感じる、その快楽は大量の精をスクナねぇの一番デリケートな場所に叩きつけられた
「ひゅあぁぁあぁあぁぁぁぁっ♪」
「ぐぁぁぁっ!ぐっ、ぐぅぅうっ!」
快楽の波に全身を打たれ、まともな思考なんて出来たはずがなかった…残ったのは心地よい疲れと、スクナねぇの柔らかい身体の感触
「はぁーっ…♪はぁーっ…♪」
「ぁーっ…!…っ…!」
俺はそのまま力つきるように大の字に転がり、スクナねぇも俺の上に倒れこんできた
そしてお互い繋がりあったまま、意識は完全に夢の世界に飛んでしまった…
…
「…トシくん、大丈夫?」
「大丈夫じゃない、動けないよ…」
あれから数時間、スクナねぇは先に起きていて何事も無かったかのように仮面をつけ直して後始末をしていた
俺はというと、疲れからか魔眼の影響がまだ残っているのか…全然動けないでいた
「魔眼の影響なら、もうしばらくしたら大丈夫だと思うけど…」
「うぁー、おねぇちゃんだっこして部屋まで連れてってー」
「もぉ、甘えん坊さんなんだから…♪いいよ、おねぇちゃんがだっこしてあげるね…♪」
ひょいっと軽々しく俺を抱き上げるスクナねぇ、大人しそうに見えるが魔物なので普通の成人男性より力持ちなのだ
「はいっ、服も新しいのに着替えさせてあげるねっ…♪」
「それはちょっと…って、身体動かないしお願いします…」
「えへへ…っ、なんだか昔に戻ったみたい…♪」
昔からスクナねぇにはおんぶだっこだったなぁ
「せっかくだから、スクナねぇ今日はここで寝なよ」
「いいの…?」
「今日は、っていうか今日からはスクナねぇと一緒に寝たいかな」
「もぉ、おねぇちゃんっ子なんだから…トシくんは…っ♪」
「お姉ちゃんでもあるし、恋人だしさ」
「え、えへへ…そうだね…♪」
あー、そういえば親になんて言おうかなぁ…
「スクナねぇ、父さん母さんにどう説明しようか」
「あ、まだトシくんが寝てる時に説明したよ…?」
「えっ」
「トシくんとお姉ちゃんは、めでたく結ばれましたって…♪そしたら、式の話し合いとかあるから一度戻ってこいって…お父さんとお母さん笑ってたよ?」
うーん、あまりにも軽過ぎるノリ…まぁスクナねぇは魔物だしそこらへんゆるいのかもしれないけどさ
「まずはちゃんと学校卒業して、スクナねぇを養わなくちゃな」
「そんなことしなくても…私がトシくんを養ってあげるよ…?」
「スクナねぇには、仕事で疲れた俺を癒す妻の役目があるんで仕事するのはダメです!」
「あぅ…姉さん女房って、やつなのかな…?」
「ともかく疲れたから、寝よう…スクナねぇ抱きしめて〜」
「はいはい、甘えん坊さん…♪」
16/03/15 23:12更新 / ミドリマメ