読切小説
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ヴァンパイアさんをくすぐり隊!
「ふんふふ〜ん、今日もお掃除楽しいな〜」
鼻歌交じりに掃除をしていた召使い兼食料のオルロックは、主であるカーミラの私室の前で彼女の話し声を聞いた。
カーミラの声だけが聞こえるあたり、どうやら独り言のようだ。
「あの人が独り言なんて珍しいな。ちょっと気になる」
扉に耳を当てて聴こうとするが、造りがしっかりとしているため断片的にしか聞き取れなかった。
(近々・・・・・・召使い・・・クビ・・・・・・)
信じがたい事を聴いてしまった彼は幽鬼のような雰囲気でカーミラの私室の前から自室に戻るとガクリと膝を着いた。
「え?まさか俺、近い将来クビになっちゃうの?」
確定はしていないものの、突然の解雇宣言。
それは彼の精神を打ち砕く充分な威力を持っていた。
「ふひ、ふひひ!だったらクビになる前に俺のやりたいようにやってやる!」
勢いよく立ち上がった彼はいそいそと準備を始めるのだった。
-時間が少し戻ってカーミラの私室-
「近々あの男はインキュバスになる。そうなれば召使いとしてはクビだけれど、あいつは貴族になり、やっと夫として迎え入れられる!ああ、早くインキュバスにならないかしら!」
ぺろりと舌なめずりをし、オルロックの血と精の味、そして吸血による快感を思い出したカーミラは体を悶えさせるのだった。

ある良く晴れた日の昼間、カーミラはオルロックの部屋にいた。
部屋は厚手のカーテンによって日光が遮断され、明かりといえば蝋燭ぐらいのものだ。
「こんな昼間に呼び出すとは偉くなったのね、従僕」
「まあ、大事な用事だからな」
「それで、その用事はなに?私は眠いのよ」
「用事っていうのはな・・・これだよ!」
そう叫ぶやいなや、オルロックはカーテンを開け放った。
部屋中に太陽光が差し込み、カーミラの体に降り注ぐ。
「くぅう!従僕、どういうつもり!?」
しだいに力が抜けていく体でカーテンを閉めようと窓に近づいたカーミラ。
「あて身」トンッ
しかし、薄れ行く視界が最後にとらえたのはオルロックの加虐的な笑みだった。

さんさんと降り注ぐ陽光と自身の体の違和感でカーミラは眼を覚ました。
(どうやらベッドに寝かされているようね。そのうえ妙に涼しいし、左腕と左脚が思うように動かせないわ・・・)
頭をもたげて違和感を確かめてみると、衣服はニーソックスを除いて全てが脱がされ、左腕と左脚は拡げるようにロープで固定されて左腋と秘所が露わになっていた。
「こ、これは!?」
カーミラが驚きと羞恥心で顔を赤くしていると、ちょうどオーロックが部屋に戻ってきた。
手にはなにやら道具が入っているらしい袋を持っている。
「じゅ、従僕!さっさとこのロープを解きなさい!今なら許してあげるわ!」
「それは断らせてもらう。痛くないように縛りはしたが、もし痛かったら言ってくれよ」
「フッ、これくらい痛くなんてないわ。それより早くしなさい!」
「だから断るって。・・・それにしても、綺麗な体だ」
主と従僕という立場上、強気に振る舞っていたカーミラだったが意中の男に裸体に近い体を見られ、そのうえ褒められたため耳まで真っ赤になってしまい、僅かに自由のきく翼で体を覆い隠した。
「やめろ・・・そ、そんなに見ないで///」
「しおらしいカーミラさんも素敵だけど、もうちょっと抗ってくれないと俺としてもやり甲斐がないんだよ」
だから小休止な。あと翼はしまっといて。とオルロックは言うと、カーミラの体を覆う翼をどかして袋をベッドの上に置いた。
翼は力無くベッドの上に広がり、ゆっくりとカーミラの背中に収まっていった。
小休止があってか、カーミラはいくらか落ち着きだいぶ気丈さを取り戻したようだ。
「さて、それじゃあ軽ーくほぐしていくか」
「まさかお前、従僕の立場で私と交わろうというつもり!?」
「えっ」
「えっ」
「いや、犯すつもりはないからな」
「それならいったい何をするつもりだ」
「何ってそりゃ」
ワキワキぐねぐねと動くオルロックの両手の五指。
「くすぐりだよ」

