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平原の中心に大破した鉄の塊が転がっている その周りには途方にくれる人間や魔物達がいる 「・・・」 「うぅ・・・ごめんなさい・・・」 「だからあれほど操作中は襲わないでくれって言ったんだ」 「だって・・・ムラムラしたんだから仕方がないじゃない・・・ああするしかなかったのよ」 何故こんなことになったのか・・・ ライトはため息を漏らしながら思い出し始めた 〜30分前〜 「こんなものを作っていたのか・・・」 「こんなこともあろうかと1年かけて修理していたのだ」 そういうと、ライトは腰に手を当てて得意げに笑った リーデルから脱出したライト一行は長い道を鉄の塊に乗って移動していた ライト曰く、この塊はとらっくというものらしい 「しかしこのとらっくというものは便利だね、馬を使わなくても多くのものを運べるなんてすごいよこれ」 「だが操作するには魔力が必要なのだ、長時間操作するとすごく疲れるぞ」 「どうやってそうしているの?」 「この輪の形をしたものに魔力を流し込みながら操作をするんだ、捻ると方向を変えれるぞ」 「へぇ、なかなか面白そうだね」 「安全なところに着いたらアルトも使ってみるか?」 「面白そうだしやってみるよ」 そんな他愛の無い話をしているとシャイナがやってきた、しかしどこか様子がおかしい 息は荒く、頬を赤らめてモジモジしている 「あなたぁ・・・エッチな気分になっちゃったんだけど・・・」 「まあまて、今するのは非常に不味いから後n」 「我慢できないのぉ・・・いただきまぁす♪」 「おい馬鹿やめろ、本当に洒落にならんかrアッー!」 「手を離して大丈夫なの?」 「大丈夫なわけあるか!とりあえず母さんの暴走をとmむぐぅ!?」 「んっ・・・ちゅっ・・・ちゅぅ・・・・・・んん・・・」 あーあ・・・こうなってしまってはどうしようもないだろう・・・ ふと、外をみたらおかしなことに気づいた 僕は、最悪の事態を想定しつつ、お父さんに聞いてみた 「ねえ・・・お父さん・・・このとらっくって空飛べるの?」 「ぷはぁ!・・・そ、そんな機能はないぞ?一体どうしたんだ?」 「見れば分かる・・・」 「ん?・・・なっ!?」 とらっくは勢いよく空へと飛び立っていた、羽もなしに 「アルト、シャイナ、今から大切なことを伝える」 「・・・なんだかいやな予感が・・・」「そんなことよりもエッチしましょうよあなたぁ♪」 ライトは大きく息を吸い、とらっく内の全員に聞こえるように叫んだ! 「落ちるぞぉぉぉ!!!何かに掴まれぇぇぇ!!!」 そう叫んだ直後、とらっくは重力に逆らわずに真下へと転落し、転がっていった・・・ 「シャイナ、君のおかげで私の1年間の苦労が水の泡になったよ、何か礼をしたいのだが?」 「えへへ、それじゃぁ・・・しよ?」 「はぁ・・・それしか頭にないのか・・・」 「だって・・・あなたのことが好きなんだもの、仕方がないわ」 「まったく・・・まあ、シャイナのそんなところに惹かれたんだけどな」 「あなた・・・♪」 「・・・私達はあの二人の子供なのだな・・・」 「・・・悲しいけど、これが現実か・・・」 「子供は親を選べぬとはこのことなのか・・・」 「・・・お母様・・・あの二人は何をしているのですか?」 「うふふ、互いの愛情を深める素敵な儀式よ」 「儀式・・・お兄様・・・♪」 「いや、クリスにはまだ早いから」 「私達も負けていられん!ウィル!脱げ!」 「ドサクサに紛れて何をやってnアッー!」 「・・・こんなときどんな顔をすればいいのだろう・・・」 「・・・スマイル・・・ニコー・・・」 ・・・緊張感がなさ過ぎる・・・こんなときに騎士達が来たら・・・ 「そこまでだ!」 ・・・・・・さすが騎士、空気を読みすぎている・・・ 「大人しくしろ!