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恵みと味わいの町ロディアン

【主な種族:ワイバーン、ワーム、他料理が得意な魔物】




【ロディアンと言う町】
到着。
「ここが、ロディアンですか」
そう。
この国のご飯の場所。
沢山畑があるし、ノームとかがいるから果物の森とかある。
「凄く広いですね。ところで、この町は国の中ではどの辺りに位置しているのでしょうか」
んー。
広い場所。
「ひろいばしょ」

入り口の町ハザマがあって、お城があって、その間に交易の町がある。
恵みの町ロディアンと戦いの町マグドランの間に交易の町がある。
「ああ、それであの大きな闘技場が見えないんですね」
一応、高い所からなら見える。
「でもびっくりしましたよ。朝の支度を済ませて宿を出たと思ったら、貴女に捕まってそのまま空の上、気づいた時にはこの町の入り口だったんですから」
色々あった。
「次からはもう少し心の準備をさせてください」
心の準備のために飛んできた。
「え?」
交易の町は凄くびっくりするから、今の内に心の準備。
「あ、はい」


この町は、この国で一番大きな町。
大きな森が幾つもあるし、畑もたくさんある。
泉もあるし山から流れる川もある。
ご飯の材料がいっぱい取れるように一杯頑張った。

ここはちょっとした明緑魔界。
戦いの町マグドランは闘技者のための料理店だったけど、この町は違う。
食べるための料理がある。
美味しい料理がある。
健康に良い料理もあるし、見た目がきれいな料理もある。
色んな食材があるし、色んな料理人がいる。
マグドランは闘技者の町だったけど。
ここ、恵みの町ロディアンは闘技者の代わりに料理人がいっぱいいる町。

料理する人はここに来れば、簡単にたくさんの食材が手に入る。
ドラゴンは食材丸かじりでもいいんだけど、料理するとすっごく美味しくなるし、食材だけより少ない量で満足できる。
魔力とか色々なことがあって、少ない量で済むんだって聞いた。
この国が出来た頃、食べ物が足りなくなって困ったことがあった。
食べ物が足りないってことが無いように、いっぱい畑を作った。
折角だから畑だけじゃなくて、色んな物を育てるようにした。
色んな物を育てたら今度は料理する人が足りなくなった。
だから料理する人を大大々募集した。

そうしたら町になった。
この町もマグドランと同じで、色んな大会がある。
闘技者コインの代わりに料理人コインもある。
考えるのがめんどいから闘技者コインと大体同じ事がこの町で出来るようにしてる。
マグドランと違うのは、この町は料理を勉強するお店がある。
色々な国で料理が得意な魔物とか人間を呼んできて、料理の先生をしてもらってる。
この町の料理大会で優勝した男の人に、こう、胃袋わしってされたドラゴンが結婚したこともある。
料理は凄い。
ん、何か来る。


びっくりした?
「あ、はい。ワームが突撃してきたのもそうですけど。片手で止めたことも驚きました」
そうなんだ。
この町ではよくある。
ワームはこの町でご飯食べるの大好きだから、ご飯をいっぱい食べてる。
ご飯食べて元気になったら、走り回る。
足は無いけど走り回る。
だからこの町には大きな道があちこちにある。
ワームはその大きな道沿いのお店にしか入っちゃ駄目。
その代わり、食べたいご飯があったら注文して持ってきてもらう、出前専門のお店もある。
ケンタウロスとか体の大きな魔物じゃ通りにくい道もあるから、大きな魔物は出前専門のお店で色んな料理を注文する。
そしたらワイバーンがご飯を持ってくる。
「こうして歩いている間にも、何回かワイバーンが飛んでいる所を見かけました。この町ではワイバーンが物流の要なのですね」

ぶつりゅー。
ぶつりゅーはわからないけど、料理とか軽い物を運ぶのはワイバーン。
ちょっと重い物を運ぶのは竜化したワイバーン
重いものとか沢山の物を運ぶのは、ワーム。
「ドラゴンの国ならではですね」

この町は料理人が一杯いるけど、農家とか森の手入れをする人もいっぱいいる。
ここでご飯を食べたら、そっちも見に行こう。
「そのために朝ごはんを抜いたんですね」
マグドランの料理もおいしいけど、やっぱりこっちの料理の方がおいしい。
何食べようか。
「お勧めのお店はありますか?」
んー。
全部お勧めだけど、初めて来る人なら、あの店がいいかな。


【味覚百貨店 満腹亭】
ここ。
「この辺りでは見かけない様式の建物ですね」
稲荷のお店。
ごぉ。

このお店はジパングに居た、イタマエを目指していた稲荷のお店。
イタマエはジパングの料理人。
色々な料理を作ってみたいって言ってたから呼んだ。
この国で生まれた料理、他の国の料理。
色んな料理を食べて、研究して、美味しそうなものは全部作る。
それで美味しい物を店主さん風に変えて色々な料理を作ってる。
ここの店主さんはロディアンの料理大会でいっぱい優勝してるから、絶対に美味しい。
「お勧めは何でしょうか」
全部お勧めだから、全部食べたらいい。
「無理です」
そうなんだ。
じゃあ、満腹御膳にしたらいい。
このお店自慢の料理を幾つも入れた、お弁当みたいなご飯。

