番外編「お姉ちゃん達のバレンタイン」
<シャクヤ姉さま編>
「さてたー坊よ、ワシが何故お前を部屋まで呼んだか分かるか?」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺はシャクヤ姉さまに部屋へと呼び出された
わざわざ姉さまの部屋へと呼び出されるなんて…俺は何かしてしまったのだろうか
「な、なんやろうか…俺もしかして何か姉さまに叱られるようなことでもしたんか?」
「…ほぉ?たー坊はワシに呼び出される時はそんな風に思っとったのか、それとも何か心当たりがあるのかのぅ」
「えっ!?い、いやそんなことはないんやけど…ただその…!」
「たわけ、いちいち可愛く怯えるでない。別に特にそんな用事はないんじゃが、その…ほれ、あれじゃ…今日は何日じゃ?」
「今日?…14日、やけど…」
「そうじゃ、2月14日…バレンタインデーじゃよ」
バレンタインデー…あぁ!バレンタインか、そういえばそうだった
姉さま達と離れ離れになってからはそんなイベントからは疎遠だったから忘れてたな
「じゃからな…ほれ、ワシからじゃ」
「え、姉さまが…俺に?」
姉さまは俺に包装された小さな箱を渡してくれた、もしかして手作りだろうか
「開けてええんか、姉さま」
「ああ、構わぬ」
包装紙を剥がし、箱を開けると中には小さなちょっと歪なハートの形をしたチョコレートが一つだけ入っていた
「う、うむ…もっと大きくて、ちゃんとしたハートの形にしようとしたのじゃがな?その、ちょっと不慣れで…嫌だったら…」
「おお、俺チョコ大好きなんや!食べてもいい?」
「え、あ…うむ」
チョコレートを摘み口に入れる、うーんおいしいなぁ…姉さまが作ってくれたからか特別美味しい気がする
「あむ…おぉ、美味しいなぁ!ご馳走様、姉さま!めっちゃ美味しかったです!」
「そ、そうか?」
「姉さまが作ってくれたからかな、なんや特別に美味しかったで」
「…ふ、ふふっ♪当たり前じゃろう?このワシがわざわざ作ったのじゃ、不味くないわけがなかろう!」
シャクヤ姉さまが俺の頭をガシガシと揺らすように撫でる、なんだかご機嫌のようだ
「うわわっ、頭がぐわんぐわんする〜」
「…この姉孝行者めっ♪」
「え、何がや?」
「なんでもないぞっ、ふふっ♪」
…
<ユウねーさん編>
「はぁい、いらっしゃいたっくん♪」
「なんやユウねーさん、いきなり呼び出して」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺はユウねーさんに部屋へと呼び出された
「お酒はあまり飲めないけど、相手ぐらいならなるで」
「もぉ、私が呼び出したからってなんでもお酒なわけじゃないわよぉ〜」
「え、違うんか?」
「そうよぉ、呼んだ理由は…はい♪」
ユウねーさんは俺に綺麗に包装された箱を渡してきた、これは…なんだろう
「?」
「もぉ、今日はバレンタインデーでしょ?おねーちゃん頑張っちゃったんだからぁ♪」
「バレンタインデー…あぁ!そういやそうやった!」
長い間疎遠だったせいで忘れていた、そうか…今日がバレンタインデーだったか
「もぉ、たっくんたら忘れん坊さんなんだから」
「はは、長い間疎遠やったから…開けてもええか?」
「うん♪」
包装紙を剥がして箱を開ける、すると中にはたくさんの小粒のチョコレート…
「チョコレートや!こんなにいっぱい…」
「ふふ、たっくんチョコレート大好きだものね」
