竜が抱く秘宝
竜、ドラゴン、Drakon
それは、魔王が代替わりする以前、何よりも強い「最強の生物」、神々に敵対し人々に畏怖される「怪物」、あらゆる宝を集め独占する「欲望の権化」。
そして、戯遊詩人が酒場や王宮で謡い、幼子が寝物語に聞く世界では、太古の言葉を操り勇者に智慧を授ける「賢者」であると同時に、その圧倒的な力を持ってして暴虐の限りを尽くす「悪」であり、その果てに英雄に退治されるという皮肉な宿命を背負う「地上の王者」。
遙か昔、竜によって滅ぼされ、今では住まう人も無く、唯々朽ち果てて行くのを静かに待つ古びた石造りの街。日の光が差し込むこともなく、どんよりとした空気が立ちこめる街の中心には古城が佇んでいる。王族も召使いもいない古城の謁見の間には、一生かかっても使い切ることができないであろう金貨と、大ぶりな宝石をあしらった純金製の王冠、錫杖、首飾り、おおよそ人の胴ほどはあるであろう金のインゴッド、名工が打ち研磨した刀剣と賢者によって作られた魔法具の数々が堆く積み上げられている。そして、その黄金色の小山の上に座して眠る者こそがこの古城の主たるドラゴン。
ギラギラと煌めく財宝の光を浴びる翠色のドラゴンも、智慧を持ち、宝を独占する最強の存在である。ただ、伝承と違うところを挙げるとすれば、このドラゴンの秘宝とも呼べる物は断ち切れぬ物は無いとも言われる魔剣でも、あらゆる生物を支配することができる王錫でもなく、大きな金の鳥かごに囚われた壮年の騎士であること、救国の英雄としてドラゴンの下に送り込まれたこの男を、ドラゴンが打ち倒したということの二点である。
「傷は癒えたか、騎士よ」
地の底から響くようなドラゴンの声に、男は短く、ああ、と答えると再び唖のように黙り込んだ。巌のような男の体が纏う鎧は所々、砕け、ひしゃげ、焼け焦げ、爛れている。傍らには血塗れになった聖銀の槍が転がっている。
「太陽と月がいったい何度入れ替わったことか。貴様は覚えているか？我にとっては午睡の一時のような物であったが、貴様には長かったであろう？」
その問いかけにも答えず、男は鳥かごの中でじっとしていた。そんな男の態度にドラゴンは鼻を鳴らすと気だるげに続けた。
「まあ、よかろう。貴様のメイスが砕き、引き裂いた我の鱗と肉も、その槍が貫いた左の眼もついには癒えた」
ドラゴンは、大きな傷は残り、左の眼は光を失ったままだがなと、憎々しげに言い放った。確かに、右の瞳は眼下の財宝の様に黄金色の眼光をたたえているが、左の眼は白く濁ったままであった。その二つの眼差しが男を見据えている。
「しかし、あの戦いは面白いものであったなあ。思い出しただけで身震いしてしまう」
火のように赤い舌で舌なめずりをするドラゴンの声は喜悦に満ちていた。ドラゴンと男との戦いはまさに苛烈を極め、男1人を古城に送り込むために死山血河が築かれたのだ。戦と血の臭いに引きつけられたオーガやゴブリンたちが戦場となった街に雪崩れ込んでは兵士と刃を打ち付け合い、少しでも気を抜いた兵士を曇天の空に舞うハーピー達が攫っていく。そして、そこにドラゴンがやって来て、戯れに吐き出した炎で矢と投石された岩だけでなく、人も魔物も焼き払っていくのだ。まさに地獄のような光景だった。
男が生きる物の気配が消え去った戦場を駆け抜け、古城の謁見の間に辿り着くと、はたしてそこには堂々たる体躯を持った翠色のドラゴンが男の到着を待ちわびていた。両者はお互いの姿を認めると男は怒りの怒号をあげ、喜びの咆吼を轟かせるドラゴンに突貫していった。男のやることは二つ。剛健な竜鱗をメイスで打ち砕き、聖銀の槍で心臓を貫く。これだけのことであったが、困難を極めるものであった。羽ばたきによる旋風は近付くことを許さず、巨木のごとき竜の尾は男を小石のようになぎ払い、業火と吹き出た血が鎧を焼き爛れさせた。