「まずはスタンダードに足の裏だな」
そう言うとオルロックは左の足の裏を人差し指で掻くように上下にくすぐりだす。
刺激が単調であり、薄くともニーソックス越しであるため、くすぐったさは感じるが耐えるには問題ないらしく、カーミラはオルロックを睨み付けた。
「くっ、お前のするくすぐりはひゃっ、そんなものか」
「おっ!調子良くなってきたな」
オルロックは嬉しいな〜と呟きながら、くすぐる指を二本三本と増やしていく。
「あはは!っ!///この程度、たはっ、耐えるまでもなくひひっ」
「そうかそうか。じゃあ、ちょっと本気出していくぞ」
オルロックの五指がカーミラの足の裏を今まで以上の速さでくすぐり、刺激する。
刺激じたいはソフトなものでも、絶え間なくかつ執拗に刺激されてはさすがのカーミラも耐えることはできなかった。
「あははははははは!や、やめっいやっはははは!!むぐぐ、ふむふっふぅ!!」
カーミラはくすぐりに耐えられなくなり、せめて笑い声だけでも聞かせまいと右手で口元を必死に抑える。
しかし、笑い声を抑えた分だけくすぐったさを分散させようとさらに息は弾み、形の良いその乳房を揺らし、肢体を悩ましげにくねらせる。
そして、それはオルロックの劣情をさらに煽るだけであった。
「むぐふふふぅ!ぷはっ!い、いい加減にしなさい!!」
堪らず蹴りでオルロックの動きを止めようとするが、今のカーミラは太陽の光を浴びて身体能力は一般的な人間の少女程度でしかない。
そんな状態から放たれた蹴りはあっさりと受け止められ、自由な右脚さえ捕まれてしまった。
「悪い右脚にはお仕置きだな」
オルロックはカーミラの右脚の膝を曲げさせると膝下部分を抱え込み、ソックスのスリットからむき出しの膝頭に触れるか触れないか絶妙なタッチで五指の指先を置いた。
指先はその絶妙なタッチを維持したまますぼみ、広がり、円を描いて強烈ではないがむずむずとした刺激を与え続ける。
「いひひっむぐふっふふふ!」
しばらく膝頭へのくすぐりを堪能したオルロックは右脚を解放する。
解放された右脚は力無くベッドに放り出された。
「次ぎは王道中の王道。その無防備な左わき腹だな」
それを聞いたカーミラは左わき腹を守ろうと反射的に体の左側を下にするよう横にして背中を丸め、右腕と右脚を曲げることで右わき腹とお腹も守ろうとする。
しかし、これは致命的ともいえるほどの失敗だった。
「隙あり!」
オルロックの左手の指がさらけ出されたカーミラの背中をつぅーっと撫で上げる。
くすぐったさとも快楽とも言える刺激が脊髄を駆け上がり脳髄に突き刺さる。
「あはぁああああ♥あんっ!くひゃひゃ!!」
そして、背中からの刺激から逃れようとすると、突き出されたお腹をオルロックの右手が揉みくすぐる。
今まで感じたことのない快楽とくすぐったさに負け、ついに抵抗する体力も無くなってしまった。