「食べてもええか?」
「えぇ、たくさんどうぞ♪」
小粒のチョコレートを摘んでは口に入れていく、これは…中に何か入ってるな
「この味…お酒?」
「せっかくだからウィスキーボンボンを作ったの、おいしい?」
「あぁ、めっちゃ美味い!流石はユウねーさんやな」
「ふふ、たくさんあるからいっぱい食べてね♪」
「いやぁでもあまり一気に食べすぎるとお酒は…もぐっ」
言ってる最中に口にチョコをいれられた
「だ、だから…もぐもぐっ」
「いっぱい食べて酔ったら、その勢いで…ふふっ♪」
「ねーさ、ん…っ?」
「さぁ、まだまだあるわよぉ?」
「え、あっ…もごっ」
たくさん食べさせられていつの間にか意識を失ってた俺の隣に、裸のユウねーさんがいたのは…また別のお話。
…
<エルねぇねぇ編>
「やっほータクー!入るよー!」
「エルねぇねぇ…部屋に入る時はノックをしてや」
「んー、次からねー♪」
部屋で研究の書類の整理をしていたらねぇねぇが飛び込んできた、いつもノックをしてくれと言っているが直る気配は全くない
別にやましいことはないけど、俺にプライバシーくらいあってもいいと思う
「で、どないしたんやねぇねぇ?遊ぶなら少し待っててな、書類の整理が終わったら…」
「んーん、違うよー!タク、今日は何の日だっ!?」
「…えーと、魔界に初めてこっちの人間が自力で行った日やったっけ?」
「…何それ、よく分かんないよー?」
どうやらエルねぇねぇの考えてる答えとは違うらしい
「え、じゃあ答えは…」
「答えはねー、えへへっ♪じゃーん、バレンタインデーでしたぁ♪」
そういってねぇねぇは包装された小包を渡してきた
「バレンタインデー…あぁ、そっか今日だったのか」
「タクったらこんな一大イベント忘れちゃダメだよ!」
「いやぁ長い間疎遠やったからなぁ、すっかり忘れてたわ」
「ささ、早く食べて食べて!せっかくシルクに教わって作ったんだよー!」
俺が開けるより先にねぇねぇが小包を開ける、中には丸い粒のチョコレートがいくつか入っていた
「わぁい、俺チョコレート大好き」
「えへへ、食べさせてあげるね♪」
そういってエルねぇねぇはチョコレートを羽で器用に掴んで、俺の口…じゃなくて自分の口に咥えた
「え、あれ?」
「んふふー、ほっひふいへ〜♪」
「わっ」
そしてぐいっと顔を引き寄せられて…
「んちゅぅ…」
チョコレートごと俺の口に柔らかい唇を押し付けてきた
「んっ…はぁ、おいしい?」
「おいしい…って、ねぇねぇ!?」
「えへへ、タクとちゅーしちゃった♪」
も、もうエルねぇねぇは…こんな恥ずかしいことを堂々と
「は、恥ずかしいなぁ…もう」
「んふふ、タクったら顔真っ赤♪姉弟なんだからこれくらい当然だよ?じゃ、続きはゆっくり一人で食べてね」
そういってねぇねぇはくるりと踵を返して部屋から出て行った
俺はしばらくチョコレートを食べる度にねぇねぇの柔らかい唇を思い出してはドキドキしてしまうのだった…
…
<シルクねぇちゃん編>
「…たくま、今いい…?」
「シルクねぇちゃん?うん、大丈夫やで」
「ん」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺は部屋でのんびりとしていたらシルクねぇちゃんが部屋を訪ねてきた
「どないしたんやねぇちゃん、わざわざ部屋まで…」
「…えっと…」
ねぇちゃんがそわそわと忙しなく触角をピクピクさせて口籠る、言いにくいことだろうか?