だが、それでも男は諦めなかった。炎に焼かれ、血を浴び、吐血しながらも一心不乱にメイスを振るい、鱗を砕いて肉を裂き、ついにはドラゴンの脚を折ったのだ。それと同時にメイスも持ち手を残して折れたが、男は体勢を崩したドラゴンを見据えるとただの棒きれになりはてたメイスを投げ捨て、一矢報いるためにドラゴンの頭へと肉薄した。そしてついに、聖銀の槍はドラゴンの瞳に突き刺さるのだった。祈りが込められた聖銀の槍は竜の血によって溶けることなく、ドラゴンに痛手を負わせたのだ。
今まで感じたことのない激痛にドラゴンは身もだえた。反動で槍が抜け落ち、木っ端のように転がった男をドラゴンが前足で踏みつけた。飛び散った血が辺りの財宝を溶かし、肺が腐るような異臭漂うなか、男は声高々に笑うと意識を失った。目を閉じる間際に見たものは、黒々とした煙の吐息を吐き、黄金色の瞳の奥にぐつぐつと煮えたぎる怒りを宿したドラゴンの顔だった。
こうして戦いは幕を閉じ、男は囚われの身となったのだ。
「手慰みに貴様の騎士物語を聞くのも飽いた。我を倒しにきたのか、貴様を助けにきたのか分からん有象無象もやって来なくなった。それに比べてなんと貴様の面白いことか」
悠久の時間を過ごすこのドラゴンにとって、この男は僅かばかりの暇つぶしであり、新たな戦いを呼ぶための餌であり、竜という絶対的な存在に傷を与えた最高の玩具なのだ。そして、最高の玩具がもたらす愉悦を知ったドラゴンが男を手放すことはなかった。
「傷は癒えた。さあ、騎士よ、今一度その槍を持って立ち上がれ！我にあの愉悦を感じさせるのだ！！」
ドラゴンが体を起こして咆吼を轟かせると、咆吼が黄金の波を巻き起こす。男は血塗れの槍を掴むと鍵のかかっていない鳥かごの扉を開け放ち、己の自由と誇りを取り戻すために鳥かごから飛び出した。戦いは二日二晩続いたが、最後には男は薄れ行く意識のなか、悔しさに涙を流すこととなった。
この夜、世界が変わった。魔王の代替わりである。全ての魔物が好色な魔物娘へと変貌したのだ。そして、それはこのドラゴンも例外ではなかった。
男が眼を覚ますとドラゴンの姿はなかった。正確に言えば、気配はするものの、あの巨体がどこにも見当たらなかったのだ。不審に思った男が辺りを見回していると、凜とした声が聞こえた。
「ようやく眼を覚ましたか」
男が声のした方向に向き直ると、黄金の小山の上で、椅子かなにかに座っている人影があった。逆光であったためにはっきりと姿形は分からなかったが声色から女性と分かる。その人影に近付いた男は驚愕し、目を見開いた。蠱惑的な肢体と、かのドラゴンのような角と翼と尾を持った女が脚を組みながら不遜な態度で玉座に腰掛け、黄金色と白濁した切れ長の瞳で男を見下ろしていたのだから。
「訳が分からないといった顔だな。だが、それも仕方あるまい」
たしかに男は訳が分からなかった。遊び半分のドラゴンに嬲られるように戦って気を失い、眼を覚ませば人とも魔物ともつかない存在がいて、その存在がかのドラゴンの気配を漂わせているからだ。そんな男の様子を気にもとめず、ドラゴンは淡々と話し続ける。
「おおかた、魔王が代替わりしたのであろう。だが、そのようなことは些事でしかあるまい。さて、騎士よ、こちらへ来るのだ」
男は出来ることならば抗いたかった。だが、人外の魅力と有無を言わせぬ眼光を前にするとそのような気持ちが萎えてしまうのだ。今では、闘っていた時とは違う意味で、ドラゴンの一挙一動から目が離せなかった。髪をかき上げ、脚を組み直す動作すら妙に艶めかしく感じてしまう。そして、男は熱病に冒されたかのような足取りでドラゴンに近付いた。
「跪け」
玉座に腰掛けたままドラゴンが命令する。すると、男は自らが仕える王を前にしたかのように恭しく跪いた。ドラゴンの右の瞳が一層ギラギラとした光を湛える。
「この体になってから、妙に疼いて仕方が無いのだ」
ドラゴンは組んだ脚を解いて玉座に浅く座り直し、鱗と腰布を消し去ると脚を開きながら言った。
「奉仕しろ」
男は甲手を外すと跪いた状態から這うようにして近づき、ドラゴンの股に顔を埋めた。まるで繊細な壊れ物を扱うような手つきで指をぴったりと閉じている秘所にあてがい、開く。僅かに粘性を帯びた音を立てながら開かれた秘所からは、愛液が止めどなく流れ出ている。男は流れ出る愛液を一度大きく舐めると、ちろちろと膣口を舐めだす。頭上からはドラゴンの熱を帯びて小刻みになった呼吸音が聞こえる。男はドラゴンの表情を見ることは叶わなかったが、快感と自分に傷を負わせた強者を意のままにできる征服感で顔を喜悦で歪ませていることは容易く想像できた。