私は、んー。
これとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれを3人前ずつ。
「随分頼むのですね」
このお店、メニューがどんどん増えるから、いっぱい食べないと追いつかない。
「そんなにメニューが多いのですか」
新しいメニューが増えても、お客さんの反応とかを見てイマイチだったら、メニューからなくなる。
今選んだのは、新しく増えた分だけ。
そこに期間限定とか、新作マカイモの料理とかあるから。
全部合わせたら、すっごい多い。
「すごいお店ですね」
でもイマイチな料理も普通に美味しいから、隠しメニューに載ってる。
「え。それじゃあ、頑張れば全部の料理が食べられるんですね」
店主さんの新料理のペースに負けなかったら。
「あ、あははは」

このお店、実は隠しメニューが幾つもある。
「え、そうなんですか」
娘さんが3人いて、ジパング料理が得意な子とか、デザートが得意な子とかいる。
その子たちの料理のお勉強で作った料理が隠しメニューにある。
安くておいしい。
「ご家族みんな揃って料理をされているんですね」
旦那さんは食材。
「あ、あははは」
冗談だけど。

旦那さんは、んー。
どっかの国で料理してた人みたい。
なんか、いろいろあって、この国に流れて来て、ここの店主さんと出会って、結婚した。
この国にはそういう人、良くいる。
色んなところでふらふら元気ない人がいたら、拾ってくる。
そしてお腹一杯ご飯食べてもらって、元気になったら、この国に残るか聞いて。
残らないなら元いた場所に運ぶ。
「それって、誘拐ですよね」
元気な人は連れて行かない。
もう、ふらふら〜ってなっている人を拾う。
ここの旦那さんも、ふらふら〜ってなってたんだって。
お店の名前、満腹亭。
お腹いっぱいで満腹になってほしいのと、幸せいっぱいで満腹になってほしいから、こう言う名前にしたんだって。
店主さんがそう言ってた。


【大農園地区】
ご飯を食べたらゆっくりしよう。
「ここは広いですね。放牧地でしょうか」
ここ、畑。
「え? でも、畝も何も見えないですけど」
日が沈むくらいの時に大雨が降って、夜中の間に沢山背の高い草が生える。
その草を何か色々やったら、肥料になる。
「えーと」
ここは肥料の畑。
日が昇っている間は昼寝しやすい場所で、夜の間はすっごく雨が降る。
「すごい場所ですね。毎日雨が降るんですか
ウィンディーネが雨を降らせてる。
「この国には精霊も多く住んでいるのですね」
いっぱいいる。
昼寝したいけど行く場所が多いから、じゃんじゃん行こう。
 
肥料の畑を進んだら、凄く大きな畑がある。
「これは、本当に見渡す限り畑ですね」
肥料の畑で取った草で肥料を作ったら、この畑に撒く。
その後に色々やったら、土が元気になるから、ノームに任せるだけより美味しい作物になる。
「最初に肥料の畑と聞いた時は意味が分からなかったですが。なるほど、肥料作りも農業には重要ですからね」
そうみたい。

ここを進んで、んー、この辺かな。
あったあった。
「なんだか、こう、変わったものが生えている畑があるんですけど。というか、ドラゴンの頭の様に見えますよね、あれ」
リュウマカイモ。
「なんですかそれは。マカイモの一種ですか?」
そう。
大きいし、火を噴く。
「火を?」
火を噴く。
「マカイモなんですよね?」
マカイモ。
リュウマカイモはふかし芋にして食べてもおいしいけど、お酒にすると強いお酒が作れる。
「マカイモでお酒を造るのですか」
よくわからないけど、このマカイモは食べておいしいお酒にしておいしい、そういうマカイモ。
あと大きい。
よいしょっと。
「う、えええ!? ウマより大きいじゃないですか!」
それがリュウマカイモ。
一番大きかったのは、これ3個分ぐらいあった。
「感想に困るぐらい大きいですね」
この国が出来た頃にご飯が足りなくなった頃があったけど、リュウマカイモのお蔭で何とかなった。
今では立派な特産品。


この森が、果樹園。
色んな魔界の果物が育ってる。
あと触手も育ってる。
「え、触手も?」
サラダに出来る触手とか、歯ごたえのある触手とか。
この森の奥に行けば、魔界獣がいっぱい住んでる。
「魔界獣もこの森に生息しているのですか。本当に食材の宝庫ですね」
魔界獣も大体マカイモ食べるから、これを、えいっと。
「あ」
投げておけば、落ちたマカイモを勝手に食べて育つ。
「あの大きさのマカイモが石ころの様に飛んでいくなんて、すごい力ですね」