「ねぇちゃん?」
「…た、たくま…!こ、これ…本命っ…!」
俺が問いただそうとした時、ねぇちゃんは俺に包装された箱を突き出していた
「えっ、えっ?」
「その…今日、は…特別な日だから…」
「特別な日…?何やったっけ、本命とか…」
「ば、バレンタインデー…だよ?」
バレンタインデー…あっそうか!今日はバレンタインデーだった、すっかり疎遠だったから忘れてた
だから本命だとか言ってたのか…
「…って、え?本命?」
「…ん、本命…っ」
バレンタインに、本命ってことは…つまり
「好き、だよ…っ♪」
「っ!」
あ、いかん今俺多分顔真っ赤だ
ねぇちゃんも頬を赤く染めて、恥ずかしがってる
「あ、ありがとう…ねぇちゃん」
「…う、うん…開けて…?」
シルクねぇちゃんに促されて開ける、中にはハートの形をしたチョコレートがいくつか入っていた
「た、食べてもいい…?」
「…ん」
俺はチョコレートを摘み食べる、多分ねぇちゃんの手作りだろう…一つ一つ味が違う
「美味い!」
「…ん、よかったの…♪」
ねぇちゃんは嬉しそうに頬を綻ばせる、ここまで表情に出るということは相当嬉しいんだろう
「あ、たくま…手が、汚れてる…?」
「えっ、あぁホンマや…チョコで汚れてるわ」
「…はむっ」
「!?」
シルクねぇちゃんが俺の手を取ったと思ったら汚れている指を口に含んでしまった
「れろ…ちゅぷっ…きれいになった?」
「ね、ねぇちゃん…恥ずかしいって…」
「ふふ…美味しかった…♪」
手のチョコを舐めとったねぇちゃんは、羞恥の俺から踵を返して嬉しそうに部屋から出て行ったのであった
…
<シロ姉編>
「たくまちゃん、今日はバレンタインデーですね!」
「え、バレンタインデー…?」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…急にシロ姉は俺にそう言ってきた
バレンタインデー…あぁそうだ、今日はバレンタインデーだったな
「たくまちゃん、もしかしなくても忘れてましたね?」
「いやー、ははは…長い間疎遠やったからすっかりな」
「そんなわけで…はい!シロナおねーちゃん特製、たくまちゃんへの愛を詰め込んだチョコですよ!」
シロ姉は懐から包装された小箱を取り出して、俺に渡してくれた
「え、いいの?いやぁ、なんか悪いなぁ…」
「もちろんド本命ですからねぇ?たくまちゃんはチョコレート大好きですから、この日のために私頑張っちゃいましたっ♪」
「へぇ〜、開けてもええか?」
「はいっ♪」
俺は包装を剥がして小箱を開けた、中身はいたって普通のハート型のチョコレートが入っていた
あれ、シロ姉のことだから何か普通とは違うようなのかと思ったけど…普通のチョコレート?
「なんや、シロ姉にしては普通っていうか…」
「なんですかたくまちゃん、私にしてはって…私とたくまちゃんの愛に何か小細工なんていりませんよぉ?清く正しく、純粋な愛なんですから♪」
「それもそうやな!食べてもええよな、これ」
「はい、もちろんですっ♪」
ハート型のチョコレートを齧る、美味しいなぁ…なんか不思議な味わい深さがあるというか…
「もぐもぐっ」
「ぁ…っ♪」
俺がチョコレートを食べ終えると、何故かシロ姉は自分の下半身を抑え身体をくねらせていた
「ど、どないしたんや?」
「い、ぇ…♪な、んでも…ないですよぉ…?うふふ…たくまちゃんっ…♪」
「…もしかして、何か…入れたり、とか?」
「ぁん…っ♪ふふ、なんでしょうね…っ♪」
下半身を抑えて悶えるシロ姉、そこから導き出される答えは…
「待ってシロ姉、前か後ろかだけ教えてくれ!なっ?」