そのまま幾分か舐め続けていると、ドラゴンの尾が男の後頭部へと伸びていき、軽く叩いた。
「我はこの程度の刺激で満足できんぞ。しっかりと奉仕しろ」
頭上からの命令に男は行動でもって応えた。秘所にむしゃぶりつき、舐めしゃぶり、狭い膣に舌をねじ込んでかき回す。辺りには淫猥な水音とドラゴンの喘ぎ声だけが響いている。
「ん・・くふっ・・・ふふ、やれば出来るではないか。褒めてやろう」
新たな王の言葉に喜色を露わにした男が一層激しく秘所にむしゃぶりつく。
「ふっ、ふっ・・あぁ・・・人の身で味わう快楽とはここまでのものなのか。サキュバスどもが夢中になる訳だ・・・うぅ、くっ！」
男は割れ目から口を離すと陰核に吸い付いた。今までの快感の何倍も強いそれに、ドラゴンは悩ましげに顔を歪めた。快感が何倍も強くなっても達するには至らないのだ。そんなもどかしさに顔を歪ませたドラゴンが、両手で男の頭を抑えて秘所へ押しつける。主の反応からどうすべきかを理解した男は陰核により強く吸い付いた。
「ぐぅ、くっ・・・あああ！」
快感が最高潮になり、ついにドラゴンは達した。背を弓なりに反らせ、瞳をきつく閉じて初めての絶頂を受け入れる。ドラゴンは男の顔を秘所へ押しつけたまま二度三度、腹部を痙攣させた後に脱力した。腹部から力が抜け落ちた結果、黄金水が男の顔にびしゃびしゃと放たれ、ドラゴンの秘所と内ももを飛沫で濡らした。
「ふぅ、はぁ・・・ふぅ、はぁ・・・清めろ」
熱と艶を多分に帯びた声でドラゴンが命じると、男は戸惑うことなく内ももに舌を這わせた。世間一般では不浄とされるそれも、ドラゴンの下僕たる男にとっては甘露であった。右の内ももが終われば左の内ももを丁寧に舐め上げ、内ももが終わると肛門から再びぴったりと閉じられた秘所にかけてを同様に、丁寧に舐め清める。
「ふふふ、くすぐったいぞ。もうよい、もうよい」
男はドラゴンから離れると、再び恭しく跪いた。顔を上気させ、切れ長の瞳の眦をとろけさせながら、ドラゴンは満足そうに余韻に浸っている。余韻が収まると、ドラゴンは加虐的な笑みを浮かべながら言った。
「大義であった。褒美をくれてやるから鎧と服を脱いでそこへ脚を開いて横になれ」
男は言われるがままに鎧と服を脱ぎ捨てるとその場で仰向けに寝転がった。痛いほどに怒張した逸物がそそり立つ。男が横になるのを確認すると、ドラゴンは男の脚の間に立って胴体の鱗を全て消した。たわわな乳房は大きいだけではなく垂れずに綺麗な形とどめ、乳首は男の逸物と同様に痛いほど勃起している。肢体にうっすらと残った傷跡でさえ、ドラゴンの力強い美しさを造り上げる一つの要因でしかなかった。
「どれ、この苦しげな逸物を慰めてやろう」
ドラゴンはそう言うと、男の逸物を踏みつけた。魔力に包まれ人を傷つけなくなった爪が逸物を挟み込み、足の裏が圧迫する。そして、ドラゴンは男の逸物をゆっくりと扱きだした。
「こうしていると、貴様が我に負けた時のことが思い出される。あの時の貴様の悔しげな顔をしながら笑う様は最高だったなぁ」
その時の男の表情を思い出したドラゴンは、背中を駆け上がるぞくぞくとした快感に身を振るわせると豊満な乳房をかき抱いた。そして、自身の手で乱暴に愛撫し、逸物を扱く速度を速める。
「何も耐えることはない。好きなときに果てるがいい！」
ドラゴンは加虐的な笑みを浮かべながら、自らの乳房を揉みしだき、秘所から愛液を垂れ流しながら逸物を扱き、精液を吐き出させた。精液が男の胸板を汚し、あたりにむわっとした精の臭いが漂う。
「逸物を踏みしだかれて感じるとは、貴様もなかなかの好き者だな。さて、今度は我が清めてやろう」
ドラゴンは男に覆い被さると、吐き出された精液を舐め取り、啜った。そして、全てを口に入れると、葡萄酒を味わうかのように口内で楽しんでからゆっくりと飲み下した。精液を舐め取る舌や、飲み下す喉の動き一つ一つが男の劣情を駆り立てる。
