お散歩に行きましょう♪
陽気な昼下がり、学校は週末なので休みだから勉学に励む必要もなく絶好ののんびり日和と言えるだろう
「う〜ん」
しかし、果たしてこのまま家でのんびりするだけでいいのだろうか?せっかくブランシェさんと一緒なのにただのんびりしているだけでいいのか?
「ご主人様、いかがなさいましたか?」
「いや、なんかただのんびりしているだけでいいのかなって…」
ブランシェさんに膝枕されながらダラダラと過ごすのもいいのだが、それだけだと何か足りない
「お暇なさっているのですね」
「まぁ、そうなるのか?」
「でしたらご主人様、お散歩に行きませんか?」
「散歩?別にいいけど…ここら辺だと近くに自然公園があったな」
確かジョギングに丁度いい感じの自然公園が近所にあったはずだ
「じゃあそうしましょう、少し準備してまいりますね♪」
「はいよ」
俺は…適当な私服でいいか、近所だし
「Tシャツに、ジーパン履いて…一応財布も持ってくか」
よし準備完了だ、ブランシェさんは女性だし多分少し掛かるだろうから外で待っていよう
「ご主人様、準備はできましたか?」
「なんで俺より早いんだ…」
ブランシェさんがすでに外で待機していた、ブランシェさんはメイド服のままと言えど何かしら準備をしていたはず…男の俺より早いなんて
「ご主人様をお待たせするなんてメイド失格ですもの♪」
「ってか、メイド服のままでいいのか?」
「はい、メイドですから♪」
「…まぁ、いいか。どうせ近くだしな」
「それではご主人様、これをお持ちくださいませ」
そういってブランシェさんは俺に何かの長い紐を渡した
「ん?なんだこれ…」
目で辿ると、それはブランシェさんの首の輪っかに繋がっていて…
「…これはなんだ?」
「私の散歩用のリードですが、何か?」
「…いやいやいやいや」
何か?じゃないだろ、何さも当然かのように言ってんのこのメイドさん
「…あ、もしかして鎖タイプの方がよろしかったですか?それとも綱の方ですか?」
「…とりあえず、外そうかソレ」
「えぇっ!ご、ご主人様…ダメですよ、これはお散歩に必須の…」
「必須じゃないだろ、な?それは犬を連れる時に着けるのであって、ブランシェさんが着けるものじゃないだろ?」
「耳と尻尾は犬ですわんっ♪」
手を曲げて可愛くアピールするブランシェさん、すごい可愛いくて誤魔化されそうだったが違うそういうことじゃない
「可愛いけどダメ、リードは戻そうな」
「くぅ〜ん…かしこまりましたぁ」
全く、ただでさえ魔物でメイド服で目立つんだからリードはマジで勘弁してくれ…ここら辺に住めなくなるから
「ご主人様にリードしてもらいたかったのですが、仕方ありませんわ」
「…リードくらいしてやるよ」
俺はブランシェさんの手を取る、照れくさいなぁこれ…
「ま、まぁ…!」
「ぶ、ブランシェさんはこの辺来たばっかりで詳しくないみたいだからな…お、俺がリードしてやるよ…」
「ご主人様…カッコいいですわ!」
繋いだ手に腕を絡ませるブランシェさん…恥ずかしいが、恋人同士だしこれでもいいか
「そりゃあ、たまにはカッコつけさせてくれよ…甘えるばかりじゃ、カッコつかないだろ…?」
「私は甘えてくれる可愛いご主人様、大好きですけどね♪」
「男ってのは、好きな女の子の前だとカッコつけたがる生き物なんだよ…」
「まぁまぁ、それじゃあカッコいいご主人様…行きましょう♪」
絡ませた腕を引くブランシェさん、散歩に行きたくて仕方がないように見える
「散歩、好きなの?」
「大好きですよ、あっ…でも一番好きなのはご主人様ですわ♪散歩はご主人様の次の次くらいです」
「…散歩と比較されてもなぁ、俺の次って何なんだ?」
「それは勿論、ご主人様のお世話です♪」
キキーモラは損得感情抜きに、奉仕することに喜びを感じると聞くがブランシェさんも例外じゃないらしい
「あ、着いたよ」
「まぁまぁ、結構大きい公園ですのね」
話しながら歩いているとあっという間に着いた、この公園は遊具は少ないものの敷地は広かったり整備された道で公園が一周出来たりと散歩には丁度いいだろう
「休日だからか、人も結構いるんだなぁ」
「魔物の姿もよく見えますね」