「ふふっ…♪たくまちゃんったら…えっち、です…っ♪」
「前なら!前ならなんとか大丈夫だから!シロ姉?シロ姉ーっ!?」
「ふふっ…♪」
結局、チョコレートに何が入っていたかは不明のままバレンタインデーは終わった
一体シロ姉のチョコレートには何が入っていたのだろうか…
「ふふ…ホワイトデーは、たくまちゃんのミルクを…お願いしますね♪」
…
「さてたー坊よ、ワシが何故お前を部屋まで呼んだか分かるか?」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺はシャクヤ姉さまに部屋へと呼び出された
わざわざ姉さまの部屋へと呼び出されるなんて…俺は何かしてしまったのだろうか
「な、なんやろうか…俺もしかして何か姉さまに叱られるようなことでもしたんか?」
「…ほぉ?たー坊はワシに呼び出される時はそんな風に思っとったのか、それとも何か心当たりがあるのかのぅ」
「えっ!?い、いやそんなことはないんやけど…ただその…!」
「たわけ、いちいち可愛く怯えるでない。別に特にそんな用事はないんじゃが、その…ほれ、あれじゃ…今日は何日じゃ?」
「今日?…14日、やけど…」
「そうじゃ、2月14日…バレンタインデーじゃよ」
バレンタインデー…あぁ!バレンタインか、そういえばそうだった
姉さま達と離れ離れになってからはそんなイベントからは疎遠だったから忘れてたな
「じゃからな…ほれ、ワシからじゃ」
「え、姉さまが…俺に?」
姉さまは俺に包装された小さな箱を渡してくれた、もしかして手作りだろうか
「開けてええんか、姉さま」
「ああ、構わぬ」
包装紙を剥がし、箱を開けると中には小さなちょっと歪なハートの形をしたチョコレートが一つだけ入っていた
「う、うむ…もっと大きくて、ちゃんとしたハートの形にしようとしたのじゃがな?その、ちょっと不慣れで…嫌だったら…」
「おお、俺チョコ大好きなんや!食べてもいい?」
「え、あ…うむ」
チョコレートを摘み口に入れる、うーんおいしいなぁ…姉さまが作ってくれたからか特別美味しい気がする
「あむ…おぉ、美味しいなぁ!ご馳走様、姉さま!めっちゃ美味しかったです!」
「そ、そうか?」
「姉さまが作ってくれたからかな、なんや特別に美味しかったで」
「…ふ、ふふっ♪当たり前じゃろう?このワシがわざわざ作ったのじゃ、不味くないわけがなかろう!」
シャクヤ姉さまが俺の頭をガシガシと揺らすように撫でる、なんだかご機嫌のようだ
「うわわっ、頭がぐわんぐわんする〜」
「…この姉孝行者めっ♪」
「え、何がや?」
「なんでもないぞっ、ふふっ♪」
…
<ユウねーさん編>
「はぁい、いらっしゃいたっくん♪」
「なんやユウねーさん、いきなり呼び出して」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺はユウねーさんに部屋へと呼び出された
「お酒はあまり飲めないけど、相手ぐらいならなるで」
「もぉ、私が呼び出したからってなんでもお酒なわけじゃないわよぉ〜」
「え、違うんか?」
「そうよぉ、呼んだ理由は…はい♪」
ユウねーさんは俺に綺麗に包装された箱を渡してきた、これは…なんだろう
「?」
「もぉ、今日はバレンタインデーでしょ?おねーちゃん頑張っちゃったんだからぁ♪」
「バレンタインデー…あぁ!そういやそうやった!」
長い間疎遠だったせいで忘れていた、そうか…今日がバレンタインデーだったか
「もぉ、たっくんたら忘れん坊さんなんだから」
「はは、長い間疎遠やったから…開けてもええか?」
「うん♪」
