幼女ビーチへようこそ
夏だ!!!
夏と言えば女性の肌の露出が増える!!
運が良ければ胸チラとかもあるかもしれない。
そんな邪な思いを抱いた俺は珍しくもなくなった魔物娘が多く利用するというビーチへと遊びに行った。
あ、めんどいので細かい説明は省くけど、この国は突如あらわれたリリム様によって正式に魔物娘達の世界と国交が成立。町で見かける魔物娘も多くなってきました。
やったね!!
童貞をこじらせて、婚期を逃していた俺にも、もしかしたらチャンスじゃね? と思っていたけど、そんなうまい話はない訳で、………はい、未だに独身です。出会いなんて無いよ!!
会社にも魔物娘は居るけどみんな結婚してる。
というか、やっと休日取れたからこうして100キロも離れたビーチに来たけど、これじゃ、家でゴロゴロネトゲーやってれば良かった。
まあ、そんなのだから出会いがないというか、自分からフラグをへし折ってるのかもしれない。
あと、女性と手を繋いだことすらありません。あー、ちっちゃい頃ならあったかもしれないけど、それはノーカンだと思う。
てか
絶望した!!!
てっきり、ただでさえ露出が多い魔物娘のおねーさん達の、あんな姿やこんな姿が見られると思っていたのに。
いや、肌色というか青肌というか鱗とか、まあ、魔物なので肌の色はいいんすよ。
何が違うかって?
幼女しかいない
というか駐車場にスクールバスがある段階で俺は気が付くべきだった。しかも、ご丁寧に『サバトご一行様〜夏のキャンプ合宿〜』って書いてあるじゃん。
帰ろう。場所を間違えた。
「あのー、おにーさん一人?」
「ん?」
ちっこい少女が話しかけてきた。
濃い青色のツインテール、薄い紫色っぽい水着? 瞳も紫、服装もピンクと紫の組み合わせ。
あちこちにハートのマークが入った装飾。なんか日曜の朝にやっているアニメから飛び出したような幼女がもじもじしながら俺の前に現れた。
バッフォンで検索すると『ファミリア』という名前が一致した。ふむふむ、サバトの子か。なるほど。
「俺もう帰るんでじゃあね」
ぎゅ!
「遊んで♥」
ファミリアが俺の手をつかんでた。
「え、あっちでみんなと遊べばいいんじゃね?」
ビーチでは幼女とその旦那だろう、みんなが楽しくスイカ割りとかビーチボールとか、まあ、遊んでいるのが見える。
「わたしともだちいない」
「そっか、それは残念だったね。じゃ、俺はこれ ぐえっ」
と思ったら抱き着いてくる。どうしても俺をここに引き留めたいらしい。
「わたし、エリルっていうの、おにーさん、遊んで遊んで遊んで、遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで」
「えーと、俺、大事なお仕事があるからごめんね」
「さて、問題です。エリルは何回遊んでっていったでしょうか?」
「13回」
「ぶぶー、最後にもっかい言ったから14回が正解」
「そうか、良かったな」
「あそんでーーーー♥」
「HA☆NA☆SE☆」
「I☆YA☆DA☆」
というか、デパートでニン〇ンドースイッチを買ってもらえなくてダダをこねてる子どもみたいだ。いや、子どもだけど。
「どうしても離さないつもりか」
「うん♥」
く、こうしている間にも俺の貴重な休日が無くなっていく。というか移動時間が長かったからもうそろそろお昼ごh
ぐーーーーー
「おなかすいた♥」
「俺も」
もう、メンドクサイのでエリルと名のった少女と一緒にサバトのガキたちが旦那(ロリコン共)ときゃっきゃうふふしてる方へと足を向ける。
「にしし、遊んでくれるんだ。やったね♥」
「違う、腹が減ったから、海の家くらいあるだろう」
隣をみるとすでに俺の腕に抱き着くようにエリルがいるし。
ああ、ここがサバト組の占領してるビーチで良かった。こんな姿を会社の同僚なんかに見られた日には
「あれ? 課長じゃないっすか!!」
「いたーーーーーー、てかおまっ、サバト、え!?」
「あれ、俺の嫁はこの子ですよ」
「はじめまして、妻のアリスです♥」
「これはご丁寧にどうも、課長っす」
ぺこぺこと頭を下げる俺、てか同じ課の奴が居るとは、しかもあれって確かアリスという魔物娘。名前のまんまじゃん!
