読切小説
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とある吸血鬼の日記
・1990年10月3日 晴れ
今日から日記をつけることになった。
日記なぞ、今まで生きてきた中で一度もつけたことがないが…まあ、何とかなるだろう。
しかし…このぽぉるぺんなるものは非常に便利だ、いちいちインクをつけなくても書けるなんてすばらしすぎる。




・1990年10月4日 曇り
今日も何時も通り、何も無く暇な一日だった。
昔は私を滅ぼそうと人間が束になって押し寄せてきたものだが…
平和なのは構わないが…たまには何か刺激が欲しいところだ。




・1990年10月5日 曇り
最近になって、ヴァンパイアハンターなる者がこの辺りに現れたらしい。
そのことを教えてくれたバフォメットは、ロリ化すれば相手をメロメロに出来るぞなどと抜かしていた。
そんなことをすれば、このロリコン幼女の思う壺なのできっぱりと断っておいた。




・1990年10月6日 雨
今日はヴァンパイアハンターという者をこの目で見ることが出来た。
我らを狩ろうとするだけあって、実力はその辺の人間の比ではなかった。
ただ…ヴァンパイアハンターとやらは子供でも気軽になれるのだろうか…
私の見たヴァンパイアハンターが幼い子供だっただけかもしれないが…もしかして子供と見せかけて油断させるためか!?
…ヴァンパイアハンター…恐るべし…




・1990年10月7日 晴れ
今日も昨日と同じヴァンパイアハンターが来た。
私に切りかかろうとして転んだり、思いっきり振るった剣が手から抜けて壁に突き刺さったり…
あぁ…私の中のヴァンパイアハンターのイメージがどんどん崩れていく…




・1990年10月8日 晴れ
今日はバフォメットやエキドナを呼んで茶会を開いた。
ゾンビの平均腐り具合について話していたら、奴が来た。
バフォメットやエキドナがいるのを見て、涙目になりながら帰って行ったが…
…あの表情を見て、何故か興奮したと言うことは口が裂けても言えない…




・1990年10月10日 曇り 
今日も奴が来た、何度も何度もご苦労なことだ。
無論、私に勝てるわけがなく、涙目になりながら帰って行く。
あの表情…溜らん…




1990年10月12日 晴れ
今日は外で別のハンターに出くわしてしまった。
何時も通りの力を出せず、あっさりと負けてしまった…
もうだめかと思ったその時、奴が来て他のハンターを追い払ってくれた。
何故助けたのかを聞いてみたら「お前は僕の獲物だから横取りされたくない」と言っていた。
…こんなに胸がドキドキするのは初めてだ…どうしてだろうか…




・1990年10月13日 曇り
今日も奴が来た、毎日毎日よく飽きないな…
何故私を狙うのか聞いてみたが、真っ赤な顔をして逃げ帰ってしまった。
…可愛いやつだ…




・1990年10月14日 雨
今日も奴が来た…だが、何か様子がおかしかった。
どうしたのか訊こうとした瞬間、奴が倒れた。
どうやら風邪を引いていたらしく、その状況で私に挑みに来たらしい…
放って置くのもかわいそうなので、しばらく看病してやることにした。
べ、別に下心があるわけではないぞ!ただ純粋に暇つぶしが無くなってしまうのが嫌なだけで(以下省略)




・1990年10月15日 曇り
バフォメットにおかゆなる物の作り方を教えてもらった。
早速作って奴に食べさせてみたが、奴はおいしいと言って全部平らげてしまった。
まったく…風邪を引いていても食い意地だけは一人前だな…
…明日も作ってやるか…どんな風にアレンジして作ろうか…




・1990年10月16日 雨
今日はおかゆに卵を入れて見たが、奴は美味しそうに平らげてくれた。
最近になって、私が奴に好意を寄せ始めているのではないかと言うことに気づき始めた。
奴の笑顔を見るとドキドキして…って私は日記に何を書いているのだ…
あぁもう!今日はもう寝る!