「ふー、眼福眼福。ウォーミングアップもここらへんにして、カーミラさん、俺のくすぐりはどうだったよ?」
「はあ、はあ・・・くふぅ・・・」
「ん〜、満足してもらえたようでなによりだ。じゃあ本番いく前にこれでも飲んで体力を回復しておいてくれ」
「はあ、んぐっ・・・こくり」
オルロックは袋から自身の血を詰めた小さなボトルとワイングラスを取り出すと、注ぎ始め、カーミラの口元に持ってくとゆっくりと傾けた。
口内から血が溢れて唇からタラリと垂れる。
オルロックはその血を人差し指で拭い、カーミラの眼前に差し出す。
カーミラは熱病にでも冒されたようにぼうっとした瞳で指を見つめると、ゆっくりと口を開いた。
カーミラは最後の一滴まで舐め尽くそうと血のように紅い舌を突き出す。
オルロックが指をカーミラの口に入れると、唇は指を逃がすまいと固く閉じ、執拗に舐めしゃぶる。
その表情は恍惚としている。
「んっ・・ぺろ、ぴちゃ・・・はあ、美味しい♥」
吸血とはまた違った快楽をオルロックは感じていた。
(あー、これは何かに目覚めそうだ)
オルロックもまた恍惚の表情を浮かべていると、指を捕まえる唇の力が強まっていることに気づいた。
これはいけないと指を引き抜くと、ちゅぽっという音の後にカチリと歯がかみ合う音がした。
指と唇の間に血と唾液の混ざった液体の橋が架かる。
「まだまだ足りないのよぅ。少しでいいからぁ」
「意識ははっきりしてないようだな・・・おら、カーミラさん、しっかり」
ぺちぺちと頬を軽く叩くと意識をはっきりさせたようだ。
「ああん、早く・・・はっ!オルロック!なんてことを!!」
「あー、必死に俺の指を舐めしゃぶる姿は可愛かったなー」
「やめなさい!やめてっ!言わないでよ!!///」
「はいはい、分かりました。じゃあ本番いく前に確認なんだが、続けるか?」
「・・・どういうことよ?」
「いや、俺としてはもっとくすっぐりたいんだが満足といえば満足だし、これからはけっこうハードになるぞ」
「・・・・・・」
ここで一言やめろと言えばやめる。
オルロックはそういう男だとカーミラは分かっていた。
分かっていたがその一言が出てこなかった。
(さっき背中を撫でられたときの刺激・・・正直、我慢できないほどのくすぐったさとそれに負けないほどの快楽だったわ。もしかしたらこれ以上のものが・・・)
「で、どうするんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・さいよ」
「なんて?」
「ここまでやったなら、最後までしなさいよ!」
「お、おう」
早くなさい!なんて言いながらぷいっと真っ赤な顔を背けるカーミラに苦笑しながら、オルロックは右腕を左腕と同じように固定する。
「右脚も固定するからソックス脱がせるな」
ニーソックスに手をかけてするすると脱がしていくと、太ももから足の指先まですらりとしていながらも、程良い肉付きの脚が現れる。
その脚と足は先程の行為でしっとりと汗ばんでいる。
「このニーソックスは家宝にしよう」
「な、なに言ってるのよ!後で返しなさい!!」
「・・・」
「ちゃんと返すのよ・・・?」
「・・・・・・ぺろんちょ」
「わひぃっ!?急に足を舐めないでよ、バカァ!」
ゴッという音とともに、オルロックの脳天にカーミラの踵が落ちる。
「ありがとうございます!」
そんな風にふざけながらも丁寧にたたんだニーソックスをポケットにしまい、右脚をてきぱきと固定する所が実に変態紳士らしい。
「ところでカーミラさん。なんで他人にくすぐられるとあんなにくすぐったいか知ってるか?」
「そんなこと知らないわ」
「なんでも何時くすぐられるか分からなくて対応できないかららしい」
「で、それがどうしたって言うの?」
「たとえば目隠しなんてしたら、どの部位がくすぐられるかも分からなくなってそれは凄いことになるんじゃあないかな」
「・・・」ごくり
「そういう訳で目隠しするぞ」
「ま、待ちなさい。まだ心の準備が・・・もうっ!」
しかし、カーミラは言い終わらないうちに目隠しをされてしまうのだった。