白衣の男性と白蛇のカップルや、男子学生とキューピッドのカップルなど結構魔物も見かけられた
「カップル多いなぁ」
「私たちも負けていられませんね♪」
「別に対抗しなくてもいいから…」
公園の道をブランシェさんとのんびり歩く、隣で鼻歌を歌いながら耳と尻尾をパタパタさせるブランシェさん…なかなかご機嫌のようだ
「〜♪」
「ブランシェさん、ご機嫌だね」
「そりゃあそうですよ、ご主人様とお散歩ですから♪」
「そっか、そんなに楽しいなら次も時間があれば行こうか」
「本当ですか?ブランシェの幸せメーターが振り切れてますよ、ブランシェの抱擁を差し上げます♪」
抱きついてくるブランシェさん、周りのカップル達が対抗していちゃつき始めた
「ぶ、ブランシェさん…恥ずかしいから」
「いいじゃありませんか、周りも同じような感じですわ♪」
「もう…ほ、ほら行くぞ」
「はい♪」
どうにかカップル達のいる場から抜け出して、一息着く
魔物っていうのは皆あんな感じにぐいぐい押すのが多いなぁ
「魔物って皆積極的だよなぁ」
「魔物が積極的というより人間が消極的なんだと思いますよ?」
「そうか?」
「我々魔物からはそう見える、という話ですが」
確かに人間は消極的なのかも知れない、俺だって好きっていつでも素直に言えたらなぁ
「ぶ、ブランシェさん?お、俺はブランシェさんのこと…す、好き、だよ?」
「…ふふ、私もですわご主人様。ですかご主人様、声が震えてますわ♪」
「…っはぁ、やっぱ積極的にってキツいなぁ…ブランシェさんにもちゃんと言えないとは自信をなくすぜ…」
「焦ってはいけませんわ、魔物と人間では考え方が違うのは当たり前ですもの。ご主人様はご主人様のままでいればいいんですのよ♪」
ブランシェさんに慰められてしまった、うーん情けない…何が情けないというと、慰められてちょっと嬉しい自分が一番情けない
「よーし、俺も頑張って積極的になる!目指せ肉食系男子だ!」
「まぁまぁ…無理はなさらないで下さいね♪」
カップル達がいないからゆっくりと散歩することができる、ブランシェさんも目立たないしのんびり歩けるな
「ん…あれは、子供が一人でキョロキョロしてるな」
「女の子ですね…迷子でしょうか?」
道の端で女の子が一人でキョロキョロと辺りを見渡していた、かなり不安そうな顔だ
「ほっとけないよなぁ…ブランシェさん、ちょっといいか?」
「えぇ、勿論ですわ」
ほっとくわけにはいかないので、女の子に駆け寄り声を掛ける
「お嬢ちゃん、こんなところに一人じゃ危ないぞ?お母さんかお父さんはいないのか?」
「ママが…いなくなっちゃったの」
「つまり迷子ですね。ご主人様、探して差し上げましょう」
「そうだな…よーしお嬢ちゃん!お兄さんとお姉さんが一緒にママを探してあげよう!」
「本当!?」
「えぇ、ちゃんと見つかりますから安心してくださいね」
女の子を連れて公園を歩く、幸いにもこの女の子の母親はすぐに見つかった
「ありがとうございます、なんとお礼を言っていいのか…」
「いえ大丈夫ですよ、この子もいい子でしたからね」
「お兄ちゃんお姉ちゃんありがとー!」
「おう、もうはぐれるんじゃねえぞー」
ふう、一件落着だな…安心安心
「ご主人様って、お優しいですよね」
「え?いや、まぁ…あれくらいは当然だろ」
「当然…言うのは簡単ですが、それを実行できない人が多いですから…」
「まぁそれは別として…俺って親を亡くしてるからああいう子供はほっとけないわけよ。親がいないって不安だからなぁ…」
「…やっぱり、お優しいですわ」
「俺は優しい人好きだし、人に優しくして欲しいから…俺もできるなら同じだけ人に優しくしたいってだけだよ」
「まぁまぁ…ご主人様、すごくカッコいいですわ!」
ブランシェさんが人目を気にせずに抱きついてくる、周りからすごい視線が送られてきている
「い、いいこと言ってんだから茶化すなよぉ」
「茶化してませんわ、ブランシェの本心です♪」
「はぁ…もう結構時間経ってるな、そろそろ帰ろうか?」
「はいっ♪」
…
ブランシェさんとの散歩から帰ってくる、公園を周るだけでも結構楽しかったなぁ
「ご主人様、外から帰ってきた時は手洗いうがいですわ」
「んな子供じゃないんだし」