「喉にへばり付いてむせ返るほどに濃く、美味な精だ。貴様のことがますます気に入ったぞ」
ドラゴンは甘い体臭と精の臭いが混ざった呼気を吹きかけながら囁くと、体を起こした。
「今から貴様は我の番だ。そして、番が出来たからには子をなすのは自明の理。貴様に我を孕ませる権利をくれてやろう。我を傷つける程の強者である貴様と地上の王者たる我との子だ。我以上に強く、気高く、美しい子が産まれるであろうな」
そして、ドラゴンは自らの手で秘所を拡げて膣口に逸物をあてがうと一息に腰を落とした。処女膜を突き破った剛直は、勢いをそのままに膣を押し広げ、子宮口を突き上げる。結合部からは純潔の証が流れ出た。ドラゴンは破瓜の痛みに顔を一瞬しかめたが、理想とする雄を手にした喜びに破顔した。
「これで貴様は我の物になった訳だ。だがな、勘違いをするなよ？勝者は我で、敗者は貴様だ。そして、勝者には敗者を好きな様にする権利がある。つまり、我が勝者である限り、我が上で貴様が下、貴様が我を組み伏せて犬の様にまぐわうことなど未来永劫ありえないのだ！」
ドラゴンはそう言い放つと、男を犯すかのように腰を動かし始めた。豊満な乳房が激しく揺れ、腰を打ち付けるたびに体がぶつかり合う音と淫猥な水音が響く。
「うぐぅ、ああっ！その顔だ！貴様の悔しさにまみれたその顔が我の独占欲を掻き立てる！くぅぅ・・・あはぁ！強者でありながらもそのような顔をする貴様が堪らなく愛おしい！！」
ドラゴンはぎらぎらとした瞳で男を見下ろしながら自身の体を抱きしめ、より強く腰を打ち付ける。先程よりも体がぶつかり合う音と淫猥な水音大きくなり、ドラゴンが獣のような嬌声をあげる。
「ぐぁっ、あああ！その顔も、怒った顔も！笑った顔も我の物にしたいのだ！はぐっ、貴様の全てを我の物にしたい！貴様が木偶でなければ妻の求めに応えてみせよ！あうぅ・・・さすれば我の全てが貴様の物だ！」
男はドラゴンの腰を掴むと、その動きに合わせて逸物を突き上げた。突き上げるたびにドラゴンはよがり、表情をとろけさせていく。
「おお゛っ！それでこそ我が夫だ！いぎっ、こ、これがまぐわい！あぐぅう！この愉悦に比べれば、財宝など塵芥も同然だ！！あぅう！！」
絶頂が近付くドラゴンは男の胸に手をつくと、より激しく腰を打ち付け、男はドラゴンの子宮口を何度も何度も強く突き上げた。膣は刺激を強めて射精量を増やそうと蠢き、逸物は膣をごりごりと押し広げ、掻きだし、子種を吐き出そうとする。
「ぐぅうう！さあ、吐き出せ！ああっ、我の中にぃぐぅっ貴様の子種を注ぎ込め！おおお゛っ！！我を孕ませろ！それが雌の喜びなのだ！！」
男はドラゴンの臀部を鷲掴みにし、子宮口に逸物を叩き付けて子種を吐き出した。同時にドラゴンも達して、膣が一滴たりとも無駄にすまいときつく締め上げ、搾り取っていく。
「おあああああああ゛！！くふぅううううっ」
ドラゴンは髪を振り乱しながら一際高く咆吼すると、糸が切れた人形のように男の上へ倒れた。男の耳にふっー、ふっーとドラゴンの熱い吐息がかかる。
「熱い、熱いぞ！注ぎ込まれた子種が我の中を焼くかのようだ！」
体を僅かばかり起こして鼻同士がぶつかるような距離でドラゴンはそう叫ぶと、男に接吻をした。ドラゴンの舌が男の口内を陵辱し、舌を絡め合わせる。それこそ呼吸を忘れるほどにドラゴンは男を、男はドラゴンを求めてお互いを貪り合った。
「ん、んむぅ・・・ちゅる・・・ぴちゅ・・・ぷはっ」
ドラゴンは酸欠と興奮で荒くなった呼吸を整えると、肉欲でぎらつく右の瞳を爛々と輝かせた。
「強い生物こそ子をなしにくい。まして、ドラゴンとなればなおさらだ。我は貴様にさらなる快楽をくれてやる！ゆえに貴様も我を快楽でよがり狂わせ、子種さらに注ぎ込め！我が貴様との子を孕むまで、何度も何度も注ぎ込むのだ！！」
再びドラゴンが腰を打ち付け始める。たとえ子を孕み、産んだとしてもドラゴンはまぐわうことを止めないだろう。ドラゴンは貪欲であり、決して宝を手放すことはないからだ。
