お母さんなメイドさん?
ブランシェさんと家に帰ってくる、ただいまと言ったら返事が返ってくるのは久しぶりのは感覚だ
「すぐにお夕飯の支度をしますので、それまでお寛ぎくださいませ」
「あぁ、わかったよ」
リビングのソファーに座りテレビをつける、最近は良く魔物についての番組がやっている
魔物を主人公にした魔法少女のアニメだとか、魔物と人間の関係を主題にした恋愛モノだとか多種多様である
「最近は魔物の差別とかも無くなったしなー」
「ご主人様、お夕飯の支度が整いましたわ」
色々考えていたらブランシェさんが飯の支度を終えたので声を掛けられた
「あぁ、ブランシェさん…いい匂いだな、今日のご飯は?」
「はい、今日はいい魚があったので和食ですわ♪」
「おお!ブランシェさんの料理は美味しいからそれは楽しみだな!」
「ふふ、期待は裏切りませんよ♪」
そして夕食はまた、ブランシェさんに食べさせてもらう
「はい、ちゃんとお魚の骨は抜いてありますよ。あ〜ん、してくださいね」
「…あーん」
「美味しいですか、ご主人様?」
「あぁ、すごい…焼き加減も塩加減も完璧だよ」
「ふふ、それではこのお味噌汁を…お熱いのでふーふー致しますわ♪」
味噌汁の器を持ち、ふーふーと息を吹きかけて冷ましてくれた
「別に猫舌ってわけじゃないんだけど」
「万が一火傷にでもなられたら大変ですから、さぁどうぞ♪」
「…ありがと」
瞬く間に料理を完食する、ブランシェさんの料理は美味しいからすぐに食べ終えてしまう
「さぁさぁご主人様、お風呂の準備は出来てますわ」
「あ、あぁ…じゃあ入ってくるよ」
「はいっ、ご一緒いたしますわっ♪」
さも当然のようについてくるブランシェさん
「…言っとくけど、背中だけだぞ」
「はい、かしこまりましたわ」
風呂に入り背中を洗ってもらう、今日は説得の末バスタオルで隠してもらうことに成功した
「もぉ、ご主人様ったらブランシェのバスタオル姿が見たかったのですね?意外と、いい趣味していらしてますわね♪」
「…それでいいから、早く洗ってくれよ」
「はい♪」
そして風呂から上がり、着替えて歯を磨くとブランシェさんが
「ご主人様、それではちゃんと磨けていませんわ!私に磨かせてくださいませ」
「えっ…」
「歯磨きはこう、歯茎までしっかりと磨かないといけないんですよ?わかりましたか?」
いい歳して歯を磨かれるという恥ずかしい思いをしてしまった…
そして寝るために一緒の部屋に行く
なんだかブランシェさんが来て、俺は物凄く甘えてしまっているのではないだろうか?いや俺が拒否してもブランシェさんが食い下がらないってこともあるんだけど…
「それでは、今宵も歌わせていただきますわ…」
ブランシェさんの歌声が響く、小鳥のさえずりのように美しく…優しくて心地よい音色
「っ…」
それと同時に懐かしい感覚が胸に広がる
「…♪」
「う…ぁ」
なんだろう、この感覚は…
胸が暖かくて、満たさせる
ブランシェさんの歌を、もっと聴きたい
もっと近くで聴きたい
「…〜♪」
「…なぁ、ブランシェさん…」
歌うブランシェさんに、声をかける
「はい…なんですかご主人様」
俺に応えてブランシェさんが歌を中断しても、この感覚は強まるばかりだ
「その…もっと近くで聴きたい」
「ふふ…気に入っていただけましたか?」
ブランシェさんが横になっている俺を優しく撫でる
「あぁ…暖かくて、気持ちいい…」
「気に入ってもらえて、何よりですわ♪」
にっこりと微笑むブランシェさん、そしてすぐに少し困ったような顔をする
「あ…でも、これ以上近くとなりますと…どうしてもベッドに入らなければなりませんよ?」
「あ…うん、そうだな…」
「その…よろしいのですか?」
聞き返してくるブランシェさん、これから先をいうのは…恥ずかしい
「さ、察してくれよ…恥ずかしいだろ…」
「っ…!は、はい!失礼しますねっ!」
ブランシェさんが嬉々としてベッドに入ってくる
そして自然と見つめ合う感じに…
「…っ」
間近で見ると、本当にブランシェさんは綺麗だった
そしてすぐ近くで、また歌声が響く
「っ…♪」
「…あぁ…」
溶けるような感覚、至福の感覚を求めて自然とブランシェさんへと触れる