「おや、課長の隣にいる子は」
「この人がさっきナンパしたの♥」
ちょ、なんだこれ、みんなにやにやしてる。
まてまてまて。
「違う違う。俺がナンパしたんじゃなくて、このエリルちゃんに声を掛けられて、まあ飯でも食おうかと」
「課長」
「なんだね」
「それを世間一般ではナンパっていうんですよ。おめでとうございます。サバトはいいですよ」
「うん、アリスお兄ちゃん大好き、ちゅっちゅっ♥」
「あはは」
「うふふ♥」
だめだ、こりゃ。てか、周り見るとみんなビーチパラソルの下でお弁当を広げていちゃいちゃしてる。
中にはなんかあきらかにえっちな声もしてるし。ちょっとは隠そうよ!
「丁度いい、このエリルと言う子どもを頼む。俺は仕事があるからもうk」
「えーーーーーー! おにーさんお昼食べないの? というかエリルと遊ぶ約束は??」
「おじさんは忙しいのだ」
「課長、子ども泣かせたらいくら俺でも怒りますよ。かわいいは正義ですよ?」
「ちょ、ちょ、まてまて、そんな怖い顔をするな」
四面楚歌とはこのことか、俺の味方はいない。
あーもう、こうなったらやけだ。
「エリルちゃん飯食うぞ!!」
「やたーーー!!」
俺はエリルの手をにぎって海の家へと歩き出した。
「えへへ、なんだか楽しそう」
「いいねー。そっかー、やっとあの課長にも春がきたか!」
くそ、あいつ明日覚えてろ。あの案件とかやっかいな仕事回してやる。
「おにーさん、パワハラはダメだよ?」
「ごほん。エリルちゃん、勝手に俺の心を読まないでね」
「や! アリスちゃんの旦那さん困らせたらバフォメット様にいいつける。おにーさんの家に大量の幼女が押し寄せて、朝から大変なことになるよ。本当だよ。冗談じゃないよ?」
え、なにそれ、超幼女。じゃなくて、超怖い。
「ちなみに何をされるんでしょう」
「家の壁にらくがきとピンポンダッシュと、郵便物の受け取りと近所のお掃除と、おにいちゃんの家事とか、おはようじょから、食事の世話と遊び相手と会社への送り迎えと〇インで1秒ごとにかわいいスタンプが届いて、返信しないとアドレスが幼女に送られて100人に返信しないともっと増えるよ。あと……」
「ごめんなさい。俺が悪かったです。つまり全部幼女になるのだね」
「うん、そうだよ」
サバト、こわい、というかバフォメットって今調べたけど、むちゃくちゃ強そうじゃん!
「さて、何を食べようか」
「やきそば」
ほほう、確かに王道だ。
「エリルちゃん、どーして俺の膝の上に座ってるの?」
「家にたくさーんの幼女がくるよー♪」
「ごめんなさい、そのままでいいです」
「♪」
だめだ。エリルちゃん、キャラ変わってないか。
海の家のおっちゃんもそんな目で見ないで、俺は脅されてるんです。
この子どもの皮を被った魔物に。
ん? 魔物、ま、いーや。
「俺はラーメン、大盛で!」
「あいよ!!」
おっちゃんに注文をして、とりあえずエリルちゃんの観察。さて、どうやってこの子を巻こうか。
そうだ。大量に水を飲ませてトイレに行っている間に逃げる!!
俺、天才!!
「エリルちゃん、ジュース飲む?」
「うん」
くくく、かかった。所詮はガキだ。
「おっちゃん、ジョッキでオレンジジュース下さい」
「あいよっ!!」
どん!!
まて、ストローが二つ付いてる。
おっちゃんをみるといい笑顔でサムズアップしてる。
おい、違うんだ。これは
「わー、一緒にのもー、おにーちゃん♪」
きらきらした目で見つめられる。ああ、もういいや飲もう。
「あ」
「ん、どうした?」
「いいの、えへ、関節キスだね」
「な、ストローがいつの間にか一本になってる」
おのれ、はかったなシャ〇!
じゃなくて、エリル、ちゃっかり舌を出してるし。
ふう、なぜか海の家で食う飯は美味しい。どーみても安物の食材なんだけど。不思議だ。
「美味しかったね。おにーさん」
「ああ、そうだな」
それから、サバト組と俺とエリルは合流した。
「ほほう、エリルよ。がんばるのじゃぞ♥」
「はい、バフォさまっ♥」
え、あの子がバフォメット。てかエリルちゃんよりちっこく見える。いや、見かけに騙されてはいけない、きっとすごい力をもって
あ、こけた
「うわーん、兄様ーーー」
「バフォ様、大丈夫ですか!! 衛生兵!! バフォ様が何もない所でずっこけた!」
旦那らしき人があらわれて必死になだめている。え、どじっこ? まわりの子たちも微笑ましい光景を見ているようで
「尊い♥」
「バフォ様、ポンコツかわいいわ♥」
とか聞こえてくる。
まあ、とにかくマスコット的な存在なんだろう。
「おにーさん、こっちこっち」
「ん、何かあるのか?」
だんだん魔物達から遠ざかっていく。岩場の影。
ま、まさか!!