それは、魔王が代替わりする以前、何よりも強い「最強の生物」、神々に敵対し人々に畏怖される「怪物」、あらゆる宝を集め独占する「欲望の権化」。
そして、戯遊詩人が酒場や王宮で謡い、幼子が寝物語に聞く世界では、太古の言葉を操り勇者に智慧を授ける「賢者」であると同時に、その圧倒的な力を持ってして暴虐の限りを尽くす「悪」であり、その果てに英雄に退治されるという皮肉な宿命を背負う「地上の王者」。
遙か昔、竜によって滅ぼされ、今では住まう人も無く、唯々朽ち果てて行くのを静かに待つ古びた石造りの街。日の光が差し込むこともなく、どんよりとした空気が立ちこめる街の中心には古城が佇んでいる。王族も召使いもいない古城の謁見の間には、一生かかっても使い切ることができないであろう金貨と、大ぶりな宝石をあしらった純金製の王冠、錫杖、首飾り、おおよそ人の胴ほどはあるであろう金のインゴッド、名工が打ち研磨した刀剣と賢者によって作られた魔法具の数々が堆く積み上げられている。そして、その黄金色の小山の上に座して眠る者こそがこの古城の主たるドラゴン。
ギラギラと煌めく財宝の光を浴びる翠色のドラゴンも、智慧を持ち、宝を独占する最強の存在である。ただ、伝承と違うところを挙げるとすれば、このドラゴンの秘宝とも呼べる物は断ち切れぬ物は無いとも言われる魔剣でも、あらゆる生物を支配することができる王錫でもなく、大きな金の鳥かごに囚われた壮年の騎士であること、救国の英雄としてドラゴンの下に送り込まれたこの男を、ドラゴンが打ち倒したということの二点である。
「傷は癒えたか、騎士よ」
地の底から響くようなドラゴンの声に、男は短く、ああ、と答えると再び唖のように黙り込んだ。巌のような男の体が纏う鎧は所々、砕け、ひしゃげ、焼け焦げ、爛れている。傍らには血塗れになった聖銀の槍が転がっている。
「太陽と月がいったい何度入れ替わったことか。貴様は覚えているか？我にとっては午睡の一時のような物であったが、貴様には長かったであろう？」
その問いかけにも答えず、男は鳥かごの中でじっとしていた。そんな男の態度にドラゴンは鼻を鳴らすと気だるげに続けた。
「まあ、よかろう。貴様のメイスが砕き、引き裂いた我の鱗と肉も、その槍が貫いた左の眼もついには癒えた」
ドラゴンは、大きな傷は残り、左の眼は光を失ったままだがなと、憎々しげに言い放った。確かに、右の瞳は眼下の財宝の様に黄金色の眼光をたたえているが、左の眼は白く濁ったままであった。その二つの眼差しが男を見据えている。
「しかし、あの戦いは面白いものであったなあ。思い出しただけで身震いしてしまう」
火のように赤い舌で舌なめずりをするドラゴンの声は喜悦に満ちていた。ドラゴンと男との戦いはまさに苛烈を極め、男1人を古城に送り込むために死山血河が築かれたのだ。戦と血の臭いに引きつけられたオーガやゴブリンたちが戦場となった街に雪崩れ込んでは兵士と刃を打ち付け合い、少しでも気を抜いた兵士を曇天の空に舞うハーピー達が攫っていく。そして、そこにドラゴンがやって来て、戯れに吐き出した炎で矢と投石された岩だけでなく、人も魔物も焼き払っていくのだ。まさに地獄のような光景だった。
男が生きる物の気配が消え去った戦場を駆け抜け、古城の謁見の間に辿り着くと、はたしてそこには堂々たる体躯を持った翠色のドラゴンが男の到着を待ちわびていた。両者はお互いの姿を認めると男は怒りの怒号をあげ、喜びの咆吼を轟かせるドラゴンに突貫していった。男のやることは二つ。剛健な竜鱗をメイスで打ち砕き、聖銀の槍で心臓を貫く。これだけのことであったが、困難を極めるものであった。羽ばたきによる旋風は近付くことを許さず、巨木のごとき竜の尾は男を小石のようになぎ払い、業火と吹き出た血が鎧を焼き爛れさせた。
だが、それでも男は諦めなかった。炎に焼かれ、血を浴び、吐血しながらも一心不乱にメイスを振るい、鱗を砕いて肉を裂き、ついにはドラゴンの脚を折ったのだ。それと同時にメイスも持ち手を残して折れたが、男は体勢を崩したドラゴンを見据えるとただの棒きれになりはてたメイスを投げ捨て、一矢報いるためにドラゴンの頭へと肉薄した。そしてついに、聖銀の槍はドラゴンの瞳に突き刺さるのだった。祈りが込められた聖銀の槍は竜の血によって溶けることなく、ドラゴンに痛手を負わせたのだ。
