真夜中に吸血鬼と出会ってしまったのですが
ヴァンパイアや魔物が伝説や物語の中でしか存在しない現代。 平凡なサラリーマン、カネダ氏は毎日を無為に生きていた。 そんな彼は会社の健康診断に肥満で引っかかってしまう。 「そんなバカな……ってまぁ、こんな食生活じゃあそうなるか……」 彼は汚い四畳半に胡坐をかき、診断書とにらめっこしていた。 右手にはチップスが握られ、指先は油でべとべとである。 「ううむ、さすがにこれはみっともないしなぁ」 ぽむぽむと左手で腹を押さえる。 マシュマロが如き柔らかさが感じられる弾力が辺りを包み込み、少し目を細めたカネダ氏は思った。 「……ランニングでもするかぁ」 一念発起した彼はポテチを放置し、ランニングをするため安アパートを後にするのであった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 一方そのころ、日本の某所。 人知れずとある異変が起きていた。 次元に開いた断層がとある異世界と繋がってしまったのである。 そしてそこから一つの存在が降り立った。 「ここが例の異世界とやらか……クク、オスの匂いがようしよるわ」 尖った犬歯を輝かせ、暗闇の中で赤い目がギラリと怪しく蠢いていた。 「おっと、お邪魔ムシが来る前に行くとしようかのう。まだ会うには早い」 そういうと一息にソイツは跳躍し、その場を去るのであった。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 それからしばらくして、同じ場所にて。 一人の男が地面に屈みこんでいた。 その場所はほんの二時間前まで謎の存在が居た場所である。 「ふぅむ、ヤツはとっくの昔にこちら側に来ている様ですね……教会の面倒な手続きさえ無ければ、この場所で終わらせられたでしょうに」 男は立ち上がり、周囲を探っている様である。 その動きは熟練されたものであるようで、体からは何処からともなく威圧感が発生している。 「私から逃げられると思わないことですねぇ、ヴァンパイア……!!」 そう呟いた男はおもむろに歩き出すのであった。 果たして彼らは何者なのだろうか? そしてカネダ氏は今度こそダイエットに成功するのであろうか? 乞うご期待 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 前中後編の三話分を予定しています。 久方ぶりに書いたので拙い面も有るかと思われますが、どうか生暖かい目でよろしくお願いいたします。 ヴァンパイアについて若干の独自設定が有ります。 苦手な方はご注意ください。 後編は九月末になりそうです。 よろしくお願いします。 |
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