「ほら、見てカニwww!!!」
「え、ああ、そうだな」
エリルちゃんの手にはちっこいけどカニ、今は引き潮だから、よくみるとあっちこっちに小さな穴がある。取り残されたカニとか小魚が泳いでいる。
「えへへ、ばいばいカニさん」
「へー、あ、こっちにはめずらしい貝がある」
「みせてみせて! わ、きれー、七色にひかってる」
「あげるよ」
俺はとくにいらないし、エリルちゃんが喜んでくれるなら、なおいいだろう。
「やた、おにーさんありがと♥」
ぎゅっと貝殻を抱きしめて、水着みたいな服のポケットに大事そうにしまう。
「さて、他になんかいるかな」
「あ、みてみてー」
そんな感じでエリルちゃんと遊んだり。
「これより、みんな合同で、きもだめしをするのじゃー! いえーい!」
「「「「おーーーー!!!!」」」
夕方になって、暗くなってきてから夏の恒例行事ともいえるイベントが始まった。
「おにーさん、一緒にいい?」
「仕方ないなー」
「ありがとっ♥」
結局。
サバトの人たちにまざって、遊んでいる。エリルちゃんに聞いたらみんなが遊ぶイベントだから参加は自由だよ。とのこと。
さっきバッフォンの着信履歴を見たら、ラ〇ンで『総務課より各課へ 緊急連絡 会社のエアコンが故障、高温警報も発令中なので各自、自宅および外出先で待機、復旧のめどは経っていない。健康管理に注意せよ』とのことだった。さすがにIT関連を扱ってる会社でエアコンの故障はやばい、サーバーの熱でみんな色んな意味でダウンするだろう……命をだいじにだ。
勤務中でなくて良かった。
「ほほう、お主らの番か♥……ふっふっふー、今年のコレはこわいぞー、この先の神社に札がある。それを協力してココへ持ってくるのじゃ!」
バフォメットに簡単な地図とルール説明。
まあ、定番の内容だった。
「おおおお、おにーさん、ぜぜぜ、ぜったい離れたらダメだよ。もし手を離したら幼女だよ」
「わ、わかったから落ち着いてエリルちゃん」
「ううう、うん」
ふう、さっきエリルちゃんをトイレに連れて行って良かった。
あれ? なんか忘れてる気がするけどいっか。さて、思った以上に本格的だぞ。
懐中電灯じゃなくて、提灯ってとこも雰囲気あるし、真っ暗だ。確かにこれは怖い。
「きゃ!!」
「どうした?」
「あ、あそこ、何か居たよ」
うわ、エリルちゃん涙目だし、とりあえずなでなでして落ち着かせよう。
「大丈夫。あれは風で木が揺れただけだ」
「ぎゃーーーー!!」
「今度はなに!?」
ん、白いふわふわしたのが、え、えええええ。
「エリルちゃん、しっかり手を握って」
「うん、もうにぎってるよ。あれなんだろう。ううう、こわいぉぉ」
「はは、ききききっと何か風で袋かなんかが飛んでるんだよ!!」
二人で抱き合いながら進む、というか順路は合ってるのだろうか。バッフォンは使いすぎてバッテリー切れちゃったし、提灯の灯だけでは薄暗い、月も出ていないので一寸先は闇だ。
「おにーさん」
「大丈夫、よく見ると先にいった子の灯が上の方でちらちら見えているからこのまま進もう」
「うん、さっきの白いのはきっとみまちがいだね」
がたがた震えてる。
いや、確かにこわい。子どもにとってよくわからない物ほど怖い物はないだろう。例え魔物娘だろうが関係ないはず。
「お、神社ってあれじゃないか」
どうやら道はあっていたようだ。お賽銭箱の上に札が置いてある。
とりあえず、お参りして
(はやく彼女ができますように)
「おにーさん、何をお願いしたの?」
「願い事を他人に言ったら無効になるんだぞー」
「えー、ほんとかなー」
さっきの恐怖心は何処かに消えて二人で笑いあう。
「それじゃ、お札も持ったし帰ろうか」
「うん♥」
よくみると、エリルちゃんの様子がおかしい。
「ごめん、おにーさん、ちょっと足をどっかにぶつけたみたい」
変わった形の靴を脱がせると、確かに腫れているようだ。
仕方ない。
「乗っていいぞ」
「え、おにーさん」
背中ごしにエリルちゃんのちょっと膨らんだ胸が当たる。というか心臓の音が伝わってくる。