「っ、…〜♪」
歌いながら、少し驚いたブランシェさんはすぐに俺に答えるかのように抱きしめた
俺を包み込むような、優しくて柔らかい胸の感触が俺を安らぎへ導く
「ブランシェ…さん…!」
俺はその感覚を求めて強くブランシェさんを抱きしめた
この感覚を逃がさないように、強く…
「あらあら…」
そんな俺に、嫌な顔一つせずにブランシェさんは俺をあやすように撫でる
「母…さん…!」
「ふふっ…大丈夫ですよ、お母さんは…ママはここにいます」
ちょっと困ったような、そして嬉しいような表情でブランシェさんは俺を深く抱きしめる
「…安心してください、ご主人様…今日から私が…あなたのママだからね…」
「っ…」
ブランシェさんが歌を歌い、俺を優しく抱きしめる…それは寝付けない子を寝かす母親のようで
小さい頃に親を亡くした俺にとって、それはいけないことと分かっていても…決して拒むことのできない幸せだった
そしてその優しさに包まれたまま、俺の意識は深い夢へと引き込まれた
…
夢を、夢を見ていた
生まれたままの姿の俺と、生まれたままの姿のブランシェさん…
二人がだんだんと近づいて、お互いに肌を重ね…そして男女の営みが始まった
「うおぁっ!?」
俺はベットから跳ね起きる、衝撃的な夢を見てしまった
「…ご主人様?」
「ぁ…ぅ…」
俺が跳ね起きたためか、すぐ横に寝ていたブランシェさんが目を覚ましてしまう
俺はさっきの夢のせいでブランシェさんと目が合わせられなかった
「ご主人様、何かありましたか…」
「うっ…あぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ご主人様っ!?」
さっきの夢のせいで、ブランシェさんがとてもいやらしく見えてしまった…心配してくれている母親のようなブランシェさんを、だ
俺はそんな目で見てしまったことの罪悪感で、部屋から駆け出していた
「はぁ…はぁ…!」
リビングまで降りてきて俺は少しだけ落ち着いた
「ご主人様、ご主人様!」
「ブランシェ、さん…」
「一体どうなさったのですか!?何処かお身体の調子でも…」
ブランシェさんが手を俺に差し出してくれる
「ダメだ…」
しかし俺はその手を力なく振り払った
「ご主人様…?」
ブランシェさんの顔が曇る、そんな表情を見ていられなくて俺は顔をそらす
「と、とりあえずお部屋に戻りましょう?明日はお休みと言えどもあまり遅くまで起きていては…」
「ダメなんだよ…」
呟くように俺はぶつぶつと言葉を口にした
「ご主人様…申し訳ありません、私…何か失礼な事を…!」
ダメだ、こんな言い方は…これじゃ俺がブランシェさんを責めているみたいだ
「違うんだよ、ブランシェさんは悪くないんだ…」
「それでは…」
「俺がいけないんだ、俺が酷いやつだから…ブランシェさんに顔向けが出来ない…!」
「そんな、ご主人様に落ち度はありませんわ!」
「あるんだよ…」
ブランシェさんは分かっていない、だから俺に落ち度がないと言える
その言葉で俺は更に自分が酷いやつだと分かった、分かってないブランシェさんに気を使わせてしまっている
「何が、あったのですか」
「…言えねぇよ」
「言ってください、誰も怒ったりはしませんから…」
ブランシェさんが母親のように諭してくる、それは母親のことをよく知らない俺にとっては無条件に従ってしまうほど…効果的だった
「お、俺は…ブランシェさんを、母さんと重ねてた…」
「はい、そうですわね…」
「でも…俺は、ブランシェを…母さんみたいに思ってたブランシェさんを夢で汚したんだよ!」
言ってしまった
ブランシェさんを母さんと重ねてしまっていたこと
ブランシェさんに、いやらしい妄想を抱いてしまったことも
「…抱きしめてもらえるだけでよかった、歌ってもらえるだけでよかったのに…」
「ご主人様…」
「でも、俺はブランシェさんを…だからこんな俺じゃブランシェさんに顔向けが…」
「はぁ…もう、ご主人様っ!」
ブランシェさんが俺の身体を抱き寄せた、その力は強く男の俺を難なく動かす
確か初日と、朝もこうやって抱きしめられたっけ…
「離せよ…」
「いやですわ」
