連載小説
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怪談パロディ2 むじな
〜むじな〜


前回、修学旅行にて雪代君が美人の嫁さん(雪女)を連れてきてからしばらく経ったある日の夜の事


これまた別の青年「霧島君」は、とあるオフ会に行き、高校生の分際でお酒を飲んで酔っ払い別の人間とふらふら帰っていた。
「いや〜・・・楽しい宴会でしたね」
と足取りふらふら霧島君
「飲み過ぎですよ霧島君、大体僕達は未成年でしょうが」
そんな霧島君の腕を肩に掛け歩くのは彼の同級生である三己梨君である
二人とも雪代君のクラスメイトである。

二人でしばらく歩いていると、いつの間にやら周りは街灯も少なく暗い道だを歩いていた。
「この道は・・・こんなに暗い道でしたっけ?」
「こ〜んなもんらって・・・・ヒック」
すっかりべろんべろんの霧島君、なんとも能天気である
そんなやりとりをしている最中、三己梨君はふと誰かのすすり泣く声を聞く。
声の方を見ると数少ない街灯の下に女性が座り込んで泣いているのを発見した。
彼は霧島君を道の端に置き、恐る恐る泣いている女性に近づいて見た。
「もしもし?大丈夫ですか?」
すると女性はこう答えた。
「落し物をしてしまったんです・・・・うっうっ・・・」
心やさしい三己梨君はその女性を放っておけずこう答えた
「なら僕が一緒に探して上げましょう、何を落したです?」
彼がそう尋ねると女性は
「顔を落してしまったんです」
そう言ってぐわっと顔を上げる、そこには目も鼻も口も無いのっぺらな顔が・・・
「ぎ・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
驚いた三己梨君、そのまま何処かへと走って逃げて行った。








「んあ?三己梨のやろーどこいっら・・・・」
三己梨君が逃げて行った後しばらくした後に霧島君は立ち上がりふらふらと歩きだした。
そして彼もまた女性のすすり泣く声を聞き
「なんら?おねえさんどったのさ?」
と声をかける
「私の顔が・・・・顔がぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
女性はまたもぐわっと顔をあげた、そこにはまたもそこには何も無いのっぺらとした顔が一つ

しかし霧島君の反応はまた別のものだった
「やー、ちげーろ・・・・椿たんの顔はこうら・・・」
何を思ったか彼は懐からマジックを取り出し、酔っているにも関わらず綺麗に顔を書いていった。
「あ・・・・あ・・・あぁ・・・・」
驚いたのはのっぺらぼうの方である、驚かれるのはいつもの事だが、まさか顔を書かれるとは思っていなかった。
「うい、これでいい・・・・じゃあの」
そういってへたり込むのっぺら女性・・・・基、椿たんなる顔を書かれた元のっぺり女性をしり目に霧島君はふたたび歩きだした。




それからしばらく歩いた時の事、目の前に一軒の蕎麦屋が彼の視界に入った。
水でも貰おうと彼は暖簾をくぐる
「店主ー・・・水ーくーれー」
「あいよー・・・」
そして店の親父は水を差し出す。
「いやよー・・・さっき変な女がいれよー・・・」
「それは・・・」
霧島君が続けようとすると店主はそれを遮り
「それはひょっとして・・・こんな顔でしたか?」
そう言って顔を出してきた、出てきた店主の顔は先程と同じように目も鼻も口も無いのっぺらぼう
「ちげーろ・・・だから椿たんの顔はこうだって言ってるらろ!」
そして再び霧島君はそんな顔にペンで顔を書いていく
「ぎ・・・・ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
叫ぶ店主をしり目に店を出てまたも歩きだす
「ったくよー・・・」
そんな事をしながらも無事に家にたどり着く霧島君、部屋に着くや否やベッドに飛び込み寝てしまった。






またもしばらく時間が経った後、彼の部屋に忍び込む三つの人影、よく見ると狐のような耳に、これまた狐のような尻尾が九本生えている少女達だった。
「ねえ、ボクまだ驚かしてないんだけど!」
「うるさい!顔に落書きされてまで黙っていられないわっ、作戦変更よ!」
「うぅっ、お姉ちゃんこの線取れないよ・・・・」
どうやらさっきののっぺらぼうの犯人達の様で、彼にコケにされた、と彼に仕返しをしに来たようだ。
「うーん・・・うるへぇ、なぁ!」
三人が喋っているとそれに反応し霧島君は目を覚ました。
三人はそれを見逃さずにすかさず
「うら」
「めし」
「やー!」
と驚かしてみた。
「・・・・ケモミミ椿たんがいっぱいらー!」
どうやら霧島君、まだ酔いが抜けていないうえに先程までの記憶もないようで、そんな事を言いつつ一番気の弱そうな娘を押し倒した 。
「キャー!」
「むちゅちゅちゅー!」
「うわー!むじ菜が捕まったー!」
「人間おっかねぇ、おっかねぇ!」
そんなこんなで狐少女二人は慌てて逃げて行った。
「ま、待ってー!」
「ぎゅー!すりすりすりすり、くんかくんかくんか!」
「イヤー!」





翌日の朝
「ううっ・・・ぐすっ、ひっく・・・」
霧島君が目を覚ますと、そこには狐耳の少女が座り込んで泣いていた。
「えー・・・・誰?」
すっかり酔いの冷めた霧島君、気まずそうにそう尋ねてみた。
「酷いっ!あんな(落書き)こんなこと(キスとかハグとか)をしといて・・・」
「えー!?あんなこと(はじめてを〜)やこんなこと(自主規制なプレイ)!?」
そう騒いでいると、流石に朝からこの騒ぎ、彼の両親が階段を登って部屋へと入ってくる。
「どうした桐男・・・・!?」
「そっ・・・・その娘は誰なの!?」
両親はそう尋ねるが全く覚えてない霧島桐男君
「もうお嫁にいけません・・・・責任とって下さい!」

「なんだとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「なんですってぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

泣き叫ぶ狐娘に驚き叫ぶ両親

「何がどうなってるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

そして訳も分からないまま驚き泣き叫び、ついでに鼻水と涎も垂らす桐男君であった。
汚ねぇな、オイ



〜めでたしめでたし〜

11/01/15 09:43更新 / 猫目
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■作者メッセージ
と言うわけで第二弾「むじな」でした
愛も変わらずノリと勢いです

むじなは本当は狸の類なのですが、図鑑には狸娘さんはいませんので狐の稲荷さん達の悪戯、とうことでここはひとつ

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