えにっき
町の学校の教師をしているラミアのカレンが、自宅で生徒たちが夏休みの宿題で書いた絵日記を読んでいる時だった。
ある生徒の絵日記に驚くべきことが書いてあるのを見つけたのだ。
その絵日記が、これだ。
○月□日 はれ
ロマンさんがうちにきて、おかあさんのおしごとをてつだってくれた。
うらやましかったので、わたしもロマンさんにしてもらった。
すごいきもちよかった。
そのあと、おかあさんとふたりでてつだってくれたおれいをしたら、ロマンさんはとってもよろこんでくれたみたいだった。
またてつだいにきてくれないかな。
この絵日記を書いたのはミナというホルスタウロスの生徒だった。
父親を病で亡くしているミナは、母親と二人で牛乳を売る店を営んでいる。もちろんこの牛乳は母親の乳から搾った物だ。
そしてここに出てくるロマンとはカレンの夫のことである。
小説家なので締切り前は忙しくなるが、今は余裕があるらしく、暇な時に町をブラブラしているらしい。
そんな彼がミナの店で手伝ったという。
何を?
そんなのは考えるまでもない。
夫のいない男に飢えたホルスタウロスが手伝わせることといったら、これはもう
乳搾り以外にない。
ロマンはホルスタウロス親子の乳をまさぐり、揉んで、搾り尽くした。
そしてお礼と称して振舞われた母娘丼をペロリと平らげたのだ。
「あの浮気野郎……!」
そう夫の浮気を確信したカレンは、思わず絵日記を握り潰していた。
生徒の宿題をそんな風にするのは教師失格だが、今のカレンにそんなことを気にする余裕などない。
「初めてよ、ここまでコケにされたのは……!
もう許さない……じわじわと嬲り殺しにしてくれる!」
怒りのあまり、カレンがいい感じにおかしくなってきた時だった。
「ただいまー」
まさにグッドタイミング。
問題の男、ロマンが帰ってきたのだ。もっとも、彼にとっては最高にバッドなタイミングだが。
「おかえりなさい、あなた。いきなりで悪いけど、ちょっと話があるの」
「話?」
「これなんだけど」
カレンは問題の絵日記を見せた。
そこに書いてある内容を目にしたロマンの顔に、いや~な汗が流れる。
「どういうことかしら、これは」
「ど、どういうって……」
「とぼけないで!
もうネタは上がってんのよ!
あんたがミナちゃん達とおかしなコトしたって、これに書いてあるんだからね!」
「違うんだ、これは」
「だまらっしゃい!
これはもうおしおきね!
おしおきスペシャルね!
ふふふ……覚悟しなさい!」
「……書いていない!」
「は?」
ロマンがカレンの手にある絵日記を指差す。
「どんなに疑わしくても、僕が何をしたかはっきりとは書いていない!
だからそれは浮気を決定づける証拠とはならない!
無効っ……! 書いてないから無効っ……!」
それはもっともな指摘だった。
確かに絵日記の中には具体的なことは何も書いていなかった。
これでは決定的証拠とはいえず、浮気を断定することはできない。
これで危機を回避できた、とロマンは安堵した。
だがそれは甘い考えだった。
当のカレンはまったく動じていなかったのだから。
「だったらミナちゃんに直接聞くわ。
その日、あなたと何をしていたのかをね!」
それを聞いたロマンは凍りついた。
相手は子ども。訓練されたスパイではないのだ。
大体絵日記に書いちゃってるわけだし、口の堅さなどたかが知れている。
問い詰めればあっさり暴露するだろう。
ロマンの顔が青ざめ、再び汗が流れ出していく。
「す、すいませんでしたぁぁぁぁっ!」
観念したロマンはその場で土下座をし、必死にを謝罪した。
だが悲しいかな、彼の妻は嫉妬深く浮気に厳しいラミアである。
謝って済むわけがない。
「許さないわ。……おしおきね」
「で、出来心だったんだぁぁぁぁぁぁーーーーーー……」
カレンの尻尾に巻きつかれたロマンは、叫び声と共に奥の部屋へとひきづられていったのだった。
数日後。
ミナの母親、ラブがいつものように店番をしていた時だった。
いきなり店のドアが開かれ、彼女の娘ミナが倒れこんできたのだ。
「ミナちゃん!?」
ラブは慌てて駆け寄り、ミナを抱き起こす。
外傷こそないようだが、ひどい状態だった。
顔は茹蛸のように紅潮し、激しい運動をしたように息は乱れ、服は強姦されたようにボロボロだった。
どう見てもただごとではない。
ラブはミナの名を必死に呼びかける。
そこへ、ミナの担任のカレンが現れた。
「カレン先生! ミナが……」
だがカレンはラブの呼びかけを無視し、まさしく蛇らしい目つきで睨む。
「ひっ」
その目を見たラブは恐怖で凍りつき、同時に悟った。
娘をこんな風にしたのは誰なのか、ここに何をしに来たのかを!