今まで感じたことのない激痛にドラゴンは身もだえた。反動で槍が抜け落ち、木っ端のように転がった男をドラゴンが前足で踏みつけた。飛び散った血が辺りの財宝を溶かし、肺が腐るような異臭漂うなか、男は声高々に笑うと意識を失った。目を閉じる間際に見たものは、黒々とした煙の吐息を吐き、黄金色の瞳の奥にぐつぐつと煮えたぎる怒りを宿したドラゴンの顔だった。
こうして戦いは幕を閉じ、男は囚われの身となったのだ。
「手慰みに貴様の騎士物語を聞くのも飽いた。我を倒しにきたのか、貴様を助けにきたのか分からん有象無象もやって来なくなった。それに比べてなんと貴様の面白いことか」
悠久の時間を過ごすこのドラゴンにとって、この男は僅かばかりの暇つぶしであり、新たな戦いを呼ぶための餌であり、竜という絶対的な存在に傷を与えた最高の玩具なのだ。そして、最高の玩具がもたらす愉悦を知ったドラゴンが男を手放すことはなかった。
「傷は癒えた。さあ、騎士よ、今一度その槍を持って立ち上がれ！我にあの愉悦を感じさせるのだ！！」
ドラゴンが体を起こして咆吼を轟かせると、咆吼が黄金の波を巻き起こす。男は血塗れの槍を掴むと鍵のかかっていない鳥かごの扉を開け放ち、己の自由と誇りを取り戻すために鳥かごから飛び出した。戦いは二日二晩続いたが、最後には男は薄れ行く意識のなか、悔しさに涙を流すこととなった。
この夜、世界が変わった。魔王の代替わりである。全ての魔物が好色な魔物娘へと変貌したのだ。そして、それはこのドラゴンも例外ではなかった。
男が眼を覚ますとドラゴンの姿はなかった。正確に言えば、気配はするものの、あの巨体がどこにも見当たらなかったのだ。不審に思った男が辺りを見回していると、凜とした声が聞こえた。
「ようやく眼を覚ましたか」
男が声のした方向に向き直ると、黄金の小山の上で、椅子かなにかに座っている人影があった。逆光であったためにはっきりと姿形は分からなかったが声色から女性と分かる。その人影に近付いた男は驚愕し、目を見開いた。蠱惑的な肢体と、かのドラゴンのような角と翼と尾を持った女が脚を組みながら不遜な態度で玉座に腰掛け、黄金色と白濁した切れ長の瞳で男を見下ろしていたのだから。
「訳が分からないといった顔だな。だが、それも仕方あるまい」
たしかに男は訳が分からなかった。遊び半分のドラゴンに嬲られるように戦って気を失い、眼を覚ませば人とも魔物ともつかない存在がいて、その存在がかのドラゴンの気配を漂わせているからだ。そんな男の様子を気にもとめず、ドラゴンは淡々と話し続ける。
「おおかた、魔王が代替わりしたのであろう。だが、そのようなことは些事でしかあるまい。さて、騎士よ、こちらへ来るのだ」
男は出来ることならば抗いたかった。だが、人外の魅力と有無を言わせぬ眼光を前にするとそのような気持ちが萎えてしまうのだ。今では、闘っていた時とは違う意味で、ドラゴンの一挙一動から目が離せなかった。髪をかき上げ、脚を組み直す動作すら妙に艶めかしく感じてしまう。そして、男は熱病に冒されたかのような足取りでドラゴンに近付いた。
「跪け」
玉座に腰掛けたままドラゴンが命令する。すると、男は自らが仕える王を前にしたかのように恭しく跪いた。ドラゴンの右の瞳が一層ギラギラとした光を湛える。
「この体になってから、妙に疼いて仕方が無いのだ」
ドラゴンは組んだ脚を解いて玉座に浅く座り直し、鱗と腰布を消し去ると脚を開きながら言った。
「奉仕しろ」
男は甲手を外すと跪いた状態から這うようにして近づき、ドラゴンの股に顔を埋めた。まるで繊細な壊れ物を扱うような手つきで指をぴったりと閉じている秘所にあてがい、開く。僅かに粘性を帯びた音を立てながら開かれた秘所からは、愛液が止めどなく流れ出ている。男は流れ出る愛液を一度大きく舐めると、ちろちろと膣口を舐めだす。頭上からはドラゴンの熱を帯びて小刻みになった呼吸音が聞こえる。男はドラゴンの表情を見ることは叶わなかったが、快感と自分に傷を負わせた強者を意のままにできる征服感で顔を喜悦で歪ませていることは容易く想像できた。