首にエリルちゃんの吐息があたって、なんか変な気分だ。
「おもくない?」
「え? 軽いし、それより俺、汗臭くないかな?」
「ううん? 全然、くふふ、いいにおいだし、あったかいし♥」
もぞもぞ動くエリルちゃん、よし問題ないみたいだ。提灯はエリルちゃんに持ってもらって、俺はエリルちゃんを背負って元来た道を引き返す。
「おにーさん」
「どうした?」
「あれ」
まじか、さっきの白いのが居る。
「ちょっと走るけど大丈夫か」
「うん」
俺はエリルちゃんを背負いなおして走ることにした。
なるべくあの白いのは気にしない。きっと何かの見間違いだ。
「うーらーめーしーやー」
「「ひいぃぃぃぃぃ!!!!」」
確かに聞こえた。ベタだけど、だからこそ怖い。
距離は離れているはずなのに、耳元で聞こえた。
「え、エリルちゃん大丈夫か?」
「う、うん、早く逃げよう!」
確かに後ろから気配がする。
振りかえってはいけない。
「お、やっと帰ってきたの、お主らが最後じゃぞ」
や、やっとゴールだ。
「おや、お主ら出かけた時は二人じゃったはずだが……」
ふりかえる俺たち。
バフォメットは気絶して、旦那さんが抱き抱えてる。
「ごめーん、ついつい演技に熱がはいっちゃったー。ってあれれ??」
「シルフィーちゃん!! やりすぎだよぉ。みんな泣いて大変だったんだから!」
「てへぺろ、だってあたし、ゴーストだし、本物じゃん♥」
どうやら本物の魔物娘のゴーストが居たらしい、バフォメットも自分で脅かし役を頼んでおいて気絶するとは……南無。
という訳で全員がまた暗い砂浜に集合した。
「みんなで最後は花火じゃーー!!!」
「「「「「おーーーーー!!!」」」」
どーん!!
「うわ、なにあれすごい」
「えっと、魔女の子たちの魔法だよ。すごいでしょー♥」
「すごいな」
「うん♥♥」
俺の肩にちゃっかり頭を乗せるエリルちゃん。
幸い足の腫れは治癒魔法で治ったらしい。良かった。
「ねえ、おにーさん、今日はありがとう♥」
「お礼を言うのはこっちだよ。楽しかった」
「そっか、よかった。あのね。おにーさんなんか寂しそうだったから声かけたんだ」
「そっか」
俺はエリルちゃんの頭に手を乗せて撫でる。
ああ、そうか、そんなに俺の顔さびしそうだったか……。
「だからね。もう一人じゃないよ。ちゅ!!♥♥」
「なっ」
口元を抑えるエリルちゃん
「にひひ、キスもらったよ♥」
「ちょ……」
いきなりだった。しっとりとした唇、子どもだと思っていたのに、かなりおませらしい。
てか、俺、今すごい顔が暑い。
「ね、ね、小さい花火もあるから一緒にやろーおにーさん♥」
「あ、ああ」
やばい、心臓のどきどきがとまらん。エリルちゃんもよくみると顔が真っ赤だ。
ああ、もう、とことん遊びに付き合ってやんよ!
どうせとーぶん会社は休みだ!!
「きゃはははは♥」
「こら、その花火は振り回したらやばい奴だから」
「えー、きれーだしいいじゃん♥」
まったく両手で、ま、きらきらしてて、いっか、それにあの楽しそうな顔。
かわいいじゃんか。
今年の夏はなんか楽しくなりそうだ。
「おにーさん、もう離さないよーにひっ♥♥♥」
その後、強引に連れ込まれた旅館で、無事に
童貞をエリルちゃんに美味しくいただかれた
のはまた別の話。
「ねねっ? 気持ちよかった?」
なぜかエリルちゃんの腕に抱かれてる俺。
なんで口にキャンデー咥えてるの? それたばこの真似なの??
逆じゃね?
「くっ、もうお婿にいけねぇ……」
「よいしょ♥」
再び俺の上に跨るエリルちゃん。
「にゃぁ、夜はまだまだこれからだよぉ〜♥♥」
「!!」
あっちこっちの部屋から響くえっちな声にかき消される俺の声。
サバト怖い!!!
夏は始まったけど、俺はどうやらここまでのようだ。
夏の海は気を付けよう、特に無邪気な笑顔の魔物娘には注意だ。
「ねえねえ、おにいちゃんヒマ? あそぼー(性的な意味で)」
夏と言えば女性の肌の露出が増える!!
