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021.暇つぶしは他所でやろう |
美味しい物を食べて。
いろんな人と遊んで。 頑張って強くなろうとしてるけど。 段々飽きてきた。 「また、遊びに行きたいのですか?」 うなずく。 美味しいお菓子食べたい。 「それなら私も行くわよ」 「え、なになに? 美味い酒もあるって?」 ディリアとカナシャもやってきた。 「また、あの国に行くのね?」 うなずく。 「どこだいそりゃ」 えっと。 黒くてねばねばした国? 「レスカティエですよ」 「へ〜。そこって凄いところなの?」 「空気の濃度はこことは比較にならないほどでしたわよ」 食べ物がおいしい。 他にも色々あったことを説明。 半分以上はディリアが解説。 「いいところじゃないか! よし、行こうぜ!」 うん、行こう。 とーちゃく。 「なるほどなぁ。強い奴はいるかぁ?」 「前に来たときは、王の妻たち以外はさほど強くもなんともなかったわね」 「お三方。争い事はお止めください」 隊長が深くため息をついてる。 元気出して? 「では、なるべく問題ごとを起こさないでください」 がんばってみる。 「努力はするわ」 「え、問題ごとが楽しいんだろ?」 隊長さんが大きく肩を落とした。 隊長さん、がんば。 とり、なんとかってお店で今回も食べた。 カナシャもいるから一杯食べた。 「至急、応援を呼んで!」 「了解しました!」 そろそろお酒飲む? 「それも良いわね。樽で飲めるかしら」 「あっはっは。だったら私は2樽だ」 「張り合わないでください。従業員が死んでしまいます」 お店が潰れたらみんな困るから、ほどほどに。 「それもそうね」 「だが、私は自重しない!」 巣でのお酒、無しにする? 「ちっ、わーったよ。普通にビンでならいいだろ」 「じゃあ私もそれで」 陶酔の果実酒3本。 「わかりましたぁ!」 「あ、私の方も。グラスでお願いします」 ケーキもおいしい。 パイもおいしい。 「私はもっとがっつり食いたいんだよなぁ」 「たまには味わいなさい」 「それでは、魔界豚専門の焼肉屋があるそうなので、後で行きましょうか」 「お、いいねぇ」 やめとく。 「なんでかしら?」 たぶん、歯止めが利かなくなる。 「あー、なるほどねぇ」 「いやいや。肉は食えるだけ食うもんだろ」 カナシャは大食いが得意。 「やめてください。在庫が死んでしまいます」 おやつを食べてふらふらゆらゆら〜。 「あら。龍王様?」 ダークなプリーストさんが現れた。 「あなた、前にも見たことがあるわね」 「はい。サーシャと申します」 「確か元勇者の方ですね」 ゆうしゃ? でも弱そう。 「勇者にも色々な方がいらっしゃるそうなので」 強くないのに勇者。 ふしぎ不思議。 「勇者だって? なら、かくご、がふっ」 あばれちゃだめ。 「まったく。ドラゴンの名に傷をつけるような事は止めてくれるかしら?」 「ちくしょう。弱い勇者なんて認めねぇぞ」 勇者は色々いる。 便利だからって勇者扱いする人もいる。 「なんだいそりゃ」 名声と権威と地位と、あと色々なものが手に入る。 だから勇者を作るって人がいる。 「わけがわからないねぇ」 「お恥ずかしい限りです」 でも、ダークなプリーストさんは戦えそう。 「強いのかい?」 カナシャはもう少し落ち着いたほうがいい。 「そういえば、あなたの名前は何ておっしゃるのかしら」 ん? なまえ、んー。 「また忘れたのかしら?」 ディリア、あたま痛い。 「叩けば出てくるかしらね? 自分の名前でしょう」 いたい、いたい。 「はあ。この子はリィーバって言いますの」 よろしく。 「はい。私はサーシャとお呼びください」 ん。 サーシャ。 覚えた。 で。 サーシャが案内してくれた。 美味しい食べ物が出てくるらしい。 出てきたのは沢山のちびっこサキュバスたち。 ん。 なんかみんな黒っぽい? 「全員ダークプリーストの様ですね」 「みんな堕落しているの? ということは」 サーシャが原因。 「はい♪」 サーシャ、がんばった。 「ええ。今ではみんな、淫らな笑顔を浮かべていますわ♪」 抱き着いて来ても、何も出てこない。 出るのは炎だけ? 「あそぼー」 「あそぼー」 「ああ、もう。この子たちは何とかならないのかしら」 「はっ。子供の扱いは慣れてるぜ」 カナシャがドラゴンの姿になった。 相変わらずおっきい。 そのカナシャの背中にみんな乗っていく。 「おーし、全員乗ったか? じゃ、動くぜ」 カナシャが発進。 みんな大喜び。 「意外な才能、なのかしら」 ふしぎ不思議。 「はは。私はあちこち旅をしてるからね。