そのまま幾分か舐め続けていると、ドラゴンの尾が男の後頭部へと伸びていき、軽く叩いた。
「我はこの程度の刺激で満足できんぞ。しっかりと奉仕しろ」
頭上からの命令に男は行動でもって応えた。秘所にむしゃぶりつき、舐めしゃぶり、狭い膣に舌をねじ込んでかき回す。辺りには淫猥な水音とドラゴンの喘ぎ声だけが響いている。
「ん・・くふっ・・・ふふ、やれば出来るではないか。褒めてやろう」
新たな王の言葉に喜色を露わにした男が一層激しく秘所にむしゃぶりつく。
「ふっ、ふっ・・あぁ・・・人の身で味わう快楽とはここまでのものなのか。サキュバスどもが夢中になる訳だ・・・うぅ、くっ！」
男は割れ目から口を離すと陰核に吸い付いた。今までの快感の何倍も強いそれに、ドラゴンは悩ましげに顔を歪めた。快感が何倍も強くなっても達するには至らないのだ。そんなもどかしさに顔を歪ませたドラゴンが、両手で男の頭を抑えて秘所へ押しつける。主の反応からどうすべきかを理解した男は陰核により強く吸い付いた。
「ぐぅ、くっ・・・あああ！」
快感が最高潮になり、ついにドラゴンは達した。背を弓なりに反らせ、瞳をきつく閉じて初めての絶頂を受け入れる。ドラゴンは男の顔を秘所へ押しつけたまま二度三度、腹部を痙攣させた後に脱力した。腹部から力が抜け落ちた結果、黄金水が男の顔にびしゃびしゃと放たれ、ドラゴンの秘所と内ももを飛沫で濡らした。
「ふぅ、はぁ・・・ふぅ、はぁ・・・清めろ」
熱と艶を多分に帯びた声でドラゴンが命じると、男は戸惑うことなく内ももに舌を這わせた。世間一般では不浄とされるそれも、ドラゴンの下僕たる男にとっては甘露であった。右の内ももが終われば左の内ももを丁寧に舐め上げ、内ももが終わると肛門から再びぴったりと閉じられた秘所にかけてを同様に、丁寧に舐め清める。
「ふふふ、くすぐったいぞ。もうよい、もうよい」
男はドラゴンから離れると、再び恭しく跪いた。顔を上気させ、切れ長の瞳の眦をとろけさせながら、ドラゴンは満足そうに余韻に浸っている。余韻が収まると、ドラゴンは加虐的な笑みを浮かべながら言った。
「大義であった。褒美をくれてやるから鎧と服を脱いでそこへ脚を開いて横になれ」
男は言われるがままに鎧と服を脱ぎ捨てるとその場で仰向けに寝転がった。痛いほどに怒張した逸物がそそり立つ。男が横になるのを確認すると、ドラゴンは男の脚の間に立って胴体の鱗を全て消した。たわわな乳房は大きいだけではなく垂れずに綺麗な形とどめ、乳首は男の逸物と同様に痛いほど勃起している。肢体にうっすらと残った傷跡でさえ、ドラゴンの力強い美しさを造り上げる一つの要因でしかなかった。
「どれ、この苦しげな逸物を慰めてやろう」
ドラゴンはそう言うと、男の逸物を踏みつけた。魔力に包まれ人を傷つけなくなった爪が逸物を挟み込み、足の裏が圧迫する。そして、ドラゴンは男の逸物をゆっくりと扱きだした。
「こうしていると、貴様が我に負けた時のことが思い出される。あの時の貴様の悔しげな顔をしながら笑う様は最高だったなぁ」
その時の男の表情を思い出したドラゴンは、背中を駆け上がるぞくぞくとした快感に身を振るわせると豊満な乳房をかき抱いた。そして、自身の手で乱暴に愛撫し、逸物を扱く速度を速める。
「何も耐えることはない。好きなときに果てるがいい！」
ドラゴンは加虐的な笑みを浮かべながら、自らの乳房を揉みしだき、秘所から愛液を垂れ流しながら逸物を扱き、精液を吐き出させた。精液が男の胸板を汚し、あたりにむわっとした精の臭いが漂う。
「逸物を踏みしだかれて感じるとは、貴様もなかなかの好き者だな。さて、今度は我が清めてやろう」
ドラゴンは男に覆い被さると、吐き出された精液を舐め取り、啜った。そして、全てを口に入れると、葡萄酒を味わうかのように口内で楽しんでからゆっくりと飲み下した。精液を舐め取る舌や、飲み下す喉の動き一つ一つが男の劣情を駆り立てる。