運が良ければ胸チラとかもあるかもしれない。
そんな邪な思いを抱いた俺は珍しくもなくなった魔物娘が多く利用するというビーチへと遊びに行った。
あ、めんどいので細かい説明は省くけど、この国は突如あらわれたリリム様によって正式に魔物娘達の世界と国交が成立。町で見かける魔物娘も多くなってきました。
やったね!!
童貞をこじらせて、婚期を逃していた俺にも、もしかしたらチャンスじゃね? と思っていたけど、そんなうまい話はない訳で、………はい、未だに独身です。出会いなんて無いよ!!
会社にも魔物娘は居るけどみんな結婚してる。
というか、やっと休日取れたからこうして100キロも離れたビーチに来たけど、これじゃ、家でゴロゴロネトゲーやってれば良かった。
まあ、そんなのだから出会いがないというか、自分からフラグをへし折ってるのかもしれない。
あと、女性と手を繋いだことすらありません。あー、ちっちゃい頃ならあったかもしれないけど、それはノーカンだと思う。
てか
絶望した!!!
てっきり、ただでさえ露出が多い魔物娘のおねーさん達の、あんな姿やこんな姿が見られると思っていたのに。
いや、肌色というか青肌というか鱗とか、まあ、魔物なので肌の色はいいんすよ。
何が違うかって?
幼女しかいない
というか駐車場にスクールバスがある段階で俺は気が付くべきだった。しかも、ご丁寧に『サバトご一行様〜夏のキャンプ合宿〜』って書いてあるじゃん。
帰ろう。場所を間違えた。
「あのー、おにーさん一人?」
「ん?」
ちっこい少女が話しかけてきた。
濃い青色のツインテール、薄い紫色っぽい水着? 瞳も紫、服装もピンクと紫の組み合わせ。
あちこちにハートのマークが入った装飾。なんか日曜の朝にやっているアニメから飛び出したような幼女がもじもじしながら俺の前に現れた。
バッフォンで検索すると『ファミリア』という名前が一致した。ふむふむ、サバトの子か。なるほど。
「俺もう帰るんでじゃあね」
ぎゅ!
「遊んで♥」
ファミリアが俺の手をつかんでた。
「え、あっちでみんなと遊べばいいんじゃね?」
ビーチでは幼女とその旦那だろう、みんなが楽しくスイカ割りとかビーチボールとか、まあ、遊んでいるのが見える。
「わたしともだちいない」
「そっか、それは残念だったね。じゃ、俺はこれ ぐえっ」
と思ったら抱き着いてくる。どうしても俺をここに引き留めたいらしい。
「わたし、エリルっていうの、おにーさん、遊んで遊んで遊んで、遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで遊んで」
「えーと、俺、大事なお仕事があるからごめんね」
「さて、問題です。エリルは何回遊んでっていったでしょうか?」
「13回」
「ぶぶー、最後にもっかい言ったから14回が正解」
「そうか、良かったな」
「あそんでーーーー♥」
「HA☆NA☆SE☆」
「I☆YA☆DA☆」
というか、デパートでニン〇ンドースイッチを買ってもらえなくてダダをこねてる子どもみたいだ。いや、子どもだけど。
「どうしても離さないつもりか」
「うん♥」
く、こうしている間にも俺の貴重な休日が無くなっていく。というか移動時間が長かったからもうそろそろお昼ごh
ぐーーーーー
「おなかすいた♥」
「俺も」
もう、メンドクサイのでエリルと名のった少女と一緒にサバトのガキたちが旦那(ロリコン共)ときゃっきゃうふふしてる方へと足を向ける。
「にしし、遊んでくれるんだ。やったね♥」
「違う、腹が減ったから、海の家くらいあるだろう」
隣をみるとすでに俺の腕に抱き着くようにエリルがいるし。
ああ、ここがサバト組の占領してるビーチで良かった。こんな姿を会社の同僚なんかに見られた日には
「あれ? 課長じゃないっすか!!」
「いたーーーーーー、てかおまっ、サバト、え!?」
「あれ、俺の嫁はこの子ですよ」
「はじめまして、妻のアリスです♥」
「これはご丁寧にどうも、課長っす」
ぺこぺこと頭を下げる俺、てか同じ課の奴が居るとは、しかもあれって確かアリスという魔物娘。名前のまんまじゃん!