包装紙を剥がして箱を開ける、すると中にはたくさんの小粒のチョコレート…
「チョコレートや!こんなにいっぱい…」
「ふふ、たっくんチョコレート大好きだものね」
「食べてもええか?」
「えぇ、たくさんどうぞ♪」
小粒のチョコレートを摘んでは口に入れていく、これは…中に何か入ってるな
「この味…お酒?」
「せっかくだからウィスキーボンボンを作ったの、おいしい?」
「あぁ、めっちゃ美味い!流石はユウねーさんやな」
「ふふ、たくさんあるからいっぱい食べてね♪」
「いやぁでもあまり一気に食べすぎるとお酒は…もぐっ」
言ってる最中に口にチョコをいれられた
「だ、だから…もぐもぐっ」
「いっぱい食べて酔ったら、その勢いで…ふふっ♪」
「ねーさ、ん…っ?」
「さぁ、まだまだあるわよぉ?」
「え、あっ…もごっ」
たくさん食べさせられていつの間にか意識を失ってた俺の隣に、裸のユウねーさんがいたのは…また別のお話。
…
<エルねぇねぇ編>
「やっほータクー!入るよー!」
「エルねぇねぇ…部屋に入る時はノックをしてや」
「んー、次からねー♪」
部屋で研究の書類の整理をしていたらねぇねぇが飛び込んできた、いつもノックをしてくれと言っているが直る気配は全くない
別にやましいことはないけど、俺にプライバシーくらいあってもいいと思う
「で、どないしたんやねぇねぇ?遊ぶなら少し待っててな、書類の整理が終わったら…」
「んーん、違うよー!タク、今日は何の日だっ!?」
「…えーと、魔界に初めてこっちの人間が自力で行った日やったっけ?」
「…何それ、よく分かんないよー?」
どうやらエルねぇねぇの考えてる答えとは違うらしい
「え、じゃあ答えは…」
「答えはねー、えへへっ♪じゃーん、バレンタインデーでしたぁ♪」
そういってねぇねぇは包装された小包を渡してきた
「バレンタインデー…あぁ、そっか今日だったのか」
「タクったらこんな一大イベント忘れちゃダメだよ!」
「いやぁ長い間疎遠やったからなぁ、すっかり忘れてたわ」
「ささ、早く食べて食べて!せっかくシルクに教わって作ったんだよー!」
俺が開けるより先にねぇねぇが小包を開ける、中には丸い粒のチョコレートがいくつか入っていた
「わぁい、俺チョコレート大好き」
「えへへ、食べさせてあげるね♪」
そういってエルねぇねぇはチョコレートを羽で器用に掴んで、俺の口…じゃなくて自分の口に咥えた
「え、あれ?」
「んふふー、ほっひふいへ〜♪」
「わっ」
そしてぐいっと顔を引き寄せられて…
「んちゅぅ…」
チョコレートごと俺の口に柔らかい唇を押し付けてきた
「んっ…はぁ、おいしい?」
「おいしい…って、ねぇねぇ!?」
「えへへ、タクとちゅーしちゃった♪」
も、もうエルねぇねぇは…こんな恥ずかしいことを堂々と
「は、恥ずかしいなぁ…もう」
「んふふ、タクったら顔真っ赤♪姉弟なんだからこれくらい当然だよ?じゃ、続きはゆっくり一人で食べてね」
そういってねぇねぇはくるりと踵を返して部屋から出て行った
俺はしばらくチョコレートを食べる度にねぇねぇの柔らかい唇を思い出してはドキドキしてしまうのだった…
…
<シルクねぇちゃん編>
「…たくま、今いい…?」
「シルクねぇちゃん?うん、大丈夫やで」
「ん」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…俺は部屋でのんびりとしていたらシルクねぇちゃんが部屋を訪ねてきた
「どないしたんやねぇちゃん、わざわざ部屋まで…」
「…えっと…」
ねぇちゃんがそわそわと忙しなく触角をピクピクさせて口籠る、言いにくいことだろうか?