「やめろよ…今俺がどんなこと考えてるのか分かってるのか?」
「ふふ、それは勿論ですわ♪」
その言葉に顔が熱くなった、ブランシェさんは大人だから今の俺がどうなっているのかお見通しなのかも知れない
柔らかいブランシェさんの身体が、匂いが、暖かさが今は余計な刺激を与えてくる
「や、やめてくれよ…離せってば、俺の…主の命令が聞けないのか?」
「ええ、聞けませんわ」
「な、なんでだよ…メイドなんだろ…おかしいだろ」
「メイドとは、ご主人様の言うことを聞く存在ではありません。ご主人様のご要望…そこには何が本当に望まれているかを完璧に読み取り完璧な行動することこそがメイドなのです」
「だったら…尚更だろ」
「ご主人様はそうは望んではおられませんので」
そんなこと…
「ご主人様の笑顔が、私の喜び…ご主人様のお願いが、私の生き甲斐なんです…」
「でも、だって…」
必死に反論の言葉を探そうとするが、言葉が見当たらない
「私のことを、お母さんと思ってもらっても…女性として見てくれても…どちらでもいいのですわ」
「そんな、そんなのって…」
「いいえ…両方の目で見てくれるのなら、もっと嬉しい」
そんなこと、おかしい…メイドだからって…そんな
「だって…あなたに愛情を向けられるのは、たとえどんなカタチであっても…本当に、本当に嬉しいことなのですから」
「ブランシェさん…」
「だから、二倍の愛情を注いでくれるなんて…こんなに嬉しいことは、他にないですわ♪」
ブランシェさんが、ブランシェさんの言葉が俺を溶かしていく
抵抗しようとしていた腕も、いつの間にかブランシェさんの背中に回されて…
いつの間にか俺はまたブランシェさんの優しさに包まれていて…
「ですから…ほら、お願いしますわ…お部屋に戻りましょう?」
「…っ」
俺は小さく首を上下に振ることで答えた
「そして…」
そんな俺にブランシェさんはまっすぐ俺を見て、はっきりとこう言った
「ご主人様の初めてを、私に下さいね」
見つめあった俺は、何も言えなかった…
「始めに…キスを、教えてあげますね♪」
…
「すぐにお夕飯の支度をしますので、それまでお寛ぎくださいませ」
「あぁ、わかったよ」
リビングのソファーに座りテレビをつける、最近は良く魔物についての番組がやっている
魔物を主人公にした魔法少女のアニメだとか、魔物と人間の関係を主題にした恋愛モノだとか多種多様である
「最近は魔物の差別とかも無くなったしなー」
「ご主人様、お夕飯の支度が整いましたわ」
色々考えていたらブランシェさんが飯の支度を終えたので声を掛けられた
「あぁ、ブランシェさん…いい匂いだな、今日のご飯は?」
「はい、今日はいい魚があったので和食ですわ♪」
「おお!ブランシェさんの料理は美味しいからそれは楽しみだな!」
「ふふ、期待は裏切りませんよ♪」
そして夕食はまた、ブランシェさんに食べさせてもらう
「はい、ちゃんとお魚の骨は抜いてありますよ。あ〜ん、してくださいね」
「…あーん」
「美味しいですか、ご主人様?」
「あぁ、すごい…焼き加減も塩加減も完璧だよ」
「ふふ、それではこのお味噌汁を…お熱いのでふーふー致しますわ♪」
味噌汁の器を持ち、ふーふーと息を吹きかけて冷ましてくれた
「別に猫舌ってわけじゃないんだけど」
「万が一火傷にでもなられたら大変ですから、さぁどうぞ♪」
「…ありがと」
瞬く間に料理を完食する、ブランシェさんの料理は美味しいからすぐに食べ終えてしまう
「さぁさぁご主人様、お風呂の準備は出来てますわ」
「あ、あぁ…じゃあ入ってくるよ」
「はいっ、ご一緒いたしますわっ♪」
さも当然のようについてくるブランシェさん
「…言っとくけど、背中だけだぞ」
「はい、かしこまりましたわ」
風呂に入り背中を洗ってもらう、今日は説得の末バスタオルで隠してもらうことに成功した
「もぉ、ご主人様ったらブランシェのバスタオル姿が見たかったのですね?意外と、いい趣味していらしてますわね♪」
「…それでいいから、早く洗ってくれよ」
「はい♪」
そして風呂から上がり、着替えて歯を磨くとブランシェさんが
「ご主人様、それではちゃんと磨けていませんわ!私に磨かせてくださいませ」
「えっ…」