「おや、課長の隣にいる子は」
「この人がさっきナンパしたの♥」
ちょ、なんだこれ、みんなにやにやしてる。
まてまてまて。
「違う違う。俺がナンパしたんじゃなくて、このエリルちゃんに声を掛けられて、まあ飯でも食おうかと」
「課長」
「なんだね」
「それを世間一般ではナンパっていうんですよ。おめでとうございます。サバトはいいですよ」
「うん、アリスお兄ちゃん大好き、ちゅっちゅっ♥」
「あはは」
「うふふ♥」
だめだ、こりゃ。てか、周り見るとみんなビーチパラソルの下でお弁当を広げていちゃいちゃしてる。
中にはなんかあきらかにえっちな声もしてるし。ちょっとは隠そうよ!
「丁度いい、このエリルと言う子どもを頼む。俺は仕事があるからもうk」
「えーーーーーー! おにーさんお昼食べないの? というかエリルと遊ぶ約束は??」
「おじさんは忙しいのだ」
「課長、子ども泣かせたらいくら俺でも怒りますよ。かわいいは正義ですよ?」
「ちょ、ちょ、まてまて、そんな怖い顔をするな」
四面楚歌とはこのことか、俺の味方はいない。
あーもう、こうなったらやけだ。
「エリルちゃん飯食うぞ!!」
「やたーーー!!」
俺はエリルの手をにぎって海の家へと歩き出した。
「えへへ、なんだか楽しそう」
「いいねー。そっかー、やっとあの課長にも春がきたか!」
くそ、あいつ明日覚えてろ。あの案件とかやっかいな仕事回してやる。
「おにーさん、パワハラはダメだよ?」
「ごほん。エリルちゃん、勝手に俺の心を読まないでね」
「や! アリスちゃんの旦那さん困らせたらバフォメット様にいいつける。おにーさんの家に大量の幼女が押し寄せて、朝から大変なことになるよ。本当だよ。冗談じゃないよ?」
え、なにそれ、超幼女。じゃなくて、超怖い。
「ちなみに何をされるんでしょう」
「家の壁にらくがきとピンポンダッシュと、郵便物の受け取りと近所のお掃除と、おにいちゃんの家事とか、おはようじょから、食事の世話と遊び相手と会社への送り迎えと〇インで1秒ごとにかわいいスタンプが届いて、返信しないとアドレスが幼女に送られて100人に返信しないともっと増えるよ。あと……」
「ごめんなさい。俺が悪かったです。つまり全部幼女になるのだね」
「うん、そうだよ」
サバト、こわい、というかバフォメットって今調べたけど、むちゃくちゃ強そうじゃん!
「さて、何を食べようか」
「やきそば」
ほほう、確かに王道だ。
「エリルちゃん、どーして俺の膝の上に座ってるの?」
「家にたくさーんの幼女がくるよー♪」
「ごめんなさい、そのままでいいです」
「♪」
だめだ。エリルちゃん、キャラ変わってないか。
海の家のおっちゃんもそんな目で見ないで、俺は脅されてるんです。
この子どもの皮を被った魔物に。
ん? 魔物、ま、いーや。
「俺はラーメン、大盛で!」
「あいよ!!」
おっちゃんに注文をして、とりあえずエリルちゃんの観察。さて、どうやってこの子を巻こうか。
そうだ。大量に水を飲ませてトイレに行っている間に逃げる!!
俺、天才!!
「エリルちゃん、ジュース飲む?」
「うん」
くくく、かかった。所詮はガキだ。
「おっちゃん、ジョッキでオレンジジュース下さい」
「あいよっ!!」
どん!!
まて、ストローが二つ付いてる。
おっちゃんをみるといい笑顔でサムズアップしてる。
おい、違うんだ。これは
「わー、一緒にのもー、おにーちゃん♪」
きらきらした目で見つめられる。ああ、もういいや飲もう。
「あ」
「ん、どうした?」
「いいの、えへ、関節キスだね」
「な、ストローがいつの間にか一本になってる」
おのれ、はかったなシャ〇!
じゃなくて、エリル、ちゃっかり舌を出してるし。
ふう、なぜか海の家で食う飯は美味しい。どーみても安物の食材なんだけど。不思議だ。
「美味しかったね。おにーさん」
「ああ、そうだな」
それから、サバト組と俺とエリルは合流した。
「ほほう、エリルよ。がんばるのじゃぞ♥」
「はい、バフォさまっ♥」
え、あの子がバフォメット。てかエリルちゃんよりちっこく見える。いや、見かけに騙されてはいけない、きっとすごい力をもって
あ、こけた
「うわーん、兄様ーーー」
「バフォ様、大丈夫ですか!! 衛生兵!! バフォ様が何もない所でずっこけた!」
旦那らしき人があらわれて必死になだめている。え、どじっこ? まわりの子たちも微笑ましい光景を見ているようで
「尊い♥」
「バフォ様、ポンコツかわいいわ♥」
とか聞こえてくる。
まあ、とにかくマスコット的な存在なんだろう。
「おにーさん、こっちこっち」
「ん、何かあるのか?」
だんだん魔物達から遠ざかっていく。岩場の影。
ま、まさか!!