泊り先で子供の世話をすることも多かったんだよ」 「カナシャ様も一般的なドラゴンに比べると、やや変わっていますね」 酒と食べ物があれば満足なのはドラゴン共通。 カナシャはドラゴンの中でも大雑把で、プライドは少なめ。 「私は地上だけでなく、空の王者として君臨するべく日夜努力を続けているわよ」 水中は? 「ドラゴンに水中を求められても困るわね」 地中のドラゴンがいるくらいだから、水中のドラゴンもいるはず。 「ワームは別に潜っているわけじゃないでしょうに」 「それじゃ、全員乗ったわね? じゃあ、行くわよ」 ディリアも子供たちを乗せている。 ただし、カナシャと違う。 カナシャは歩く。 ディリアは飛ぶ。 風の魔法で安定させてるから、ディリアが飛んでも子供たちは落ちない。 「貴方は乗せないのですか?」 めんどい。 「何とも身も蓋もない」 「あれ、サーシャ姉の知り合い?」 「ドラゴンに乗れなかったの?」 凸凹コンビ? なんかちっこいのと中くらいのが出てきた。 「いや、違うから」 「ドラゴンに乗らないの?」 乗らない。 「なんで?」 自分で飛ぶ方がいい。 「んー?」 「あなた、どうやって飛ぶの?」 こうやって、こう。 「うわ!? ど、どらごんだったの?」 「うわー。はやーい」 おっきくもなれる。 「そうなの? 見せて見せて!」 えい。 「わー、すごいすごい!」 「あの歩いているドラゴンよりは小さいのね」 カナシャは大人顔負けにおっきい。 「あの飛んでいるドラゴンよりも小さいけど?」 まだ成長期だから。 きっと大きくなる。 「そうなんだ」 「ねぇ。乗っても大丈夫?」 きっとずっと大丈夫。 「ふわー。そら、とんでるー!」 「す、すごい。でも大丈夫なの?」 隊長さんがいれば問題ない。 「はい。お二人のことは支えています。万一、背から落ちてもすぐに救出します」 問題ない。 「あら。貴方も背に乗せているの?」 成り行き。 「カナシャが張り合ってあちこち走り回っているわね」 止めないと、そろそろ町に突撃する。 「それもそうね。じゃ、降りましょうか」 急降下ー。 「ちょ、ちょっとーー!?」 「ひゃ〜〜〜〜!」 「ご安心を! 必ずお守りします!」 「あらあら。みんな楽しかったみたいね」 子供たちに大人気。 ドラゴンって人気者? 「この国には様々な魔物がいますけど。ドラゴンはいませんから」 「ドラゴンは多くが自身の巣。あるいは竜の国に移住してきていますから」 くに? 「いや。貴方がずっと住んでる、あの巣よ。あれ、国なのよ」 初耳。 「国なの。わかったかしら?」 りょーかい。 「ふふ。仲がよろしいのですね」 うん。 仲良し。 「幼馴染ってやつだよ。そりゃあ、仲良しだ」 「ドラゴンは放浪癖があるから再会の機会もあまりないのだけれど。再会してからは一緒にいることが多いわね」 「このチビ、強いからなぁ」 えっへん。 堕落な孤児院は食べ物も堕落。 でも、料理がおいしい。 サーシャは料理上手。 「ありがとうございます」 「手料理ですか。良い物ですね」 「堕落する前から、ここの料理はずっと私が作ってきました。ですから、料理は得意なんですよ」 食べるのは大得意。 「作りなさい。ウチで一番の大食いなのだから」 マカイモはいっぱい作った。 「そうなのですか? あまり聞かないのですが」 「この馬鹿の食糧問題解決が最優先だから、回らないのよ」 「現在、その形状のこともありまして、流通に回すか検討をしているところなのです」 おいしいよ? 大きいし。 「それは楽しみですね」 「お腹いっぱい食べれるの?」 なんだか子供たちが集まってきた。 「どれくらい大きいの?」 これくらい。 みんな大興奮。 「今日はお帰りになるのですか?」 「ええ。事前の用意もなく来ましたので、さすがに一度戻らなければなりません」 しばらくこっちに遊びに来る? 「そうですね。竜の国とレスカティエの2国間交流を深めれば、より良い関係が築けることでしょう」 「例の巨大マカイモも特産品として売り出せばどうかしら?」 「そうですね。構いませんか?」 いっぱい食べれるなら、いっぱい渡す。 「ふふ。王様直々に作られているのですね」 えいってやったら出来上がる。 えっへん。 「細かな部分はこの場では決めかねますし。こちらも後で話し合わせていただきますわ」 暇つぶしに、他の国で遊ぶことにした。 レスカティエ。 昔は勇者がたくさんいた国。 今はいっぱい魔物がいる国。 勇者を丸ごと魔物に堕とした国。 隊長さんから聞いた。 あの白いサキュバスはリリムって言って、魔王の娘。 その親衛隊も凄腕がいっぱい。 遊んでくれるかな? 全力出してもいいのかな? 隊長さんに聞いたら、駄目って言われた。 困ったこまった。 |