「喉にへばり付いてむせ返るほどに濃く、美味な精だ。貴様のことがますます気に入ったぞ」
ドラゴンは甘い体臭と精の臭いが混ざった呼気を吹きかけながら囁くと、体を起こした。
「今から貴様は我の番だ。そして、番が出来たからには子をなすのは自明の理。貴様に我を孕ませる権利をくれてやろう。我を傷つける程の強者である貴様と地上の王者たる我との子だ。我以上に強く、気高く、美しい子が産まれるであろうな」
そして、ドラゴンは自らの手で秘所を拡げて膣口に逸物をあてがうと一息に腰を落とした。処女膜を突き破った剛直は、勢いをそのままに膣を押し広げ、子宮口を突き上げる。結合部からは純潔の証が流れ出た。ドラゴンは破瓜の痛みに顔を一瞬しかめたが、理想とする雄を手にした喜びに破顔した。
「これで貴様は我の物になった訳だ。だがな、勘違いをするなよ？勝者は我で、敗者は貴様だ。そして、勝者には敗者を好きな様にする権利がある。つまり、我が勝者である限り、我が上で貴様が下、貴様が我を組み伏せて犬の様にまぐわうことなど未来永劫ありえないのだ！」
ドラゴンはそう言い放つと、男を犯すかのように腰を動かし始めた。豊満な乳房が激しく揺れ、腰を打ち付けるたびに体がぶつかり合う音と淫猥な水音が響く。
「うぐぅ、ああっ！その顔だ！貴様の悔しさにまみれたその顔が我の独占欲を掻き立てる！くぅぅ・・・あはぁ！強者でありながらもそのような顔をする貴様が堪らなく愛おしい！！」
ドラゴンはぎらぎらとした瞳で男を見下ろしながら自身の体を抱きしめ、より強く腰を打ち付ける。先程よりも体がぶつかり合う音と淫猥な水音大きくなり、ドラゴンが獣のような嬌声をあげる。
「ぐぁっ、あああ！その顔も、怒った顔も！笑った顔も我の物にしたいのだ！はぐっ、貴様の全てを我の物にしたい！貴様が木偶でなければ妻の求めに応えてみせよ！あうぅ・・・さすれば我の全てが貴様の物だ！」
男はドラゴンの腰を掴むと、その動きに合わせて逸物を突き上げた。突き上げるたびにドラゴンはよがり、表情をとろけさせていく。
「おお゛っ！それでこそ我が夫だ！いぎっ、こ、これがまぐわい！あぐぅう！この愉悦に比べれば、財宝など塵芥も同然だ！！あぅう！！」
絶頂が近付くドラゴンは男の胸に手をつくと、より激しく腰を打ち付け、男はドラゴンの子宮口を何度も何度も強く突き上げた。膣は刺激を強めて射精量を増やそうと蠢き、逸物は膣をごりごりと押し広げ、掻きだし、子種を吐き出そうとする。
「ぐぅうう！さあ、吐き出せ！ああっ、我の中にぃぐぅっ貴様の子種を注ぎ込め！おおお゛っ！！我を孕ませろ！それが雌の喜びなのだ！！」
男はドラゴンの臀部を鷲掴みにし、子宮口に逸物を叩き付けて子種を吐き出した。同時にドラゴンも達して、膣が一滴たりとも無駄にすまいときつく締め上げ、搾り取っていく。
「おあああああああ゛！！くふぅううううっ」
ドラゴンは髪を振り乱しながら一際高く咆吼すると、糸が切れた人形のように男の上へ倒れた。男の耳にふっー、ふっーとドラゴンの熱い吐息がかかる。
「熱い、熱いぞ！注ぎ込まれた子種が我の中を焼くかのようだ！」
体を僅かばかり起こして鼻同士がぶつかるような距離でドラゴンはそう叫ぶと、男に接吻をした。ドラゴンの舌が男の口内を陵辱し、舌を絡め合わせる。それこそ呼吸を忘れるほどにドラゴンは男を、男はドラゴンを求めてお互いを貪り合った。
「ん、んむぅ・・・ちゅる・・・ぴちゅ・・・ぷはっ」
ドラゴンは酸欠と興奮で荒くなった呼吸を整えると、肉欲でぎらつく右の瞳を爛々と輝かせた。
「強い生物こそ子をなしにくい。まして、ドラゴンとなればなおさらだ。我は貴様にさらなる快楽をくれてやる！ゆえに貴様も我を快楽でよがり狂わせ、子種さらに注ぎ込め！我が貴様との子を孕むまで、何度も何度も注ぎ込むのだ！！」
再びドラゴンが腰を打ち付け始める。たとえ子を孕み、産んだとしてもドラゴンはまぐわうことを止めないだろう。ドラゴンは貪欲であり、決して宝を手放すことはないからだ。
15/03/21 01:05更新 / リキッド・ナーゾ