「ほら、見てカニwww!!!」
「え、ああ、そうだな」
エリルちゃんの手にはちっこいけどカニ、今は引き潮だから、よくみるとあっちこっちに小さな穴がある。取り残されたカニとか小魚が泳いでいる。
「えへへ、ばいばいカニさん」
「へー、あ、こっちにはめずらしい貝がある」
「みせてみせて! わ、きれー、七色にひかってる」
「あげるよ」
俺はとくにいらないし、エリルちゃんが喜んでくれるなら、なおいいだろう。
「やた、おにーさんありがと♥」
ぎゅっと貝殻を抱きしめて、水着みたいな服のポケットに大事そうにしまう。
「さて、他になんかいるかな」
「あ、みてみてー」
そんな感じでエリルちゃんと遊んだり。
「これより、みんな合同で、きもだめしをするのじゃー! いえーい!」
「「「「おーーーー!!!!」」」
夕方になって、暗くなってきてから夏の恒例行事ともいえるイベントが始まった。
「おにーさん、一緒にいい?」
「仕方ないなー」
「ありがとっ♥」
結局。
サバトの人たちにまざって、遊んでいる。エリルちゃんに聞いたらみんなが遊ぶイベントだから参加は自由だよ。とのこと。
さっきバッフォンの着信履歴を見たら、ラ〇ンで『総務課より各課へ 緊急連絡 会社のエアコンが故障、高温警報も発令中なので各自、自宅および外出先で待機、復旧のめどは経っていない。健康管理に注意せよ』とのことだった。さすがにIT関連を扱ってる会社でエアコンの故障はやばい、サーバーの熱でみんな色んな意味でダウンするだろう……命をだいじにだ。
勤務中でなくて良かった。
「ほほう、お主らの番か♥……ふっふっふー、今年のコレはこわいぞー、この先の神社に札がある。それを協力してココへ持ってくるのじゃ!」
バフォメットに簡単な地図とルール説明。
まあ、定番の内容だった。
「おおおお、おにーさん、ぜぜぜ、ぜったい離れたらダメだよ。もし手を離したら幼女だよ」
「わ、わかったから落ち着いてエリルちゃん」
「ううう、うん」
ふう、さっきエリルちゃんをトイレに連れて行って良かった。
あれ? なんか忘れてる気がするけどいっか。さて、思った以上に本格的だぞ。
懐中電灯じゃなくて、提灯ってとこも雰囲気あるし、真っ暗だ。確かにこれは怖い。
「きゃ!!」
「どうした?」
「あ、あそこ、何か居たよ」
うわ、エリルちゃん涙目だし、とりあえずなでなでして落ち着かせよう。
「大丈夫。あれは風で木が揺れただけだ」
「ぎゃーーーー!!」
「今度はなに!?」
ん、白いふわふわしたのが、え、えええええ。
「エリルちゃん、しっかり手を握って」
「うん、もうにぎってるよ。あれなんだろう。ううう、こわいぉぉ」
「はは、ききききっと何か風で袋かなんかが飛んでるんだよ!!」
二人で抱き合いながら進む、というか順路は合ってるのだろうか。バッフォンは使いすぎてバッテリー切れちゃったし、提灯の灯だけでは薄暗い、月も出ていないので一寸先は闇だ。
「おにーさん」
「大丈夫、よく見ると先にいった子の灯が上の方でちらちら見えているからこのまま進もう」
「うん、さっきの白いのはきっとみまちがいだね」
がたがた震えてる。
いや、確かにこわい。子どもにとってよくわからない物ほど怖い物はないだろう。例え魔物娘だろうが関係ないはず。
「お、神社ってあれじゃないか」
どうやら道はあっていたようだ。お賽銭箱の上に札が置いてある。
とりあえず、お参りして
(はやく彼女ができますように)
「おにーさん、何をお願いしたの?」
「願い事を他人に言ったら無効になるんだぞー」
「えー、ほんとかなー」
さっきの恐怖心は何処かに消えて二人で笑いあう。
「それじゃ、お札も持ったし帰ろうか」
「うん♥」
よくみると、エリルちゃんの様子がおかしい。
「ごめん、おにーさん、ちょっと足をどっかにぶつけたみたい」
変わった形の靴を脱がせると、確かに腫れているようだ。
仕方ない。
「乗っていいぞ」
「え、おにーさん」
背中ごしにエリルちゃんのちょっと膨らんだ胸が当たる。というか心臓の音が伝わってくる。