「歯磨きはこう、歯茎までしっかりと磨かないといけないんですよ?わかりましたか?」
いい歳して歯を磨かれるという恥ずかしい思いをしてしまった…
そして寝るために一緒の部屋に行く
なんだかブランシェさんが来て、俺は物凄く甘えてしまっているのではないだろうか?いや俺が拒否してもブランシェさんが食い下がらないってこともあるんだけど…
「それでは、今宵も歌わせていただきますわ…」
ブランシェさんの歌声が響く、小鳥のさえずりのように美しく…優しくて心地よい音色
「っ…」
それと同時に懐かしい感覚が胸に広がる
「…♪」
「う…ぁ」
なんだろう、この感覚は…
胸が暖かくて、満たさせる
ブランシェさんの歌を、もっと聴きたい
もっと近くで聴きたい
「…〜♪」
「…なぁ、ブランシェさん…」
歌うブランシェさんに、声をかける
「はい…なんですかご主人様」
俺に応えてブランシェさんが歌を中断しても、この感覚は強まるばかりだ
「その…もっと近くで聴きたい」
「ふふ…気に入っていただけましたか?」
ブランシェさんが横になっている俺を優しく撫でる
「あぁ…暖かくて、気持ちいい…」
「気に入ってもらえて、何よりですわ♪」
にっこりと微笑むブランシェさん、そしてすぐに少し困ったような顔をする
「あ…でも、これ以上近くとなりますと…どうしてもベッドに入らなければなりませんよ?」
「あ…うん、そうだな…」
「その…よろしいのですか?」
聞き返してくるブランシェさん、これから先をいうのは…恥ずかしい
「さ、察してくれよ…恥ずかしいだろ…」
「っ…!は、はい!失礼しますねっ!」
ブランシェさんが嬉々としてベッドに入ってくる
そして自然と見つめ合う感じに…
「…っ」
間近で見ると、本当にブランシェさんは綺麗だった
そしてすぐ近くで、また歌声が響く
「っ…♪」
「…あぁ…」
溶けるような感覚、至福の感覚を求めて自然とブランシェさんへと触れる
「っ、…〜♪」
歌いながら、少し驚いたブランシェさんはすぐに俺に答えるかのように抱きしめた
俺を包み込むような、優しくて柔らかい胸の感触が俺を安らぎへ導く
「ブランシェ…さん…!」
俺はその感覚を求めて強くブランシェさんを抱きしめた
この感覚を逃がさないように、強く…
「あらあら…」
そんな俺に、嫌な顔一つせずにブランシェさんは俺をあやすように撫でる
「母…さん…!」
「ふふっ…大丈夫ですよ、お母さんは…ママはここにいます」
ちょっと困ったような、そして嬉しいような表情でブランシェさんは俺を深く抱きしめる
「…安心してください、ご主人様…今日から私が…あなたのママだからね…」
「っ…」
ブランシェさんが歌を歌い、俺を優しく抱きしめる…それは寝付けない子を寝かす母親のようで
小さい頃に親を亡くした俺にとって、それはいけないことと分かっていても…決して拒むことのできない幸せだった
そしてその優しさに包まれたまま、俺の意識は深い夢へと引き込まれた
…
夢を、夢を見ていた
生まれたままの姿の俺と、生まれたままの姿のブランシェさん…
二人がだんだんと近づいて、お互いに肌を重ね…そして男女の営みが始まった
「うおぁっ!?」
俺はベットから跳ね起きる、衝撃的な夢を見てしまった
「…ご主人様?」
「ぁ…ぅ…」
俺が跳ね起きたためか、すぐ横に寝ていたブランシェさんが目を覚ましてしまう
俺はさっきの夢のせいでブランシェさんと目が合わせられなかった
「ご主人様、何かありましたか…」
「うっ…あぁぁぁぁぁぁぁ!」
「ご主人様っ!?」
さっきの夢のせいで、ブランシェさんがとてもいやらしく見えてしまった…心配してくれている母親のようなブランシェさんを、だ
俺はそんな目で見てしまったことの罪悪感で、部屋から駆け出していた
「はぁ…はぁ…!」
リビングまで降りてきて俺は少しだけ落ち着いた
「ご主人様、ご主人様!」
「ブランシェ、さん…」
「一体どうなさったのですか!?何処かお身体の調子でも…」
ブランシェさんが手を俺に差し出してくれる
「ダメだ…」
しかし俺はその手を力なく振り払った
「ご主人様…?」
ブランシェさんの顔が曇る、そんな表情を見ていられなくて俺は顔をそらす