「い、いや……!」
膝が震え、立っていられずへたりこんだラブにカレンはゆらりゆらりと近づいていく。
そして娘の体を抱きしめることしか出来ない哀れなこの獲物に、ニタリと嫌らしい笑みを浮かべて、言ったのだ。
「――次は、お前だ」
「いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ある生徒の絵日記に驚くべきことが書いてあるのを見つけたのだ。
その絵日記が、これだ。
○月□日 はれ
ロマンさんがうちにきて、おかあさんのおしごとをてつだってくれた。
うらやましかったので、わたしもロマンさんにしてもらった。
すごいきもちよかった。
そのあと、おかあさんとふたりでてつだってくれたおれいをしたら、ロマンさんはとってもよろこんでくれたみたいだった。
またてつだいにきてくれないかな。
この絵日記を書いたのはミナというホルスタウロスの生徒だった。
父親を病で亡くしているミナは、母親と二人で牛乳を売る店を営んでいる。もちろんこの牛乳は母親の乳から搾った物だ。
そしてここに出てくるロマンとはカレンの夫のことである。
小説家なので締切り前は忙しくなるが、今は余裕があるらしく、暇な時に町をブラブラしているらしい。
そんな彼がミナの店で手伝ったという。
何を?
そんなのは考えるまでもない。
夫のいない男に飢えたホルスタウロスが手伝わせることといったら、これはもう
乳搾り以外にない。
ロマンはホルスタウロス親子の乳をまさぐり、揉んで、搾り尽くした。
そしてお礼と称して振舞われた母娘丼をペロリと平らげたのだ。
「あの浮気野郎……!」
そう夫の浮気を確信したカレンは、思わず絵日記を握り潰していた。
生徒の宿題をそんな風にするのは教師失格だが、今のカレンにそんなことを気にする余裕などない。
「初めてよ、ここまでコケにされたのは……!
もう許さない……じわじわと嬲り殺しにしてくれる!」
怒りのあまり、カレンがいい感じにおかしくなってきた時だった。
「ただいまー」
まさにグッドタイミング。
問題の男、ロマンが帰ってきたのだ。もっとも、彼にとっては最高にバッドなタイミングだが。
「おかえりなさい、あなた。いきなりで悪いけど、ちょっと話があるの」
「話?」
「これなんだけど」
カレンは問題の絵日記を見せた。
そこに書いてある内容を目にしたロマンの顔に、いや~な汗が流れる。
「どういうことかしら、これは」
「ど、どういうって……」
「とぼけないで!
もうネタは上がってんのよ!
あんたがミナちゃん達とおかしなコトしたって、これに書いてあるんだからね!」
「違うんだ、これは」
「だまらっしゃい!
これはもうおしおきね!
おしおきスペシャルね!
ふふふ……覚悟しなさい!」
「……書いていない!」
「は?」
ロマンがカレンの手にある絵日記を指差す。
「どんなに疑わしくても、僕が何をしたかはっきりとは書いていない!
だからそれは浮気を決定づける証拠とはならない!
無効っ……! 書いてないから無効っ……!」
それはもっともな指摘だった。
確かに絵日記の中には具体的なことは何も書いていなかった。
これでは決定的証拠とはいえず、浮気を断定することはできない。
これで危機を回避できた、とロマンは安堵した。
だがそれは甘い考えだった。
当のカレンはまったく動じていなかったのだから。
「だったらミナちゃんに直接聞くわ。
その日、あなたと何をしていたのかをね!」
それを聞いたロマンは凍りついた。
相手は子ども。訓練されたスパイではないのだ。
大体絵日記に書いちゃってるわけだし、口の堅さなどたかが知れている。
問い詰めればあっさり暴露するだろう。
ロマンの顔が青ざめ、再び汗が流れ出していく。
「す、すいませんでしたぁぁぁぁっ!」
観念したロマンはその場で土下座をし、必死にを謝罪した。
だが悲しいかな、彼の妻は嫉妬深く浮気に厳しいラミアである。
謝って済むわけがない。
「許さないわ。……おしおきね」
「で、出来心だったんだぁぁぁぁぁぁーーーーーー……」
カレンの尻尾に巻きつかれたロマンは、叫び声と共に奥の部屋へとひきづられていったのだった。
数日後。
ミナの母親、ラブがいつものように店番をしていた時だった。
いきなり店のドアが開かれ、彼女の娘ミナが倒れこんできたのだ。
「ミナちゃん!?」
ラブは慌てて駆け寄り、ミナを抱き起こす。
外傷こそないようだが、ひどい状態だった。
顔は茹蛸のように紅潮し、激しい運動をしたように息は乱れ、服は強姦されたようにボロボロだった。
どう見てもただごとではない。
ラブはミナの名を必死に呼びかける。
そこへ、ミナの担任のカレンが現れた。
「カレン先生! ミナが……」
だがカレンはラブの呼びかけを無視し、まさしく蛇らしい目つきで睨む。
「ひっ」
その目を見たラブは恐怖で凍りつき、同時に悟った。
娘をこんな風にしたのは誰なのか、ここに何をしに来たのかを!
「い、いや……!」
膝が震え、立っていられずへたりこんだラブにカレンはゆらりゆらりと近づいていく。
そして娘の体を抱きしめることしか出来ない哀れなこの獲物に、ニタリと嫌らしい笑みを浮かべて、言ったのだ。
「――次は、お前だ」
「いやぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
11/08/20 03:08更新 / ぞろ