・1990年10月17日 晴れ
奴の熱も大分下がってきたみたいだ。
順調に行けば、明日には治ってしまうだろう。
私の中でも、気持ちの整理が澄み、奴に思いを伝える覚悟は出来た。
明日、奴に思いを伝えよう。




・1990年10月18日 雨
おかゆを持って奴の居る部屋へ行ったが、そこに奴はいなかった…
風邪は治ったのだろうか?動いても平気なのだろうか?そんな不安で頭がいっぱいになる…
…やめよう…明日には何時も通りに来るはずだ。




・1990年10月19日 曇り
今日は奴が来なかった。
ハンターが何人か来たが、その中に奴の姿はなかった。
…明日は来てくれる…きっと…




・1990年11月20日 雨
今日も奴は来なかった。
私のような美しいレディーを待たせるとは…
来た時に思いっきり説教をしてやろう。




・1991年4月5日 晴れ
今日も奴は来ない…
これ程、孤独感を感じたのは何時以来だろうか…
…思い出しても仕方がないか…




・1992年10月19日 曇り
奴が来なくなってから、調度二年が経った…
奴のことを思い、自慰をする日が続く…
奴の手でされている想像をしながら…




・1994年7月1日 晴れ
奴を見かけなくなってから約4年が経った。
今の今まで奴のことを忘れたことなんて一時も無い。
胸が苦しい…涙が止まらない…




・1997年12月12日 雪
奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない奴が来ない
















・2000年10月18日 晴れ
夜、一人のハンターが私に挑んできた。
全力を出したと言うのに、私はなす術も無く負けてしまった…
死の覚悟をしたときに、奴の事が頭に浮かび、いつの間にか涙を流していた…
私は、静かに目を閉じた…


何時まで経っても止めを刺されることは無く、何事かと目を開けた。
目の前には、私を打ち負かしたハンターが居る。
ハンターは、私の方を見て優しく微笑み、ただいま…と、ただ一言だけ言った。

その声は、紛れも無く奴の声だった。











・2001年10月5日 晴れ
今日は、私と奴の愛の結晶が誕生した。
ほぼ毎日ヤっていたから無理も無い。
今考えてみると、今日までいろいろな事があったが、どれもすばらしい思い出だ。
今はただ、この幸せを手放したくない。




・2010年10月5日 曇り
私達の娘も大分大きくなった。
最近では私の手伝いもしてくれるし、本当にいい子に育ってくれている。
そんな可愛い娘が2人になると思うと…フフフ…
















「こら、勝手に人の日記を見るんじゃない。」
「ごめんなさいお母様…」
「あんまり可愛い娘を叱ってやるな、いろいろな事に興味を持ち始める年頃なんだ。」
「ちゃんとしつけるのも愛情があるからこそだ、と言うわけで日記を返しなさい。」
「はーい…」

娘の手から日記を取り返す。
この日記を見られていたと思うと…
そんな私の顔を見てニヤニヤしている奴…もとい夫。
そんな顔をしていると干からびるまで搾り取るぞ。

「ほら、良い子はもう寝る時間だ、早く休みなさい。」
「はーい、おやすみなさいお父様お母様。」
「さて…俺も寝るかな…」
「お前は寝かさん、今夜もたっぷりと楽しませてもらうぞ。」
「おいおい…いい加減干からびるぞ俺。」
「いいからベッドの中で待っていろ、もし許可無く寝たら…分かっているな?」
「はいはい…」

そういいながらベッドに横になる夫。
その姿をしばらく眺めた後、私はボールペンを手に取った。




・2010年10月6日 晴れ
もう直ぐ二人目の子供が生まれる。
可愛らしい娘と、新たに生まれてくる娘。
そして大好きな夫に囲まれて…

私はこの上なく幸せだ。


10/10/05 18:57更新 / 白い黒猫

■作者メッセージ
皆大好きヴァンパイアさん!!!!!
…すみません取り乱しました。
ボールペンがこの時期に存在していたかは知りませんが、ギャグっぽいところを入れたかったので…
ヴァンパイアさんを書くのは初めてですが…うまく書けたかわからない…うーん…

クーデレかぁいいよぉぉぉぉぉっていうテンションに押されて勢いで作っただけですが気にしないでください。
エロイの書けないよ!やったね!!!

…グスン…

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