「やらないと折角おやつに作ったケーキは出しませんよ?」
それは大変だ、ブランシェさんのケーキはきっと美味しいはず
「はーい、やりまーす」
「はい、では洗面所までいきましょうね」
ブランシェさんがわざわざ洗面所まで着いてきてくれた、流石にそこまでは大丈夫なんだが
「こちらのお水でうがいをしてくださいね♪」
「はいはい…」
ガラガラとうがいをして流す
「さ、手も洗って…あぁ、そんなに適当では行けませんわ!ほら、こうやって…」
「おわっ」
ブランシェさんが洗っている手に手を重ねてきた
「ほらこうです、ちゃんと洗わないと食中毒などになってしまいますからね」
「お、おぅ…」
なんかブランシェさんの柔らかい手で、手を洗われている感じで…気持ちいい
「ご主人様、ブランシェの手はそんなに気持ちいいですか?顔が緩んでますわ♪」
「その言い方、なんかいやらしーぜ」
「まぁ、ご主人様のえっち♪」
「俺じゃねーだろー?」
「うふふ…はい、これなら大丈夫ですね。すぐにお茶のご用意を致しますわ♪」
「あっ、ケーキなら紅茶がいいなぁ」
「はい、かしこまりましたわ♪」
今日はかなり充実した休日だったなぁ、やっぱり好きな人がいると変わるものだ
ブランシェさんが来てからだいぶ俺の世界が変わった、やっぱり魔物って凄い生き物なんだなぁ
「はい、ご主人様あ〜ん♪」
「あーん」
「どうですか?」
「すごいおいしいよ」
こんな感じで自然と食べさせられたり甲斐甲斐しく世話を焼かれて、少々駄目人間化も進んでいる気もするが…
「あらあら、ご主人様ほっぺにクリームが付いてますわ…ぺろっ♪」
「わっ」
「うふふ、美味しいですわね♪」
「て、照れくさいなぁ」
「あらあら顔を真っ赤にして、ご主人様ったらサクランボみたいですわ♪」
「もうチェリーじゃねえから」
「まぁまぁ、そうでしたわね♪」
今が幸せだし、この先のことは今考えなくてもいいだろう…まだまだ時間はあるし
あ、でも近いうちにブランシェさんと付き合っていることは叔母さんに伝えないといけないよなぁ
「う〜ん」
しかし、果たしてこのまま家でのんびりするだけでいいのだろうか?せっかくブランシェさんと一緒なのにただのんびりしているだけでいいのか?
「ご主人様、いかがなさいましたか?」
「いや、なんかただのんびりしているだけでいいのかなって…」
ブランシェさんに膝枕されながらダラダラと過ごすのもいいのだが、それだけだと何か足りない
「お暇なさっているのですね」
「まぁ、そうなるのか?」
「でしたらご主人様、お散歩に行きませんか?」
「散歩?別にいいけど…ここら辺だと近くに自然公園があったな」
確かジョギングに丁度いい感じの自然公園が近所にあったはずだ
「じゃあそうしましょう、少し準備してまいりますね♪」
「はいよ」
俺は…適当な私服でいいか、近所だし
「Tシャツに、ジーパン履いて…一応財布も持ってくか」
よし準備完了だ、ブランシェさんは女性だし多分少し掛かるだろうから外で待っていよう
「ご主人様、準備はできましたか?」
「なんで俺より早いんだ…」
ブランシェさんがすでに外で待機していた、ブランシェさんはメイド服のままと言えど何かしら準備をしていたはず…男の俺より早いなんて
「ご主人様をお待たせするなんてメイド失格ですもの♪」
「ってか、メイド服のままでいいのか?」
「はい、メイドですから♪」
「…まぁ、いいか。どうせ近くだしな」
「それではご主人様、これをお持ちくださいませ」
そういってブランシェさんは俺に何かの長い紐を渡した
「ん?なんだこれ…」
目で辿ると、それはブランシェさんの首の輪っかに繋がっていて…
「…これはなんだ?」
「私の散歩用のリードですが、何か?」
「…いやいやいやいや」
何か?じゃないだろ、何さも当然かのように言ってんのこのメイドさん
「…あ、もしかして鎖タイプの方がよろしかったですか?それとも綱の方ですか?」
「…とりあえず、外そうかソレ」
「えぇっ!ご、ご主人様…ダメですよ、これはお散歩に必須の…」
「必須じゃないだろ、な?それは犬を連れる時に着けるのであって、ブランシェさんが着けるものじゃないだろ?」