「と、とりあえずお部屋に戻りましょう?明日はお休みと言えどもあまり遅くまで起きていては…」
「ダメなんだよ…」
呟くように俺はぶつぶつと言葉を口にした
「ご主人様…申し訳ありません、私…何か失礼な事を…!」
ダメだ、こんな言い方は…これじゃ俺がブランシェさんを責めているみたいだ
「違うんだよ、ブランシェさんは悪くないんだ…」
「それでは…」
「俺がいけないんだ、俺が酷いやつだから…ブランシェさんに顔向けが出来ない…!」
「そんな、ご主人様に落ち度はありませんわ!」
「あるんだよ…」
ブランシェさんは分かっていない、だから俺に落ち度がないと言える
その言葉で俺は更に自分が酷いやつだと分かった、分かってないブランシェさんに気を使わせてしまっている
「何が、あったのですか」
「…言えねぇよ」
「言ってください、誰も怒ったりはしませんから…」
ブランシェさんが母親のように諭してくる、それは母親のことをよく知らない俺にとっては無条件に従ってしまうほど…効果的だった
「お、俺は…ブランシェさんを、母さんと重ねてた…」
「はい、そうですわね…」
「でも…俺は、ブランシェを…母さんみたいに思ってたブランシェさんを夢で汚したんだよ!」
言ってしまった
ブランシェさんを母さんと重ねてしまっていたこと
ブランシェさんに、いやらしい妄想を抱いてしまったことも
「…抱きしめてもらえるだけでよかった、歌ってもらえるだけでよかったのに…」
「ご主人様…」
「でも、俺はブランシェさんを…だからこんな俺じゃブランシェさんに顔向けが…」
「はぁ…もう、ご主人様っ!」
ブランシェさんが俺の身体を抱き寄せた、その力は強く男の俺を難なく動かす
確か初日と、朝もこうやって抱きしめられたっけ…
「離せよ…」
「いやですわ」
「やめろよ…今俺がどんなこと考えてるのか分かってるのか?」
「ふふ、それは勿論ですわ♪」
その言葉に顔が熱くなった、ブランシェさんは大人だから今の俺がどうなっているのかお見通しなのかも知れない
柔らかいブランシェさんの身体が、匂いが、暖かさが今は余計な刺激を与えてくる
「や、やめてくれよ…離せってば、俺の…主の命令が聞けないのか?」
「ええ、聞けませんわ」
「な、なんでだよ…メイドなんだろ…おかしいだろ」
「メイドとは、ご主人様の言うことを聞く存在ではありません。ご主人様のご要望…そこには何が本当に望まれているかを完璧に読み取り完璧な行動することこそがメイドなのです」
「だったら…尚更だろ」
「ご主人様はそうは望んではおられませんので」
そんなこと…
「ご主人様の笑顔が、私の喜び…ご主人様のお願いが、私の生き甲斐なんです…」
「でも、だって…」
必死に反論の言葉を探そうとするが、言葉が見当たらない
「私のことを、お母さんと思ってもらっても…女性として見てくれても…どちらでもいいのですわ」
「そんな、そんなのって…」
「いいえ…両方の目で見てくれるのなら、もっと嬉しい」
そんなこと、おかしい…メイドだからって…そんな
「だって…あなたに愛情を向けられるのは、たとえどんなカタチであっても…本当に、本当に嬉しいことなのですから」
「ブランシェさん…」
「だから、二倍の愛情を注いでくれるなんて…こんなに嬉しいことは、他にないですわ♪」
ブランシェさんが、ブランシェさんの言葉が俺を溶かしていく
抵抗しようとしていた腕も、いつの間にかブランシェさんの背中に回されて…
いつの間にか俺はまたブランシェさんの優しさに包まれていて…
「ですから…ほら、お願いしますわ…お部屋に戻りましょう?」
「…っ」
俺は小さく首を上下に振ることで答えた
「そして…」
そんな俺にブランシェさんはまっすぐ俺を見て、はっきりとこう言った
「ご主人様の初めてを、私に下さいね」
見つめあった俺は、何も言えなかった…
「始めに…キスを、教えてあげますね♪」
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15/07/12 15:49更新 / ミドリマメ
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