首にエリルちゃんの吐息があたって、なんか変な気分だ。
「おもくない?」
「え? 軽いし、それより俺、汗臭くないかな?」
「ううん? 全然、くふふ、いいにおいだし、あったかいし♥」
もぞもぞ動くエリルちゃん、よし問題ないみたいだ。提灯はエリルちゃんに持ってもらって、俺はエリルちゃんを背負って元来た道を引き返す。
「おにーさん」
「どうした?」
「あれ」
まじか、さっきの白いのが居る。
「ちょっと走るけど大丈夫か」
「うん」
俺はエリルちゃんを背負いなおして走ることにした。
なるべくあの白いのは気にしない。きっと何かの見間違いだ。
「うーらーめーしーやー」
「「ひいぃぃぃぃぃ!!!!」」
確かに聞こえた。ベタだけど、だからこそ怖い。
距離は離れているはずなのに、耳元で聞こえた。
「え、エリルちゃん大丈夫か?」
「う、うん、早く逃げよう!」
確かに後ろから気配がする。
振りかえってはいけない。
「お、やっと帰ってきたの、お主らが最後じゃぞ」
や、やっとゴールだ。
「おや、お主ら出かけた時は二人じゃったはずだが……」
ふりかえる俺たち。
バフォメットは気絶して、旦那さんが抱き抱えてる。
「ごめーん、ついつい演技に熱がはいっちゃったー。ってあれれ??」
「シルフィーちゃん!! やりすぎだよぉ。みんな泣いて大変だったんだから!」
「てへぺろ、だってあたし、ゴーストだし、本物じゃん♥」
どうやら本物の魔物娘のゴーストが居たらしい、バフォメットも自分で脅かし役を頼んでおいて気絶するとは……南無。
という訳で全員がまた暗い砂浜に集合した。
「みんなで最後は花火じゃーー!!!」
「「「「「おーーーーー!!!」」」」
どーん!!
「うわ、なにあれすごい」
「えっと、魔女の子たちの魔法だよ。すごいでしょー♥」
「すごいな」
「うん♥♥」
俺の肩にちゃっかり頭を乗せるエリルちゃん。
幸い足の腫れは治癒魔法で治ったらしい。良かった。
「ねえ、おにーさん、今日はありがとう♥」
「お礼を言うのはこっちだよ。楽しかった」
「そっか、よかった。あのね。おにーさんなんか寂しそうだったから声かけたんだ」
「そっか」
俺はエリルちゃんの頭に手を乗せて撫でる。
ああ、そうか、そんなに俺の顔さびしそうだったか……。
「だからね。もう一人じゃないよ。ちゅ!!♥♥」
「なっ」
口元を抑えるエリルちゃん
「にひひ、キスもらったよ♥」
「ちょ……」
いきなりだった。しっとりとした唇、子どもだと思っていたのに、かなりおませらしい。
てか、俺、今すごい顔が暑い。
「ね、ね、小さい花火もあるから一緒にやろーおにーさん♥」
「あ、ああ」
やばい、心臓のどきどきがとまらん。エリルちゃんもよくみると顔が真っ赤だ。
ああ、もう、とことん遊びに付き合ってやんよ!
どうせとーぶん会社は休みだ!!
「きゃはははは♥」
「こら、その花火は振り回したらやばい奴だから」
「えー、きれーだしいいじゃん♥」
まったく両手で、ま、きらきらしてて、いっか、それにあの楽しそうな顔。
かわいいじゃんか。
今年の夏はなんか楽しくなりそうだ。
「おにーさん、もう離さないよーにひっ♥♥♥」
その後、強引に連れ込まれた旅館で、無事に
童貞をエリルちゃんに美味しくいただかれた
のはまた別の話。
「ねねっ? 気持ちよかった?」
なぜかエリルちゃんの腕に抱かれてる俺。
なんで口にキャンデー咥えてるの? それたばこの真似なの??
逆じゃね?
「くっ、もうお婿にいけねぇ……」
「よいしょ♥」
再び俺の上に跨るエリルちゃん。
「にゃぁ、夜はまだまだこれからだよぉ〜♥♥」
「!!」
あっちこっちの部屋から響くえっちな声にかき消される俺の声。
サバト怖い!!!
夏は始まったけど、俺はどうやらここまでのようだ。
夏の海は気を付けよう、特に無邪気な笑顔の魔物娘には注意だ。
「ねえねえ、おにいちゃんヒマ? あそぼー(性的な意味で)」
18/07/31 20:52更新 / ロボット4頭身