「耳と尻尾は犬ですわんっ♪」
手を曲げて可愛くアピールするブランシェさん、すごい可愛いくて誤魔化されそうだったが違うそういうことじゃない
「可愛いけどダメ、リードは戻そうな」
「くぅ〜ん…かしこまりましたぁ」
全く、ただでさえ魔物でメイド服で目立つんだからリードはマジで勘弁してくれ…ここら辺に住めなくなるから
「ご主人様にリードしてもらいたかったのですが、仕方ありませんわ」
「…リードくらいしてやるよ」
俺はブランシェさんの手を取る、照れくさいなぁこれ…
「ま、まぁ…!」
「ぶ、ブランシェさんはこの辺来たばっかりで詳しくないみたいだからな…お、俺がリードしてやるよ…」
「ご主人様…カッコいいですわ!」
繋いだ手に腕を絡ませるブランシェさん…恥ずかしいが、恋人同士だしこれでもいいか
「そりゃあ、たまにはカッコつけさせてくれよ…甘えるばかりじゃ、カッコつかないだろ…?」
「私は甘えてくれる可愛いご主人様、大好きですけどね♪」
「男ってのは、好きな女の子の前だとカッコつけたがる生き物なんだよ…」
「まぁまぁ、それじゃあカッコいいご主人様…行きましょう♪」
絡ませた腕を引くブランシェさん、散歩に行きたくて仕方がないように見える
「散歩、好きなの?」
「大好きですよ、あっ…でも一番好きなのはご主人様ですわ♪散歩はご主人様の次の次くらいです」
「…散歩と比較されてもなぁ、俺の次って何なんだ?」
「それは勿論、ご主人様のお世話です♪」
キキーモラは損得感情抜きに、奉仕することに喜びを感じると聞くがブランシェさんも例外じゃないらしい
「あ、着いたよ」
「まぁまぁ、結構大きい公園ですのね」
話しながら歩いているとあっという間に着いた、この公園は遊具は少ないものの敷地は広かったり整備された道で公園が一周出来たりと散歩には丁度いいだろう
「休日だからか、人も結構いるんだなぁ」
「魔物の姿もよく見えますね」
白衣の男性と白蛇のカップルや、男子学生とキューピッドのカップルなど結構魔物も見かけられた
「カップル多いなぁ」
「私たちも負けていられませんね♪」
「別に対抗しなくてもいいから…」
公園の道をブランシェさんとのんびり歩く、隣で鼻歌を歌いながら耳と尻尾をパタパタさせるブランシェさん…なかなかご機嫌のようだ
「〜♪」
「ブランシェさん、ご機嫌だね」
「そりゃあそうですよ、ご主人様とお散歩ですから♪」
「そっか、そんなに楽しいなら次も時間があれば行こうか」
「本当ですか?ブランシェの幸せメーターが振り切れてますよ、ブランシェの抱擁を差し上げます♪」
抱きついてくるブランシェさん、周りのカップル達が対抗していちゃつき始めた
「ぶ、ブランシェさん…恥ずかしいから」
「いいじゃありませんか、周りも同じような感じですわ♪」
「もう…ほ、ほら行くぞ」
「はい♪」
どうにかカップル達のいる場から抜け出して、一息着く
魔物っていうのは皆あんな感じにぐいぐい押すのが多いなぁ
「魔物って皆積極的だよなぁ」
「魔物が積極的というより人間が消極的なんだと思いますよ?」
「そうか?」
「我々魔物からはそう見える、という話ですが」
確かに人間は消極的なのかも知れない、俺だって好きっていつでも素直に言えたらなぁ
「ぶ、ブランシェさん?お、俺はブランシェさんのこと…す、好き、だよ?」
「…ふふ、私もですわご主人様。ですかご主人様、声が震えてますわ♪」
「…っはぁ、やっぱ積極的にってキツいなぁ…ブランシェさんにもちゃんと言えないとは自信をなくすぜ…」
「焦ってはいけませんわ、魔物と人間では考え方が違うのは当たり前ですもの。ご主人様はご主人様のままでいればいいんですのよ♪」
ブランシェさんに慰められてしまった、うーん情けない…何が情けないというと、慰められてちょっと嬉しい自分が一番情けない
「よーし、俺も頑張って積極的になる!目指せ肉食系男子だ!」
「まぁまぁ…無理はなさらないで下さいね♪」
カップル達がいないからゆっくりと散歩することができる、ブランシェさんも目立たないしのんびり歩けるな
「ん…あれは、子供が一人でキョロキョロしてるな」
「女の子ですね…迷子でしょうか?」
道の端で女の子が一人でキョロキョロと辺りを見渡していた、かなり不安そうな顔だ