「ねぇちゃん?」
「…た、たくま…!こ、これ…本命っ…!」
俺が問いただそうとした時、ねぇちゃんは俺に包装された箱を突き出していた
「えっ、えっ?」
「その…今日、は…特別な日だから…」
「特別な日…?何やったっけ、本命とか…」
「ば、バレンタインデー…だよ?」
バレンタインデー…あっそうか!今日はバレンタインデーだった、すっかり疎遠だったから忘れてた
だから本命だとか言ってたのか…
「…って、え?本命?」
「…ん、本命…っ」
バレンタインに、本命ってことは…つまり
「好き、だよ…っ♪」
「っ!」
あ、いかん今俺多分顔真っ赤だ
ねぇちゃんも頬を赤く染めて、恥ずかしがってる
「あ、ありがとう…ねぇちゃん」
「…う、うん…開けて…?」
シルクねぇちゃんに促されて開ける、中にはハートの形をしたチョコレートがいくつか入っていた
「た、食べてもいい…?」
「…ん」
俺はチョコレートを摘み食べる、多分ねぇちゃんの手作りだろう…一つ一つ味が違う
「美味い!」
「…ん、よかったの…♪」
ねぇちゃんは嬉しそうに頬を綻ばせる、ここまで表情に出るということは相当嬉しいんだろう
「あ、たくま…手が、汚れてる…?」
「えっ、あぁホンマや…チョコで汚れてるわ」
「…はむっ」
「!?」
シルクねぇちゃんが俺の手を取ったと思ったら汚れている指を口に含んでしまった
「れろ…ちゅぷっ…きれいになった?」
「ね、ねぇちゃん…恥ずかしいって…」
「ふふ…美味しかった…♪」
手のチョコを舐めとったねぇちゃんは、羞恥の俺から踵を返して嬉しそうに部屋から出て行ったのであった
…
<シロ姉編>
「たくまちゃん、今日はバレンタインデーですね!」
「え、バレンタインデー…?」
2月の半ば、寒さがようやく落ち着いてきた頃…急にシロ姉は俺にそう言ってきた
バレンタインデー…あぁそうだ、今日はバレンタインデーだったな
「たくまちゃん、もしかしなくても忘れてましたね?」
「いやー、ははは…長い間疎遠やったからすっかりな」
「そんなわけで…はい!シロナおねーちゃん特製、たくまちゃんへの愛を詰め込んだチョコですよ!」
シロ姉は懐から包装された小箱を取り出して、俺に渡してくれた
「え、いいの?いやぁ、なんか悪いなぁ…」
「もちろんド本命ですからねぇ?たくまちゃんはチョコレート大好きですから、この日のために私頑張っちゃいましたっ♪」
「へぇ〜、開けてもええか?」
「はいっ♪」
俺は包装を剥がして小箱を開けた、中身はいたって普通のハート型のチョコレートが入っていた
あれ、シロ姉のことだから何か普通とは違うようなのかと思ったけど…普通のチョコレート?
「なんや、シロ姉にしては普通っていうか…」
「なんですかたくまちゃん、私にしてはって…私とたくまちゃんの愛に何か小細工なんていりませんよぉ?清く正しく、純粋な愛なんですから♪」
「それもそうやな!食べてもええよな、これ」
「はい、もちろんですっ♪」
ハート型のチョコレートを齧る、美味しいなぁ…なんか不思議な味わい深さがあるというか…
「もぐもぐっ」
「ぁ…っ♪」
俺がチョコレートを食べ終えると、何故かシロ姉は自分の下半身を抑え身体をくねらせていた
「ど、どないしたんや?」
「い、ぇ…♪な、んでも…ないですよぉ…?うふふ…たくまちゃんっ…♪」
「…もしかして、何か…入れたり、とか?」
「ぁん…っ♪ふふ、なんでしょうね…っ♪」
下半身を抑えて悶えるシロ姉、そこから導き出される答えは…
「待ってシロ姉、前か後ろかだけ教えてくれ!なっ?」
「ふふっ…♪たくまちゃんったら…えっち、です…っ♪」
「前なら!前ならなんとか大丈夫だから!シロ姉?シロ姉ーっ!?」
「ふふっ…♪」
結局、チョコレートに何が入っていたかは不明のままバレンタインデーは終わった
一体シロ姉のチョコレートには何が入っていたのだろうか…
「ふふ…ホワイトデーは、たくまちゃんのミルクを…お願いしますね♪」
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16/02/15 07:55更新 / ミドリマメ
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