抵抗しても無駄だぞ!」 「・・・すみません、今抵抗する気も何も起きないのですが」 「・・・何だって?」 「ハハッ・・・もう疲れたよバトラッシュ・・・もうゴールしてもいいよね・・・?」 「と、とりあえず落ち着け、向こうに渡ったら戻ってこれなくなるぞ」 「・・・ゴール・・・ゴフゥ!」 あまりの状況に思考の整理が追いつかず、吐血してしまったようだ 僕は前のめりに倒れこみ、意識を失ってしまった・・・ 「なるほど・・・他のやつらに追われて逃げていたのか」 「最近の人は野蛮で困る・・・もう少し話し合いというものをして欲しいですよ」 「悔しいが私も同じ意見だ、物事は出来る限り穏便に済ませたいものだ」 倒れてから30分後に僕は目を覚ました もっとも、僕がいた場所は三途の川でも牢獄でもなく草原だったが 彼は、僕が目を覚ますまで待っていたらしい、騎士の鏡のようだ 「騎士の中にも貴方みたいな人がいるのには驚きましたよ」 「騎士と名乗るからにはたとえ相手が罪人であろうとも寝込みを襲うような卑怯な真似は出来ん」 「本当に貴方みたいな人ばかりならこうしていがみ合うこともなくうまい酒の一杯でも飲めたでしょうに・・・残念です」 「うむ・・・騎士という立場を利用して殺戮を楽しんでいるものもいるからな・・・そいつらに見つかったら裏切り者扱いされそうだな私は」 ちなみに、今飲んでいるのは先ほど手に入れたハーブティーだ すっきりとした飲み口と辺りを包むさわやかな香りで飲むものを癒してくれる 「・・・やはり僕達を捕まえるんですか?」 「・・・ここにいるのは私だけだ、私の口を封じてしまえば捕まることはないぞ?」 「・・・貴方とは・・・戦いたくないです」 「その言葉の意味が分かっていっているのか?」 「捕まるのは確かに怖いです・・・でも・・・」 「・・・・・・・」 「せっかく正真正銘の騎士に・・・貴重な人に出会えたのに・・・そんな人を斬ることなんて・・・」 「・・・愚かだな」 「愚かでも結構です、捕まえるならどうぞ、逃げも隠れもしません」 「・・・いいか?私は今、一人だ」 「それがどうかしたんですか?」 「私は指名手配犯を見つけることは出来なかった」 「・・・え?」 「ここにいたのは・・・話の旨い行商人だけだった」 「それって・・・」 「ハーブティー・・・美味かったぞ・・・さらばだ」 そういうと、彼は立ち上がってリーデル方面へと歩いていく 「・・・まってください!」 「・・・何だ?」 「貴方の、貴方の名前を教えてくれませんか?」 「名前・・・か・・・」 彼はしばし考え込んで、大きな声で名乗った 「私の名はブラウン=クレスト、ただの変わり者の騎士だ」 彼、ブラウンは、名を名乗ると振り返ることなく平原の道を歩いていった 「ブラウン・・・またどこかで・・・」 いつの間にか僕は、彼の名を口にしていた 初めて騎士とまともに会話をしたということと、揺らぐことのない騎士の心を持つものに対しての敬意の表れであろうか・・・ 僕は、何時になるか分からない、彼との再会の時のことを思い浮かべて、自然と笑みを零していた 「あぁっ!・・・もっと奥まで一杯にしてぇ!」 「望みどおりにたくさん出してやる!受け取れ!」 「ウィル・・・もっと気持ちよくしてやるからな♪」 「くぅっ!もうやめろっていって・・・うあぁ!」 「・・・・・・・・雰囲気ぶち壊しだよ・・・」 「・・・泣かないで・・・お兄様・・・」 せっかくかっこよく終われそうだったのに・・・ 先ほどの笑みとは一変して、僕は身内の情けなさに涙することとなった・・・ ・・・本当に先が思いやられる・・・はぁ・・・ 「・・・私の出番・・・グスン・・・」 「・・・お母様・・・泣かないで・・・次は出番あると思う・・・多分・・・」
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