「ほっとけないよなぁ…ブランシェさん、ちょっといいか?」
「えぇ、勿論ですわ」
ほっとくわけにはいかないので、女の子に駆け寄り声を掛ける
「お嬢ちゃん、こんなところに一人じゃ危ないぞ?お母さんかお父さんはいないのか?」
「ママが…いなくなっちゃったの」
「つまり迷子ですね。ご主人様、探して差し上げましょう」
「そうだな…よーしお嬢ちゃん!お兄さんとお姉さんが一緒にママを探してあげよう!」
「本当!?」
「えぇ、ちゃんと見つかりますから安心してくださいね」
女の子を連れて公園を歩く、幸いにもこの女の子の母親はすぐに見つかった
「ありがとうございます、なんとお礼を言っていいのか…」
「いえ大丈夫ですよ、この子もいい子でしたからね」
「お兄ちゃんお姉ちゃんありがとー!」
「おう、もうはぐれるんじゃねえぞー」
ふう、一件落着だな…安心安心
「ご主人様って、お優しいですよね」
「え?いや、まぁ…あれくらいは当然だろ」
「当然…言うのは簡単ですが、それを実行できない人が多いですから…」
「まぁそれは別として…俺って親を亡くしてるからああいう子供はほっとけないわけよ。親がいないって不安だからなぁ…」
「…やっぱり、お優しいですわ」
「俺は優しい人好きだし、人に優しくして欲しいから…俺もできるなら同じだけ人に優しくしたいってだけだよ」
「まぁまぁ…ご主人様、すごくカッコいいですわ!」
ブランシェさんが人目を気にせずに抱きついてくる、周りからすごい視線が送られてきている
「い、いいこと言ってんだから茶化すなよぉ」
「茶化してませんわ、ブランシェの本心です♪」
「はぁ…もう結構時間経ってるな、そろそろ帰ろうか?」
「はいっ♪」
…
ブランシェさんとの散歩から帰ってくる、公園を周るだけでも結構楽しかったなぁ
「ご主人様、外から帰ってきた時は手洗いうがいですわ」
「んな子供じゃないんだし」
「やらないと折角おやつに作ったケーキは出しませんよ?」
それは大変だ、ブランシェさんのケーキはきっと美味しいはず
「はーい、やりまーす」
「はい、では洗面所までいきましょうね」
ブランシェさんがわざわざ洗面所まで着いてきてくれた、流石にそこまでは大丈夫なんだが
「こちらのお水でうがいをしてくださいね♪」
「はいはい…」
ガラガラとうがいをして流す
「さ、手も洗って…あぁ、そんなに適当では行けませんわ!ほら、こうやって…」
「おわっ」
ブランシェさんが洗っている手に手を重ねてきた
「ほらこうです、ちゃんと洗わないと食中毒などになってしまいますからね」
「お、おぅ…」
なんかブランシェさんの柔らかい手で、手を洗われている感じで…気持ちいい
「ご主人様、ブランシェの手はそんなに気持ちいいですか?顔が緩んでますわ♪」
「その言い方、なんかいやらしーぜ」
「まぁ、ご主人様のえっち♪」
「俺じゃねーだろー?」
「うふふ…はい、これなら大丈夫ですね。すぐにお茶のご用意を致しますわ♪」
「あっ、ケーキなら紅茶がいいなぁ」
「はい、かしこまりましたわ♪」
今日はかなり充実した休日だったなぁ、やっぱり好きな人がいると変わるものだ
ブランシェさんが来てからだいぶ俺の世界が変わった、やっぱり魔物って凄い生き物なんだなぁ
「はい、ご主人様あ〜ん♪」
「あーん」
「どうですか?」
「すごいおいしいよ」
こんな感じで自然と食べさせられたり甲斐甲斐しく世話を焼かれて、少々駄目人間化も進んでいる気もするが…
「あらあら、ご主人様ほっぺにクリームが付いてますわ…ぺろっ♪」
「わっ」
「うふふ、美味しいですわね♪」
「て、照れくさいなぁ」
「あらあら顔を真っ赤にして、ご主人様ったらサクランボみたいですわ♪」
「もうチェリーじゃねえから」
「まぁまぁ、そうでしたわね♪」
今が幸せだし、この先のことは今考えなくてもいいだろう…まだまだ時間はあるし
あ、でも近いうちにブランシェさんと付き合っていることは叔母さんに伝えないといけないよなぁ
15/07/30 10:24更新 / ミドリマメ
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