リュウマカイモは大きいし美味しいからみんなの大好物。
ここの森はご飯用の森だから果物もいっぱい取るけど、別の森だとお酒用の森とか、魔界獣のご飯用の森とかある。
大農園地区はご飯と食材のための場所。
あちこちにあった家とか小屋は、ここの管理をしている人たちのお家。
「思っていたより少ないのですね」
森に住んでいる夫婦もいるし、沢山働く時期には地下のジャイアントアント達が手伝いに来る。
「ジャイアントアントも居るのですか」
食糧庫とか地下で育てられる作物とか、色々頑張ってもらってる。
さぁさぁ、次に行こう。


最後はここ、大きな湖。
「きれいな水ですね」
ここにウィンディーネ夫婦が住んでる。
いっぱいえっちして一杯きれいな水を呼び込んで、川を経由して森とか畑に流れ込む。
魔界獣とはちょっと違うけど、大きな魚とかいっぱいいる。
あと川を下っていったら海まで行くけど、そこの海にもおっきな魚がいる。
今はまだ作ってる途中だけど、そのうち港町も出来上がる。
「そこも見てみたいですね」
建ててる途中だから、駄目。





【BAR スパークブルー】
今日はここでお酒を飲んでから宿屋さんに泊まろう。
「交易の町に行くのではなかったのですか」
じゃあ軽く飲んでから行こう。
ドラゴンたちはお酒も大好き。
だから強いお酒がいっぱいあるし、酒場も一杯ある。
このお店はお酒を一杯飲むんじゃなくて、美味しいお酒を飲むお店。
マスター、あれ飲みたい。
「赤い方ですか? 青い方ですか?」
赤い方で。
「かしこまりました」
「このお店にはよく来るのですか?」
お酒をたくさん飲まない日は来る。

あ、もう出来た。
「こちら、『夕焼けの日』でございます」
このお酒は、陶酔の果実で作ったお酒にさっぱりする果物の汁を入れて作ってる。
お酒の量は少ないから、ふわふわする気分だけ味わえる。
「こちらの方は未婚の男性の方ですので、『夕焼け前』をどうぞ」
夕焼け前?
「魔界産ではない、陶酔の果実と似た味の果物酒で作ったカクテルになります。学者さん、なのでしょう? 魅了効果が無い方が良いと思いまして、こちらをご用意しました」
「とても助かります」
いただきます。
ん、おいしい。
「本当に、すごく飲みやすいですね」
「本当ならここで、『夕焼けの日』をお勧めするんですよ。こちらの方が、より豊潤で甘い香りがしますよ、と」
「そして酔いに任せた先で魔物に介抱されるんですね」
「ええ、そう言う事です」
お酒の甘い罠。
美味しくて甘い。

「ああ、そういえば」
ん?
「あちらの方が探していましたよ」
あ。
「どうかしました?」
「ああ、こんにちは。貴方が魔界学者の方ですね」
「え、ええ。そうですが。失礼ですが、貴女は?」
「私は本来の案内役です」
「え? どういうことですか?」
「昨日、少し案内に向かうのが遅れたせいで中々出会えませんでしたが。やっと会えました」
「あれ、つまり」
「はい。そちらの方は、元々案内役ではありません」
案内してるから案内役。
「そう言う問題じゃないんですよ!」
とりあえず次の町に行こう。
「え、あ、ちょっと」
「あ、待ってください!」
お支払いはつけ払いー。


【飛竜ガイド】
お酒も飲んだしご飯も食べたから、次に行こう。
「えっと、あの人、なんだか睨んでいませんか」
気のせい。
「ええ、睨んでいませんよ。仕事を取られたからって、腹を立てているわけじゃないですから。つーん」
あの子は飛竜ガイドの人。
大体はワイバーンがやるんだけど、町から町へ飛んで連れて行ってくれる。
独身ワイバーンの希望者がすっごく多い仕事。
「あー、なんとなく事情が分かりました」
だから拗ねてる。
「拗ねてませんっ」
「でも、それならどうして貴女が案内役に来られたのですか?」
暇だったから。
「え、えええぇぇ」
「もう! そうだと思いました!」

どの道、マグドランとかロディアンはワイバーンじゃなくてもあんまり案内は変わらない。
町に行くまでの時間が早いか遅いかってだけ。
「じゃあどうして最初に竜車を使ったんでしょうか」
「そうですよ! せっかく、私の背に乗って案内しようとしたのにっ」
交易の町に行くときは、学者さんを乗せてね。
「え、ああ。そうですよね。折角来てくれたのですから」
意味が少し違う。
交易の町は、空から行くのが一番。
「どういうことですか?」
それは見てのお楽しみ。
「ふふー。そうですそうです! 見てのお楽しみ、です!」
「あ、そうなんですね」
私は自分で飛ぶから、二人で行ってらっしゃい。
「はーい!」

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一言メモ:作戦第二段階も順調。このまま様子見

23/04/06 20:23 るーじ

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