「さあ、どこからでもかかって来なさい!」
心の準備は整ったと言わんばかりのカーミラに予想外の快感が襲いかかる。
オルロックがカーミラの耳先を咥えて舌で舐めているのだ。
くすぐりが来ると思っていただけにその快感は強いものであり、従僕が相手と分かっていても秘所が濡れる。
「はぁんっ♥待って、耳は、あんっ♥ダメぇっへへへへへ!あふん!」
耳先を舐められたかと思えば脇の下をぐりぐりとくすぐられ、耳の入り口を舌で舐め回される。
「はぁあははははは!んくぅ!も、もう耳は舐めないでったらぁひひひひひひ!!」
くすぐったさと快楽が同時にカーミラを責め立てて、彼女の思考を真っ白にしていく。
「さ、ここらで小道具でも使おうか」
そう言うとオルロックは袋から透明な液体が入った瓶を取り出す。
しかし、カーミラはそれが何なのかは勿論分からない。
オルロックは瓶のフタを外してその液体をカーミラの乳首とクリトリスに垂らす。
「あああああああっ!!もしかして、これは水か!?」
性感帯にいったい何をかけられたのか、そのじんじんとした疼きからカーミラは理解してしまった。
「オルロックぅ♥・・・水を使うだなんて、はあ、はあ・・・卑怯者めぇ♥」
カーミラは少しでも秘所の疼きを鎮めようとするが脚は拡げた状態で固定されているため、もじもじと腰をくねらせるだけであり、その姿はまるで誘っているかのようだった。
オルロックは袋から筆を取り出すと、快楽に打ち震えるカーミラの右の足の裏を容赦なくくすぐる。
「ま、待って!あと少しでイケたのにぃひゃひゃはひゃひゃ!!」
くすぐったさの限界が近づけば快楽を与えられ、達しそうになればくすぐられる。
そんなもどかしさを感じていると、筆によるくすぐったさは足の裏からつま先、すね、内ももへと上って行き、それにつれて快楽も強まっていく。
しかし、筆は内ももや脚の付け根を彷徨うだけで、秘所には近づこうとしない。
「くひっ!あははは!あんっ♥そこじゃなくてぇっへへへへへへへ!!」
ひとしきり内ももを撫で回すと、筆はへそに辿り着き、筆先をへそで暴れさせる。
「きゃははははは!や、やめて!やめてっははははははははは!」
快楽を伴わない純粋なくすぐったさに身をよじって堪えるカーミラ。
いっそこのまま気絶してしまえば楽になれると思ってみても、上手いタイミング筆はへそから離れていく。
次ぎに筆が向かった先は、ほんのりと上気し、荒い呼吸にあわせて上下する乳房だった。
筆は麓の部分からゆっくりと円を描くように頂へと進んでいく。
「はあ、はあ♥んっ、そのまま♥」
しかし、筆が頂に達しようとすると来た道筋をなぞって戻っていく。
そして何度もこれを繰り返すのだ。
「お願い!オルロック、イカせて!」
やや涙ぐんだその声を聞いて、オルロックは筆を止めるとカーミラの目隠しを外した。
「さすがにもう限界か?」
「もう意地悪しないでよぉ・・・限界なの・・・」
「ん、分かった」
そう言うと、オルロックはカーミラの乳首に強く吸い付き、つまみ、脇の下をぐにぐにと揉みくすぐった。
「あっはははははは!イクっくすぐられてイっちゃう♥ああはははは、んあっ、あああああ♥ ♥」
これまでで一番のくすぐったさと快楽を与えられ、カーミラは身を弓なりにそらし、失禁してしまった。
「はあっ・・・はあ・・・オルロック♥」

しかし、この時オルロックは自分の愚かさをもっと早く気づくべきだった。
なぜならば、時間の経過も忘れて楽しんでいたあまり太陽が沈みかけていることさえ気づかなかったからだ。
ブチッ、ブチッとおロープを切ってゆらりとベッドから降りるカーミラ。
その姿は貴族としてのプライドなんてかなぐり捨て、好きな男の血と精をえようとする一匹の雌ヴァンパイアだった。
「我が生涯に一片の悔い無し」
「はあ、はあ、オルロック♥・・・かぷっ!ちゅ〜〜〜!!♥」


その後、オルロックは無事にインキュバスになり、早とちりによる行いに対するお仕置きとして色々こってり絞られたそうな。

おわり
14/08/17 23:23更新 / リキッド・ナーゾ

■作者メッセージ
最後はやや失速気味でしたが、読んでいただきありがとうございます。

まさかの六千字オーバー。
エロスは凄いもんですね。
まだまだ描写は上手いとは言えませんが、楽しんでもらえたなら嬉しく思います。

私のなかでは
くすぐりたい魔物娘ナンバー1:ヴァンパイア
くすぐらせたい魔物娘ナンバー1:テンタクル
です。

アドバイス、感想などをいただけると嬉しく思います。

広がれくすぐりの輪!!(チラチラッ

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